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特開2023-130008ごみ処理支援システム、方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130008
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ごみ処理支援システム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20230912BHJP
   B64C 27/04 20060101ALI20230912BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230912BHJP
   B65F 7/00 20060101ALI20230912BHJP
   F23G 5/02 20060101ALI20230912BHJP
   B09B 3/40 20220101ALI20230912BHJP
【FI】
F23G5/50 G ZAB
B64C27/04
B64C39/02
B65F7/00 Z
F23G5/50 Z
F23G5/02 D
F23G5/50 Q
B09B3/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034428
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 秀征
【テーマコード(参考)】
3E025
3K062
3K065
4D004
【Fターム(参考)】
3E025CA01
3E025DF01
3E025EA02
3E025EA06
3E025EB10
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC01
3K062BA02
3K062CA01
3K062CA05
3K062CB01
3K062DA01
3K062DA38
3K062DA40
3K062DB30
3K062EB09
3K065AA24
3K065AC01
3K065BA01
3K065CA04
3K065CA08
4D004AA01
4D004CA15
4D004CA28
4D004CB21
4D004CB31
(57)【要約】
【課題】 ごみピット内のごみを自動的に均質化することができ、かつ、操業中であってもセンサ類の保守点検等を可能とすること。
【解決手段】 実施形態によれば、処理支援システムは、情報収集部と、状態把握部と、決定部とを備える。情報収集部は、無人航空機に備えられたセンサによって、ごみピット内のごみの情報を収集する。状態把握部は、収集された情報に基づいて、前記ごみピット内のごみの状態を把握する。決定部は、把握されたごみの状態に基づいて、ごみピット内において、ごみの撹拌を要する場所である要撹拌場所を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機に備えられたセンサによって、ごみピット内のごみの情報を収集する情報収集部と、
前記収集された情報に基づいて、前記ごみピット内のごみの状態を把握する状態把握部と、
前記把握された前記ごみの状態に基づいて、前記ごみピット内において、前記ごみの撹拌を要する場所である要撹拌場所を決定する決定部とを備える、ごみ処理支援システム。
【請求項2】
前記ごみの情報は、前記ごみの水分量、温度、および高さのうち、少なくとも何れかを含む、請求項1に記載のごみ処理支援システム。
【請求項3】
前記ごみピットの水平面を、複数のブロックによって格子状に区画分けする区画部をさらに備え、
前記状態把握部は、前記ごみの状態を、前記ブロック毎に把握する、請求項1または2に記載のごみ処理支援システム。
【請求項4】
前記決定部は、前記要撹拌場所を決定する際、前記状態把握部によって前記ブロック毎に把握されたごみの状態に基づいて、前記複数のブロックのうちの何れかを、前記要撹拌場所として決定する、請求項3に記載のごみ処理支援システム。
【請求項5】
前記決定部は、前記要撹拌場所を決定する際、撹拌により前記ごみピット内で水分分布が均一化されるように、前記要撹拌場所を決定する、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のごみ処理支援システム。
【請求項6】
前記決定部によって前記要撹拌場所が決定された場合、前記要撹拌場所に存在するごみを撹拌するように、前記ごみピットのために設けられたクレーンに対して指示する指示部をさらに備える、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載のごみ処理支援システム。
