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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130075
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】揺動装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
F16C11/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034525
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】酒井 信吾
(72)【発明者】
【氏名】植松 泰崇
【テーマコード(参考)】
3J105
【Fターム(参考)】
3J105AA02
3J105AA04
3J105AB48
3J105AC06
(57)【要約】
【課題】ヒンジ装置を揺動部材の軸受孔に取り付け容易にできる揺動装置を提供する。
【解決手段】揺動装置10は、ヒンジ装置20と、軸受孔を有し、ヒンジ装置20によって揺動可能に支持される揺動部材22と、を備える。ヒンジ装置20は、シャフトと、少なくとも一方がシャフトに連結する一対のバネ支持部と、一対のバネ支持部を互いに離間する方向に付勢するバネと、を有する。シャフトは、シャフトの一端部に位置し、軸受孔に挿入される挿入部と、一端部よりも他端部側に形成され、バネ支持部に連結する連結部と、挿入部および連結部の間で屈曲する屈曲部と、を有する。バネ支持部は、軸方向に見て軸受孔から径方向に張り出した位置に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付部材に取り付けられる揺動装置であって、
ヒンジ装置と、
軸受孔を有し、前記ヒンジ装置によって取付部材に揺動可能に支持される揺動部材と、を備え、
前記ヒンジ装置は、
シャフトと、
少なくとも一方が前記シャフトに連結する一対のバネ支持部と、
一対の前記バネ支持部を互いに離間する方向に付勢するバネと、を有し、
前記シャフトは、
前記シャフトの一端部に位置し、前記軸受孔に挿入される挿入部と、
前記一端部よりも他端部側に形成され、前記バネ支持部に連結する連結部と、
前記挿入部および前記連結部の間で屈曲する屈曲部と、を有し、
前記バネ支持部は、軸方向に見て前記軸受孔から径方向に張り出した位置に設けられることを特徴とする揺動装置。
【請求項2】
前記揺動部材は、前記軸受孔に連通するように形成された溝部を有し、
前記溝部には、前記屈曲部の一部が嵌合することを特徴とする請求項1に記載の揺動装置。
【請求項3】
前記バネ支持部は、前記連結部に連結される被連結部を有し、
前記被連結部は、軸方向に見て前記バネの中心軸よりも前記軸受孔から離れて位置することを特徴とする請求項1または2に記載の揺動装置。
【請求項4】
前記バネ支持部は、前記屈曲部を収める溝部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の揺動装置。
【請求項5】
取付部材に取り付けられる揺動装置であって、
ヒンジ装置と、
前記ヒンジ装置によって取付部材に揺動可能に支持される揺動部材と、を備え、
前記ヒンジ装置は、
対向して配置される第1バネ支持部および第2バネ支持部と、
前記第1バネ支持部および前記第2バネ支持部を互いに離間する方向に付勢するバネと、を有し、
前記第1バネ支持部は、前記第1バネ支持部および前記第2バネ支持部の対向方向内向きに延出する第1柱部を有し、
前記第2バネ支持部は、前記第1バネ支持部および前記第2バネ支持部の対向方向内向きに延出する第2柱部を有し、
前記第1柱部および前記第2柱部は、前記バネの中心軸周りに互いに係合する係合面を有し、前記バネの内側または外側に位置することを特徴とする揺動装置。
【請求項6】
前記第1柱部および前記第2柱部は、それぞれ一対ずつ形成され、
前記係合面は、一対の前記第1柱部および一対の前記第2柱部にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項5に記載の揺動装置。
【請求項7】
一対の前記第1柱部の間と、一対の前記第2柱部の間とに、前記第1バネ支持部および前記第2バネ支持部の対向方向内向きの接近を止めるストッパ部が設けられることを特徴とする請求項6に記載の揺動装置。
【請求項8】
