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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129904
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】倉庫管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034243
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 映登
(72)【発明者】
【氏名】大西 誠人
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB01
3F522BB28
3F522BB37
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD23
3F522DD34
3F522EE15
3F522FF04
3F522FF12
3F522GG04
3F522GG05
3F522GG48
3F522HH30
3F522LL36
(57)【要約】
【課題】搬送物の管理を効率良く行うことができる倉庫管理システムを提供する。
【解決手段】倉庫管理システム1において、自動運転フォークリフト10は、ライダセンサ16により取得した自己位置情報と、RFIDリーダ15により搬送する搬送物4に付加されているRFIDタグ7から取得した物品情報(搬送物情報)と、を管理装置3に送信する。管理装置3は、自動運転フォークリフト10から受信した自己位置情報と物品情報とに基づき、管理領域内で搬送物4の位置を管理する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、
自律移動可能な搬送装置と、
前記搬送装置が搬送する搬送物に付加され、前記搬送物に関する搬送物情報が関連付けられるRFIDタグと、
RFIDリーダと、
を備え、
前記搬送装置は、自己位置検出装置を有し、
前記管理装置は、
前記搬送装置の自己位置情報を、前記自己位置検出装置を介して取得するとともに、前記搬送物に付加されている前記RFIDタグの前記搬送物情報を、前記RFIDリーダを介して取得し、
前記自己位置情報と前記搬送物情報とに基づき、管理領域内で前記搬送物の位置を管理する、
倉庫管理システム。
【請求項2】
前記RFIDリーダは、前記搬送装置に設けられ、
前記搬送装置は、前記自己位置検出装置により取得した前記自己位置情報と、前記RFIDリーダにより、搬送する前記搬送物に付加されている前記RFIDタグから取得した前記搬送物情報と、を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記搬送装置から受信した前記自己位置情報と前記搬送物情報とに基づき、管理領域内で前記搬送物の位置を管理する、
請求項1に記載の倉庫管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記搬送物情報に基づき、前記管理領域内で前記搬送物を載置すべき場所を決定して、前記搬送装置に前記搬送物の載置場所を指示する、
請求項1または2に記載の倉庫管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記搬送装置から受信した前記自己位置情報に基づき、前記搬送装置により搬送された前記搬送物が前記管理領域内のどの位置に載置されているかを管理する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の倉庫管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記管理領域からの出庫対象の搬送物を決定し、前記出庫対象の搬送物が前記管理領域内で載置されている場所を判定して、前記搬送装置に前記出庫対象の搬送物の前記搬送物情報と載置場所とを指示し、
前記搬送装置は、前記指示に応じて、前記載置場所にて前記出庫対象の搬送物をピックアップして出庫を行う、
請求項1~4のいずれか一項に記載の倉庫管理システム。
【請求項6】
前記搬送装置は、自機の周囲に存在する障害物の情報を含む周辺情報を検出する周辺情報検出装置を有し、
前記搬送装置は、前記周辺情報検出装置により取得した前記周辺情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記搬送装置から受信した前記周辺情報に基づき、前記管理領域のマップを作成し、前記搬送装置に提供する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の倉庫管理システム。
【請求項7】
前記搬送装置は、前記管理領域内に複数台が配置され、
前記管理装置は、複数の前記搬送装置から受信した前記周辺情報を統合して前記マップを作成する、
請求項6に記載の倉庫管理システム。
【請求項8】
前記自己位置検出装置と前記周辺情報検出装置は、ライダセンサである、
請求項6または7に記載の倉庫管理システム。
【請求項9】
前記搬送装置は自律走行型のフォークリフトである、
請求項1~8のいずれか一項に記載の倉庫管理システム。
【請求項10】
前記搬送物は、
前記フォークリフトにより搬送可能なパレット状部材と、
前記パレット状部材に載置される物品と、を含み、
前記搬送物情報は、前記物品に関する物品情報を含み、
前記RFIDタグは、前記パレット状部材に付加される、
請求項9に記載の倉庫管理システム。
【請求項11】
前記管理領域では、前記搬送物は棚を用いずに複数個を直接積層して保管されている、
請求項1~10のいずれか一項に記載の倉庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、倉庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットショッピングの普及などによって物流規模が増大傾向にある。このため、物品を保管する物流倉庫の大規模化も進んでいる。
【0003】
このような大規模な物流倉庫における荷役作業の負荷軽減のため、例えば自律走行式のフォークリフトなどの搬送装置を用いて、倉庫内のラックへの物品の入庫やラックからの出庫を自動的に行う倉庫管理システムが提案されている(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/001906号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の倉庫管理システムでは、入庫時に物品の最適な載置場所を決定することや、出庫時に最適な出庫対象の物品を決定することなどに手間がかかるなど、物品管理の効率性の点で改善の余地がある。
【0006】
本開示は、搬送物の管理を効率良く行うことができる倉庫管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一観点に係る倉庫管理システムは、管理装置と、自律移動可能な搬送装置と、前記搬送装置が搬送する搬送物に付加され、前記搬送物に関する搬送物情報が関連付けられるRFIDタグと、RFIDリーダと、を備え、前記搬送装置は、自己位置検出装置を有し、前記管理装置は、前記搬送装置の自己位置情報を、前記自己位置検出装置を介して取得するとともに、前記搬送物に付加されている前記RFIDタグの前記搬送物情報を、前記RFIDリーダを介して取得し、前記自己位置情報と前記搬送物情報とに基づき、管理領域内で前記搬送物の位置を管理する。
【0008】
この態様によれば、倉庫内に保管されるすべての搬送物の載置場所の情報は、搬送装置が搬送物を所定の位置に載置したときに、この搬送装置の自己位置情報を利用して管理装置が把握することができる。このように搬送物の位置の管理を行うと、例えば棚卸し作業のように倉庫内の搬送物のRFIDタグの読み取りを定期的に行う必要がなく、搬送装置が搬送物を倉庫内に入庫したときの搬送装置と管理装置との情報のやりとりだけで、管理領域内で搬送物の位置を精度良くリアルタイムで管理することが可能となる。この結果、搬送物の管理を効率良く行うことができる。
【0009】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記RFIDリーダは、前記搬送装置に設けられ、前記搬送装置は、前記自己位置検出装置により取得した前記自己位置情報と、前記RFIDリーダにより、搬送する前記搬送物に付加されている前記RFIDタグから取得した前記搬送物情報と、を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記搬送装置から受信した前記自己位置情報と前記搬送物情報とに基づき、管理領域内で前記搬送物の位置を管理する。
【0010】
この態様によれば、搬送装置が搬送物を把持したり、搬送物に接近するだけで、搬送物の搬送物情報を非接触で容易に取得できる。また、管理装置は、搬送装置が取得した搬送物情報を用いて、自動的に管理領域内の搬送物の位置の管理を行うことができる。この結果、搬送物の管理を効率良く行うことができる。
【0011】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記管理装置は、前記搬送物情報に基づき、前記管理領域内で前記搬送物を載置すべき場所を決定して、前記搬送装置に前記搬送物の載置場所を指示する構成でもよい。
【0012】
この態様によれば、搬送物の搬送物情報に応じて適切な載置場所を自動的に決定することができるので、入庫作業を迅速に行うことができる。
【0013】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記管理装置は、前記搬送装置から受信した前記自己位置情報に基づき、前記搬送装置により搬送された前記搬送物が前記管理領域内のどの位置に載置されているかを管理する構成でもよい。
【0014】
搬送装置が搬送物を所定の載置場所に載置するときは、搬送装置が搬送物を把持している状態であり、搬送装置と搬送物との相対的な位置関係は概ね一定となる。このため、この態様により、搬送装置の自己位置情報の精度が高ければ、搬送物の載置場所の情報の導出精度も高くでき、この結果、管理領域内の搬送物の管理をより精度良く行うことができる。
【0015】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記管理装置は、前記管理領域からの出庫対象の搬送物を決定し、前記出庫対象の搬送物が前記管理領域内で載置されている場所を判定して、前記搬送装置に前記出庫対象の搬送物の前記搬送物情報と載置場所とを指示し、前記搬送装置は、前記指示に応じて、前記載置場所にて前記出庫対象の搬送物をピックアップして出庫を行う構成でもよい。
【0016】
この態様によれば、出庫対象の搬送物の搬送物情報に応じて、出庫対象として適切な搬送物を自動的に決定することができるので、出庫作業を迅速に行うことができる。
【0017】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記搬送装置は、自機の周囲に存在する障害物の情報を含む周辺情報を検出する周辺情報検出装置を有し、前記搬送装置は、前記周辺情報検出装置により取得した前記周辺情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記搬送装置から受信した前記周辺情報に基づき、前記管理領域のマップを作成し、前記搬送装置に提供する構成でもよい。
【0018】
