IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 安全自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用リフト装置 図1
  • 特開-車両用リフト装置 図2
  • 特開-車両用リフト装置 図3
  • 特開-車両用リフト装置 図4
  • 特開-車両用リフト装置 図5
  • 特開-車両用リフト装置 図6
  • 特開-車両用リフト装置 図7
  • 特開-車両用リフト装置 図8
  • 特開-車両用リフト装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013005
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】車両用リフト装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 7/28 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
B66F7/28 Z
B66F7/28 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116857
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000117467
【氏名又は名称】安全自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 忠司
(72)【発明者】
【氏名】平口 大輔
(57)【要約】
【課題】本発明の少なくとも一つの実施形態は、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両であっても、リフト位置への車両の進入を補助すると共に、車両下部の作業を安全且つ効率よく行える作業環境を実現する車両用リフト装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両前後方向において複数箇所で車両下部を支持して車両を昇降する昇降リフトを備える車両用リフト装置であって、昇降リフトの設置位置への車両の進入経路を照らして、昇降リフトの設置位置への車両の乗り入れを案内する進入経路案内照明と、昇降リフトの設置部に設けられ、昇降される車両の下部を照射するリフト照明と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向において複数箇所で車両下部を支持して車両を昇降する昇降リフトを備える車両用リフト装置であって、
前記昇降リフトの設置位置への車両の進入経路を照らして、前記昇降リフトの設置位置への車両の乗り入れを案内する進入経路案内照明と、
前記昇降リフトの設置部に設けられ、昇降される前記車両の下部を照射するリフト照明と、
を備えることを特徴とする車両用リフト装置。
【請求項2】
前記昇降リフトが設置された作業領域の入口からの車両の進入、及び出口からの車両の退出を検知する車両検知手段を備え、前記車両検知手段からの信号を基に前記進入経路案内照明及び前記リフト照明の点灯及び消灯を制御する照明制御装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用リフト装置。
【請求項3】
前記照明制御装置は、前記車両検知手段によって車両が前記入口から進入したことを検知したときに前記進入経路案内照明及び前記リフト照明を点灯し、前記車両検知手段によって車両が前記出口から退出したことを検知したときに前記進入経路案内照明及び前記リフト照明を消灯することを特徴とする請求項2に記載の車両用リフト装置。
【請求項4】
前記車両検知手段は、工場建屋の天井部に設置され、車両の上方から車両の進入及び退出を検知することを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用リフト装置。
【請求項5】
前記進入経路案内照明は、前記昇降リフトが設置された作業領域の床面に所定間隔を存して進入経路に沿って複数箇所埋め込まれて設置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用リフト装置。
【請求項6】
