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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129896
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】吸収性パッドの個包装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20230912BHJP
【ＦＩ】
A61F13/15 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2022034232
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 景
【テーマコード（参考）】
3B200
【Ｆターム（参考）】
3B200AA03
3B200BA16
3B200BB20
3B200CA11
3B200DE10
3B200DF08
3B200DF09
(57)【要約】
【課題】装着時に手指が製品表面に触れない吸収性パッドの個包装体の提供。
【解決手段】液透過性のトップシート１０と、液不透過性のバックシート３０と、これらの間に位置する吸収体２０とを含む吸収性パッド５０と、吸収性パッド５０の非肌側に配置された個包装シート７０とを備え、吸収性パッド５０は前側領域５１と折り領域５２と後側領域５３とに区分され、吸収性パッド５０と個包装シート７０との間に、互いに離間して配置され、バックシート３０の前側領域５１及び後側領域５３にそれぞれ剥離可能に接着された第１、第２剥離シート６１、６２を有し、個包装シート７０は、シート本体部とシート延設部とを有し、第１剥離シート６１はシート延設部に剥離不能に接合されかつシート本体部には接合されておらず、第２剥離シート６２はシート本体部に剥離不能に接合された吸収性パッド個包装体１。
【選択図】図１
【解決手段】液透過性のトップシート１０と、液不透過性のバックシート３０と、これらの間に位置する吸収体２０とを含む吸収性パッド５０と、吸収性パッド５０の非肌側に配置された個包装シート７０とを備え、吸収性パッド５０は前側領域５１と折り領域５２と後側領域５３とに区分され、吸収性パッド５０と個包装シート７０との間に、互いに離間して配置され、バックシート３０の前側領域５１及び後側領域５３にそれぞれ剥離可能に接着された第１、第２剥離シート６１、６２を有し、個包装シート７０は、シート本体部とシート延設部とを有し、第１剥離シート６１はシート延設部に剥離不能に接合されかつシート本体部には接合されておらず、第２剥離シート６２はシート本体部に剥離不能に接合された吸収性パッド個包装体１。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の前後方向に対応する長手方向を有し、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を含む吸収性パッドと、前記吸収性パッドの非肌側に配置された個包装シートと、を備える吸収性パッド個包装体であって、
前記吸収性パッドは、前側領域と、折り領域と、後側領域と、がこの順に長手方向に連接されているように区分され、
前記吸収性パッドと前記個包装シートとの間に配置され、長手方向に互いに離間する第１剥離シートと第２剥離シートと、をさらに有し、
前記第１剥離シートは、前記バックシートの前記前側領域の外側表面に剥離可能に接着され、
前記第２剥離シートは、前記バックシートの前記後側領域の外側表面に剥離可能に接着され、
前記個包装シートは、シート本体部と、前記シート本体部から前記後側領域側に延設されたシート延設部と、を有し、
前記シート本体部は、その一端が前記第１剥離シートの外側表面付近に位置し、前記折り部、及び前記第２剥離シートの各外側表面を覆い、
前記シート延設部は、折られた前記吸収性パッドの対向する前後端を覆い、前記シート延設部の他端は、前記シート本体部の一端の外側表面に位置し、
前記第１剥離シートは前記シート延設部に剥離不能に接合され、かつ、前記シート本体部には接合されておらず、
前記第２剥離シートは前記シート本体部に剥離不能に接合されている、吸収性パッド個包装体。
前記吸収性パッドは、前側領域と、折り領域と、後側領域と、がこの順に長手方向に連接されているように区分され、
前記吸収性パッドと前記個包装シートとの間に配置され、長手方向に互いに離間する第１剥離シートと第２剥離シートと、をさらに有し、
前記第１剥離シートは、前記バックシートの前記前側領域の外側表面に剥離可能に接着され、
前記第２剥離シートは、前記バックシートの前記後側領域の外側表面に剥離可能に接着され、
前記個包装シートは、シート本体部と、前記シート本体部から前記後側領域側に延設されたシート延設部と、を有し、
前記シート本体部は、その一端が前記第１剥離シートの外側表面付近に位置し、前記折り部、及び前記第２剥離シートの各外側表面を覆い、
前記シート延設部は、折られた前記吸収性パッドの対向する前後端を覆い、前記シート延設部の他端は、前記シート本体部の一端の外側表面に位置し、
前記第１剥離シートは前記シート延設部に剥離不能に接合され、かつ、前記シート本体部には接合されておらず、
前記第２剥離シートは前記シート本体部に剥離不能に接合されている、吸収性パッド個包装体。
【請求項2】
前記シート延設部の他端には、開封識別部を設ける、請求項１に記載の吸収性パッド個包装体。
【請求項3】
前記開封識別部が印刷部又は凹凸部である、請求項２に記載の吸収性パッド個包装体。
【請求項4】
前記吸収性パッドは前記折り部に沿って２つ折りにされる、請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の吸収性パッドの個包装体。
【請求項5】
前記吸収性パッドの前側領域がパッド使用時の装着者の腹側又は背側の一方で、前記吸収性パッドの後側領域がパッド使用時の装着者の腹側又は背側の他方である、請求項１乃至請求項４のいずれか１項に記載の吸収性パッドの個包装体。
【請求項6】
前記第１剥離シートの他端側端部と前記第２剥離シートの一端側端部とが互いに延長された１枚の連続した剥離シートであり、前記剥離シートは、前記吸収性パッドの折り畳まれた状態で対向する前後端を覆っている、請求項１乃至請求項５のいずれか１項に記載の吸収性パッド包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性パッドの個包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
