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特開2023-130005重金属イオンの回収方法、重金属イオンを回収するための構造体、および微生物の集積方法
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  • 特開-重金属イオンの回収方法、重金属イオンを回収するための構造体、および微生物の集積方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130005
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】重金属イオンの回収方法、重金属イオンを回収するための構造体、および微生物の集積方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20230101AFI20230912BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20230912BHJP
   C02F 1/469 20230101ALI20230912BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20230912BHJP
   C25C 1/06 20060101ALI20230912BHJP
   C25C 1/10 20060101ALI20230912BHJP
   C25C 1/22 20060101ALI20230912BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
C02F3/34 Z
C02F1/461 101B
C02F1/469
C22B3/44
C25C1/06
C25C1/10 B
C25C1/22
C12N1/00 P ZNA
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034423
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(71)【出願人】
【識別番号】504194878
【氏名又は名称】国立研究開発法人海洋研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】濱村 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 裕之
【テーマコード(参考)】
4B065
4D040
4D061
4K001
4K058
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AC17
4B065BD04
4B065CA56
4D040DD03
4D040DD31
4D061DA08
4D061DB18
4D061DC20
4D061DC22
4D061DC24
4D061DC27
4D061EA06
4D061EB01
4D061EB04
4D061EB28
4D061EB29
4D061EB30
4D061EB31
4D061ED20
4K001AA03
4K001AA10
4K001AA16
4K001AA21
4K001BA21
4K001BA24
4K001DB21
4K058AA17
4K058AA22
4K058BA16
4K058BA18
4K058BA29
4K058BA30
4K058BB04
4K058EB12
4K058ED04
4K058FC09
(57)【要約】
【課題】重金属イオンを含みかつ重金属代謝能を有する微生物が生息している被処理水から重金属イオンを回収および除去するための方法および上記被処理水中で上記微生物を集積する方法として、簡便かつ低エネルギーで実施可能な方法を提供する。
【解決手段】導電体を上記被処理水中に配置すること、および上記導電体に電子を供給して上記微生物が集積している沈殿物を形成させるともに上記沈殿物に上記重金属イオンを濃集することを含む方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重金属イオンを含みかつ重金属代謝能を有する微生物が生息している被処理水から重金属イオンを回収する方法であって、
導電体を被処理水中に配置すること、および
前記導電体に電子を供給して、前記微生物が集積している沈殿物を形成させるとともに前記沈殿物に前記重金属イオンを濃集することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記被処理水が坑廃水、工場排水、環境水、または地下水である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重金属イオンが鉄、マンガン、ヒ素、およびアンチモンからなる群より選択されるいずれか1つ以上の金属のイオンである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記微生物が細胞外繊維を有する桿菌である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記沈殿物が炭酸カルシウムを含む多孔性結晶である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法により重金属イオンを回収することを含む、重金属イオンを含む水から重金属イオンを除去する水処理方法。