前記昇降リフトは、工場床面に形成されたピットの内部に設置され、前記ピットの開口部を覆うピットカバーが設けられ、前記ピットカバーは、前記昇降リフトに車両前後方向において隣接する位置に設けられる隣接ピットカバーを有し、前記隣接ピットカバーは、単独で前記ピットの開口部に対して着脱可能であり、前記リフト照明は、前記隣接ピットカバーの内部に設置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用リフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用リフト装置に関する。詳しくは、自動車整備工場等において、車両、特に大型トラック、バス、特殊車両等に使用され、車両の点検整備や修理のために車両を昇降する車両用リフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車整備工場等において車両の点検整備や修理等を行う際、車両を昇降させる必要がある。そのため、車両を昇降させるための車両用リフト装置として、例えば、2柱リフト装置が使用されている。この2柱リフト装置は、車両の前後をそれぞれ支持して昇降可能としたリフト装置であり、車両の前軸と後軸、または車両前部の車体と車両後部の車体をそれぞれ支持して車両を昇降する。このような2柱リフト装置を使用することで、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両であっても、車両の前後の支持位置間の距離を長くして保持することができるため、安全に車両を昇降することができる。
【0003】
このような2柱リフト装置は、自動車整備工場等の作業場の床面に形成されたピット内に設置され、床面上を進入して所定のリフト位置に停車した車両を昇降する。リフト装置によりリフトアップするときに、車両の下部は暗所になり見えにくいので、車両のリフティングポイントにリフト装置のリフト受け部をセットすることが困難となる場合がある。
【0004】
特許文献1には、このような車両の下部が見え難い車両であっても、車両のリフティングポイントにリフト装置のリフト受け部を容易にセット出来て作業効率が向上し、車両の落下や車両の損傷を引き起こすことを防止するリフト装置について示されている。
【0005】
具体的には、特許文献1には、車両の下面を支承して車両をリフトアップするリフトに、車両の下面を照明する照明手段を近設し、車両がリフトの箇所にあることを検知したとき点灯することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-40597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の車両用リフト装置においては、車両がリフトの箇所にあることを検知したときに照明手段を点灯するようなっているので、車両がリフト位置に乗り入れるまでは照明手段は点灯されない。
【0008】
従って、車両の下部は暗いこともあって車両の進入経路に白線等が記載されていても、見にくく車両を所定のリフト位置に乗り入れることが難しい。特に、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両では、車両を所定のリフト位置に乗り入れることが難しい。
【0009】
さらに、特許文献1のように、前後に2本設置されたリフトに近接して照明手段が設置されていても、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両では、リフト間における車両下部には照明手段からの照明が十分行き届かず作業効率が低下する問題がある。
【0010】
そこで、上記課題に鑑み、本発明の少なくとも一つの実施形態は、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両であっても、リフト位置への車両の進入を補助すると共に、車両下部の作業を安全且つ効率よく行える作業環境を実現する車両用リフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)前述した目的を達成するために発明されたものであり、本発明の少なくとも一つの実施形態は、車両前後方向において複数箇所で車両下部を支持して車両を昇降する昇降リフトを備える車両用リフト装置であって、前記昇降リフトの設置位置への車両の進入経路を照らして、前記昇降リフトの設置位置への車両の乗り入れを案内する進入経路案内照明と、前記昇降リフトの設置部に設けられ、昇降される前記車両の下部を照射するリフト照明と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成(1)によれば、進入経路案内照明によって、昇降リフトの設置位置への車両の進入経路を照らして、昇降リフトの設置位置への車両の乗り入れを案内するので、整備工場等での誘導員による昇降リフトへの誘導や白線を目印に乗り入れる補助として役立つと同時に、周囲の作業者に車両が、昇降リフトが設置された作業領域に進入及び作業領域から退出することを知らせることで周囲の作業者に注意喚起ができ安全性の向上にも寄与する。