前記第1バネ支持部および前記第2バネ支持部の対向面には、凹部がそれぞれ形成され、
前記第1柱部の先端部および前記第2柱部の先端部は、対向する前記凹部に入り込み可能であることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の揺動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付部材の取付孔に取り付けられる揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一対のピン挿通孔を有する固定ヒンジと、一対のピン支持孔を有する回動ヒンジと、ピン挿通孔及びピン支持孔に挿入される一対のピン部材と、一対のピン部材の間に配置され、一対のピン部材を固定ヒンジに圧接する圧縮スプリングとを備えるヒンジ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-286039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、一対のピン部材が圧縮スプリングで逆方向に付勢されて固定ヒンジのピン挿通孔と回動ヒンジのピン支持孔に挿入されることで、固定ヒンジおよび回動ヒンジが相対回転可能に軸支される。ここで、ピン部材は圧縮スプリングに抗して固定ヒンジのピン挿通孔と回動ヒンジのピン支持孔に挿入されるが、この挿入作業を容易にできると望ましい。
【0005】
本発明の目的は、ヒンジ装置を揺動部材の軸受孔に取り付け容易にできる揺動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、取付部材に取り付けられる揺動装置であって、ヒンジ装置と、軸受孔を有し、ヒンジ装置によって取付部材に揺動可能に支持される揺動部材と、を備える。ヒンジ装置は、シャフトと、少なくとも一方がシャフトに連結する一対のバネ支持部と、一対のバネ支持部を互いに離間する方向に付勢するバネと、を有する。シャフトは、シャフトの一端部に位置し、軸受孔に挿入される挿入部と、一端部よりも他端部側に形成され、バネ支持部に連結する連結部と、挿入部および連結部の間で屈曲する屈曲部と、を有する。バネ支持部は、軸方向に見て軸受孔から径方向に張り出した位置に設けられる。
【0007】
本発明の別の態様もまた、取付部材に取り付けられる揺動装置である。この装置は、ヒンジ装置と、ヒンジ装置によって取付部材に揺動可能に支持される揺動部材と、を備える。ヒンジ装置は、対向して配置される第1バネ支持部および第2バネ支持部と、第1バネ支持部および第2バネ支持部を互いに離間する方向に付勢するバネと、を有する。第1バネ支持部は、第1バネ支持部および第2バネ支持部の対向方向内向きに延出する第1柱部を有する。第2バネ支持部は、第1バネ支持部および第2バネ支持部の対向方向内向きに延出する第2柱部を有する。第1柱部および第2柱部は、バネの中心軸周りに互いに係合する係合面を有し、バネの内側または外側に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ヒンジ装置を揺動部材の軸受孔に取り付け容易にできる揺動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】取付部材に取り付けた状態の実施例の揺動装置の斜視図である。
図2】実施例の揺動装置の斜視図である。
図3】実施例の揺動装置の分解図である。
図4】揺動部材の下面図である。
図5】第1バネ支持部の斜視図である。
図6図6(a)は、第1バネ支持部の側面図であり、図6(b)は、第1バネ支持部の上面図であり、図6(c)は、第1バネ支持部の下面図である。
図7】軸方向に直交する方向のヒンジ装置の断面図である。
図8】ヒンジ装置の斜視図である。
図9】揺動部材およびシャフトの斜視図であり、ヒンジ装置を揺動部材の組み付ける途中の状態を示す。
図10】変形例の揺動装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、取付部材12に取り付けた状態の実施例の揺動装置10の斜視図である。揺動装置10は、例えばトランスミッションのケースである取付部材12に取り付けられる。取付部材12は、開口部12aを有し、開口部12aは、揺動装置10によって開閉される。
【0011】
揺動装置10は、ヒンジ装置20と、ヒンジ装置20によって取付部材12に揺動可能に支持される揺動部材22とを備える。揺動部材22は、トランスミッション内にて液体の一方向の移動を制限し、常開タイプであってく、常閉タイプであってもよい。