【請求項7】
前記決定部はさらに、前記把握された前記ごみの状態に基づいて、焼却のために前記ごみピットから排出されるごみが存在する場所である要焼却ごみ存在場所を決定する、請求項1または2に記載のごみ処理支援システム。
【請求項8】
前記ごみピットの水平面を、複数のブロックによって格子状に区画分けする区画部をさらに備え、
前記状態把握部は、前記ごみの状態を、前記ブロック毎に把握する、請求項7に記載のごみ処理支援システム。
【請求項9】
前記決定部は、前記要焼却ごみ存在場所を決定する際、前記状態把握部によって前記ブロック毎に把握されたごみの状態に基づいて、前記複数のブロックのうちの何れかを、前記要焼却ごみ存在場所として決定する、請求項8に記載のごみ処理支援システム。
【請求項10】
前記区画部は、前記ブロックの面積を、前記ごみピットのために設けられたクレーンによってグラブ可能な最大面積以下に設定する、請求項3、4、8、9のうちの何れか1項に記載のごみ処理支援システム。
【請求項11】
前記決定部によって前記要焼却ごみ存在場所が決定された場合、前記要焼却ごみ存在場所に存在するごみを、前記ごみピットの外へ排出するように、前記ごみピットのために設けられたクレーンに対して指示する指示部をさらに備える、請求項7乃至9のうち何れか1項に記載のごみ処理支援システム。
【請求項12】
ごみ処理支援システムが、
無人航空機に備えられたセンサによって、ごみピット内のごみの情報を収集し、
前記収集された情報に基づいて、前記ごみの状態を把握し、
前記把握された前記ごみの状態に基づいて、前記ごみピット内において、前記ごみの撹拌を要する場所である要撹拌場所を決定する、ごみ処理支援方法。
【請求項13】
無人航空機に備えられたセンサによって、ごみピット内のごみの情報を収集する機能、
前記収集された情報に基づいて、前記ごみの状態を把握する機能、
前記把握された前記ごみの状態に基づいて、前記ごみピット内において、前記ごみの撹拌を要する場所である要撹拌場所を決定する機能を、プロセッサに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無人航空機を用いたごみ処理支援システム、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物処理場では、収集されたごみが、先ずごみピットに投入され、ごみピット内で撹拌され、均質化された後に、焼却炉内へ投入され、焼却される。
【0003】
現在、ごみピット内のごみの撹拌は、オペレータが、クレーンを操作することによって行っており、自動化されていない。
【0004】
また、ごみピット内のどの場所を先ず撹拌して、次にどの場所を撹拌するのかといった撹拌スケジュールも、オペレータの経験と勘によって決定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/030742号公報
【特許文献2】特開昭60-207022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、オペレータの熟練度によっては、適切な撹拌が行われず、ごみの均質化が十分になされない場合もあり得る。
【0007】
このため、オペレータの勘に頼らず、ごみを十分に均質化できる自動化機能を備えた、ごみ処理支援技術の実現が望まれている。
【0008】
特許文献1には、ごみピット内の撮像画像から焼却時の発熱量を評価する技術が開示されている。また、特許文献2には、壁面やクレーンに取り付けた非接触のセンサによってごみの均質化を判定する技術が開示されている。
【0009】
しかしながら、これら先行技術では、カメラや温度センサは、壁面やクレーンに取り付けられており、位置が固定されている。このため、高く堆積したごみの場合、実高を測定できないのみならず、堆積状態によっては、測定さえできない場合もある。このため、ごみの情報が得られず、撹拌スケジュールを自動的に立案することもできない。したがって、これら先行技術では、ごみの自動的な均質化を実現できない。
【0010】
