(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129964
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】肌着型装束
(51)【国際特許分類】
A41B 9/04 20060101AFI20230912BHJP
A41C 3/00 20060101ALI20230912BHJP
A61G 17/06 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
A41B9/04 Z
A41B9/04 F
A41C3/00 Z
A61G17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034344
(22)【出願日】2022-03-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年2月12日に開催された「足立発ヒット前」において公開
(71)【出願人】
【識別番号】521097998
【氏名又は名称】株式会社ETOE
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 絵美
(72)【発明者】
【氏名】植松 美奈子
【テーマコード(参考)】
3B128
3B131
【Fターム(参考)】
3B128EA01
3B128EB16
3B128EB27
3B128EB31
3B128EC09
3B131AA13
3B131AA30
3B131BA34
3B131BA43
3B131BB01
3B131BB08
3B131BB15
3B131BB20
(57)【要約】
【課題】着用し易く汚物の漏れを防ぎながら人生最後の旅立ちの際の美しさを演出可能な生前着用するような肌着型装束を提供する。
【解決手段】肌着型装束は、身体を仰向けにした状態で前記身体の下腹部を背面側から立体的に覆うように装着可能な肌着型装束であって、前記身体の臀部側に配置される後身頃と、前記下腹部の正面側に配置される前身頃と、これらを繋ぐ股布と、を備え、前記後身頃及び前記前身頃は、前記身体への装着時に両側脇部が結合手段によって接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体を仰向けにした状態で前記身体の下腹部を背面側から立体的に覆うように装着可能な肌着型装束であって、
前記身体の臀部側に配置される後身頃と、
前記下腹部の正面側に配置される前身頃と、
これらを繋ぐ股布と、
を備え、
前記後身頃及び前記前身頃は、前記身体への装着時に両側脇部が結合手段によって接続される
肌着型装束。
【請求項2】
前記結合手段は、面ファスナ及び結び紐の少なくとも一つからなる
請求項1記載の肌着型装束。
【請求項3】
前記股布は、左右両脇部に設けられ、前記身体への装着時に股下内側に向けて立ち上がる脇マチ部を有する
請求項1又は2記載の肌着型装束。
【請求項4】
前記後身頃、前記前身頃及び前記股布は、前記身体に向く側の面に設けられ、展開状態において前記股布を中心に配置される矩形短冊状の吸水パッドを取付支持するための取付バンドを有する
請求項1~3のいずれか1項記載の肌着型装束。
【請求項5】
前記後身頃、前記前身頃及び前記股布は、布帛生地を表地とし防水布を裏地とした二重構造の生地からなる
請求項1~4のいずれか1項記載の肌着型装束。
【請求項6】
前記後身頃及び前記前身頃は、前記身体への装着時に足口となる左右両脇部にそれぞれ設けられた装飾布を有する
請求項1~5のいずれか1項記載の肌着型装束。
【請求項7】
前記後身頃及び前記前身頃は、前記後身頃の前記装飾布の左右両端部及び前記前身頃の前記左右両脇部にそれぞれ設けられ、前記身体への装着時に互いに結ばれる留め紐を有する
請求項6記載の肌着型装束。
【請求項8】
身体を仰向けにした状態で前記身体の胸部を背面側から立体的に覆うように装着可能な肌着型装束であって、
前記胸部の背面側に前記身体の左右方向に沿って延びるように配置されるバックベルト部と、
前記バックベルト部の前記左右方向の両端側にそれぞれ接続され、前記胸部への装着時に左右の胸を覆うように配置されるカップ部と、
を備え、