この態様によれば、管理装置は管理領域を自律走行する搬送装置が取得した周辺情報を利用して、管理領域のマップを作成できるので、搬送装置から常時周辺情報を収集することで、常に最新の管理領域の状態を把握することができ、管理領域のマップを精度良く作成できる。
【0019】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記搬送装置は、前記管理領域内に複数台が配置され、前記管理装置は、複数の前記搬送装置から受信した前記周辺情報を統合して前記マップを作成する構成でもよい。
【0020】
この態様によれば、管理装置は管理領域を自律走行する複数の搬送装置から多数の周辺情報を同時に獲得できるので、これらの多数の周辺情報を利用して管理領域のマップを迅速かつ高精度に作成できる。また、複数の搬送装置のそれぞれには、自分が取得した周辺情報以外のエリア、すなわち自機が未走行の管理領域のエリアの情報も含めた倉庫マップを迅速に提供可能となる。これにより、各搬送装置がより迅速に管理領域の全体の状況を把握することが可能となり、倉庫内の荷役作業をより早いタイミングで高精度に実施可能となる。
【0021】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記自己位置検出装置と前記周辺情報検出装置は、ライダセンサである構成でもよい。
【0022】
この態様によれば、ライダセンサが、自己位置検出装置と周辺情報検出装置の両方の機能を纏めて有することにより、各搬送装置に搭載するセンサ数を削減でき、軽量化や小型化を図ることができる。
【0023】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記搬送装置は自律走行型のフォークリフトである構成でもよい。
【0024】
この態様によれば、管理領域内の保管・入庫・出庫作業は、自律走行型のフォークリフト10により自動化されるので、倉庫内の荷役施業を省力化できる。
【0025】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムでは、前記搬送物は、前記フォークリフトにより搬送可能なパレット状部材と、前記パレット状部材に載置される物品と、を含み、前記搬送物情報は、前記物品に関する物品情報を含み、前記RFIDタグは、前記パレット状部材に付加される構成でもよい。
【0026】
この態様によれば、物品群のすべてにRFIDタグを貼付する工程を省略でき、物品群の情報をパレットのRFIDタグに纏めて記録できるので、物品に関する情報をより簡易に管理装置が収集でき、物品の管理を容易にできる。また、パレットに載置される物品群の荷姿は状況に応じて変動し得るが、物品群が載置されるパレットの形状は物品の載置状況によらず不変なので、RFIDタグの貼付位置も一定にできる。これにより、RFIDタグに情報を書き込む際にタグの貼付位置を探索する作業が不要となり、RFIDタグへの情報の書き込み作業の手間を軽減できる。
【0027】
本発明の実施形態の他の観点に係る倉庫管理システムにおいて、前記管理領域では、前記搬送物は棚を用いずに複数個を直接積層して保管されている構成でもよい。
【0028】
この態様によれば、従来の棚を用いる構成と比較して、棚のスペース分を省略できるので、倉庫内の空間をより効率良く利用して、搬送物の保管数を増やすことが可能となり、保管効率を向上できる。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、搬送物の管理を効率良く行うことができる倉庫管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態に係る倉庫管理システムの全体構成を示す図
図2】自動運転フォークリフトと搬送物の概略構成図
図3】倉庫管理システムの機能ブロック図
図4図3中の計画部の機能を細分化した機能ブロック図
図5】マップ作成制御のフローチャート
図6】マップ更新制御のフローチャート
図7】マップ作成、更新制御を説明するための倉庫内を平面視した模式図
図8図7の各図に示す状態に対応する倉庫マップの模式図
図9】パレット入庫制御のフローチャート
図10図9のステップS303の載置場所の決定手法の第1の例を示す模式図
図11図9のステップS303の載置場所の決定手法の第2の例を示す模式図
図12図9のステップS303の載置場所の決定手法の第3の例を示す模式図
図13】パレット入庫制御の変形例を示す模式図
図14】パレット出庫制御のフローチャート
図15】自動運転フォークリフトの適用により倉庫の保管効率が向上することを説明する模式図
図16】自動運転フォークリフトの適用により荷役作業を省力化でき、作業時間を短縮できることを説明する模式図
図17】製品のトレサビリティ向上を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0032】
<倉庫管理システム>
図1図4を参照して実施形態に係る倉庫管理システム1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る倉庫管理システム1の全体構成を示す図である。図2は、自動運転フォークリフト10と搬送物4の概略構成図である。
【0033】
図1に示すように、倉庫管理システム1は、搬送物4が保管される倉庫2の内部に設けられる管理領域において、自動運転フォークリフト10を利用して搬送物4の荷役作業を自動的に行うためのシステムである。
【0034】
なお、本実施形態における倉庫2とは、物品6を保管するための施設であり、建物のほか、工作を施した土地・水面が含まれる。
【0035】
図1の例では、倉庫2の内部空間のすべてが管理領域として設定され、自動運転フォークリフト10がこの管理領域内を自律的に移動して、搬送物4の荷役作業を行う。倉庫2内の管理領域では、搬送物4が載置される複数の載置スペース21が設けられる。載置スペース21は、例えば図1に示すように略矩形状であり、矩形状の各辺に沿って複数の搬送物4を直列に隣接して載置できる程度の面積で設定される。また、複数の載置スペース21の間には通路22が設けられる。通路22の幅は、例えば自動運転フォークリフト10が通行可能なように、自動運転フォークリフト10の幅より大きく設定される。
【0036】
また、倉庫2の外部には搬送物の積降積込エリア50が設けられる。図1の例では、積降積込エリア50は、管理領域外であり、作業員が手動運転で操作する手動運転フォークリフト53によって、トラックなどの搬送車両54(図16参照)との間で搬送物4の積降作業や積込作業が行われる。
【0037】
積降積込エリア50は、倉庫2の入庫口23及び出庫口25によって倉庫2の内部とつながっており、入庫口23及び出庫口25を介して搬送物4を倉庫2との間で搬送可能となっている。また、図1に示すように、積降積込エリア50のうち入庫口23の付近にはトラックなどの搬送車両54から積み下ろした搬送物4を一時的に載置する入庫用載置スペース51を設けてもよい。同様に、積降積込エリア50のうち出庫口25の付近には搬送車両54に積み込む搬送物4を一時的に載置する出庫用載置スペース52を設けてもよい。
【0038】
本実施形態では、倉庫2の外部の積降積込エリア50のうち、入庫用載置スペース51及び出庫用載置スペース52において自動運転フォークリフト10が搬送物4の荷役を実施できる範囲も、倉庫管理システム1の管理領域に含まれる(図16参照)。これにより、自動運転フォークリフト10は、管理装置3からの指令に応じて、入庫用載置スペース51の搬送物4を倉庫2内に入庫する作業や、倉庫2内の搬送物4を出庫用載置スペース52に出庫する作業を行うことができる。
【0039】
なお、倉庫管理システム1の管理領域の範囲は、図1の例に限られず、例えば倉庫2の内部空間の一部のみでもよいし、倉庫2の外部の積降積込エリア50の入庫用載置スペース51及び出庫用載置スペース52以外の部分を含んでもよいし、積降積込エリア50のさらに外側の領域を含むように設定してもよい。
【0040】
倉庫2の入庫口23には、入庫ゲート24が設けられる。入庫ゲート24には、RFIDリーダが設けられ、入庫口23を通過するRFIDタグ7の情報を読み取り、管理装置3に送信する。同様に、倉庫2の出庫口25には、出庫ゲート26が設けられる。出庫ゲート26には、RFIDリーダが設けられ、出庫口25を通過するRFIDタグ7の情報を読み取り、管理装置3に送信する。
【0041】
本実施形態では、搬送物4は、図2に示すように、パレット5(パレット状部材)と、パレット5に載置される物品群6とを含むものである。
【0042】
倉庫管理システム1は、管理装置3と、自動運転フォークリフト10と、RFIDタグ7と、RFIDリーダ15と、を備える。
【0043】
管理装置3は、倉庫管理システム1が取り扱う搬送物4の管理を行う。また、管理装置3は、倉庫管理システム1の各要素の動作を制御する。
【0044】
自動運転フォークリフト10は、自律走行可能なフォークリフトである。自動運転フォークリフト10は、管理装置3からの指令に応じて、搬送物4の倉庫内への入庫や、倉庫内の搬送物の出庫などの荷役作業を行う。
【0045】
図2に示すように、自動運転フォークリフト10は、本体11と、フォーク12と、昇降機構13と、駆動輪14とを有する。フォーク12は、本体11の前方に突出して配置される一対の長尺状の部材であり、それぞれの上面が略同一平面上となるよう配置される。昇降機構13は、本体11の前面に設置され、フォーク12を上下方向に移動させる。駆動輪14は、本体11の下面に設置される移動装置である。
【0046】
自動運転フォークリフト10は、図2に示すように、フォーク12をパレット5の側面の開口部に挿入した状態で、昇降機構13によりフォーク12を上昇させることで、フォーク12の上面によってパレット5を上方に持ち上げることができる。そして、パレット5を持ち上げた状態で、駆動輪14によって前後方向および左右方向に移動することによって、パレット5を搬送することができる。また、自動運転フォークリフト10は、これらの動作を作業員の操作無しで、管理装置3からの指令に応じて、または、自機のセンサ情報に基づいて、自律的に行うことができる。
【0047】
RFIDタグ7は、図2に示すように、パレット5に付加されており、このパレット5に載置されている物品群6に関する「物品情報」が記録される。物品情報とは、物品の識別情報、種類、製造年月日、パレット5への積載数や荷姿(積層高さや面積、パレット5上の載置位置、パレット5のサイズなど)に関する情報を含む。なお、RFIDタグ7にこれらの物品情報のすべてを記録する構成ではなく、識別情報などのトリガとなり得る情報のみを記録し、外部のデータベースなど記録されている物品情報と関連付けられており、RFIDタグ7の識別情報に基づき必要な情報を取得する構成でもよい。
【0048】
RFIDリーダ15は、図2に示すように、自動運転フォークリフト10の本体11に搭載されている。RFIDリーダ15は、例えば図2に示すように電波15AをRFIDタグ7に送信して、この電波15Aに応じてRFIDタグ7から出力される上記の物品情報を読み取ることができる。
【0049】
RFIDリーダ15は、搭載されている自動運転フォークリフト10の周囲にあるRFIDタグ7から情報を読み取り可能なように受信範囲が設定される。これにより、例えば図2に示すように、自動運転フォークリフト10のフォーク12により把持されているパレット5に付加されているRFIDタグ7から上記の物品情報を非接触で読み取ることができる。また、自動運転フォークリフト10の周囲にあり、自機のフォーク12により把持されていないパレット5のRFIDタグ7からも情報を非接触で読み取ることができる。
【0050】
