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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130041
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】エアバッグ装置及び、その製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/201 20110101AFI20230912BHJP
【FI】
B60R21/201
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034483
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】野上 光男
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054CC29
3D054FF13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアバッグを適切な圧縮形状に容易に保持することができるエアバッグ装置及び、エアバッグ装置の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の第1の態様に係るエアバッグ装置10は、インフレータ12から供給されるガスによって膨張・展開するエアバッグ14と、前記エアバッグ14の表面に連結され、当該エアバッグ14の収容時の外周形状を規制するガイド部材16と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インフレータから供給されるガスによって膨張・展開するエアバッグと;
前記エアバッグの表面に連結され、当該エアバッグの収容時の外周形状を規制するガイド部材と;を備えたことを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項2】
前記エアバッグは、前記ガイド部材の外周形状に沿った形状に折り畳まれ又はロールされることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記エアバッグよりも剛性の高い素材によって成形されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記インフレータは、前記エアバッグの内部に収容され、
前記ガイド部材の一部は、前記インフレータに対して係止されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記エアバッグの表面には、前記ガイド部材を覆うパッチが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、板状部材であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、金属又は樹脂からなるワイヤであることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項8】
前記ワイヤは、前記ガイド部材の外周を区画することを特徴とする請求項7に記載のエアバッグ装置。
【請求項9】
前記ワイヤの一部が前記インフレータのスタッドボルトに係合することで位置決めされることを特徴とする請求項7又は8に記載のエアバッグ装置。
【請求項10】
前記エアバッグの表面には、前記ワイヤを保持するループ状のワイヤ保持部材が複数設けられていることを特徴とする請求項7、8又は9に記載のエアバッグ装置。
【請求項11】
前記ワイヤの一部には、前記エアバッグの表面から離れる方向に突出したフック部が形成されていることを特徴とする請求項7乃至10の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項12】
前記エアバッグの表面には、前記ワイヤを覆うパッチが設けられ、
前記パッチには、前記フック部が通るパッチ開口部が形成されていることを特徴とする請求項11に記載のエアバッグ装置。
【請求項13】
収容状態の前記エアバッグの外周を覆うカバー部材を更に備え、
当該カバー部材には、前記パッチ開口部から突出した前記フック部が通るカバー開口部が形成されていることを特徴とする請求項12に記載のエアバッグ装置。
【請求項14】