【0013】
また、リフト照明によって、昇降される車両の下部が照射されるので、暗所になる車両下廻り作業を安全かつ効率よく行うことができる。
【0014】
さらに、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両においては、複数箇所の昇降リフトの前後間隔が大きく、リフト照明だけでは、車両下部に照明が十分行き届かない場合が生じやすいが、このような場合であっても進入経路案内照明が誘導だけではなく車両下廻りの作業の照明にもなり、下廻り作業を安全かつ効率よく行うことができる。
【0015】
以上のように、進入経路案内照明とリフト照明とを備えることで、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両であっても、車両の進入を補助すると共に、車両下部の作業を安全且つ効率よく行える作業環境を実現できる。
【0016】
(2)幾つかの実施形態では、前記昇降リフトが設置された作業領域の入口からの車両の進入、及び出口からの車両の退出を検知する車両検知手段を備え、前記車両検知手段からの信号を基に前記進入経路案内照明及び前記リフト照明の点灯及び消灯を制御する照明制御装置を備えることを特徴とする。
【0017】
このような構成(2)によれば、車両検知手段からの信号に基づいて照明制御装置が進入経路案内照明及びリフト照明の点灯及び消灯を制御するので、作業時に別途照明装置を準備して点灯、消灯の操作が不要となるため、安全な作業環境を容易に効率よく実現できる。
【0018】
(3)幾つかの実施形態では、前記照明制御装置は、前記車両検知手段によって車両が前記入口から進入したことを検知したときに前記進入経路案内照明及び前記リフト照明を点灯し、前記車両検知手段によって車両が前記出口から退出したことを検知したときに前記進入経路案内照明及び前記リフト照明を消灯することを特徴とする。
【0019】
このような構成(3)によれば、作業領域に車両が進入してから退出するまで、進入経路案内照明及びリフト照明は、点灯し続けるので、明るい照明によって車両の下部の安全作業と、作業の効率化を図ることができる。
【0020】
(4)幾つかの実施形態では、前記車両検知手段は、工場建屋の天井部に設置され、車両の上方から車両の進入及び退出を検知することを特徴とする。
【0021】
このような構成(4)によれば、車両検知手段が、工場建屋の天井部に設置され、車両の上方から車両の進入及び退出を検知するので、床面や床面に近い位置に設置される場合に比べて、作業者の移動によって誤検知する虞が低減され、車両の検知精度を向上できる。特に、大型トラック、バス、特殊車両等は車高が高いため、車両の天井部を工場建屋の天井部から検知することで精度良い検知が可能になる。
【0022】
(5)幾つかの実施形態では、前記進入経路案内照明は、前記昇降リフトが設置された作業領域の床面に所定間隔を存して進入経路に沿って複数箇所埋め込まれて設置されることを特徴とする。
【0023】
このような構成(5)によれば、進入経路案内照明は、床面に進入経路に沿って複数箇所埋め込まれて設置されるので、車両運転者からの視認性が良く、また、車両走行にも支障にならず、さらに、車両下部の照明としても効果的である。
【0024】
(6)幾つかの実施形態では、前記昇降リフトは、工場床面に形成されたピットの内部に設置され、前記ピットの開口部を覆うピットカバーが設けられ、前記ピットカバーは、前記昇降リフトに車両前後方向において隣接する位置に設けられる隣接ピットカバーを有し、前記隣接ピットカバーは、単独で前記ピットの開口部に対して着脱可能であり、前記リフト照明は、前記隣接ピットカバーの内部に設置されることを特徴とする。
【0025】
このような構成(6)によれば、隣接ピットカバーをリフト照明が内蔵されたカバーに交換するだけで、簡単にリフト照明を設置できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両であっても、リフト位置への車両の進入を補助すると共に、車両下部の作業を安全且つ効率よく行える作業環境を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用リフト装置の全体構成を示す要部断面図である。
図2】移動リフト照明の設置場所を示す上方からの斜視図である。
