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  • 特開-薬液注入装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130021
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】薬液注入装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/03 20060101AFI20230912BHJP
   F16K 17/34 20060101ALI20230912BHJP
   F16K 31/363 20060101ALI20230912BHJP
   F16K 5/02 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F04B49/03 311
F16K17/34 D
F16K31/363
F16K5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034452
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木谷 圭太
(72)【発明者】
【氏名】葛籠 佑斗
(72)【発明者】
【氏名】川村 理桜
(72)【発明者】
【氏名】安井 亜祐美
(72)【発明者】
【氏名】柳川 英明
【テーマコード(参考)】
3H054
3H056
3H060
3H145
【Fターム(参考)】
3H054AA01
3H054BB01
3H054CC00
3H054CD01
3H054DD01
3H054EE04
3H056AA02
3H056BB21
3H056CA02
3H056CA08
3H056CB02
3H056CB09
3H056CD01
3H056CD06
3H056DD02
3H056GG04
3H060AA02
3H060BB03
3H060CC06
3H060CC12
3H060CC22
3H060DA17
3H060DC05
3H060DC14
3H060DD02
3H060DD12
3H060DD17
3H060HH02
3H145AA02
3H145AA22
3H145AA31
3H145AA42
3H145BA12
3H145BA36
3H145CA06
3H145DA05
3H145DA16
3H145EA14
3H145EA38
3H145EA44
(57)【要約】
【課題】 流水の流量によらず、薬液濃度が不均一となってしまうことを抑制可能な薬液注入装置の一例を開示する。
【解決手段】 薬液注入装置1は、ポンプ5から吐き出された薬液の流水への注入、及び当該薬液を薬液槽3に還流させることが可能な薬液分配調整器7であって、流水への注入薬液量と当該薬液槽3に還流させる薬液量との分配比率を調整可能な薬液分配調整器7を備える。これにより、当該薬液注入装置1では、薬液分配調整器7により流水への注入薬液量を調整できる。したがって、ポンプ5の吐出量に大きな影響を受けることなく、必要な注入量を確保できるので、薬液濃度が不均一となってしまうことが抑制され得る。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水に薬液を注入する薬液注入装置において、
薬液が貯留される薬液槽と、
前記薬液槽に貯留されている薬液を送り出すポンプと、
前記ポンプから吐き出された薬液の流水への注入、及び当該薬液を前記薬液槽に還流させることが可能な薬液分配調整器であって、流水への注入薬液量と当該薬液槽に還流させる薬液量との分配比率を調整可能な薬液分配調整器と
を備える薬液注入装置。
【請求項2】
前記薬液分配調整器の薬液流出口のうち流水側に接続される薬液流出口における圧力を流水側圧力とし、当該薬液分配調整器の薬液流出口のうち前記薬液槽側に接続される薬液流出口における圧力を薬液槽側圧力としたとき、
前記流水側圧力と前記薬液槽側圧力との圧力差が予め決められた値以下となるように当該圧力差を調整可能な圧力調整器を備える請求項1に記載の薬液注入装置。
【請求項3】
前記圧力調整器は、
前記薬液分配調整器から前記薬液槽に至る薬液流路の流路面積を調整する弁体であって、前記薬液分配調整器から流出する薬液の圧力を受けて当該流路面積を大きくする向きに変位する弁体、及び
前記弁体の背面に流水の静圧を導く導圧部であって、当該流水の静圧を前記流路面積を小さくする向きの力として当該弁体に作用させる導圧部
を有する請求項2に記載の薬液注入装置。
【請求項4】
前記薬液分配調整器は、
前記ポンプの吐出し側から流水側に至る薬液注入路、及び当該薬液注入路から分岐して前記薬液槽側に至る還流路が設けられたバルブボディ、並びに
前記還流路の連通状態を調整する弁体
を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の薬液注入装置。
【請求項5】