前記カップ部は、前記バックベルト部との接続端部と前記左右方向に反対側の端部に設けられた結合手段によって、前記胸部の前中心側で接続される
肌着型装束。
【請求項9】
前記結合手段は、面ファスナ及び結び紐の少なくとも一つからなる
請求項8記載の肌着型装束。
【請求項10】
前記バックベルト部及び前記カップ部は、前記左右方向と直交する前記身体の上下方向における上端部にそれぞれ設けられ、前記身体への装着時に互いに結ばれる肩紐を有する
請求項8又は9記載の肌着型装束。
【請求項11】
前記カップ部は、内部にパッドを着脱可能なポケット部を有すると共に、前記前中心側の側縁部に装飾部材を取付可能な取付手段を有する
請求項8~10のいずれか1項記載の肌着型装束。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌着型装束に関する。
【背景技術】
【0002】
死装束について一般的に重要なことは、硬直状態の身体に装着し易いという点である。その点を重視しつつ、通常のドレスの美しさに比べて遜色がないように工夫を凝らした女性用の洋風の死装束(例えば、特許文献1参照)が知られている。この死装束は、身体の胸部から下を包む胴衣を、左右いずれか一方で縫合された背面布地と前面布地とで形成し、これらを留め紐で結ぶことによって、身体を覆うように包んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された死装束は、葬儀の際にご遺体に着せるものであるため、その内部に肌着を着用すること等は想定されておらず、汚物の漏れを防ぐ紙おむつや質素な布を肌着代わりに着用した上で、身体を包むように装着されるのが通例である。このような現状に対して、着用し易く汚物の漏れ等がないことを前提としつつも、せめても納棺までの間には生前着用するような素敵な肌着を装束としてまとい、人生最後の旅立ちの際の美しさを演出させたいという要望がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、着用し易く汚物の漏れを防ぎながら人生最後の旅立ちの際の美しさを演出可能な生前着用するような肌着型装束を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る肌着型装束は、身体を仰向けにした状態で前記身体の下腹部を背面側から立体的に覆うように装着可能な肌着型装束であって、前記身体の臀部側に配置される後身頃と、前記下腹部の正面側に配置される前身頃と、これらを繋ぐ股布と、を備え、前記後身頃及び前記前身頃は、前記身体への装着時に両側脇部が結合手段によって接続される。
【0007】
本発明の一実施形態において、前記結合手段は、面ファスナ及び結び紐の少なくとも一つからなる。
【0008】
本発明の他の実施形態において、前記股布は、左右両脇部に設けられ、前記身体への装着時に股下内側に向けて立ち上がる脇マチ部を有する。
【0009】
本発明の更に他の実施形態において、前記後身頃、前記前身頃及び前記股布は、前記身体に向く側の面に設けられ、展開状態において前記股布を中心に配置される矩形短冊状の吸水パッドを取付支持するための取付バンドを有する。
【0010】
本発明の更に他の実施形態において、前記後身頃、前記前身頃及び前記股布は、布帛生地を表地とし防水布を裏地とした二重構造の生地からなる。
【0011】
本発明の更に他の実施形態において、前記後身頃及び前記前身頃は、前記身体への装着時に足口となる左右両脇部にそれぞれ設けられた装飾布を有する。
【0012】
本発明の更に他の実施形態において、前記後身頃及び前記前身頃は、前記後身頃の前記装飾布の左右両端部及び前記前身頃の前記左右両脇部にそれぞれ設けられ、前記身体への装着時に互いに結ばれる留め紐を有する。
【0013】
本発明に係る他の肌着型装束は、身体を仰向けにした状態で前記身体の胸部を背面側から立体的に覆うように装着可能な肌着型装束であって、前記胸部の背面側に前記身体の左右方向に沿って延びるように配置されるバックベルト部と、前記バックベルト部の前記左右方向の両端側にそれぞれ接続され、前記胸部への装着時に左右の胸を覆うように配置されるカップ部と、を備え、前記カップ部は、前記バックベルト部との接続端部と前記左右方向に反対側の端部に設けられた結合手段によって、前記胸部の前中心側で接続される。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記結合手段は、面ファスナ及び結び紐の少なくとも一つからなる。