軽失禁製品、軽失禁ライナー、尿取りパッド等の吸収性パッドは、不意の尿漏れ等に対処するために開発されたものであり、尿等の体液を素早く吸収し、他者からその着用を覚られ難いことから、最近では広く利用されている。吸収性パッドは、通常、包装材により個装された個包装体として市販されている。吸収性パッドの個包装体については、例えば、吸収性パッドの内部からの取り出し易さ等の観点から、様々な包装構造が提案されている。
【0003】
特許文献１には、吸収性物品を長方形状の包装材でその長手方向の一端縁部から開封可能に個装し、一端縁部の両側の包装材に亘ってそれらの表面に止着テープを止着したものであって、止着テープの一端部は一端縁部側の包装材の表面に固定され、またその他端部は他方の包装材の表面に脱着可能に止着されて、止着テープは、包装材に対する剥離力が４０～１００ｇｆ／１０ｍｍであり、且つ包装材から剥離した後包装材と再接着した後の包装材に対する剥離力が２０～１００ｇｆ／１０ｍｍである、吸収性物品の包装構造が記載されている（請求項１）。特許文献１によれば、開封時に包装材が破れることがなく開封が容易であるとともに、ここで用いられる止着テープは、包装材に繰り返して接着することができるので、使用後の吸収性物品の廃棄時における包装構造の封止性に優れたものとなると記載されている（段落００３４）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平９－２２０２５４
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献１には、より具体的には、吸収性パッドと、吸収性パッドの非肌側表面に当接される包装材とを用い、吸収性パッドを長手方向に略３等分するように包装材と一体的に３つ折りにし、包装材の幅方向両側縁部及び長手方向の一端縁部をそれぞれヒートシールして個装された包装構造が開示されている。このような吸収性パッドの包装構造は、開封時に、タブテープを起点として、ヒートシール部分を引き剥がすことにより吸収性パッドを取り出し得るようになっている。この包装構造は簡易的で、また着用者にとって使い易く実使用に優れているため、さまざまな市販製品で広く用いられている。
【0006】
しかしながら、一般的な吸収性パッドの個包装体では、例えば、吸収性パッドを包装構造から引き離して、下着のクロッチ部に装着しようとすると、着用者の手指の表面が吸収性パッドの肌側表面であるトップシートに接触することを避けることはできない。日常生活において、着用者の手指は常に衛生的であるとは言えず、特に吸収性パッドの取り換え時の状況によっては不衛生が心配されることもある。
【0007】
本発明の目的は、装着時に手指が製品のトップシート表面に触れない吸収性パッドの個包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、吸収性パッドと、吸収性パッドよりも縦方向及び横方向に大寸の個包装シートとを用いるとともに、これらの間に、長手方向に２分された２枚の剥離シートを設け、剥離シートを吸収性パッドには剥離可能にかつ個包装シートには剥離不能に設け、これらをこの順に重ね合わせて、吸収性パッドが内側を向くように折り畳んで得られる個包装体を得ることに成功し、この個包装体によれば、最外層の個包装シートを剥がすと、トップシートが内側になった状態で、吸収性パッド（バックシート）の非肌側表面に設けられた接着層が露出するため、トップシートを触らずに下着に装着できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の吸収性パッドの個包装体を提供する。
【0009】
（１）着用者の前後方向に対応する長手方向を有し、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を含む吸収性パッドと、前記吸収性パッドの非肌側に配置された個包装シートと、を備える吸収性パッド個包装体であって、
前記吸収性パッドは、前側領域と、折り領域と、後側領域と、がこの順に長手方向に連接されているように区分され、
前記吸収性パッドと前記個包装シートとの間に配置され、長手方向に互いに離間する第１剥離シートと第２剥離シートと、をさらに有し、
前記第１剥離シートは、前記バックシートの前記前側領域の外側表面に剥離可能に接着され、
前記第２剥離シートは、前記バックシートの前記後側領域の外側表面に剥離可能に接着され、
前記個包装シートは、シート本体部と、前記シート本体部から前記後側領域側に延設されたシート延設部と、を有し、
前記シート本体部は、その一端が前記第１剥離シートの外側表面付近に位置し、前記折り部、及び前記第２剥離シートの各外側表面を覆い、
前記シート延設部は、折られた前記吸収性パッドの対向する前後端を覆い、前記シート延設部の他端は、前記シート本体部の一端の外側表面に位置し、
前記第１剥離シートは前記シート延設部に剥離不能に接合され、かつ、前記シート本体部には接合されておらず、
前記第２剥離シートは前記シート本体部に剥離不能に接合されている、吸収性パッド個包装体。
（２）前記シート延設部の他端には、開封識別部を設ける、上記（１）の吸収性パッド個包装体。
（３）前記開封識別部が印刷部又は凹凸部である、上記（２）の吸収性パッド個包装体。
（４）前記吸収性パッドは前記折り部に沿って２つ折りにされる、上記（１）乃至（４）のいずれかの吸収性パッドの個包装体。
（５）前記吸収性パッドの前側領域がパッド使用時の装着者の腹側又は背側の一方で、前記吸収性パッドの後側領域がパッド使用時の装着者の腹側又は背側の他方である、上記（１）乃至（４）のいずれかの吸収性パッドの個包装体。
（６）前記第１剥離シートの他端側端部と前記第２剥離シートの一端側端部とが互いに延長された１枚の連続した剥離シートであり、前記剥離シートは、前記吸収性パッドの折り畳まれた状態で対向する前後端を覆っている、上記（１）乃至（５）のいずれかの吸収性パッド包装体。
前記吸収性パッドは、前側領域と、折り領域と、後側領域と、がこの順に長手方向に連接されているように区分され、
前記吸収性パッドと前記個包装シートとの間に配置され、長手方向に互いに離間する第１剥離シートと第２剥離シートと、をさらに有し、