図3図2の移動リフト照明の設置場所に移動リフト照明が設置された場合の拡大図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5】固定リフト照明の設置場所に固定リフト照明が設置された場合を示す上方からの斜視図である。
図6図5のB-B線断面図である。
図7】工場建屋内における車両検知センサの設置場所、及び車両用リフト装置の全体構成を示す概念図である。
図8】照明制御装置の全体構成図である。
図9】車両用リフト装置における車両の進入から退出までの動き及び作業の流れを示すとともに、照明制御装置の照明制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、実施形態として記載されている、または図面に示されている構成部品の相対的配置等は、本発明の範囲をこれらに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0029】
図1を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1に、車両用リフト装置1の全体構成図を示す。図1において、自動車整備工場等の床面3には、車両5(図7参照)の左右輪の幅より狭く車両5が乗り入れられる幅で、車両5の前後方向に延びる平面視で長方形に掘り起こしたピット7が形成されている。ピット7の開口部9の縁には、鋼材からなるピットコーナ枠11が、床面3に埋め込まれてピット7の開口縁が補強されている。
【0030】
また、ピット7内には、車両前後方向において複数箇所(一実施形態では2箇所)で車両下部を支持して車両を昇降する昇降リフト13が設置されている。前輪側を支持する固定リフト13aと、後輪側を支持する移動リフト13bが設けられている。そして、これら固定リフト13a及び移動リフト13bの上昇、停止、下降等の操作指示が、作業員の手元から無線による遠隔操作機器(不図示)によって、又は工場内のピット7の近くに設置された操作盤(不図示)によって行われる。
【0031】
また、一実施形態では、前輪側を支持する固定リフト13aと後輪側を支持する移動リフト13bとが設けられる2柱タイプの車両用リフト装置1について説明するが、2柱に限らず、3柱、4柱等のように複数の支持柱によって車両の前後方向において複数箇所で車両5を支持して昇降可能であればよい。
【0032】
また、複数の各支持柱は、他の支持柱に対して離接する方向に移動可能に構成される移動タイプの場合でも固定位置に設置される固定タイプの場合でも、組み合わせて構成される場合であってもよい。一実施形態では、前輪側の固定リフト13aが固定位置に設置される固定タイプであり、後輪側の移動リフト13bが前後方向に移動可能な移動タイプである。
【0033】
固定リフト13a、移動リフト13bは、いずれも、主に、シリンダ15a、15bと、該シリンダ15a、15b内に上下方向に移動可能に挿入された昇降体17a、17bと、シリンダ15a、15b内に作動油圧を供給し昇降体17a、17bを昇降させる駆動源を構成する油圧ユニット19a、19bと、を備えている。
【0034】
なお、固定リフト13a側と移動リフト13b側との構成において、固定リフト13a側の構成の符号に「a」を付し、移動リフト13b側の構成の符号には符号「b」を付す。
【0035】
また、ピット7の開口部9には開口部9を塞ぎ床面3と面一になるピットカバー21がピットコーナ枠11内に設けられている。ピットカバー21は、固定リフト13aの前後に設置される固定カバー23と、移動リフト13bの前後に設置される移動カバー25とを備えている。
【0036】
図1に示すように、固定カバー23は、車幅方向に延びる複数の固定カバー素子231によって構成され、移動カバー25は、車両幅方向に延びる複数の移動カバー素子251を車両前後方向に連結して構成される。隣接する移動カバー素子251は継手部材により折畳可能に連結されている。そして、一部の移動カバー素子251が移動リフト13bに連結し、移動カバー素子251の左右端部をピットコーナ枠11の長手方向に設けられた案内レールで案内し、移動リフト13bの移動に伴って、複数の移動カバー素子251が移動してピット7の前後両端部に折曲状態で格納されるようになっている。
【0037】
また、図1に示すように、固定リフト13a及び移動リフト13bが設置された設置部のピットカバー21内には、昇降される車両5の下部を照射するリフト照明27が設けられている。固定リフト13a側には固定リフト照明27aが設置され、移動リフト13b側には移動リフト照明27bがそれぞれ設置されている。
【0038】