【0015】
本発明の他の実施形態において、前記バックベルト部及び前記カップ部は、前記左右方向と直交する前記身体の上下方向における上端部にそれぞれ設けられ、前記身体への装着時に互いに結ばれる肩紐を有する。
【0016】
本発明の更に他の実施形態において、前記カップ部は、内部にパッドを着脱可能なポケット部を有すると共に、前記前中心側の側縁部に装飾部材を取付可能な取付手段を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、着用し易く汚物の漏れを防ぎながら人生最後の旅立ちの際の美しさを演出可能な生前着用するような肌着型装束を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る肌着型装束の展開状態を正面視で示す正面図である。
【
図2】同肌着型装束の前身頃の折り返し状態を背面視で示す背面図である。
【
図3】同肌着型装束の前身頃と後身頃の接続状態を前面視で示す正面図である。
【
図4】同肌着型装束を展開した状態で身体に装着させる前の様子を示す正面図である。
【
図5】同肌着型装束の身体への装着後の様子を示す正面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る肌着型装束の展開状態を背面視で示す背面図である。
【
図7】同肌着型装束を展開した状態で身体に装着させる前の様子を示す正面図である。
【
図8】同肌着型装束の身体への装着後の様子を示す正面図である。
【
図9】同肌着型装束の変形例の身体への装着後の様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る肌着型装束を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、以下の実施形態において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、実施形態においては、各構成要素の配置、縮尺及び寸法等が誇張或いは矮小化されて、実際のものとは一致しない状態で示されている場合、並びに一部の構成要素につき記載が省略されて示されている場合がある。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る肌着型装束の展開状態を正面視で示す正面図である。また、
図2は肌着型装束の前身頃の折り返し状態を背面視で示す背面図、
図3は肌着型装束の前身頃と後身頃の接続状態を前面視で示す正面図である。更に、
図4は肌着型装束を展開した状態で身体に装着させる前の様子を示す正面図、
図5は肌着型装束の身体への装着後の様子を示す正面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る肌着型装束1は、例えば女性用のショーツタイプとして適用され得るものである。肌着型装束1は、身体を仰向けにした状態から、身体の下腹部を背面側から立体的に覆うように装着可能な構造を採用することで、硬直状態の身体に対し容易に着用させることができるように形成されている。
【0022】
なお、本実施形態においては、上下方向、左右方向、背面及び前面(正面)等の方向及び向きの定義は、通常とは異なり仰向け状態の身体を基準とした場合の方向及び向きを指すものとする。従って、例えば身体の上下方向といった場合は、通常の鉛直方向を指すのではなく、水平方向における頭の先からつま先に至る方向を指すものとする。これに伴い、上端或いは下端等の方向及び向きを伴う文言も、仰向け状態の身体を基準とした場合の文言とする。
【0023】
肌着型装束1は、身体の臀部側に配置される後身頃10と、身体の下腹部の正面側に配置される前身頃20と、これら後身頃10及び前身頃20を繋ぐように間に設けられた股布30と、を備える。これら後身頃10、前身頃20及び股布30は、例えばサテン生地やシフォン生地等の伸縮性の無い布帛生地を表地とし、防水布を裏地として重ね合わせた、後身頃10の上端縁から前身頃20の上端縁まで連続する二重構造の生地からなる。
