(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023129989
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】住宅設備取付壁用接合部材
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20230912BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20230912BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20230912BHJP
A47K 1/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
E04B2/74 531E
E04B1/58 508L
E04B1/26 E
A47K1/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034384
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595106969
【氏名又は名称】大東建託株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】布垣 賢一
(72)【発明者】
【氏名】丸山 哲史
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA07
2E125AA12
2E125AB12
2E125AC23
2E125BB16
2E125BB22
2E125BC02
2E125BE08
2E125BF01
2E125CA76
2E125EA33
(57)【要約】
【課題】住宅設備取付壁を施工する際の釘打ち所要数を減らして、作業負荷を軽減する。
【解決手段】住宅設備取付壁1における一対の柱3間に横架材4を架け渡し、横架材4の端部と柱3とを接合部材10によって接合する。接合部材10の鉛直な枠板材11を横架材4の端部と柱3との間に挟み付ける。枠板材11には、柱3に食い込む食い込み爪13を形成する。枠板材11の両側の長手側縁11f,11eにそれぞれ側板材20,30を連ねる。一対の側板材20,30は、枠板材11と交差する。これら枠板材11及び一対の側板材20,30によって、嵌込凹部14を画成する。嵌込凹部14に横架材4の端部を嵌め込む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅設備取付壁における一対の柱間に架け渡される横架材の端部と前記柱とを接合する接合部材であって、
鉛直に延び、前記横架材の端部と前記柱との間に挟み付けられる枠板材と、
前記枠板材の両側の長手側縁とそれぞれ連なるとともに前記枠板材と交差する一対の側板材と、を有し、
これら枠板材及び一対の側板材によって、前記横架材の端部が嵌め込まれる嵌込凹部が画成され、
前記枠板材には、前記柱に食い込む食い込み爪が形成されていることを特徴とする住宅設備取付壁用接合部材。
【請求項2】
前記一対の側板材のうち室内側の側板材が、前記横架材と前記柱とに跨り、前記室内側の側板材における前記柱に被さる部分には、ビス逃げ開口が上下に延びるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の住宅設備取付壁用接合部材。
【請求項3】
前記一対の側板材が前記枠板材から遠ざかるにしたがって互いに接近されるように、少なくとも一方の側板材が前記枠板材に対して角度調節可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の住宅設備取付壁用接合部材。
【請求項4】
前記枠板材又は前記側板材の下端部には、前記嵌込凹部の底面を構成する底受け部が設けられていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の住宅設備取付壁用接合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば洗面化粧台等の住宅設備を取り付ける壁に用いられる接合部材に関し、特に、一対の柱間に架け渡される横架材と柱とを接合するための接合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の洗面室の壁(住宅設備取付壁)には、例えば左右一対の間柱の間に壁材が設けられ、壁材の室内側面に洗面化粧台(住宅設備)が設けられている。壁材の裏側面には横架材が宛がわれている。横架材は、一対の間柱に架け渡されている。横架材と各間柱とは接合金具によって接合されている。接合金具は、釘によって、間柱と横架材とにそれぞれ固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の洗面化粧台等の住宅設備の取付壁においては、間柱及び横架材と接合金具を固定するために釘打ち作業が必要であり、施工に時間がかかっていた。