前記第１剥離シートは、前記バックシートの前記前側領域の外側表面に剥離可能に接着され、
前記第２剥離シートは、前記バックシートの前記後側領域の外側表面に剥離可能に接着され、
前記個包装シートは、シート本体部と、前記シート本体部から前記後側領域側に延設されたシート延設部と、を有し、
前記シート本体部は、その一端が前記第１剥離シートの外側表面付近に位置し、前記折り部、及び前記第２剥離シートの各外側表面を覆い、
前記シート延設部は、折られた前記吸収性パッドの対向する前後端を覆い、前記シート延設部の他端は、前記シート本体部の一端の外側表面に位置し、
前記第１剥離シートは前記シート延設部に剥離不能に接合され、かつ、前記シート本体部には接合されておらず、
前記第２剥離シートは前記シート本体部に剥離不能に接合されている、吸収性パッド個包装体。
（２）前記シート延設部の他端には、開封識別部を設ける、上記（１）の吸収性パッド個包装体。
（３）前記開封識別部が印刷部又は凹凸部である、上記（２）の吸収性パッド個包装体。
（４）前記吸収性パッドは前記折り部に沿って２つ折りにされる、上記（１）乃至（４）のいずれかの吸収性パッドの個包装体。
（５）前記吸収性パッドの前側領域がパッド使用時の装着者の腹側又は背側の一方で、前記吸収性パッドの後側領域がパッド使用時の装着者の腹側又は背側の他方である、上記（１）乃至（４）のいずれかの吸収性パッドの個包装体。
（６）前記第１剥離シートの他端側端部と前記第２剥離シートの一端側端部とが互いに延長された１枚の連続した剥離シートであり、前記剥離シートは、前記吸収性パッドの折り畳まれた状態で対向する前後端を覆っている、上記（１）乃至（５）のいずれかの吸収性パッド包装体。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装着時に手指が製品のトップシート表面に触れない吸収性パッド個包装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る吸収性パッド個包装体の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】吸収性パッドの一実施形態を示す模式図である。（ａ）は平面図、（ｂ）は（ａ）のｘ－ｘ切断線における断面図である。
【図3】本実施形態に係る吸収性パッド個包装体の作製方法の一例を模式的に示す図面である。作製方法は、（ａ）から（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）、（ｅ）の順で進行する。
【図4】本実施形態に係る吸収性パッド個包装体の下着への装着方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、吸収性パッド５０の着用とは、体液吸収の前後を問わず、着用者の身体に装着した状態をいう。吸収性パッド５０の、長手方向とは、吸収性パッド５０を着用したときに着用者の股間部を介して前後に亘る、図中Ｙで示す方向であり、幅方向とは長手方向に対して略直交する、図中Ｘで示す方向であり、厚さ方向とは各構成部材を積層する方向である。吸収性パッド５０及びその各構成部材の肌側表面とは着用者の肌に当接する表面又は該肌を臨む表面であり、非肌側表面とは着用者の衣類に当接する表面又は衣類を臨む表面である。体液とは、尿、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0013】
＜吸収性パッド個包装体＞
以下、図面を参照しつつ本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１について更に詳しく説明する。図１は、本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１を示す。図２は、吸収性パッド５０を示す。図３は本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１の作製方法の一例を示す。図４は本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１の装着方法を示す。各図は、吸収性パッド個装体１、吸収性パッド５０及び各構成部材の形状や、寸法の大小関係等を規定するものではない。
以下、図面を参照しつつ本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１について更に詳しく説明する。図１は、本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１を示す。図２は、吸収性パッド５０を示す。図３は本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１の作製方法の一例を示す。図４は本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１の装着方法を示す。各図は、吸収性パッド個装体１、吸収性パッド５０及び各構成部材の形状や、寸法の大小関係等を規定するものではない。
【0014】
本実施形態に係る吸収性パッド個装体１に備わる吸収性パッド５０は、ベビー用、成人用及び高齢者用の種々の吸収性物品として使用でき、その中でも、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、生理用ナプキン、おりものシート等のパッド製品として特に好適に使用できる。吸収性パッド５０の、長手方向の寸法は例えば１００ｍｍ以上４５０ｍｍ以下の範囲、又は１５０ｍｍ以上３５０ｍｍ以下の範囲であり、幅方向の寸法は例えば５０ｍｍ以上２５０ｍｍ以下の範囲、又は５０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下の範囲である。各寸法を前述の数値範囲内にすると、軽失禁用製品、生理用ナプキン、おりものシート等に適した吸収性パッド５０が得られる。
【0015】