【0024】
図1及び
図2に示すように、後身頃10は、左側脇部11Lに縫合された第1左結合部12Lと、同じく左側脇部11Lの上端近傍に縫合された第1左結び紐3Lと、を有する。また、後身頃10は、右側脇部11Rに縫合された第1右結合部12Rと、同じく右側脇部11Rの上端近傍に縫合された第1右結び紐3Rと、を有する。
【0025】
また、後身頃10は、身体への装着時に足口となる左脇部13Lに縫合された後側左装飾布14Lと、同じく足口となる右脇部13Rに縫合された後側右装飾布14Rと、を有する。後側左装飾布14Lの左端部14Laの中央近傍位置には、第1左留め紐4Lが縫合され、後側右装飾布14Rの右端部14Raの中央近傍位置には、第1右留め紐4Rが縫合されている。
【0026】
後身頃10の第1左結合部12L及び第1右結合部12Rは、それぞれ左側脇部11L及び右側脇部11Rから、身体の左右方向の外側に向かって延出するように縫合されている。これら第1左結合部12L及び第1右結合部12Rは、後述する前身頃20の第2左結合部22L及び第2右結合部22Rとの接触面が、未接続の状態においては背面側に向くように縫合されている。
【0027】
図1及び
図3に示すように、前身頃20は、左側脇部21L近傍の裏地表面側に縫合された第2左結合部22Lと、左側脇部21Lの上端近傍に縫合された第2左結び紐5Lと、を有する。また、前身頃20は、右側脇部21R近傍の裏地表面側に縫合された第2右結合部22Rと、右側脇部21Rの上端近傍に縫合された第2右結び紐5Rと、を有する。
【0028】
また、前身頃20は、身体への装着時に足口となる左脇部23Lに縫合された前側左装飾布24Lと、同じく足口となる右脇部23Rに縫合された前側右装飾布24Rと、を有する。左脇部23Lの中央近傍位置には、第2左留め紐6Lが縫合され、右脇部23Rの中央近傍位置には、第2右留め紐6Rが縫合されている。なお、後側左右装飾布14L,14R及び前側左右装飾布24L,24Rは、サテン、シフォン、又はその他の布帛生地とレース生地とを合わせて形成されている。
【0029】
前身頃20の第2左結合部22L及び第2右結合部22Rは、それぞれ左側脇部21L及び右側脇部21Rの近傍において、後身頃10の第1左結合部12L及び第1右結合部12Rとの接触面が、展開状態且つ未接続の状態においては、身体の正面側に向くように縫合されている。
【0030】
後身頃10の第1左結合部12L及び前身頃20の第2左結合部22Lは、結合手段としての面ファスナを構成する。同じく後身頃10の第1右結合部12R及び前身頃20の第2右結合部22Rは、結合手段としての面ファスナを構成する。なお、面ファスナは、フック側ファスナとループ側ファスナとが面で接触し着脱可能に結合するものである。また、後身頃10の第1左結び紐3L及び前身頃20の第2左結び紐5Lは、結合手段としての結び紐を構成する。同じく後身頃10の第1右結び紐3R及び前身頃20の第2右結び紐5Rは、結合手段としての結び紐を構成する。
【0031】
股布30は、左脇部33Lに縫合された左脇マチ部34Lと、右脇部33Rに縫合された右脇マチ部34Rと、を有する。なお、左右脇マチ部34L,34Rも、サテン生地と防水布を重ね合わせた二重構造の生地からなる。左脇マチ部34Lは、その左端部に沿って縫合されたゴム部材36Lを有する。右脇マチ部34Rは、その右端部に沿って縫合されたゴム部材36Rを有する。
【0032】
なお、後身頃10は、上端部に沿って縫合されたゴム部材71を有し、前身頃20は、上端部に沿って縫合されたゴム部材72を有する。また、後身頃10、前身頃20及び股布30の左脇部13L,23L,33L及び右脇部13R,23R,33Rには、それぞれゴム部材73L,73Rが縫合されている。なお、上述した各縫合箇所近傍には、ギャザー処理が施されていてもよい。
【0033】
更に、後身頃10、前身頃20及び股布30は、身体に向く側の面である裏地表面側に、身体の左右方向に沿って延び、且つ裏地との間に矩形短冊状の吸水パッド9(
図1及び
