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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130072
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】マクロレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
G02B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034522
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】391044915
【氏名又は名称】株式会社コシナ
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕輝
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA06
2H087PA06
2H087PA17
2H087PA20
2H087PB09
2H087PB10
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA36
2H087RA44
(57)【要約】
【課題】フロントフォーカス方式を採用した、より少ない繰出量で大口径比かつ小型なマクロレンズを提供すること。
【解決手段】物体OBJ側から順に、無限遠から近距離への合焦に際して、物体OBJ側へ移動する第1レンズ群G1と、固定の第2レンズ群G2と、が配置され、第1レンズ群G1は、開口絞りSTO、開口絞りSTOより物体OBJ側に第1レンズ群G1A、開口絞りSTOより結像面IMG側に第1レンズ群G1Bを有する。第1レンズ群G1Aは、物体OBJ側から順に少なくとも、2枚の正レンズ及び1組の接合レンズを有し、第1レンズ群G1Bは、少なくとも1組の接合レンズを有し、第2レンズ群G2は、物体OBJ側から順に少なくとも、1組の接合レンズ及び1枚の負レンズを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、無限遠から近距離への合焦に際して、物体側へ移動する第1レンズ群と、固定の第2レンズ群と、が配置され、
前記第1レンズ群は、開口絞り、前記開口絞りより物体側に第1レンズ群A、前記開口絞りより結像面側に第1レンズ群Bを有し、
前記第1レンズ群Aは、物体側から順に少なくとも、2枚の正レンズ及び1組の接合レンズを有し、
前記第1レンズ群Bは、少なくとも1組の接合レンズを有し、
前記第2レンズ群は、物体側から順に少なくとも、1組の接合レンズ及び1枚の負レンズを有することを特徴とするマクロレンズ。
【請求項2】
無限遠合焦時の全系の焦点距離をf、最も物体側のレンズ面から結像面までの距離をTLとするとき、以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のマクロレンズ。
1.0<TL/f≦1.5 …(1)
【請求項3】
無限遠合焦時の前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマクロレンズ。
0.7<f1/f≦1.2 …(2)
【請求項4】
最至近合焦時の撮影倍率をM、前記第1レンズ群の繰出量をXとするとき、以下の条件式(3)を満たすことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のマクロレンズ。
X≦fM …(3)
【請求項5】
以下の条件式(4)を満たすことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のマクロレンズ。
0.45<M …(4)
【請求項6】
無限遠合焦時に光軸中心に結像する光線のうち、最も物体側のレンズ面における前記光線の最大高さをh1、最も結像面側のレンズ面における前記光線の最大高さをh2とするとき、以下の条件式(5)を満たすことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のマクロレンズ。
0.25<h2/h1 …(5)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離物体を撮影できるマクロレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
写真及びビデオ撮影用の光学機器に用いられるレンズにおいて、近距離物体を高い解像度で撮影できるレンズとしてマクロレンズがある。
一般的なレンズは無限遠での結像性能を優先するのに対し、マクロレンズは特に近距離物体の撮影において優れた結像性能が得られるように設計されているが、近距離のみならず無限遠や中距離の撮影に対しても利用される。
