(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130081
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】電子機器及び多段基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20230912BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20230912BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H05K1/14 G
H05K3/36 B
H01L23/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034534
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】山田 一成
【テーマコード(参考)】
5E344
【Fターム(参考)】
5E344AA01
5E344AA22
5E344BB03
5E344BB08
5E344CC05
5E344CC11
5E344CC24
5E344CC25
5E344DD03
5E344DD04
5E344EE16
5E344EE17
5E344EE21
5E344EE26
(57)【要約】
【課題】 機能性を損なうことなく隣り合う中間基板間の高い接合強度を確保する。
【解決手段】 トップ基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第1の回路パターンが形成され、ボトム基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第2の回路パターンが形成され、中間基板は両端がそれぞれバンプを介して第1の回路パターンと第2の回路パターンに接続可能な複数の接続用導体を有すると共にトップ基板とボトム基板の間に位置され、複数の中間基板は各一部が対向した状態で位置される対向部として形成され、対向部はメッキ部が設けられた接合部とメッキ部が設けられていない非接合部とを有し、ボトム基板又は中間基板には少なくともトップ基板側に開口され半田が注入される注入溝が形成され、隣り合う中間基板の接合部同士が対向された状態において注入溝に注入された半田がリフローによる加熱時に毛細管現象により接合部間で流動される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップ基板とボトム基板と複数の中間基板とを有する多段基板が内部に配置され、
前記トップ基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第1の回路パターンが形成され、
前記ボトム基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第2の回路パターンが形成され、
前記中間基板は両端がそれぞれバンプを介して前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンに接続可能な複数の接続用導体を有すると共に前記トップ基板と前記ボトム基板の間に位置され、
複数の前記中間基板は各一部が対向した状態で位置される対向部として形成され、
前記対向部はメッキ部が設けられた接合部と前記メッキ部が設けられていない非接合部とを有し、
前記ボトム基板又は前記中間基板には少なくとも前記トップ基板側に開口され半田が注入される注入溝が形成され、
隣り合う前記中間基板の前記接合部同士が対向された状態において前記注入溝に注入された半田がリフローによる加熱時に毛細管現象により前記接合部間で流動される
電子機器。
【請求項2】
前記注入溝は前記ボトム基板に形成されると共に導電部が設けられた接続部と前記導電部が設けられていない非接続部とを有し、
前記注入溝の両側にそれぞれ前記中間基板が位置され前記接合部同士と前記非接合部同士がそれぞれ対向された状態において前記半田が毛細管現象により前記接合部間で流動される
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記接合部と前記非接合部と前記接続部と前記非接続部がそれぞれ複数形成され、
前記接合部と前記非接合部が交互に形成され、
前記接続部と前記非接続部が交互に形成された
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記非接続部の容積が前記接続部の容積より大きくされた
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記注入溝が前記ボトム基板に形成され、
前記対向部の全体が前記接合部として形成され、
前記非接続部は前記中間基板が位置される部分の外側に形成された
請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
複数の前記中間基板が前記ボトム基板の周方向において離隔して位置され、
複数の前記接続用導体が厚み方向からの視認状態において千鳥状に配列され、
前記ボトム基板と前記中間基板の間にはスペーサーとして機能する電子部品が前記接続用導体に非接触の状態で配置され、
前記電子部品が前記中間基板における対角の角部にそれぞれ配置され、
前記ボトム基板の周方向において順に配置された複数の前記電子部品が外側と内側に交互に位置された
請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
複数の前記電子部品のうち最も離隔して配置された二つの前記電子部品が位置決め用電子部品として設けられ、
前記位置決め用電子部品の高さが他の前記電子部品の高さより高くされ、
前記中間基板における前記位置決め用電子部品が配置される部分に前記位置決め用電子部品の一部が挿入される挿入用凹部が形成された
請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
複数の前記中間基板が前記ボトム基板の周方向において離隔して位置され、
複数の前記中間基板は前記トップ基板の外周に沿って塗布される接着剤であるサイドフィルによって前記トップ基板に接着され、
前記トップ基板には外周部に外方に突出され周方向に離隔して位置された複数の堰き止め用突部が設けられ、
複数の前記中間基板は各前記中間基板の隙間がそれぞれ前記堰き止め用突部に覆われた状態で前記トップ基板に接合された
請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記トップ基板が絶縁性を有する基材ベースと前記基材ベース上に形成された前記第1の回路パターンとを有し、
前記基材ベースが原板において複数の繋ぎ目を介して繋がれた部分が前記繋ぎ目の中間部で切断されることにより形成され、
前記堰き止め用突部として前記繋ぎ目が用いられた
請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
複数の前記中間基板が前記ボトム基板の周方向において離隔して位置された状態における四つのコーナーにそれぞれ前記サイドフィルを堰き止める堰き止め用壁部が設けられた
請求項8に記載の電子機器。
【請求項11】
前記中間基板が絶縁性を有する基材と導電性を有する前記接続用導体とを有し、
