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特開2023-130080マッサージ装置及びマッサージ装置のコントローラによって実行される方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130080
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】マッサージ装置及びマッサージ装置のコントローラによって実行される方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
A61H7/00 323S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034532
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】稲田 二千武
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD01
4C100AD11
4C100BA02
4C100BA03
4C100BA05
4C100BB04
4C100BB05
4C100BC11
4C100BC13
4C100CA03
4C100CA06
4C100CA09
4C100DA05
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】マッサージコースの動作が部分的に被施療者の好みに合致しない場合にも対処しつつ、マッサージコースを実行できるようにする。
【解決手段】開示のマッサージ装置は、被施療者に対する動作をするマッサージ部と、マッサージコースのための一連の動作が設定されたシーケンスを実行し、前記シーケンスに設定された動作に従って前記マッサージ部の動作を制御するコントローラと、前記シーケンスの実行中に前記シーケンスの進行を中断させる中断操作、及び、前記マッサージ部の動作を調整する調整操作を、前記被施療者が行うことができる第1操作装置と、を備える。前記コントローラは、前記中断操作が行われると前記シーケンスの進行を中断させて手動モードに移行し、前記手動モードが終了すると前記シーケンスの進行を再開させるよう構成されている。前記手動モードは、前記調整操作に従って、前記コントローラが前記マッサージ部の動作を制御するモードである。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者に対する動作をするマッサージ部と、
マッサージコースのための一連の動作が設定されたシーケンスを実行し、前記シーケンスに設定された動作に従って前記マッサージ部の動作を制御するコントローラと、
前記シーケンスの実行中に前記シーケンスの進行を中断させる中断操作、及び、前記マッサージ部の動作を調整する調整操作を、前記被施療者が行うことができる第1操作装置と、
を備え、
前記コントローラは、前記中断操作が行われると前記シーケンスの進行を中断させて手動モードに移行し、前記手動モードが終了すると前記シーケンスの進行を再開させるよう構成され、
前記手動モードは、前記調整操作に従って、前記コントローラが前記マッサージ部の動作を制御するモードである
マッサージ装置。
【請求項2】
前記コントローラに前記シーケンスの実行を開始させる開始操作を、前記被施療者が行うことができる第2操作装置を更に備え、
前記第2操作装置は、前記第1操作装置とは分離した別体の操作装置である
請求項1に記載のマッサージ装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記シーケンスの進行を中断させて前記手動モードに移行すると、前記シーケンスの進行を中断させる直前における前記マッサージ部の動作の少なくとも一部の動作が、前記手動モードにおいても継続して行われるように、前記マッサージ部を制御するよう構成されている
請求項1又は2に記載のマッサージ装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記マッサージ部の動作を、第1調整要素及び第2調整要素において調整可能であり、
前記第1調整要素は、前記手動モードにおいて前記調整操作によって調整可能であり、
前記第2調整要素は、前記手動モードにおいて調整不能であり、
前記手動モードにおける前記第2調整要素についての動作は、前記シーケンスの進行を中断させる直前における前記マッサージ部の動作が継続して行われる
請求項1から請求項3のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記被施療者の身体長手方向における前記マッサージ部の位置を調整可能であるとともに、前記被施療者に施されるマッサージ動作の種類を調整可能であり、
前記位置は、前記手動モードにおいて前記調整操作によって調整可能であり、
前記マッサージ動作の前記種類は、前記手動モードにおいて調整不能であり、
前記手動モードにおける前記マッサージ動作は、前記シーケンスの進行を中断させる直前におけるマッサージ動作と同じ種類のマッサージ動作が継続して行われる
請求項1から請求項4のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項6】
前記コントローラは、更に、前記マッサージ動作の強さを調整可能であり、
前記強さは、前記手動モードにおいて前記調整操作によって調整可能である
請求項5に記載のマッサージ装置。
【請求項7】
前記第1操作装置は、前記シーケンスの進行を再開させる再開操作を前記被施療者が行うことができるよう構成され、
前記コントローラは、前記再開操作が行われた場合、及び、前記手動モードが開始してから所定時間経過した場合の少なくともいずれか一方の場合に、前記手動モードを終了させるよう構成されている
請求項1から請求項6のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記シーケンスの実行中又は前記手動モードの実行中において、前記シーケンス実行開始からの前記シーケンスの実行時間及び前記手動モードの実行時間の合計が、所定の制限時間を超えると、前記マッサージ部の動作を強制終了するよう構成され、
前記強制終了は、
実行中の前記シーケンスを終了すること、及び、
実行中の前記手動モードと中断している前記シーケンスとを終了すること、
のいずれか一方である
請求項1から請求項7のいずれかに記載のマッサージ装置。
【請求項9】
前記コントローラは、前記手動モードにおける前記調整操作に従った前記マッサージ部の動作の調整を、前記手動モード終了後に再開した前記シーケンスに反映させることなく、前記シーケンスの進行を再開させる
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のマッサージ装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記手動モードにおける前記調整操作に従った前記マッサージ部の動作の調整を、前記手動モード終了後に再開した前記シーケンスに反映させる