例えば、特許文献1(特許第4986710号公報)では、無限遠から高倍率の近距離撮影までの広範囲に渡って十分な収差補正ができる、画角42°~43°程度の広角マクロレンズ系が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4986710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている広角マクロレンズ系では、無限遠から近距離への合焦に際し、レンズ後群を固定して前群だけを物体側に移動させるフロントフォーカス方式を採用することで焦点調節機構を単純化できるとしている。しかし、小型化・軽量化が進むデジタルカメラ市場において、繰出量の少ない高性能なマクロレンズが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
小型化を図るためには、近距離撮影時のレンズの繰出量を小さくすることが好ましい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、フロントフォーカス方式を採用した、少ない繰出量で大口径比かつ小型なマクロレンズを提供することを目的とする。
【0006】
本発明にかかるマクロレンズによれば、物体側から順に、無限遠から近距離への合焦に際して、物体側へ移動する第1レンズ群と、固定の第2レンズ群と、が配置され、前記第1レンズ群は、開口絞り、前記開口絞りより物体側に第1レンズ群A、前記開口絞りより結像面側に第1レンズ群Bを有し、前記第1レンズ群Aは、物体側から順に少なくとも、2枚の正レンズ及び1組の接合レンズを有し、前記第1レンズ群Bは、少なくとも1組の接合レンズを有し、前記第2レンズ群は、物体側から順に少なくとも、1組の接合レンズ及び1枚の負レンズを有することを特徴とする。
この構成を採用することによって、少ない繰出量で大口径比かつ小型なマクロレンズとすることができる。
【0007】
また、無限遠合焦時の全系の焦点距離をf、最も物体側のレンズ面から結像面までの距離をTLとするとき、以下の条件式(1)を満たすことを特徴とする。
1.0<TL/f≦1.5 …(1)
条件式(1)の下限を超える場合、球面収差が補正できず解像感が損なわれるとともに、物体の距離変化に伴って像面湾曲が肥大化してしまう。条件式(1)の上限を超える場合、球面収差は良化するものの、製品全長やレンズ径が大型化してしまう。すなわち、条件式(1)は、良好な光学性能を維持しつつ製品の大型化を抑制するための条件であり、上記構成を採用することによってマクロレンズを小型化することができる。
【0008】
また、無限遠合焦時の前記第1レンズ群の焦点距離をf1とするとき、以下の条件式(2)を満たすことを特徴とする。
0.7<f1/f≦1.2 …(2)
条件式(2)の下限を超える場合、繰出量は減少するものの、コマ収差による画像周辺部の解像が劣化してしまう。条件式(2)の上限を超える場合、繰出量が増加し、製品全長が大型化してしまう。すなわち、条件式(2)は、良好な光学性能を維持しつつ繰出量の増加を抑制するための条件であり、上記構成を採用することによって繰出量の少ないマクロレンズとすることができる。
【0009】
また、最至近合焦時の撮影倍率をM、前記第1レンズ群の繰出量をXとするとき、以下の条件式(3)を満たすことを特徴とする。
X≦fM …(3)
フロントフォーカス方式のマクロレンズとしては、条件式(3)を満たすことが好ましい。
【0010】
また、以下の条件式(4)を満たすことを特徴とする。
0.45<M …(4)
マクロレンズとしては、条件式(4)を満たすことが好ましい。
【0011】
また、無限遠合焦時に光軸中心に結像する光線のうち、最も物体側のレンズ面における前記光線の最大高さをh1、最も結像面側のレンズ面における前記光線の最大高さをh2とするとき、以下の条件式(5)を満たすことを特徴とする。
0.25<h2/h1 …(5)
条件式(5)の下限を超える場合、光学全長の伸長や最終レンズの外径の大型化につながり、製品全体が大型化してしまう。すなわち、条件式(5)は、製品の大型化を抑制するための条件であり、上記構成を採用することによってマクロレンズを小型化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明におけるマクロレンズの構成によれば、少ない繰出量で大口径比かつ小型なマクロレンズを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態におけるマクロレンズの断面構成図である。
図2】第1実施形態におけるマクロレンズの無限遠合焦時の光路図の略図である。
図3】第1実施形態におけるマクロレンズの縦収差図である。
図4】第2実施形態におけるマクロレンズの断面構成図である。
図5】第2実施形態におけるマクロレンズの縦収差図である。
図6】第3実施形態におけるマクロレンズの断面構成図である。
図7】第3実施形態におけるマクロレンズの縦収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、マクロレンズ100の基本構成を説明する。
