(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129918
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】吐水ヘッド
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20230912BHJP
E03C 1/08 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
E03C1/042 B
E03C1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034261
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 友亮
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB01
2D060BC01
2D060BC11
2D060BC12
2D060BE02
2D060BF03
2D060CB03
2D060CC12
(57)【要約】
【課題】シャワー流線の乱れを適切に抑制することが可能な吐水ヘッドを提供すること。
【解決手段】吐水ヘッド5は、通水路W2を成すヘッド本体10と、ヘッド本体10の吐水面Sを成す複数の散水孔21Bを備えた散水板20と、を有する。吐水ヘッド5は、通水路W2において散水板20との間に貯留室Rを区画形成するよう間隔を空けて設けられる複数の整流孔31Aを備えた整流板30を更に有する。複数の整流孔31Aと複数の散水孔21Bとが、全てにおいて互いにヘッド周方向にずれた配置とされる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通水路を成すヘッド本体と、該ヘッド本体の吐水面を成す複数の散水孔を備えた散水板と、を有する吐水ヘッドであって、
前記通水路において前記散水板との間に貯留室を区画形成するよう間隔を空けて設けられる、前記貯留室へと通水する複数の整流孔を備えた整流板を更に有し、
複数の前記整流孔と複数の前記散水孔とが、全てにおいて互いに前記散水板の周縁に沿うヘッド周方向にずれた配置とされる吐水ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の吐水ヘッドであって、
前記ヘッド本体が、前記吐水面の中央に前記散水孔よりも大きく開口する吐水口を有し、前記吐水面からの吐水形態を前記吐水口からの吐水のみを行うストレート吐水と複数の前記散水孔からの吐水のみを行うシャワー吐水とに選択的に切り替え可能とされ、
複数の前記散水孔が、前記吐水口を環状に取り囲むように前記ヘッド周方向に整列配置される吐水ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の吐水ヘッドであって、
複数の前記散水孔が、前記ヘッド周方向に環状に並ぶように整列配置され、複数の前記整流孔が、前記ヘッド周方向において複数の前記散水孔と互い違いに並ぶよう環状に整列配置される吐水ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載の吐水ヘッドであって、
複数の前記散水孔と複数の前記整流孔とが、互いに同一円周上の位置に並ぶ配置とされる吐水ヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の吐水ヘッドであって、
複数の前記散水孔の総開口面積が、複数の前記整流孔の総開口面積よりも大きい吐水ヘッド。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の吐水ヘッドであって、
前記整流板が、前記散水板との当接により前記散水板との間に前記貯留室を空けるように突出するスペーサとしてのリブを有する吐水ヘッド。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の吐水ヘッドであって、
前記整流板と前記散水板との間に、前記整流板の前記散水板に対する前記ヘッド周方向の回転を規制するよう互いに凹凸嵌合する嵌合部が形成される吐水ヘッド。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の吐水ヘッドであって、