なお、上述のRFIDリーダ15によるRFIDタグ7の読み取りを確実に実現するためには、RFIDタグ7とRFIDリーダ15との間の通信には比較的通信距離が長いUHF帯を用いるのが好ましい。また、RFIDタグ7は、RFIDリーダ15から放射された電波15Aにより駆動するパッシブタグでもよいし、内部電源により駆動して通信するアクティブタグでもよい。
【0051】
また、自動運転フォークリフト10は、RFIDリーダ15の他にも、図2に示すように、本体11にライダ(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging:LIDER)センサ16と、カメラ17と、コントローラ18とを備える。
【0052】
ライダセンサ16は、周囲にレーザ光16Aなどの光を照射して、受信する反射波に基づき周囲の障害物との距離を計測するセンサである。ライダセンサ16は、搭載される自動運転フォークリフト10の周囲の搬送物4の有無や、倉庫2の壁や柱の有無などに関する「周辺情報」を取得する。自動運転フォークリフト10は、倉庫内を走行中に連続的にライダセンサ16によって周辺情報を取得して、これらの周辺情報を用いて走行経路に沿った倉庫内のマッピングを行うことができ、かつ、倉庫2内における自己位置を検出することができる。
【0053】
つまり、ライダセンサ16は、搭載される自動運転フォークリフト10の管理領域内における自己位置に関する情報(自己位置情報)を検出する「自己位置検出装置」として機能する。また、ライダセンサ16は、搭載される自動運転フォークリフト10の自機の周囲に存在する障害物の情報を含む周辺情報を検出する「周辺情報検出装置」としても機能する。ライダセンサ16による自己位置情報及び周辺情報の取得には、周知のSLAM(Simultaneous Localization and Mapping」)技術を利用できる。
【0054】
このように、ライダセンサ16が、自己位置検出装置と周辺情報検出装置の両方の機能を纏めて有することにより、各フォークリフト10に搭載するセンサ数を削減でき、軽量化や小型化を図ることができる。
【0055】
カメラ17は、撮像装置であり、搭載される自動運転フォークリフト10の周囲を撮像して撮像画像を出力する。
【0056】
コントローラ18は、自動運転フォークリフト10の各要素の動作を制御する。コントローラ18は、昇降機構13や駆動輪14を用いてフォーク12によるパレット5の把持や離脱動作を制御する。また、コントローラ18は、RFIDリーダ15を用いて自機の周囲のRFIDタグ7から情報を取得して、管理装置3に送信する。また、コントローラ18は、ライダセンサ16やカメラ17を用いて自機の周囲のマッピングは自己位置検出を行い、これらの情報を管理装置3に送信する。
【0057】
なお、以下の説明では、「自動運転フォークリフト10」を「フォークリフト10」とも表記する場合がある。
【0058】
図3は、倉庫管理システム1の機能ブロック図である。図3に示すように、倉庫管理システム1は、例えば単一の管理装置3と、複数台の自動運転フォークリフト10を備え、両者の間で情報の授受を行う。図3の例では、「フォークリフトA」、「フォークリフトB」、「フォークリフトC」の3台の自動運転フォークリフト10が図示されているが、3台以外の台数でもよい。
【0059】
複数台の自動運転フォークリフト10は、それぞれのコントローラ18が、物品管理に関する機能として、倉庫マップ181と、自己位置検出部182と、物品情報取得部183と、動作制御部184と、を備える。
【0060】
倉庫マップ181は、管理領域全体のマップ情報を記憶する。本実施形態では、管理装置3が倉庫マップ32を作成し、各フォークリフト10に送信する。各フォークリフト10は、管理装置3から受信した倉庫マップ32の情報を自機の倉庫マップ181として保持する。
【0061】
自己位置検出部182は、各フォークリフト10の管理領域内の自己位置を検出する。自己位置検出部182は、各フォークリフト10が有するライダセンサ16やカメラ17が取得した情報に基づき自己位置情報を算出する。また、自己位置検出部182は、ライダセンサ16やカメラ17が取得した情報に基づき、自機の周囲の周辺情報も取得する。自己位置検出部182は、基本的にはライダセンサ16が取得した情報に基づき自己位置情報及び周辺情報を算出し、カメラ17の撮像画像の情報を用いてこれらの情報の補正を行うよう構成できる。自己位置検出部182は、自己位置情報及び周辺情報を管理装置3に送信する。
【0062】
なお、自己位置検出部182は、ライダセンサ16が取得した情報のみに基づいて自己位置情報と周辺情報とを検出する構成でもよい。また、自己位置検出部182は、例えば屋内GPSやデプス(深度)カメラなど、ライダセンサ16やカメラ17以外の他のセンサ類の情報を用いて自己位置情報と周辺情報とを検出する構成でもよい。
【0063】
物品情報取得部183は、各フォークリフト10の周辺に存在する搬送物4、または、各フォークリフト10が把持している搬送物4の物品情報を取得する。物品情報取得部183は、各フォークリフト10が有するRFIDリーダ15が取得した情報に基づき物品情報を検出する。物品情報取得部183は、取得した物品情報を管理装置3に送信する。
【0064】
動作制御部184は、各フォークリフト10の各要素の動作を制御する。制御対象の要素としては、例えば駆動輪14、フォーク12、昇降機構13、RFIDリーダ15ライダセンサ16、カメラ17などが含まれる。動作制御部184は、例えば管理装置3からの動作指令に応じて各要素を制御する。
【0065】
また、管理装置3は、物品管理に関する機能として、物品管理データベース31と、倉庫マップ32と、情報受信部33と、計画部34と、動作司令部35と、マップ作成部36と、を備える。
【0066】
物品管理データベース31は、倉庫管理システム1が過去または現在に取り扱った物品6に関する各種情報を関連付けて記憶する。物品管理データベース31に記憶される各種情報は、例えば、パレット5に載置されている物品6の種類、製造年月日、荷姿、個数、物品6が載置されるパレット5のRFIDタグ7の識別情報、倉庫2内の載置位置、入庫時刻、出庫時刻などの情報を含む。
【0067】
倉庫マップ32は、管理領域全体のマップ情報(図8(C)、(D)参照)を記憶する。
【0068】
情報受信部33は、各フォークリフト10や、上位システムなどから各種情報を受信する。情報受信部33は、フォークリフト10からは自己位置情報、周辺情報、物品情報などを受信する。情報受信部33は、上位システムからは入庫対象の搬送物に関する入庫情報や、出庫対象の搬送物に関する出庫情報を受信する。情報受信部33は、受信した各種情報を管理装置3内の各要素に送信する。
【0069】
計画部34は、入庫情報や出庫情報に応じて、荷役作業の工程を計画する。入庫作業の場合には、入庫情報に含まれる物品情報や、現在の倉庫2内の搬送物4の保管状況に応じて、倉庫2内の保管場所や載置手法(平積みか積載かなど)を決定し、フォークリフト10に入庫指令を出力する。また、出庫作業の場合には、出庫情報に含まれる物品情報や、現在の倉庫2内の搬送物4の保管状況に応じて、出庫対象の搬送物4を決定し、フォークリフト10に出庫指令を出力する。
【0070】
なお、本実施形態では、上記の計画部34の計画決定処理には、機械学習分野の予測器(モデル)を用いる。詳細については後述する。
【0071】
動作司令部35は、計画部34により計画された工程に基づきフォークリフト10に動作指令を出力する。
【0072】
マップ作成部36は、情報受信部33から受信した各フォークリフト10の自己位置情報、周辺情報、物品情報などに基づき倉庫マップ32を作成する。また、マップ作成部36は、倉庫管理システム1の動作中にも、各フォークリフト10から受信する各種情報に基づいて、倉庫2内に変化が起きた場合には倉庫マップ32を逐次更新する。
【0073】
図4は、図3中の計画部34の機能を細分化した機能ブロック図である。図4に示すように、計画部34は、入庫用モデル37と、出庫用モデル38と、教師データ作成部39と、学習部40と、入力情報作成部41と、載置場所決定部42と、出庫パレット決定部43と、を備える。
【0074】
入庫用モデル37は、フォークリフト10が入庫対象の搬送物4に関する物品情報(搬送物情報)と、現在の倉庫2内の在庫状況とを入力として、入庫対象の搬送物4を載置するのに適した管理領域内の場所を出力とする予測器である。
【0075】
出庫用モデル38は、出庫対象の搬送物4の物品情報(搬送物情報)と、現在の倉庫2内の在庫状況とを入力として、フォークリフト10が出庫するのに適した搬送物4が載置されている管理領域内の場所を出力とする予測器である。
【0076】
入庫用モデル37及び出庫用モデル38は、例えば多層ニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムなどの教師あり学習モデルや強化学習モデルなどの周知の予測器を適用できる。
【0077】
教師データ作成部39は、入庫用モデル37及び出庫用モデル38の学習に用いる教師データを作成する。教師データ作成部39は、例えば物品管理データベース31に記憶されている現在または過去に倉庫2内に保管された搬送物4に関する各種情報や、外部のサーバ等に記録されている搬送物4の荷役作業に関するビックデータなどを参照して、モデル学習用の教師データを作成する。教師データは、入庫用モデル37及び出庫用モデル38の入力情報と出力情報に対応する情報のセットである。
【0078】
学習部40は、教師データ作成部39により作成された教師データを用いて、入庫用モデル37及び出庫用モデル38の入出力関係が教師データの入出力関係に近づくように機械学習を行う。学習部40による入庫用モデル37及び出庫用モデル38の入出力関係の獲得には、例えば誤差逆伝播法やディープラーニング、その他の教師あり学習や強化学習などの周知の機械学習の手法を用いることができる。計画部34は、学習部40による学習処理の結果、学習済の入庫用モデル37及び出庫用モデル38を獲得する。
【0079】
入力情報作成部41は、情報受信部33から受信した入庫情報に基づき、入庫用モデル37の入力情報に対応する情報セットを抽出して、入力情報を作成する。また、入力情報作成部41は、情報受信部33から受信した出庫情報に基づき、出庫用モデル38の入力情報に対応する情報セットを抽出して、入力情報を作成する。
【0080】
載置場所決定部42は、入力情報作成部41により作成された入力情報を、学習済の入庫用モデル37に入力して、入庫用モデル37からの出力情報に基づき入庫対象の搬送物4の載置場所を決定する。
【0081】
出庫パレット決定部43は、入力情報作成部41により作成された入力情報を、学習済の出庫用モデル38に入力して、出庫用モデル38からの出力情報に基づき出庫対象の搬送物4を決定する。
【0082】
管理装置3や、フォークリフト10のコントローラ18は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置、ディスプレイ等の出力装置、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール、ハードディスク等の補助記憶装置、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。図3図4に示す管理装置3や、フォークリフト10のコントローラ18の各機能は、CPU、RAM等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで通信モジュール、入力装置、出力装置を動作させるとともに、RAMや補助記憶装置におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0083】