【0012】
図2は、実施例の揺動装置10の斜視図である。図2(a)は揺動装置10を上方から見た図であり、図2(b)は揺動装置10を下方から見た図である。また、図3は、実施例の揺動装置10の分解図である。
【0013】
ヒンジ装置20は、一対のシャフト34と、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36b(これらを区別しない場合「バネ支持部36」という)と、バネ38とを有する。バネ38は、一定のバネ径を有するコイルバネである。
【0014】
シャフト34は、金属材を屈曲加工して形成され、揺動部材22を揺動可能に支持する。また、シャフト34は、同軸に一対設けられているため、軸方向への移動を可能にする。一対のシャフト34が互いに接近することで、揺動部材22への組み付け、および取付部材12への取り付けを容易にできる。
【0015】
シャフト34は、挿入部40、連結部42および屈曲部44を有する。挿入部40は、シャフト34の一端部に位置し、軸受孔24に挿入される。連結部42は、一端部よりも他端部側に形成され、バネ支持部36に連結する。屈曲部44は、挿入部40および連結部42の間で屈曲する。挿入部40および連結部42は、同じ軸方向に延び、屈曲部44は、挿入部40および連結部42に対して交差する方向に延出する。これにより、挿入部40および連結部42の軸をずらすことができる。
【0016】
図4は、揺動部材22の下面図である。揺動部材22は、軸受孔24、傾斜部26、溝部28、突壁部29、突部30および張出部32を有する。軸受孔24は、一対のシャフト34をそれぞれ挿入可能に一対形成され、同軸に形成される。軸受孔24は、円筒状の孔である。一対の軸受孔24が対向する方向を対向方向という。一対の軸受孔24にシャフト34がそれぞれ挿入される。
【0017】
溝部28は、一対の軸受孔24の対向方向内側に位置し、一対の軸受孔24に連設して一対形成され、軸受孔24に沿って延設する部分と、バネ38の中心軸に向かって延設する部分を有する。溝部28は、軸受孔24に連続し、軸受孔24と同軸に延びるように形成される。つまり、溝部28は軸受孔24に連通する凹みを形成し、溝部28から軸受孔24に亘ってシャフト34を配置可能に軸受孔24に連通する。一対の溝部28は、軸方向に離間しており、シャフト34の屈曲部44の一部に嵌合して、屈曲部44を立設するように支持する。これにより、シャフト34の組み付け時に、屈曲部44が立設して、連結部42をバネ支持部36に連結しやすくできる。溝部28は、突壁部29を含み、突壁部29は、軸受孔24に連なっており、溝部28における対向方向外側に位置し、対向方向内側部分より深い溝を形成する。
【0018】
傾斜部26は、溝部28から軸受孔24に向かって立ち上がるように傾斜する。傾斜部26は、バネ支持部36の対向方向外向きの移動を止めるストッパとして機能する。テーパ面である傾斜部26でバネ支持部36の移動を止めることで、バネ支持部36の軸方向のガタつきと、揺動部材22から離れる方向のガタつきを抑えることができる。
【0019】
張出部32は、図3に示すように、軸受孔24から離れた位置で、下面から下方に張り出すように形成される。張出部32によって逆流する液体を受け止めやすくできる。突部30は、図3に示すように上面に突出して形成され、取付部材12の開口部12aに入ることができる。軸受孔24の端部に位置する外周面には切欠部33が形成され、揺動部材22の回転時に取付部材12に当たらないようにされている。
【0020】
図5は、第1バネ支持部36aの斜視図である。また、図6(a)は、第1バネ支持部36aの側面図であり、図6(b)は、第1バネ支持部36aの上面図であり、図6(c)は、第1バネ支持部36aの下面図である。なお、第2バネ支持部36bは、第1バネ支持部36aと同形状であるため、説明を省略する。
【0021】
第1バネ支持部36aは、シャフト34に連結するとともに、バネ38によって対向方向外向きに付勢される。第1バネ支持部36aは、台座部46、一対の第1柱部48a,48b、ストッパ部50、凹部52、被連結部54および溝部56を有する。
【0022】
台座部46の側面には軸方向に沿って延在する平坦面46aが形成される。平坦面46aは、揺動部材22に当接してバネ支持部36の軸周りの回転を止める。台座部46は、バネ38の座巻部を受け止める対向面46bを有する。台座部46の対向面46bは、一対のバネ支持部36が対向する位置にある。台座部46の対向面46bには、一対の凹部52が形成される。