前記堰き止め用壁部が前記基材と同一の材料によって形成された
請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
複数の前記接続用導体のうち各一部が差動信号回路用の一対の第1の接続線と接地回路用の複数の第2の接続線として用いられ、
複数の前記第2の接続線によって一対の前記第1の接続線が取り囲まれた状態にされ、
前記第1の接続線が隣り合う前記中間基板においてそれぞれ一つずつ設けられ、
前記第2の接続線が隣り合う前記中間基板においてそれぞれ少なくとも一つずつ設けられた
請求項1に記載の電子機器。
【請求項13】
隣り合う前記中間基板の前記接合部同士の間で流動された前記半田が固化された状態において前記第2の接続線として用いられた
請求項12に記載の電子機器。
【請求項14】
トップ基板とボトム基板と複数の中間基板とを有し、
前記トップ基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第1の回路パターンが形成され、
前記ボトム基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第2の回路パターンが形成され、
前記中間基板は両端がそれぞれバンプを介して前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンに接続可能な複数の接続用導体を有すると共に前記トップ基板と前記ボトム基板の間に位置され、
複数の前記中間基板は各一部が対向した状態で位置される対向部として形成され、
前記対向部はメッキ部が設けられた接合部と前記メッキ部が設けられていない非接合部とを有し、
前記ボトム基板又は前記中間基板には少なくとも前記トップ基板側に開口され半田が注入される注入溝が形成され、
隣り合う前記中間基板の前記接合部同士が対向された状態において前記注入溝に注入された半田がリフローによる加熱時に毛細管現象により前記接合部間で流動される
多段基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術はトップ基板とボトム基板と中間基板を有する多段基板及びこれを備えた電子機器についての技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置や携帯電話等の各種の電子機器の内部には制御回路等が形成された回路基板が配置されており、これらの回路基板には複数の基板が厚み方向において接続された多段基板がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような多段基板には、トップ基板とボトム基板の間に全体として枠状に形成された中間基板を実装するスタック実装と称される実装方法が用いられ、スタック実装によりトップ基板とボトム基板の間において中間基板の内側に形成される空間に電子部品が搭載されるものがある。
【0004】
このようなスタック実装が行われる多段基板においては、各基板の両面にそれぞれ回路を形成したり中間基板の内側の空間に電子部品を位置させることにより投影面積を小さくした状態で機能性を高めることが可能であり、電子機器の機能性を高めた上で小型化を図ることができる。
【0005】
スタック実装が行われる多段基板の中間基板はインターポーザ基板と称され、枠状に形成されたタイプの他、短冊状に形成されたタイプがあり、一般には、厚みが2mm程度にされている。
【0006】
中間基板には両端が厚み方向における両面に露出された接続用導体が複数形成されており、所定の接続用導体がトップ基板の第1の回路パターンとボトム基板の第2の回路パターンに半田等により形成されたバンプを介して接合されることにより、第1の回路パターンと第2の回路パターンが接続用導体を介して接続される。
【0007】
ところで、上記のようなスタック実装が行われる多段基板においては、電子機器の落下時等に生じる衝撃に対する強度の向上を図る必要がある。
【0008】
強度の向上を図るためには、枠状に形成されたタイプの中間基板が用いられることが望ましいが、中間基板は平板状の原板の一部が切り取られることにより形成されるため、枠状に形成されたタイプの中間基板が形成される場合には、中間基板の内側の部分が廃棄される部分になってしまう等の不都合がある。従って、1枚の原板から形成される中間基板の数が少なくなってしまい、多段基板の製造コストが高くなってしまう。
【0009】
一方、短冊状に形成されたタイプの複数の中間基板が用いられる場合には、1枚の原板から形成される中間基板の数が多くなるため、多段基板の製造コストの低減を図ることができるが、隣り合う中間基板間に隙間が存在するため、衝撃に対する十分な強度を確保し難い。
【0010】
そこで、短冊状に形成されたタイプの中間基板が用いられる場合に、隣り合う中間基板が接着や半田等によって接合されることにより、多段基板の製造コストの低減を図った上で衝撃に対する強度を高めることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のように、多段基板においては、短冊状に形成された隣り合う中間基板が接着や半田等によって接合されることにより、製造コストの低減を図った上で衝撃に対する高い強度を確保することが可能である。
【0013】
しかしながら、隣り合う中間基板を接着によって接合する場合にリフローを行った後に接着作業を行うと、中間基板の厚み方向における両側にトップ基板とボトム基板が存在するため、接着用のディスペンサーを隣り合う中間基板の隙間に挿入し難く、隙間に十分な量の接着剤を注入することができず隣り合う中間基板間の十分な接合強度を確保することができなくなるおそれがある。
【0014】
また、隣り合う中間基板を接着によって接合する場合にリフローを行う前に接着作業を行うと、接着剤がリフロー時の熱による十分な耐熱性を有する必要があるため、接着剤の種類等によっては隣り合う中間基板間の十分な接合強度を確保することができなくなるおそれがある。
【0015】
一方、隣り合う中間基板を半田によって接合する場合には、中間基板がトップ基板とボトム基板の間に配置された状態においてディスペンサー等によって隣り合う中間基板の隙間に半田が注入されるが、中間基板の厚みが2mm程度と厚いため、隣り合う中間基板間の十分な接合強度を確保するために隣り合う中間基板の隙間に十分な量の半田を注入する必要がある。
【0016】
しかしながら、半田の注入量が多くなると半田がトップ基板と中間基板の間やボトム基板と中間基板の間に流入し接続用導体に付着して短絡(ショート)を発生し機能性を損なうおそれがある。従って、隣り合う中間基板の隙間に注入する半田を一定量に制限することが望ましいが、この場合には隣り合う中間基板の隙間に十分な量の半田が注入されなくなる可能性があり、隣り合う中間基板間の十分な接合強度を確保することができなくなるおそれがある。
【0017】