<マップ作成、更新制御>
管理装置3は、複数台の自動運転フォークリフト10から取得する周辺情報を利用して、倉庫2内のマップを作成、更新する制御を行うことができる。図5図8を参照して、このマップ作成、更新制御について説明する。図5は、マップ作成制御のフローチャートである。図6は、マップ更新制御のフローチャートである。図7は、マップ作成、更新制御を説明するための倉庫2の内部空間(管理領域)を平面視した模式図である。図8は、図7の各図に示す状態に対応する倉庫マップ32の模式図である。すなわち、図8(A)~(D)に示す各倉庫マップ32は、それぞれ図7(A)~(D)の各状態に対応する。
【0084】
まず図5図7(A)~(C)、図8(A)~(C)を参照してマップ作成制御について説明する。
【0085】
図8(A)は、図7のマップ作成制御が実施される前の、倉庫マップ32の初期状態を示す。初期状態では、管理装置3は倉庫2内の搬送物4の載置状況を全く把握しておらず、倉庫マップ32にも管理領域の情報が何も記録されていない。なお、図8(A)の例とは異なり、初期状態でも大まかな管理領域の情報が倉庫マップ32に記録されていてもよい。また、このとき、図7(A)に示すように、倉庫2の内部空間には、搬送物4が複数の載置スペース21に載置され、その間にフォークリフト10の通路22が形成されており、複数(図7の例では2台)のフォークリフト10A、10Bが配置されている。
【0086】
図5のフローチャートに示すマップ作成制御は、管理装置3が図7(A)に示すように倉庫2全体のマップ32を取得できていない状況で実施される。このような状況としては、例えば、倉庫2に倉庫管理システム1が導入された当初や、倉庫2内のレイアウト変更や増床などの管理領域の変更が生じた場合、などのタイミングが挙げられる。
【0087】
ステップS101では、管理装置3の動作司令部35により、倉庫2内の各フォークリフト10A、10Bに走行指令が送信される。フォークリフト10A、10Bの動作制御部184は、走行指令の受信に応じて駆動輪14を制御して、例えば図7(B)に示すように、フォークリフト10A、10Bを倉庫2内の通路22を例えばランダムに走行させる。
【0088】
図7(B)に示すように、フォークリフト10A、10Bは、倉庫2内を走行しながらライダセンサ16を用いてレーザ光16Aを周囲に照射して周辺情報を取得する。そして、自己位置検出部182により、ライダセンサ16が取得する周辺情報に基づき、走行経路のマッピングと自己位置検出とを並行して実施する。このとき、各フォークリフト10A、10Bが取得する周辺情報は、図8(B)に符号32A、32Bで示すように、倉庫2内で自機が走行した部分の周囲に限定した局所的なマップである。
【0089】
さらに、フォークリフト10A、10Bは、倉庫2内の走行中に、上記の自己位置検出処理と並行して、物品情報取得部183により、RFIDリーダ15を用いて電波15Aを周囲に照射して周囲に載置されている搬送物4のRFIDタグから物品情報を取得する。各フォークリフト10A、10Aは、取得した周辺情報と物品情報とを管理装置3に送信する。
【0090】
ステップS102では、管理装置3の情報受信部33により、各フォークリフト10A、10Bから周辺情報及び物品情報が取得される。情報受信部33は、取得した情報をマップ作成部36に送信する。
【0091】
ステップS103では、管理装置3のマップ作成部36により、取得した周辺情報及び物品情報を集約して倉庫マップ32が作成される。フォークリフト10Aは、図7(B)に点線の矢印で示すように移動すると、この移動経路に沿った周辺情報と物品情報とを取得して管理装置3に提供する。管理装置3のマップ作成部36は、これらの周辺情報と物品情報とに基づき、図8(B)に示すように、フォークリフト10Aの走行経路に沿った局所マップ32Aを作成する。局所マップ32Aには、走行経路の周辺で検出された搬送物4の位置と、その種類(図8ではA、B、またはC)の情報が含まれる。
【0092】
同様に、フォークリフト10Bは、図7(B)に実線の矢印で示すように移動すると、この移動経路に沿った周辺情報と物品情報とを取得して管理装置3に提供する。管理装置3のマップ作成部36は、これらの周辺情報と物品情報とに基づき、図8(B)に示すように、フォークリフト10Bの走行経路に沿った局所マップ32Bを作成する。マップ作成部36は、これらの局所マップ32A、32Bを統合して、図8(B)に示すように、倉庫マップ32を部分的に作成する。
【0093】
ステップS104では、マップ作成部36により、倉庫2内全域のマップ32が完成したか否かが判定される。
【0094】
倉庫2内全域のマップ32がまだ完成していない場合(ステップS104のNO)には、ステップS101に戻り、引き続き動作司令部35により倉庫2内のフォークリフト10に走行指令が送信されて、各フォークリフト10による倉庫2内の周辺情報及び物品情報の取得が繰り返される。図8(B)の例では、まだ周辺情報を取得できていない領域が存在し、倉庫内全域のマップが完成していないので、引き続き各フォークリフト10A、10Bからの周辺情報の提供が繰り返される。
【0095】
一方、倉庫2内全域のマップ32が完成した場合(ステップS104のYES)には、ステップS105に進み、管理装置3により倉庫マップ32のデータが各フォークリフト10に送信される。ステップS105の処理が完了するとマップ作成制御を終了する。
【0096】
図7(C)に示すように、図7(B)の状態と比較して各フォークリフト10A、10Bが倉庫2内の通路22を充分に走行した後には、図8(C)に示すように、倉庫2内の全域に亘る倉庫マップ32が完成する。倉庫マップ32には、倉庫2内のすべての搬送物4の位置と、その種類(図8ではA、B、またはC)の情報が含まれる。図8(C)に示すような倉庫マップ32が完成すると、管理装置3は各フォークリフト10に完成した倉庫マップ32のデータを送信する。これにより、倉庫2内のすべてのフォークリフト10A、10Bが、倉庫2内の全域の倉庫マップ32の情報を共有できる。
【0097】
図5のフローチャートのステップS102に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、自動運転フォークリフト10は、ライダセンサ16(周辺情報検出装置)により取得した周辺情報を管理装置3に送信する。次いで、S103に示したとおり、管理装置3は、自動運転フォークリフト10から受信した周辺情報に基づき、管理領域の倉庫マップ32を作成し、自動運転フォークリフト10に提供する。
【0098】
この構成により、管理装置3は管理領域を自律走行する自動運転フォークリフト10が取得した周辺情報を利用して、管理領域の倉庫マップ32を作成できるので、自動運転フォークリフト10から常時周辺情報を収集することで、常に最新の管理領域の状態を把握することができ、倉庫マップ32を精度良く作成できる。
【0099】
また、本実施形態の倉庫管理システム1では、自動運転フォークリフト10は、管理領域内に複数台が配置される。これにより、図5のフローチャートのステップS103に示したとおり、管理装置3は、複数の自動運転フォークリフト10から受信した周辺情報を統合して倉庫マップ32を作成する。
【0100】
この構成により、管理装置3は管理領域を自律走行する複数の自動運転フォークリフト10から多数の周辺情報を同時に獲得できるので、これらの多数の周辺情報を利用して管理領域の倉庫マップ32を迅速かつ高精度に作成できる。また、複数のフォークリフト10のそれぞれには、自分が取得した周辺情報以外のエリア、すなわち自機が未走行の管理領域のエリアの情報も含めた倉庫マップ32を迅速に提供可能となる。これにより、各フォークリフト10がより迅速に管理領域の全体の状況を把握することが可能となり、倉庫2内の荷役作業をより早いタイミングで高精度に実施可能となる。
【0101】
次に図6図7(D)、図8(D)を参照してマップ更新制御について説明する。図6のフローチャートに示すマップ更新制御は、図5のマップ作成制御によって管理装置3が倉庫2全体の倉庫マップ32を獲得した後に、定期的または任意のタイミングで実施される。
【0102】
図6のフローチャートの前提として、倉庫2内の各フォークリフト10A、10Bは、後述する荷役作業などのために倉庫2内を走行中に、継続的に倉庫経路に沿った周辺情報と物品情報とを取得して管理装置3に送信している。
【0103】
ステップS201では、管理装置3の情報受信部33により、倉庫2内の各フォークリフト10から周辺情報及び物品情報が取得される。情報受信部33は、取得した情報をマップ作成部36に送信する。
【0104】
ステップS202では、管理装置3のマップ作成部36により、取得した周辺情報及び物品情報が倉庫マップ32の該当位置と比較される。
【0105】
ステップS203では、マップ作成部36により、取得した周辺情報及び物品情報と倉庫マップ32の該当位置との間に相違点があるか否かが判定される。
【0106】
倉庫マップ32と相違点がある場合(ステップS203のYES)には、ステップS204に進み、マップ作成部36により倉庫マップ32が更新される。
【0107】
図7(D)の例では、搬送物4aの載置位置にずれが生じており、フォークリフト10Aがこれを検知している。この場合、図8(D)に点線円32Cで示すように、倉庫マップ32においても、実際の倉庫2内の状況と同様に、搬送物4aの載置位置がずれているように更新される。
【0108】
また、図7(D)の例では、搬送物4bが載置位置から倉庫2の外部に運び出されており、元の載置位置に何も無い状態をフォークリフト10Bが検知している。この場合、図8(D)に点線円32Dで示すように、倉庫マップ32においても、実際の倉庫2内の状況と同様に、搬送物4bが載置位置から無くなったように更新される。
【0109】
また、図7(D)の例では、搬送物4cが種類Bから種類Aのものに入れ替えられており、フォークリフト10Bがこれを検知している。この場合、図8(D)に点線円32Eで示すように、倉庫マップ32においても、実際の倉庫2内の状況と同様に、搬送物4cが種類Bから種類Aのものに入れ替わったように更新される。
【0110】
ステップS205では、管理装置3により、更新した倉庫マップ32のデータが各フォークリフト10A、10Bに送信される。これにより、倉庫2内のすべてのフォークリフト10A、10Bが、倉庫2内の全域の倉庫マップ32の情報更新を共有できる。
【0111】
ステップS206では、倉庫マップ32との相違発生の情報が、例えば倉庫管理システム1の管理者や倉庫2内の作業員などに報知される。これにより、例えば図7(D)の搬送物4Aなどのように、不測の事態で載置位置がずれている場合に、管理者や作業員が即座にその旨を把握することが可能となり、復旧作業を迅速にできる。ステップS206の処理が完了するとマップ更新制御を終了する。
【0112】
なお、ステップS206を実施せずに、相違発生の報知を行わずに、自動的に倉庫マップの更新を繰り返す構成でもよい。
【0113】
一方、倉庫マップ32と相違点が無い場合(ステップS203のNO)には、ステップS204以降のマップ更新処理を行わずに本制御フローを終了する。
【0114】
<荷役制御>
管理装置3は、複数台の自動運転フォークリフト10を利用して、倉庫2内への搬送物4(パレット5及び物品群6)の入庫や倉庫内の搬送物4の出庫などの荷役作業を自動的に行うことができる。
【0115】
まず図9図13を参照して、荷役制御のうち入庫制御について説明する。図9は、パレット入庫制御のフローチャートである。なお、以下の説明では、入庫対象の搬送物4を「入庫パレット5」とも表記する。