本実施形態の吸収性物品個装体１は、図１及び図２に示すように、吸収性パッド５０と、吸収性パッド５０の最も非肌側の表面（バックシート３０の非肌側表面）に剥離可能に接着された第１、第２の剥離シート６１、６２と、第１、第２の剥離シート６１、６２の非肌側表面に貼り付けられた個包装シート７０とを備え、吸収性パッド５０の肌側表面には、吸収性物品個装体１を折り畳んで製品化するときに利用される、幅方向に延びて長手方向に配置される折返し線６３の仮想線が設定されている。折返し線６３に沿って吸収性パッド５０、及びその付属品である第１、第２の剥離シート６１、６２、個包装シート７０を折り畳み、包装袋に収納して個包装シート７０の幅方向両側を厚み方向にシールすることで、市販される。
【0016】
本実施形態によれば、開封が容易であり、装着時に手指が製品表面に触れない吸収性パッド個包装体が提供される。さらに、本実施形態に係る吸収性パッド個包装体１によれば、
第１に、吸収性パッド５０のトップシート１０が内側を向くように、剥離シート６１、６２、及び個包装シート７０とともに２つ折り又は３つ折りにされ、剥離シート６１、６２と、個包装シート７０との分離が不能であることから、最外層の個包装シート７０を剥がすと追随して少なくとも第１の剥離シート６１が剥がれることにより、手指が触れることなく、吸収性パッド５０のバックシート３０側の接着層３１が塗布された非肌側表面を露出させることができるので、着用者の下着に容易に貼り付けることができ、
第２に、吸収性パッド個包装体１から個包装シート７０が剥がれても、吸収性パッド５０の表面が内側の状態で折り畳まれており露出しないので、衛生的であり、
第３に、２つ折りに包装した場合には、吸収性パッド５０の肌側表面の横折り皺が３つ折りに包装した場合の２本から、１本に減って吸収性パッド５０の肌側表面と着用者の肌との密着性が向上するとともに、吸収性パッド個包装１の製品厚みを薄くすることができる。
第１に、吸収性パッド５０のトップシート１０が内側を向くように、剥離シート６１、６２、及び個包装シート７０とともに２つ折り又は３つ折りにされ、剥離シート６１、６２と、個包装シート７０との分離が不能であることから、最外層の個包装シート７０を剥がすと追随して少なくとも第１の剥離シート６１が剥がれることにより、手指が触れることなく、吸収性パッド５０のバックシート３０側の接着層３１が塗布された非肌側表面を露出させることができるので、着用者の下着に容易に貼り付けることができ、
第２に、吸収性パッド個包装体１から個包装シート７０が剥がれても、吸収性パッド５０の表面が内側の状態で折り畳まれており露出しないので、衛生的であり、
第３に、２つ折りに包装した場合には、吸収性パッド５０の肌側表面の横折り皺が３つ折りに包装した場合の２本から、１本に減って吸収性パッド５０の肌側表面と着用者の肌との密着性が向上するとともに、吸収性パッド個包装１の製品厚みを薄くすることができる。
【0017】
以下、本実施形態の吸収性パッド個包装体１について、第１、第２の剥離シート６１、６２、個包装シート７０、及び吸収性パッド５０の順にさらに詳しく説明する。
【0018】
＜剥離シート＞
第１、第２の剥離シート６１、６２は、図１に示すように、吸収性パッド５０のバックシート３０の非肌側表面（前側領域５１）と個包装シート７０の肌側表面（後側領域５３）との間において、吸収性パッド５０の長手方向に並べて所定の間隔を空けて配置されている。本実施形態では、吸収性パッド５０は、長手方向において前側領域５１と後側領域５３と、これらの間にある折り領域５２と、に区分される。本実施形態では、吸収性パッド５０は、長手方向に左右対称であることが好ましい。このとき、前側領域５１及び後側領域５３のいずれか一方が着用者の下腹部に主に当接し、他方が着用者の臀部に主に当接し、第１、第２の剥離シート６１、６２は、それぞれ、主に前側領域５１、後側領域５３に剥離可能に接着されている。第１、第２の剥離シート６１、６２は、吸収性パッド５０のバックシート３０の非肌側表面に設けられた下着への固定用接着層３１により、バックシート３０の非肌側表面に対して、剥離可能に接着されている。下着への固定用接着層３１については、吸収性パッド５０の項で説明する。また、第１、第２の剥離シート６１、６２は、個包装シート７０に対して剥離不能に接合されている。この接合には、例えば、前述の下着への固定用接着層３１よりも接着力の強い接着剤を用いる方法、熱融着法等が利用される。
第１、第２の剥離シート６１、６２は、図１に示すように、吸収性パッド５０のバックシート３０の非肌側表面（前側領域５１）と個包装シート７０の肌側表面（後側領域５３）との間において、吸収性パッド５０の長手方向に並べて所定の間隔を空けて配置されている。本実施形態では、吸収性パッド５０は、長手方向において前側領域５１と後側領域５３と、これらの間にある折り領域５２と、に区分される。本実施形態では、吸収性パッド５０は、長手方向に左右対称であることが好ましい。このとき、前側領域５１及び後側領域５３のいずれか一方が着用者の下腹部に主に当接し、他方が着用者の臀部に主に当接し、第１、第２の剥離シート６１、６２は、それぞれ、主に前側領域５１、後側領域５３に剥離可能に接着されている。第１、第２の剥離シート６１、６２は、吸収性パッド５０のバックシート３０の非肌側表面に設けられた下着への固定用接着層３１により、バックシート３０の非肌側表面に対して、剥離可能に接着されている。下着への固定用接着層３１については、吸収性パッド５０の項で説明する。また、第１、第２の剥離シート６１、６２は、個包装シート７０に対して剥離不能に接合されている。この接合には、例えば、前述の下着への固定用接着層３１よりも接着力の強い接着剤を用いる方法、熱融着法等が利用される。
【0019】
前述の第１、第２の剥離シート６１、６２と吸収性パッド５０（バックシート３０の非肌側表面）との接着構成、及び前述の第１、第２の剥離シート６１、６２と個包装シート７０との接着構成により、図４に示すように、個包装シート７０を剥がそうとしたとき、個包装シート７０とともに第１の剥離シート６１又は第２の剥離シート６２が剥がれ、吸収性パッド５０の下着への取り付け面であるバックシート３０の非肌側表面が露出する。このため、手指が吸収性パッドの肌側表面のトップシートに直接触れることがない。また、バックシート３０の非肌側表面全面が露出することなく、一部が露出することで、下着１００に装着し易くなり、手指の接触の危険性も大幅に低減される。
【0020】
また、第１剥離シート６１の他端側端部と第２剥離シート６２の一端側端部とが互いに延長された１枚の連続した剥離シートであり、この剥離シートは、吸収性パッド５０の折り畳まれた状態で対向する前後端を覆っていても良い。剥離シートが二分されていなくても効果は変わらず、問題ない。ただし、下着への固定用接着層３１は、本実施形態のように、長さ方向に非連続であることが好ましい。