そこで、本技術電子機器及び多段基板は、機能性を損なうことなく隣り合う中間基板間の高い接合強度を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本技術に係る電子機器は、トップ基板とボトム基板と複数の中間基板とを有する多段基板が内部に配置され、前記トップ基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第1の回路パターンが形成され、前記ボトム基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第2の回路パターンが形成され、前記中間基板は両端がそれぞれバンプを介して前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンに接続可能な複数の接続用導体を有すると共に前記トップ基板と前記ボトム基板の間に位置され、複数の前記中間基板は各一部が対向した状態で位置される対向部として形成され、前記対向部はメッキ部が設けられた接合部と前記メッキ部が設けられていない非接合部とを有し、前記ボトム基板又は前記中間基板には少なくとも前記トップ基板側に開口され半田が注入される注入溝が形成され、隣り合う前記中間基板の前記接合部同士が対向された状態において前記注入溝に注入された半田がリフローによる加熱時に毛細管現象により前記接合部間で流動されるものである。
【0019】
本技術に係る多段基板は、トップ基板とボトム基板と複数の中間基板とを有し、前記トップ基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第1の回路パターンが形成され、前記ボトム基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第2の回路パターンが形成され、前記中間基板は両端がそれぞれバンプを介して前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンに接続可能な複数の接続用導体を有すると共に前記トップ基板と前記ボトム基板の間に位置され、複数の前記中間基板は各一部が対向した状態で位置される対向部として形成され、前記対向部はメッキ部が設けられた接合部と前記メッキ部が設けられていない非接合部とを有し、前記ボトム基板又は前記中間基板には少なくとも前記トップ基板側に開口され半田が注入される注入溝が形成され、隣り合う前記中間基板の前記接合部同士が対向された状態において前記注入溝に注入された半田がリフローによる加熱時に毛細管現象により前記接合部間で流動されるものである。
【0020】
これにより、本技術に係る電子機器及び多段基板においては、注入溝に注入された半田が加熱時に毛細管現象により対向する接合部を伝ってトップ基板とボトム基板の間で流動され、接合部の隙間の全体に半田が充填される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図2乃至
図32と共に本技術の実施の形態を示すものであり、本図は、電子機器の概略分解斜視図である。
【
図6】中間基板の配置状態の一部を示す概略平面図である。
【
図8】隣り合う中間基板とボトム基板の各一部を示す分解斜視図である。
【
図9】隣り合う中間基板がボトム基板上に配置された状態を示す斜視図である。
【
図11】注入溝に半田が注入された状態を示す平面図である。
【
図12】ボトム基板上に二つの中間基板が配置された状態を示す平面図である。
【
図13】注入溝に注入された半田が接合部間で流動される状態を示す断面図である。
【
図14】中間基板の外側に非接合部が形成された例を示す平面図である。
【
図15】中間基板の外側に非接合部が形成された例を示す断面図である。
【
図16】中間基板に注入溝が形成された例を示す平面図である。
【
図17】中間基板に注入溝が形成された例を示す断面図である。
【
図18】中間基板のスペースに電子部品が配置された例を示す平面図である。
【
図19】中間基板のスペースに電子部品が配置された例において電子部品の全体の配置状態を示す平面図である。
【
図20】位置決め用電子部品が配置された状態を示す正面図である。
【
図21】中間基板のスペースに電子部品が配置された例において静荷重が付与されている状態を示す正面図である。
【
図22】トップ基板等にサイドフィルが塗布されている状態を示す図である。
【
図24】繋ぎ目間においてトップ基板等にサイドフィルが塗布された状態を示す図である。
【
図25】中間基板に堰き止め用壁部が設けられた例を示す斜視図である。
【
図26】
図27乃至
図31と共に差動信号回路用の第1の接続線と接地回路用の第2の接続線との構成を示すものであり、本図は、横長の状態で配置された隣り合う中間基板において一つずつの接続用導体が第1の接続線として用いられ少なくとも一つずつの接続用導体が第2の接続線として用いられた例を示す平面図である。
【
図27】横長の状態と縦長の状態で配置された隣り合う中間基板において一つずつの接続用導体が第1の接続線として用いられ少なくとも一つずつの接続用導体が第2の接続線として用いられた例を示す平面図である。
【
図28】横長の状態と縦長の状態で配置された隣り合う中間基板において一つずつの接続用導体が第1の接続線として用いられ少なくとも一つずつの接続用導体が第2の接続線として用いられた別の例を示す平面図である。
【
図29】横長の状態で配置された隣り合う中間基板において少なくとも一つずつの接続用導体が第2の接続線として用いられた例を示す平面図である。
【
図30】横長の状態で配置された隣り合う中間基板において少なくとも一つずつの接続用導体が第2の接続線として用いられた別の例を示す平面図である。
【
図31】横長の状態と縦長の状態で配置された隣り合う中間基板において少なくとも一つずつの接続用導体が第2の接続線として用いられた例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本技術電子機器及び多段基板を実施するための形態を添付図面を参照して説明する。
【0023】
以下に示した実施の形態は、本技術電子機器をインターポーザ基板と称される中間基板を実装するスタック実装によって形成された多段基板が配置された撮像装置に適用したものである。但し、本技術の適用範囲は撮像装置に限られることはない。本技術は内部にこのような多段基板が配置されている他の電子機器、例えば、携帯電話や音響装置等の各種の電子機器に広く適用することができる。
【0024】
多段基板はトップ基板とボトム基板と中間基板を有し中間基板がトップ基板とボトム基板の間に実装された構成にされており、以下の説明にあっては、トップ基板側を上側としボトム基板側を下側として前後上下左右の方向を示す。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本技術の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0025】
<電子機器の概略構成>
先ず、電子機器100の概略構成について説明する(
図1参照)。
【0026】
電子機器(撮像装置)100は外筐101の内外に所要の各部が配置されて構成されている。
【0027】
外筐101はフロントキャビネット102とリアキャビネット103を有している。フロントキャビネット102は、例えば、後方に開口された横長の箱状に形成され、前面部に開口部102aを有している。開口部102aの周辺部分には交換レンズの着脱が可能なマウント部105が取り付けられている。リアキャビネット103は前後方向を向く略平板状に形成され、フロントキャビネット102の後側の開口を閉塞する状態でフロントキャビネット102に取り付けられている。
【0028】