【0116】
ステップS301では、管理装置3の計画部34により、学習済みの入庫用モデル37が獲得される。
【0117】
ステップS301の学習済みの入庫用モデル37の獲得は例えば以下の手順で行われる。まず、計画部34の教師データ作成部39は、例えば物品管理データベース31に記憶されている現在または過去に倉庫2内に保管された搬送物4に関する各種情報や、外部のサーバ等に記録されている搬送物4の荷役作業に関するビックデータなどを参照して、モデル学習用の教師データを作成する。教師データは、入庫用モデル37の入力情報と出力情報に対応する情報のセットである。教師データ作成部39は、例えば入庫所要時間などの所定の評価基準を設定し、この評価基準を満たすデータセットがモデル学習を所望の方向に進めやすいものと判断して教師データとして抽出できる。
【0118】
次に、計画部34の学習部40は、教師データ作成部39により作成された教師データを用いて、入庫用モデル37の入出力関係が教師データの入出力関係に近づくように機械学習を行う。学習部40は、モデルの入出力が所定の収束条件を満たしたときに、入庫用モデル37の学習が完了し、学習済みの入庫用モデル37の獲得したものと判断できる。
【0119】
なお、入庫用モデル37の学習に用いる教師データの抽出するための評価基準は、上記の入庫所要時間以外の情報を用いてもよい。例えば、過去にある搬送物4を倉庫2内の特定の場所に保管した場合に、当該搬送物4を出庫するのに要した出庫所要時間の情報を評価基準として用いてもよい。
【0120】
ステップS302では、管理装置3の情報受信部33により入庫情報が取得される。入庫情報としては、例えば、新たに倉庫2に入庫されるパレット5の物品情報(パレット5に載置されている物品群6の種類、荷姿、個数など)が含まれる。情報受信部33は、取得した入庫情報を計画部34に送信する。
【0121】
ステップS303では、管理装置3の計画部34により、入庫パレット5の物品情報に基づき、入庫用モデル37を用いて該当の入庫パレット5の該当倉庫2内の載置場所が決定される。このステップでは、図4に示すように、まず計画部34の入力情報作成部41が、ステップS302で取得した物品情報等から、入庫用モデル37の入力情報に対応する情報セットを抽出して、入力情報を作成する。次に、載置場所決定部42が、入力情報作成部41により作成された入力情報を入庫用モデル37に入力して、モデルからの出力情報に基づき載置場所を決定する。載置場所決定部42は、決定した載置場所の情報を動作司令部35に出力する。
【0122】
ここで、図9のステップS303の載置場所の決定手法の一例について図10図12を参照して説明する。図10図11は、管理領域内の水平方向に着目した決定手法の例である。
【0123】
図10は、図9のステップS303の載置場所の決定手法の第1の例を示す模式図である。第1の例は、物品群6の種類ごとに載置場所を分類する例である。図10の例では、種類Aの物品群が領域21A、21B、21C、21Fの4つの領域が割り当てられ、種類Bの物品群が領域21D、21Eの2つの領域が割り当てられ、種類Cの物品群が領域21G、21Hの2つの領域が割り当てられる。この例では、種類Aが最も入庫と出庫が頻繁に行われ、次に種類B、その次に種類Cとなるケースを想定している。この場合、種類Aの載置スペースを入庫口23と出庫口25に最も近い場所に割り当てて、荷役作業の際のフォークリフト10の移動量を少なくして、作業効率を向上できるように設定されている。次に荷役量が多い種類Bの載置スペースを、種類Bの次に入庫口や出庫口に近い領域が割り当て、最も荷役量が少ない種類Cの載置スペースを最も入庫口、出庫口から遠い領域に割り当てている。
【0124】
図11は、図9のステップS303の載置場所の決定手法の第2の例を示す模式図である。第2の例は、特定の載置スペース21において、製造年月日順、すなわち入庫順に、一方向に沿って載置する例である。図11では、載置スペース21のうち図面左側から詰めて搬送物4を載置していき、徐々に右側に載置するようにする。これにより、載置スペース21の左側に進むほど製造年月日が相対的に古くなり、右側に進むほど製造年月日が相対的に新しくなる。この例では、出庫の際には、入庫する側と逆側の端部(図11では図中左側の端部)から順番に搬送物4を出庫する。これにより、製造年月日が古い順に同一の物品を出庫する、所謂先入れ先出しを容易に行うことができる。
【0125】
図12は、管理領域内の垂直方向に着目した決定手法の例である。図12は、図9のステップS303の載置場所の決定手法の第3の例を示す模式図である。
【0126】
搬送物4は、パレット5上に積載される物品群6の量に応じて高さが異なる場合がある。このような場合でも、複数の搬送物4を積載したときに、できるだけ高さH1が揃うように搬送物4の組み合わせを考慮するのが好ましい。例えば図12の例では、ある搬送物4Aを搬送しており、載置スペース21には、二段に積載された搬送物4D、4Eと、同じく二段に積載されている搬送物4F、4Gと、一段のみ載置されている搬送物4B、4Cがある。このとき、搬送物4Aを一段の搬送物4B、4Cのどちらかに積載すると、載置スペース21の延べ面積が増えずに載置する搬送物を増やせる。
【0127】
さらに、この例では、搬送物4B、4Cの高さが異なり、搬送物4Cの高さと、搬送物4Aの高さの和が、既に二段で積層されている搬送物4D、4Eや搬送物4F、4Gの高さH1と略同一になる。この場合、一段のみ載置されている搬送物4B、4Cのうち、積載時の高さを揃えられる搬送物4Cの上に搬送物4Aを積載するのが好ましい。搬送物4の積層高さH1を揃えることができると、所定の載置スペース21の全域に亘って偏りなくバランスよく搬送物4を載置することができる。これにより、極端に高く積層される部分がなくなるので、搬送物の荷崩れなどのトラブル発生を抑制できる。したがって、管理装置3は、搬送物4Aを搬送中のフォークリフト10に対して、搬送物4Cの上に搬送物4Aを載置するように指令を出力する。
【0128】
なお、図12の例のように、積層される複数の搬送物4の高さH1を揃えるように載置場所の決定を行うためには、計画部34は、例えば物品情報のうち荷姿に関する情報を利用することができる。「荷姿」とは、輸送する際の荷物の外観を表す物流用語であり、本実施形態では、荷姿情報にはパレット梱包のサイズや重量などの情報が含まれる。
【0129】
また、複数の搬送物4を垂直方向に積載するように載置場所を決定する場合には、図12に示す積載高さH1以外にも判断基準を設けてもよい。例えば各搬送物4の重量を考慮して、上方に積載される搬送物の重量によって下方の搬送物が変形しないように、積層する搬送物間の重量バランスを判断基準としてもよい。
【0130】
図9に戻り、ステップS304では、管理装置3の動作司令部35により、フォークリフト10に入庫パレット5の物品情報と載置場所の情報を含む入庫指令が送信される。動作司令部35は、例えば倉庫2内の複数のフォークリフト10のうち、入庫パレット5の現在位置(例えば図1に示した入庫用載置スペース51)に最も近く、荷役作業中ではないフォークリフトを選択して、選択したフォークリフトに入庫指令を送信する。
【0131】
ステップS305では、入庫指令を受信したフォークリフト10が、入庫用載置スペース51に移動し、自機のRFIDリーダ15を用いて入庫用載置スペース51に置かれている各パレットのRFIDタグ7の情報を読み取って、入庫対象の物品6が載置されている入庫パレット5を選択する。
【0132】
ステップS306では、入庫指令を受信したフォークリフト10が、選択した入庫パレット5を自機のフォーク12及び昇降機構13によって把持して、入庫指令の載置位置まで搬送して載置する。フォークリフト10は、入庫パレット5を載置位置に載置したことを管理装置3に送信する。また、このとき自己位置検出部182により検出される自機の自己位置情報も併せて管理装置3に送信する。
【0133】
ステップS307では、管理装置3の情報受信部33により、フォークリフト10から載置完了の報告と自己位置情報が受信されると、これらの情報がマップ作成部36に送信される。そして、マップ作成部36により、フォークリフト10の自己位置情報に基づき、入庫パレット5の載置位置の情報が倉庫マップ32に反映される。すなわち、入庫指令に応じて入庫パレット5が実際に置かれた位置の情報は、この入庫パレット5を搬送したフォークリフト10が入庫パレット5を倉庫2内に置いたときの自己位置を利用して求められる。フォークリフト10と搬送されるパレット5との相対的な位置関係はほぼ一定であるためである。
【0134】
また、情報受信部33は、フォークリフト10から載置完了の報告と自己位置情報が受信されると、これらの情報を物品管理データベース31にも送信する。物品管理データベース31は、新たに倉庫2内に入庫された搬送物4の各種情報を関連付けて記憶する。物品管理データベース31に記憶される各種情報は、例えば、パレット5に載置されている物品6の種類、製造年月日、荷姿、個数、物品6が載置されるパレット5のRFIDタグ7の識別情報、倉庫2内の載置位置、などの情報を含む。
【0135】
ステップS308では、計画部34により、動作指令から載置完了までの入庫所要時間に基づき入庫用モデル37が更新される。計画部34は、例えば今回の入庫タスクの入庫所要時間が所定の閾値を下回った場合に、入庫作業が効率良く実施できたと判断し、今回の入庫作業における各種情報を用いて入庫用モデル37の追加学習を行うことができる。この場合、計画部34の教師データ作成部39は、例えば物品管理データベース31に記憶された今回の入庫パレット5に関する各種情報を抽出して、これらの抽出情報を用いて教師データを作成する。教師データは、入庫用モデル37の入力情報と出力情報に対応する情報のセットである。学習部40は、教師データ作成部39により作成された今回の入庫作業に関する教師データを用いて、入庫用モデル37の入出力関係を機械学習により更新する。
【0136】
なお、ステップS308において、今回の入庫タスクの入庫所要時間が所定の閾値より長くかかった場合には、今回のデータを用いて入庫用モデル37の更新を行うとモデル学習が所望の方向に進まない虞がある。このため、計画部34は、入庫所要時間が所定の閾値より長くかかった場合には、入庫用モデル37の更新を行わなくてもよい。また、入庫用モデル37の追加学習は、新たな教師データを取得するたびに逐次行わずに、所定数の教師データが蓄積されたタイミングで纏めて行ってもよい。ステップS308の処理が完了するとパレット入庫制御を終了する。
【0137】
図9のフローチャートのステップS307に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、自動運転フォークリフト10は、ライダセンサ16により取得した自己位置情報と、RFIDリーダ15により搬送する搬送物4に付加されているRFIDタグ7から取得した物品情報(搬送物情報)と、を管理装置3に送信する。管理装置3は、自動運転フォークリフト10から受信した自己位置情報と物品情報とに基づき、管理領域内で搬送物4の位置を管理する。
【0138】
この構成により、倉庫2内に保管されるすべての搬送物4の載置場所の情報は、フォークリフト10が搬送物4を所定の位置に載置したときに、このフォークリフト10の自己位置情報を利用して管理装置3が把握することができる。このように搬送物4の位置の管理を行うと、例えば棚卸し作業のように倉庫2内の搬送物4のRFIDタグ7の読み取りを定期的に行う必要がなく、フォークリフト10が搬送物4を倉庫2内に入庫したときのフォークリフト10と管理装置3との情報のやりとりだけで、管理領域内で搬送物4の位置を精度良くリアルタイムで管理することが可能となる。この結果、本実施形態の倉庫管理システム1は、搬送物4の管理を効率良く行うことができる。