前記ポンプは、1回の作動時に定量の薬液を送り出す容積式ポンプである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の薬液注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流水に薬液を注入する薬液注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液注入装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、流水に次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤を薬液として注入する装置である。そして、流水に注入される薬液量は、流水の流量に応じた量とする必要がある。
【0003】
このため、特許文献1に記載の発明では、「シャフトが1回往復動する際に吐き出される薬液量が定まった量となる容積式ポンプ」を用いている。具体的には、特許文献1に記載の発明では、往復動モータを用いたダイヤフラムポンプを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-98136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、シャフトが1回往復動する際に吐き出される薬液量(以下、吐出量という。)が定量であるため、流水に注入する薬液量(以下、注入量という。)の調整は、単位時間当たりの往復動回数、つまりコイルへ通電周波数が変更制御されることにより実現される。
【0006】
このため、特許文献1に記載の発明では、注入量が小さくなると、薬液の注入タイミング間隔、つまり通電周波数の周期が大きくならざるを得ない。換言すれば、連続的に流れる流速に対して、薬液が不連続的に注入される。
【0007】
したがって、薬液注入装置から吐き出される流水を微視的に観察すると、薬液濃度が高い部位と薬液が殆ど存在しない部位とが存在し得る。この当該「薬液濃度の不均一」は、吐出量が小さくなるほど顕著になる。
【0008】
これに対して、出量が小さいポンプを用いれば、「薬液濃度の不均一」が発生し難くなる。しかし、吐出量が小さいポンプでは、注入量が大きくなった場合に、必要な注入量を確保することができない可能性がある。
【0009】
本開示は、これらの点に鑑み、流水の流量によらず、薬液濃度が不均一となってしまうことを抑制可能な薬液注入装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
流水に薬液を注入する薬液注入装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。すなわち、当該構成要件は、薬液が貯留される薬液槽(3)と、薬液槽(3)に貯留されている薬液を送り出すポンプ(5)と、ポンプ(5)から吐き出された薬液の流水への注入、及び当該薬液を薬液槽(3)に還流させることが可能な薬液分配調整器(7)であって、流水への注入薬液量と当該薬液槽(3)に還流させる薬液量との分配比率を調整可能な薬液分配調整器(7)とである。
【0011】
これにより、当該薬液注入装置では、薬液分配調整器(7)により流水への注入薬液量を調整できる。したがって、ポンプ(5)の吐出量に大きな影響を受けることなく、必要な注入量を確保できるので、流水の流量によらず、薬液濃度が不均一となってしまうことが抑制され得る。
【0012】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係る薬液注入装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係る薬液分配調整器を示す図である。
図3】第1実施形態に係る圧力調整器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0015】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0016】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された薬液注入装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0017】
(第1実施形態)
<1.薬液注入装置の概要>
本実施形態は、井戸水を供給するポンプ装置に本開示に係る薬液注入装置の一例が適用されたものである。本実施形態に係る薬液注入装置1は、図1に示されるように、薬液槽3、ポンプ5、薬液分配調整器7、圧力調整器9及び制御部11等を少なくとも備える。
【0018】
なお、ポンプ装置(図示せず。)により送水される井戸水は、連結管13を介して送水される。薬液注入装置1は、連結管13内を流通する井戸水(以下、流水という。)に薬液を注入する。
【0019】
薬液槽3は、薬液(本実施形態では、次亜塩素酸ナトリウム)が貯留されるタンクである。ポンプ5は、薬液槽3に貯留されている薬液を送り出す。本実施形態に係るポンプ5は、1回の作動時に定量の薬液を送り出す容積式ポンプ(本実施形態では、特許文献1に記載のポンプと同形式のポンプ)である。
【0020】
当該ポンプ5の作動及び停止は、制御部11により制御される。すなわち、本実施形態に係る薬液注入装置1は流量センサ15も備える。流量センサ15は、連結管13内を流通する流水の流量を連続的に検出可能なセンサである。
【0021】
流量センサ15の検出信号は、制御部11に入力されている。そして、制御部11は、流量センサ15の検出流量の増大に応じてポンプ5への通電周波数を増大させ、かつ、当該検出流量の減少に応じて通電周波数を減少させる。