前記散水板の前記貯留室に臨む内面上に設けられ、前記貯留室から複数の前記散水孔へと流れ出る水流を整流するメッシュフィルタを更に有する吐水ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水ヘッドに関する。詳しくは、通水路を成すヘッド本体と、ヘッド本体の吐水面を成す複数の散水孔を備えた散水板と、を有する吐水ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、湯水を幅広く噴出させることが可能な散水板を備えた吐水ヘッド(シャワーヘッド)が開示されている。この吐水ヘッドは、ヘッド内部に流れ込んだ湯水を、吐水面を成す散水板にあけられた多数の散水孔から広く分散させて噴出する構成とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、湯水がヘッド内部に流れ込む際の流線の乱れの影響により、各散水孔から噴出されるシャワー流線に乱れが生じるおそれがある。そこで、本発明は、シャワー流線の乱れを適切に抑制することが可能な吐水ヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の吐水ヘッドは、次の手段をとる。すなわち、本発明の第1の発明は、通水路を成すヘッド本体と、該ヘッド本体の吐水面を成す複数の散水孔を備えた散水板と、を有する吐水ヘッドであって、前記通水路において前記散水板との間に貯留室を区画形成するよう間隔を空けて設けられる、前記貯留室へと通水する複数の整流孔を備えた整流板を更に有し、複数の前記整流孔と複数の前記散水孔とが、全てにおいて互いに前記散水板の周縁に沿うヘッド周方向にずれた配置とされる吐水ヘッドである。
【0006】
第1の発明によれば、整流板の全ての整流孔を散水板の全ての散水孔に対してヘッド周方向にずらす配置とすることで、貯留室において適切に水流の勢いを落とすことができる。具体的には、各整流孔を通過した水流は、そのまま各散水孔から噴出されず、散水板に一度当たって貯留室内で圧力分布が均一化されてから各散水孔から噴出される。その結果、各散水孔から噴出される水流を各散水孔の軸線に沿った流れとすることができ、各散水孔から噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0007】
本発明の第2の発明は、上記第1の発明において、前記ヘッド本体が、前記吐水面の中央に前記散水孔よりも大きく開口する吐水口を有し、前記吐水面からの吐水形態を前記吐水口からの吐水のみを行うストレート吐水と複数の前記散水孔からの吐水のみを行うシャワー吐水とに選択的に切り替え可能とされ、複数の前記散水孔が、前記吐水口を環状に取り囲むように前記ヘッド周方向に整列配置される吐水ヘッドである。
【0008】
第2の発明によれば、各散水孔がヘッド内部の流線が乱れやすい吐水面の周縁領域に整列配置されるような構成であっても、整流板により、各散水孔から噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0009】
本発明の第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、複数の前記散水孔が、前記ヘッド周方向に環状に並ぶように整列配置され、複数の前記整流孔が、前記ヘッド周方向において複数の前記散水孔と互い違いに並ぶよう環状に整列配置される吐水ヘッドである。
【0010】
第3の発明によれば、全ての散水孔から噴出されるシャワー流線の乱れをより適切に抑制することができる。
【0011】
本発明の第4の発明は、上記第3の発明において、複数の前記散水孔と複数の前記整流孔とが、互いに同一円周上の位置に並ぶ配置とされる吐水ヘッドである。
【0012】
第4の発明によれば、吐水面をヘッド径方向に大型化することなく、各散水孔から噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0013】
本発明の第5の発明は、上記第1から第4のいずれかの発明において、複数の前記散水孔の総開口面積が、複数の前記整流孔の総開口面積よりも大きい吐水ヘッドである。
【0014】
第5の発明によれば、各散水孔がこれらから噴出されるシャワー流線が乱れやすい孔径の大きな構成とされても、整流板により、シャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。したがって、各散水孔から噴出される水量を適切に確保しつつ、シャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0015】
本発明の第6の発明は、上記第1から第5のいずれかの発明において、前記整流板が、前記散水板との当接により前記散水板との間に前記貯留室を空けるように突出するスペーサとしてのリブを有する吐水ヘッドである。
【0016】
第6の発明によれば、整流板を散水板との間に間隔を空けて設けるためのスペーサを合理的に構成することができる。
【0017】
本発明の第7の発明は、上記第1から第6のいずれかの発明において、前記整流板と前記散水板との間に、前記整流板の前記散水板に対する前記ヘッド周方向の回転を規制するよう互いに凹凸嵌合する嵌合部が形成される吐水ヘッドである。
【0018】
第7の発明によれば、整流板と散水板との間に形成される直接的な嵌合構造により、整流板を散水板に対して各整流孔と各散水孔とがヘッド周方向にずれる位置に適切に保持することができる。
【0019】