図1、4、6に示す各実施形態におけるマクロレンズ100は、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、内部に開口絞りSTOを含み正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、を具備する。
【0015】
第1レンズ群G1は光軸に沿って移動可能であり、第2レンズ群G2は固定である。マクロレンズ100は、第1レンズ群G1を移動させることで合焦する仕組みであり、例えば、無限遠から近距離へ合焦する際は、第1レンズ群G1を物体OBJ側へ移動させるといった様態である。
【0016】
第1レンズ群G1は、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、第1レンズ群G1Aと、開口絞りSTOと、第1レンズ群G1Bと、を具備する。
【0017】
第1レンズ群G1Aは、物体OBJ側から順に少なくとも、2枚の正レンズ及び1組の接合レンズを有し、第1レンズ群G1Bは、少なくとも1組の接合レンズを有し、第2レンズ群G2は、物体OBJ側から順に少なくとも、1組の接合レンズ及び1枚の負レンズを有している。
以上が各実施形態におけるマクロレンズ100の基本構成であり、以下、図面に基づいて各実施形態について説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1に示す第1実施形態における第1レンズ群G1Aは、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、両凸レンズL1と、正メニスカスレンズL2と、両凹レンズL3f及び正メニスカスレンズL3rが接合された第1接合レンズL3と、を有している。
【0019】
第1レンズ群G1Aの結像面IMG側には、第1接合レンズL3から所定間隔を空けた位置に開口絞りSTOが配置されている。
そして、開口絞りSTOの結像面IMG側には、開口絞りSTOから所定間隔を空けた位置に第1レンズ群G1Bが配置されている。
【0020】
第1レンズ群G1Bは、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、負メニスカスレンズL4f及び両凸レンズL4rが接合された第2接合レンズL4を有している。
【0021】
第1レンズ群G1Bの結像面IMG側には、第2接合レンズL4から所定間隔を空けた位置に第2レンズ群G2が配置されている。
【0022】
第2レンズ群G2は、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、正メニスカスレンズL5f及び負メニスカスレンズL5rが接合された第3接合レンズL5と、負メニスカスレンズL6と、を有している。
【0023】
以上の構成において、より好ましい数値条件について説明する。
無限遠合焦時の全系の焦点距離をf、最も物体OBJ側のレンズ面から結像面IMGまでの距離をTLとするとき、以下の条件式(1)を満たすことが好ましい。
1.0<TL/f≦1.5 …(1)
条件式(1)の下限を超える場合、球面収差が補正できず解像感が損なわれるとともに、物体OBJの距離変化に伴って像面湾曲が肥大化してしまう。条件式(1)の上限を超える場合、球面収差は良化するものの、製品全長やレンズ径が大型化してしまう。すなわち、条件式(1)は、良好な光学性能を維持しつつ製品の大型化を抑制するための条件である。
【0024】
また、無限遠合焦時の第1レンズ群G1の焦点距離をf1とするとき、以下の条件式(2)を満たすことが好ましい。
0.7<f1/f≦1.2 …(2)
条件式(2)の下限を超える場合、繰出量は減少するものの、コマ収差による画像周辺部の解像が劣化してしまい、条件式(2)の上限を超える場合、繰出量が増加し、製品全長が大型化してしまう。すなわち、条件式(2)は、良好な光学性能を維持しつつ繰出量の増加を抑制するための条件である。
【0025】
また、最至近合焦時の撮影倍率をM、第1レンズ群G1の繰出量をXとするとき、以下の条件式(3)を満たすことが好ましい。
X≦fM …(3)
フロントフォーカス方式のマクロレンズとしては、条件式(3)を満たすことが好ましい。
【0026】
また、以下の条件式(4)を満たすことが好ましい。
0.45<M …(4)
マクロレンズとしては、条件式(4)を満たすことが好ましい。
【0027】
また、無限遠合焦時に光軸中心に結像する光線のうち、最も物体OBJ側のレンズ面における光線の最大高さをh1、最も結像面IMG側のレンズ面における光線の最大高さをh2とするとき(図2参照)、以下の条件式(5)を満たすことが好ましい。
0.25<h2/h1 …(5)
条件式(5)の下限を超える場合、光学全長の伸長や最終レンズの外径の大型化につながり、製品全体が大型化してしまう。すなわち、条件式(5)は、製品の大型化を抑制するための条件である。
