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特開2023-129928レンズ駆動ユニットおよびこれを備えたレンズ鏡筒
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129928
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】レンズ駆動ユニットおよびこれを備えたレンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20230912BHJP
   H02K 41/03 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G02B7/04 E
H02K41/03 A
G02B7/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034289
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】藤中 広康
【テーマコード(参考)】
2H044
5H641
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE07
2H044BE10
2H044BE20
5H641BB06
5H641GG03
5H641GG06
5H641GG07
5H641HH02
5H641HH05
5H641JA09
(57)【要約】
【課題】より重いレンズをスムーズに駆動するために従来よりも推力を向上させることが可能なレンズ駆動ユニットおよびこれを備えたレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】レンズ駆動ユニット10は、2相のコイル212と、界磁ユニット205とを備えている。2相のコイル212は、光軸方向において前後に移動可能であってレンズを保持するフォーカスレンズ枠210に固定され、レンズの光軸と略直交する方向に巻線軸を有し、光軸方向に沿って並べて配置されている。界磁ユニット205は、光軸方向に沿って交互に配置されたN極およびS極を有し、光軸を中心とする径方向において2相のコイル212を挟み込むように、2相のコイル212の径方向における両側に対向する位置に配置されている。コイル212は、界磁ユニット205に対して2相のコイル212を1組として、光軸方向に並んで2組以上配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向において前後に移動可能であってレンズを保持する第1移動枠に固定され、前記レンズの光軸と略直交する方向に巻線軸を有し、前記光軸方向に沿って並べて配置されたn相のコイルと、
前記光軸方向に沿って交互に配置されたN極およびS極を有し、前記光軸を中心とする径方向において前記n相のコイルを挟み込むように、前記n相のコイルの前記径方向における両側に対向する位置に配置された第1界磁部と、
を備え、
前記コイルは、前記第1界磁部1つに対し、前記n相のコイルを1組として、前記光軸方向に並んで2組以上配置されている、
レンズ駆動ユニット。
(nは、2以上の整数である。)
【請求項2】
前記n相のコイルは、2相のコイルである、
請求項1記載のレンズ駆動ユニット。
【請求項3】
前記第1界磁部とともに前記光軸の周囲を囲む様に配置された第2界磁部を、さらに備えている、
請求項1または2記載のレンズ駆動ユニット。
【請求項4】
前記第1移動枠を前記光軸方向において前後に移動可能な状態で支持する主軸を、さらに備え、
前記第1界磁部および前記第2界磁部は、前記レンズを保持した前記第1移動枠の重心と前記主軸を通る平面を挟んで両側に配置されている、
請求項3記載のレンズ駆動ユニット。
【請求項5】
前記第1界磁部および前記第2界磁部とともに、前記光軸の周囲を囲む様に配置された第3界磁部を、さらに備えている、
請求項3または4に記載のレンズ駆動ユニット。
【請求項6】
レンズを保持する第2移動枠をさらに備え、
前記第2移動枠には、前記第1界磁部1つに対して前記n相のコイルが固定されており、
前記第1移動枠と前記第2移動枠とが、別々に駆動される、
請求項1から4いずれか1項に記載のレンズ駆動ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のレンズ駆動ユニットと、
前記レンズを保持しており、前記n相のコイルが固定されるとともに、前記レンズ駆動ユニットによって前記光軸方向において前後に駆動される第1移動枠と、
を備えたレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、レンズを光軸方向に沿って前後に駆動するレンズ駆動ユニットおよびこれを備えたレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ鏡筒のレンズ枠体を光軸方向に移動させるために、高速に応答が可能なリニアモータが使用されている。
近年、撮像装置に用いられる撮像素子は、高画素化、ダイナミックレンジの向上等を目的としてサイズの大型化が進んでいる。