本発明の第8の発明は、上記第1から第7のいずれかの発明において、前記散水板の前記貯留室に臨む内面上に設けられ、前記貯留室から複数の前記散水孔へと流れ出る水流を整流するメッシュフィルタを更に有する吐水ヘッドである。
【0020】
第8の発明によれば、各整流孔を通過した水流を、メッシュフィルタにより、貯留室に留めやすくすることができる。それにより、貯留室内で水流の圧力分布をより適切に均一化することができ、各散水孔から噴出されるシャワー流線の乱れをより適切に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態に係る吐水ヘッドの概略構成を表す斜視図である。
【
図2】吐水ヘッドを斜め下側から見た拡大斜視図である。
【
図7】整流板と散水板との間の通水路を表す展開図である。
【
図8】第2の実施形態に係る吐水ヘッドの構成を表す
図7に対応する展開図である。
【
図9】第3の実施形態に係る吐水ヘッドの構成を表す
図7に対応する展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
《第1の実施形態》
(吐水ヘッド5の概略構成)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る吐水ヘッド5の構成について、
図1~
図7を用いて説明する。なお、以下の説明において、手前、奥、上、下、左、右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。各図中に示す方向は、それぞれ、本実施形態に係る吐水ヘッド5が適用されたシングルレバー水栓1を正面に立つ使用者から見た方向となっている。以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、
図1~
図7のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る吐水ヘッド5は、不図示のキッチンカウンタのシンクの奥側の天板上に設置される、いわゆる台付きタイプのシングルレバー水栓1に組み込まれている。シングルレバー水栓1は、キッチンカウンタの天板下より供給される湯と水とを内部で混合して吐水することが可能な機能を備える。
【0025】
具体的には、シングルレバー水栓1は、上記天板の下側から供給される湯と水との混合割合を内部で調節することが可能な温調機能を備える。また、シングルレバー水栓1は、混合した湯水の吐水/止水を切り替えることが可能な吐止水の切替機能を備える。
【0026】
上記湯水の混合割合の調節と吐水/止水の切り替えは、全て、水栓本体2の手前側部に取り付けられた1本のレバーハンドル3の操作によって行われる。具体的には、使用者がレバーハンドル3を掴んで左右に回転位置を変えることにより、水栓本体2の内部に設けられた図示しない湯水混合用のカートリッジが湯水の各供給口の開度を変化させるように操作される。それにより、水栓本体2の内部で混合される湯水の混合割合が、レバーハンドル3の操作位置に応じた設定温度となるように調節される。
【0027】
また、使用者がレバーハンドル3を左右方向の任意の回転操作位置から上方に引き上げることにより、上記不図示のカートリッジが吐出口の開度を閉じた状態から徐々に開くように操作される。それにより、レバーハンドル3を引き上げる操作に伴って、その回転移動量に応じた量の湯水が、水栓本体2の上部に接続されたグースネック状の吐水パイプ4の先端に取り付く吐水ヘッド5から吐水される。
【0028】
また、使用者が上方に引き上げたレバーハンドル3を元の位置へと押し下げることにより、不図示のカートリッジの吐出口が閉じられて、吐水ヘッド5からの吐水が止められる。なお、不図示のカートリッジによる湯水の混合割合の調節及び吐水/止水の切り替えに纏わる基本構成は、特開2020-46067号公報等の文献に開示された公知の構成と同一となっている。したがって、カートリッジの具体的な構成についての説明は省略することとする。
【0029】
図2に示すように、吐水ヘッド5は、吐水パイプ4との接続箇所から先端(図示下端)に向かって切頭円錐台状に太くなる先太り形状に形成されている。吐水ヘッド5は、その手前側部に、押し込み操作式の切替ボタン6を備える構成とされる。切替ボタン6は、吐水ヘッド5の内部に組み込まれる不図示の切替弁体を一体に備える構成とされる。吐水ヘッド5は、使用者が切替ボタン6を手で押し込む操作を行う毎に、不図示の切替弁体の作動により、その吐水形態がストレート吐水とシャワー吐水とに交互に切り替えられる構成とされる。
【0030】
具体的には、吐水ヘッド5は、その切頭円錐台形状の底面となる吐水面Sが、リング板状を成す散水板20により形成されている。散水板20は、その中央に丸孔状に開口する吐水口21Aを有し、かつ、吐水口21Aを取り巻くリング板部分に環状に並ぶ多数の散水孔21Bが形成された構成とされる(
図3参照)。
【0031】