本発明は、かかる事情に鑑み、住宅設備取付壁を施工する際の釘打ち所要数を減らして、作業負荷を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、住宅設備取付壁における一対の柱間に架け渡される横架材の端部と前記柱とを接合する接合部材であって、
鉛直に延び、前記横架材の端部と前記柱との間に挟み付けられる枠板材と、
前記枠板材の両側の長手側縁とそれぞれ連なるとともに前記枠板材と交差する一対の側板材と、を有し、
これら枠板材及び一対の側板材によって、前記横架材の端部が嵌め込まれる嵌込凹部が画成され、
前記枠板材には、前記柱に食い込む食い込み爪が形成されていることを特徴とする。
前記住宅設備取付壁の構築施工においては、前記柱の建て込み後、前記接合部材の食い込み爪を柱の側面に食い込ませる。これによって、接合部材が柱に仮止めされる。柱と接合部材を接合するのに釘は不要である。続いて、横架材の端部を嵌込凹部に嵌め込む。これによって、柱と横架材を簡単に接合できる。
【0006】
前記一対の側板材のうち室内側の側板材が、前記横架材と前記柱とに跨り、前記室内側の側板材における前記柱に被さる部分には、ビス逃げ開口が上下に延びるように形成されていることが好ましい。
柱及び横架材の室内側に壁材を設置する際、ビス又は釘を、室内側から壁材に貫通打設し、さらに前記ビス逃げ開口を通して、柱まで打ち込む。ビス逃げ開口によって、接合部材との干渉を回避できる。ビス逃げ開口が上下に延びているため、ビス又は釘の上下方向の位置決めの要求精度を緩和できる。
【0007】
前記一対の側板材が前記枠板材から遠ざかるにしたがって互いに接近されるように、少なくとも一方の側板材が前記枠板材に対して角度調節可能であることが好ましい。
前記一対の側板材のうち裏側の側板材が、前記枠板材から遠ざかるにしたがって室内側の側板材へ近づくように斜めになっていることが好ましい。
横架材の設置前は、一対の側板材の先端部どうし間の間隔が、横架材の厚みより小さくなるように設定しておく。そうすることで、横架材の端部を嵌込凹部に嵌め込む際、横架材によって一対の側板材どうしを押し広げる。これによって、一対の側板材が横架材に両側から強く押し当てられ、横架材を挟持できる。
【0008】
前記枠板材又は前記側板材の下端部には、前記嵌込凹部の底面を構成する底受け部が設けられていることが好ましい。
これによって、嵌込凹部に嵌め込んだ横架材の端部の下端面を底受け部によって受けることができ、横架材の抜け落ちを防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、住宅設備取付壁の施工において、接合部材と柱とを固定する際は、食い込み爪を柱に食い込ませればよく、釘を用いる必要がない。横架材は、接合部材の嵌込凹部に嵌め込めばよい。したがって、釘打ちの所要数を減らすことができ、作業負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る住宅設備取付壁を含む洗面室の透視斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿う、前記住宅設備取付壁の平面断面図である。
【
図3】
図3は、前記住宅設備取付壁における横架材の一端部と間柱との間の接合部材を裏側から見た斜視図である。
【
図4(a)】
図4(a)は、前記接合部材の平面図である。
【
図4(b)】
図4(b)は、前記接合部材の裏側の側板材を角度調節した状態の平面図である。
【
図5】
図5(a)は、同図(b)のVa-Va線に沿う、前記接合部材の正面断面図である。
図5(b)は、同図(a)のVb-Vb線に沿う、前記接合部材を前記洗面室の幅方向の外側から見た側面図である。
【
図6】
図6は、前記接合部材を前記間柱に仮止めする様子を示す正面断面図である。
【
図8】
図8は、
図7のVIII-VIII線に沿う、正面断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態に係る住宅設備取付壁における接合部材を裏側から見た斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態に係る住宅設備取付壁における接合部材を裏側から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、前記接合部材の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図8)>
図1は、戸建て住宅、集合住宅等の建物の洗面室1を示したものである。洗面室1の1の壁が、住宅設備取付壁2を構成している。本実施形態における取付対象の住宅設備は、洗面化粧台6である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、住宅設備取付壁2は、左右一対の間柱3(柱)と、1又は複数の横架材4と、石膏ボード等の壁材5を含む。壁材5の室内側(