固定リフト照明27aによって、車両5の前輪周囲の足回りが照明され、暗所になる前輪周囲の車両下廻り作業を安全かつ効率よく行うことができる。また、移動リフト照明27bによって、車両5の後輪周囲の足回りが照明され、暗所になる後輪周囲の車両下廻り作業を安全かつ効率よく行うことができる。
【0039】
また、図1に示すように、車両5の点検整備や修理等を行う作業領域29の床面3には、進入経路案内照明31が複数箇所埋め込まれて設置されている。
【0040】
この進入経路案内照明31は、ピット7の幅両側でピット7の長手方向に沿って所定の間隔(例えば等間隔)を存して、さらにピット7に乗り入れられる車両5の左右輪の幅より広い位置で車両運転者から認識できる位置に設置され、ピット7上に車両5の乗り入れを案内するように複数箇所埋め込まれている。
【0041】
このように、進入経路案内照明31は、作業領域29の床面3に進入経路に沿って複数箇所埋め込まれて設置されるので、車両運転者からの視認性が良く、また、車両走行にも支障にならない。
【0042】
さらに、進入経路案内照明31は昇降リフト13の設置位置へ車両5の乗り入れを案内するので、整備工場等での誘導員による昇降リフトへの誘導や白線を目印に乗り入れる補助として役立つと同時に、周囲の作業者に車両5が作業領域29に進入及び作業領域29から退出することを知らせることで周囲の作業者に注意喚起ができ安全性の向上にも寄与する。
【0043】
さらに、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両においては、固定リフト13aと移動リフト13bとの前後間隔が大きく、リフト照明27だけでは、車両下部に照明が十分行き届かない場合が生じやすいが、このような場合であっても進入経路案内照明31が誘導だけではなく車両下廻りの作業の照明になり、下廻り作業を安全かつ効率よく行うことができる。
【0044】
以上の一実施形態によれば、昇降リフト13(固定リフト13a、移動リフト13b)の設置位置への車両5の進入経路を照らして、昇降リフト13の設置位置への車両5の乗り入れを案内する進入経路案内照明31と、昇降リフト13の設置部に設けられ、昇降される車両5の下部を照射するリフト照明27(固定リフト照明27a、移動リフト照明27b)と、を備えることで、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両であっても、リフト位置への車両5の進入を補助すると共に、車両下部の作業を安全且つ効率よく行える作業環境を実現できる。
【0045】
幾つかの実施形態では、図1図6に示すように、移動リフト照明(リフト照明)27bは、移動リフト13bの前後にそれぞれ隣接し、着脱自在の隣接移動カバー素子(隣接ピットカバー)252の内部に設置され、固定リフト照明(リフト照明)27aは、固定リフト13aの前後にそれぞれ隣接し、着脱自在の隣接固定カバー素子(隣接ピットカバー)232の内部に設置されている。
【0046】
すなわち、図1図4に示すように、移動カバー素子251のうち、移動リフト13bの前後に隣接して設けられる隣接移動カバー素子252は、単独でピットコーナ枠11に囲まれる開口部9に対して着脱可能に構成されている。
【0047】
そして、隣接移動カバー素子252の内部に、上方に向けて照明光を照射する移動リフト照明27bが設置されている。
【0048】
図2は、移動リフト照明27bが内蔵されていない隣接移動カバー素子252を示し、移動リフト13bの昇降体17bが最下限位置に下降した場合を示している。隣接移動カバー素子252の上面には、隣接移動カバー素子252の着脱時に作業者が指を入れて利用する取手孔33bが形成されている。
【0049】
図3は、移動リフト照明27bが内蔵されている隣接移動カバー素子252を示し、移動リフト13bの昇降体17bが上昇時の場合を示している。隣接移動カバー素子252の上面には、取手孔33bが形成されるとともに、左右方向の略中央部に、スリット開口35bが形成されている。スリット開口35bは、乗り入れられる車両5の前後方向に沿って例えば、8、9本形成されている。なお、スリット開口35bの本数は特に限定されるものではなく、移動リフト照明27bからの照度や発光体37bの汚れ防止対策等を考慮して設定される。
【0050】
図4は、図3のA-A線断面図を示し、隣接移動カバー素子252は、略矩形の中空断面形状を有しており、移動リフト照明27bの発光体37bが、中空断面の上壁の内側にブラケット39bによって取り付けられている。
【0051】