【0021】
第１、第２の剥離シート６１、６２の平面視形状は、例えば、吸収性パッド５０の下着接着面（非肌側表面）に形成された接着層と、個包装シート７０と、の接着を防止する観点から、該接着層を覆う形状であればよい。本実施形態では、第１、第２の剥離シート６１、６２の平面視形状は同寸の方形状であるがこれに限定されず、円形、長円形、四角形の４角を丸めた角丸四角形等が挙げられる。
【0022】
第１、第２の剥離シート６１、６２の材質としては、例えば、プラスチックフィルム、不織布シート、紙等が挙げられるが、シリコン加工を施した剥離紙が好ましい。プラスチックフィルムや不織布シートなどには、例えば、高齢者が取り扱い易いように、エンボス加工や伸縮加工を施してもよい。尚、剥離シート６１、６２の粘着層８１に接する面は、シリコン加工が施されていないか、その反対面よりも弱いシリコン加工が施されていることが好ましい。これにより、剥離シート６１，６２と個包装シート７０を剥離不能に接合することができる。
【0023】
＜個包装シート＞
個包装シート７０は、第１、第２の剥離シート６１、６２に対して剥離不能に接合されている。吸収性パッド個包装体１において、個包装シート７０を剥がすことで、第１の剥離シート６１も同時に剥がれ、吸収性パッド５０のバックシート３０の非肌側表面に形成された下着取り付け用の接着層３１の一部が露出し、手指の接触なく、下着に容易に取り付けることができる。個包装シート７０は、個包装シート７０を最外層とすることから、吸収性パッド５０全体を覆うような寸法を有している。なお、本実施形態では、個包装シート７０と第１、第２の剥離シート６１、６２との間に、接着層８１を設けている。接着層８１は、下着への固定用接着層３１よりも接着面積を大きくしたり、下着への固定用接着層３１に含まれる接着剤よりも接着力の強い接着剤を用いたり、接着剤の量を多くしたりして構成することができる。
個包装シート７０は、第１、第２の剥離シート６１、６２に対して剥離不能に接合されている。吸収性パッド個包装体１において、個包装シート７０を剥がすことで、第１の剥離シート６１も同時に剥がれ、吸収性パッド５０のバックシート３０の非肌側表面に形成された下着取り付け用の接着層３１の一部が露出し、手指の接触なく、下着に容易に取り付けることができる。個包装シート７０は、個包装シート７０を最外層とすることから、吸収性パッド５０全体を覆うような寸法を有している。なお、本実施形態では、個包装シート７０と第１、第２の剥離シート６１、６２との間に、接着層８１を設けている。接着層８１は、下着への固定用接着層３１よりも接着面積を大きくしたり、下着への固定用接着層３１に含まれる接着剤よりも接着力の強い接着剤を用いたり、接着剤の量を多くしたりして構成することができる。
【0024】
また、個包装シート７０は、第１、第２の剥離シート６１、６２を覆うシート本体部７１と、シート本体部７１から長手方向に後側領域５３側に延設されたシート延設部７２と、を有している。より詳しくは、シート本体部７１は、その一端が第１剥離シート６１の外側表面（非肌側表面）付近に位置し、折り部６３、及び第２剥離シート６２の外側表面を覆っている。また、シート延設部７２の一端は、折られた吸収性パッド５０の対向する前後端を覆い、シート延設部７２の他端は、シート本体部７１の一端の外側表面（非肌側表面）に位置する。このように構成することで、量産工程において、個包装シート７０と吸収性パッド５０のバックシート３０の非肌側表面に設けられた接着層３１との接触が確実に防止される。
【0025】
シート延設部７２の一端には、印刷部、凹凸部等の開封識別部（不図示）を設けることができる。印刷部は、例えば、インクジェット方式により印刷できる。凹凸部は、例えば、エンボス加工等により形成できる。開封識別部を設けることで、製品の開封から、個包装シート７０の一部と、第１の剥離シート６１を一体的にはがす工程と、吸収性パッド５０の露出した接着層３１と下着の肌側表面とを接着しつつ、個包装シート７０と第１、第２の剥離シート６１、６２との接合体を取り除く工程と、取り除かれた前述の接合体を用いて使用済みの吸収性パッド５０を包む工程と、を使用前の吸収性パッド５０の肌側表面に手指を触れることなく、連続的に円滑にかつ容易に実施することができる。
【0026】
個包装シート７０は、樹脂フィルム、紙、不織布又はこれらの２種以上の積層体である。個包装シート７０の坪量は、強度及び加工性の観点から、樹脂フィルム又は不織布である場合は、例えば１０ｇ／ｍ２以上５０ｇ／ｍ２以下の範囲であり、紙である場合は例えば３０ｇ／ｍ２以上７０ｇ／ｍ２以下の範囲である。
なお、個包装シート７０のシート延設部７２の他端には、開封用にタブテープ（不図示）を付けてもよいし付けなくてもよいが、タブテープを付けないことが好ましい。その場合、ホットメルト接着剤の使用も必要最小限におさえることができるので、省資源化でき、また、特許文献１記載のようにタブテープのつまみにくさ、剥がれやすさという問題を回避することができる。
なお、個包装シート７０のシート延設部７２の他端には、開封用にタブテープ（不図示）を付けてもよいし付けなくてもよいが、タブテープを付けないことが好ましい。その場合、ホットメルト接着剤の使用も必要最小限におさえることができるので、省資源化でき、また、特許文献１記載のようにタブテープのつまみにくさ、剥がれやすさという問題を回避することができる。
【0027】
本実施形態では、吸収性パッド５０は、図２（ａ）に示すように、前側領域５１、折り領域５２、及び後側領域５３に区分され、この順に長手方向に連接されている。ここで、前側領域５１には第１の剥離シート６１が剥離可能に接着され、後側領域５３には第２の剥離シート６２が剥離可能に接着されている。折り領域５２には、折返し線６３が幅方向に延びる線が設けられ、本実施形態の折返し線６３により、吸収性パッド５０は、個包装シート７０と共に２つ折りにされる。このとき、第１、第２の剥離シート６１、６２は、それぞれ、前側領域５１及び後側領域５３に存在することから、２つ折りの折り目は生じ難い。折返し線６３を２本設けたときには、吸収性パッド５０は、個包装シート７０とともに３つ折りにされる。 また、後述するように、バックシート３０の非肌側表面に下着への固定用接着層３１が配置されている。
【0028】