図2において下側)に洗面化粧台6が設置されている。壁材5の裏側面(
図2において上側面)には横架材4が宛がわれている。横架材4は、水平な板材であり、一対の間柱3に架け渡されている。
図1に示すように、複数の横架材4が、上下に間隔を置いて設置されている。
【0013】
図1及び
図2に示すように、各横架材4の端部と、その端部と対向する間柱3との間には、住宅設備取付壁用接合部材10が設けられている。接合部材10を介して、横架材4と間柱3とが接合されている。
【0014】
図3及び
図4(a)に示すように、接合部材10は、平面視で概略「ユ」字形状に形成され、上下に延びている。
詳しくは、
図3~
図5に示すように、接合部材10は、枠板材11と、一対の側板材20,30とを有している。
図5(b)に示すように、枠板材11は、長手方向を鉛直(上下)へ向けた平らな長板状に形成されている。枠板材11の幅方向は、洗面室1の前後方向(室内側(
図5(b)において左)と裏側(
図5(b)において右)を結ぶ方向)へ向けられている。
【0015】
図3及び
図4(a)に示すように、枠板材11の室内側(
図4(a)において下側)の長手側縁11fには、室内側の側板材20が一体に連なっている。枠板材11の裏側(
図4(a)において上側)の長手側縁11eには、裏側の側板材30が一体に連なっている。側板材20,30は、長手方向を鉛直に向け、幅方向を左右(住宅設備取付壁2ひいては洗面室1の幅方向)へ向けた長板状に形成されている。
【0016】
図3及び
図4(a)に示すように、室内側の側板材20の幅方向の中央部と枠板材11とが交差している。側板材20は、枠板材11との前記交差部21を挟んで、洗面室1の幅方向の外側の板部分23と、洗面室1の幅方向の内側の板部分24とを有している。
【0017】
図3に示すように、接合部材10は、1枚の金属板19によって構成されている。1枚の金属板19が、打ち抜き加工及び折り曲げ加工されることによって、接合部材10に成形されている。
【0018】
図5(b)に示すように、枠板材11には、複数の食い込み爪13が形成されている。各食い込み爪13は、下方へ向かって尖る三角形状ないしは矢印形状になっている。食い込み爪13の下端の尖り部13eの尖り角度θ
13eは、好ましくはθ
13e=15°~90°程度である。複数の食い込み爪13が、互いに上下に間隔を置いて配置されている。食い込み爪13は、金属板19の打ち抜き成形ないしは切り起こし成形によって枠板材11と同体に形成されている。食い込み爪13の上端部13aが、枠板材11と一体に連なっている。前記上端部13aを除く、枠板材11における食い込み爪13のまわりには、打ち抜き穴16が形成されている。
図5(a)に示すように、住宅設備取付壁2に組み込まれる前の接合部材10においては、食い込み爪13は、枠板材11と面一になっている。
【0019】
図5(a)に示すように、枠板材11の下端部には、底受け部17が設けられている。底受け部17は、枠板材11から直角に折れ曲がり、水平になっている。
【0020】
図3及び
図4(a)に示すように、金属板19における外側板部分23を構成する部分は、外側板部分23の外側の縁部において折り返されて、二つ折りにされている。このため、外側板部分23は、2つの板部分23a,23bを有している。これら板部分23a,23bどうしがぴったり重ね合わされるとともに、外側の縁部の折り返し部23cにおいて互いに連なっている。裏側板部分23bが、枠板材11と直交するとともに、枠板材11と一体に連続している。表側板部分23aが、内側板部分24と同面に連続している。外側板部分23の厚みは、内側板部分24の厚みの2倍である。
【0021】
図3に示すように、室内側の側板材20の外側板部分23には、スリット状のビス逃げ開口25が上下に延びるように形成されている。ビス逃げ開口25は、2つの板部分23a,23bを貫通している。ビス逃げ開口25は、交差部21から左右方向の外側へ所定距離だけ離れて配置されている。
【0022】
図4(a)に示すように、裏側の側板材30は、枠板材11と交差するとともに、枠板材11から洗面室1の幅方向の内側へ突出されている。
図3に示すように、側板材30と枠板材11とで作るコーナー部15には、複数のコーナー抜き穴15cが形成されている。コーナー抜き穴15cは、コーナー部15に沿って上下に延びる細いスリット状に形成されている。複数のコーナー抜き穴15cが、上下に間隔を置いて一列に配置されている。コーナー抜き穴15cによって、コーナー部15の剛性が低められている。これによって、コーナー部15の角度が調節可能である。ひいては、裏側の側板材30の枠板材11に対する角度が調節可能である。
【0023】
好ましくは、
図4(b)に示すように、住宅設備取付壁2への組み込み前の接合部材10においては、前記角度調節によって、側板材30が、枠板材11から遠ざかるにしたがって、室内側の側板材20の内側板部分24へ近づくように斜めになっている。このため、一対の側板材20,30が、洗面室1の幅方向の内側へ向かうにしたがって互いに接近される。好ましくは、側板材30の突出方向の先端部34と内側板部分24との距離dが、横架材4の厚みt
