特開 2023-130053 アイウェア

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023130053

(43)【公開日】2023-09-20

(54)【発明の名称】アイウェア

(51)【国際特許分類】

   G02C 5/00 20060101AFI20230912BHJP

   G02C 5/14 20060101ALI20230912BHJP

【ＦＩ】

G02C5/00

G02C5/14

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022034496

(22)【出願日】2022-03-07

(71)【出願人】

【識別番号】000005887

【氏名又は名称】三井化学株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002952

【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】村松 昭宏

【テーマコード（参考）】

2H006

【Ｆターム（参考）】

2H006AA00

(57)【要約】

【課題】操作性がよいスイッチを備えるアイウェアを提供する。
【解決手段】アイウェアは、レンズと、前記レンズを支持するフロントおよび前記フロントに接続されたテンプルを備えるフレームと、前記レンズまたは前記フレームに組み込まれた電気部品と、前記電気部品のスイッチと、を備え、前記スイッチは、前記テンプルの表面に露出するように配置されており、前記テンプルの長手方向に延在するとともに前記フロントから離れるにしたがって厚くなる第１部分を有する。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

レンズと、
前記レンズを支持するフロントおよび前記フロントに接続されたテンプルを備えるフレームと、
前記レンズまたは前記フレームに組み込まれた電気部品と、
前記電気部品のスイッチと、
を備える、アイウェアであって、
前記スイッチは、前記テンプルの表面に露出するように配置されており、前記テンプルの長手方向に延在するとともに前記フロントから離れるにしたがって厚くなる第１部分を有する、
アイウェア。

【請求項2】

前記スイッチは、前記フロントから離れるにしたがって薄くなる第２部分を有する、
請求項１に記載のアイウェア。

【請求項3】

前記テンプルの表面に対する前記第１部分の傾斜角度は、前記テンプルの表面に対する前記第２部分の傾斜角度よりも小さい、
請求項２に記載のアイウェア。

【請求項4】

前記第１部分は、凹曲面形状を有し、前記第２部分は、凸曲面形状を有している、
請求項３に記載のアイウェア。

【請求項5】

前記スイッチは、タッチスイッチである、
請求項１から４のいずれか一項に記載のアイウェア。

【請求項6】

前記タッチスイッチは、静電容量スイッチである、
請求項５に記載のアイウェア。

【請求項7】

前記第１部分は、前記テンプルと略平行に延在している、
請求項１から６のいずれか一項に記載のアイウェア。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、アイウェアに関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、様々な電気部品を備えるアイウェアが提案されている。例えば、特許文献１には、電気部品の一つである液晶デバイスがレンズに組み込まれているアイウェアが開示されている。また、特許文献２には、電気部品の一つであるプロジェクタがテンプルに組み込まれているアイウェアが提案されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特表２０２１－５３６５９８号公報

【特許文献2】特表２０１６－５１４２７８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

アイウェアが電気部品を備える場合、電気部品を操作するためのスイッチが必要となる。しかしながら、スイッチはアイウェアを装着したユーザの視界に入らない場所に配置される。よって、アイウェアを装着した状態では、ユーザはスイッチを視認することができない。したがって、ユーザは手探りでスイッチを探し出しかつ確実に操作する必要がある。

【0005】

本開示は、操作性がよいスイッチを備えるアイウェアを提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示に係るアイウェアの一態様は、レンズと、前記レンズを支持するフロントおよび前記フロントに接続されたテンプルを備えるフレームと、前記レンズまたは前記フレームに組み込まれた電気部品と、前記電気部品のスイッチと、を備え、前記スイッチは、前記テンプルの表面に露出するように配置されており、前記テンプルの長手方向に延在するとともに前記フロントから離れるにしたがって厚くなる第１部分を有する。

【発明の効果】

【0007】

本開示によれば操作性がよいスイッチを備えるアイウェアを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】本開示の一実施形態のアイウェアの斜視図。

【図2】右側のテンプルの右側面図。

【図3】右側のテンプルの平面図。

【発明を実施するための形態】

【0009】

以下、本開示の実施の形態に係るアイウェアついて、図面を参照しながら説明する。以下に示す実施の形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施の形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。

【0010】

本明細書において、アイウェアの前後左右および上下は次のように定める。すなわち、アイウェアが装着された形態となり、かつ、アイウェアを装着したユーザが立位の姿勢を取った状態で、ユーザが向いている方向を前方向、その反対側を後方向、ユーザの右手がある方向を右方向、ユーザの左手がある方向を左方向とする。また、ユーザの頭上方向を上方向、その反対側を下方向とする。