撮像素子が大型化すると、必然的に、レンズ鏡筒に使用されるレンズも大型化し、レンズの質量も大きくなる。よって、大型化したレンズを駆動するアクチュエータには、従来よりも推力が高いものが要求される。
【0003】
そこで、本出願人は、より高い推力を発生可能なリニアモータを提案している(特許文献1)。
特許文献1には、リニアモータの界磁部を多極化し2相駆動を行うことにより、リニアモータの推力密度を向上させることができ、さらに、磁気飽和の課題を解決することにより、長ストローク化が容易なリニアモータについて開示されている。
【0004】
また、コイルを挟み込むように、コイルの両側に対向する位置に、光軸方向に沿って配置された磁石を設けることにより、更に推力向上を図ることが出来る構成について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-213433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の構成では、以下のような課題を有している。
すなわち、上記特許文献1に開示されたリニアモータによって、従来よりも重いレンズを駆動することが可能になるものの、上記構成のみでは、推力向上には限界があり、より重いレンズを駆動できる様にするためには、更なる改良が必要であった。
本開示は、より重いレンズをスムーズに駆動するために従来よりも推力を向上させることが可能なレンズ駆動ユニットおよびこれを備えたレンズ鏡筒を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るレンズ駆動ユニットは、n相のコイルと、第1界磁部と、を備えている。n相のコイルは、光軸方向において前後に移動可能であってレンズを保持する移動枠に固定され、レンズの光軸と略直交する方向に巻線軸を有し、光軸方向に沿って並べて配置されている。第1界磁部は、光軸方向に沿って交互に配置されたN極およびS極を有し、光軸を中心とする径方向においてn相のコイルを挟み込むように、n相のコイルの径方向における両側に対向する位置に配置されている。コイルは、第1界磁部に対し、n相のコイルを1組として、光軸方向に並んで2組以上配置されている(nは、2以上の整数である。)。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るレンズ駆動ユニットによれば、従来よりも推力を向上することが可能になり、より質量が大きいレンズを光軸方向において前後に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示のレンズ駆動ユニットを備えたレンズ鏡筒を示す全体斜視図である。
図2図2は、図1のレンズ鏡筒の分解斜視図である。
図3図3は、図2のレンズ鏡筒に含まれる2群ユニットの分解斜視図である。
図4A図4Aは、実施形態1のレンズ駆動ユニットの磁気回路構成を示す光軸方向から見た正面図である。
図4B図4Bは、実施形態1のレンズ駆動ユニットの磁気回路構成を示す平面図である。
図4C図4Cは、実施形態1のレンズ駆動ユニットの磁気回路構成を示す側面図である。
図5図5は、図4CのX部分の拡大図である。
図6A図6Aは、比較例1のボイスコイルモータの磁気回路構成を示す光軸方向から見た正面図である。
図6B図6Bは、比較例1のボイスコイルモータの磁気回路構成を示す平面図である。
図6C図6Cは、比較例1のボイスコイルモータの磁気回路構成を示す側面図である。
図7A図7Aは、比較例2(先行文献1)のレンズ駆動ユニットの磁気回路構成を示す光軸方向から見た正面図である。
図7B図7Bは、比較例2(先行文献1)のレンズ駆動ユニットの磁気回路構成を示す平面である。
図7C図7Cは、比較例2(先行文献1)のレンズ駆動ユニットの磁気回路構成を示す側面図である。
図8図8は、レンズ駆動ユニットの特性を比較した図である。
図9図9は、レンズ駆動ユニットの特性を比較した図である。
図10図10は、図3の2群レンズユニットの光軸方向から見た、力学的バランスを示す説面図である。
図11図11は、実施形態2に係るレンズ駆動ユニットの構成を示す斜視図である。
図12図12は、図11のレンズ駆動ユニットの分解斜視図である。
図13図13は、図11のレンズ駆動ユニットの断面図である。
図14図14は、従来のボイスコイルモータに複数のコイルを使用した場合を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。また、以下の実施の形態の説明において、平行、垂直、直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現が用いられるが、これらの表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば、数%程度の差異を含むことも意味する。
【0011】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施形態1)
本開示の一実施形態に係るレンズ駆動ユニットおよびこれを備えたレンズ鏡筒100について、図1図9を用いて説明すれば以下の通りである。
【0012】
(1)レンズ鏡筒100の構成概要