外筐101の内部には基板取付部材として機能するブラケット104が配置されている。ブラケット104には多段基板1が取り付けられている。多段基板1は、例えば、電子機器100の各部を制御する制御基板として機能する。
【0029】
<多段基板の概略構成>
次いで、電子機器100の内部に配置された多段基板1の概略構成について説明する(
図2乃至
図7参照)。
【0030】
多段基板1はトップ基板2とボトム基板3と複数の中間基板4とを有している(
図2及び
図3参照)。トップ基板2とボトム基板3の厚みは中間基板4の厚みより薄くされ、中間基板4の厚みは、例えば、2mm程度にされている。
【0031】
トップ基板2はガラスエポキシやアルミナ等によって形成された矩形状の基材ベース5と基材ベース5の厚み方向における少なくとも一方の面に搭載された複数の電子部品6とを有している。基材ベース5は絶縁性を有し、基材ベース5の厚み方向における一方の面又は両面には図示しない第1の回路パターンが形成されている。電子部品6は第1の回路パターンの各部に半田等によって接合された状態で搭載されている。
【0032】
ボトム基板3は、トップ基板2と同様に、ガラスエポキシやアルミナ等によって形成された矩形状の基材ベース7と基材ベース7の厚み方向における少なくとも一方の面に搭載された複数の電子部品8とを有している。基材ベース7は絶縁性を有し、基材ベース7の厚み方向における一方の面又は両面には図示しない第2の回路パターンが形成されている。電子部品8は第2の回路パターンの各部に半田等によって接合された状態で搭載されている。
【0033】
尚、トップ基板2とボトム基板3は外形状が同じ大きさにされていても異なる大きさにされていてもよく、異なる大きさにされている場合には、例えば、ボトム基板3がトップ基板2より一回り大きくされている。但し、トップ基板2がボトム基板3より一回り大きくされていてもよい。
【0034】
中間基板4は短冊状(長方形状)に形成され、絶縁性を有する基材9と基材9の厚み方向(上下方向)に延びる複数の接続用導体10とを有している(
図4及び
図5参照)。接続用導体10は両端面がそれぞれ第1の接続面10aと第2の接続面10bとして形成され、第1の接続面10aと第2の接続面10bが基材9の厚み方向における両面(上下両面)にそれぞれ露出されている。中間基板4は厚み方向からの視認状態において複数の接続用導体10が千鳥状に配列されている(
図4参照)。接続用導体10はトップ基板2とボトム基板3に形成される各種の回路用の接続線として機能する。
【0035】
複数の中間基板4はボトム基板3の周方向において所定の間隔で離隔して位置され、全体として枠状に配置されている(
図2及び
図3参照)。複数の中間基板4は上面がトップ基板2に接合され下面がボトム基板3に接合されており、トップ基板2とボトム基板3の間に配置されている。
【0036】
中間基板4は、例えば、8枚が設けられ、ボトム基板3の外周寄りの部分に接合されている。複数の中間基板4はボトム基板3とトップ基板2に対して点対称の状態で配置されている。隣り合う二つの中間基板4は外周部(外周面)の一部がそれぞれ対向した状態にされ、対向した各部がそれぞれ対向部11として形成されている(
図6参照)。一つの中間基板4には二つの対向部11が形成されている。
【0037】
中間基板4においては隣り合う中間基板4との対向する部分がボトム基板3に接合された向きや位置によって変わる。従って、中間基板4には、長手方向における両端部(両端面)がそれぞれ二つの対向部11として形成されるタイプと、長手方向における一方の端部とこの端部に連続する部分とがそれぞれ二つの対向部11として形成されるタイプの二つのタイプが存在する。
【0038】
隣り合う中間基板4の隙間には後述するように半田が充填され、隣り合う中間基板4が半田によって接合される。従って、多段基板1においては、全ての中間基板4の隙間に半田が充填され隣り合う全ての中間基板4が接合されて全体として枠状にされるため、多段基板1の落下時等に生じる衝撃に対する強度の向上を図ることができる。
【0039】
尚、多段基板1においては、トップ基板2又はボトム基板3に、例えば、メディアスロット(カードスロット)等の各部品が接続されていてもよい。
【0040】
多段基板1において、中間基板4は接続用導体10の第1の接続面10aがトップ基板2の端子部2aにバンプ30によって接続される(
図7参照)。端子部2aは第1の回路パターンの一部であり、バンプ30は、例えば、半田によって形成されている。また、中間基板4は接続用導体10の第2の接続面10bがボトム基板3の端子部3aにバンプ40によって接続される。端子部3aは第2の回路パターンの一部であり、バンプ40は、例えば、半田によって形成されている。
【0041】
<中間基板同士の接合>
次に、隣り合う中間基板4の接合について説明する(
図8乃至
図17参照)。
【0042】
上記したように、多段基板1においては、全ての中間基板4の隙間に半田が注入されて隣り合う全ての中間基板4が接合されて全体として枠状にされる。尚、隣り合う中間基板4は対向部11同士が接合されるが、以下には、中間基板4の長手方向における端部に形成された対向部11同士が接合される場合を例として説明する。
【0043】
多段基板1においては、隣り合う中間基板4の接合を行うための構造としてボトム基板3に注入溝12が形成されている(
図8乃至
図10参照)。
【0044】
注入溝12はトップ基板2側(上側)に開口され、例えば、交互に形成された複数の接続部13と複数の非接続部14とを有している。尚、注入溝12においては一つの接続部13と複数の非接続部14が形成されていてもよい。
【0045】
接続部13は細幅のスリット状に形成されて幅H1にされ、非接続部14は幅H2が接続部13の幅H1より大きくされ、例えば、幅方向における両側が曲面状に形成されている。接続部13は幅方向において対向する二つの側面13aを有し、接続部13の底面には銅箔等の導電部15が設けられ、導電部15は、例えば、第2の回路パターンの一部として設けられている。導電部15の表面15aは側面13aの上縁より下方に位置されている。非接続部14は対向する二つの周面14aと底面14bとを有し、非接続部14には導電部15が設けられておらず、その分、非接続部14は底面14bが導電部15の表面15aより下方に位置されている。非接続部14はレジストが取り除かれた部分にされている。注入溝12においては非接続部14の容積が接続部13の容積より大きくされている。
【0046】
また、多段基板1においては、隣り合う中間基板4の接合を行うための構造として中間基板4の対向部11に接合部11aと非接合部11bが形成されている。
【0047】
接合部11aは平面状に形成され接合部11aには銅箔等のメッキ部16が設けられている。非接合部11bは側方に開口された凹状に形成され、表面が、例えば、周面14aと同じ大きさ及び形状の曲面状にされている。非接合部11bはレジストが取り除かれた部分にされている。接合部11aと非接合部11bはそれぞれ接続部13と非接続部14と同じ数が交互に形成されている。
【0048】
注入溝12の長手方向と対向部11の長手方向において、接合部11aの長さは接続部13の長さと同じにされ、非接合部11bの長さは非接続部14の長さと同じにされている。
【0049】
隣り合う中間基板4が接合されるときには、注入溝12に半田50が注入され(