なお、これらの数値条件は他の実施形態においても同様のため、以下では説明を省略する。
【0028】
本実施形態の光学データ及び条件式(1)~(5)の対応値を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1の通り、本実施形態のレンズ構成を採用することによって条件式(1)~(5)を全て満たし、繰出量が少なく小型で、球面収差及びコマ収差の発生を防止できる良好な大口径マクロレンズが実現できる。
【0031】
本実施形態におけるマクロレンズ100を構成する各レンズの面データを表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
表2は、物体OBJ側から数えたレンズ面の面番号をiとし、この面番号iに対応するレンズ面の曲率半径R(i)、軸上面間隔D(i)、レンズの屈折率nd(i)、レンズのアッベ数νd(i)を示す。
面番号iのOBJは物体、STOは開口絞り、IMGは結像面の位置をそれぞれ示す。曲率半径R(i)のinfinityは平面である。軸上面間隔D(i)は、相対向する面と面間のレンズ厚あるいは空気間隔を示す。屈折率nd(i)とアッベ数νd(i)は、d線(587.56nm)に対する数値であり、空欄は空気であることを示す。
なお、これらの事項は他の実施形態においても同様のため、以下では説明を省略する。
【0034】
本実施形態におけるマクロレンズ100の無限遠合焦時(撮影倍率0倍)及び最至近合焦時(撮影倍率0.50倍)のフォーカス可変間隔(軸上面間隔ZD0、ZD11、ZD16)を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】
本実施形態におけるマクロレンズ100の縦収差について、図3を参照しながら説明する。図3における縦収差図は、左側から順に、球面収差図(波長435.83nm、587.56nm、656.27nm)、非点収差図(波長587.56nm)、歪曲収差図(波長587.56nm)であり、上段(a)は無限遠合焦時、下段(b)は最至近合焦時のものである。なお、各図における横軸スケールはそれぞれ、±0.50mm、±0.50mm、±5.0%である。また、非点収差図内におけるTは焦点のタンジェンシャル面(yz面方向)を表し、Sはサジタル面(xz面方向)を表している。
なお、これらの事項は他の実施形態においても同様のため、以下では説明を省略する。
【0037】
図3から、本実施形態におけるマクロレンズ100は、撮影倍率に関わらず、いずれの項目においても良好な収差補正が得られていること(良好な光学性能の具備)が確認できる。特に球面収差及び非点収差の結果が良好であり、解像度及びコントラストが高いレンズだと言える。
【0038】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図4に示す第2実施形態における第1レンズ群G1Aは、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、両凸レンズL7と、正メニスカスレンズL8と、両凹レンズL9f及び正メニスカスレンズL9rが接合された第1接合レンズL9と、を有している。
【0039】
第1レンズ群G1Aの結像面IMG側には、第1接合レンズL9から所定間隔を空けた位置に開口絞りSTOが配置されている。
そして、開口絞りSTOの結像面IMG側には、開口絞りSTOから所定間隔を空けた位置に第1レンズ群G1Bが配置されている。
【0040】
第1レンズ群G1Bは、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、両凸レンズL10f、両凹レンズL10m及び両凸レンズL10rが接合された第2接合レンズL10を有している。
【0041】
第1レンズ群G1Bの結像面IMG側には、第2接合レンズL10から所定間隔を空けた位置に第2レンズ群G2が配置されている。
【0042】
第2レンズ群G2は、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、正メニスカスレンズL11f及び負メニスカスレンズL11rが接合された第3接合レンズL11と、負メニスカスレンズL12と、を有している。
【0043】
本実施形態の光学データ及び条件式(1)~(5)の対応値を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
表4の通り、本実施形態のレンズ構成を採用することによって、条件式(1)~(5)を全て満たし、繰出量が少なく小型で、球面収差及びコマ収差の発生を防止できる良好な大口径マクロレンズが実現できる。
【0046】
本実施形態におけるマクロレンズ100を構成する各レンズの面データを表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】