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のマッサージ装置。
【請求項11】
被施療者に対する動作をするマッサージ部を備えたマッサージ装置のコントローラによって実行される方法であって、
マッサージコースのためのシーケンスに設定された一連の動作に従って、前記マッサージ部の動作を制御し、
前記シーケンスの実行中に前記シーケンスの進行を中断させる中断操作が前記被施療者によって行われると前記シーケンスの進行を中断して、手動モードに移行し、
前記手動モードが終了すると、前記シーケンスの進行を再開する
ことを備え、
前記手動モードは、前記マッサージ部の動作を調整する調整操作が前記被施療者によって行われると、前記調整操作に従って、前記マッサージ部の動作を制御するモードである
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マッサージ装置及びマッサージ装置のコントローラによって実行される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、特許文献1は、使用者の被施療部に対してマッサージ動作するマッサージ部が所定の手順で動作するマッサージコースを複数種類実行可能なマッサージ機を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-204930号公報
【発明の概要】
【0004】
マッサージ装置の使用者である被施療者が、所望のマッサージコースを選択すると、そのマッサージコースの設定に従った動作が、被施療者に施される。しかし、被施療者が所望するマッサージコースが選択されたとしても、そのマッサージコースの動作は、部分的に、被施療者の好みに合致しないことがあり得る。
【0005】
例えば、マッサージコースのシーケンスに設定されたマッサージ位置が、被施療者がマッサージしてほしい位置からずれていることがあり得る。また、マッサージコースのシーケンスに設定されたマッサージ強さが、被施療者が希望する強さとは異なることがあり得る。さらに、あるマッサージ位置について、マッサージコースのシーケンスに設定されたあるマッサージ動作のマッサージ時間が、被施療者が希望する時間よりも短いことがあり得る。
【0006】
このように、マッサージコースの動作は、部分的に、被施療者の好みに合致しないことがあり得る。したがって、マッサージコースの動作が部分的に被施療者の好みに合致しない場合にも対処しつつ、マッサージコースを実行できるようにすることが望まれる。
【0007】
本開示のある側面は、マッサージ装置である。開示のマッサージ装置は、被施療者に対する動作をするマッサージ部と、マッサージコースのための一連の動作が設定されたシーケンスを実行し、前記シーケンスに設定された動作に従って前記マッサージ部の動作を制御するコントローラと、前記シーケンスの実行中に前記シーケンスの進行を中断させる中断操作、及び、前記マッサージ部の動作を調整する調整操作を、前記被施療者が行うことができる第1操作装置と、を備え、前記コントローラは、前記中断操作が行われると前記シーケンスの進行を中断させて手動モードに移行し、前記手動モードが終了すると前記シーケンスの進行を再開させるよう構成され、前記手動モードは、前記調整操作に従って、前記コントローラが前記マッサージ部の動作を制御するモードである。
【0008】
本開示の他の側面は、方法である。開示の方法は、被施療者に対する動作をするマッサージ部を備えたマッサージ装置のコントローラによって実行される方法であって、マッサージコースのためのシーケンスに設定された一連の動作に従って、前記マッサージ部の動作を制御し、前記シーケンスの実行中に前記シーケンスの進行を中断させる中断操作が前記被施療者によって行われると前記シーケンスの進行を中断して、手動モードに移行し、前記手動モードが終了すると、前記シーケンスの進行を再開することを備え、前記手動モードは、前記マッサージ部の動作を調整する調整操作が前記被施療者によって行われると、前記調整操作に従って、前記マッサージ部の動作を制御するモードである。
【0009】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、マッサージ装置の斜視図である。
図2図2は、マッサージ装置のブロック図である。
図3図3は、第1マッサージ部の概略側面図である。
図4図4は、マッサージコースのシーケンス図である。
図5図5は、マッサージコースシーケンスに設定された動作等を示す図である。
図6図6は、メイン操作装置及びサブ操作装置を示す図である。
図7図7は、マッサージコース実行のための処理を示すフローチャートである。
図8図8は、マッサージコースシーケンスから手動モードへの移行及び復帰を示すフローチャートである。
図9図9は、強制終了されない例とされる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1.マッサージ装置及びコントローラによって実行される方法の概要>
【0012】
(1)実施形態に係るマッサージ装置は、被施療者に対する動作をするマッサージ部と、マッサージコースのための一連の動作が設定されたシーケンスを実行し、前記シーケンスに設定された動作に従って前記マッサージ部の動作を制御するコントローラと、前記シーケンスの実行中に前記シーケンスの進行を中断させる中断操作、及び、前記マッサージ部の動作を調整する調整操作を、前記被施療者が行うことができる第1操作装置と、を備え得る。前記コントローラは、前記中断操作が行われると前記シーケンスの進行を中断させて手動モードに移行し、前記手動モードが終了すると前記シーケンスの進行を再開させるよう構成され得る。前記手動モードは、前記調整操作に従って、前記コントローラが前記マッサージ部の動作を制御するモードであり得る。この場合、被施療者は、シーケンスを中断させた手動モードにおいて、好みに応じた調整操作を行うことができる。
【0013】
(2)実施形態に係るマッサージ装置は、前記コントローラに前記シーケンスの実行を開始させる開始操作を、前記被施療者が行うことができる第2操作装置を更に備えるのが好ましい。前記第2操作装置は、前記第1操作装置とは分離した別体の操作装置であり得る。この場合、第1操作装置と第2操作装置とを使い分けることができる。
【0014】
(3)前記コントローラは、前記シーケンスの進行を中断させて前記手動モードに移行すると、前記シーケンスの進行を中断させる直前における前記マッサージ部の動作の少なくとも一部の動作が、前記手動モードにおいても継続して行われるように、前記マッサージ部を制御するよう構成されているのが好ましい。この場合、シーケンスが中断されても、マッサージ部の動作を継続させることができる。
【0015】