図11参照)、隣り合う中間基板4が注入溝12を挟んだ両側に配置され(
図12参照)、中間基板4上にトップ基板2が配置される。注入溝12は非接続部14の容積が接続部13の容積より大きくされているため、非接続部14に対する半田50の注入量が接続部13に対する半田50の注入量より多くされる。
【0050】
隣り合う中間基板4が注入溝12を挟んだ両側に配置された状態においては、非接続部14における周面14aの真上に非接合部11bの表面が位置される。従って、隣り合う中間基板4の間には非接続部14と二つの非接合部11bとによって空間17が形成される。
【0051】
また、隣り合う中間基板4が注入溝12を挟んだ両側に配置された状態においては、メッキ部16が導電部15の真上に位置される。このとき隣り合う中間基板4におけるメッキ部16の表面16a間の距離が接続部13における側面13a間の距離より小さくされており、表面16a間の距離Lは、例えば、0.5mm程度にされている。
【0052】
上記のように注入溝12に半田50が注入され隣り合う中間基板4が注入溝12を挟んだ両側に配置され中間基板4上にトップ基板2が配置された状態において、リフローが行われ半田50が加熱される。
【0053】
加熱された半田50は溶融され、表面16a間の距離Lが小さくされているため溶融された半田50が毛細管現象によって接合部11a間で吸い上げられてトップ基板2まで流動される(
図13参照)。リフローが終了すると接合部11a間でトップ基板2まで流動された半田50が固化され、半田50によって隣り合う中間基板4が接合される。
【0054】
このように隣り合う中間基板4の接合部11aが対向された状態において注入溝12に注入された半田50がリフローによる加熱時に毛細管現象により接合部11a間で流動されて接合部11a間の全体に充填され、充填されて固化された半田50によって隣り合う中間基板4が接合される。
【0055】
これにより、短冊状に形成された複数の中間基板4が用いられても中間基板4の全体として高い接合強度が確保されると共にトップ基板2と中間基板4の高い接合強度及びボトム基板3と中間基板4の高い接合強度も確保される。また、注入溝12に注入された半田50が毛細管現象により吸い上げられて接合部11a間に充填されるため、半田50がトップ基板2と中間基板4の間やボトム基板3と中間基板4の間に入り込むことがなく半田50が接続用導体10に付着することがない。
【0056】
従って、多段基板1の機能性を損なうことなく隣り合う中間基板4間の高い接合強度を確保することができる。
【0057】
また、対向部11はメッキ部16が設けられた接合部11aとメッキ部16が設けられていない非接合部11bとを有し、注入溝12はボトム基板3に形成され導電部15が設けられた接続部13と導電部15が設けられていない非接続部14とを有し、注入溝12の両側にそれぞれ中間基板4が位置され接合部11a同士と非接合部11b同士がそれぞれ対向された状態において半田50が毛細管現象により接合部11a間で流動される。
【0058】
従って、注入溝12に注入された半田50が接合部11a間で流動される状態において非接合部11b間に空間17が存在するため、半田50が接合部11a間で流動されるときに半田50に含まれる空気が空間17に放出され、半田50の内部にボイドが生じ難く、中間基板4同士の良好な接合状態を確保することができる。
【0059】
さらに、接合部11aと非接合部11bと接続部13と非接続部14がそれぞれ複数形成され、接合部11aと非接合部11bが交互に形成され、接続部13と非接続部14が交互に形成されている。
【0060】
従って、接続部13と非接続部14がそれぞれ複数形成されることにより半田50の注入量が多くなり複数の接合部11aと非接合部11bが交互に形成されることにより非接合部11bの両側において複数の接合部11aで隣り合う中間基板4が半田50によって接合されるため、中間基板4同士の一層高い接合強度を確保することができる。
【0061】
さらにまた、非接続部14の容積が接続部13の容積より大きくされている。
【0062】
従って、非接続部14に対する半田50の注入量を増加させることが可能になると共に二つの非接合部11bの間の空間17が大きな空間にされるため、対向するメッキ部16間に十分な量の半田50が流動されると共に半田50に含まれる空気が空間17に十分に放出され、中間基板4同士のより一層高い接合強度を確保することができる。
【0063】
尚、上記には、隣り合う中間基板4間に注入溝12の接続部13と非接続部14が存在する例を示したが、例えば、隣り合う中間基板4間の外側に注入溝12の非接続部14が存在する構成にすることも可能である(
図14及び
図15参照)。
【0064】
注入溝12は一つの接続部13と二つの非接続部14によって構成され、非接続部14が非接続部13の両側に連続して形成されている。この場合には、中間基板4の対向部11が接合部11aのみによって形成される。
【0065】
このような構成においては、リフロー時に、主に、接続部13の両側に位置された非接続部14から半田50が毛細管現象によって接合部11a間で吸い上げられてトップ基板2まで流動される。
【0066】
上記のような非接続部14が中間基板4の外側に存在する構成においては、中間基板4の外側から半田50を注入することが可能であり、ボトム基板3に隣り合う中間基板4を配置した状態においても半田50を容易に注入溝12に注入することができ、多段基板1の製造を容易に行うことができる。
【0067】
また、中間基板4の外側に注入溝12の非接続部14が存在する構成においては、対向部11の全体が接合部11aとして形成されるため、対向部11同士の全体が半田50によって接合され、中間基板4同士の強固な接合状態を確保することができる。
【0068】
また、上記には、ボトム基板3に注入溝12が形成された例を示したが、例えば、注入溝12に代えて中間基板4に注入溝12Aが形成されていてもよい(
図16及び
図17参照)。
【0069】
注入溝12Aは隣り合う中間基板4における隣り合う部分の上端部に形成され、トップ基板2側(上側)及び互いに対向する側に開口する形状に形成されている。このような構成においてはトップ基板2の下面側において注入溝12Aの真上に凹部18が形成されていることが望ましい。
【0070】
このような構成においては、注入溝12Aに半田50が注入され、注入溝12Aに半田50が注入された状態においてトップ基板2が中間基板4上に配置される。
【0071】
リフロー時には注入溝12Aに注入された半田50が毛細管現象によって接合部11a間をボトム基板3まで流動される。このとき半田50が自重によってもボトム基板3へ向けて流動されるため、半田50の高い流動性を確保することができる。また、トップ基板2に凹部18が形成されていることにより、注入溝12Aに注入された半田50が溶融されて流動されるときに凹部18に半田50が留置され、凹部18によって半田50の端子部2aへの流動が防止される。従って、半田50が端子部2aに接することがなく、半田50による短絡の発生を防止することができる。また、上方に開口された注入溝12Aに半田50が注入されるため、半田50が接続用導体10に流動されず短絡の発生を防止することができる。
【0072】
<トップ基板と中間基板とボトム基板の接合>
次いで、トップ基板2と中間基板4とボトム基板3の接合について説明する(