【0022】
なお、本実施形態に係る制御部11は、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータにて構成されている。上記の通電周波数を制御するためのソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部に予め組み込まれている。
【0023】
薬液分配調整器7は、ポンプ5から吐き出された薬液の流水への注入、及び当該薬液を薬液槽3に還流させることが可能な分配調整器である。そして、当該薬液分配調整器7は、流水への注入薬液量と薬液槽3に還流させる薬液量との分配比率を調整する。
【0024】
圧力調整器9は、流水側圧力P1と薬液槽側圧力P2との圧力差が予め決められた値以下となるように当該圧力差を調整する圧力補償器である。
【0025】
なお、流水側圧力P1とは、薬液分配調整器7の薬液流出口のうち、流水(連結管13)側に接続される薬液流出口における圧力をいう。薬液槽側圧力P2とは、薬液分配調整器7の薬液流出口のうち、薬液槽3側に接続される薬液流出口における圧力をいう。
【0026】
<1.1 薬液分配調整器の詳細>
薬液分配調整器7は、図2に示されるように、バルブボディ7A及び弁体7B等を有して構成されている。バルブボディ7Aには、薬液の流路として薬液注入路7C及び還流路7Dが設けられている。
【0027】
薬液注入路7Cは、ポンプ5の吐出し側から流水(連結管13)側に至る流路である。なお、本実施形態では、図2中、弁体7Bの先端側に略90度曲がった流路が薬液注入路7Cである。
【0028】
還流路7Dは、薬液注入路7Cの途中(本実施形態では、略90度屈曲した部位)から分岐して薬液槽3側に至る流路である。弁体7Bは、還流路7Dの連通状態を調整する弁部材である。
【0029】
本実施形態に係る弁体7Bは、紙面左右方向に変位することにより、還流路7Dの開口面積Sdを増減させる。具体的には、弁体7Bが薬液流入口側(紙面左側)に変位すると、開口面積Sdが小さくなり、弁体7Bが薬液流入口から離間する向き(紙面右側)に変位すると、開口面積Sdが拡大する。
【0030】
本実施形態に係る弁体7Bは、バルブボディ7Aにネジ結合されたネジ式の円錐テーパ弁である。そして、還流路7Dの開口面積Sdは、作業者が弁体7Bを回転させることにより調整される。
【0031】
なお、本実施形態では、薬液注入路7Cの流出側及び還流路7Dの流出側それぞれに逆止弁(図示せず。)は設けられている。各逆止弁は、薬液分配調整器7から流出した薬液が、ポンプ5側に逆流することを防止する。
【0032】
<1.2 圧力調整器の詳細>
圧力調整器9は、図3に示されるように、バルブボディ9A、弁体9B及び導圧部9H等を少なくとも有して構成されている。バルブボディ9Aには、薬液流路9Cが設けられている。薬液流路9Cは、薬液分配調整器7から薬液槽3に至る流路である。
【0033】
弁体9Bは、薬液流路9Cの流路面積Spを調整する。なお、本実施形態に係る弁体9Bは、ゴム等の樹脂製である。バルブシート部9Dは金属製である。バルブシート部9Dは、バルブボディ9Aに設けられ、弁口9Eが閉じられたときに弁体9Bが接触する部位であって、弁口9Eの外縁を構成する部位である。
【0034】
弁口9Eは、薬液流路9Cのうち上流側(薬液分配調整器7の部分9F)と下流側(薬液槽3に至る部分9G)と連通させる開口である。つまり、弁体9Bは、弁口9Eの連通面積を調整することにより、薬液流路9Cの流路面積Spを調整する。
【0035】
そして、薬液分配調整器7から流出する薬液の圧力、つまり部分9Fの圧力(以下、開弁圧という。)は、流路面積Spを大きくする力を弁体9Bに作用させる。導圧部9Hは、弁体9Bの背面に流水の静圧を導く機能を有する。
【0036】
弁体9Bの背面とは、弁体9Bのうち開弁圧と対向する向きの圧力が作用する部位をいう。このため、弁体9Bの背面に作用する流水の静圧は、流路面積Spを小さくする圧力(以下、閉弁圧という。)として弁体9Bに作用する。
【0037】
なお、本実施形態では、導圧管9J(図1参照)を介して流水の静圧が導圧部9Hに導かれる。因みに、図3中、バネ9Kは、弁体9Bの振動(チャタリング)を抑制するためのバネである。このため、閉弁力は、流水の静圧による力と略一致する。
【0038】
<2.薬液分配調整器及び圧力調整器等の作動>
<2.1 圧力調整器の作動>
圧力調整器9の弁体9Bに作用する開弁圧は、薬液分配調整器7から圧力調整器9に吐き出される薬液の圧力である。弁体9Bに作用する閉弁圧は、導圧管9Jを介して導圧部9Hに導かれた流水の静圧である。
【0039】
そして、弁体9Bは、開弁圧と閉弁圧とが釣り合うように変位し、かつ、閉弁力は、流水の静圧による力と略一致する。このため、圧力調整器9は、流水側圧力P1と薬液槽側圧力P2との圧力差が予め決められた値以下となるように当該圧力差を調整する。
【0040】
なお、本実施形態では、弁体9Bの背面に流水の静圧が導入されているので、薬液流路9Cのうち上流側(薬液分配調整器7の部分9F)の圧力は、流水の静圧と略同一の圧力となる。つまり、圧力調整器9の入口で圧力は、流水の静圧と略同一となる。
【0041】
<2.2 薬液分配調整器の作動>