前記ガイド部材は、前記エアバッグの表面上において、全体としてL字状に成形されることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項15】
請求項13に記載のエアバッグ装置の製造方法であって、
前記エアバッグの内部に前記インフレータを収容する工程と;
前記エアバッグの表面に前記パッチを縫製によって連結する工程と;
前記ワイヤを前記パッチの内部に挿入・布設する工程と;
前記ワイヤのフック部を前記パッチの前記パッチ開口部から突出させる工程と;
前記エアバッグを前記ワイヤの外周形状に沿って折り畳み、又はロールする工程と;
前記カバー部材で前記エアバッグを覆うと共に、前記カバー開口部から前記ワイヤの前記フック部を突出させて係止する工程と;を含むことを特徴とするエアバッグ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグを膨張展開させることで車両の乗員(搭乗者)や歩行者を保護するエアバッグ装置及び、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の事故発生時に乗員を保護するために1つまたは複数のエアバッグ装置を車両に設けることは周知である。エアバッグ装置としては、例えば、ステアリングホイールの中心付近から展開して運転者を保護する、いわゆるドライバエアバッグ装置や、窓の内側で下方向に展開して車両横方向の衝撃や横転、転覆事故時に乗員を保護するカーテンエアバッグ装置や、車両横方向の衝撃時に乗員を保護すべく乗員の側部(シートの側部)で展開するサイドエアバッグ装置などの様々な形態がある。また、自動車以外にもオートバイに搭載されるエアバッグ装置もある。本発明は、種々のエアバッグ装置に適用可能なものである。
【0003】
エアバッグ装置を収容するスペースは限られており、エアバッグをコンパクトに圧縮・収容することが求められる。また、収容空間に合わせて効率の良い収容形状にすることが重要である。例えば、オートバイ用のエアバッグ装置においては、自動車よりも更に収容空間が限られているため、圧縮するエアバッグの形状にも制限が多いのが現実である。
【0004】
圧縮されたエアバッグを特定の形状に保持するのは容易ではない。エアバッグの圧縮形状が不適切であると、ハウジングにスムーズに収容する妨げになる。また、エアバッグの圧縮形状が崩れると、エアバッグの展開挙動が悪化し、展開速度が低下する恐れもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、エアバッグを適切な圧縮形状に容易に保持することができるエアバッグ装置及び、エアバッグ装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るエアバッグ装置は、インフレータから供給されるガスによって膨張・展開するエアバッグと;前記エアバッグの表面に連結され、当該エアバッグの収容時の外周形状を規制するガイド部材と;を備えている。
【0007】
ここで、「エアバッグの表面」は、例えば、2枚の基布を縫い合わせて袋状に成形したエアバッグの場合には、一方の基布の外側表面となる。
【0008】
また、エアバッグの「収容時の外周形状」とは、折り畳んだり、ロールしたりすることで圧縮された状態のエアバッグの外縁で形成される形状を意味するものである。そして、「外周形状を規制する」とは、例えば、ガイド部材の外縁部を基準にしてエアバッグの折り目を形成したり、エアバッグをロールする場合の起点にしたりする場合を含む意味である。
【0009】
前記エアバッグを、前記ガイド部材の外周形状に沿った形状に折り畳、又はロールすることができる。
【0010】
ここで、「外周形状に沿った形状」とは、圧縮されたエアバッグをガイド部材側から見たときに、エアバッグの外周形状とガイド部材の外周形状が概ね一致し、又は概ね相似形となるような状態を含む。例えば、平面視で四角形のガイド部材を採用した場合には、圧縮されたエアバッグの外周形状もガイド部材の四角形に沿った四角形とする場合を含む。
【0011】
前記ガイド部材は、前記エアバッグよりも剛性の高い素材によって成形することができる。
【0012】
ガスによって膨張可能な比較的柔軟なエアバッグに対して、剛性の高い金属や樹脂等の素材でガイド部材を成形することにより、圧縮されたエアバッグの形状を確実に保持することが可能となる。
【0013】
前記インフレータは、前記エアバッグの内部に収容され、前記ガイド部材の一部は、前記インフレータに対して係止することができる。