図18乃至
図25参照)。
【0073】
上記したように、多段基板1においては、中間基板4の接続用導体10がトップ基板2の第1の回路パターンとボトム基板3の第2の回路パターンとに接合されるが、これらの接合がバンプ30とバンプ40を介して行われる。接合時にはボトム基板3上に全体として枠状に形成された状態で複数の中間基板4が配置され、中間基板4上にトップ基板2が配置される。このときトップ基板2には中央部が下方に変位するような反りが発生し易くなり、反りが発生すると中間基板4からバンプ30が浮き上がったりバンプ30からトップ基板2が浮き上がってトップ基板2と中間基板3の良好な接合状態を確保することができなくなるおそれがある。
【0074】
そこで、接合時にはトップ基板2の反りの発生を防止するために、トップ基板2の上方から重石が載置され、重石によりトップ基板2における中間基板4の上側の位置に下方への静荷重が付与される。
【0075】
このとき、静荷重が付与されることにより、中間基板4とボトム基板3の間に位置されたバンプ40に過度の潰れが発生する可能性があるため、バンプ40の過度の潰れを防止するために、中間基板4とボトム基板3の間にスペーサーが配置されることがある。
【0076】
しかしながら、スペーサーの位置等によっては中間基板4がボトム基板3に対して傾いてしまい、バンプ40による中間基板4とボトム基板3の良好な接合状態を確保することができなくなるおそれがある。
【0077】
そこで、多段基板1においては、以下のような構成により中間基板4のボトム基板3に対する傾きが防止されている(
図18乃至
図21参照)。
【0078】
上記したように、中間基板4は厚み方向からの視認状態において複数の接続用導体10が千鳥状に配列されており、中間基板4の接続用導体10が千鳥状に配列されることにより、対角の角部に接続用導体10の存在しないスペース4aが形成されている(
図18参照)。
【0079】
接続用導体10が千鳥状に配列された複数の中間基板4は、トップ基板2とボトム基板3に対する接合が行われるときにボトム基板3上にボトム基板3の周方向に離隔して配置され、全体として枠状に配置される(
図19参照)。複数の中間基板4上にはトップ基板2が配置される。
【0080】
このときボトム基板3と中間基板4の間においてスペース4aには接続用導体10に接しない状態でスペーサーとして機能する電子部品19が配置される(
図18及び
図19参照)。電子部品19は第2の回路パターンが形成されていない部分に配置され、回路上の電子部品としては用いられない。従って、電子部品19としては抵抗部品等の安価なタイプが用いられていればよい。電子部品19は、例えば、接着等によってボトム基板3の上面又は中間基板4のスペース4aの少なくとも一方に固定される。
【0081】
このように電子部品19は中間基板4のスペース4aに配置されるが、ボトム基板3の周方向において順に配置された電子部品19が外側と内側に交互に位置されるように全ての中間基板4がボトム基板3上に配置される。具体的には、
図19に示すように、電子部品19がボトム基板3の周方向において順にP1、P2、P3、・・・とされたときに、奇数番号のP1、P3、P5、・・・が中間基板4における外側に配置され、偶数番号のP2、P4、P6、・・・が中間基板4における内側に配置されている。
【0082】
また、複数の中間基板4が全体として枠状に配置された状態において、全体の形状において対角に位置する二つの電子部品19は位置決め用電子部品19Aとして設けられ他の電子部品19より高さが高くされ、位置決め用電子部品19Aが配置されるスペース4aには挿入用凹部20が形成されている(
図20参照)。中間基板4の挿入用凹部20が形成された部分はレジストが取り除かれた部分にされている。
【0083】
挿入用凹部20と位置決め用電子部品19Aはボトム基板3に中間基板4が配置されるときの位置決め部として機能し、位置決め用電子部品19Aの一部が挿入用凹部20に挿入されることにより中間基板4のボトム基板3に対する位置決めが行われる。このとき中間基板4がトップ基板2に接合されている状態においては、トップ基板2のボトム基板3に対する位置決めが行われる。尚、一部が挿入用凹部20に挿入された位置決め用電子部品19Aは上面がトップ基板2に接しない状態にされ、位置決め用電子部品19A以外の他の電子部品19がトップ基板2の下面に接した状態にされる。
【0084】
上記のように、中間基板4のスペース4aに電子部品19が配置されボトム基板3の周方向において順に配置された電子部品19が外側と内側に交互に位置された状態において、複数の中間基板4上にトップ基板2が配置され、中間基板4の接続用導体10がトップ基板2の第1の回路パターンとボトム基板3の第2の回路パターンに接合されるときにトップ基板2の上方から図示しない重石が載置される。重石によりトップ基板2における中間基板4の上側の位置に下方への静荷重Fが付与される(
図21参照)。従って、トップ基板2の反りが防止される。
【0085】
上記のように、中間基板4のスペース4aに電子部品19が配置されボトム基板3の周方向において順に配置された電子部品19が外側と内側に交互に位置されることにより、ボトム基板3の周方向において順に配置された電子部品19間の距離が大きくなると共に複数の中間基板4の全体として電子部品19の配置位置に関する良好なバランスが確保される。
【0086】
従って、トップ基板2にボトム基板3側への静荷重Fが付与された状態において中間基板4のボトム基板3に対する傾きが生じ難く、トップ基板2のボトム基板3に対する反りを防止することができると共にバンプ40の変形が抑制され中間基板4の接続用導体10とボトム基板3の第2の回路パターンとの安定した接続状態を確保することができる。
【0087】
また、複数の電子部品19のうち最も離隔して配置された二つの位置決め用電子部品19Aが設けられ、位置決め用電子部品19Aの高さが他の電子部品19の高さより高くされ、中間基板4における位置決め用電子部品19Aが配置される部分に位置決め用電子部品19Aの一部が挿入される挿入用凹部20が形成されている。
【0088】
これにより、トップ基板2に複数の中間基板4が接合された状態において中間基板4がボトム基板3に接合されるときに、位置決め用電子部品19Aと挿入用凹部20によってボトム基板3に対する中間基板4の位置決めが行われる。従って、ボトム基板3に対するトップ基板2の位置を専用の位置決め手段を設けることなく定めることが可能になり、ボトム基板3に対するトップ基板2の高い位置精度を製造コストの増大を来すことなく確保することができる。
【0089】
尚、接続用導体10が千鳥状に配列された中間基板4が用いられることにより、例えば、上下左右に並んで接続用導体10が形成された正方配置の中間基板を用いる場合に比し、接続用導体10の数を減じることなく対角の角部にスペース4aを形成することができる。
【0090】
<中間基板のトップ基板とボトム基板への接着>
続いて、中間基板4のトップ基板2とボトム基板3への接着について説明する(
図22乃至
図25参照)。
【0091】
上記したように、中間基板4は接続用導体10がトップ基板2の第1の回路パターンとボトム基板3の第2の回路パターンとにそれぞれバンプ30とバンプ40を介して接合される。中間基板4がトップ基板2とボトム基板3に接合された後は、中間基板4のトップ基板2とボトム基板3に対する固定強度を高めるためにボトム基板3と中間基板4の接着及びトップ基板2と中間基板4の接着が行われる(