吐水ヘッド5は、切替ボタン6の押し込み操作によりストレート吐水の吐水形態へと切り替えられることで、その吐水面Sの中央の吐水口21Aのみから湯水をひとまとまりの水流となるよう吐水する。また、吐水ヘッド5は、シャワー吐水の吐水形態へと切り替えられることで、その吐水面Sの吐水口21Aの周囲に並ぶ多数の散水孔21Bのみから湯水をシャワー状に噴出する水流となるよう吐水する。
【0032】
その際、吐水ヘッド5は、その内部に組み込まれた整流板30の作用により、各散水孔21Bから噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制しながら湯水をシャワー状に噴出することができる構成とされる。以下、吐水ヘッド5の各部の具体的な構成について詳しく説明する。
【0033】
(吐水ヘッド5の各部構成)
図4~
図6に示すように、吐水ヘッド5は、通水路Wを成す円筒状のヘッド本体10と、吐水面Sを成すリング板状の散水板20と、を有する。また、吐水ヘッド5は、散水板20の内筒22と外筒23との間に図示上方から組み込まれるリング状の整流板30と、ヘッド本体10の周囲側面を覆う化粧カバー40と、を有する。ヘッド本体10、散水板20、整流板30、及び化粧カバー40は、それぞれ、インジェクション成形された樹脂部品から成る。
【0034】
ヘッド本体10は、図示上下方向に円筒状に延びる本体筒11と、本体筒11の図示下側の端部から本体筒11よりもひとまわり大きな同心状の円筒形状を成して図示下方へと延びる外筒12と、を有する段付き円筒形状に形成されている。また、ヘッド本体10は、外筒12内で本体筒11を図示下方に延出させるように円筒状に延びる内筒13を更に有する。
【0035】
また、ヘッド本体10は、本体筒11の下部の図示奥側の壁部から下方に折れ曲がり状に張り出して外筒12の天板と繋がる迂回路14を更に有する。迂回路14は、本体筒11の筒内流路と外筒12の筒内流路とを互いに連通させる連通路として機能する構成とされる。
【0036】
本体筒11は、その高さ方向の複数箇所に、周囲側面からリング板状に張り出す複数のリブ11Aが形成された構成とされる。本体筒11は、その迂回路14と繋がる下部の図示手前側の壁部に、上述した切替ボタン6が図示手前側から組み込まれ、その筒内に、切替ボタン6と一体を成す不図示の切替弁体が組み込まれる構成とされる。
【0037】
図6に示すように、ヘッド本体10は、使用者が切替ボタン6を図示手前側から奥側へと押し込む操作を行う毎に、不図示の切替弁体の作動により、その内部の通水路Wが次のように切り替えられる。すなわち、ヘッド本体10の通水路Wは、上記操作の度に、本体筒11からその直下の内筒13へと向かうストレート吐水の通水路W1と、本体筒11から迂回路14を通って外筒12と内筒13との間の流路へと向かうシャワー吐水の通水路W2と、に交互に切り替えられる。
【0038】
シャワー吐水の通水路W2は、迂回路14と外筒12の天板との接続口から外筒12の筒内流路へと導かれる。すなわち、シャワー吐水の通水路W2は、外筒12の筒内流路に対して、ヘッド周方向(筒周方向)の一部において吐水面Sへ向けた通水を行う構成とされる。シャワー吐水の通水路W2は、外筒12の筒内流路へと導かれた後、外筒12と内筒13との間で形成される流路を通ってヘッド周方向の全域へと湯水を行き渡らせる構成とされる。
【0039】
すなわち、シャワー吐水の通水路W2は、外筒12と内筒13との間のヘッド周方向の一部において上流側から湯水を通水し、通水した湯水を外筒12と内筒13との間でヘッド周方向に行き渡らせながら吐水面Sへ向けて通水する構成とされる。外筒12の内周面には、雌ねじ12Aが形成されている。
【0040】
図4~
図6に示すように、散水板20は、リング板状の板本体21と、板本体21から図示上方に向かって同心2重円筒状に張り出す内筒22及び外筒23と、を有する。板本体21は、その中央に丸孔状に貫通する吐水口21Aを有する。また、板本体21は、その吐水口21Aを取り巻くリング板部分に、吐水口21Aを同心環状に取り囲むようにヘッド周方向に並ぶ丸孔状に貫通する複数の散水孔21Bを有する。吐水口21Aは、その開口面積が各散水孔21Bの個々の開口面積よりも一桁以上大きい開口形状とされる。
【0041】
各散水孔21Bは、ヘッド周方向(リング周方向)に等間隔に計20個並んで設けられている。各散水孔21Bは、各々の孔径(孔の直径)が1.5mmの寸胴な丸孔形状とされ、ヘッド周方向に18°ずつの間隔を置いて等間隔に配置されている。
【0042】
内筒22は、板本体21の吐水口21Aの周縁に沿って図示上方に円筒状に張り出す形状とされる。外筒23は、内筒22の外周りを取り巻くように板本体21から図示上方に同心円筒状に張り出す形状とされる。外筒23は、板本体21の外周縁を残すヘッド径方向(筒径方向)の中間部位から円筒状に張り出し、内筒22との間に環状の隙間を形成する構成とされる。上述した各散水孔21Bは、板本体21の外筒23と内筒22との間に挟まれた中間領域に形成されている。
【0043】