本実施形態の吸収性パッド５０は、図２に示すように、トップシート１０、吸収体２０、及びバックシート３０を基本構成単位とし、例えば、前述のような立体ギャザー４０やサイドシート（不図示）の配設、トップシート１０と吸収体２０との間へのセカンドシートやトランスファシート（不図示）の配置、キャリアシート（不図示）による吸収体２０の被覆等の、公知の様々な改変を施すことができる。以下、本実施形態の吸収性パッド５０の構成部材について、トップシート１０、吸収体２０、バックシート３０、及び立体ギャザー４０の順で更に詳しく説明する。
【0029】
＜トップシート＞
トップシート１０は、吸収体２０に向けて体液を速やかに通過させて吸収体２０の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート１０は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも各不織布が好ましい。
トップシート１０は、吸収体２０に向けて体液を速やかに通過させて吸収体２０の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート１０は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも各不織布が好ましい。
【0030】
トップシート１０には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート１０は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、ｐＨ調整剤、抗菌剤、保湿剤等の１種又は２種以上を含有してもよい。トップシート１０の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、１５ｇ／ｍ２以上４０ｇ／ｍ２以下の範囲、又は１９ｇ／ｍ２以上３５ｇ／ｍ２以下の範囲である。トップシート１０の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体２０に誘導するために必要とされる、吸収体２０の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0031】
＜吸収体＞
吸収体２０は、長手方向に左右対称に構成されていてもよい。吸収体２０の長手方向の寸法（最大長さ）は、例えば、１００ｍｍ以上４５０ｍｍ以下の範囲、１５０ｍｍ以上３５０ｍｍ以下の範囲、又は２００ｍｍ以上３００ｍｍ以下の範囲である。吸収体２０の幅方向の寸法（最大幅）は、例えば、５０ｍｍ以上２５０ｍｍ以下の範囲、６０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下の範囲、又は７０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下の範囲である。吸収体２０の平面視形状としては、例えば、砂時計型、Ｉの字状、長方形、４角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。
吸収体２０としては、例えば、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含むフラッフ吸収体が挙げられる。
吸収体２０は、長手方向に左右対称に構成されていてもよい。吸収体２０の長手方向の寸法（最大長さ）は、例えば、１００ｍｍ以上４５０ｍｍ以下の範囲、１５０ｍｍ以上３５０ｍｍ以下の範囲、又は２００ｍｍ以上３００ｍｍ以下の範囲である。吸収体２０の幅方向の寸法（最大幅）は、例えば、５０ｍｍ以上２５０ｍｍ以下の範囲、６０ｍｍ以上１８０ｍｍ以下の範囲、又は７０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下の範囲である。吸収体２０の平面視形状としては、例えば、砂時計型、Ｉの字状、長方形、４角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。
吸収体２０としては、例えば、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを含むフラッフ吸収体が挙げられる。
【0032】
（吸収性繊維）
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ（例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ（Ｎ－ＢＫＰ））、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体２０に、基材としての吸収性繊維にフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、肌触りや体液吸収量等の観点から、例えば、５０ｇ／ｍ２以上８００ｇ／ｍ２以下の範囲、１００ｇ／ｍ２以上６１５ｇ／ｍ２以下の範囲である。
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ（例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ（Ｎ－ＢＫＰ））、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体２０に、基材としての吸収性繊維にフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、肌触りや体液吸収量等の観点から、例えば、５０ｇ／ｍ２以上８００ｇ／ｍ２以下の範囲、１００ｇ／ｍ２以上６１５ｇ／ｍ２以下の範囲である。
【0033】
（高吸収性ポリマー）
高吸収性ポリマー（以下「ＳＡＰ」ともいう）としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、（デンプン－アクリル酸）グラフト共重合体、（アクリル酸－ビニルアルコール）共重合体、（イソブチレン－無水マレイン酸）共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、１種を単独で又は２種以上を組み合わせて使用できる。