図22参照)。
【0092】
接着作業はディスペンサー200を用いて行われ、例えば、作業性を高めるためにディスペンサー200が垂直にされた状態で接着作業が行われる。従って、この場合にはボトム基板3と中間基板4とトップ基板2は外形状が順に小さくなるように大きさが定められ、ボトム基板3と中間基板4の間及び中間基板4とトップ基板2の間にそれぞれ段差が形成された状態で接着作業が行われる。
【0093】
このときトップ基板2と複数の中間基板4との接着作業においては、隣り合う中間基板4に隙間が存在する可能性があり、接着剤であるサイドフィル300が隙間に流れ落ちる可能性がある。このとき流れ落ちたサイドフィル300が全体として枠状にされた中間基板4の内側に流動されてボトム基板3に搭載された電子部品8やボトム基板3の第2の回路パターンに付着し、短絡が発生するおそれがある。
【0094】
そこで、サイドフィル300が隙間に流れ落ちることを防止するために、隙間が存在する部分にはサイドフィル300を塗布しないように接着を行うことがある。
【0095】
しかしながら、この場合にはトップ基板2と中間基板4に対するサイドフィル300の接着面積が少なくなり、中間基板4のトップ基板2に対する固定強度が低下するおそれがある。
【0096】
そこで、多段基板1においては、以下のような構成により中間基板4のトップ基板2に対する固定強度の向上が図られている。
【0097】
トップ基板2は原板400の一部が切り取られることにより形成される(
図23参照)。
図23には、原板400においてトップ基板2として形成される部分に梨子地を付して示す。
【0098】
原板400からは複数のトップ基板2を切り取って形成することが可能にされており、トップ基板2は複数の繋ぎ目21において切り取られることにより形成される。繋ぎ目21はトップ基板2の外周部において外方に突出され、周方向に離隔して設けられている。繋ぎ目21は原板400においてトップ基板2として設けられる部分以外とトップ基板2とを繋ぐ部分であり、原板400において繋ぎ目21と繋ぎ目21の間の部分にはスリット400aが形成されている。
【0099】
トップ基板2は繋ぎ目21の中間部21aにおいて切り取られることにより形成され、繋ぎ目21の少なくとも一部が残存した状態で形成される。トップ基板2は複数の繋ぎ目21の各位置が複数の中間基板4の各隙間の位置に一致されている。
【0100】
ボトム基板3と中間基板4とトップ基板2は外形が順に小さくなるように大きさが定められ、ボトム基板3と中間基板4の間及び中間基板4とトップ基板2の間にそれぞれ段差が形成されている(
図24参照)。このようにトップ基板2は複数の繋ぎ目21の各位置が複数の中間基板4の各隙間の位置に一致されているため、各繋ぎ目21がそれぞれ中間基板4の隙間に合わされた状態にされ、各繋ぎ目21によってそれぞれ中間基板4の隙間が覆われた状態にされている。
【0101】
サイドフィル300は中間基板4の上面でトップ基板2の外周において繋ぎ目21間に塗布され、複数の中間基板4がサイドフィル300によってトップ基板2に固定される。サイドフィル300は繋ぎ目21間に塗布されるため、サイドフィル300の一部が繋ぎ目21の両側面に接着される。
【0102】
また、サイドフィル300は繋ぎ目21間に塗布されるため、サイドフィル300が隣り合う中間基板4の隙間に流れ落ちることがない。従って、繋ぎ目21はサイドフィル300の流動を堰き止める堰き止め用突部として機能する。
【0103】
一方、ボトム基板3の上面で中間基板4の外周に塗布されたサイドフィル300は複数の中間基板4の外周における全周に塗布され、全ての中間基板4がボトム基板3に固定される。
【0104】
尚、トップ基板2の外周にサイドフィル300が塗布されたときには全体として枠状にされた複数の中間基板4の四つのコーナーにおいてサイドフィル300が流れ落ちる可能性があるため、この四つのコーナーにそれぞれ堰き止め用壁部22が設けられることが望ましい(
図25参照)。堰き止め用壁部22は、例えば、コーナーの形状に応じて直交する二つの部分によって形成されている。
【0105】
このように四つのコーナーにそれぞれサイドフィル300を堰き止める堰き止め用壁部22が設けられることにより、四つのコーナーにおいて堰き止め用壁部22によってサイドフィル300が堰き止められるため、コーナーからのボトム基板3側への液垂れを防止することができ、中間基板4のトップ基板2に対する適正な接合状態を確保することができる。
【0106】
また、堰き止め用壁部22は中間基板4の基材9と同一の材料によって形成されることが望ましく、これにより堰き止め用壁部22を基材9の加工工程において形成することが可能になり、製造コストの低減を図った上でコーナーからのボトム基板3側へのサイドフィル300の液垂れを防止することができる。
【0107】
尚、多段基板1においては、ボトム基板3のコーナーにもボトム基板3の外周に塗布されるサイドフィル300を堰き止めるための堰き止め用壁部が設けられていてもよい。この場合には堰き止め用壁部がボトム基板3の基材ベース7と同一の材料によって形成されることが望ましい。
【0108】
上記したように、トップ基板2には外周部に外方に突出され周方向に離隔して位置された複数の堰き止め用突部が設けられ、複数の中間基板4は各中間基板4の隙間がそれぞれ堰き止め用突部に覆われた状態でトップ基板2に接合されている。
【0109】
従って、中間基板4の隙間が堰き止め用突部によって覆われるため、トップ基板2と複数の中間基板4をサイドフィル300によって接合するときにサイドフィル300のボトム基板3側への液垂れを防止することができる。また、サイドフィル300が堰き止め用突部に接合されるため、中間基板4のトップ基板2に対する適正な接合状態を確保した上で高い接合強度を確保することができる。
【0110】
また、トップ基板2の基材ベース5が原板400において複数の繋ぎ目21を介して繋がれた部分を繋ぎ目21の中間部21aで切断することにより形成され、堰き止め用突部として繋ぎ目21が用いられている。
【0111】
従って、専用の工程によって堰き止め用突部を形成する必要がなく、製造コストの低減を図った上で中間基板4のトップ基板2に対する適正な接合状態を確保することができると共に高い接合強度を確保することができる。
【0112】
<回路用の接続線と中間基板の関係>
次に、回路用の接続線して機能する接続用導体10と中間基板4との関係について説明する(
図26乃至
図31参照)。
【0113】
多段基板1においては、上記したように、複数の中間基板4が用いられており、中間基板4には複数の接続用導体10が形成されている。接続用導体10はトップ基板2とボトム基板3に形成される各種の回路用の接続線として機能する。
【0114】
多段基板1には高速の信号回路として差動信号回路が形成されるが、差動信号回路は高速の信号回路であるため中間基板4の接続用導体10を介して配線する場合にはインピーダンスの管理とノイズ対策が必要である。特に、中間基板4の厚みが2mm程度と厚いためノイズが発生し易く、十分なノイズ対策を施す必要がある。
【0115】