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係るレンズ鏡筒100の構成について説明する。図1は、図1は、本実施形態1に係るレンズ鏡筒100構成概要を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るレンズ鏡筒100の分解斜視図である。
レンズ鏡筒100は、図1に示すように、レンズ交換式カメラ用のレンズ鏡筒であって、カメラ本体(図示せず)に対して着脱自在に取り付けられている。レンズ鏡筒100は、図2に示すように、外装ユニット101、1群ユニット102、2群ユニット103、絞りユニット104、3群ユニット105、4群ユニット106、回路基板ユニット107、レンズマウントユニット108を備えている。
そして、レンズ鏡筒100は、外装ユニット101からレンズマウントユニット108が組み付けられた状態で、レンズマウントユニット108を介して、カメラ本体に取り付けられる。
【0013】
外装ユニット101は、レンズ鏡筒100の外郭を形成する略円筒状の部材であって、最も外周側に配置される。
1群ユニット102は、略円筒状の部材であって、1群レンズを内包しており、外装ユニット101の内周面側に配置されている。
2群ユニット103は、フォーカスレンズを保持する略円筒状の部材であって、後述するフォーカスレンズ209(図3参照)を光軸方向において前後に駆動するためのレンズ駆動ユニット10(図3参照)を備えている。そして、2群ユニット103は、外装ユニット101の内周面側に配置される。
【0014】
絞りユニット104は、略円環状の部材であって、可動羽根を駆動して開口部分の面積を変化させることにより、レンズ鏡筒100のレンズ部分を透過する光の量を調整するために、2群ユニット103と3群ユニット105との間に設けられている。
3群ユニット105は、手振れ補正用レンズを保持する略円筒状の部材であって、手振れ補正用レンズを光軸と垂直な面内において駆動する。そして、3群ユニット105は、外装ユニット101の内周面側に配置される。
【0015】
4群ユニット106は、固定レンズを保持する略円筒状の部材であって、外装ユニット101の内周面側に配置される。
回路基板ユニット107は、レンズ鏡筒100を駆動するためユニットであって、電気部品や電気接点部等が実装されたプリント基板を含む。そして、回路基板ユニット107は、3群ユニット105の像面側と、4群ユニット106外周と、外装ユニット101内周の間の空間に収容されている。
【0016】
レンズマウントユニット108は、レンズ鏡筒100をカメラ本体(図示せず)に接続固定するための接続用構成部材であって、外装ユニット101の像面側の端面に固定される。
(2)2群ユニット
次に、2群ユニット103の構成について詳細に説明する。
【0017】
(2-1)全体構成
まず、本実施形態に係る2群ユニット103の全体的な構成について説明する。
図3は、2群ユニット103の分解斜視図である。図3に示すように、2群ユニット103は、被写体側から像面側に向かって、固定枠201、主軸202および副軸203、フレキシブルプリント基板204、界磁ユニット205、フォーカスレンズユニット206、保持枠207を備えている。
【0018】
固定枠201は、2群ユニット103の最も被写体側に配置された略円環状の部材であって、主軸202、副軸203、および界磁ユニット(第1界磁部、第2界磁部)205の被写体側の端部を保持する。
フレキシブルプリント基板204には、MR(Magneto Resistive)センサ208が接続され、固定枠201の外周部に巻き付ける状態で固定されている。
【0019】
フォーカスレンズユニット206は、フォーカスレンズ209、フォーカスレンズ枠(第1移動枠)210、MR(Magneto Resistive)マグネット211、コイル212を備えている。
フォーカスレンズ209は、フォーカスレンズ枠210の内周部に固定される。
MRマグネット211は、フォーカスレンズ枠210の外周部に固定される。
【0020】
コイル212は、フォーカスレンズ枠210の外周部に、1つの界磁ユニット205に対して、光軸方向に沿って並べて配置された2相(2つ)を1組として2組、合計4個が固定されている。また、2組4個のコイル212は、周方向において略等角度間隔で、フォーカスレンズ枠210の外周面における3か所に配置されている。よって、本実施形態では、2相2組が3カ所に設けられた合計12個のコイル212が、フォーカスレンズ枠210の外周部に固定されている。
【0021】
なお、2相のコイル212とは、界磁ユニット205に対して、フォーカスレンズ209の光軸に直交する方向に沿って配置された巻き線軸を中心に、電線が巻回されたコイルが光軸方向に沿って2つ、対向配置された構成を意味している。
主軸202および副軸203は、それぞれ、フォーカスレンズユニット206の挿入孔210b,210cに挿入されており、光軸Lの方向に沿って配置されている。そして、主軸202および副軸203は、光軸Lの方向におけるフォーカスレンズユニット206の移動をガイドする。また、主軸202、副軸203および界磁ユニット205は、像面側の端部が保持枠207に固定されている。
【0022】
保持枠207は、複数のネジ213を用いて、固定枠201に対して固定される。