【請求項7】
重金属イオンを含む被処理水から重金属イオンを回収するための構造体であって、
導電体と前記導電体の表面の少なくとも一部を被覆する沈殿物とを含み、
前記沈殿物中に重金属代謝能を有する微生物を含む構造体。
【請求項8】
前記沈殿物が炭酸カルシウムを含む多孔性結晶である、請求項7に記載の構造体。
【請求項9】
前記導電体が炭素材料である、請求項7または8に記載の構造体。
【請求項10】
前記炭素材料がカーボンクロスである、請求項9に記載の構造体。
【請求項11】
前記微生物が、下記(a1)、(b1)、(a2)または(b2)のいずれかからなる16SrRNA遺伝子を有する、ガンマプロテオバクテリア綱(Gamma-Proteobacteria)に属する微生物である、請求項7~10のいずれか一項に記載の構造体;
(a1)配列番号1に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(a2)配列番号3に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(b1)配列番号2に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(b2)配列番号4に記載の配列からなるポリヌクレオチド。
【請求項12】
重金属イオンを含む被処理水から重金属イオンを回収するための装置であって、
請求項7~11のいずれか一項に記載の構造体、および前記導電体に電子を供給する手段を含む装置。
【請求項13】
重金属イオンを含みかつ重金属イオン代謝能を有する微生物が生息している被処理水中で、前記微生物を集積させる方法であって、
導電体を被処理水中に配置すること、および前記導電体に電子を供給して前記微生物が集積した沈殿物を形成させることを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重金属イオンを回収する方法に関する。より詳細には、重金属イオンを含み、かつ重金属代謝能を有する微生物が生息している被処理水から重金属イオンを回収する方法に関する。また、本発明は、重金属を回収するための構造体および装置に関する。さらに、本発明は前記被処理水中で微生物を集積する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱山開発などにより生じる坑廃水は、重金属イオンを含むことから農業や環境への汚染影響が懸念され、長期的な処理が必要である。坑廃水から重金属イオンを除去する処理方法としては従来から様々な方法が開発され改良が重ねられている。
【0003】
坑廃水などの、重金属イオンを含む水の処理方法は、薬剤や電力を利用するアクティブトリートメントと、重力、微生物の代謝、光合成などの自然環境で得られるエネルギーを利用するパッシブトリートメントとに大別することができる。アクティブトリートメントとしては、古典的には消石灰を添加して重金属イオンを水酸化物として沈殿させる方法や電析法が知られている。パッシブトリートメントとしては、例えば鉄酸化細菌を利用した坑廃水中の二価鉄塩の酸化処理法が古くから知られている。鉄酸化細菌を利用する方法は鉄の除去・回収に有用であるが、その他の有害金属の除去や、低濃度の有用な金属の回収には適用できない。これに対し、特許文献1では、鉄酸化細菌による処理工程とともに、吸着材によってヒ素含有イオンを吸着する脱ヒ素工程を含む坑廃水の処理方法が開示され、この方法が鉄以外の重金属を含有する坑廃水に適用可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-58955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のアクティブトリートメントは、一般的に大量の薬剤や電気エネルギーの投入が必要であるという課題がある。また、廃水のアルカリ化などの問題もある。一方、パッシブトリートメントは一般的に溜池設備や地下水揚水後の処理などが必要であり用地確保の問題がある。
また、坑廃水中の希少金属などの有価金属は回収利用が望まれているが、坑廃水中に混在している金属類から低濃度の有価金属を特異的に回収することが困難であり、技術開発における課題となっている。
【0006】
本発明の課題は、坑廃水などの重金属イオンを含有する被処理水から重金属イオンを回収および除去するための新たな方法および装置を提供することである。具体的には、本発明は、坑廃水などの重金属イオンを含有する被処理水から有害な重金属イオンを除去する方法、および坑廃水などの重金属イオンを含有する被処理水から有価重金属を回収する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電析法は、電極表面に物質が析出するため、坑廃水の処理方法としての継続的な使用を行なうためには物質の析出を制御する複雑な装置が必要となる。しかし、本発明者らが、坑廃水の電解反応を確認していたところ、単純な装置で電気化学反応が長期間継続するとともに、電極表面に生じた沈殿物に重金属イオンが濃集していることを見出した。本発明は上記知見に基づきさらに検討を重ね、完成されたものである。