図4参照)を挟持可能に縫合された弾性を有する取付バンド15,25,35を有する。吸水パッド9は、例えば展開状態において股布30を中心に長手方向が上下方向となるように後身頃10及び前身頃20にわたって配置され、取付バンド15,25,35により支持される。
【0034】
このように構成された肌着型装束1では、後身頃10及び前身頃20は、下腹部への装着時に、まず、それぞれの左側脇部11L,21L同士、及び右側脇部11R,21R同士が、第1及び第2左結合部12L,22L並びに第1及び第2右結合部12R,22Rによって接続される。
【0035】
すなわち、肌着型装束1の実際の装着に際しては、まず、
図4に示すように、肌着型装束1を展開状態にして吸水パッド9をセットした後、後身頃10上に臀部がくるように身体Bを仰向けに載置する。そして、
図2に示す状態となるように、前身頃20を股下Buから下腹部の前面側に折り返した上で、第1左結合部12L及び第1右結合部12Rを下腹部の脇に沿って折り曲げる。
【0036】
その後、
図3に示す状態となるように、前身頃20の第2左結合部22L及び第2右結合部22Rを、折り曲げた第1左結合部12L及び第1右結合部12Rの接触面と接触させて、後身頃10及び前身頃20の左側脇部11L,21L同士及び右側脇部11R,21R同士を接続させるようにする。これにより、肌着型装束1は、下腹部を覆う一つの肌着のように立体的且つ容易に身体Bに着用させることができる。
【0037】
なお、後身頃10及び前身頃20の第1及び第2左結合部12L,22Lは、いずれか一方がフック側でいずれか他方がループ側の面ファスナであればよい。同様に、第1及び第2右結合部12R,22Rは、いずれか一方がフック側でいずれか他方がループ側の面ファスナであればよい。また、折り曲げた第1左結合部12L及び第1右結合部12Rと、第2左結合部22L及び第2右結合部22Rとの接触箇所を微調整すれば、各ゴム部材71,72,73L,73Rの伸縮効果と相俟って身体Bの体格及び体型に合った装用が可能となる。
【0038】
後身頃10及び前身頃20の左側脇部11L,21L同士及び右側脇部11R,21R同士を接続させたら、例えば身体Bの正面側において、
図5に示すように、第1左結び紐3Lと第2左結び紐5Lとを互いに結ぶと共に、第1右結び紐3Rと第2右結び紐5Rとを互いに結ぶ。これにより、後身頃10と前身頃20とを、上記面ファスナと共に左側脇部11L,21L同士、及び右側脇部11R,21R同士で接続し、結び目を身体Bの正面側に見えるように配置する等の装飾を行うことができる。なお、第1及び第2左結び紐3L,5L並びに第1及び第2右結び紐3R,5Rは、第1及び第2左結合部12L,22L並びに第1及び第2右結合部12R,22Rを隠すようにリボン状に成形して結び目等を配置し、装飾を行うようにしても良い。なお、各結び紐3L,3R,5L,5Rは必ずしも設けられていなくても良く、これらの代わりに各結合部12L,12R,22L,22Rに面ファスナを有するレースモチーフ(図示せず)等を結合させて、より豪華な装飾を行うようにしても良い。
【0039】
また、後身頃10及び前身頃20の第1左留め紐4Lと第2左留め紐6Lとを互いに結ぶと共に、第1右留め紐4Rと第2右留め紐6Rとを互いに結ぶ。これにより、下腹部の左側面側の足口にかけて後側左装飾布14Lと前側左装飾布24Lとが身体Bを覆い、右側面側の足口にかけて後側右装飾布14Rと前側右装飾布24Rとが身体Bを覆って、不用意にめくれないように装飾することができる。
【0040】
なお、股布30の左脇マチ部34L及び右脇マチ部34Rは、前身頃20を股下Buから下腹部の前面側に折り返したときに、股下Buの内側に向かって立ち上がる。肌着型装束1は、裏地に防水布を配置しているので、十分に汚物の漏れ等を防ぐことができる構造であるが、股布30の左右脇マチ部34L,34Rがこのように立ち上がることによって、その構造をより強固且つ確実なものとすることができる。また、肌着型装束1は、内部に吸水パッド9を配置することができるので、更に確実に漏れ等を防止することが可能となる。
【0041】
このように、本実施形態の肌着型装束1によれば、後身頃10と前身頃20とを、身体Bを仰向けにした状態で各結合部12L,12R,22L,22R及び各結び紐3L,3R,5L,5Rによって容易に接続することができるので、生前着用するような感覚での装着が容易となる。また、各結び紐3L,3R,5L,5Rや各留め紐4L,4R,6L,6R及び各装飾布14L,14R,24L,24Rによる装飾によって、人生最後の旅立ちの際の美しさを演出することも可能である。