これにより、フォーカスレンズユニット206は、主軸202に沿って、かつ主軸202を中心とする回動を副軸203によって規制されながら、光軸Lの方向において駆動される。
MRマグネット211は、フォーカスレンズユニット206の位置を検出する位置検出部材の一例である。
【0023】
MRセンサ208は、上記位置検出センサの一例である。
MRマグネット211は、組み付けられた状態においてMRセンサ208の近傍に配置されるように、フォーカスレンズユニット206に設けられている。このため、MRマグネット211を含むフォーカスレンズユニット206が光軸Lの方向において前後に移動すると、MRセンサ208が、MRセンサ208に対するMRマグネット211の相対位置の変化によって生じる磁界の変化を検出する。
【0024】
これにより、MRセンサ208の出力を検出することで、固定枠201に対するフォーカスレンズユニット206の位置を検出することができる。
なお、本実施形態では、位置検出センサの一例としてMRセンサが用いられているが、例えば、フォトカプラ等の他の位置検出センサが用いられてもよい。
また、本実施形態では、位置検出部材の一例としてMRマグネットが用いられているが、例えば、反射ミラー等の他の位置検出部材が用いられてもよい。
【0025】
コイル212は、後述するレンズ駆動ユニット10を構成する部材であって、フォーカスレンズ枠210に固定配置されており、撮影状態において界磁ユニット205の隙間に挿入される状態で保持されている。
(2-2)レンズ駆動ユニット10の構成
以下では、界磁ユニット205、およびコイル212を含むレンズ駆動ユニット10の構成について詳しく説明する。
【0026】
レンズ駆動ユニット10は、光軸Lの方向において前後に、フォーカスレンズユニット206を駆動する装置である。
以下では、説明の便宜上、図3の構成から3個設けられている界磁ユニット205および、それに対応するコイル212のうち、1個の界磁ユニット205およびそれに対応するコイル212のみを取り出して説明する。
【0027】
図4A図4Cは、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット10の構成を示す3面図、図5は、図4CのX部分の拡大図である。
ヨークA215、ヨークB216は、鉄製の板金をプレス加工で打ち抜いて作成されている。そして、ヨークA215、ヨークB216は、図4A図4Cに示すように、平板状の部材である。
【0028】
メインマグネット217およびサブマグネット218は、例えば、Nd系の焼結磁石であって、それぞれ単極着磁されている。サブマグネット218は、メインマグネットの半分の光軸方向の幅を有している。
界磁ユニット205は、図4A図5に示すように、光軸方向の両端部にサブマグネット218、その間に9個のメインマグネット217が、コイル212と対向する面の着磁がN極、S極交互に規則的に並ぶ様に、ヨークA215、ヨークB216に対してそれぞれに固定されて構成されている。
【0029】
コイル212は、図4Cの紙面において上側からA相、B相、-A相、-B相の順番に並べられている。コイルA相、-A相は、直列接続されており、コイルB相、-B相も直列接続されている。
以下、この様に、1つの界磁ユニット205に対して2相のコイルA相、B相(または-A相、-B相)を1組として、光軸方向に沿って2組以上並べた構成をタンデム構成と称する。
【0030】
ここで、コイル212と、界磁ユニット205の位相関係に応じて、コイルA相、-A相およびコイルB相、-B相に、位相が90°ずれた電流を通電すると、コイル212は、ローレンツ力を受け、光軸方向に駆動される。
より詳細には、固定枠201側に界磁ユニット205、フォーカスレンズユニット206側にコイル212がそれぞれ固定されているため、コイル212に通電することにより、フォーカスレンズユニット206が、固定枠201に対して光軸方向に駆動される。
【0031】
(2-3)レンズ駆動ユニット10と比較例1,2との特性比較
ここで、図4A図4Cに示す本実施形態のレンズ駆動ユニット10の特性を明確にするため、図6A図6Cに示す従来のボイスコイルモータ(比較例1)、および、図7A図7Cに示す特許文献1に開示されコイルを2個のみ使用した基本構成のレンズ駆動ユニット(比較例2)の特性を比較して説明する。
【0032】
図8は、レンズ駆動ユニット10と比較例1,2との特性を比較した表である。
図8において、図6A図6Cに示す比較例1のボイスコイルモータと、図7A図7Cに示す比較例2のレンズ駆動ユニットとは、突起部を除く界磁部のサイズ、およびコイル抵抗値を合わせた範囲で、可能な限り推力が高くなる設計を行った場合を示している。
ここで、図6A図6Cに示す比較例1のボイスコイルモータと、図7A図7Cに示す比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニットの特性について比較する。
【0033】
まずは、サイズについて比較すると、図8に示すように、図6A図6Cに示す比較例1のボイスコイルモータと、図7A図7Cに示す比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニットとは、界磁部のサイズは、ほぼ同等(厚み10mm、幅24mm、長さ35mm)である。