【0014】
ここで、「係止」とは、完全に固定される状態のみならず、引っ掛かっているが容易には外れない状態を含む意味である。
【0015】
前記エアバッグの表面には、前記ガイド部材を覆うパッチを設けることができる。
【0016】
ここで、「パッチ」とは、当て布のような布片であり、平置き状態のエアバッグよりも面積が小さいものと表現することができる。なお、パッチはエアバッグの表面に縫製によって袋状に成形し、その内部にガイド部材を収容するような格好とすることができる。また、ガイド部材を「覆う」とは、エアバッグの表面に配置されたガイド部材を覆い被せるようにパッチが配置される状態を含む。
【0017】
前記ガイド部材は、板状部材とすることができる。
【0018】
ここで、「板状」とは、ワイヤ、糸などの細長い形状を含まない意味である。ガイド部材を板状部材とすることにより、圧縮されたエアバッグの形状を平面で保持することができ、エアバッグの保持性能が向上することになる。
【0019】
前記ガイド部材は、金属又は樹脂からなるワイヤとすることができる。
【0020】
ここで、「ワイヤ」とは、「板状」とは異なり、細長い糸状又は棒状を含む意味で有り、望んだ形状に成形するために、ある程度の柔軟性を有することが好ましい。
【0021】
ガイド部材をワイヤで成形することにより、ワイヤの一部を屈曲させることにより、ガイド部材とパッチ等の他の構成要素とを容易に連結(係止)させることができる。
【0022】
前記ワイヤは、前記ガイド部材の外周を区画する構成とすることができる。
【0023】
ワイヤを屈曲させることにより、ガイド部材の外周形状を容易に調整、変更することが可能となる。
【0024】
前記ワイヤの一部を前記インフレータのスタッドボルトに係合させることで位置決めすることができる。
【0025】
ワイヤをスタッドボルトに係合させるには、例えば、ワイヤをスタッドボルトに巻き付けたり、引っ掛けたりすることができる。
【0026】
前記エアバッグの表面には、前記ワイヤを保持するループ状のワイヤ保持部材を複数設けることができる。
【0027】
ここで、「ループ状のワイヤ保持部材」としては、エアバッグと同一又は類似の布からなるストリップ状の布を使用することができ、ストリップ状の布の両端をエアバッグの表面に縫製によって縫い付けることによってループ状とすることができる。そして、ループ状のワイヤ保持部材の間にワイヤを通すことで、ワイヤがエアバッグの表面に保持される。
【0028】
前記ワイヤの一部には、前記エアバッグの表面から離れる方向に突出したフック部を形成することができる。
【0029】
ここで、「フック部」は、ワイヤの一部を屈曲させてU字状にすることで形成することができる。また、突出したU字状の先端部分を更に一方向に屈曲させて鍵状にすることもできる。
【0030】
前記エアバッグの表面には、前記ワイヤを覆うパッチが設けられ、前記パッチには、前記フック部が通るパッチ開口部を形成することができる。
【0031】
パッチ開口部を形成し、ワイヤのフック部を貫通させることで、パッチとワイヤとの位置関係が保持され、パッチの中でのワイヤの不要な動きや変形を防止することができる。
【0032】
収容状態の前記エアバッグの外周を覆うカバー部材を更に備え、当該カバー部材に、前記パッチ開口部から突出した前記フック部が通るカバー開口部を形成することができる。
【0033】
ここで、「カバー部材」としては、折り畳まれた(圧縮された)エアバッグの少なくとも一部を包み込むような風呂敷状の布を使用することができる。なお、カバー部材はエアバッグを完全に包囲することもできるが、エアバッグの一部を包囲することもできる。要は、カバー部材によってエアバッグの形状を保持できれば良い。
【0034】
ワイヤのフック部がパッチ開口部、更にはカバー開口部を貫通することにより、エアバッグに対してカバー部材がズレを生じることなく、エアバッグの圧縮形状を確実に保持することができる。なお、カバー開口部を貫通したワイヤのフック部を、車両の構造部に連結させることもできる。
【0035】
前記ガイド部材は、前記エアバッグの表面上において、全体としてL字状に成形することができる。
【0036】
L字状という特殊な形状でエアバッグを収容することが要求される際に、本発明は特に有効となる。
【0037】