【0008】
具体的には、本発明は以下のとおりである。
<1>重金属イオンを含みかつ重金属代謝能を有する微生物が生息している被処理水から重金属イオンを回収する方法であって、
導電体を被処理水中に配置すること、および
上記導電体に電子を供給して、上記微生物が集積している沈殿物を形成させるとともに上記沈殿物に上記重金属イオンを濃集することを含む、上記方法。
<2>上記被処理水が坑廃水、工場排水、環境水、または地下水である、<1>に記載の方法。
<3>上記重金属イオンが鉄、マンガン、ヒ素、およびアンチモンからなる群より選択されるいずれか1つ以上の金属のイオンである、<1>または<2>に記載の方法。
<4>上記微生物が細胞外繊維を有する桿菌である、<1>~<3>のいずれかに記載の方法。
<5>上記沈殿物が炭酸カルシウムを含む多孔性結晶である、<1>~<4>のいずれかに記載の方法。
<6><1>~<5>のいずれかに記載の方法により重金属イオンを回収することを含む、重金属イオンを含む水から重金属イオンを除去する水処理方法。
【0009】
<7>重金属イオンを含む被処理水から重金属イオンを回収するための構造体であって、
導電体と上記導電体の表面の少なくとも一部を被覆する沈殿物とを含み、
上記沈殿物中に重金属代謝能を有する微生物を含む構造体。
<8>上記沈殿物が炭酸カルシウムを含む多孔性結晶である、<7>に記載の構造体。
<9>上記導電体が炭素材料である、<7>または<8>に記載の構造体。
<10>上記炭素材料がカーボンクロスである、<9>に記載の構造体。
<11>上記微生物が、下記(a1)、(b1)、(a2)または(b2)のいずれかからなる16SrRNA遺伝子を有する、ガンマプロテオバクテリア綱(Gamma-Proteobacteria)に属する微生物である、<7>~<10>のいずれかに記載の構造体;
(a1)配列番号1に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(a2)配列番号3に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(b1)配列番号2に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(b2)配列番号4に記載の配列からなるポリヌクレオチド。
<12>重金属イオンを含む被処理水から重金属イオンを回収するための装置であって、
<7>~<11>のいずれかに記載の構造体、および上記導電体に電子を供給する手段を含む装置。
<13>重金属イオンを含みかつ重金属イオン代謝能を有する微生物が生息している被処理水中で、上記微生物を集積させる方法であって、
導電体を被処理水中に配置すること、および上記導電体に電子を供給して上記微生物が集積した沈殿物を形成させることを含む、上記方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、簡便な装置で、かつ低エネルギーで、重金属イオンを回収する方法が提供される。本発明の方法を利用して、坑廃水などの重金属イオンを含有する被処理水から有価重金属を回収することができる。また、坑廃水などから有害な重金属イオンを除去することができる。さらに同様の方法により、上記被処理水中で重金属代謝能を有する微生物を集積させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例においてカソード表面に形成された沈殿物の、X線回折測定結果を示す図である。
図2】実施例においてカソード表面に蓄積した沈殿物の電子顕微鏡写真である。
図3】実施例においてカソード表面に蓄積した沈殿物に集積した微生物群集の、16SrRNA遺伝子の97%配列相同性のOTU(Operational Taxonomic Unit)解析に基づく、構成微生物の相対出現頻度割合を示すグラフである。
図4】実施例においてカソード表面に蓄積した沈殿物に集積した微生物群集における優占種株(ASV1、ASV3、ASV4、ASV5)及びその類縁の、16SrRNA遺伝子に基づく系統樹である。系統樹は近隣接合法により作成し、括弧内に示した文字はGenBank accession numberである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
【0013】
<重金属イオンを回収する方法>
本発明の重金属イオンを回収する方法は、導電体を被処理水中に配置すること、および
導電体に電子を供給することを含む。
【0014】
[被処理水]
本発明の方法の被処理水は、重金属イオンを含む。被処理水は、重金属イオンのほか、カルシウムイオンを含むことが好ましい。また、被処理水は、重炭酸イオンを含むことが好ましい。また、被処理水は、重金属代謝能を有する微生物が生息している水である。本発明の方法では、重金属代謝能を有する微生物が生息している環境にある水またはそのような環境から採取された水等が被処理水となる。被処理水としては、坑廃水(抗水および廃水)(鉱山排水など)、工場排水、地下水、環境水(河川水、湖沼水、海水等)などがあげられる。被処理水は汚泥、泥水、またはこれらを水に懸濁したものであってもよい。