また、これら先行技術では、カメラや温度センサは、壁面やクレーンに取り付けられていることから、炉操業時、特にクレーン動作中には、保守点検ができない。このため、保守点検はごみ焼却の行われない休炉時に限定されてしまう。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、ごみピット内のごみを自動的に均質化することができ、かつ、操業中であってもセンサ類の保守点検等が可能なごみ処理支援システム、方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態のごみ処理支援システムは、情報収集部と、状態把握部と、決定部とを備える。情報収集部は、無人航空機に備えられたセンサによって、ごみピット内のごみの情報を収集する。状態把握部は、収集された情報に基づいて、前記ごみピット内のごみの状態を把握する。決定部は、把握されたごみの状態に基づいて、ごみピット内において、ごみの撹拌を要する場所である要撹拌場所を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態のごみ処理支援方法が適用されるごみ処理支援システムの電子回路構成例を示すブロック図である。
図2図2は、ごみ処理支援システムが適用されるごみピットの一例を示す斜視図である。
図3図3は、ごみピット内のごみAの3Dマッピングの例である。
図4図4は、仮想的に複数のブロックで格子状に区画分けされたごみピットの水平面の一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態のごみ処理支援システムの動作例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態のごみ処理支援システム10と、ドローン40と、クレーン60との関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態のごみ処理支援方法が適用されるごみ処理支援システムを、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態のごみ処理支援方法が適用されるごみ処理支援システムの電子回路構成例を示すブロック図である。
【0016】
図2は、ごみ処理支援システムが適用されるごみピットの一例を示す斜視図である。
【0017】
ごみ処理支援システム10は、例えばドローン40のような無人航空機を用いてごみピット50内のごみAの情報を収集し、収集された結果に基づいて、ごみピット50内でなされる様々なごみ処理オペレーションを支援するシステムであって、例えば固定式のサーバまたはクラウドサーバによって実現することができる。
【0018】
なお、本実施形態では、無人航空機の例として、ドローン40を用いて説明するが、本実施形態における無人航空機は、ドローン40に限定されるものではない。
【0019】
ごみ処理支援システム10は、図1に例示するように、電子回路として、バス11によって互いに接続されたCPU12、記録媒体読取部14、通信部15、入力部17、表示画面18、メモリ20、および記憶装置30を備えている。
【0020】
メモリ20は、情報収集プログラム21、状態把握プログラム22、区画プログラム23、決定プログラム24、指示プログラム25、およびクレーン・収集車位置情報取得プログラム26を記憶している。これらプログラム21~26は、メモリ20に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ20に読み込まれ記憶されたものであってもよい。これらプログラム21~26は、書き換えできないようになっている。
【0021】
メモリ20は、このようなユーザ書き換え不可能なエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するエリアとして、書込可能データエリア29も確保している。
【0022】
CPU12は、コンピュータであって、ソフトウェアとハードウェアとが協働するように、メモリ20に記憶されている各プログラム21~26に従い回路各部の動作を制御する。
【0023】
通信部15は、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信ネットワークを介して、ドローン40や、ごみピット50の上部に設けられたクレーン60や、ごみ収集車(図示せず)との通信を行う。
【0024】
入力部17は、例えば、マウス、キーボード、スキャナ、マイクロフォン等であり、ごみ処理支援システム10のオペレータは、入力部17を操作することによって、必要な操作を行ったり、必要なデータを作成することができる。
【0025】
表示画面18は、限定される訳ではないが、例えば、液晶ディスプレイのような公知のディスプレイとすることができる。オペレータは、表示画面18から、ごみ処理支援システム10によって収集されたセンシングデータや、ごみ処理支援システム10の動作状況等を見ることができる。
【0026】