本発明の第2の態様に係るエアバッグ装置の製造方法は、前記エアバッグの内部に前記インフレータを収容する工程と;前記エアバッグの表面に前記パッチを縫製によって連結する工程と;前記ワイヤを前記パッチの内部に挿入・布設する工程と;前記ワイヤのフック部を前記パッチの前記パッチ開口部から突出させる工程と;前記エアバッグを前記ワイヤの外周形状に沿って折り畳み、又はロールする工程と;前記カバー部材で前記エアバッグを覆うと共に、前記カバー開口部から前記ワイヤの前記フック部を突出させて係止する工程と;を含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置の構造を示す平面図であり、エアバッグを圧縮する前の平置きの状態を示す。
図2図2は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置に使用されるパッチの構造を示す平面図である。
図3図3は、図1のA1-A1方向の断面図である。
図4図4(A)は、図1のB1-B1方向の断面図である。また、図4(B)は、図1のC1-C1方向の断面図である。
図5図5は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置の構造を示す平面図であり、エアバッグを圧縮した後の収容状態を示す。
図6図6は、図5のE1-E1方向の断面図である。
図7図7は、本発明の第2実施例に係るエアバッグ装置の構造を示す平面図であり、エアバッグを圧縮する前の平置きの状態を示す。
図8図8は、図7のB2-B2方向の断面図である。
図9図9は、本発明の第3実施例に係るエアバッグ装置の構造を示す平面図であり、エアバッグを圧縮する前の平置きの状態を示す。
図10図10(A)は、図9のA3-A3方向の断面図である。また、図10(B)は、図9のB3-B3方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しつつ、第1乃至第3実施例に基づいて詳細に説明する。
【0040】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置10の構造を示す平面図であり、エアバッグ14を圧縮する前の平置きの状態を示す。図2は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置10に使用されるパッチ26の構造を示す平面図である。図3図4(A)、図4(B)は、各々図1のA1-A1方向の断面図、B1-B1方向の断面図、C1-C1方向の断面図である。
【0041】
本実施例に係るエアバッグ装置10は、インフレータ12から供給されるガスによって膨張・展開するエアバッグ14と;エアバッグ14の表面に連結され、当該エアバッグ14の収容時の外周形状を規制するガイド部材16と;を備えている。本実施例に係るエアバッグ装置は、例えば、オートバイ用に使用することができる。本発明は、オートバイの他にも、収容スペースが限られたエアバッグ装置において特に有効である。本実施例に係るエアバッグ装置10は、当該装置の収容スペース(ハウジング)がL字状の場合を想定している。
【0042】
図3に示すように、インフレータ12は、ディスク状のインフレータであり、フランジ部分20の四隅にスタッドボルト22が貫通し、車両に対して固定される。また、インフレータ12は、エアバッグ14の下端近傍において当該エアバッグ14の内部に収容される。
【0043】
図1に示すように、エアバッグ14は、下方部分が横に長い長方形のような形状であり、その下方部分から上方に向かって円形状に広がった形状となっている。エアバッグ14は、同一形状の2枚の基布を外縁部において縫製することで袋状に成形することができる。
【0044】
図1に示すように、ガイド部材16は、エアバッグ14の表面に配設された金属又は樹脂からなるワイヤ24と、このワイヤ24を収納するパッチ26とを備えている。なお、ワイヤ24はパッチ26の内側に存在し外から見えないが、図1においては、便宜上実線で示す。
【0045】
図1に示すように、パッチ26は、当て布のような布片であり、平置き状態のエアバッグ14よりも面積が小さく、エアバッグ14の表面に縫製によって袋状に成形され、その内部にワイヤ24を収容するようになっている。パッチ26は、インフレータ12に重なり、当該インフレータ12を覆うような位置に縫製される。
【0046】
図1及び図3に示すように、ワイヤ24の一部はインフレータ12のスタッドボルト22の外周に巻き付くように係止されている。なお、図1において、ワイヤ24は無端環状で示されているが、2つの端部を有する形状とすることもできる。ワイヤ24として有端のものを使用することにより、屈曲させたり、巻き付けたりすることが容易となる。