(4)前記コントローラは、前記マッサージ部の動作を、第1調整要素及び第2調整要素において調整可能であるのが好ましい。前記第1調整要素は、前記手動モードにおいて前記調整操作によって調整可能であり得る。前記第2調整要素は、前記手動モードにおいて調整不能であり得る。前記手動モードにおける前記第2調整要素についての動作は、前記シーケンスの進行を中断させる直前における前記マッサージ部の動作が継続して行われるのが好ましい。この場合、調整不能な第2調整要素についての動作は、シーケンスの進行を中断させる直前における前記マッサージ部の動作と同じものになる。
【0016】
(5)前記コントローラは、前記被施療者の身体長手方向における前記マッサージ部の位置を調整可能であるとともに、前記被施療者に施されるマッサージ動作の種類を調整可能であり得る。前記位置は、前記手動モードにおいて前記調整操作によって調整可能であり得る。前記マッサージ動作の前記種類は、前記手動モードにおいて調整不能であり得る。前記手動モードにおける前記マッサージ動作は、前記シーケンスの進行を中断させる直前におけるマッサージ動作と同じ種類のマッサージ動作が継続して行われるのが好ましい。この場合、手動モードにおいて調整不能なマッサージ動作の種類は、シーケンスの進行を中断させる直前における前記マッサージ部の動作の種類と同じものになる。
【0017】
(6)前記コントローラは、更に、前記マッサージ動作の強さを調整可能であり得る。前記強さは、前記手動モードにおいて前記調整操作によって調整可能であり得る。この場合、被施療者は、手動モードにおいてマッサージ動作の強さを調整できる。
【0018】
(7)前記第1操作装置は、前記シーケンスの進行を再開させる再開操作を前記被施療者が行うことができるよう構成され得る。前記コントローラは、前記再開操作が行われた場合、及び、前記手動モードが開始してから所定時間経過した場合の少なくともいずれか一方の場合に、前記手動モードを終了させるよう構成されているのが好ましい。
【0019】
(8)前記コントローラは、前記シーケンスの実行中又は前記手動モードの実行中において、前記シーケンス実行開始からの前記シーケンスの実行時間及び手動モードの実行時間の合計が、所定の制限時間を超えると、前記マッサージ部の動作を強制終了するよう構成され得る。前記強制終了は、実行中の前記シーケンスを終了すること、及び、実行中の前記手動モードと中断している前記シーケンスとを終了すること、のいずれか一方であるのが好ましい。
【0020】
(9)前記コントローラは、前記手動モードにおける前記調整操作に従った前記マッサージ部の動作の調整を、前記手動モード終了後に再開した前記シーケンスに反映させることなく、前記シーケンスの進行を再開させ得る。
【0021】
(10)前記コントローラは、前記手動モードにおける前記調整操作に従った前記マッサージ部の動作の調整を、前記手動モード終了後に再開した前記シーケンスに反映させ得る。
【0022】
(11)実施形態に係る方法は、被施療者に対する動作をするマッサージ部を備えたマッサージ装置のコントローラによって実行される方法であって、マッサージコースのためのシーケンスに設定された一連の動作に従って、前記マッサージ部の動作を制御し、前記シーケンスの実行中に前記シーケンスの進行を中断させる中断操作が前記被施療者によって行われると前記シーケンスの進行を中断して、手動モードに移行し、前記手動モードが終了すると、前記シーケンスの進行を再開することを備え得る。前記手動モードは、前記マッサージ部の動作を調整する調整操作が前記被施療者によって行われると、前記調整操作に従って、前記マッサージ部の動作を制御するモードであり得る。
【0023】
<2.マッサージ装置及びマッサージ装置のコントローラによって実行される方法の例>
【0024】
図1は、マッサージ装置10を示している。マッサージ装置10は、装置本体11を備える。装置本体11は、一例として、椅子型に構成されている。装置本体11は、マッサージ装置10のユーザである被施療者の身体を支持する。装置本体11は、一例として、座部13と、背もたれ15と、フットレスト17と、を備える。座部13は、被施療者の臀部を支持し得る。
【0025】
図1に示す背もたれ15は、座部13の後部にリクライニング可能に設けられている。背もたれ15は、被施療者の背中を支持し得る。背もたれ15は、被施療者の頭部も支持し得る。背もたれ15のリクライニングは、リクライニングアクチュエータ21(図2参照)によって駆動され得る。リクライニングアクチュエータ21は、例えば、電動シリンダ又は空気圧シリンダである。
【0026】
図1に示すフットレスト17は、座部13の前部に上下揺動可能に設けられている。フットレスト17は、被施療者の脚部を支持し得る。フットレスト17の揺動は、揺動アクチュエータ23によって駆動され得る。揺動アクチュエータ23は、例えば、電動シリンダ又は空気圧シリンダである。
【0027】
マッサージ装置10は、被施療者に対する動作をするマッサージ部を備える。例えば、背もたれ15は、その内部に、第1マッサージ部100を備え得る。第1マッサージ部100は、被施療者の背中又は首など、主に、被施療者の上半身に対するマッサージを行う。第1マッサージ部100は、下半身に対するマッサージも行えるよう構成されていてもよい。
【0028】
図3は、第1マッサージ部100の概略構成の一例を示している。第1マッサージ部100は、背もたれ15内部において被施療者1の身体長手方向Yに移動可能に設けられている。図3に示す第1マッサージ部100は、背もたれ15の長手方向に移動自在に設けられている。第1マッサージ部100は、下半身へマッサージ動作を施すため、座部13の範囲へ移動可能であってもよい。
【0029】
図3に示すマッサージ装置10は、第1マッサージ部100の移動のための移動機構160を備える。移動機構160は、例えば、第1マッサージ部100を背もたれ15内で移動させるための直動アクチュエータ162によって構成される。直動アクチュエータ162は、例えば、ボールねじアクチュエータによって構成され、昇降モータ161によって駆動される。第1マッサージ部100は、昇降モータ161の回転によって、身体長手方向Yに移動することができる。第1マッサージ部100は、身体長手方向Yに移動しながら被施療者1にマッサージ動作を施したり、身体長手方向Yにおける任意の位置で停止して被施療者1にマッサージ動作を施したりできる。
【0030】
第1マッサージ部100は、被施療者1へマッサージ動作を作用させる施療子150を備え得る。図3に示す第1マッサージ部100は、施療子150を前後方向Xへ移動自在に設けられている。すなわち、図3に示す第1マッサージ部100は、施療子150を被施療者1に対して進退自在に設けられている。施療子150が方向Xへ移動自在であることで、マッサージ動作の強さが調整自在である。すなわち、施療子150を被施療者1に近づく方向である前方へ移動させると、強いマッサージ動作が得られ、施療子150を被施療者1から離れる方向である後方へ移動させると、弱いマッサージ動作が得られる。