記憶装置30は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなり、センシングデータデータベース31、および区画情報データベース32を記憶している。
【0027】
ドローン40には、種々のセンサおよび通信装置が搭載されている。これらセンサは、例えば、温度センサ、水分量センサ、高度センサ、GPS等の位置情報認識センサ(以下、「位置センサ」とも称する)、およびカメラを含む。温度センサや水分量センサには、例えば赤外線センサを適用することができる。高度センサには、たとえば、レーザセンサを適用することができる。
【0028】
ドローン40は、予め定められた飛行ルートにしたがって、あるいは、オペレータによる操作にしたがって、ごみピット50内を飛行する。ドローン40の飛行中、これらセンサは、ピット50内のごみAの情報、例えば、温度情報、水分量情報、高さ情報、位置情報、画像情報などを取得する。これら取得された情報(以下、「センシングデータ」と称する)は、各センサから、ドローン40に搭載された通信装置へ出力され、さらに通信装置によって、これらセンシングデータに、タイムスタンプが付加され、ごみ処理支援システム10へ送信される。
【0029】
このように送信された、タイムスタンプ付きのセンシングデータは、ごみ処理支援システム10の通信部15によって受信される。通信部15は、受信したタイムスタンプ付きのセンシングデータを、メモリ20へ出力する。
【0030】
情報収集プログラム21は、タイムスタンプ付きのセンシングデータがメモリ20へ出力されると、タイムスタンプ付きのセンシングデータを、記憶装置30のセンシングデータデータベース31に格納する。このようにして、情報収集プログラム21は、ごみピット50内のごみAの種々の情報を収集する。
【0031】
状態把握プログラム22は、センシングデータデータベース31に格納された、タイムスタンプ付きのセンシングデータに基づいて、ごみピット50内のごみAの状態を把握する。
【0032】
ごみAの状態の把握としては、例えば、ごみAの高さおよび温度の把握がある。この場合、状態把握プログラム22は、センシングデータデータベース31から、タイムスタンプに基づいて、ある時刻に取得されたセンシングデータを取得する。前述したように、センシングデータには、ごみAの温度情報、水分量情報、高さ情報、位置情報、画像情報が含まれているので、状態把握プログラム22は、そのうち、温度情報、高さ情報、および位置情報を参照することにより、ごみピット50内の各位置におけるごみAの高さおよび温度を把握できる。状態把握プログラム22はさらに、その結果を、図3に例示するような3Dマッピングとして出力することもできる。
【0033】
図3は、ごみピット内のごみAの3Dマッピングの例である。
【0034】
図3に示す3Dマッピングでは、X軸およびY軸が、ごみピット50内の平面位置に対応し、Z軸がごみピット50内のごみAの高さに対応し、さらにごみAは、凡例Cに示すように、温度範囲毎に異なる色で表示される。
【0035】
オペレータは、図3のような3Dマッピングを参照することで、ごみピット50内のごみAの高さおよび温度の両方の三次元分布を把握することができる。
【0036】
また、状態把握プログラム22は、センシングデータに含まれる水分量情報および位置情報に基づいて、ごみピット50内の水分分布を把握することもできる。図示しないが、この結果も同様に、3Dマッピングとして出力することができる。
【0037】
このように、状態把握プログラム22は、ごみピット50内のごみAの状態を把握する。
【0038】
区画プログラム23は、ごみピット50の水平面を、仮想的に複数のブロックBによって格子状に区画分けする。これを図4を用いて説明する。
【0039】
図4は、仮想的に複数のブロックで格子状に区画分けされたごみピットの水平面の一例を示す図である。図4は、図2に例示するようなごみピット50を真上から見た状態に相当する。
【0040】
区画プログラム23は、図4に例示するように、ごみピット50の水平面を、複数の同一サイズの長方形のブロックBで格子状に区画分けする。これはあくまで仮想的なものであり、実際に、ごみピット50の内部が物理的に仕切られている訳ではないことに留意されたい。ブロックBの面積は、クレーン60が一度にグラブできる、すなわち、掴むことができる、最大面積以下に設定する。
【0041】
区画プログラム23はさらに、各ブロックBに、2次元配列における位置を示すアドレス(X,Y)を割り当てる。アドレスは、例えば、図4に示すように、原点O(図中左上)に接するブロックBに対して(1,1)を割り当てる。そして、X軸に沿って進むにしたがって、Xの値を1ずつ増やし、Y軸に沿って進むにしたがって、Yの値を1ずつ増やすように割り当てる。