【0042】
なお、面ファスナを構成する各結合部12L,12R,22L,22R及び結び紐を構成する各結び紐3L,3R,5L,5Rは、いずれか一方だけが設けられる態様であっても、上述した構成と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0043】
図6は、本発明の他の実施形態に係る肌着型装束の展開状態を背面視で示す背面図である。また、
図7は肌着型装束を展開した状態で身体に装着させる前の様子を示す正面図、
図8は肌着型装束の身体への装着後の様子を示す正面図である。更に、
図9は、肌着型装束の変形例の身体への装着後の様子を示す正面図である。
【0044】
図6に示すように、本実施形態に係る肌着型装束2は、例えば女性用のブラジャータイプとして適用され得るものである。肌着型装束2は、身体を仰向けにした状態から、身体の胸部を背面側から立体的に覆うように装着可能な構造を採用することで、先の実施形態の肌着型装束1と同様に、硬直状態の身体に対し容易に着用させることが可能に形成されている。
【0045】
肌着型装束2は、身体の胸部の背面側に身体の左右方向に沿って延びるように配置されるバックベルト部40と、バックベルト部40の左右方向の両端側にそれぞれ接続され、胸部への装着時に左右の胸を覆うように配置される左カップ部51L及び右カップ部51Rと、を備える。これらバックベルト部40及び左右カップ部51L,51Rは、サテン、シフォン、又はその他の布帛生地からなる。
【0046】
バックベルト部40は、左右方向の中心より左側の上端部42に縫合された左背面布地44Lと、左右方向の中心より右側の上端部42に縫合された右背面布地44Rと、を有する。また、バックベルト部40は、左背面布地44Lの身体の上下方向における上端部に縫合された第1左肩紐45Lと、右背面布地44Rの身体の上下方向における上端部に縫合された第1右肩紐45Rと、を有する。
【0047】
なお、バックベルト部40において、上端部42及び下端部43の内側に折り返された縫い代内には、それぞれゴム部材(図示せず)が配置されている。また、バックベルト部40及び左右背面布地44L,44Rには、ギャザー処理が施されていてもよい。
【0048】
左カップ部51Lは、左接続端部41Lにおいてバックベルト部40と縫合されている。左カップ部51Lは、身体の上下方向における上端部51Laに縫合された第2左肩紐55Lを有する。左カップ部51Lの左接続端部41Lと左右方向に反対側の端部52Lには、左中央結合部53Lと左結び紐56Lとが縫合されている。なお、左カップ部51Lの前中心側縁部57L近傍には、取付手段である左取付部58Lが複数縫合されている。
【0049】
右カップ部51Rは、右接続端部41Rにおいてバックベルト部40と縫合されている。右カップ部51Rは、身体の上下方向における上端部51Raに縫合された第2右肩紐55Rを有する。右カップ部51Rの右接続端部41Rと左右方向に反対側の端部52Rには、右中央結合部53Rと右結び紐56Rとが縫合されている。なお、右カップ部51Rの前中心側縁部57R近傍には、取付手段である右取付部58Rが複数縫合されている。
【0050】
左カップ部51Lの左中央結合部53L及び右カップ部51Rの右中央結合部53Rは、結合手段としての面ファスナを構成する。本実施形態では、左中央結合部53Lがその接触面を身体の内側に向く方向に配置されるように、左結び紐56Lの内側に縫合され、右中央結合部53Rがその接触面を身体の外側に向く方向に配置されるように、右結び紐56Rの外側に縫合されている。また、左結び紐56L及び右結び紐56Rは、結合手段としての結び紐を構成する。
【0051】
図7に示すように、左右カップ部51L,51Rは、サテン、シフォン、その他の布帛生地を重ね合わせた二重構造を有しており、その内側には、図示しないパッドを内部に着脱可能なポケット部54L,54Rが形成されている。また、左右カップ部51L,51Rの下端部には、アンダーベルト46が内蔵されている。