4(
図7)より小さくなっている(d<t
4)。
【0024】
図4(a)及び同図(b)に示すように、枠板材11と、室内側の側板材20の内側板部分24と、裏側の側板材30とよって、嵌込凹部14が画成されている。嵌込凹部14は、洗面室1の幅方向の内側へ開口されている。
【0025】
図3に示すように、裏側の側板材30の上端部と枠板材11との間には、切り込み32が形成されている。
図5(b)に示すように、側板材30の上端部は、裏側(
図5(b)において右側))へ反ることで案内片部31を構成している。
【0026】
図7に示すように、施工済の住宅設備取付壁2においては、接合部材10の枠板材11が、間柱3における洗面室1の幅方向の内側を向く側面3bに宛がわれている。外側板部分23が、間柱3の室内側面3aに被さっている。接合部材10の嵌込凹部14には、横架材4の端部が嵌め込まれている。これによって、枠板材11が、横架材4の端部と間柱3の側面3bとの間に挟み付けられている。
図8に示すように、横架材4の端部の下面が、底受け部17に載せられている。
【0027】
図8に示すように、施工済の住宅設備取付壁2における食い込み爪13は、尖り部13eが枠板材11から洗面室1の幅方向の外側(
図8において右側)へ突出されるように、枠板材11に対して傾斜されている。これによって、柱3の側面3bに食い込み爪13が食い込んでいる。食い込み爪13の食い込み角度θ
13(枠板材11に対する傾斜角度)は、好ましくはθ
13=5°~30°程度である。
【0028】
図7に示すように、室内側の側板材20は、横架材4の室内側面4aと間柱3の室内側面3aとに跨っている。洗面室1の室内側(
図7において下側)から、外側板部分23が間柱3に被さり、内側板部分24が横架材4に被さっている。
【0029】
図7に示すように、裏側の側板材30は、横架材4に裏側から被さっている。裏側の側板材30がd<t
4となるように角度調節されておくことで(
図4(b))、側板材30の突出方向の先端部34が、横架材4に強く押し当てられている。これによって、横架材4が一対の側板材20,30によって挟持されている。
【0030】
図2に示すように、横架材4の左右両端部が、それぞれ対応する接合部材10の嵌込凹部14に嵌め込まれている。かつ横架材4が、左右両端の接合部材10の枠板材11に押し当たっている。
【0031】
さらに、
図2に示すように、石膏ボード等の壁材5が洗面室1の室内側から側板材20に被さっている。したがって、側板材20は、壁材5と、横架材4及び間柱3との間に挟まれている。
図7に示すように、壁材5は、ビス7(又は釘)によって間柱3に固定されている。ビス7は、壁材5を貫通するとともに、ビス逃げ開口25を通して、間柱3に打ち込まれている。
【0032】
住宅設備取付壁2は、次のようにして施工される。
まず、左右一対の間柱3を建て込む。
続いて、横架材4を架設するにあたって、接合部材10を用意する。1つの横架材4に対して、左右2つの接合部材10を用意する。
各接合部材10の食い込み爪13の上端部13aを屈曲させて、角度θ
13を付けることで、尖り部13eを洗面室1の幅方向の外側へ傾けておく。
更に好ましくは、裏側の側板材30がd<t
4となるように角度調節しておく(
図4(b))。
【0033】
そのうえで、
図6に示すように、接合部材10の外側板部分23を間柱3の室内側面3aに宛がうとともに、枠板材11を間柱3の側面3bに近接させて、尖り部13eを間柱3の側面3bに突き当てる。そして、食い込み爪13の傾斜方向に沿って、接合部材10を斜め下に押し下げることによって、食い込み爪13を間柱3の側面3bに食い込ませる。これによって、接合部材10が間柱3に仮止めされる。仮止めするのに釘打ち作業は不要である。
接合部材10が落下しないように仮止めされる程度に、食い込み爪13の少なくとも尖り部13eを間柱3に食い込ませればよい。したがって、この段階では、枠板材11が間柱3の側面3bから少し離間されていても構わない。
【0034】
左右の間柱3にそれぞれ接合部材10を仮止めした後、横架材4を左右の接合部材10間ひいては左右の間柱3間に架け渡す。
詳しくは、
図6において白抜き矢印にて示すように、横架材4の長手方向の両端部を、それぞれ対応する接合部材10の上方から嵌込凹部14内に挿し込む。このとき、案内片部31によって、横架材4を嵌込凹部14内へスムーズに案内でき、これに伴って、接合部材10の内側板部分24と側板部30との間隔が横架材4の厚みに合わせて押し広げられるようにできる。この結果、横架材4が、内側板部分24と側板部30とによって両側から挟持される。
好ましくは、横架材4の端部の下端面が底受け部17に突き当たるまで、横架材4を押し下げる(
図8)。底受け部17によって、横架材4の抜け落ちを阻止できる。