外筒23の外周面には、雄ねじ23Aが形成されている。また、外筒23の図示下端側となる基端の外周面には、ヘッド周方向(筒周方向)に環状に延びる形に凹む環状溝23Bが形成されている。環状溝23Bには、その外周部に嵌合されるヘッド本体10の外筒12の内周面との間に密着する不図示の止水シール材としてのOリングが装着される。
【0044】
また、
図5に示すように、外筒23のヘッド径方向に対向するヘッド周方向の2箇所の位置には、内周面が筒軸方向(図示上下方向)に筋状に延びる形に窪む嵌合溝23Cが形成されている。各嵌合溝23Cは、外筒23と内筒22との間にセットされる後述する整流板30の外周面から張り出す対応する各嵌合突起31Bが図示上方からそれぞれ通されて嵌合される構成とされる。上記嵌合により、整流板30が、散水板20に対して、ヘッド周方向に回り止めされた状態にセットされる。
【0045】
上記散水板20は、次のようにヘッド本体10の外筒12内に図示下方から螺合されて接続される。すなわち、先ず、散水板20の内筒22と外筒23との間に後述する整流板30を図示上方から通してセットすると共に、内筒22の図示上端部にゴム製のパッキンPをセットする。そして、散水板20の外筒23の雄ねじ23Aをヘッド本体10の外筒12の雌ねじ12Aに螺合させ、散水板20の板本体21の外周部がヘッド本体10の外筒12の図示下端部に当接する位置まで締め付ける。
【0046】
それにより、
図6に示すように、散水板20の内筒22が、ヘッド本体10の内筒13に対して、パッキンPを介して図示下方から突き当てられて、互いに水密な状態に接続される。また、散水板20の外筒23が、ヘッド本体10の外筒12に対して、不図示のOリングを介してヘッド径方向の内側から嵌合されて、互いに水密な状態に接続される。
【0047】
上記接続により、散水板20は、その内筒22の筒内流路が、ヘッド本体10のストレート吐水の通水路W1を成す内筒13の筒内流路とのみ連通する状態にセットされる。また、散水板20は、その内筒22と外筒23との間の流路が、ヘッド本体10のシャワー吐水の通水路W2を成す内筒13と外筒12との間の流路とのみ連通する状態にセットされる。
【0048】
それにより、散水板20は、ヘッド本体10のストレート吐水の通水路W1を通って流された湯水を、内筒22の筒内流路へと通して吐水口21Aから吐水することが可能となる。また、散水板20は、ヘッド本体10のシャワー吐水の通水路W2を通って流された湯水を、内筒22と外筒23との間の流路へと通して各散水孔21Bからシャワー状に噴出することが可能となる。
【0049】
図4~
図6に示すように、整流板30は、円筒状の板本体31と、板本体31の底面の外周縁から図示下方に円筒状に張り出すリブ32と、を有する。板本体31は、上述した散水板20の内筒22と外筒23との間の環状の隙間内に図示上方から通されてセットされる構成とされる。
【0050】
板本体31は、上記散水板20の内筒22と外筒23との間の環状の隙間内に図示上方から通されることにより、内筒22の外周面と外筒23の内周面とにそれぞれヘッド径方向に緩やかに嵌合する状態にセットされる。板本体31は、中身の詰まった中実の円筒形状とされるが、そのヘッド周方向(筒周方向)の複数箇所に、筒軸方向(図示上下方向)に丸孔状に貫通する整流孔31Aが形成された構成とされる。
【0051】
各整流孔31Aは、板本体31の内周縁と外周縁との間の中間部位に、ヘッド周方向(筒周方向)に等間隔に計20個並んで設けられている。各整流孔31Aは、各々の孔径(孔の直径)が1mmの寸胴な丸孔形状とされ、ヘッド周方向に18°ずつの間隔を置いて等間隔に配置されている。
【0052】
すなわち、各整流孔31Aは、上述した各散水孔21Bと同様、ヘッド周方向に等間隔に計20個並んで設けられた構成とされる。また、各整流孔31Aは、各散水孔21Bよりも個々の孔径が小さな丸孔形状とされる。それにより、各整流孔31Aは、これらの孔の開口面積を足し合わせた総開口面積が、各散水孔21Bの個々の孔の開口面積を足し合わせた総開口面積よりも小さい構成とされる。具体的には、各整流孔31Aの総開口面積は、15.7mm2とされ、各散水孔21Bの総開口面積は、その2倍以上3倍以下となる35.3mm2とされる。
【0053】
図5に示すように、上記板本体31の外周面には、そのヘッド径方向に対向するヘッド周方向の2箇所の位置に、筒軸方向(図示上下方向)に筋状に延びる形に突出する嵌合突起31Bが形成されている。各嵌合突起31Bは、板本体31を散水板20の内筒22と外筒23との間の環状の隙間内に図示上方から通す際、散水板20の外筒23の内周面に形成された対応する各嵌合溝23Cに図示上方から通される。
【0054】
それにより、整流板30は、散水板20に対して、ヘッド周方向に回り止めされた状態にセットされる。上記組み付けにより、
図6に示すように、整流板30は、その板本体31の底面の外周縁から図示下方に張り出すリブ32が、散水板20の板本体21の上面に当接する。詳しくは、整流板30のリブ32は、散水板20の各散水孔21Bをヘッド径方向の外側に外れた位置で、散水板20の板本体21の上面に当接する。