高吸収性ポリマー（以下「ＳＡＰ」ともいう）としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、（デンプン－アクリル酸）グラフト共重合体、（アクリル酸－ビニルアルコール）共重合体、（イソブチレン－無水マレイン酸）共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、１種を単独で又は２種以上を組み合わせて使用できる。
【0034】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体２０が体液を吸収した後に硬化することにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマー１２の中位粒子径は、例えば、５０μｍ以上６００μｍ以下の範囲又は１００μｍ以上５００μｍ以下の範囲である。吸収体２０における高吸収性ポリマーの含有量は、吸収体２０全量の４０重量％以上の範囲、又は４０重量％以上７０重量％以下の範囲である。
【0035】
吸収体２０において、吸収性繊維及びＳＡＰの形態は、吸収性繊維中にＳＡＰ粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にＳＡＰ粒子を固着したＳＡＰシートでもよい。前述のフラッフ吸収体以外にも、吸収体２０として、複数の親水性シートとこれらの間に固着担持された高吸収性ポリマーとを含む吸収性シートを使用することもできる。ＳＡＰ粒子の吸収体２０からの漏洩防止や吸収体２０の形状の安定化の観点から、吸収体２０の下又は吸収体２０を全体に包むように、キャリアシートを設けてもよい（不図示）。キャリアシートの基材としては親水性を有するものであればよく、ティシュー、吸収紙、エアレイド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一でも異なっていてもよい。
【0036】
＜バックシート＞
バックシート３０は、吸収性シート２０が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布／スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
バックシート３０は、吸収性シート２０が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布／スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0037】
バックシート３０の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば１５ｇ／ｍ２以上６０ｇ／ｍ２以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート３０には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート３０に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート３０にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0038】
バックシート３０は、非肌側表面に下着への固定用の接着層３１（以下単に「接着層３１」ともいう）を有している。接着層３１は、本実施形態において、例えば、第１、第２の剥離シート６１、６２を剥離可能に接着させ、最終的には吸収性パッド５０を下着に取り付けるために用いられる。接着層３１は、樹脂フィルム、紙、不織布等に対して接着性を示す接着剤を含んでいる。接着層３１に含まれる接着剤としては特に限定されず、公知の接着剤を使用できるが、例えば、ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤としては、融点が１００℃以上１８０℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン－ブタジエン－スチレン系共重合体、スチレン－イソプレン－スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン－酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。接着層８１も、接着層３１と同じ構成を有する。
【0039】
＜立体ギャザー＞
立体ギャザー４０は、例えば、吸収性パッド５０の着用者が排泄した体液の横漏れ等を防止するために、トップシート１０の肌側表面の幅方向両端部において、吸収性パッド５０の長手方向に沿って延びるように設けてもよい。立体ギャザー４０は、弾性伸縮部材４０ａと、撥水性及び／又は防水性のシート部材４０ｂと、を含む。
立体ギャザー４０は、例えば、吸収性パッド５０の着用者が排泄した体液の横漏れ等を防止するために、トップシート１０の肌側表面の幅方向両端部において、吸収性パッド５０の長手方向に沿って延びるように設けてもよい。立体ギャザー４０は、弾性伸縮部材４０ａと、撥水性及び／又は防水性のシート部材４０ｂと、を含む。
【0040】
弾性伸縮部材４０ａは、シート部材４０ｂの自由端（他端）付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材４０ｂの自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする。シート部材４０ｂは、本実施形態では幅方向一端（固定端）がバックシート３０の肌側表面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート１０の肌側表面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が起立性を有する自由端である。シート部材４０ｂの固定端（幅方向一端）の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート３０の非肌側表面、内部に吸収体２０を収納したトップシート１０とバックシート３０との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側表面又は非肌側表面の幅方向両端付近、トップシート１０の肌側表面の幅方向両端付近等が挙げられる。
【0041】