【0023】
一対の第1柱部48a,48bは、台座部46から対向方向内向きに延出し、台座部46よりも軸方向長さは大きい。なお、第2バネ支持部36bには、対向方向内向きに延出する一対の第2柱部60a,60bが形成される。
【0024】
第1バネ支持部36aの一対の第1柱部48a,48bおよび第2バネ支持部36bの一対の第2柱部60a,60bは、バネ38の中心軸周りに互いに係合する係合面58をそれぞれ有する。
【0025】
図7は、軸方向に直交する方向のヒンジ装置20の断面図である。図7に示すように第1柱部48a,48bおよび第2柱部60a,60bが周方向に係合しており、第1柱部48a、第2柱部60a、第1柱部48b、第2柱部60bが周方向に順に配置される。これにより、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bが捻れる動きが制限され、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bが軸方向に接近および離間する動きを滑らかにできる。つまり、一対の第1柱部48a,48bおよび一対の第2柱部60a,60bは、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bが軸方向に移動する際のガイドとして機能する。第1バネ支持部36aに第1柱部48a,48bを一対形成し、第2バネ支持部36bに第2柱部60a,60bを一対形成することで、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bを対象に配置でき、部品を共通化できる。また、対角に係合面58を配置することで、一対の第1柱部48a,48bおよび一対の第2柱部60a,60bが対角に支え合うことができ、接近等した場合にバネ38の軸が傾斜することを抑えることができる。
【0026】
図6に戻る。一対の第1柱部48a,48bの間と、一対の第2柱部60a,60bの間とに、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bの対向方向内向きの接近を止めるストッパ部50が設けられる。ストッパ部50は、一対の第1柱部48a,48bの根元部分をつなぐように形成される。これにより、第1柱部48a,48bおよび第2柱部60a,60bの剛性を高めることができる。
【0027】
第1柱部48a,48bの先端部は、対向する第2バネ支持部36bの一対の凹部52に入り込み可能である。また、一対の第2柱部60a,60bの先端部は、第1バネ支持部36aの一対の凹部52に入り込み可能である。これにより、第1柱部48a,48bおよび第2柱部60a,60bのガイド長さを確保しつつ、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bが移動可能な距離を長くすることができる。
【0028】
被連結部54は、孔状に形成され、シャフト34の連結部42を挿入されることで、連結部42に連結される。被連結部54は、軸方向に見てバネ38の中心軸C2よりも軸受孔24の位置C1から離れて位置する。このように、被連結部54が軸受孔24(挿入部40)の位置から十分に遠ざけて配置されることで、シャフト34の屈曲部44の長さを長くできる。これにより、シャフト34の屈曲加工を容易にでき、製造誤差を小さくできる。
【0029】
図8は、ヒンジ装置20の斜視図である。バネ38は、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bを逆方向(対向方向外向き)に付勢する。第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bの対向面46bがバネ38の座巻部に当接する。第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bは、一対のシャフト34にそれぞれ連結し、バネ38の付勢によって挿入部40を対向方向外向きに押す。これによって、シャフト34が揺動部材22の軸受孔24に挿入された状態を維持できる。
【0030】
バネ38の両端の座巻部は、それ以外の中央部分よりも小径であってよい。これにより、バネ38の座巻部が第1柱部48a,48bおよび第2柱部60a,60bを囲んで支持することができる。
【0031】