なお、界磁部は、メインヨーク、サブヨーク、マグネットを含む部分であって、(コイルにローレンツ力を発生させるための)固定磁界を発生させる部分を意味している。
【0034】
一方、比較例1のボイスコイルモータは、図6Aに示すように、界磁部からコイルが図中下向きに突出している為、実質的には、比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニットより一回り大きい。
また、推力に関しては、図8に示すように、比較例1のボイスコイルモータの最大推力が0.68Nであるのに対し、比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニットは、1.10Nとおよそ62%最大推力が大きい。
【0035】
これは、比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニットは、比較例1のボイスコイルモータと比較して、圧倒的に推力が高いということ示している。また、比較例1のボイスコイルモータで、コイルが突出している分、比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニットを大型化すれば、この差は更に大きくなることは明らかである。
次に、図7A図7Cに示す比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニットと、図4A図4Cに示す本実施形態のレンズ駆動ユニット10の特性を比較する。
【0036】
まずは、サイズについて比較すると、図8に示すように、図4A図4Cに示す本実施形態のレンズ駆動ユニット10は、光軸方向における長さ(50mm)が、比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニット(35mm)と比較して、メインマグネット3個分(コイル2個分)に相当する15mm光軸方向に長くなっている。
また、推力に関しては、図8に示すように、基本構成のレンズ駆動ユニットは1.10Nであるのに対し、本実施形態のレンズ駆動ユニット10は1.55Nと、およそ41%推力が高くなっていることが分かる。
【0037】
これは、図4A図4Cに示す本実施形態のレンズ駆動ユニット10では、1つの界磁ユニット205に対し2相のコイルを1組として2組以上直列に並べたタンデム構成を採用したことにより、光軸方向には少し長くなるものの、その他の寸法は全く同じ寸法を維持したまま、推力を高くすることができることを示している。
(2-4)レンズ駆動ユニット10を複数設けた構成との特性比較
上記では、レンズ駆動ユニット10を単体で用いた構成の特性について説明したが、以下は、レンズ駆動ユニット10を複数個用いた場合の特性について説明する。
【0038】
図9は、レンズ駆動ユニットを複数用いた場合の特性を比較した表である。
ここで、比較例2の基本構成のレンズ駆動ユニットを2個使いした場合(図9の「×2構成」)の特性について簡単に説明する。
通常、レンズ駆動ユニットを2個使用した場合、単純に考えると、推力は2倍になりそうであるが、同じレンズ駆動ユニットを2個並列で使用した場合、消費電力も2倍になってしまう。
【0039】
レンズ交換式カメラ用のレンズ鏡筒の場合には、レンズ鏡筒内で使用される電力は、カメラ本体側から供給されるが、カメラ本体からレンズ鏡筒に供給できる電力は上限が決まっており、レンズ駆動ユニットに使用できる電力も上限が決まっている。
このため、レンズ駆動ユニットを2個含むレンズ鏡筒では、レンズ駆動ユニット1個当たりに供給できる電力は半分になり、推力は2倍にはならない。したがって、特性を比較する際は、全体の消費電力を合わせた条件で比較することが適当である。
【0040】
図9では、レンズ駆動ユニットで消費される電力が一定となる様に、コイルの巻線仕様を調整した場合の特性を比較した結果を示している。
比較例2の基本構成を2つ(×2構成)用いた構成)(図9の上段参照)の場合、最大推力は1.55Nとなり、比較例2の基本構成(図9の上段参照)の最大推力1.10Nよりおよそ41%高くなる。
【0041】
よって、上記(2-3)で説明した図4A図4Cに示す本実施形態のタンデム構成のレンズ駆動ユニット10単体の特性と同等であることが分かる。
ここで、比較例2の基本構成を2つ(×2構成)用いた構成と、本実施形態のレンズ駆動ユニット10のタンデム構成とを比較すると、本実施形態のタンデム構成は、比較例2と比べて、15mm光軸方向に長くなっているものの、光軸方向における投影面積、全体の体積としては大幅に小さくなっていることが分かる。
【0042】
特に、永久磁石の使用量は、本実施形態のタンデム構成では、比較例2の基本構成2つの構成(×2構成)の71%と大幅に少なくなっている。Nd系の焼結磁石には、Nd(ネオジウム)、Dy(ディスプロシウム)等の希土類金属が使用されている。このため、質量当たりの価格が非常に高い傾向にあるが、磁石の使用量を少なくすることにより、同じ出力のレンズ駆動ユニットでもコストを低減することができる。
【0043】
また、本実施形態の構成では、比重の大きいヨークや永久磁石の使用量を少なくできるので軽量化も可能である。