【0139】
また、図9のフローチャートのステップS303、S304に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、管理装置3は、物品情報(搬送物情報)に基づき、管理領域内で搬送物4を載置すべき場所を決定して、自動運転フォークリフト10に搬送物4の載置場所を指示する。
【0140】
この構成により、搬送物4の物品情報に応じて適切な載置場所を自動的に決定することができるので、入庫作業を迅速に行うことができる。
【0141】
また、図9のフローチャートのステップS307に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、管理装置3は、自動運転フォークリフト10から受信した自己位置情報に基づき、自動運転フォークリフト10により搬送された搬送物4が管理領域内のどの位置に載置されているかを管理する。
【0142】
自動運転フォークリフト10が搬送物4を所定の載置場所に載置するときは、フォークリフト10がフォーク12で搬送物4のパレット5を把持している状態であり、フォークリフト10と搬送物4との相対的な位置関係は概ね一定となる。このため、上記構成により、このフォークリフト10の自己位置情報の精度が高ければ、搬送物4の載置場所の情報の導出精度も高くできる。この結果、本実施形態の倉庫管理システム1は、管理領域内の搬送物4の管理をより精度良く行うことができる。
【0143】
図9のフローチャートのステップS303、S304に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、管理装置3は、自動運転フォークリフト10により取得された搬送物4の物品情報(搬送物情報)に基づき、入庫用モデル37を用いて、管理領域内で搬送物4を載置すべき場所を決定して、自動運転フォークリフト10に搬送物4の載置場所を指示する。自動運転フォークリフト10は、この指示に応じて、指示された載置場所に搬送物4を載置する。
【0144】
この構成により、過去の管理実績に基づいて機械学習により入出力関係が獲得された入庫用モデル37を用いて、入庫パレット5の載置場所を決定するので、入庫パレット5の載置場所をより適切かつ迅速に決定することが可能となり、入庫作業をより効率良く行うことが可能となる。この結果、搬送物4の管理を効率良く行うことができる。
【0145】
図13は、パレット入庫制御の変形例を示す模式図である。図9図12の例では、倉庫2内に新たな搬送物4を入庫する際に載置場所を決定する構成を例示したが、入庫制御は倉庫2内に既に載置されている搬送物4に対して適用することもできる。
【0146】
図13の例では、載置スペース21には、二段に積載された搬送物4J、4Kと、同じく二段に積載されている搬送物4L、4Mと、一段のみ載置されている搬送物4H、4Iがある。この例では、搬送物4H、4Iの高さが異なり、搬送物4Hの高さと、搬送物4Iの高さの和が、既に二段で積層されている搬送物4J、4Kや搬送物4L、4Mの高さH2と略同一になる。この場合、一段のみ載置されている搬送物4H、4Iのうち一方の搬送物4Hを、積載時の高さを揃えられる他方の搬送物4Iの上に積載するのが好ましい。これにより、同一数の搬送物4でも、載置スペース21の延べ面積を減らすことができ、効率的に搬送物を保管できる。この場合、管理装置3は、倉庫2内を走行中のフォークリフト10に対して、搬送物4Hを把持して、搬送物4Iの上に載置するように指令を出力する。
【0147】
図12図13に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、物品情報は、該当物品6の荷姿に関する荷姿情報と関連付けられている。管理装置3は、荷姿情報に基づき、パレット5及びこのパレット5に載置されている物品6を含む搬送物4を管理領域のどの場所に載置するかを決定して、自動運転フォークリフト10に指示する。
【0148】
この構成により、管理装置3は、荷姿情報を利用すれば、管理領域の水平方向の配置だけでなく、垂直方向の搬送物4の適切な積み方も決定することが可能となる。これにより、管理領域の搬送物4の適切な配置を三次元的に考慮することが可能となり、倉庫2内の空間をより効率良く利用して、搬送物4の保管効率を向上できる。
【0149】
また、図12図13に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、管理領域では、搬送物4は棚を用いずに複数個を直接積層して保管されている。管理装置3は、荷姿情報に基づき、複数個の搬送物4が積層される各ブロック(載置スペース21)の高さ(図12のH1や図13のH2)が揃うように、積層する搬送物4の組み合わせを決定する。
【0150】
この構成により、搬送物4の積層高さH1、H2を揃えることができると、所定の載置スペース21の全域に亘って偏りなくバランスよく搬送物4を載置することができる。これにより、極端に高く積層される部分がなくなるので、搬送物の荷崩れなどのトラブル発生を抑制できる。また、従来の倉庫ではパレット5に物品群6が詰まれる搬送物4を上下方向に複数個を保管する場合には、複数の棚を設けて棚の各段にパレット5を1つずつ積層せずに載置するのが一般的である。これに対して本実施形態では、各搬送物4の荷姿情報を利用して、上述のように垂直方向の搬送物4の適切な積み方も決定することが可能であるので、搬送物4は棚を用いずに複数個を直接積層して保管することができる。これにより、従来の棚を用いる構成と比較して、棚のスペース分を省略できるので、倉庫2内の空間をより効率良く利用して、搬送物4の保管数を増やすことが可能となり、保管効率を向上できる。
【0151】
また、図10に示した管理領域内の水平方向に着目した決定手法でも、図13の例と同様に、入庫制御は倉庫2内に既に載置されている搬送物4に対して適用することもできる。例えば、図10の例では4つの領域が割り当てられている種類Aの搬送物4の載置スペース21A~21C、21Fのうちの一部を、他の種類B、Cの載置スペース21に割り当て直す場合が生じ得る。このようなケースは、例えば種類Aが季節商品であり、需要の多い季節が過ぎた後に載置スペース21や保管量を減らす場合などが挙げられる。このような場合に、管理装置3は、倉庫2内を走行中のフォークリフト10に対して、特定の載置スペース21(例えば載置スペース21A)の種類Aの搬送物を他の載置スペースに搬送し、他の種類B,Cの搬送物4を、この特定の載置スペース21Aに移動させるように指令を出力する。
【0152】
また、図9の例では、管理装置3が入庫情報を取得した後にフォークリフト10に対して特定の種類の入庫パレット5を特定の場所に搬送する指令を送る構成を例示したが、これに限られない。例えば、フォークリフト10が適当に入庫用載置スペース51にあるパレット5を把持し、この把持したパレット5に付加されているRFIDタグ7から自機のRFIDリーダ15により物品情報を読み取る構成でもよい。この場合、フォークリフト10は、読み取った物品情報を管理装置3に送信して、管理装置3がフォークリフト10により現在把持されている搬送物4の種類を特定して載置場所を決定する、という処理を行うことができる。
【0153】
図14を参照して、荷役制御のうち出庫制御について説明する。図14は、パレット出庫制御のフローチャートである。なお、以下の説明では、出庫対象の搬送物4を「出庫パレット5」とも表記する。
【0154】
ステップS401では、管理装置3の計画部34により、学習済みの出庫用モデル38が獲得される。
【0155】
ステップS401の学習済みの出庫用モデル38の獲得は例えば以下の手順で行われる。まず、計画部34の教師データ作成部39は、例えば物品管理データベース31に記憶されている現在または過去に倉庫2内に保管された搬送物4に関する各種情報や、外部のサーバ等に記録されている搬送物4の荷役作業に関するビックデータなどを参照して、モデル学習用の教師データを作成する。教師データは、出庫用モデル38の入力情報と出力情報に対応する情報のセットである。教師データ作成部39は、例えば出庫所要時間などの所定の評価基準を設定し、この評価基準を満たすデータセットがモデル学習を所望の方向に進めやすいものと判断して教師データとして抽出できる。
【0156】
次に、計画部34の学習部40は、教師データ作成部39により作成された教師データを用いて、出庫用モデル38の入出力関係が教師データの入出力関係に近づくように機械学習を行う。学習部40は、モデルの入出力が所定の収束条件を満たしたときに、出庫用モデル38の学習が完了し、学習済みの出庫用モデル38の獲得したものと判断できる。
【0157】
ステップS402では、管理装置3の情報受信部33により出庫情報が取得される。出庫情報としては、例えば、倉庫2から出庫される出庫対象の物品6の物品情報(種類、荷姿、個数など)が含まれる。情報受信部33は、取得した出庫情報を計画部34に送信する。
【0158】
ステップS403では、管理装置3の計画部34により、出庫対象の物品6の物品情報に基づき、出庫用モデル38を用いて、倉庫内2に保管されている搬送物4の中から出庫パレット5を決定する。このステップでは、図4に示すように、まず計画部34の入力情報作成部41が、ステップS402で取得した物品情報等から、出庫用モデル38の入力情報に対応する情報セットを抽出して、入力情報を作成する。次に、出庫パレット決定部43が、入力情報作成部41により作成された入力情報を出庫用モデル38に入力して、モデルからの出力情報に基づき出庫パレット5を決定する。出庫パレット決定部43は、決定した出庫パレット5が置かれている倉庫2内の位置情報を動作司令部35に出力する。
【0159】
ステップS404では、管理装置3の動作司令部35により、フォークリフト10に出庫パレット5の物品情報と位置情報を含む出庫指令が送信される。動作司令部35は、例えば倉庫2内の複数のフォークリフト10のうち、出庫パレット5の現在位置に最も近く、荷役作業中ではないフォークリフトを選択して、選択したフォークリフトに出庫指令を送信する。
【0160】
ステップS405では、出庫指令を受信したフォークリフト10が、動作指令の位置情報に基づき、出庫パレット5の位置まで移動し、自機のRFIDリーダ15を用いて載置スペース21に載置されているパレット5のRFIDタグ7の情報を読み取って、出庫対象の物品6が載置されている出庫パレット5を特定する。
【0161】
ステップS406では、出庫指令を受信したフォークリフト10が、特定した出庫パレット5を自機のフォーク12及び昇降機構13によって把持して、出庫指令の出庫位置(例えば図1に示した出庫用載置スペース52)まで搬送する。ここで、出庫指令は、例えば図11に示すように、特定の載置スペース21の特定の位置(図11の例では図面左端の図面上方から2番目の位置)の搬送物4(出庫パレット5)を出庫する旨の内容が含まれる。また、出庫指令の位置情報は、図11などに例示したような管理領域内の水平方向に関する位置の他にも、図12などに例示したような管理領域内の垂直方向に関する位置(例えば積層されている複数の搬送物4の何段目など)の情報も含みうる。出庫指令を受信したフォークリフト10は、出庫指令に基づき指定された出庫パレット5を搬出する。
【0162】
また、ステップS406では、フォークリフト10は、出庫パレット5の搬送が完了すると、出庫パレット5を所定の出庫位置に載置したことを管理装置3に送信する。また、このとき自己位置検出部182により検出される自機の自己位置情報も併せて管理装置3に送信する。