【0055】
それにより、整流板30は、その板本体31が、散水板20の板本体21との間に、筒軸方向(図示上下方向)の間隔を空けた状態にセットされる。その結果、整流板30の板本体31と散水板20の板本体21との間に、内筒22と外筒23との間を流れるシャワー吐水の通水路W2を区画する貯留室Rが形成される。また、上記組み付けにより、整流板30は、各整流孔31Aが、散水板20の各散水孔21Bに対して、互いにヘッド径方向の配置が重なる同一円周上の位置で、ヘッド周方向に互い違いに並ぶ配置となる状態にセットされる。
【0056】
具体的には、
図3及び
図7に示すように、整流板30の各整流孔31Aは、散水板20の各散水孔21Bに対して、個々の孔が各散水孔21Bの孔と孔との間の中央位置に配置されるよう、ヘッド周方向に互い違いに並ぶ状態にセットされる。それにより、整流板30の各整流孔31Aと散水板20の各散水孔21Bとは、互いのヘッド径方向の配置は重なるものの、ヘッド周方向の配置は重ならず、筒軸方向(図示上下方向)から見た時の孔の重なりが全くない状態に配置される状態とされる。
【0057】
上記整流板30は、散水板20との間に、
図5で前述した各嵌合突起31Bが各嵌合溝23Cにヘッド径方向に凹凸嵌合する嵌合部Tが形成された構成より、各整流孔31Aと各散水孔21Bとが互いにヘッド周方向にずれて位置する状態に適切に保持されるようになっている。
【0058】
図6~
図7に示すように、上記貯留室Rを形成する整流板30の設置により、シャワー吐水の通水路W2を通って各散水孔21Bから噴出される湯水のシャワー流線の乱れが適切に抑制されるようになる。具体的には、上記整流板30の組み付けにより、シャワー吐水の通水路W2を流れる湯水は、その全てが、整流板30の各整流孔31Aを通って散水板20の各散水孔21Bへと流れるようになる。その際、整流板30の各整流孔31Aを下流側へと流れ出た湯水は、そのまま散水板20の各散水孔21Bへと流れ込むのではなく、一旦、これらの間に形成された貯留室Rへと流れ込む。
【0059】
図7に示すように、各整流孔31Aから貯留室Rへと流れ込んだ湯水は、各整流孔31Aと対向する散水板20の板本体21と衝突する。その理由は、散水板20の各散水孔21Bが、整流板30の各整流孔31Aとはヘッド周方向にずれて位置するためである。そして、貯留室Rにおいて散水板20に衝突した湯水は、貯留室Rの内部でヘッド周方向に広がりながら貯留室Rに滞留する。それにより、貯留室R内に流れ込んだ湯水は、貯留室R内で水流の勢いが落とされると共に圧力分布が均一化されてから、各散水孔21Bから噴出されることとなる。
【0060】
その結果、各散水孔21Bから噴出される水流を各散水孔21Bの軸線に沿った流れとすることができ、各散水孔21Bから噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。特に、本実施形態のように、シャワー吐水の通水路W2が
図6で前述したように迂回路14を通るヘッド周方向の一部から通水を行いヘッド周方向の全域へと行き渡らせるような圧力分布が偏りやすい構成であっても、上記整流作用により、各散水孔21Bから噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0061】
詳しくは、上述したように、散水板20に形成される各散水孔21Bは、整流板30に形成される各整流孔31Aよりも総開口面積の広い構成とされている。そのため、各散水孔21Bと各整流孔31Aとの配置がずれて貯留室R内に湯水が滞留しやすい構成とされていても、貯留室R内に湯水を過度に滞留させることなく、総開口面積の広い各散水孔21Bから整流した湯水を円滑に噴出することができる。また、各整流孔31Aが各散水孔21Bよりも小径の孔形状とされることで、シャワー吐水の通水路W2内に異物やコンタミが紛れ込むことがあっても、小径の各整流孔31Aにより異物やコンタミを適切に捕獲して各散水孔21Bに目詰まりを起こしにくくすることができる。
【0062】
以上をまとめると、第1の実施形態に係る吐水ヘッド5は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0063】
すなわち、吐水ヘッド(5)は、通水路(W2)を成すヘッド本体(10)と、ヘッド本体(10)の吐水面(S)を成す複数の散水孔(21B)を備えた散水板(20)と、を有する。吐水ヘッド(5)は、通水路(W2)において散水板(20)との間に貯留室(R)を区画形成するよう間隔を空けて設けられる、貯留室(R)へと通水する複数の整流孔(31A)を備えた整流板(30)を更に有する。複数の整流孔(31A)と複数の散水孔(21B)とが、全てにおいて互いに散水板(20)の周縁に沿うヘッド周方向にずれた配置とされる。
【0064】