また、図5、6に示すように、隣接固定カバー素子232についても、上記した隣接移動カバー素子252と同様であり、固定カバー素子231のうち、固定リフト13aの前後に隣接して設けられる隣接固定カバー素子232は、単独でピットコーナ枠11に囲まれる開口部9に対して着脱可能に構成されている。
【0052】
そして、隣接固定カバー素子232の内部には、上方に向けて照明光を照射する固定リフト照明27aが設置されている。
【0053】
図5は、固定リフト照明27aが内蔵されている隣接固定カバー素子232を示し、固定リフト13aの昇降体17aが上昇時の場合を示している。また、昇降体17aの頂上部のリフト受台18aが左右方向に広がっている状態を示している。
【0054】
また、図5に示すように、隣接移動カバー素子252と同様に、隣接固定カバー素子232の上面には、取手孔33aが形成されるとともに、左右方向の略中央部に、スリット開口35aが形成されている。スリット開口35aは、図3と同様に、乗り入れられる車両5の前後方向に沿って例えば、8、9本形成されている。なお、スリット開口35aの本数は特に限定されるものではなく、固定リフト照明27aからの照度や発光体37aの汚れ防止対策等を考慮して設定される。
【0055】
図6は、図5のB-B線断面図を示し、図6に示すように、隣接固定カバー素子232は、略矩形の中空断面形状を有しており、固定リフト照明27aの発光体37aは、上壁の裏側にブラケット39aによって取り付けられている。
【0056】
以上の図1図6に示す幾つかの実施形態の構成によれば、隣接移動カバー素子252及び隣接固定カバー素子232を、固定リフト照明27a、移動リフト照明27bが内蔵された隣接移動カバー素子252及び隣接固定カバー素子232に交換するだけで、簡単に固定リフト照明27a、移動リフト照明27bを設置できる。従って、既設・新設に限らずカバーの交換とライト設置の配線にて容易にリフト照明27の設置が可能である。
【0057】
従って、移動リフト13b側だけに移動リフト照明27bを設置したり、また固定リフト13a側だけに固定リフト照明27aを設置したりすることも容易に対応できる。さらに、移動リフト13b、固定リフト13aの前側だけ、又は後側だけにリフト照明27を設置することも容易に対応できる。
【0058】
幾つかの実施形態では、図7に示すように、固定リフト13a及び移動リフト13bが設置され(固定リフト設置部C1、移動リフト設置部C2)、作業を行う作業領域29の入口41からの車両5の進入、及び出口43からの車両5の退出を検知する車両検知センサ(車両検知手段)45を備え、車両検知センサ45からの信号を基に進入経路案内照明31及び固定リフト照明27a及び移動リフト照明27bの点灯及び消灯を制御する照明制御装置47を備える。
【0059】
このような構成によれば、車両検知センサ45からの信号に基づいて照明制御装置47が、進入経路案内照明31及び固定リフト照明27a及び移動リフト照明27bの点灯及び消灯を制御するので、作業時に別途照明装置を準備して点灯、消灯の操作が不要となるため、安全な作業環境を容易に効率よく実現できる。
【0060】
幾つかの実施形態では、図7に示すように、車両検知センサ45は、工場建屋49の天井部51に設置され、車両5の上方から車両5の進入及び退出を検知する。また、車両検知センサ45は、作業領域29の入口41や出口43の部分、さらに作業領域29の全域の上方に複数設置される。図7の実施形態では、例えば、4箇所に設置されている例を示す。さらに、作業領域29の中央部、すなわち、ピット7の幅方向の中央部にピット7の長手方向に一列に並んで設置されている。これら車両検知センサ45の設置個数、配列数については限定されるものではない。
【0061】
図7は、工場建屋49内の作業領域29に、車両5が左側から進入して、作業後に右側から退出するように一方向に進む整備工場の場合を示している。そして、車両5の進入及び退出は、例えば、1つ以上の車両検知センサ45から検知があった場合には車両が進入したと判定し、全ての車両検知センサ45からの検知がない場合には退出したと判定する。なお、入口と出口とが同一で1箇所の工場であってもよく同様の手法で車両の進入と退出を判定できる。
【0062】
このような構成によれば、車両検知センサ45が、工場建屋49の天井部51に設置され、車両5の上方から車両の進入及び退出を検知するので、床面3や床面3に近い位置に設置されている場合に比べて、作業者の移動によって誤検知する虞が低減され、車両5の検知精度を向上できる。特に、大型トラック、バス、特殊車両等は車高が高いため、車両5の天井部を工場建屋49の天井部51から検知することで精度良い検知が可能になる。
【0063】