【0011】

なお、実施の形態を説明するための全図において、同一要素は原則として同一の符号を付し、その説明を省略することもある。

【0012】

本開示の一実施形態のアイウェア１の全体について図１を参照して説明する。図１は、本開示の一実施形態のアイウェア１の斜視図である。

【0013】

アイウェア１は、一対のレンズ２を備えている。各レンズ２には、電気部品の一例である液晶レンズ３が組み込まれている。一対のレンズ２は、フレーム４に支持されている。

【0014】

フレーム４は、フロント５および一対のテンプル６を備えている。フロント５は左右に並ぶ一対のレンズ２を支持し、左右両端付近において、ヒンジを介して一対のテンプル６に接続されている。テンプル６はヒンジを介してフロント５に対して回動可能である。

【0015】

図２は、右側のテンプル６の右側面図であり、図３は、右側のテンプル６の平面図である。

【0016】

テンプル６は、前後方向の中央よりもやや前側の部分から後側の所定部分にわたる比較的長い領域において、他の部分よりも細くなった形状を有している。また、細くなった形状の部分は、他の部分と比べて、下側がえぐれたような形状を有している。この細い部分は他の部分と比較して曲げやすくなっており、フィッティングのための調整を行うことができる領域になっている。テンプル６の広い領域をフィッティングのために曲げることができるので、本実施形態に係るアイウェア１は、より多くのユーザにより良い装着感を与えることができる。

【0017】

右側のテンプル６の右側面（つまり外側の面）には、テンプル６の表面に露出するようにスイッチ７が配置されている。右側のテンプル６の内部には、スイッチ７の操作に従って液晶レンズ３を制御する信号を発生する基板と、液晶レンズ３を駆動するための電力を供給するバッテリが配置されている。右側のテンプル６およびフロント５の内部には、導電部材が配置されており、レンズ２には、液晶レンズ３とつながる透明電極が配置されている。導電部材と透明電極は通電可能に接続されている。

【0018】

なお、スイッチ７は、左側のテンプル６の左側面（つまり外側の面）に配置されていてもよい。また、この場合、基板およびバッテリは左側のテンプル６の内部に配置されていてもよい。

【0019】

スイッチ７は、電気部品である液晶レンズ３のスイッチである。本実施形態において、スイッチ７は触れることで液晶レンズ３を操作することができるタッチスイッチであり、具体的には、静電容量スイッチである。よって、液晶レンズ３が作動していない状態の時に、ユーザがスイッチ７を所定時間接触し続けることで、液晶レンズ３が作動する。また、液晶レンズ３が作動している状態の時に、ユーザがスイッチ７を所定時間接触し続けることで、液晶レンズ３が作動を停止し、作動していない状態になる。

【0020】

スイッチ７は、テンプル６の長手方向に延在する形状、例えば、長辺がテンプル６の延在方向に平行な長方形となる形状を有している。スイッチ７は、フロント５から離れるに従って厚くなる第１部分７１と、フロント５から離れるに従って薄くなる第２部分７２を有する。第１部分７１の後端（フロント５から最も離れた位置）には、稜線７３がある。なお、稜線７３は、第１部分７１と第２部分７２を滑らかに接続する曲面であってもよい。また、第１部分７２は、テンプル６の長手方向に延在していればよく、第１部分７２の延在方向は、テンプル６と略平行であってもよいし、テンプル６と略平行ではなくてもよい。

【0021】

以上のように構成されたアイウェア１は、図１に示されるように一対のテンプル６が開かれた状態にされ、ユーザに装着される。ユーザは液晶レンズ３を作動させるとき、または、作動を停止させるとき、例えば右手の人差し指でスイッチ７に所定時間触れる。すると、液晶レンズ３が作動する。

【0022】

スイッチ７は、テンプル６の表面に露出するように配置されており、テンプル６の長手方向に延在するとともにフロント５から離れるにしたがって厚くなる第１部分７１を有している。よって、ユーザは、指の腹をテンプル６の前側部分またはフロント５の右端に接触させた後、指の腹をテンプル６に接触させたまま前から後ろに向かって指をスライドさせると、テンプル６の表面から徐々に隆起している部分があることに気づく。この隆起している部分がスイッチ７である。よって、ユーザは、目視することなく、スイッチ７がどこに配置されているか認識することができ、スイッチ７を確実に操作することができる。

【0023】

しかも、第１部分７１は、テンプル６の長手方向に延在するとともに５フロントから離れるにしたがって厚くなる形状を有しているので、ユーザが隆起に気づいた時点で、すでにある程度の時間にわたって、ユーザの指とスイッチ７との接触が実現している。よって、ユーザが隆起に気づいてから比較的短時間のうちに指先をスイッチ７から離してしまっても、スイッチ７を操作するために必要な時間の接触を完了させることができる。換言すれば、より短い時間でスイッチ７の操作を完了させることができるという感覚をユーザに与えることができる。例えば、液晶レンズ３を作動させるためにスイッチ７にＸ秒間触れている必要があり、ユーザが指をスライドさせて隆起に気づく前に第１部分７１にＹ秒間触れていたとする。この場合、隆起に気づいた後、ユーザはスイッチ７にＺ（＝Ｘ－Ｙ）秒間触れるだけで液晶レンズ３を作動させることができる。