【0015】
坑廃水や工場排水などの重金属イオンを含む環境にある水の中には、この重金属イオン代謝能を有する微生物が生息している。また、地下水や環境水には重金属イオンが含まれており、そこで、多くの微生物が重金属イオンを生命活動に利用している。
【0016】
[重金属代謝能を有する微生物]
本明細書において、重金属代謝能とは、重金属(重金属イオンおよび/または非イオン性の重金属)を酸化還元反応基質として利用する機能を意味し、特に、重金属を基質として生命維持に必要なエネルギー産生のために利用する機能を意味する。本明細書において、重金属代謝能を有する微生物とは、重金属が存在する環境下で生息を継続できる微生物を意味し、特に、重金属を基質として生命維持に必要なエネルギー産生のために利用する微生物を意味する。例えば、呼吸の過程で重金属を酸化または還元する微生物は重金属代謝能を有する微生物の一種である。重金属の酸化および還元の過程で電子を授受する微生物にはエネルギーとして電気を利用して生存できる電気微生物も含まれる。例として、重金属代謝能を有する微生物としては鉄酸化細菌、鉄還元細菌、ヒ素還元細菌等が知られている。
【0017】
基質となる重金属は重金属イオンであっても、鉄鉱物や電極などの固体金属(非イオン性の重金属)であってもよい(例えば、Lovley and Holmes,2022, Nat Rev Microbiol 20:5-19)。
【0018】
あらゆる生物種の中で唯一微生物は、地球上に広く分布している金属をエネルギー基質として代謝し利用できる特殊な生体機構を進化させてきた。一部の微生物は金属代謝の一環として、金属粒子の結晶体を生成する現象が知られている(Hochella et al. 2008 Science 319:1631-35)。これまでの工学的な処理方法に対し、微生物の代謝機能を応用した環境浄化や有価金属回収技術は、触媒反応の基質特異性を利用した回収金属の選択性や低濃度での効率性、そしてコスト面や環境負荷低減でも利点があり期待できる技術である。このように有用性が着目されている重金属代謝能を有する微生物ではあるが、その環境挙動や多様性は未だ明らかにされておらず、現段階では培養条件制御に工学的な処理と同様にエネルギーや基質の投入が必要な点も、技術開発を阻む大きな要因となっている。
【0019】
しかし、本発明者らは、各環境下で既に被処理水中に存在する重金属代謝能を有する微生物を僅かなエネルギーで集積させることができることを見出した。そして、この微生物を利用して継続的に被処理水中の重金属を回収することが可能であることを見出した。
【0020】
抗廃水、工業排水、環境水、地下水などの被処理水に応じて、異なる種類の微生物が沈殿物に集積し得る。本発明の方法により沈殿物に集積する重金属代謝能を有する微生物は、1種であっても、複数種であってもよい。
【0021】
重金属代謝能を有する微生物(微生物群集)は、同時に、他の機能を有していてもよく、他の機能としては例えば炭素固定能、窒素固定能、およびヒ素耐性能などがあげられる。
【0022】
[沈殿物]
微生物は導電体表面に形成される沈殿物に集積する。このとき、被処理水中の少なくとも一部の微生物が集積していればよい。沈殿物は被処理水中に配置されている導電体に電子を供給することにより導電体表面に形成される析出物である。
沈殿物は通常多孔性結晶として形成される。多孔性結晶における各孔の孔径は0.05~5.0μm、好ましくは0.1~1.0μm程度であればよい。また、沈殿物は炭酸カルシウムを主成分とする結晶であることが好ましい。
【0023】
沈殿物は被処理水中に溶存しているカルシウムイオンやマグネシウムイオンを材料として形成されたものであればよいが、必要に応じて、本発明の方法の実施の際に、被処理水にイオン源(消石灰など)を添加してもよい。沈殿物はそれ自体が重金属イオンを吸着させる機能を有するとともに、微生物とともに、微生物が代謝等のために集積した重金属イオンを保持していると考えられる。なお、本明細書において、このような微生物が集積している炭酸カルシウムを含む沈殿物をバイオミネラルということがある。沈殿物は環境水中などで、炭酸カルシウムを含んで形成される結晶と類似し、カルサイト(方解石)結晶およびアラゴナイト(アラレ石)結晶を含んで構成される。
【0024】
電解反応が進むと、導電体上に金属析出し、または電子を供給された導電体でのアルカリ度上昇により非導電性の炭酸カルシウム等が析出し、電気化学反応は止まると考えられる。しかし、本発明者らは、導電体表面に沈殿物が形成された後も、電気化学活性およびバイオミネラル生成が持続することを見出した。すなわち、導電体の表面が、微生物が集積しおよび重金属イオンが濃集した沈殿物で被覆された構造体はそのまま重金属イオンの回収のために利用することができる。これは非導電性の炭酸カルシウム等の析出した状態でも、微生物の金属代謝能により、電極上の電気活性を促進することで沈殿物の生成が促進・持続され、天然の金属吸着剤として機能するためと考えられる。
【0025】
[重金属イオン]