【0031】
施療子150を方向Xへ移動自在とするため、図3に示す第1マッサージ部100は、移動機構160に取り付けられたベースユニット120と、ベースユニット120に支持された進退ユニット130と、を備え得る。ベースユニット120は、移動機構160によって、方向Yへ移動自在に設けられている。進退ユニット130は、ベースユニット120に対して方向Xへ移動自在に設けられている。
【0032】
進退ユニット130は、例えば、ベースユニット120又は進退ユニット130に設けられた強弱調整モータ121によって、方向Xへの移動が駆動される。進退ユニット130は、ベースユニット120と進退ユニット130との間に設けられたエアセルによって、方向Xへの移動が駆動されてもよい。エアセルは、吸排気により膨張収縮するよう構成される。エアセルが膨張すると、進退ユニット130は前方へ移動し、エアセルが収縮すると、進退ユニット130は後方へ移動することができる。
【0033】
第1マッサージ部100は、被施療者1へ施されるマッサージ動作を施療子150に生じさせるマッサージ機構を備える。マッサージ機構は、例えば、揉みモータ131,叩きモータ132(図2参照)の回転を、歯車を有する機械的機構によってマッサージ動作に変換し、マッサージ動作を、アーム140を介して施療子150に伝達する。なお、マッサージ機構は、例えば、エアセルの膨張収縮動作によってマッサージ動作を行うもの、又は、エアセルの膨張収縮動作をマッサージ動作に変換するものであってもよい。なお、図2及び図3では、揉み動作のための揉みモータ131と叩き動作のための叩きモータ132とが設けられているが、一つのモータによって揉み動作と叩き動作が行われてもよい。例えば、モータがある方向に回転したときは揉み動作が行われ、逆回転したときは叩き動作が行われるようにマッサージ機構が構成されていてもよい。
【0034】
マッサージ機構は、例えば、施療子150に揉み動作及び叩き動作を行わせるよう構成される。揉み動作は、例えば、対をなす施療子150が近接離反を繰り返す動作である。叩き動作は、例えば、施療子150が被施療者1に対して対をなす施療150を交互に前後を繰り返す動作である。実施形態に係るマッサージ機構は、揉み動作及び叩き動作の両方を行えるように構成され、揉み動作及び叩き動作のいずれか一方を選択的に行い得る。また、マッサージ機構は、揉み動作をしつつ叩き動作をする揉み叩き動作を行えるように構成されていてもよい。なお、施療子150を被施療者1に当てながら第1マッサージ部100を方向Yへ移動させると、被施療者1へローリングマッサージ動作を施すことができる。また、モータ131、132を動かさず、施療子150を被施療者1に押し付けることで、指圧動作を施すことができる。このように、実施形態に係る第1マッサージ部100は、複数の種類のマッサージ動作を行い得る。
【0035】
図1に示すように、マッサージ装置10は、第1マッサージ部100以外の他のマッサージ部として、第2マッサージ部200を備え得る。第2マッサージ部200は、例えば、エアセル201を備え、エアセル201の膨張収縮動作によってマッサージ動作を被施療者1に施す。エアセル201は、例えば、フットレスト17に配置され、被施療者1の脚部をマッサージする。エアセル201は、座部13又は背もたれ15など、装置本体11の他の箇所に配置されてもよい。
【0036】
図2に示すように、マッサージ装置10は、エアセル201への吸排気のためのエア回路203を備え得る。エア回路203は、ポンプなどの空気圧源、エアを流すためのホース、エアの流れを切り替える電磁弁などを備え得る。
【0037】
図2に示すように、マッサージ装置10は、コントローラ30を備え得る。コントローラ30は、第1マッサージ部100及び第2マッサージ部200の動作を制御し得る。コントローラ30は、背もたれ15のリクライニング及びフットレスト17の揺動も制御し得る。これらの動作の制御のため、コントローラ30は、各種モータ131,132,161,121に接続されている。また、コントローラ30は、他のアクチュエータ21,23及びエア回路203にも接続されている。
【0038】
コントローラ30は、各種センサ40に接続されている。マッサージ装置10は、動作の制御のため、様々なセンサを備え得る。例えば、マッサージ装置10は、方向Yにおける第1マッサージ部100の位置を検出する位置センサを備えることができる。また、マッサージ装置10は、方向Xにおける進退ユニット130の位置を検出する位置センサを備えることができる。また、マッサージ装置10は、被施療者1に対する施療子150の押圧力を検出するセンサを備えることができる。
【0039】
図2に示すように、コントローラ30は、プロセッサ30A及び記憶装置30Bを備えるコンピュータによって構成され得る。プロセッサ30Aは、記憶装置30Bに接続されている。プロセッサ30Aは、記憶装置30Bに記憶されたコンピュータプログラム30Cを読み出して実行し得る。コンピュータプログラム30Cは、マッサージ装置10の制御のための指令を示すプログラムコードを含み得る。
【0040】
記憶装置30Bは、1又は複数のマッサージコースデータ31,32を保存し得る。マッサージコースデータ31,32は、マッサージコースのための一連の動作が設定されたデータである。プロセッサ30Aは、例えば、複数のマッサージコースデータ31,32の中から被施療者1の操作によって選択された一つのマッサージコースデータを記憶装置30Bから読み出して、実行する。
【0041】
マッサージコースデータ31,32それぞれに設定された一連の動作は、マッサージコースのためのシーケンスである。マッサージコースのためのシーケンスは、コントローラ30が、予め設定された複数の動作を、所定の順序で実行するよう構成されている。
【0042】
コントローラ30は、マッサージコースデータ31,32に従って、マッサージコースのためのシーケンスを実行し、シーケンスに設定された動作に従ってマッサージ部100,200等の動作を制御する。
【0043】
図4は、マッサージコースのためのシーケンスの一例を示している。図4は、図2に示す第1マッサージコースデータ31に従ったシーケンスの一例として示されている。図4に示すシーケンスは、第1動作S1、第2動作S2、第3動作S3、・・、第N動作SN(Nは任意の整数)といった複数の動作が所定の順序で並んで構成されている。
【0044】
第1動作S1は、例えば、肩位置検出動作である。肩位置検出動作(ステップS1)は、例えば、図5に示すように、第1マッサージ部100が初期位置から肩位置1Aへ向けて上昇するサブステップS1-1を備え得る。ステップS1-1における初期位置は、例えば、方向Yにおける最下端位置である。ステップS1-1において、施療子150を被施療者1の背中に当てながら上昇すると、施療子150が肩位置1Aに達したときに施療子150が被施療者1から受ける荷重が小さくなる。コントローラ30は、荷重が小さくなったことがセンサで検出されたときのマッサージ部100の位置を肩位置1Aとして検出できる。コントローラ30は、検出された肩位置1Aに基づいて、被施療者1毎に異なる体格及びマッサージ位置(例えば、肩範囲又は腰範囲)を決定できる。