【0052】
このように構成された肌着型装束2では、左カップ部51L及び右カップ部51Rは、胸部への装着時に、まず、それぞれの端部52L,52Rに設けられた左右中央結合部53L,53Rによって、胸部の前中心側で接続される。すなわち、肌着型装束2の実際の装着に際しては、まず、図示のように肌着型装束2を展開状態にしてバックベルト部40、左背面布地44L及び右背面布地44R上に胸部の背面側がくるように身体Bを仰向けに載置する。そして、左右カップ部51L,51Rを左右脇の下側から胸部の前面側に折り返した後に、左右中央結合部53L,53Rの接触面同士を接触させて、胸部の前中心側で接続させるようにする。これにより、肌着型装束2は、胸部を覆う一つの肌着のように立体的且つ容易に身体Bに着用させることができる。
【0053】
左右中央結合部53L,53R同士を接続させたら、例えば身体Bの正面側において、
図8に示すように、左結び紐56Lと右結び紐56Rとを前中心上で互いに結ぶ。これにより、左右カップ部51L,51Rを、上記面ファスナと共に左右結び紐56L,56Rで接続し、結び目を身体Bの胸部の前中心側に見えるように配置して左右中央結合部53L,53Rを見え難く隠す等の装飾を行うことができる。なお、左右結び紐56L,56Rは必ずしも設けられていなくても良く、これらの代わりに左右中央結合部53L,53Rに面ファスナを有するレースモチーフ等を結合させて、結合部分を隠しつつより豪華な装飾を行うようにしても良い。
【0054】
また、バックベルト部40の第1左肩紐45Lと左カップ部51Lの第2左肩紐55Lとを、身体Bの左肩上で互いに結ぶと共に、バックベルト部40の第1右肩紐45Rと右カップ部51Rの第2右肩紐55Rとを、身体Bの右肩上で互いに結ぶ。これにより、左右カップ部51L,51Rが身体Bの上下方向にずれてしまうことを防止することができると共に、華やかさを演出することができる。なお、バックベルト部40の伸縮効果によって、身体Bの体格及び体型に合った装用が可能となる点は、先の肌着型装束1と同様である。
【0055】
このように、本実施形態の肌着型装束2によれば、左右カップ部51L,51Rを身体Bを仰向けにした状態で左右中央結合部53L,53R及び左右結び紐56L,56Rによって容易に接続することができるので、生前着用するような感覚での装着が容易となる。また、左右結び紐56L,56R及び各肩紐45L,45R,55L,55Rによる装飾によって、人生最後の旅立ちの際の美しさを演出することも可能である。
【0056】
なお、
図9に示すように、左右カップ部51L,51Rの前中心側縁部57L,57R近傍に設けられた左右取付部58L,58Rに対し、着脱可能な図示しない取付部を備えた装飾部材60を取り付けて、胸部の前中心側を彩るような更なる装飾効果を演出することも可能である。左右取付部58L,58R及び装飾部材60の取付部は、面ファスナやボタン等、種々の取付態様を採用することができる。装飾部材60を取り付ける必要が無い場合は、左右取付部58L,58Rは必ずしも設けられていなくても良い。本実施形態においても、面ファスナを構成する左右中央結合部53L,53R及び結び紐を構成する左右結び紐56L,56Rは、いずれか一方だけが設けられる態様であっても、上述した構成と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0057】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1,2 肌着型装束
3L 第1左結び紐
3R 第2右結び紐
4L 第1左留め紐
4R 第1右留め紐
5L 第2左結び紐
5R 第2右結び紐
6L 第2左留め紐
6R 第2右留め紐
10 後身頃
11L,21L 左側脇部
11R,21R 右側脇部
12L 第1左結合部
12R 第1右結合部
20 前身頃
22L 第2左結合部
22R 第2右結合部
30 股布
34L 左脇マチ部
34R 右脇マチ部
40 バックベルト部
45L 第1左肩紐
45R 第1右肩紐
51L 左カップ部
51R 右カップ部
53L 左中央結合部
53R 右中央結合部
55L 第2左肩紐
55R 第2右肩紐
56L 左結び紐
56R 右結び紐
60 装飾部材