ヒンジ装置20を揺動部材22に組み付ける工程について説明する。図9は、ヒンジ装置20を揺動部材22の組み付ける途中の状態を示す図である。一対のシャフト34が揺動部材22の一対の軸受孔24に挿入される。このとき、シャフト34の屈曲部44が図9に示す溝部28に嵌合して支持され、立ち上がった状態で維持される。このため、一対のシャフト34の連結部42が揺動部材22から離れて同軸でそれぞれ配置されるため、その後の組み付け作業が容易となる。
【0032】
次に、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bの間にバネ38が挟まれた状態で、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bがバネ38に抗して接近される。作業者は、治具や手指で第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bを摘まむ。このとき、一対の第1柱部48a,48bおよび一対の第2柱部60a,60bが係合してガイドとして機能するため、作業者は、バネ38に抗して第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bを接近させやすい。第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bを接近させた状態で、一対の被連結部54と一対の連結部42とを位置合わせし、一対の被連結部54に一対の連結部42をそれぞれ入れる。これにより、ヒンジ装置20が組み立てられる。一対の連結部42は、溝部28によって屈曲部44が立ち上がった状態で同軸に支持されているため、一対の被連結部54との位置合わせが容易である。また、第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bは、バネ38に抗して接近した状態から復元する際に、第1柱部48a,48bおよび第2柱部60a,60bがガイドとなってスムーズに復元する。
【0033】
屈曲部44が軸方向に交差しているため、シャフト34がバネ支持部36を介してバネの付勢を受けることができる。また、屈曲部44が溝部56に入り込んでいるため、シャフト34がバネ支持部36に対して軸周りに回転することを抑えることができる。また、屈曲部44がバネ支持部36から回転トルクを受けることで、揺動部材22の回転時にヒンジ装置20に入力される回転トルクをバネ支持部36の平坦面46aとともに分散して受けることができる。
【0034】
揺動装置10の取付部材12への取り付け工程について説明する。図2(b)に示す第1バネ支持部36aおよび第2バネ支持部36bがバネ38に抗して接近され、一対の挿入部40が取付部材12の一対の取付孔にそれぞれ挿入され、バネ38の復元によって取り付けを完了できる。このとき、屈曲部44が溝部56に収まっているため、一対のバネ支持部36の外側端面を把持すれば、一対のバネ支持部36とともに一対のシャフト34を接近させることができる。
【0035】
このとき、ヒンジ装置20が揺動部材22の軸受孔24から離れて配置されているため、一対のバネ支持部36を把持して接近させる作業が容易である。これは、シャフト34が屈曲部44を有することで、バネ支持部36が、軸方向に見て軸受孔24から径方向に張り出した位置に設けられ、軸受孔24とバネ38の中心軸がずれて配置され、バネ支持部36の端面が大きく露出するためである。
【0036】
図10は、変形例の揺動装置100の斜視図である。図10(a)は揺動装置100を上方から見た図であり、図10(b)は揺動装置100を下方から見た図である。揺動装置100は、ヒンジ装置120および揺動部材122を備える。ヒンジ装置120は、第1シャフト134a、第2シャフト134b、第1バネ支持部136a、第2バネ支持部136bおよびバネ38を有する。
【0037】
揺動部材122は、軸受孔124、壁部128、周方向溝部62および嵌合溝部64を有する。軸受孔124は、同軸に一対設けられる。壁部128は、一対の軸受孔124を径方向に開放するようにそれぞれ設けられ、軸受孔124に連なる空隙を形成する。一対の壁部128は、第1シャフト134aおよび第2シャフト134bを挿入するために形成される。
【0038】
周方向溝部62は、一方の壁部128に連なって形成され、周方向に亘って切り欠くように形成される。これにより、第1シャフト134aが周方向溝部62をガイドとして軸周りに回転することができる。嵌合溝部64は、周方向溝部62に連なって形成され軸方向に沿って切り欠くように形成される。嵌合溝部64は、第1シャフト134aに嵌合して、第1シャフト134aの軸周りの回転を規制する。周方向溝部62および嵌合溝部64は、一方の軸受孔124に連なって形成され、他方の軸受孔124には形成されない。