【0045】
肩位置検出動作(ステップS1)は、図5に示すように、検出された肩位置1Aの位置調整操作を受け付けるため、検出された肩位置において揉み動作を、「中」の強さで揉み動作を行うステップS1-2を備え得る。被施療者1は、ステップS1-2の揉み動作中に、検出された肩位置1Aを微調整する操作を行うことができる。
【0046】
第2動作S2は、例えば、肩叩き動作である。肩叩き動作(ステップS2)は、例えば、図5に示すように、「中」の強さで叩き動作しながら肩範囲を往復するサブステップS2-(M-1)や「中」の強さで叩き動作しながら腰上部へ移動するサブステップS2-Mのような複数のサブステップを備え得る。つまり、第2動作S2では、肩範囲を叩きながら上下に複数回往復する動作が行われる。ここで、肩範囲とは、例えば、ステップS1-1で検出された肩位置又はステップS1-2で調整された肩位置を含む、Y方向の所定の範囲である。
【0047】
第3動作S3は、例えば、腰揉み動作である。腰揉み動作(ステップS3)は、例えば、図5に示すように、「中」の強さで揉み動作しながら腰範囲を往復するステップS3-1,S3-3と、「弱」の強さで揉み動作しながら腰範囲を往復するステップS3-2,S3-4を備え得る。つまり、第3動作S3では、腰範囲を揉みながら上下に複数回往復し、往復するたびに揉み強さが変化する動作が行われる。ここで、腰範囲とは、例えば、肩範囲よりも下方の範囲であり、ステップS1-1で検出された肩位置又はステップS1-2で調整された肩位置によって決定される。
【0048】
なお、シーケンスに設定された第1動作S1、第2動作S2、第3動作S3等は、エアセル201の動作を含んでもよい。
【0049】
図2に戻り、実施形態に係るマッサージ装置10は、被施療者1がマッサージ装置10を操作するための操作装置50,60を備え得る。マッサージ装置10は、一例として、メイン操作装置60及びサブ操作装置50を備え得る。メイン操作装置60は、サブ操作装置50とは、分離した別体の操作装置である。以下では、サブ操作装置50を第1操作装置50といい、メイン操作装置60を第2操作装置ということがある。
【0050】
メイン操作装置60及びサブ操作装置50は、コントローラ30に接続されている。操作装置50,60とコントローラ30との接続は有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。
【0051】
図6は、メイン操作装置60及びサブ操作装置50の例を示している。メイン操作装置60は、装置本体61に設けられた各種の操作ボタンを備える。例えば、メイン操作装置60は、複数のマッサージコースの選択ボタン62を備える。マッサージコースには、一例として「全身」「足裏リフレ」「首・肩」「姿勢ストレッチ」「からだ防衛」「からだ活性」といったコース名称が付与されており、選択ボタン62にはこれらの名称が付されている。
【0052】
いずれかの選択ボタン62が被施療者によって選択操作されると、コントローラ30は、選択操作されたボタン62に対応付けられたマッサージコースデータ31,32を読み出し、読み出したマッサージコースデータ31,32に従って、マッサージコースのためのシーケンスの実行を開始する。コントローラ30は、シーケンスに設定された動作にしたがって、マッサージ部100,200等を制御する。なお、ボタン62に対応付けられたマッサージコースデータ31,32には、そのボタン62に付されたコース名称に応じた適切な一連の動作が設定されている。
【0053】
以上のように、メイン操作装置60は、コントローラ30にマッサージコースのシーケンスの実行を開始させる開始操作を、被施療者が行うことができる第2操作装置として構成され得る。
【0054】
また、メイン操作装置60は、マッサージコースの実行開始以外のマッサージ装置10に対するその他の操作を行うためのボタンも備え得る。例えば、メイン操作装置60は、マッサージ装置10の電源をON/OFF操作するための電源ボタン63を備え得る。メイン操作装置60は、マッサージ装置10の動作を緊急停止させるため急停止ボタン64を備え得る。メイン操作装置60は、背もたれ15のリクライニング操作のためのボタン65A,65Bを備え得る。メイン操作装置60は、フットレスト17の操作のためのボタン66A,66Bを備え得る。
【0055】
メイン操作装置60は、被施療者1の上半身に施されるマッサージ動作の実行開始及びその動作の種類を切り替える操作をするためのボタン67Aを備え得る。メイン操作装置60は、被施療者1の下半身に施されるマッサージ動作の実行開始及びその動作の種類を切り替えるためのボタン67Bを備え得る。メイン操作装置60は、被施療者1に施されるローリングマッサージの実行開始及びその範囲を切り替えるためのボタン67Cを備え得る。メイン操作装置60は、エアセル201によって被施療者1に施されるマッサージ動作の実行開始及びその強さを切り替えるためのボタン67Dを備え得る。
【0056】
サブ操作装置50は、装置本体51に設けられた各種の操作ボタンを備える。サブ操作装置50は、メイン操作装置60よりもボタン数が少なく、小型の操作装置である。サブ操作装置50(第1操作装置50)は、メイン操作装置60によって実行開始されたマッサージコースのシーケンスの進行を中断又は再開させる操作(中断操作/再開操作)を被施療者1が行うことができるよう構成されている。また、サブ操作装置50(第1操作装置50)は、マッサージコースのシーケンスの進行の中断中におけるマッサージ部100の動作を調整する操作(調整操作)を被施療者1が行うことができるよう構成されている。
【0057】
サブ操作装置50は、主に、マッサージコースのシーケンスの進行中に操作される。すなわち、サブ操作装置50は、マッサージコースに基づくマッサージ中に操作される。したがって、サブ操作装置50は、マッサージ中に、常時、被施療者1が手で持っていることが想定されている。サブ操作装置50がメイン操作装置60とは別体であることは、マッサージ中における被施療者1による手持ちを容易にする。
【0058】
メイン操作装置60は、手持ち式の操作装置であるが、マッサージ装置10に対する多様な操作が可能であることが求められる。このため、メイン操作装置60は、多機能であり、操作ボタン数が多くなり易い。その結果、メイン操作装置60は大型化する。大型の操作装置は、被施療者1が、常時、手持ちするには適さないことがある。特に、マッサージコースは、一旦実行開始した場合、自動的に一連の動作が進行していくため、マッサージコースが開始されるとマッサージ装置10への各種操作の必要性は低下する。したがって、かかる観点からも、マッサージコースを開始操作させるメイン操作装置60は、マッサージ中の手持ちには適さない。
【0059】