【0047】
図1に示すように、ワイヤ24とパッチ26とは、全体の外形が概ね相似形となっており、ワイヤ24がパッチ26の縫製部27によって、それ以上広がらないように規制される。なお、ワイヤ24及びパッチ26は、エアバッグ14が展開した時に乗員と面する側と反対側の面に設置される。
【0048】
図1及び図4(B)に示すように、ワイヤ24の一部には、エアバッグ14の表面から離れる方向に突出したフック部24a~24eが形成されている。これらのフック部24a~24eは、ワイヤ24の一部を屈曲させてU字状にすることで成形される。なお、図1において、フック部24a,24b,24d,24eは内側に向かって突出しているが、実際には、紙面に対して垂直は方向に突出することになる。
【0049】
図2に示すように、パッチ26には、ワイヤ24のフック部24a~24eが通るパッチ開口部26a~26eが形成されている。
【0050】
ワイヤ24のフック部24a~24eをパッチ開口部26a~26eに貫通させることで、パッチ26とワイヤ24との位置関係が保持され、パッチ26の中でのワイヤ24の不要な動きや変形を防止することができる。
【0051】
図5は、本発明の第1実施例に係るエアバッグ装置10の構造を示す平面図であり、エアバッグ12を圧縮した後の収容状態を示す。図6は、図5のE1-E1方向の断面図である。
【0052】
図5にはエアバッグ14が示されていないが、図6に示すように、エアバッグ14はパッチ26の反対側の面において、ロールによって圧縮されている。エアバッグ14を圧縮する際には、ワイヤ24の外縁に沿うようにロール又は折り畳まれる。そして、圧縮されたエアバッグ14の外縁はパッチ26の外縁と概ね一致し、平面的にはパッチ26と概ね相似形となる。
【0053】
図5及び図6に示すように、本実施例に係るエアバッグ装置10は、収容状態のエアバッグ14の外周を覆うカバー部材30を備えている。カバー部材30によって、エアバッグ14の収容時の形状が保持される。カバー部材30は、柔軟な布製によってエアバッグ14を包み込むものであり、風呂敷のようなイメージである。カバー部材30には、パッチ開口部26a~26eから突出したワイヤ24のフック部24a~24eが通るカバー開口部34a~34eが形成されている。
【0054】
本実施例においては、ワイヤ24のフック部24a~24eがパッチ開口部26a~26e、更にはカバー開口部34a~34eを貫通することにより、エアバッグ14に対してカバー部材30がズレを生じることなく、エアバッグ14の圧縮形状を確実に保持することができる。
【0055】
図5に示すように、カバー部材30は、圧縮されたエアバッグ14の一面側(紙面の反対側)を覆い、他面側(紙面側)の中央付近は覆っていない状態となる。カバー部材30はエアバッグ14の膨張展開に伴って開裂するようになっている。例えば、エアバッグ14の膨張展開時の張力によってカバー開口部34a~34eを開裂させる他、カバー部材30の一部にスリットを設けて脆弱化し、当該スリットを開裂させることが可能である。そして、カバー部材30が開裂することによって、エアバッグ14がフル展開することになる。
【0056】
(エアバッグの収容手順)
本実施例においては、インフレータ12を収容したエアバッグ14を準備し、エアバッグ14の表面にパッチ26の一部を縫製によって連結する。例えば、図1においてパッチ26の下側の辺を残して他の外周部分を全て縫製する。ワイヤ24を挿入するための隙間を確保するためである。次に、パッチ26の下側を広げた状態でワイヤ24をパッチ26の内部に入れ、ワイヤ24の一部をインフレータ12のスタッドボルト22に巻き付ける。次に、ワイヤ24を屈曲させてフック部24a~24eを成形し、パッチ開口部26a~26eに通して外部に露出させる。その後、パッチ26の下辺を縫製する。
【0057】
次に、エアバッグ14をワイヤ24の外周形状に沿って折り畳み、又はロールして、エアバッグ14をワイヤ24、パッチ26の反対側の面に圧縮する。次に、図5に示すように、カバー部材30によって圧縮されたエアバッグ14を包み込む。そして、カバー開口部34a~34eからワイヤ24のフック部24a~24eを突出させて係止する。
【0058】
(第2実施例)
図7は、本発明の第2実施例に係るエアバッグ装置110の構造を示す平面図であり、エアバッグを圧縮する前の平置きの状態を示す。図8は、図7のB2-B2方向の断面図である。