【0042】
区画プログラム23は、このようにして、すべてのブロックBに対して、2次元配列における位置を示すアドレスを割り当てる。なお、図4の例は、ごみピット50の水平面を、8×4のブロックBに分割した例を示しているが、ブロックBの分割パターンはこれに限定されるものではなく、他の分割パターンが採用された場合であっても、前述したような法則で、各ブロックBにアドレスを割り当てる。
【0043】
区画プログラム23は、このように各ブロックBに割り当てられたアドレス(図4の例の場合、(1,1)、(2,1)、・・・・(8,1)、(1,2)、(2,2)、・・・・(8,2)、(1,3)、(2,3)、・・・・(8,3)(1,4)、(2,4)、・・・・(8,4))に関するアドレス情報と、ブロックBの縦寸法および横寸法を示す寸法情報とを、区画情報データベース32に格納する。
【0044】
状態把握プログラム22は、区画プログラム23による区画分けに応じて、ごみピット50内のごみAの状態を、ブロックB毎に把握することもできる。
【0045】
状態把握プログラム22は、ごみピット50内のごみAの状態を、ブロックB毎に把握する場合、センシングデータデータベース31に格納された各センシングデータに含まれる位置情報と、区画情報データベース32に格納されたアドレス情報および寸法情報とに基づいて、各センシングデータが、どのブロックBに属するのかを把握する。
【0046】
その後、状態把握プログラム22は、同一のブロックBに属する各センシングデータを積算することによって、ごみピット50内のごみAの状態を、ブロックB毎に把握する。
【0047】
例えば、状態把握プログラム22は、センシングデータに含まれるごみAの高さを、ブロックB毎に積算することによって、ブロックB毎のごみAの高さを把握することができる。同様に、ごみAの温度をブロックB毎に積算することによって、ブロックB毎のごみAの温度を、ごみAの水分量をブロックB毎に積算することによって、ブロックB毎のごみAの水分量をそれぞれ把握することができる。
【0048】
決定プログラム24は、状態把握プログラム22によって把握されたごみAの状態に基づいて、ごみピット50内において、ごみAの撹拌を要する場所である要撹拌場所を決定する。また、状態把握プログラム22によって把握されたごみAの状態に基づいて、焼却のためにごみピット50から排出されるごみAが存在する場所である要焼却ごみ存在場所を決定する。
【0049】
要撹拌場所を決定する場合、決定プログラム24は、ごみピット50内のごみAの高さ分布や、温度分布や、水分分布に基づいて、要撹拌場所を決定する。
【0050】
例えば、決定プログラム24は、ごみAの高さが高い場所や、ごみAの温度が高い場所を、優先的に要撹拌場所として決定することができる。また、決定プログラム24は、ごみピット50内の水分分布に基づいて、撹拌によりごみピット50内で水分分布が均一化されるように、要撹拌場所を決定することもできる。
【0051】
要焼却ごみ存在場所を決定する場合、決定プログラム24は、ごみピット50内のごみAの高さ分布や、温度分布や、水分分布に基づいて、十分に撹拌がなされていると判断される場所を、要焼却ごみ存在場所として決定する。
【0052】
例えば、決定プログラム24は、ごみAの高さ、ごみAの温度、および水分分布がともに均質化されている場所を、要焼却ごみ存在場所として決定する。
【0053】
なお、状態把握プログラム22によって、ごみAの状態が、ブロックB毎に把握された場合、決定プログラム24は、要撹拌場所および要焼却ごみ存在場所をともに、すべてのブロックBから、何れかのブロックBを選択することによって決定することもできる。
【0054】
例えば、決定プログラム24は、ごみAの高さが高いブロックBや、ごみAの温度が高いブロックBを、優先的に要撹拌場所として決定できる。また、決定プログラム24は、ごみピット50内の水分分布に基づいて、撹拌によりごみピット50内で水分分布が均一化されるように、要撹拌場所とするブロックBを決定できる。
【0055】
また例えば、決定プログラム24は、水分分布が均質化されているブロックBを、要焼却ごみ存在場所として決定できる。
【0056】
指示プログラム25は、決定プログラム24によって要撹拌場所が決定されると、要撹拌場所に存在するごみAを撹拌するように、クレーン60に無線等によって指示する。
【0057】