【0163】
ステップS407では、管理装置3の情報受信部33により、フォークリフト10から載置完了の報告と自己位置情報が受信されると、これらの情報がマップ作成部36に送信される。そして、マップ作成部36により、フォークリフト10の自己位置情報に基づき、出庫パレット5の載置位置の情報が倉庫マップ32に反映される。すなわち、出庫指令に応じて出庫パレット5が実際に置かれた位置の情報は、この出庫パレット5を搬送したフォークリフト10が出庫パレット5を倉庫2内に置いたときの自己位置を利用して求められる。フォークリフト10と搬送されるパレット5との相対的な位置関係はほぼ一定であるためである。
【0164】
また、情報受信部33は、フォークリフト10から載置完了の報告と自己位置情報が受信されると、これらの情報を物品管理データベース31にも送信する。物品管理データベース31は、倉庫2から出庫された搬送物4の各種情報に出庫時刻の情報を追加して記憶する。
【0165】
ステップS408では、計画部34により、動作指令から出庫完了までの出庫所要時間に基づき出庫用モデル38が更新される。計画部34は、例えば今回の出庫タスクの出庫所要時間が所定の閾値を下回った場合に、出庫作業が効率良く実施できたと判断し、今回の出庫作業における各種情報を用いて出庫用モデル38の追加学習を行うことができる。この場合、計画部34の教師データ作成部39は、例えば物品管理データベース31に記憶された今回の出庫パレット5に関する各種情報を抽出して、これらの抽出情報を用いて教師データを作成する。教師データは、出庫用モデル38の入力情報と出力情報に対応する情報のセットである。学習部40は、教師データ作成部39により作成された今回の出庫作業に関する教師データを用いて、出庫用モデル38の入出力関係を機械学習により更新する。
【0166】
なお、ステップS408において、今回の出庫タスクの出庫所要時間が所定の閾値より長くかかった場合には、今回のデータを用いて出庫用モデル38の更新を行うとモデル学習が所望の方向に進まない虞がある。このため、計画部34は、出庫所要時間が所定の閾値より長くかかった場合には、出庫用モデル38の更新を行わなくてもよい。また、出庫用モデル38の追加学習は、新たな教師データを取得するたびに逐次行わずに、所定数の教師データが蓄積されたタイミングで纏めて行ってもよい。ステップS408の処理が完了するとパレット出庫制御を終了する。
【0167】
図14のフローチャートのステップS403~S406に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、管理装置3は、管理領域からの出庫対象の搬送物4を決定し、出庫対象の搬送物4が管理領域内で載置されている場所を判定して、自動運転フォークリフト10に出庫対象の搬送物4の物品情報(搬送物情報)と載置場所とを指示する。自動運転フォークリフト10は、管理装置3からの指示に応じて、RFIDリーダ15によりRFIDタグ7から取得した物品情報に基づき、載置場所にて出庫対象の搬送物4をピックアップして出庫を行う。
【0168】
この構成により、出庫対象の搬送物4の物品情報に応じて、出庫対象として適切な搬送物4を自動的に決定することができるので、出庫作業を迅速に行うことができる。
【0169】
図14のフローチャートのステップS403、S404に示したとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、管理装置3は、管理領域からの出庫対象の搬送物4を決定し、出庫対象の搬送物4の物品情報(搬送物情報)に基づき、出庫用モデル38を用いて出庫対象の搬送物4が管理領域内で載置されている場所を判定して、自動運転フォークリフト10に搬送物4の載置場所を指示する。
【0170】
この構成により、過去の管理実績に基づいて機械学習により入出力関係が獲得された出庫用モデル38を用いて、出庫パレット5を決定するので、出庫パレット5をより適切かつ迅速に決定することが可能となり、出庫作業をより効率良く行うことが可能となる。この結果、搬送物4の管理を効率良く行うことができる。
【0171】
図9図14を参照して説明した倉庫2の管理領域内の搬送物4の荷役制御のとおり、本実施形態の倉庫管理システム1において、自動運転フォークリフト10は、RFIDリーダ15を有し、RFIDリーダ15により搬送物4のパレット5に付加されているRFIDタグ7から取得した物品情報を管理装置3に送信する。管理装置3は、自動運転フォークリフト10から受信した物品情報に基づき、管理領域内で物品6の管理を行う。同様に、自動運転フォークリフト10は、ライダセンサ16により取得した自己位置情報も管理装置3に送信する。管理装置3は、自動運転フォークリフト10から受信した自己位置情報と物品情報とに基づき、管理領域内で搬送物4の位置を管理する。同様に、管理装置3は、自動運転フォークリフト10から受信した物品情報に基づき入庫用モデル37を用いて、管理領域内で搬送物4を載置すべき場所を決定して、自動運転フォークリフト10に搬送物4の載置場所を指示する。
【0172】
この構成により、自動運転フォークリフト10がパレット5を把持したり、パレット5に接近するだけで、搬送物4の物品情報を非接触で容易に取得できる。また、管理装置3は、自動運転フォークリフト10が取得した物品情報を用いて、自動的に管理領域内の物品6の管理や、搬送物4の位置の管理、搬送物4の載置場所の管理などを行うことができる。この結果、本実施形態の倉庫管理システム1は、搬送物4の管理を効率良く行うことができる。
【0173】
また、本実施形態では、管理装置3は、荷役制御では、図5図8を参照して説明したマップ作成、更新制御により作成した倉庫マップ32を利用して管理領域内で物品6の管理を行う。上述のとおり、倉庫マップ32は自動運転フォークリフト10から常時周辺情報を収集して、常に最新の管理領域の状態を把握できるように更新されるので、管理装置3は倉庫マップ32を利用することによって、管理領域の最新の状態を考慮してより適切な搬送物4の管理を行うことができる。
【0174】
さらに、管理装置3は、物品情報に基づき、該当物品6の種類、管理領域への入庫状況、管理領域からの出庫状況の少なくとも一部を含む各種情報を紐付けて、物品6の管理を行う。この構成により、管理装置3は、自動運転フォークリフト10が取得した物品情報を利用して、対象物品のさまざまな情報を自動的に関連付けることができるので、管理領域内の物品6についてこれらの情報を利用してきめ細かい管理を行うことが可能となる。
【0175】
<自動運転フォークリフト10を利用するメリット>
図15図16を参照して、倉庫管理システム1の管理領域に自動運転フォークリフト10を利用するメリットについて説明する。
【0176】
図15は、自動運転フォークリフト10の適用により倉庫2の保管効率が向上することを説明する模式図である。図15(A)は、倉庫2内の管理領域の荷役作業に手動運転フォークリフト53を利用する場合の管理領域のレイアウトの一例を示す。図15(B)は、倉庫2内の管理領域の荷役作業に自動運転フォークリフト10を利用する場合の管理領域のレイアウトの一例を示す。
【0177】
手動運転フォークリフト53は、作業員の手動操作により動作するため、本体に必ず運転席と、ハンドルやレバー等の操作装置とを設置する必要がある。一方、自動運転フォークリフト10は、管理装置3からの指令に応じて作業員無しで自律的に動作するため、運転席や操作装置は必須要件ではない。このため、自動運転フォークリフト10は、手動運転フォークリフト53に対して車幅や全長などの体格を相対的に小さくできる。
【0178】
図15(A)に示すように、手動運転フォークリフト53を利用する場合は、相対的に体格が大きいため、倉庫2内で手動運転フォークリフト53が走行するための通路22の幅も相対的に大きくなる。また、手動運転の場合、走行中に幅方向のブレなど走行の乱れが発生する可能性が高い。このため、安全性を考慮して、通路22の走行可能幅W1は、手動運転フォークリフト53の幅寸法にさらに余裕分の幅が追加する必要があり、手動運転フォークリフト53の幅寸法に対してよりもさらに広めに取られている。
【0179】
一方、図15(B)に示すように、自動運転フォークリフト10を利用する場合は、相対的に体格が小さく、かつ、手動運転の走行乱れを考慮する必要がないので、倉庫2内で自動運転フォークリフト10が走行するための通路22の走行可能幅W2は、手動運転の場合の通行可能幅W1に対して相対的に各段に小さくできる。これにより、倉庫2内の搬送物4の載置スペース21の床面積も、手動運転の場合に対して相対的に増加できるので、同一面積の倉庫2でも、自動運転フォークリフト10を利用する場合には搬送物4の保管量も増やすことが可能となり、搬送物4の保管効率を向上できる。
【0180】
図15の例からも明らかなように、倉庫管理システム1の管理領域に適用される搬送装置の体格によって倉庫2内の通路22の幅を変更する必要がある。管理装置3は、予め搬送装置の体格の情報も取得しておき、この情報に基づいて管理領域の載置スペース21と通路22との区分を調整する機能を備えるのが好ましい。
【0181】
図16は、自動運転フォークリフト10の適用により荷役作業を省力化でき、作業時間を短縮できることを説明する模式図である。図16は、図1に示した倉庫2の内部空間と、倉庫2外の積降積込エリア50とを平面視で図示している。また、図16には、積降積込エリア50にトラックなどの搬送車両54が図示されている。搬送車両54は、倉庫2へ入庫する搬送物4を搬入したり、倉庫2から出庫される搬送物4を搬出する。
【0182】
図16の例では、倉庫2の内部空間と、積降積込エリア50のうち入庫口23から入庫用載置スペース51までの領域と、出庫口25から出庫用載置スペース52までの領域とが、自動運転フォークリフト10が移動可能な、管理装置3による管理領域として設定されている。この管理領域は、「保管・入庫・出庫エリア」や「自動運転エリア」とも表現できる。
【0183】
一方、積降積込エリア50は、手動運転フォークリフト53が移動可能な領域であり、管理装置3の管理領域外となる。この領域は「手動運転エリア」とも表現できる。
【0184】
本実施形態では、図16に示すように、自動運転エリアと手動運転エリアを分け、自動運転エリアの保管・入庫・出庫作業は、自動運転フォークリフト10により自動化され、これにより、倉庫2内の荷役施業を省力化できる。一方、手動運転エリアである積降積込エリア50では、搬送車両54との積降・積込作業は、手動運転フォークリフト53により手動運転で行われる。このため、人員を要する作業は積降・積込作業のみに限定できるので、作業を省力化でき、作業員の作業負荷を軽減できる。
【0185】
自動運転フォークリフト10にはRFIDリーダ15が搭載されており、入庫の際にパレット5上の物品群6と入庫位置を自動的に紐づけることができる。これらの情報は管理装置3で一括管理され、入庫された搬送物4の保管場所や数量をリアルタイムで把握できる。これにより管理装置3が入庫・出庫の指示を自動的に自動運転フォークリフト10に出すことができる。また、配車と連動した積降・積込作業を行うことができる。さらに、管理装置3が、これまでの倉庫管理で蓄積された各種情報をもとに、入庫・出庫物品の保管場所を最適化することができるので、荷役作業の搬送距離を削減できる。これにより、荷役作業の作業時間を短縮できる。
【0186】
このように、荷役作業の作業時間を短縮できると、搬送物4の搬入や搬出のために積降積込エリア50に進入した搬送車両54の待機時間も短くできる。これにより、搬送車両54のアイドリング時間も短くできるので、カーボンニュートラルにつながる。また、搬送車両54の運転者の拘束時間を短縮できるので、運転者の負担を軽減できる。