ただし、本実施形態においては、マッサージコース中における被施療者1による操作があり得る。そのため、サブ操作装置50は、マッサージコース中において、被施療者1によって行われ得る操作だけを行えるように構成されている。この結果、サブ操作装置50は、メイン操作装置60に比べて、可能な操作数が少なく、より小型の手持ち式の操作装置として構成され得る。小型のサブ操作装置50は、マッサージ中の手持ちに適する。
【0060】
サブ操作装置50は、進行中のマッサージコースシーケンスを中断させる中断操作を受け付けるための操作部53を備え得る。操作部53は、一例として、操作ボタンとして構成されている。操作部53は、中断したシーケンスを再開させる再開操作も受け付けることができる。操作部53は、マッサージコースシーケンスの進行中に操作された場合、中断操作部として機能し、マッサージコースシーケンスの中断中(後述の手動モードの実行中)に操作された場合、再開操作部として機能する。コントローラ30は、中断操作が行われると、シーケンスの進行を中断させる。コントローラ30は、再開操作が行われると、中断したシーケンスの進行を再開させる。
【0061】
サブ操作装置50は、マッサージ部100の動作を調整する調整操作を被施療者1が行うための操作部55,57A,57Bを備える。操作部55,57A,57Bは、マッサージコースシーケンスの進行が中断されて手動モードが実行されている間において、マッサージ部100の動作の調整操作を受け付けることができる。
【0062】
なお、操作部55,57A,57Bは、マッサージコースシーケンスの中断中においてだけ、操作を有効なものとして受け付けることができる。この場合、操作部55,57A,57Bは、マッサージコースシーケンスが中断されたときの手動モードにおける操作専用になる。また、マッサージコースシーケンスが中断されたときの手動モードにおける調整操作は、メイン操作装置60からは行えず、サブ操作装置50だけから行えるように構成されていてもよい。
【0063】
また、操作部55,57A,57Bは、マッサージコースシーケンスが中断されたき以外の手動モード又はその他の場合においても、操作を有効なものとして受け付けてもよい。
【0064】
操作部55,57A,57Bは、第1マッサージ部100によるマッサージ動作の強さを調整する強弱調整部55を含み得る。強弱調整部55は、一例として、ジョイスティックとして構成されている。ジョイスティックは、レバー55Aを傾ける操作を方向入力として受け付ける機器である。図6に示す強弱調整部55は、レバー55Aを、サブ操作装置50の上下方向59に傾けることができるよう構成されている。一例として、レバー55Aを上に傾けると、コントローラ30は、第1マッサージ部100を前方へ移動させてマッサージ動作を強くする。レバー55Aを下に傾けると、コントローラ30は、第1マッサージ部100を後方へ移動させてマッサージ動作を弱くする。
【0065】
操作部55,57A,57Bは、方向Yにおける、第1マッサージ部100の位置を調整する位置調整部57A,57Bを含み得る。位置調整部57A,57Bは、一例として、第1マッサージ部100を上方へ移動させる操作部57Aと、第1マッサージ部100を下方へ移動させる操作部57Bと、を備え得る。
【0066】
図6に示すメイン操作装置60は、第1マッサージ部100によるマッサージ動作の種類(例えば、揉み動作又は叩き動作)を選択するための操作部を備えない。したがって、一例ではあるが、マッサージコースシーケンスが中断されたときの手動モードにおいては、マッサージ動作の種類を変更する調整操作は行えない。
【0067】
なお、サブ操作装置50は、図6に示す操作部53,55,57A,57B以外の操作部を備えてもよい。例えば、サブ操作装置50は、マッサージ装置10の動作を緊急停止させるため急停止ボタンを備え得る。また、サブ操作装置50は、第1マッサージ部100のマッサージ動作の種類を調整する操作部を備え得る。さらに、サブ操作装置50は、第2マッサージ部200の動作の強弱等を調整する操作部を備え得る。
【0068】
図7は、コントローラ30がマッサージコースのために実行する処理の手順を示している。図7に示す処理は、コントローラ30の記憶装置30Bに記憶されたコンピュータプログラム30Cに従って、プロセッサ30Aによって実行され得る。
【0069】
被施療者1は、メイン操作装置60が備える選択ボタン62のいずれかを選択操作する。選択ボタン62の操作がなされると、コントローラ30は、選択された選択ボタン62に対応するマッサージコースのシーケンスを実行開始する(ステップS71)。コントローラ30は、シーケンスに設定された一連の動作が順次実行されるように、シーケンスを進行させる。コントローラ30は、マッサージコースのシーケンスの実行中において、シーケンス実行開始からの経過時間が、所定の制限時間を経過したかどうかを判断する(ステップS72)。制限時間は、例えば、30分である。制限時間は、被施療者1に対するマッサージが長時間行われることを防止するために設定され得る。制限時間を経過している場合、シーケンスの中途であっても、シーケンスは終了する。
【0070】
また、コントローラ30は、マッサージコースのシーケンスの実行中において、シーケンスの進行を中断させる中断操作がサブ操作装置50からなされたかどうかを判断する(ステップS73)。中断操作があった場合、コントローラ30は、ステップS75以降を実行する。
【0071】
シーケンスの実行中において中断操作がなく、制限時間も超えていない場合、コントローラ30は、シーケンスの進行を順次進める。コントローラ30は、シーケンスに設定された動作が全て実行完了した場合(ステップS74)、シーケンスを完了させる(ステップS74)。これにより、マッサージコースが終了する。コントローラ30は、シーケンスが完了するまでは、シーケンスに設定された動作を順次実行する(ステップS71)。
【0072】
シーケンスの実行中において中断操作があった場合、コントローラ30は、シーケンスを中断させて、手動モードに移行する。コントローラ30は、手動モードが終了すると、シーケンスの進行を再開させる。
【0073】
より具体的には、コントローラ30は、中断操作があった場合、中断時情報を記憶装置30Bに保存し得る(ステップS75)。中断時情報は、中断操作された際のシーケンスのステップ又はサブステップの情報であり、シーケンスの再開のために用いられ得る。
【0074】
コントローラ30は、中断操作があった場合、手動モードに移行し、手動モードを実行する。コントローラ30は、手動モードでマッサージ部を動作制御する(ステップS76)。手動モードでの動作制御については後述される。
【0075】
コントローラ30は、手動モードの実行中において、シーケンス実行開始からの経過時間が、所定の制限時間を経過したかどうかを判断する(ステップS77)。制限時間を経過している場合、手動モードの中途であっても、手動モードは終了し、中断していたシーケンスも再開することなく終了する。