シート部材４０ｂは撥水性及び／又は防水性を有するシートであり、例えば不織布から構成される。第１シート部材用不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び／又は防水性（液不透過性）の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布／スパンボンド不織布積層体である複合不織布（ＳＭＳ不織布）等が挙げられる。シート部材４０ｂの坪量は、例えば、１３ｇ／ｍ２以上２０ｇ／ｍ２以下の範囲である。弾性伸縮部材４０ａとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0042】
＜サイドシート＞
トップシート１０の肌側表面の長手方向両端部には、吸収性パッド５０の幅方向に延びるように一対のサイドシート（不図示）を設けてもよい。サイドシートの材質としては、バックシート３０に用いられるのと同様の、液不透過性の不織布や樹脂フィルムを特に限定なく使用できる。サイドシートは、例えば、トップシート１０の長手方向両端部を、その形状に沿って覆うように設けられ、一方及び他方の長手方向の寸法は例えば１０ｍｍ以上３０ｍｍ以下の範囲である。
トップシート１０の肌側表面の長手方向両端部には、吸収性パッド５０の幅方向に延びるように一対のサイドシート（不図示）を設けてもよい。サイドシートの材質としては、バックシート３０に用いられるのと同様の、液不透過性の不織布や樹脂フィルムを特に限定なく使用できる。サイドシートは、例えば、トップシート１０の長手方向両端部を、その形状に沿って覆うように設けられ、一方及び他方の長手方向の寸法は例えば１０ｍｍ以上３０ｍｍ以下の範囲である。
【0043】
＜吸収性パッド個包装体＞
本実施形態の吸収性パッド個包装体１は、例えば、図３に示す作製方法により作製できる。該作製方法は、ステップ（ａ）乃至ステップ（ｅ）を含むものである。ステップ（ａ）では吸収性パッド５０及び第１、第２の剥離シート６１、６２を用意し、吸収性パッド５０（バックシート３０）の非肌側面に設けられた接着層３１と、第１、第２の剥離シート６１、６２とを接着し、ステップ（ｂ）に示す接着体を得る。この接着体のＹ－Ｙ断面をステップ（ｃ）に示す。この接着体は、吸収性パッド５０の非肌側表面における前側領域及び後側領域のいずれか一方に第１の剥離シート６１が接着し、他方に第２の剥離シート６２が剥離可能に接着している。ステップ（ｄ）では、第１の剥離シート６１の第２の剥離シート６２側の端部から第２の剥離シート６２を覆うように個包装シート（不図示）が配置され、接着層８１により個包装シート７０と第２の剥離シート６２とが剥離不能に接合される。個包装シート７０は、第２の剥離シート６２の第１剥離シート６１とは反対側に図示しない残余の長さ部分（シート延設部７２）を有している。ステップ（ｄ）では、吸収性パッド５０を内側にして折り重ねたのち、個包装シート７０の残余の長さ部分をその上に折り曲げて第２の剥離シート６２と剥離不能に接合する。こうして、ステップ（ｅ）に示す本実施形態の吸収性パッド５０の個包装体１が得られる。剥離不能に接合する場合は、本実施形態では、接着剤の量を多くしているが、前述のように、接着剤の種類の選択、熱融着等によって剥離不能に接合を実現してもよい。尚、吸収性パッドの前側領域５１はパッド使用時の装着者の腹側に相当し、吸収性パッドの後側領域５３がパッド使用時の装着者の背側に相当するが、その逆であってもよい。いずれにおいても、装着時に手指が製品のトップシート１０の表面に触れない吸収性パッド個包装体１を提供することができる。
本実施形態の吸収性パッド個包装体１は、例えば、図３に示す作製方法により作製できる。該作製方法は、ステップ（ａ）乃至ステップ（ｅ）を含むものである。ステップ（ａ）では吸収性パッド５０及び第１、第２の剥離シート６１、６２を用意し、吸収性パッド５０（バックシート３０）の非肌側面に設けられた接着層３１と、第１、第２の剥離シート６１、６２とを接着し、ステップ（ｂ）に示す接着体を得る。この接着体のＹ－Ｙ断面をステップ（ｃ）に示す。この接着体は、吸収性パッド５０の非肌側表面における前側領域及び後側領域のいずれか一方に第１の剥離シート６１が接着し、他方に第２の剥離シート６２が剥離可能に接着している。ステップ（ｄ）では、第１の剥離シート６１の第２の剥離シート６２側の端部から第２の剥離シート６２を覆うように個包装シート（不図示）が配置され、接着層８１により個包装シート７０と第２の剥離シート６２とが剥離不能に接合される。個包装シート７０は、第２の剥離シート６２の第１剥離シート６１とは反対側に図示しない残余の長さ部分（シート延設部７２）を有している。ステップ（ｄ）では、吸収性パッド５０を内側にして折り重ねたのち、個包装シート７０の残余の長さ部分をその上に折り曲げて第２の剥離シート６２と剥離不能に接合する。こうして、ステップ（ｅ）に示す本実施形態の吸収性パッド５０の個包装体１が得られる。剥離不能に接合する場合は、本実施形態では、接着剤の量を多くしているが、前述のように、接着剤の種類の選択、熱融着等によって剥離不能に接合を実現してもよい。尚、吸収性パッドの前側領域５１はパッド使用時の装着者の腹側に相当し、吸収性パッドの後側領域５３がパッド使用時の装着者の背側に相当するが、その逆であってもよい。いずれにおいても、装着時に手指が製品のトップシート１０の表面に触れない吸収性パッド個包装体１を提供することができる。
【0044】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0045】
１ 吸収性パッド個包装体
１０ トップシート
２０ 吸収体
３０ バックシート
３１ 下着への固定用接着層
４０ 立体ギャザー
４０ａ 弾性伸縮部材
４０ｂ シート部材
５０ 吸収性物品
５１ 前側領域
５２ 折り領域
５３ 後側領域
６１ 第１の剥離シート
６２ 第２の剥離シート
６３ 折返し線
７０ 個包装シート
７１ シート本体部
７２ シート延設部
８１ 接着層
１００ 下着
１０ トップシート
２０ 吸収体
３０ バックシート
３１ 下着への固定用接着層
４０ 立体ギャザー
４０ａ 弾性伸縮部材
４０ｂ シート部材
５０ 吸収性物品
５１ 前側領域
５２ 折り領域
５３ 後側領域
６１ 第１の剥離シート
６２ 第２の剥離シート
６３ 折返し線
７０ 個包装シート
７１ シート本体部
７２ シート延設部
８１ 接着層
１００ 下着
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