幾つかの実施形態では、図8、9に示すように、照明制御装置47は、車両検知センサ45によって車両5が入口41から進入したことを検知したときに進入経路案内照明31及びリフト照明27(固定リフト照明27a及び移動リフト照明27b)を点灯し、車両検知センサ45によって車両5が出口43から退出したことを検知したときに進入経路案内照明31及び固定リフト照明27a及び移動リフト照明27bを消灯する。すなわち、車両5が進入したと判定した場合、退出を判定するまで、照明を点灯し続けるように制御する。
【0064】
図8に、照明制御装置47の全体構成を示す。照明制御装置47は、車両検知センサ45からの信号を受信して車両5が作業領域29に進入したかを判定する進入判定部53と、車両5が作業領域29から退出したかを判定する退出判定部55と、これら進入判定部53及び退出判定部55からの判定結果に基づいて、進入経路案内照明31の点灯と消灯を切り換える進入経路案内照明制御部57と、リフト照明27の点灯と消灯を切り換えるリフト照明制御部59と、を有している。
【0065】
図9のフローチャートに、車両用リフト装置1における車両5の作業領域29への進入から作業領域29からの退出までの動き及び作業の流れを示すとともに、照明制御装置47の照明制御を示す。
【0066】
まず、ステップS1で、車両5が工場建屋49内で作業領域29に進入してくると、ステップS2では、車両検知センサ45からの信号を基に、進入判定部53が車両5の進入を判定する。進入の判定は、既に説明したように、複数の車両検知センサ45のうち1つ以上の車両検知センサ45から検知があった場合には車両が進入したと判定する。
【0067】
次に、ステップS3では、ステップS2で車両5が進入したと判定した場合には、進入経路案内照明制御部57とリフト照明制御部59によって、進入経路案内照明31とリフト照明27とを同時に点灯する。
【0068】
次に、ステップS4では、車両運転者は、誘導員による誘導や白線の目印や、さらに進入経路案内照明31の補助によって停止位置で停車させる。
【0069】
次に、ステップS5では、リフト受台18aへアタッチメント61(図5参照)を装着する。すなわち、リフト受台18とは、車両下部を支持する昇降リフト13の昇降体17の頂上部をいい、アタッチメント61とは、このリフト受台18と車両下部の支持される車両側の部分、例えば車軸や車体下部との間に介在される部材をいう。
【0070】
次に、ステップS6では、固定リフト13a及び移動リフト13bのリフトアップを行う。そして、ステップS7では、整備作業等を行い、次のステップS8ではリフトダウンし、ステップS9では、アタッチメント61を取外す作業を行う。
【0071】
次に、ステップS10で、車両5が作業領域29から退出していくと、ステップS11では、車両検知センサ45からの信号を基に、退出判定部55が車両5の退出を判定する。退出の判定は、既に説明したように、複数の車両検知センサ45の全てからの検知がない場合には退出したと判定する。
【0072】
次に、ステップS12では、ステップS11で車両5が退出したと判定した場合には、進入経路案内照明制御部57とリフト照明制御部59によって、進入経路案内照明31とリフト照明27とを同時に消灯する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、大型トラック、バス、特殊車両等の車体が長く車軸間隔が長い大型車両であっても、リフト位置への車両の進入を補助すると共に、車両下部の作業を安全且つ効率よく行える作業環境を実現できるので、車両用リフト装置への利用に適している。
【符号の説明】
【0074】
1 車両用リフト装置
3 床面
5 車両
7 ピット
9 開口部
11 ピットコーナ枠
13 昇降リフト
13a 固定リフト
13b 移動リフト
15 シリンダ
17 昇降体
18 リフト受台
19 油圧ユニット
21 ピットカバー
23 固定カバー
231 固定カバー素子
232 隣接固定カバー素子(隣接ピットカバー)
25 移動カバー
251 移動カバー素子
252 隣接移動カバー素子(隣接ピットカバー)
27 リフト照明
27a 固定リフト照明
27b 移動リフト照明
29 作業領域
31 進入経路案内照明
33 取手孔
35 スリット開口
37 発行体
39 ブラケット
45 車両検知センサ(車両検知手段)
47 照明制御装置
49 工場建屋
51 天井部
53 進入判定部
55 退出判定部
57 進入経路案内照明制御部
59 リフト照明制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9