本発明の方法により被処理水から回収できる重金属イオンとしては、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ヒ素(As)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、およびアンチモン(Sb)からなる群より選択される金属のイオンがあげられる。本発明の方法により、被処理水中に含まれる微量の重金属イオンを回収することができるため、本発明の方法は特に低濃度で存在するヒ素やアンチモンのイオンの回収に好ましく用いることができる。
【0026】
重金属イオンは、例えば塩として、沈殿物中または沈殿物表面で不溶化していてもよく、沈殿物表面や孔内の表面に吸着していてもよい。重金属イオンは各金属が取り得る何価のイオンとして濃集していてもよいが、例えば、ヒ素やアンチモンは5価のイオンとして濃集していることが好ましい。
【0027】
被処理水中の重金属イオンの濃度は特に限定されないが、例えば、10ppb~100ppmの範囲であればよい。被処理水中で検出できない濃度で存在する重金属イオンも本発明の方法により、沈殿物中に濃集させることができる。
【0028】
[導電体]
本発明の方法において使用される導電体としては、例えば、銅、白金、銀、金などの貴金属やこれらでめっきされた金属、鉄、ステンレス鋼、チタン、炭素材料、金属酸化物、金属硫化物などを挙げることができる。炭素材料としては、例えば、ガラス状炭素、グラファイト、カーボンペーパー、カーボンフェルト、カーボンクロス、活性炭や木炭などのバイオマスを炭化した材料、及び黒鉛シート、グラフェン等が挙げられる。また、導電体は、カーボンペーパー、カーボンフェルト、及びカーボンクロスからなる炭素繊維群より選ばれる一つが好ましい。これらの材料を複数積層した積層体を用いてもよい。
上記導電体は本発明の方法において被処理水中に配置される。導電体は全体が被処理水中になるように配置してもよく、その一部が被処理水中になるように配置してもよい。
【0029】
[導電体への電子の供給]
導電体への電子の供給は、上記導電体と対になる電極、電源(直流電源)、および電源と電極を接続する配線により行なうことができる。
【0030】
上記の導電体をカソード電極として、アノード電極とともに被処理水中に配置し、両電極間に電源で電圧を印加して通電することにより、導電体に電子を供給することができる。アノード電極としては金属、金属酸化物、金属硫化物、または炭素材料(例えば炭素繊維、黒鉛シート、グラフェン、バイオマス炭化素材)などを用いることができる。
【0031】
カソード電極とアノード電極との間に印加する電圧は特に限定されないが、例えば、0.05~1.0A/m2の供給電流密度であればよく、0.1~0.4A/m2の供給電流密度であることが好ましい。本発明の方法は低エネルギーで実施することができるが、電流密度を上げることで電極での反応を促進することができる。ただし、電流密度は、カソード電極表面の沈殿物に集積している微生物の生育阻害にならない範囲の電流密度とすることが好ましい。
【0032】
[装置]
本発明の方法の実施に用いられる装置は、上記の導電体(カソード電極)および導電体に電子を供給する手段を含む。導電体は沈殿物が堆積する前のものであってもよく、沈殿物が堆積し既に表面の少なくとも一部が沈殿物で被覆された構造体であってもよい。導電体に電子を供給する手段は、通常、上記アノード電極、電源および配線を含む。装置は、さらに、電流のオンオフのためのスイッチを備えていてもよい。カソード電極とアノード電極とは、被処理水が存在する環境(海、川、ため池、抗廃水流出箇所など)中に配置した電解槽内に配置されていてもよい。さらに電解槽に新しい被処理水を供給するための手段を用いてもよい。
【0033】
[重金属イオン回収]
上記のように、被処理水中の重金属イオンは沈殿物に濃集するため、重金属イオンの回収は、反応に用いた導電体とともに沈殿物を回収するのみで行なうことができる。さらに導電体と分離して回収した沈殿物からは、公知の方法を用いて重金属イオンを塩として、または非イオン性の金属として回収することができる。
【0034】
[水処理方法]
本発明の重金属イオンを回収する方法は、坑廃水などの重金属イオンを含有する水から重金属イオンを除去する水処理方法としても利用できる。
【0035】
<構造体>
導電体を被処理水中に配置すること、および導電体に電子を供給することを含む上述の手順により得られる、導電体と当該導電体の表面の少なくとも一部を被覆する上述の沈殿物とを含む構造体は、沈殿物中に重金属代謝能を有する微生物を含んでおり、重金属イオンを含む被処理水から重金属イオンを回収するために使用することができる。具体的には、構造体は、カソード電極として、導電体に電子を供給する手段と組み合わせて用いることができる。このときの被処理水は重金属代謝能を有する微生物を含まないものであってもよく、例えば無菌水に重金属イオンを溶解させた溶液であってもよい。
【0036】
構造体において、沈殿物は導電体表面の少なくとも一部を被覆していればよい。また沈殿物は導電体表面から例えば0.1mm~10cm程度の厚みで形成されていればよいが、特に限定されない。
【0037】
<微生物の集積方法および微生物>
重金属イオンの回収方法についての記載からわかるように、重金属イオンを回収する方法として上述した導電体を被処理水中に配置すること、および導電体に電子を供給することを含む手順により、被処理水中の微生物を集積させることができる。集積した微生物は、重金属イオンを含む水中で、導電体および沈殿物で被覆された導電体から電子供給を受けることにより増殖させることができる。