指示プログラム25はまた、決定プログラム24によって要焼却ごみ存在場所が決定されると、要焼却ごみ存在場所に存在するごみを、ごみピット50外の焼却炉へ投入するように、クレーン60に無線等によって指示する。
【0058】
これら指示に応じて、クレーン60は、要撹拌場所に存在するごみAを撹拌したり、要焼却ごみ存在場所に存在するごみをグラブして(すなわち、掴んで)、ごみピット50外の焼却炉へ投入する。
【0059】
なお、クレーン60のために、例えば図4に例示されるように、ごみピット50に隣接して、点検エリア52を設けることが望ましい。
【0060】
これによって、クレーン60の保守や点検を、ごみピット50内ではなく、点検エリア52において行うことができる。
【0061】
ところで、ごみピット50内において、ドローン40が、クレーン60の近傍を飛行すると、クレーン60にドローン40が衝突するリスクがある。また、ドローン40が、ごみピット50内にごみAを排出しているごみ収集車(図示しない)の近傍を飛行すると、ごみ収集車から排出されるごみAにドローン40が衝突するリスクもある。
【0062】
このようなリスクを避けるために、クレーン60およびごみ収集車には、位置センサおよび通信装置が設けられている。位置センサによって計測された位置情報は、通信装置によって、クレーン60やごみ収集車に固有に割り当てられた識別情報が付加されて、ごみ処理支援システム10へ送信される。ごみ処理支援システム10では、クレーン60やごみ収集車から送信された識別情報付きの位置情報を、通信部15が受信し、メモリ20へ出力する。
【0063】
クレーン・収集車位置情報取得プログラム26は、メモリ20に出力された識別情報付きの位置情報に基づいて、クレーン60や、ごみ収集車の位置を、例えば図4に例示されるような平面図上に示す画像を、表示画面18から表示させる。
【0064】
この表示画面18を見ることによって、オペレータは、クレーン60やごみ収集車の位置、あるいはクレーン60やごみ収集車が位置するブロックBを認識し、クレーン60やごみ収集車の近傍にドローン40が飛行しないように、ドローン40を操作することが可能となる。
【0065】
また、クレーン・収集車位置情報取得プログラム26は、メモリ20に出力された識別情報付きの位置情報を、ドローン40に通知し、ドローン40に対して、クレーン60やごみ収集車に向かって飛行しないように指示することもできる。
【0066】
これによって、クレーン60が動作中でも、また、ごみ収集車からごみAの排出がなされている間でも、ごみピット50内にドローン40を安全に飛行させることがきる。
【0067】
なお、ドローン40のために、例えば図4に例示されるように、ごみピット50の近傍に、点検エリア53を設けることが望ましい。そして、ドローン40の保守点検時には、ドローン40を、手動操作あるいは自動操作によって、ごみピット50内から点検エリア53に退避させることによって、ごみピット50の操業中であっても、ドローン40自体、あるいはドローンに搭載されたセンサ類の保守点検を行うことが可能となる。
【0068】
次に、以上のように構成した本発明の実施形態のごみ処理支援システムの動作例について説明する。
【0069】
図5は、本発明の実施形態のごみ処理支援システムの動作例を示すフローチャートである。
【0070】
図6は、本発明の実施形態のごみ処理支援システム10と、ドローン40と、クレーン60との関係を示す模式図である。
【0071】
ごみ収集車によって搬送されたごみAは、焼却炉へ投入される前に、ごみピット50に排出される。ごみピット50内のごみAの情報を収集するために、種々のセンサおよび通信装置が搭載されたドローン40が、予め定められた飛行ルートにしたがって、あるいは、オペレータによる操作にしたがって、ごみピット50内を飛行する。
【0072】
ごみピット50は、図4に例示するように、仮想的に水平面が、複数のブロックBによって区画分けされている。
【0073】
ドローン40はまず、1つのブロックBの中心の上空に飛行する。この場合、ごみAの上に着地はせず、ごみAの上空をホバリングする(S1)。
【0074】
この状態で、ドローン40に搭載されている各センサによって、このブロックBのごみAのセンシングデータが取得される(S2)。
【0075】
センシングデータは、ドローン40に搭載されている通信装置によって、タイムスタンプが付加され、ごみ処理支援システム10へ送信される(S3)。このように送信された、タイムスタンプ付きのセンシングデータは、ごみ処理支援システム10の通信部15によって受信され、通信部15によって、メモリ20へ出力される。そして、情報収集プログラム21によって、記憶装置30のセンシングデータデータベース31に格納される。