【0076】
コントローラ30は、手動モードの実行中において、手動モードを終了するかどうかを逐次判断する(ステップS78)。手動モードの終了は、例えば、シーケンスの進行を再開させる再開操作がサブ操作装置50からなされた場合、又は、手動モードが開始してから所定時間経過した場合に行われる。所定時間は、例えば、1分である。この場合、1回の手動モードの所要時間は最長1分である。
【0077】
手動モードが終了した場合、コントローラ30は、中断していたシーケンスの進行を再開させる(ステップS79)。
【0078】
図8は、マッサージコースシーケンスの実行モードから手動モードへの移行と、手動モードからマッサージコースシーケンスの実行モードへの復帰のための手順の詳細を示している。
【0079】
コントローラ30は、シーケンス進行中に、サブ操作装置50において中断操作がなされると(ステップS81)、シーケンスの進行を中断する(ステップS82)。コントローラ30は、シーケンスの進行を中断すると、シーケンスの進行の再開に備えて、中断時情報を保存する(ステップS83)。
【0080】
中断時情報は、例えば、シーケンスに設定されたどの動作中に中断操作がされたかを示す中断時点情報(中断ステップ情報)を含み得る。中断時点情報は、例えば、中断操作がなされた時点で実行されていたステップ又はサブステップを示す。例えば、図5に示す第3動作(ステップS3)のサブステップS3-3中において中断操作がなされた場合、中断時点情報として、サブステップS3-3が、記憶装置30Bに保存され得る。
【0081】
中断時情報は、例えば、中断時における、第1マッサージ部100の方向Yにおける位置P1(中断位置情報)を含み得る。中断時情報は、シーケンスの再開時に中断時と同じ動作をするために用いられ得るその他の情報を含み得る。
【0082】
後述のように、シーケンス中断中の手動モードでは、マッサージ部100の位置又は動作等が調整され得るため、手動モードでの調整にかかわらず、シーケンスの再開時において、中断時と同じ位置から動作及び/又は中断時と同じ動作をするには、中断時情報が有用である。
【0083】
中断操作がなされると、コントローラ30は、手動モードの実行を開始する(ステップS84)。手動モードでは、シーケンス中断時における、第1マッサージ部100の方向Yにおける位置P1で、中断直前における第1マッサージ部100の動作が継続して行われ得る。
【0084】
一例として、中断直前において、第1マッサージ部100が、図5に示すサブステップS3-3に従い、強さ「中」での揉み動作を、腰範囲に対して上下動しながら施している場合、中断操作がされると、第1マッサージ部100は、中断操作がされた時点の位置P1において上下動を停止し、その位置P1において、強さ「中」での揉み動作を継続して行う。
【0085】
他の例として、中断直前において、第1マッサージ部100が、図5に示すサブステップS2-Mに従い、強さ「中」での叩き動作をしながら、腰上部へ移動している場合、中断操作がなされると、第1マッサージ部100は、中断操作がされた時点の位置P1において上下動を停止し、その位置P1において強さ「中」での叩き動作を継続して行う。
【0086】
このように、マッサージコースシーケンスから手動モードへ移行した当初のマッサージ部100のマッサージ動作(手動モード開始時動作)は、中断直前におけるマッサージコースシーケンスでの動作(中断直前動作)と同じ種類のマッサージ動作である。したがって、マッサージコースシーケンスが中断されても、マッサージ部100の動作は停止しない。このため、マッサージコースシーケンスが中断されても、マッサージ動作が停止するわけではなく、被施療者1は、連続的にマッサージを受けることができる。
【0087】
なお、コントローラ30は、肩位置検出動作である動作S1の実行中は、中断操作がされても、シーケンスの進行を中断せず、中断操作を無効操作として扱ってもよい。肩位置検出動作で検出された肩位置はマッサージコースにおけるマッサージ部100の位置決めに利用されるため、肩位置検出動作は、中断がされないほうが好ましいからである。
【0088】
コントローラ30は、手動モードの実行中において、サブ操作装置50から調整操作を受け付けることができる(ステップS85)。手動モードにおいて、コントローラ30は、サブ操作装置50の強弱調整部55からマッサージ動作の強さ調整整操作を受け付けたり、サブ操作装置50の位置調整部57A,57Bからマッサージ部100の位置調整操作を受け付けたりする。コントローラ30は、それらの操作に基づいて、マッサージ部100等を制御する。なお、手動モードでは、マッサージ動作の種類を叩き動作から揉み動作に変更したり、揉み動作から叩き動作に変更したりするような、動作の種類の調整はできない。したがって、手動モードでは、中断直前におけるマッサージコースシーケンスでの動作(中断直前動作)と同じ種類のマッサージ動作が継続して行われる。
【0089】
このように、実施形態に係るコントローラ30は、シーケンスの進行を中断させて手動モードに移行すると、シーケンスの進行を中断させる直前におけるマッサージ部の動作の少なくとも一部の動作が、手動モードにおいても継続して行われるように、マッサージ部100を制御するよう構成されている。ここでは、シーケンスの進行を中断させる直前におけるマッサージ部100の動作のうち、マッサージ部100の上下動(方向Yの移動)は手動モードにおいて行われず、マッサージ部100によるマッサージ動作(揉み動作又は叩き動作)は手動モードにおいても継続して行われる。
【0090】
被施療者1は、マッサージコースシーケンスの進行中において、マッサージ部100が行う施療位置とは異なる位置にも現在のマッサージ動作を施してほしいと思うことがある。この場合、被施療者1は、操作部53にて中断操作を行ったのち、操作部57A,57Bにてマッサージ部100の位置調整操作を行うことで、被施療者1が希望する施療位置でマッサージを受けることができる。この場合において、マッサージ動作の種類及びマッサージ強さは、マッサージコースシーケンスにおける中断直前の設定が引き継がれるため、被施療者1は、マッサージ動作の種類又は強さを調整する必要がない。強さは調整されてもよい。
【0091】
また、被施療者は、マッサージコースシーケンスの進行中において、シーケンスに設定されたマッサージ強さよりも強く又は弱くマッサージを行ってほしいと思うことがある。この場合、被施療者1は、操作部53にて中断操作を行ったのち、操作部55にてマッサージ部100の強さ調整を行うことで、被施療者1が希望する強さで、マッサージを受けることができる。この場合において、マッサージ動作の種類及びマッサージ部の方向Yにおける位置は、マッサージコースシーケンスにおける中断直前のものが引き継がれるため、被施療者1は、マッサージ動作の種類又はマッサージ部の位置を調整する必要がない。位置は調整されてもよい。
【0092】