【0038】
本発明者らは、実施例で示すように、愛媛県西条市市之川の抗廃水流出箇所において本発明の方法を実施し、沈殿物中に微生物を集積させた。そして、回収した沈殿物からDNAを抽出して16SrRNA遺伝子アンプリコンシーケンス解析を行い、沈殿物に特定の微生物が優占株として集積していることを見出した。解析の結果、下記(a1)からなる16SrRNA遺伝子を有する株と下記(b1)からなる16SrRNA遺伝子を有する株とを有する株とが集積している沈殿物と、下記(a2)からなる16SrRNA遺伝子を有する株と下記(b2)からなる16SrRNA遺伝子を有する株とを有する株とが集積している沈殿物とが確認された。
(a1)配列番号1に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(a2)配列番号3に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(b1)配列番号2に記載の配列からなるポリヌクレオチド、
(b2)配列番号4に記載の配列からなるポリヌクレオチド。
【0039】
これらの株の16SrRNA遺伝子はいずれも、培養されている単離株とは配列相同性が90%以下であり、新種の微生物であり、系統分析の結果ガンマプロテオバクテリア綱(Gamma-Proteobacteria)に分類される微生物であることがわかった。
【0040】
上記の新種の微生物は、0.5~0.7μm×1.3~2.4μmのサイズの桿菌であり、繊毛(細胞外繊維)を有する(図2)。
【0041】
上記の新種の微生物は電子が供給された導電体に生じる沈殿物に優占株として集積しており、電極となる導電体上の電気活性を促進していると考えられる。また、沈殿物から抽出されるDNAのメタゲノム解析から得られる上記新規微生物のアセンブリ配列には、金属代謝能に関連する遺伝子配列が含まれていた。したがって、上記の新規微生物株はいずれも、重金属イオン代謝能を有する微生物であり、本発明の重金属イオンを回収する方法に使用することができる。
【0042】
なお、上記アセンブリ配列には、炭素固定に関連する遺伝子配列、窒素固定に関連する遺伝子配列、およびヒ素耐性に関連する遺伝子配列も含まれていた。
【0043】
本発明の方法により集積された上記の解析結果から、上記の新規株に限らず、以下の16SrRNA遺伝子を有する微生物種は重金属イオン代謝能を有すると考えられる。
(a)配列番号1または3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(aa)配列番号1または3の塩基配列と高い同一性を有する配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号2または4の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(bb)配列番号2または4の塩基配列と高い同一性を有する配列からなるポリヌクレオチド。
【0044】
高い同一性とは、たとえば90%以上であることをいい、好ましくは95%以上であり、より好ましくは98.0%以上であり、さらに好ましくは98.5%以上であり、さらに好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.4%以上であり、特に好ましくは99.73%以上である。
【0045】
塩基配列(単に配列ということもある。)に関し、同一性は、2つの配列を最適の態様で整列させた場合に、2つの配列間で共有する一致したヌクレオチドの個数の百分率を意味する。同一性%は、(一致した位置の数/位置の全数)×100で算出でき、市販されているアルゴリズムを用いて計算することができる。また、このような計算は、当業者には周知のアルゴリズムまたはプログラム(例えば、BLASTN、BLASTP、BLASTX、ClustalW)により行うことができる。
【実施例0046】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
【0047】
愛媛県西条市市之川の抗廃水流出箇所にて行なった。排水中に、金属板製アノード電極およびカーボンクロス(筑波物質情報研究所製)製カソード電極を配置し、電極間の電流密度が0.1~0.4A/m2となるように通電した。通電期間51日でカソード電極表面に沈殿物が確認された。この沈殿物を一部採取し、その後も処理を継続した。
【0048】
電極設置6ヶ月後のカソード電極表面の沈殿物の、X線回折測定(XRD、装置名: Ultima IV、Rigaku Co.製)を行なった。結果を図1に示す。構成相は主にカルサイト・アラゴナイトであると同定され、石英(SiO2)も検出された。
さらにカソード電極表面に蓄積した沈殿物の電子顕微鏡写真(図2)を得た(SEM: ESEM Quanta 450 FEG、FEI製)。多孔性の沈殿物(2)中に細長い紐状の細胞外繊維を有する微生物(図2、矢印1)が確認された。この、細胞外繊維(ナノワイヤー)は公知の金属代謝微生物の一部が固体表面と電子を授受するために産生する導電性の繊毛(Reguera et al. 2005. Nature 435:1098-1101; Gorby et al. 2006. PNAS 30:11358-11363.)と類似している。