薬液分配調整器7の薬液注入路7Cを流通する薬液の流量Q1は、「薬液注入路7Cの流路断面積So」と「ポンプ5の吐出し圧力と流水の静圧との圧力差ΔP1」との関数値、つまり「Q1=f(So,ΔP1)」となる。
【0042】
薬液分配調整器7の還流路7Dを流通する薬液の流量Q2は、「開口面積Sd」と「ポンプ5の吐出し圧力と圧力調整器9の入口で圧力との圧力差ΔP2」との関数値、つまり「「Q2=f(Sd,ΔP2)」となる。
【0043】
つまり、Q1とQ2との比、つまり流水への注入薬液量Q1と薬液槽3に還流させる薬液量Q2との分配比率は、「流路断面積So」、「開口面積Sd」、「圧力差ΔP1」及び「圧力差ΔP2」の関数値となる。
【0044】
したがって、「流路断面積So」、「開口面積Sd」、「圧力差ΔP1」及び「圧力差ΔP2」のうち少なくとも1つが変更されると、分配比が変更される。そして、本実施形態では、「流路断面積So」は一定値(固定値)である。さらに、圧力調整器9の入口で圧力が流水の静圧と略同一であるので、「圧力差ΔP1」と「圧力差ΔP2」とは同一値となる。
【0045】
このため、本実施形態では、「ポンプ5の吐出し圧力と流水の静圧との圧力差ΔP1」が一定の場合には、流水への注入薬液量Q1と薬液槽3に還流させる薬液量Q2との分配比率は、実質的に「開口面積Sd」のみの関数値となる。
【0046】
したがって、薬液注入装置1を管理する者(以下、管理者という。)は、薬液分配調整器7の弁体7Bを回転させて、流水への注入薬液量Q1と薬液槽3に還流させる薬液量Q2との分配比率を調整することができる。
【0047】
<3.本実施形態に係る薬液注入装置の特徴>
本実施形態に係る薬液注入装置1では、薬液分配調整器7により流水への注入薬液量を調整できる。したがって、ポンプ5の吐出量に大きな影響を受けることなく、必要な注入量を確保できるので、流水の流量によらず、薬液濃度が不均一となってしまうことが抑制され得る。
【0048】
つまり、ポンプ5の吐出量が必要な注入量に対して大きい場合には、薬液槽3に還流させる薬液量Q2を大きくして流水への注入薬液量Q1を小さくすることにより、通電周波数の周期が大きくなることを抑制できるので、薬液濃度が不均一となってしまうことが抑制され得る。
【0049】
また、ポンプ5の吐出量が必要な注入量に対して小さい場合には、薬液槽3に還流させる薬液量Q2を小さく(Q2を0とする場合も含む。)して、流水への注入薬液量Q1を大きくすることができる。したがって、通電周波数の周期を小さくすることができるので、流水の流量によらず、薬液濃度が不均一となってしまうことが抑制され得る。
【0050】
当該薬液注入装置1は、流水側圧力P1と薬液槽側圧力P2との圧力差が予め決められた値以下となるように当該圧力差を調整可能な圧力調整器9を備える。これにより、上記のように、分配比率は、実質的に「開口面積Sd」のみの関数値となるので、管理者は、容易に分配比率を調整することができ得る。
【0051】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る薬液注入装置は、圧力調整器9を備える構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、圧力調整器9が廃止された構成であってもよい。
【0052】
上述の実施形態では、分配比率が実質的に「開口面積Sd」のみの関数値となることから薬液分配調整器7の弁体7Bを回転させて分配比率を調整する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0053】
すなわち、当該開示は、例えば、「開口面積Sd」及び「圧力差ΔP2」を調整する構成、又は「圧力差ΔP2」のみを調整する構成であってもよい。なお、「圧力差ΔP2」を調整する構成は、「弁体9Bの背面に作用する閉弁圧を調整する構成」、又は「弁口9Eの開口面積を弁体9Bにて調整する構成」であってもよい。
【0054】
上述の実施形態では、弁体7Bを管理者が調整する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、弁体7B及び弁体9Bのうち少なくとも一方の弁体を電磁ソレノイド又は往復動モータ等のアクチュエータにより駆動される構成とするとともに、流水の流量に応じてアクチュエータへの通電周波数を制御する構成であってもよい。
【0055】
上述の実施形態に係るポンプ5は、1回の作動時に定量の薬液を送り出す容積式ポンプであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、インペラの回転により薬液を吐き出す非容積式ポンプにてポンプ5が構成されていてもよい。
【0056】
上述の実施形態では、薬液分配調整器7と圧力調整器9とが別部品であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、薬液分配調整器7と圧力調整器9とが一体化された薬液分配調整器、又は圧力調整器9が廃止された構成であってもよい。
【0057】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
1… 薬液注入装置
3… 薬液槽
5… ポンプ
7… 薬液分配調整器
9… 圧力調整器
11… 制御部
13… 連結管
15… 流量センサ
図1
図2
図3