上記のように、整流板(30)の全ての整流孔(31A)を散水板(20)の全ての散水孔(21B)に対してヘッド周方向にずらす配置とすることで、貯留室(R)において適切に水流の勢いを落とすことができる。具体的には、各整流孔(31A)を通過した水流は、そのまま各散水孔(21B)から噴出されず、散水板(20)に一度当たって貯留室(R)内で圧力分布が均一化されてから各散水孔(21B)から噴出される。その結果、各散水孔(21B)から噴出される水流を各散水孔(21B)の軸線に沿った流れとすることができ、各散水孔(21B)から噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0065】
また、ヘッド本体(10)が、吐水面(S)の中央に散水孔(21B)よりも大きく開口する吐水口(21A)を有し、吐水面(S)からの吐水形態を吐水口(21A)からの吐水のみを行うストレート吐水と複数の散水孔(21B)からの吐水のみを行うシャワー吐水とに選択的に切り替え可能とされ、複数の散水孔(21B)が、吐水口(21A)を環状に取り囲むようにヘッド周方向に整列配置される。上記構成によれば、各散水孔(21B)がヘッド内部の流線が乱れやすい吐水面(S)の周縁領域に整列配置されるような構成であっても、整流板(30)により、各散水孔(21B)から噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0066】
また、複数の散水孔(21B)が、ヘッド周方向に環状に並ぶように整列配置される。複数の整流孔(31A)が、ヘッド周方向において複数の散水孔(21B)と互い違いに並ぶよう環状に整列配置される。上記構成によれば、全ての散水孔(21B)から噴出されるシャワー流線の乱れをより適切に抑制することができる。
【0067】
また、複数の散水孔(21B)と複数の整流孔(31A)とが、互いに同一円周上の位置に並ぶ配置とされる。上記構成によれば、吐水面(S)をヘッド径方向に大型化することなく、各散水孔(21B)から噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0068】
また、複数の散水孔(21B)の総開口面積が、複数の整流孔(31A)の総開口面積よりも大きい。上記構成によれば、各散水孔(21B)がこれらから噴出されるシャワー流線が乱れやすい孔径の大きな構成とされても、整流板(30)により、シャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。したがって、各散水孔(21B)から噴出される水量を適切に確保しつつ、シャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0069】
また、整流板(30)が、散水板(20)との当接により散水板(20)との間に貯留室(R)を空けるように突出するスペーサとしてのリブ(32)を有する。上記構成によれば、整流板(30)を散水板(20)との間に間隔を空けて設けるためのスペーサを合理的に構成することができる。
【0070】
また、整流板(30)と散水板(20)との間に、整流板(30)の散水板(20)に対するヘッド周方向の回転を規制するよう互いに凹凸嵌合する嵌合部(T)が形成される。上記構成によれば、整流板(30)と散水板(20)との間に形成される直接的な嵌合構造により、整流板(30)を散水板(20)に対して各整流孔(31A)と各散水孔(21B)とがヘッド周方向にずれる位置に適切に保持することができる。
【0071】
《第2の実施形態》
続いて、本発明の第2の実施形態に係る吐水ヘッド5の構成について、
図8を用いて説明する。本実施形態に係る吐水ヘッド5は、貯留室Rを形成する散水板20の板本体21の図示上側の面上に積層状に設けられる金属製のメッシュフィルタFを更に備える構成とされる。メッシュフィルタFは、
図5で前述した、散水板20の内筒22と外筒23との間の環状の隙間内に図示上方から通されて散水板20の板本体21上にセットされる構成とされる。
【0072】
上記組み付けにより、メッシュフィルタFは、散水板20の各散水孔21Bを上流側から全て覆う状態にセットされる。それにより、メッシュフィルタFは、その網目構造により、貯留室Rから各散水孔21Bへと流れ出る湯水の流れに抵抗を付与して湯水を貯留室R内により滞留させやすくする。
【0073】
詳しくは、メッシュフィルタFは、貯留室R内において散水板20に衝突した湯水が、貯留室R内でヘッド周方向に広がる動きに抵抗を付与して湯水を貯留室R内により滞留させやすくする。また、メッシュフィルタFは、湯水が各散水孔21Bに向かって通過する際、湯水の流れに均等な圧力損失を発生させて整流する。また、メッシュフィルタFは、通過する湯水に異物やコンタミが紛れ込むことがあっても、その網目構造により異物やコンタミを適切に捕獲して各散水孔21Bに目詰まりを起こしにくくすることができる。
【0074】
上記以外の構成は、第1の実施形態で示した吐水ヘッド5と実質的に同一の構成となっている。したがって、第1の実施形態で示した構成と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0075】