【0049】
また、電極設置6ヶ月後のカソード電極表面の沈殿物中の各金属濃度を以下の手順で測定した。カソード電極片表面の沈殿物を濃塩酸で溶解させ、溶媒(希塩酸)により10-100倍程度に希釈後、各金属濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES:Vista-MPX、Varian製)を用いて測定した。
さらに、電極設置6ヶ月後の電極回収時に電極設置箇所上流(20~30cm程度)の抗廃水を採取後0.2μmフィルターで濾過し、各金属濃度を上記同様ICP-OESで測定した。
結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
上記の結果より、沈殿物には抗廃水中溶存濃度の1000倍以上のヒ素や鉄、マンガン(As、Fe、Mn)などの重金属イオンとともに、レアメタルで産業価値の高いアンチモン(Sb)も60倍程度濃集したことがわかる。
【0052】
また、カソード表面に蓄積した沈殿物に集積した微生物群集の16SrRNA遺伝子アンプリコンシーケンスによる解析を行なった。凍結保存していた通電期間51日のカソード片より、ZymoBIOMICS DNA/RNA Miniprep Kitを用いてキット付属プロトコールでDNA抽出を行った。DNA抽出には0.5cm×1.0cmのカソード片を提試した。抽出サンプルについてQubitTM 1X dsDNA High Sensitivity Assay Kit(サーモフィッシャー製)を用いてDNAの定量を行った。抽出DNA約1ngを鋳型DNAとして、既報(Hirai et al.2017.Microbe Environ. 32:336-343)に準じて細菌・古細菌の16S rRNA遺伝子のV4-V5領域を標的としたアンプリコンシーケンス解析を行った。表2に示す細菌・古細菌のV4-V5領域をカバーする複数の5’末端プライマー配列(U530プライマー配列)と3’末端プライマー配列(U907プライマー配列)のそれぞれの5’末端にイルミナアダプター配列(ACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT:配列番号5)、およびイルミナマルチプレックスPCRプライマー2.0配列(GTGACTGGAGTTCAGACGTGTGCTCTTCCGATCT:配列番号6)を付加したオリゴヌクレオチドをそれぞれフォワードプライマーおよびリバースプライマーとした。これら複数のフォワード・リバースプライマー対を混合したプライマーカクテル(U530/U907)を用いて、細菌・古細菌の16SrRNA遺伝子のV4-V5領域をPCR増幅した。
【0053】
【表2】
【0054】
DNA増幅をアガロースゲル電気泳動で確認し、残余のオリゴヌクレオチドをExonuclease IおよびShrimp Alkaline Phosphatase (Affymetrix)で消化したPCR反応産物を100倍希釈して鋳型DNAとして、シークエンシングインデックスとアダプター配列(イルミナ株式会社製)を付加するためにPCRを行った。PCR反応を行ったDNAをアガロースゲル電気泳動で確認し、磁性ビーズ(AMPure XP, ベックマン・コールター株式会社製)で精製し、QubitTM 1X dsDNA High Sensitivity Assay Kit(サーモフィッシャー製)で定量し、等モル濃度でプールした。これを内部標準(PhiX Control v3, イルミナ株式会社製)と共に600サイクルMiseqシーケンスキット(Illumina MiSeq Reagent Kit v3 (600 cycles), イルミナ株式会社製)を用いてMiSeqシーケンサー(イルミナ株式会社製)でペアエンドシーケンスを行った。
【0055】
得られたシーケンスリードから、Trimmomatic v0.33 (Bolger, A.M., M. Lohse, and B. Usadel. 2014. Trimmomatic: a flexible trimmer for Illumina sequence data. Bioinformatics 30:2114-2120)を用いてシーケンスアダプター配列と低クオリティーリードを除外し、Cutadapt v1.10 (Martin, M. 2011. Cutadapt removes adapter sequences from high-throughput sequencing reads. EMBnet J. 17:10)を用いてPCRプライマー配列を除去した。得られたリードについて、QIIME v1.5.0 pipelines (Caporaso, J.G., J. Kuczynski, J. Stombaugh, et al. 2010. QIIME allows analysis of high-throughput community sequencing data. Nat. Methods 7:335-336)を用いてペアエンドリードをつなげ、キメラ配列を同定・除外し、UNOISE3を用いて99%の配列相同性でクラスタリングを行いASV(Amplicon sequence variant)を作成した(表3)。さらに、QIIME v1.5.0 pipelinesを用いて97%の配列相同性でクラスタリングを行いOTU(Operational Taxonomic Unit)を作成し、各OTUの代表配列をSILVA ribosomal RNA databaseと照合し系統推定を行った。