【0039】
ヒンジ装置120の第1バネ支持部136aおよび第2バネ支持部136bは、同形状であり、バネ38によって逆方向に付勢される。第1バネ支持部136aは、挿通孔66、周方向凹部68および溝部70を有する。
【0040】
挿通孔66は、第1シャフト134aを挿通するために形成される。周方向凹部68は、第2シャフト134bを環囲するために第1バネ支持部136aの外周面に形成される。溝部70は、第1シャフト134aに係合するため挿通孔66から径方向に沿って形成される。
【0041】
第1シャフト134aは、挿入部72、屈曲部74および連結部76を有する。挿入部72は、一方の軸受孔124に挿入される。屈曲部74は、挿入部72および連結部76から屈曲して交差する。屈曲部74は、ヒンジ装置120の組み付ける際に、壁部128に入って軸方向に移動し、周方向溝部62を通って回転して、嵌合溝部64に移動する。バネ38の付勢によって屈曲部74は嵌合溝部64に嵌まった状態になる。また、屈曲部74は、溝部70に収まり、第1バネ支持部136aの回転を抑える。連結部76は、第1バネ支持部136aおよび第2バネ支持部136bの挿通孔66に挿通する。
【0042】
第2シャフト134bは、挿入部78、環囲部80および屈曲部82を有する。挿入部78は、他方の軸受孔124に挿入される。屈曲部82は、挿入部78から屈曲して挿入部78に交差する。屈曲部82は、ヒンジ装置120を組み付ける際に壁部128に入り込むが、組み付け完了すると、軸受孔124および壁部128の対向方向内側に出る。環囲部80は、第2バネ支持部136bの外周を環囲し、周方向凹部68に嵌まる。第2シャフト134bによってヒンジ装置120の軸方向の移動が規制され、第1シャフト134aによってヒンジ装置120の軸周りの回転が規制される。これにより、ヒンジ装置120が揺動部材122に組み付けられる。
【0043】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0044】
例えば、実施例ではバネ支持部36の第1柱部および第2柱部がそれぞれ一対設けられる態様を示したが、この態様に限られず、第1柱部および第2柱部がそれぞれ1つであってもよい。
【0045】
また、実施例では、バネ支持部36の第1柱部および第2柱部がバネ38の内側に設けられる態様を示したが、この態様に限られず、バネ38の外側に設けられてよい。この態様では、バネ支持部36の第1柱部および第2柱部は、半筒状にそれぞれ形成される。
【0046】
また、実施例では、シャフト34とバネ支持部36が別体である態様を示したが、この態様に限られない。例えば、バネ支持部36とシャフト34が一体で樹脂成形されてよく、シャフト34がバネ支持部36から対向方向外向きに延出してよい。また、一対のシャフト34のうち一方がバネ支持部36と一体に形成され、他方がバネ支持部36と別体に形成されてよい。
【0047】
また、実施例では、ヒンジ装置20が一対のシャフト34を有する態様を示したが、この態様に限られない。例えば、ヒンジ装置20が1つのシャフト34を有し、揺動部材22が1つのシャフトを有して、それらのシャフトが同軸に設けられてよい。揺動部材22に形成されたシャフトは、軸受孔24からオフセットされ、図9に示す連結部42と同軸に設けられる。第1バネ支持部36aは、シャフト34に連結し、第2バネ支持部は、揺動部材22に形成されたシャフトに連結する。これにより、第1バネ支持部36aおよびシャフト34が第2バネ支持部に接近または離間可能に設けられる。
【符号の説明】
【0048】
10 揺動装置、 12 取付部材、 20 ヒンジ装置、 22 揺動部材、 24 軸受孔、 26 傾斜部、 28 溝部、 29 突壁部、 30 突部、 32 張出部、 34 シャフト、 36a 第1バネ支持部、 36b 第2バネ支持部、 38 バネ、 40 挿入部、 42 連結部、 44 屈曲部、 46 台座部、 46a 平坦面、 46b 対向面、 48 柱部、 48a,48b 第1柱部、 50 ストッパ部、 52 凹部、 54 被連結部、 56 溝部、 60a,60b 第2柱部。
図1
図2
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図7
図8
図9
図10