【0076】
上記ステップS1~S3の処理が、すべてのブロックBに対して実施されるまで繰り返される(S4)。これによって、すべてのブロックBについて、ごみAの種々のセンシングデータが収集される。
【0077】
収集された種々のセンシングデータに基づいて、状態把握プログラム22によって、ごみピット50内のブロックB毎に、例えば、ごみの水分量が均一化されているか(水分量が均一化され、ごみAが発酵し、温度上昇しているか)否かといった、ごみAの状態が把握される(S5)。さらには、把握結果に基づいて、図3に例示されるような3Dマッピングが作成される(S6)。
【0078】
これら状態把握プログラム22によって把握されたごみAの状態に基づいて、決定プログラム24によって、何れかのブロックBが、ごみAの撹拌を要する要撹拌場所として決定される(S7)。
【0079】
決定プログラム24によって要撹拌場所が決定されると、指示プログラム25によって、要撹拌場所として決定されたブロックBに存在するごみAを撹拌するように、クレーン60に指示がなされる(S8)。
【0080】
この指示に応じて、クレーン60によって、このブロックBに存在するごみAが撹拌される(S9)。
【0081】
その後、焼却炉へごみAを投入するタイミングになる(S10:Yes)と、決定プログラム24によって、何れかのブロックBが、要焼却ごみ存在場所として決定される(S11)。
【0082】
決定プログラム24によって要焼却ごみ存在場所が決定されると、指示プログラム25によって、クレーン60に対して、要焼却ごみ存在場所として決定されたブロックBに存在するごみを、焼却炉へ投入するように指示される(S12)。
【0083】
この指示に応じて、クレーン60によって、このブロックBに存在するごみAが、グラブされ、焼却炉へ投入される(S13)。
【0084】
なお、クレーン60およびごみ収集車には、位置センサおよび通信装置が設けられており、位置センサによって計測された位置情報は、ごみ処理支援システム10へ送信される。これによって、クレーン60およびごみ収集車の位置は、ごみ処理支援システム10によって把握され、ドローン40は、ごみ処理支援システム10によって、クレーン60に接触しないように、ごみ収集車の近傍へ飛行しないように制御される。
【0085】
上述したように、本発明の実施形態のごみ処理支援システム10によれば、ドローン40のような無人航空機が、ごみピット50内を飛行しながら、ドローン40に搭載されたセンサによって、ごみピット50内のごみAの情報を収集することができる。
【0086】
このように、センサは、ドローン40に搭載されており、壁面やクレーン等に取り付けられた固定式のものではないので、従来必要であった壁面やクレーン60等へのセンサ設置工事等は不要となる。
【0087】
また、ドローン40の飛行機能により、固定式のセンサからは死角であり、測定できなかったような場所にも移動して、情報を収集できるので、ごみAの堆積の様子に関係なく、ごみAの実高を含む、ごみピット50内のほとんどのごみAの様々な情報を、高い精度で収集できる。
【0088】
さらに、ごみ処理支援システム10は、収集したこれら情報に基づいて、ごみピット50内において、ごみの撹拌Aを要する要撹拌場所や、要焼却ごみ存在場所を、オペレータの経験や勘に頼ることなく、適切に決定することができ、焼却炉に負荷を与えることなく、良好に撹拌されたごみAを、焼却炉に投入できる。
【0089】
また、ドローン40やセンサ類の保守点検は、ドローン40を、ごみピット50から、点検エリア53へ取り出して行うことができるので、ごみピット50の操業を中断することなく、ドローン40やセンサ類の保守点検を実施することが可能である。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0091】
10・・ごみ処理支援システム、11・・バス、12・・CPU、13・・外部記録媒体、14・・記録媒体読取部、15・・通信部、17・・入力部、18・・表示画面、20・・メモリ、21・・情報収集プログラム、22・・状態把握プログラム、23・・区画プログラム、24・・決定プログラム、25・・指示プログラム、26・・クレーン・収集車位置情報取得プログラム、29・・書込可能データエリア、30・・記憶装置、31・・センシングデータデータベース、32・・区画情報データベース、40・・ドローン、50・・ピット、52・・点検エリア、53・・点検エリア、60・・クレーン

図1
図2
図3
図4
図5
図6