また、手動モードは、一旦終了しても、再度実行可能であるため、被施療者1が希望する内容の手動モードによるマッサージを複数回受けることもできる。
【0093】
さて、手動モードにおける調整について観点を変えて説明すると、実施形態のコントローラ30は、手動モードにおいて、第1調整要素を調整可能であり、第2調整要素を調整不可である。ここでの第1調整要素は、例えば、マッサージ部100の方向Yにおける位置又はマッサージ部100の方向Xにおける位置(マッサージ動作の強さ)である。また、第2調整要素は、例えば、マッサージ動作の種類である。調整不可である第2調整要素についての動作は、シーケンスの進行を中断させる直前におけるマッサージ部100の動作が継続して行われる。
【0094】
なお、調整不可である第2調整要素は、例えば、マッサージ部100の方向Yにおける移動(例えば、ステップS3-3のような腰範囲の往復移動)であってもよい。この場合、調整可能である第1調整要素は、例えば、マッサージ動作の強さ及びマッサージ動作の種類であってもよい。
【0095】
さらに、調整不可である第2調整要素は、例えば、マッサージ動作の強さであってもよい。この場合、調整可能である第1調整要素は、例えば、マッサージ部100の方向Yにおける位置及びマッサージ動作の種類であってもよい。
【0096】
コントローラ30は、マッサージコースシーケンスの進行の再開操作が操作部53においてなされるか、又は、手動モードが開始してから所定時間(例えば、1分間)が経過すると、手動モードを終了する(ステップS86)。
【0097】
コントローラ30は、手動モードを終了すると、マッサージコースシーケンスの進行を再開させるため、記憶装置30Bに保存された中断時情報を読み出す(ステップS87)。例えば、中断時情報が、中断時点情報(中断ステップ情報)及び中断位置情報を含む場合、コントローラ30は、中断位置情報が示す位置へマッサージ部100を移動させ、中断時点情報(中断ステップ情報)が示すステップ又はサブステップからシーケンスを再開する。なお、再開時のステップ又はサブステップは、中断時と同じステップ又はサブステップでもよいし、中断時のステップの次のステップ又は中断時のサブステップの次のサブステップであってもよい。
【0098】
コントローラ30は、手動モードにおいてどのような調整操作がなされても、再開後のマッサージコースシーケンスにおいてその調整内容を反映させる必要はない。すなわち、コントローラ30は手動モードにおける調整操作に従ったマッサージ部100の動作の調整を、手動モード終了後に再開したシーケンスに反映させることなく、シーケンスの進行を再開させ得る。
【0099】
逆に、コントローラ30は、手動モードになされた調整操作を、再開後のマッサージコースシーケンスに反映させてもよい。すなわち、コントローラ30は、手動モードにおける調整操作に従ったマッサージ部100の動作の調整を、手動モード終了後に再開したシーケンスに反映させ得る。例えば、手動モードにおいて、マッサージコースシーケンス中断直前におけるマッサージ動作の強さが「中」である場合に、手動モードにおいて、マッサージ強さを「強」にする調整がなされた場合、コントローラ30は、再開後のマッサージコースにおけるマッサージ動作の強さを「強」にしてもよい。
【0100】
図9は、図7のステップS72又はS77における制限時間経過による強制終了が行われずにシーケンスが終了する例と、強制終了が行われる例と、を示している。ここで、一つのマッサージコースは、例えば、所要時間が15分程度になるように複数の動作を組み合わせて構成されている。一方、制限時間TLは、例えば、シーケンス実行開始から30分に設定される。したがって、マッサージコースシーケンスが中断されることなく進行した場合、一般に、シーケンスの実行中に制限時間TLを超えることはない。
【0101】
図9において、「手動モードなし」は、マッサージコースシーケンスが中断されることなく進行した場合を示している。この場合、シーケンスは、実行開始時点TSから開始され、制限時間TLを超える前の時点T1において終了する。この場合、シーケンスは、制限時間TLを超えないため、シーケンス中途で強制終了されることなく、シーケンスを最後まで完了して終了する。
【0102】
図9において、「手動モードあり/シーケンス通常終了」は、マッサージコースシーケンスが中断され、手動モードが実行されることがあるが、制限時間TLを超えない場合を示している。この場合、シーケンスは、実行開始時点TSから開始され、何度か、手動モードが実行されるが、制限時間TLを超える前の時点T2において終了する。この場合、シーケンスは、制限時間TLを超えないため、シーケンス中途で強制終了されることなく、シーケンスを最後まで完了して終了する。
【0103】
図9において、「手動モードあり/シーケンス強制終了」は、手動モードが数多く実行されたため、制限時間TLを超えた場合を示している。この場合、シーケンスは、その実行中に制限時間TLを超えため、制限時間TLを超えた時点において、シーケンスの中途で強制終了される。
【0104】
図9において、「手動モード強制終了&シーケンス再開せず終了」も、手動モードが数多く実行されたため、制限時間TLを超えた場合を示している。この場合、手動モードの実行中に、制限時間TLを超えため、制限時間TLを超えた時点において、手動モードの中途で手動モードが強制終了される。また、中断しているシーケンスも再開することなく強制終了される。
【0105】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 :被施療者
1A :肩位置
10 :マッサージ装置
11 :装置本体
13 :座部
15 :背もたれ
17 :フットレスト
21 :リクライニングアクチュエータ
23 :揺動アクチュエータ
30 :コントローラ
30A :プロセッサ
30B :記憶装置
30C :コンピュータプログラム
31 :第1マッサージコースデータ
32 :第2マッサージコースデータ
40 :センサ
50 :サブ操作装置(第1操作装置)
51 :装置本体
53 :操作部
55 :操作部
55A :レバー
57A :操作部
57B :操作部
59 :上下方向
60 :メイン操作装置(第2操作装置)
61 :装置本体
62 :選択ボタン
63 :電源ボタン
64 :急停止ボタン
65A :ボタン
65B :ボタン
66A :ボタン
66B :ボタン
67A :ボタン
67B :ボタン
67C :ボタン
67D :ボタン
100 :第1マッサージ部
120 :ベースユニット
121 :モータ
130 :進退ユニット
131 :モータ
132 :モータ
140 :アーム
150 :施療子
160 :移動機構
161 :モータ
162 :直動アクチュエータ
200 :第2マッサージ部
201 :エアセル
203 :エア回路
TL :制限時間
TS :実行開始時点
X :前後方向
Y :身体長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9