【0035】
横架材4を左右の間柱3の接合部材10どうし間に架け渡すことによって、左右の接合部材10が、それぞれ対応する間柱3の側面3bへ向けて押され、枠板材11が側面3bに押し当てられる。横架材4が突っ張り材となり、両端の枠板材11がそれぞれ間柱3と横架材4によって挟み付けられる。これによって、各接合部材10が間柱3と横架材4との間に固定される。かつ、横架材4には長手方向に突っ張り力が作用することによって、横架材4が間柱3に対して固定される。
これによって、横架材4を一対の間柱3間に安定的に設置することができる。横架材4を設置するのに釘打ち作業は不要である。したがって、作業負荷を軽減でき、施工時間を短縮することができる。
【0036】
その後、
図7に示すように、横架材4の室内側(
図7において下側)に壁材5を配置する。該壁材5の端部分5eを、接合部材10の外側板部分23を介して、間柱3の室内側面3aに宛がう。そして、ビス7を、壁材5の端部分5eから間柱3まで打ち込む。打ち込み位置を、例えば壁材5の端縁から幅方向内側へ所定距離とすることによって、ビス7がビス逃げ開口25を通るようにでき、ビス7が接合部材10に突き当たるのを回避できる。
これによって、壁材5が間柱3に固定される。横架材4は、壁材5の裏面に宛がわれる。
さらに、壁材6の室内側面に洗面化粧台6(
図2(b))を設置する。
【0037】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図9)>
図9に示すように、本発明の第2実施形態においては、接合部材10Bの枠板材11に予備ビス穴11gが形成されている。予備ビス穴11gは、上下に隣接する食い込み爪13どうしの間に配置されている。予備ビス穴11gは、取り付け相手の柱が金属などの硬い材質で出来ていて、食い込み爪13を食い込ませることが出来ない場合に、ビスを打ち込んで止めるための予備穴である。
【0038】
更に、接合部材10Bの外側板部分23には、スリット状のビス逃げ開口25(
図3)に代えて、縦長の凹溝ないしは切り欠き状のビス逃げ開口26が形成されている。ビス逃げ開口26は、外側板部分23の長手方向(上下)へ延びるとともに、外側板部分23の外側縁(内側板部分24とは反対側の縁)に達している。言い換えると、スリット状のビス逃げ開口が幅広に形成されることによって外側板部分23の外側縁に達している。これによって、ビス7の打ち込み位置を壁材5の幅方向に厳密に位置決めしなくても、ビス逃げ開口26の幅寸法w26の範囲内で位置決めすれば、ビス7を外側板部分23と干渉させることなく、壁材5から柱3に打ち込むことができる。
【0039】
<第3実施形態(
図10)>
図10に示すように、本発明の第3実施形態においては、接合部材10Cの食い込み爪13が2列(複数列)になっている。2列の食い込み爪14が、枠板材11の幅方向(住宅設備取付壁2の厚み方向)に並んでいる。各列において食い込み爪13が上下に間隔を置いて配置されている。このため、食い込み爪13の数が、第1実施形態及び第2実施形態の2倍になっている。これによって、接合部材10Cの間柱3に対する仮止め強度を高めることができる。
接合部材10Cが、予備ビス穴11g及び凹溝ないしは切り欠き状のビス逃げ開口26を有していることは、第2実施形態(
図9)と同様である。予備ビス穴11gは、枠板材11の幅方向における、2列の食い込み爪13の中間の位置に配置されている。
【0040】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、取付対象の住宅設備は、洗面化粧台に限らず、棚、キャビネット、クローゼット、ミラー等であってもよい。
外側板部分23が二つ折りされるのに代えて(
図4(a))、
図11に示すように、内側板部分24が二つ折りにされていてもよい。
施工時に代えて、金属板19から接合部材を成形加工する時、食い込み爪13に角度θ
13を付けてもよい。
施工時に代えて、金属板19から接合部材を成形加工する時、裏側の側板材30を枠板材11に対して傾斜させてもよい(
図4(b))。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば、洗面化粧台等の住宅設備を取り付ける壁構造に適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 洗面室
2 住宅設備取付壁
3 間柱(柱)
3a 室内側面
3b 側面
4 横架材
4a 室内側面
5 壁材
5e 端部分
6 洗面化粧台(住宅設備)
7 ビス又は釘
10 住宅設備取付壁用接合部材
11 枠板材
11f 室内側の長手側縁
11e 裏側側の長手側縁
11g ビス穴
13 食い込み爪
13e 尖り部
14 嵌込凹部
15 コーナー部
15c コーナー抜き穴
17 底受け部
20 室内側の側板材
25 スリット状のビス逃げ開口
26 凹溝ないし切り欠き状のビス逃げ開口
30 裏側の側板材
31 案内片部
32 切り込み
34 先端部