本実施形態におけるマクロレンズ100の無限遠合焦時(撮影倍率0倍)及び最至近合焦時(撮影倍率0.50倍)のフォーカス可変間隔(軸上面間隔ZD0、ZD12、ZD17)を表6に示す。
【0049】
【表6】
【0050】
本実施形態におけるマクロレンズ100の縦収差図を図5に示す。
撮影倍率に関わらず、いずれの項目においても良好な収差補正が得られていること(良好な光学性能の具備)が確認できる。特に球面収差及び非点収差の結果が良好であり、解像度及びコントラストが高いレンズだと言える。
【0051】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図6に示す第3実施形態における第1レンズ群G1Aは、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、両凸レンズL13と、正メニスカスレンズL14と、両凹レンズL15f及び正メニスカスレンズL15rが接合された第1接合レンズL15と、を有している。
【0052】
第1レンズ群G1Aの結像面IMG側には、第1接合レンズL15から所定間隔を空けた位置に開口絞りSTOが配置されている。
そして、開口絞りSTOの結像面IMG側には、開口絞りSTOから所定間隔を空けた位置に第1レンズ群G1Bが配置されている。
【0053】
第1レンズ群G1Bは、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、負メニスカスレンズL16f及び両凸レンズL16rが接合された第2接合レンズL16を有している。
【0054】
第1レンズ群G1Bの結像面IMG側には、第2接合レンズL16から所定間隔を空けた位置に第2レンズ群G2が配置されている。
【0055】
第2レンズ群G2は、物体OBJ側から結像面IMG側に向かって順に、両凸レンズL17f及び両凹レンズL17rが接合された第3接合レンズL17と、負メニスカスレンズL18と、を有している。
【0056】
本実施形態の光学データ及び条件式(1)~(5)の対応値を表7に示す。
【0057】
【表7】
【0058】
表7の通り、本実施形態のレンズ構成を採用することによって、条件式(1)~(5)を全て満たし、繰出量が少なく小型で、球面収差及びコマ収差の発生を防止できる良好な大口径マクロレンズが実現できる。
【0059】
本実施形態におけるマクロレンズ100を構成する各レンズの面データを表8に示す。
【0060】
【表8】
【0061】
本実施形態におけるマクロレンズ100の無限遠合焦時(撮影倍率0倍)及び最至近合焦時(撮影倍率0.50倍)のフォーカス可変間隔(軸上面間隔ZD0、ZD11、ZD16)を表9に示す。
【0062】
【表9】
【0063】
本実施形態におけるマクロレンズ100の縦収差図を図7に示す。
撮影倍率に関わらず、いずれの項目においても良好な収差補正が得られていること(良好な光学性能の具備)が確認できる。特に球面収差及び非点収差の結果が良好であり、解像度及びコントラストが高いレンズだと言える。
【0064】
以上に説明したように、第1実施形態~第3実施形態にかかるマクロレンズ100の構成によれば、フロントフォーカス方式を採用した、少ない繰出量で大口径比かつ小型なマクロレンズの実現が可能となる。
【0065】
複数の実施形態に基づいて本発明にかかるマクロレンズ100の構成について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲は以上の実施形態に限定されるものではない。明細書中に記載されている変形例や、他の公知の構成を適宜組み合わせた形態を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 マクロレンズ
G1 第1レンズ群
G1A 第1レンズ群A
G1B 第1レンズ群B
G2 第2レンズ群
IMG 結像面
L1 両凸レンズ
L2 正メニスカスレンズ
L3 第1接合レンズ
L3f 両凹レンズ
L3r 正メニスカスレンズ
L4 第2接合レンズ
L4f 負メニスカスレンズ
L4r 両凸レンズ
L5 第3接合レンズ
L5f 正メニスカスレンズ
L5r 負メニスカスレンズ
L6 負メニスカスレンズ
L7 両凸レンズ
L8 正メニスカスレンズ
L9 第1接合レンズ
L9f 両凹レンズ
L9r 正メニスカスレンズ
L10 第2接合レンズ
L10f 両凸レンズ
L10m 両凹レンズ
L10r 両凸レンズ
L11 第3接合レンズ
L11f 正メニスカスレンズ
L11r 負メニスカスレンズ
L12 負メニスカスレンズ
L13 両凸レンズ
L14 正メニスカスレンズ
L15 第1接合レンズ
L15f 両凹レンズ
L15r 正メニスカスレンズ
L16 第2接合レンズ
L16f 負メニスカスレンズ
L16r 両凸レンズ
L17 第3接合レンズ
L17f 両凸レンズ
L17r 両凹レンズ
L18 負メニスカスレンズ
OBJ 物体
STO 開口絞り
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7