【0056】
上記の結果、通電後51日後の電極(0.1mA/m2)では97%配列相同性のOTU(Operational Taxonomic Unit)解析で、約80%の相対出現頻度割合を示すGamma-Proteobacteriaに属する新種微生物の優占種(ASV1,ASV4)が検出された(図3)。また、その他の電極片(0.4mA/m2)からは97%OTU配列相同性で系統のやや異なる配列(ASV3,ASV5)が得られた。それに対し、通電無しの電極試料では出現頻度2%以下の系統群が95%以上を占めており、通電後の電極で集積していた新規微生物優占種も数%の割合でしか確認できなかった。通電電極で集積していた優占種は、それぞれ99%配列相同性では株レベルで異なる2株の可能性が示された。これら4株の系統樹を最尤法により作成した(図4)結果から、優占株の近縁配列は環境中から得られた未培養系統の配列のみであり、培養されている単離株とは配列相同性が90%以下であった。したがって、これら優占株はいずれも未培養系統の新種微生物であると考えられる。また、通電後6ヶ月の電極においても同様の優占株(ASV1,ASV4)が55~75%の相対出現頻度割合を占めていたことから、本新規微生物優占種は通電後51日後にはすでに優占化しており、その後数ヶ月(通電後6ヶ月)は最優占株であり続けることからも、電極反応で増殖する微生物であることがわかる。
【0057】
【表3】
【0058】
上記配列はいずれも、Blast検索において近縁な培養株との配列相同性が90%以下であり、上記の優占種は、いずれも未培養系統の新種微生物であると考えられる。電子顕微鏡写真より、この新種微生物は桿菌であり、16SrRNA遺伝子配列よりGamma-Proteobacteriaに属することが示された。公知の培養株で近縁なものとしては、Acidiferrobacter thiooxydanse strain DSM2392 (89.10%, Evalue 4e-131),Nitrosococcus oceani strain ATCC19707 (88.83%, Evalue 5e-130)、未培養系の近縁配列としては炭鉱跡地の地下水や塩化炭化水素汚染の地下水などから検出された配列であった。また、電極片より抽出したDNAのメタゲノム配列をIllumina Hiseq/Miseqによりシーケンスしアセンブルした本新種Gamma-Proteobacteria微生物のMAG(Metagenome Assembled Genome)の配列情報から、鉄代謝に関連する酵素(Bacterioferritin (EC 1.16.3.1):配列番号24)、炭素固定に関連する酵素(Ribulose bisphosphate carboxylase large chain (EC 4.1.1.39):配列番号25;Ribulose bisphosphate carboxylase small chain (EC 4.1.1.39) 配列番号26)、窒素固定に関連する酵素(Nitrogenase (molybdenum-iron) alpha chain (EC 1.18.6.1) :配列番号27;Nitrogenase (molybdenum-iron) beta chain (EC 1.18.6.1) :配列番号28)、ヒ素耐性に関連する酵素(Arsenate reductase (EC 1.20.4.4) thioredoxin-coupled, LMWP family:配列番号29;Arsenite/antimonite:H+ antiporter ArsB:配列番号30)の遺伝子が検出された。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の重金属イオンを回収する方法により、産業的価値の高いアンチモンなどの重金属のイオンを抗廃水などから、薬剤やエネルギーの大量投入や、アルカリ化や溜池等の設備投資など無しに、効率的に濃縮回収できる。特に、濃縮金属回収の際にも、現場で微生物活性反応に用いていたカーボンクロスなどの電極に用いた導電体を回収するのみでよく、微生物反応槽の設置や溜池底質の除去・回収のような大規模施工も必要ない点も利点である。
【符号の説明】
【0060】
1 微生物およびナノワイヤー
【配列表フリーテキスト】
【0061】
配列番号1~4:未培養系統の新種微生物株(ASV1,ASV3,ASV4,ASV5)の16SrRNA遺伝子配列
配列番号5:イルミナアダプター配列
配列番号6:イルミナマルチプレックスPCRプライマー2.0配列
配列番号7~23:プライマーの配列
配列番号24~30:新種微生物株からのMAG(Metagenome Assembled Genome)の配列情報から遺伝子が特定された酵素等のアミノ酸配列
図1
図2
図3
図4
【配列表】
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