【0059】
第1実施例においては、図1に示すように、ワイヤ24の位置を保持する手段としてパッチ26を使用しているが、本実施例においては、図7に示すように、複数のループ状保持部材126a~126gによってワイヤ24をエアバッグ14の表面に保持している。
【0060】
図8に示すように、保持部材126a~126gは、ストリップ状の布の両端部をエアバッグ14の表面に縫製することによって、ズボンのベルト通しのようなループ状としている。そして、このループ状の部分にワイヤ24を通すようになっている。なお、保持部材の数及び位置は、図7に示した例に限定されず、エアバッグの大きさや圧縮形状を考慮して、適宜変更することが好ましい。
【0061】
その他の構成については、上述した第1実施例と同様であるため、重複した説明は省略する。
【0062】
(エアバッグの収容手順)
本実施例においては、エアバッグ14の表面7箇所に保持部材126a~126gを縫製によって連結し、エアバッグ14の内部にインフレータ12を収容する。次に、ワイヤ24を保持部材126a~126gを通して固定する。この時、ワイヤ24の一部をインフレータ12のスタッドボルト22に巻き付ける。次に、ワイヤ24を屈曲させてフック部24a~24eを成形する。続いて、エアバッグ14をワイヤ24の外周形状に沿って折り畳み、又はロールして、エアバッグ14をワイヤ24の反対側の面に圧縮する。その後、第1実施例と同様に、カバー部材30によって圧縮されたエアバッグ14を包み込み、カバー開口部34a~34eからワイヤ24のフック部24a~24eを突出させて係止する。
(第3実施例)
図9は、本発明の第3実施例に係るエアバッグ装置210の構造を示す平面図であり、エアバッグを圧縮する前の平置きの状態を示す。図10(A)は、図9のA3-A3方向の断面図である。また、図10(B)は、図9のB3-B3方向の断面図である。
【0063】
上述した第1実施例及び第2実施例では、エアバッグ14の圧縮形状を規制するガイド部材としてワイヤ24を採用しているが、本実施例においては、ワイヤ24に代えて樹脂製の板状部材224を使用する。
【0064】
図9及び図10(A)に示すように、板状部材224には、インフレータ12の本体部が通る開口部224xと、インフレータ12のスタッドボルト22が通る開口部224a~224dとが形成されている。これらの開口部224x、224a~224dによって板状部材224をエアバッグ14の表面上で位置決めすることができる。
【0065】
板状部材224の上には、第1実施例と同様のパッチ226が設けられ、図10(B)に示すように、パッチ226の外周をエアバッグ14に対して縫製することによって、板状部材224を収容するようになっている。
【0066】
(エアバッグの収容手順)
本実施例においては、インフレータ12を収容したエアバッグ14を準備し、エアバッグ14の表面にパッチ226の一部を縫製によって連結する。例えば、図9においてパッチ226の下側の辺を残して他の外周部分を全て縫製する。板状部材224を挿入するための隙間を確保するためである。次に、パッチ226の下側を広げた状態で板状部材224をパッチ226の内部に差込み、板状部材226の開口部224x、224a~224dをインフレータ12の本体、スタッドボルト22被せるようにして係合させる。その後、パッチ226の下辺を縫製し、パッチ226の全周を縫製する。
【0067】
次に、エアバッグ14を板状部材224の外周形状に沿って折り畳み、又はロールして、エアバッグ14を板状部材224、パッチ226の反対側の面に圧縮する。次に、カバー部材(30)によって圧縮されたエアバッグ14を包み込むことで、エアバッグモジュールが完成する。本実施例においては、板状部材224を基準にエアバッグ14を圧縮(折り畳み、ロール)するため、圧縮されたエアバッグ14の形状を平面で保持することができ、エアバッグ14の保持性能が向上する。
【0068】
本発明を上記の例示的な実施形態と関連させて説明してきたが、当業者には本開示により多くの等価の変更および変形が自明であろう。したがって、本発明の上記の例示的な実施形態は、例示的であるが限定的なものではないと考えられる。本発明の精神と範囲を逸脱することなく、記載した実施形態に様々な変化が加えられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10