更に、図9において、比較例である基本構成と、本実施形態のレンズ駆動ユニット10を3つ含む(タンデム×3)構成を比較すると、基本構成の最大推力が1.10Nであるのに対し、本実施形態のレンズ駆動ユニット10を3つ含む(タンデム×3)構成は2.67Nと約2.4倍の推力が発生できることが分かる。
【0044】
なお、この推力は、図6A図6Cおよび図8に示す比較例1のボイスコイルモータ単体の推力0.68Nのおよそ3.9倍にも達する。
この様に、レンズ駆動ユニットを複数個備える(=界磁ユニットを複数個使用する。)とともに、本実施形態のレンズ駆動ユニット10のように、1つの界磁ユニットに対して2相のコイルを1組として2組以上直列に並べたタンデム構成にする構成を組み合わせて使用することにより。従来よりも推力を向上させることができる。よって、従来の構成では、駆動することが困難であった質量が大きいレンズを光軸方向において前後に駆動することができる。
【0045】
なお、レンズに使用される硝材の比重は、3から5程度が一般的である。よって、大質量のレンズとは、通常、1枚のレンズの質量が大きいというより、図3に示したフォーカスレンズ209の様に、複数枚のレンズを使用したものが多い。
このため、質量の大きいレンズは、必然的に光軸方向にある程度の長さがある場合が多い。したがって、質量が大きいレンズを駆動する場合は、駆動部の光軸方向長さがある程度長くても許容され易い。
【0046】
以上の様に、レンズ駆動ユニット10として許容される範囲で、レンズ駆動ユニット10をタンデム構成にすると共に、複数のレンズ駆動ユニット10を組み合わせた構成とすることにより、限られたレンズ鏡筒のサイズの中で、光軸を中心とする周方向と光軸方向とのスペースを共に有効活用し、より質量が大きいレンズを駆動できるレンズ駆動ユニット10を提供できる。
【0047】
なお、図9では、タンデム構成として1つの界磁ユニットに対して、コイルが4個(2相のコイルが2組)使用された構成で説明したが、コイルが6個(2相のコイルが3組)以上使用された構成であってもよい。
また、上記実施形態では、2相のコイル212を用いてフォーカスレンズユニット206を光軸方向において前後に駆動する場合について説明したが、n相(nは、2以上の整数)のコイルを用いて駆動する構成であれば、3相以上のコイルであってもよい。
【0048】
例えば、3相駆動する場合は、1つの界磁ユニットに対して、コイルを3個1組の単位で光軸方向に並べて使用する。
ただし、3相駆動するためには、コイルを3個1組の単位で光軸方向に並べて使用する必要があり、2相駆動の場合よりコイル1組当たりの光軸方向長さが長くなり易い。
また、コイルを複数組並べる場合も、光軸方向長さの制約によってコイルを何組並べるかの選択肢が少なくなるおそれがある。
【0049】
よって、1つの界磁ユニットに対して2つのコイルを光軸方向に沿って並べた2相駆動の方が、設計自由度が高いと言える。
(2-5)レンズ駆動ユニット10を複数備えた構成の留意点
上記では、タンデム構成を備えたレンズ駆動ユニット10を複数組み合わせて用いることで、推力を向上することにより、より質量が大きいレンズを駆動できることを示した。しかし、レンズを含むレンズユニット(可動部)が重くなった場合、可動部の振動、特に、主軸202の外周面とフォーカスレンズ枠210の挿入孔210bの内周面との間のクリアランスによって生じるガタに伴う振動が発生し易くなるため、振動を抑えるための工夫が必要である。
【0050】
以下、レンズ駆動ユニット10を複数組み合わせて用いる場合に発生しやすい振動を抑える方法について、図10を用いて説明する。
図10は、本実施形態1のフォーカスレンズユニット206を、光軸方向における被写体側から見た図である。
図10において、フォーカスレンズユニット206が一定速で移動する場合や、低い周波数、小振幅で往復動作するような場合、フォーカスレンズユニット206に加わる力は、コイル212a,212b,212cによって発生する推力と、主軸202とフォーカスレンズ枠210と間において発生する摩擦力が支配的となる。
【0051】
図10において、コイル212a,212b,212cは、レンズの光軸中心C1を中心として、3か所均等に配置されているので、コイル212a,212b,212cが発生する推力の推力中心は、光軸中心C1と一致している。また、主軸202とフォーカスレンズ枠210との間において発生する摩擦力は、コイル212a,212b,212cの推力と反対向きの方向となる。
【0052】
したがって、フォーカスレンズユニット206が一定速で移動する場合や、低い周波数、小振幅で往復動作するような場合は、フォーカスレンズ枠210は、主軸202を中心として、コイル212a,212b,212cによる推力中心が光軸方向前後に振動するモードでガタ振動する。
一方、図10において、フォーカスレンズユニット206が、高い周波数、大振幅で往復動作するような場合は、フォーカスレンズユニット206が、同じ位置に留まろうとする慣性力が支配的となる。このため、フォーカスレンズユニット206は、可動部重心G1の中心付近を支点として、コイル212a,212b,212cの推力中心が前後に振動するモードでガタ振動する。
【0053】