【0187】
上記のメリットを考慮すると、本実施形態の倉庫管理システム1は、周知のWES(Warehouse Execution System:倉庫運用管理システム)に含まれると言える。WESは、WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)と、WCS(Warehouse Control System:倉庫制御システム)とを併用したシステムである。WESは在庫を正確に管理して倉庫内物流(入出庫)を円滑化するためのシステムであり、WCSは倉庫内設備をリアルタイムに制御、監視することに特化したITシステムである。
【0188】
<パレット5のRFIDタグ7で物品6を管理するメリット>
図17を参照して、パレット5のRFIDタグ7で物品6を管理するメリットについて説明する。図17は、製品(物品6)のトレサビリティ向上を説明する模式図である。図17には、上述した倉庫管理システム1の管理領域である物流倉庫2の他に、製品6を生産する生産工場60(製造元)と、製品6が納品される顧客70とが図示されている。生産工場60で生産された製品6は、RFIDタグ7が付加されたパレット5に積載された搬送物4として、運送業者によって物流倉庫2に搬入される。物流倉庫2に保管されている製品6は運送業者によって顧客70に納品される。
【0189】
生産工場60から顧客70までの一連の製品6の流れは以下のようになる。まず生産工場60において製品6が製造されると、パレット5上に複数個が載置されて一体的な搬送物4とされる。このとき、パレット5に貼付されるRFIDタグ7に製品情報(上述の物品情報)が紐づけられる。次に、生産工場60から搬送物4が出荷される際には、生産工場60の出荷口に設けられる出荷ゲート61を通過する。出荷ゲート61にはRFIDリーダが設置され、管理装置3と通信可能に接続されている。このとき、搬送物4が出荷ゲート61を通過すると、出荷ゲート61のRFIDリーダにより、パレット5に貼付されるRFIDタグ7が検知され、搬送物4が出荷された旨の情報が管理装置3に送信される。管理装置3は、パレット5のステータスを、例えば「生産工場60保管状態」から「生産工場60から出荷され運送中の状態」に変更する。
【0190】
次に、物流倉庫2において、製品6が入庫される際には、物流倉庫2の入庫口23に設けられる入庫ゲート24を搬送物4が通過する。このとき、入庫ゲート24のRFIDリーダにより、パレット5に貼付されるRFIDタグ7が検知され、搬送物4が物流倉庫2に入庫された旨の情報が管理装置3に送信される。管理装置3は、パレット5のステータスを、例えば「生産工場60から出荷され運送中の状態」から「物流倉庫2に保管状態」に変更する。
【0191】
次に、物流倉庫2から製品6が出庫される際には、物流倉庫2の出庫口25に設けられる出庫ゲート26を搬送物4が通過する。このとき、出庫ゲート26のRFIDリーダにより、パレット5に貼付されるRFIDタグ7が検知され、搬送物4が物流倉庫から出庫された旨の情報が管理装置3に送信される。管理装置3は、パレット5のステータスを、例えば「物流倉庫2に保管状態」から「物流倉庫2から出庫され運送中の状態」に変更する。
【0192】
そして、顧客70に製品6が納品される際には、顧客70の入庫口に設けられる入庫ゲート71を通過する。入庫ゲート71にはRFIDリーダが設置され、管理装置3と通信可能に接続されている。このとき、搬送物4が入庫ゲート71を通過すると、入庫ゲート71のRFIDリーダにより、パレット5に貼付されるRFIDタグ7が検知され、搬送物4が顧客70に納品された旨の情報が管理装置3に送信される。管理装置3は、パレット5のステータスを、例えば「生産工場60から出荷され運送中の状態」から「顧客70先に納品済」に変更する。
【0193】
このように、RFIDタグ7が貼付されるパレット5を利用することによって、例えば図17に示すように製品6の流通経路上の各地でRFIDタグ7を検知できる設備を設ければ、パレット5の移動に伴って製品6の流通状況の把握や在庫の管理を自動的かつ非接触で容易に行うことが可能となる。これにより、製品(物品6)のトレサビリティを簡易に向上できる。また、このようにトレサビリティを向上できると、製品の自動発注なども精度良く実施することが可能となり、倉庫2の荷役作業以外の他の作業の効率化にも繋げることができる。
【0194】
また、本実施形態では、RFIDタグ7が搬送物4のパレット5に付加され、RFIDタグ7には、パレット5に載置される物品群6に関する物品情報が記録されている。この構成により、物品群6のすべてにRFIDタグ7を貼付する工程を省略でき、物品群6の情報をパレット5のRFIDタグ7に纏めて記録できるので、物品6に関する情報をより簡易に管理装置3が収集でき、物品の管理を容易にできる。また、パレット5に載置される物品群6の荷姿は状況に応じて変動し得るが、物品群6が載置されるパレット5の形状は物品の載置状況によらず不変なので、RFIDタグ7の貼付位置も一定にできる。これにより、RFIDタグ7に情報を書き込む際にタグの貼付位置を探索する作業が不要となり、RFIDタグ7への情報の書き込み作業の手間を軽減できる。この結果、搬送物4の管理を効率良く行うことができる。
【0195】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0196】
上記実施形態では、管理装置3の管理領域内で荷役作業を行う搬送装置の一例として自動運転フォークリフト10を適用する構成を例示したが、他の要素を適用してもよい。例えば、本実施形態の自動運転フォークリフト10は、マッピングを元にルートを自動算出したり、人や障害物を検知して自動回避することができるAMR(Autonomous Mobile Robot:自律型協働ロボット)の一種である。このようなAMRとは異なり、磁気テープやワイヤなどのトラックにより予め設定される固定ルートを走行するAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)に荷役機能を持たせて、搬送装置として適用する構成でもよい。
【0197】
また、手動運転フォークリフト53を管理領域内の搬送装置として適用する構成でもよい。この場合、例えば運転席にディスプレイを設け、ディスプレイ上に荷役に関する指令を表示させ、運転席の作業員が表示された指令に応じてフォークリフトを操作することで、本実施形態の自動運転フォークリフト10と同様の荷役制御を実施できる。
【0198】
また、上記実施形態の自動運転フォークリフト10は、運転席が設けられず自律走行専用の装置を例示したが、自動運転機能を有するものであればこれに限られない。例えば手動運転フォークリフト53に自動運転機能を設けたものを、管理装置3の管理領域内で荷役作業を行う搬送装置として適用する構成でもよい。
【0199】
また、上記実施形態では、倉庫2内の管理領域に保管される搬送物4の一例として、RFIDタグ7が貼付されるパレット5と、このパレット5の上に載置される物品群6を例示したが、搬送物4の態様はこれに限られない。少なくとも搬送物4のいずれかの箇所にRFIDタグ7が貼付されていればよく、例えば物品群6の表面にRFIDタグ7が貼付される構成でもよい。
【0200】
また、搬送物4は、パレット5と物品群6とが別体ではなく一体的な構成でもよい。例えばシュリンクフィルムなどで一体的に包まれた物品群6の下部に、フォークリフトのフォーク12を挿入可能な水平方向の孔が設けられるパレット状の部材が含まれる構成などが挙げられる。
【0201】
また、搬送物4は、例えば大型のロール紙など、パレット状部材を備えないものでもよい。このような種類の搬送物を取り扱う場合には、フォークリフトによる搬送は行えないので、例えばベールクランプリフトなど他の搬送装置を適用することができる。ベールクランプリフトは、一対の把持部によって搬送物を左右両側から挟持して持ち上げて搬送することができる搬送装置である。
【0202】
また、上記実施形態では、倉庫2の入庫口23及び出庫口25にそれぞれRFIDリーダを有する入庫ゲート24と出庫ゲート26とを設ける構成を例示したが、図17を参照して説明したような製品のトレサビリティを考慮せず、倉庫2内の荷役作業の管理のみを行う場合には、RFIDリーダを有する入庫ゲート24と出庫ゲート26を設けない構成でもよい。または、入庫ゲート24と出庫ゲート26にRFIDリーダを設けない構成でもよい。
【0203】
また、上記実施形態では、自動運転フォークリフト10がRFIDリーダ15を有し、RFIDリーダ15により、搬送するパレット5に付されているRFIDタグ7から物品情報(搬送物情報)を読み取る構成を例示したが、RFIDリーダ15が自動運転フォークリフト10に設けられない構成でもよい。この場合、例えば入庫ゲート24と出庫ゲート26に設けられるRFIDリーダによって、自動運転フォークリフト10がパレット5及び物品群6を搬送しながら入庫ゲート24または出庫ゲート26を通過する際に、搬送中のパレット5に付されているRFIDタグ7からパレット5上の物品群6に関する物品情報を読み取り、管理装置3に送信する。この構成では、管理装置3は、RFIDリーダを介して物品情報を取得し、取得した物品情報に基づき倉庫2内で物品の管理を行う。また、この構成では、管理装置3は、フォークリフト10の自己位置情報を、ライダセンサ16を介して取得するとともに、搬送物4に付加されているRFIDタグ7の物品情報を、RFIDリーダを介して取得し、自己位置情報と搬送物情報とに基づき、倉庫2内で搬送物4の位置を管理する。また、この構成では、管理装置3は、搬送物4に付加されているRFIDタグ7の物品情報を、RFIDリーダを介して取得し、取得した物品情報に基づき入庫用モデル37を用いて、管理領域内で搬送物4を載置すべき場所を決定して、自動運転フォークリフト10に搬送物4の載置場所を指示する。
【0204】
この構成により、自動運転フォークリフト10にRFIDリーダ15を搭載することを省略できる。上記実施形態では、管理装置3が、物品管理データベース31や倉庫マップ32などを利用して、倉庫2内のパレット5の位置情報のデータベース管理を行っている。このような上記実施形態の構成を踏まえ、この構成においては、管理装置3は、データベースの情報だけを頼りに目的のパレット5に向けて自動運転フォークリフト10を動作させ、パレット5の入出庫を入庫ゲート24及び出庫ゲート26で管理することになる。つまり、この構成では、入庫ゲート24と出庫ゲート26に設けられるRFIDタグは、物品のトレサビリティ向上の他に、倉庫2内の搬送物4の入出庫管理や、位置の管理、載置場所の管理などを効率良く行う効果のためにも利用される。したがって、この構成でも、上記実施形態と同様に、管理装置3は、RFIDリーダを介して取得された物品情報を用いて、自動的に管理領域内の物品6の管理を行うことができるので、搬送物4の管理を効率良く行うことができる。
【符号の説明】
【0205】
1 倉庫管理システム
2 倉庫(管理領域)
21 載置スペース(ブロック)
23 入庫口
24 入庫ゲート
25 出庫口
26 出庫ゲート
3 管理装置
32 倉庫マップ
37 入庫用モデル
38 出庫用モデル
4 搬送物
5 パレット(パレット状部材)
6 物品群
7 RFIDタグ
10 自動運転フォークリフト(搬送装置)
15 RFIDリーダ
16 ライダセンサ(自己位置検出装置、周辺情報検出装置)
60 生産工場(製造元)
70 顧客
図1
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