以上をまとめると、第2の実施形態に係る吐水ヘッド5は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0076】
すなわち、吐水ヘッド(5)は、散水板(20)の貯留室(R)に臨む内面上に設けられ、貯留室(R)から複数の散水孔(21B)へと流れ出る水流を整流するメッシュフィルタ(F)を更に有する。上記構成によれば、各整流孔(31A)を通過した水流を、メッシュフィルタ(F)により、貯留室(R)に留めやすくすることができる。それにより、貯留室(R)内で水流の圧力分布をより適切に均一化することができ、各散水孔(21B)から噴出されるシャワー流線の乱れをより適切に抑制することができる。
【0077】
《第3の実施形態》
続いて、本発明の第3の実施形態に係る吐水ヘッド5の構成について、
図9を用いて説明する。本実施形態に係る吐水ヘッド5は、整流板30に形成される各整流孔31Cが、散水板20に形成される各散水孔21Bと互いに同一の孔径(孔の直径)を有する丸孔形状とされた構成とされる。各整流孔31Cの孔の個数とヘッド周方向の配置間隔は、第1の実施形態で示した各整流孔31A(
図7参照)と同一である。
【0078】
それにより、各整流孔31Cと各散水孔21Bとは、各々の総開口面積が互いに同一とされている。このような構成であっても、各整流孔31Cと各散水孔21Bとが、全てにおいて互いにヘッド周方向にずれた配置とされることで、各散水孔21Bから噴出されるシャワー流線の乱れを適切に抑制することができる。
【0079】
上記以外の構成は、第1の実施形態で示した吐水ヘッド5と実質的に同一の構成となっている。したがって、第1の実施形態で示した構成と同一の構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0080】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を3つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0081】
1.本発明の吐水ヘッドは、いわゆるハンドシャワーやオーバヘッドシャワーのシャワーヘッドとして構成されるものであっても良い。また、吐水ヘッドは、その吐水面からの吐水形態が中央の吐水口からのストレート吐水と周囲の各散水孔からのシャワー吐水とに切り替えられるタイプの他、吐水面全体に多数の散水孔が形成されて、シャワー吐水のみを行うタイプの構成にも適用することができるものである。
【0082】
2.散水板の各散水孔及び整流板の各整流孔は、それぞれ、丸孔以外の孔形状から成るものであっても良い。また、各散水孔は、必ずしも全ての孔が同一の孔径から成るものでなくても良く、大きさや形が不揃いの組み合わせから成るものであっても良い。各整流孔も同様である。また、各散水孔がヘッド周方向に環状に並ぶように整列配置される場合において、各散水孔はヘッド周方向に不等間隔に並ぶように配置されていても良い。各整流孔も同様である。
【0083】
また、各散水孔は、多重円状に何重にも環状に並ぶように整列配置される構成であっても良い。各整流孔も同様である。各整流孔は、各散水孔と全てにおいて互いにヘッド周方向にずれた配置とされていれば良く、ヘッド径方向の配置は重なっていてもずれていてもどちらでも構わない。
【0084】
3.整流板と散水板との間に貯留室を形成するためのスペーサは、散水板から突出して整流板に当接するリブの他、整流板から突出して散水板に当接するリブであっても良い。または、これらの間に挟まれて配置される環状のスペーサから成るものであっても良い。散水板或いは整流板からリブを突出させてスペーサを形成する場合、必ずしもリブを環状に繋がった形に形成しなくても良く、ヘッド周方向の複数箇所にリブを断続的に突出させるように形成しても良い。
【0085】
4.整流板を散水板に対してヘッド周方向に回り止めするようこれらを互いに凹凸嵌合させる嵌合部は、整流板を散水板に対して板厚方向(重ね合わせ方向)に凹凸嵌合させるものであっても良い。また、整流板と散水板のどちらに凹と凸とが形成される構成であっても良い。
【0086】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0087】
1…シングルレバー水栓、2…水栓本体、3…レバーハンドル、4…吐水パイプ、5…吐水ヘッド、6…切替ボタン、10…ヘッド本体、11…本体筒、11A…リブ、12…外筒、12A…雌ねじ、13…内筒、14…迂回路、20…散水板、21…板本体、21A…吐水口、21B…散水孔、22…内筒、23…外筒、23A…雄ねじ、23B…環状溝、23C…嵌合溝、30…整流板、31…板本体、31A…整流孔、31B…嵌合突起、31C…整流孔、32…リブ、40…化粧カバー、P…パッキン、S…吐水面、T…嵌合部、F…メッシュフィルタ、W…通水路、W1…通水路、W2…通水路、R…貯留室