なお、可動部重心G1とは、フォーカスレンズ209が固定されたフォーカスレンズ枠210を含むフォーカスレンズユニット206等の固定枠201に対して移動可能な可動部分を構成する全ての部材の重心となる位置を意味している。
また、上記の中間(中間の周波数、中振幅で往復動作する)の場合、可動部重心G1と、主軸202を通る平面上の、可動部重心G1から主軸202の間のいずれかの点を支点としてガタ振動する。
【0054】
ここで、コイル212a,212b,212cの推力中心と、振動の支点とを近付けることにより、フォーカスレンズユニット206に加わるモーメント力が小さくなることにより、ガタ振動が小さくなる。
なお、コイル212a,212b,212cの推力は、高い周波数、大振幅で往復動作する際に一番大きくなる。このため、可動部重心G1を、コイル212a,212b,212cの推力中心に略一致させた場合には、ガタ振動が大きくなり易い“高い周波数、大振幅で往復動作する”場合でも、振動を抑制することができる。
【0055】
したがって、様々な駆動条件で駆動される場合を考慮すると、可動部重心G1を、コイル212a,212b,212cの推力中心に略一致させると、ガタ振動を抑制することができる。
しかしながら、本実施形態1のレンズ鏡筒100の場合、上述したように、外周は略円筒形状であって、内周は中心にフォーカスレンズ209があり、周方向には、主軸202、副軸203、MRセンサ208、MRマグネット211等、複数の部品が配置されている。よって、界磁ユニット205a,205b,205cおよびコイル212a,212b,212cが配置される場所は制約される。
【0056】
本実施形態1では、図10に示すように、界磁ユニット205a,205b,205cが、フォーカスレンズ209の光軸中心C1を中心とする周方向において略等角度間隔で3つ配置され、その間に、他の部品が配置されている。
この様に、界磁ユニット205a,205b,205cの配置に制約がかかる場合は、界磁ユニット205a,205cが、可動部重心G1と主軸202を通る平面P1を挟んで両側に配置されている。すなわち、図10に示すように、界磁ユニット205aと界磁ユニット205cとが、可動部重心G1と主軸202とを通る平面P1を挟んで両側に配置されている。
【0057】
これにより、コイル212a,212b,212cの推力中心を、ガタ振動の支点となる可動部重心G1と主軸202を通る平面P1とに近付けることができる。
このため、ガタ振動の支点に対して、コイル212a,212b,212cの推力中心を近付けることができるので、ガタ振動を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態のレンズ駆動ユニット10では、上述したように、1つの界磁ユニット205に対してn相(2相)のコイルが、径方向における両側から界磁ユニット205に挟み込まれるように配置されている。
【0058】
これにより、フォーカスレンズ枠210には、光軸方向に交差する方向において余計な力が掛かることを回避して、レンズ鏡筒100が装着されたカメラによって撮影された際の像ブレの発生を抑制することができる。
(実施形態2)
上記実施形態1では、質量の大きいレンズを駆動するために、本開示の技術を適用した例を挙げて説明したが、本開示の技術は、質量が大きいレンズを駆動するためだけではなく、別の目的に使用する場合も有効である。
【0059】
以下、実施形態2では、複数のレンズ枠を駆動する為に、本開示の技術を適用した例について説明する。
図11は、本実施形態2のレンズ駆動ユニットの斜視図である。
図12は、本実施形態2のレンズ駆動ユニットの分解斜視図である。
図13は、本実施形態2のレンズ駆動ユニットの斜視図である。
【0060】
図14は、比較例としての従来型ボイスコイルモータにおいて複数のコイルを駆動した場合の説明図である。
図11から図13において、本実施形態2のレンズ駆動ユニットは、1つの界磁ユニットに対してコイルが2組使用されている点については上記実施形態1と同様である。一方、本実施形態2では、図12に示すように、2個で1組とする2組のコイル212Aおよび212B、が、それぞれ別々のレンズ枠(第1移動枠)210Aおよびレンズ枠(第2移動枠)210Bに固定され、独立して駆動制御されている点で異なる。
【0061】
以下、図11から図13に示す本実施形態2の構成について、詳しく説明する。
図12において、A群レンズユニット206Aは、A群レンズ209A、A群レンズ枠(第1移動枠)210A、A群コイル212Aを備える。
A群レンズ209Aは、図13に示すように、レンズ枠210Aに固定されている。レンズ枠210Aの外周面には、A群コイル212Aが固定されている。
【0062】
同様に、B群レンズユニット206Bは、B群レンズ209B、B群レンズ枠(第2移動枠)210B、B群コイル212Bを備える。
B群レンズ209Bは、図13に示すように、レンズ枠210Bに固定されている。レンズ枠210Bの外周面には、B群コイル212Bが固定されている。
主軸202Aおよび副軸203Bは、それぞれ、A群レンズユニット206A、B群レンズユニット206Bの挿入孔に挿入された状態で、光軸Lの方向に沿って配置されている。そして、主軸202Aおよび副軸203Bは、光軸Lの方向におけるA群レンズユニット206AおよびB群レンズユニット206Bの移動をガイドする。