【0024】

また、本実施形態に係るスイッチ７は、フロント５から離れるにしたがって薄くなる第２部分７２を有する。つまり、スイッチ７は、第１部分７１と第２部分７２との間に形状が急激に変化する部分、つまり、稜線７３を有している。よって、スイッチ７の隆起した形状が、ユーザに気づかれやすくなる。

【0025】

また、第２部分７２は、第１部分７１よりも後ろ側に存在する、指で触ることができる部分である。換言すれば、第２部分７２は、前側からスライドさせてきた指が第１部分７１を超えても、その指で触り続けることができる部分である。よって、隆起に気づいたものの指のスライドを第１部分７１に接触している間に止めることができなかった場合でも、ユーザはスイッチ７に触り続けることができる。よって、スイッチ７を操作するために必要な時間の接触を完了させることができる。

【0026】

テンプル６の表面に対する第１部分７１の傾斜角度は、テンプル６の表面に対する第２部分７２の傾斜角度に対して、大きくても、等しくても、小さくても良い。換言すれば、第１部分７１は、第２部分７２よりも、テンプル６の延在方向に沿った長さが短くても、等しくても、長くてもよい。本実施形態においては、テンプル６の表面に対する第１部分７１の傾斜角度は、テンプル６の表面に対する第２部分７２の傾斜角度よりも小さい。つまり、第１部分７１は、第２部分７２よりも、テンプル６の延在方向に沿った長さが長い。よって、スイッチ７の全長を長くすることなく、ユーザが第１部分７１に接触している時間を長くすることができるとともに、第１部分７１を通過してしまった場合に接触することができる第２部分７２をスイッチ７が備えることができる。

【0027】

なお、スイッチ７の全長が長くなると、ユーザが意図せずスイッチ７に触れ、液晶レンズ３が意図せず作動したり作動を停止したりする可能性が高くなる。よって、スイッチ７の全長は所定の値以下、例えば２０ｍｍ以下にすることが好ましい。

【0028】

第１部分７１および第２部分７２の表面形状はどのような形状であっても良く、例えば平面形状であっても良い。本実施形態においては、第１部分７１は凹曲面形状を有し、第２部分７２は凸曲面形状を有している。第１部分７１が凹曲面形状を有し、第２部分７２が凸曲面形状を有することで、第１部分７１および第２部分７２が平面形状を有する場合と比較して、稜線７３およびその前後におけるスイッチ７の表面形状の変化を際立たせることができる。ひいては、隆起高さを抑えつつ、ユーザがスイッチ７に触れていることに気づきやすくすることができる

【0029】

なお、スイッチ７の隆起高さが高くなると、ユーザが意図せずスイッチ７に触れ、液晶レンズ３が意図せず作動したり作動を停止したりする可能性が高くなる。よって、スイッチ７の隆起高さは所定の値以下、例えば５ｍｍ以下にすることが好ましい。

【0030】

本開示に係るアイウェアは、上記実施形態に限られず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形したものも包含する。

【0031】

例えば、スイッチ７は、静電容量スイッチ以外の形式のタッチスイッチ、例えば、感圧式スイッチでもよい。また、スイッチ７はタッチスイッチではなく、押したりスライドさせたりすることで信号を生成する機械式スイッチでもよい。

【0032】

スイッチ７は、第２部分７２を有していなくてもよい。つまり、スイッチ７は、第１部分７１のみを有していてもよい。この場合、第１部分の後端は、例えばテンプル６の外側の面に直交する平面によって形成されてもよい。

【0033】

本開示に係るアイウェア１が備える電気部品は、液晶レンズ３には限られない。電気部品は、例えば、レンズ２に組み込まれたレンズ濃度調整デバイスであってもよいし、フレーム４に組み込まれたプロジェクタ、マイク、スピーカであってもよい。

【0034】

また、スイッチ７は、テンプル６の上面または下面に配置されていてもよい。

【産業上の利用可能性】

【0035】

本開示は、電気部品を備える様々なアイウェアとして利用可能である。

【符号の説明】

【0036】

１ アイウェア
２ レンズ
３ 液晶レンズ
４ フレーム
５ フロント
６ テンプル
７ スイッチ
７１ 第１部分
７２ 第２部分
７３ 稜線

【図1】

【図2】

【図3】