【0063】
本実施形態のレンズ鏡筒では、以上のように、2本の軸(主軸202Aおよび副軸203B)を、2つのレンズユニット(A群レンズユニット206AおよびB群レンズユニット206B)で共有する。
これにより、2つのレンズユニットを別々の軸によってガイドする構成と比較して、構成を簡素化することができるとともに、軸の取り付け誤差による、A群レンズ209AとB群レンズ209Bの間の相対精度(偏心、傾き)のバラツキを抑えることができる。
【0064】
(3)本実施形態2の構成と比較例(従来型ボイスコイルモータ)との比較
ここで、このような本実施形態の構成の利点について、従来型ボイスコイルモータにおいて、1つの界磁部に2つのコイルを設けた構成と比較して説明する。
図14は、従来型ボイスコイルモータに、2つのコイルを使用した場合の説明図である。図14において、メインヨーク315に2つのコイル312A、312Bが設けられた以外の構成は、図6A図6Cに示したボイスコイルモータと同様である。
【0065】
図14に示す従来型ボイスコイルモータに、2つのコイルを使用した場合において、2つのコイル312A、312Bそれぞれの可動範囲を確保しようとすると、永久磁石317およびメインヨーク315は、必然的に光軸方向に長くなる。
永久磁石317およびメインヨーク315を光軸方向に長くすると、メインヨーク315、およびサブヨーク316が磁気飽和し易くなる。そのため、単純に光軸方向に長くすると、永久磁石317の性能を引き出せなくなり、推力が下がってしまう。
【0066】
一方、図11から図13に示す、本実施形態2の構成によれば、界磁ユニット205を光軸方向に長くする場合は、磁石の極数を増やすことにより、磁気飽和には全く影響を及ぼさずに長くすることができ、推力が下がることはない。
また更に、図14に示した、従来型ボイスコイルモータに、2つのコイルを使用した場合、メインヨーク315に、2つのコイル312A、312Bが券回されている状態となっている。このため、変圧器(トランス)と同様に、コイル312Aに通電すると、コイル312Bに、誘導電圧が発生する状態になる。したがって、コイル312Aとコイル312Bに流す電流を別々に制御しようとしても、各々のコイル312A,312Bの相互作用を受け、正確に制御することが難しくなる。
【0067】
一方、図11から図13に示す、本実施形態2の構成によれば、コイル212A、コイル212Bは、それぞれ空芯コイルとなっており、各々のコイル212A,212Bが他のコイルに影響を及ぼすことは殆ど無く、各々のコイル212A,212Bに流れる電流を容易に制御することができる。
以上のように、本実施形態2の構成によれば、界磁ユニット205を光軸方向に長くしても、磁気飽和の影響を受ないため、コイル212A,212Bの推力が下がることを回避することができる。また、1つの界磁ユニット205に対して複数組のコイル212A,212Bを組み合わせた場合でも、コイル212A,212Bの間の相互作用が殆ど無いため、制御が容易になるという有用な効果が得られる。
【0068】
なお、上記実施形態2では、1つの界磁ユニットに対して2つのレンズユニット(A群・B群レンズユニット206A,206B)を組み合わせた構成を例示して説明したが、3つ以上のレンズユニットを組み合わせた構成であってもよい。
また、駆動対象となるレンズユニットとしては、フォーカスレンズを含むフォーカスレンズユニットに限らず、ズームレンズユニット、像振れ補正ユニット、絞りユニット等、他の移動枠であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示のレンズ駆動ユニットは、小型化を図りつつ、レンズの駆動範囲における端部まで必要な推力を得てレンズを駆動することができるという効果を奏することから、レンズを駆動するアクチュエータとして広く適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 カメラ本体
10 レンズ駆動ユニット
100 レンズ鏡筒
101 外装ユニット
102 1群ユニット
103 2群ユニット
104 絞りユニット
105 3群ユニット
106 4群ユニット
107 基板ユニット
108 レンズマウントユニット
201 固定枠
202、202A 主軸
203、203B 副軸
204 フレキシブルプリント基板
205 界磁ユニット(第1・第2界磁部)
205A 界磁ユニット(第1界磁部)
205B 界磁ユニット(第3界磁部)
205C 界磁ユニット(第2界磁部)
206、206A、206B フォーカスレンズユニット
207 保持枠
208 MRセンサ
209 フォーカスレンズ
209A A群レンズ
209B B群レンズ
210 フォーカスレンズ枠(第1移動枠)
210A A群レンズ枠(第1移動枠)
210B B群レンズ枠(第2移動枠)
211 MRマグネット
212、212a、212b コイル
212A A群コイル
212B B群コイル
213 ネジ
215 メインヨーク
216 サブヨーク
217 メインマグネット
218 サブマグネット
C1 光軸中心
G1 可動部重心
L 光軸
P1 平面
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14