従って、中間基板4においては差動信号回路用のペアの接続線を囲む状態で接地回路用の複数の接続線が形成され、差動信号回路用の接続線を接地回路用の複数の接続線によって取り囲むことによりノイズの発生を抑制するようにしている。
【0116】
しかしながら、中間基板4における接続用導体10の数と接地回路の接続線として用いる接続用導体10の数との関係によっては、接続線として使用されない接続用導体10が生じる可能性があり、接続線として使用されない接続用導体10の数が多いと、差動信号回路を効率的に形成することができなくなってしまう。
【0117】
そこで、多段基板1においては、接続用導体10が以下のような手段により効率的に使用される構成にされている。
【0118】
中間基板4においては、並んで位置された二つの接続用導体10が差動信号回路用の一対の信号(ペア信号)である第1の接続線10Xとして用いられ、第1の接続線10Xを取り囲んで位置された、例えば、八つの接続用導体10が接地回路用の第2の接続線10Yとして用いられている(
図26参照)。接地回路用の第2の接続線10Yは一部が共用されている。尚、
図26以降の各図には、理解を容易にするために、第1の接続線10Xを黒丸で示し、二つの第1の接続線10Xを取り囲む第2の接続線10Yを仮想線によって結んだ状態で示している。
【0119】
また、中間基板4においては、隣り合う中間基板4において並んで位置された二つの接続用導体10がそれぞれ第1の接続線10Xとして用いられている。従って、隣り合う中間基板4の一つずつの接続用導体10がそれぞれ一方の第1の接続線10Xと他方の第1の接続線10Xとして用いられている。このような構成において、隣り合う中間基板4の、例えば、三つずつの接続用導体10がそれぞれ第2の接続線10Yとして用いられている。このとき第2の接続線10Yの数が不足する場合があるため、このような場合には隣り合う中間基板4において対向する接合部11aの間で毛細管現象により流動されて固化された半田50が第2の接続線10Yとして用いられている。接合部11aの間で流動されて固化された半田50はトップ基板2の第1の回路パターンとボトム基板3の第2の回路パターンとに接続されており、これらの第1の回路パターンと第2の回路パターンが接地回路に接続されている。
【0120】
このように中間基板4においては、接合部11aの間で流動されて固化された半田50によって、不足する第2の接続線10Yが補われている。
【0121】
上記のような隣り合う中間基板4の接続用導体10がそれぞれ第1の接続線10Xとして用いられ隣り合う中間基板4の各接続用導体10がそれぞれ第2の接続線10Yとして用いられた構成には、以下のような各種の態様がある(
図27及び
図28参照)。尚、以下の各態様においても、第2の接続線10Yの数が不足する場合には、上記と同様に、接合部11aの間で毛細管現象により流動されて固化された半田50が第2の接続線10Yとして用いられる。
【0122】
第1の態様として、横長の状態で配置された中間基板4と縦長の状態で配置された中間基板4とにおいて、一つずつの接続用導体10が第1の接続線10Xとして用いられると共に少なくとも一つずつの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられる態様がある(
図28参照)。この場合には、例えば、それぞれ隣り合う中間基板4において三つずつの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられ、全ての第2の接続線10Yを結んだ形状が横長の形状に形成されている。
【0123】
第2の態様として、横長の状態で配置された中間基板4と縦長の状態で配置された中間基板4とにおいて、一つずつの接続用導体10が第1の接続線10Xとして用いられると共に少なくとも一つずつの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられる態様がある(
図27参照)。この場合には、例えば、それぞれ隣り合う中間基板4において三つずつの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられ、全ての第2の接続線10Yを結んだ形状が縦長の形状に形成されている。
【0124】
上記したように、多段基板1においては、一対の第1の接続線10Xが隣り合う二つの中間基板4においてそれぞれ一つずつ設けられ、複数の第2の接続線10Yが隣り合う二つの中間基板4においてそれぞれ少なくとも一つずつ設けられている。
【0125】
従って、隣り合う中間基板4の接続用導体10が第1の接続線10Xと第2の接続線10Yとしてそれぞれ用いられるため、接続用導体10を有効に活用することが可能になり差動信号回路の効率的な配線を行うことができる。
【0126】
また、効率的な配線を行うことにより不使用の接続用導体10を減らすことが可能になり、その分、中間基板4の数を減らしたり中間基板4の大きさを小さくすることが可能であり、多段基板1の小型化を図ることができる。
【0127】
また、二つの中間基板4の接合部11a同士の間で流動された半田50が固化された状態において第2の接続線10Yとして用いられている。
【0128】
従って、接合部11a同士の間で流動された半田50が差動信号回路用の第2の接続線10Yとして用いられるため、半田50を有効に活用することが可能になり差動信号回路の一層効率的な配線を行うことができる。
【0129】
尚、多段基板1においては、一つの中間基板4の接続用導体10が第1の接続線10Xとして用いられ隣り合う中間基板4の各接続用導体10がそれぞれ第2の接続線10Yとして用いられた構成にすることも可能である(
図29乃至
図31参照)。
【0130】
例えば、それぞれ横長の状態で配置された隣り合う中間基板4において、一方の中間基板4の接続用導体10が第1の接続線10Xとして用いられ、隣り合う中間基板4の少なくとも一つずつの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられてもよい(
図29及び
図30参照)。この場合には、例えば、一方の中間基板4において五つの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられると共に他方の中間基板4において三つの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられる構成にされてもよく(
図29参照)、一方の中間基板4において七つの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられると共に他方の中間基板4において一つの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられる構成にされてもよい(
図30参照)。
【0131】
また、例えば、横長の状態で配置された中間基板4と縦長の状態で配置された中間基板4とにおいて、一方の中間基板4の接続用導体10が第1の接続線10Xとして用いられ、隣り合う中間基板4の少なくとも一つずつの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられてもよい(
図31参照)。この場合には、例えば、一方の中間基板4において五つの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられると共に他方の中間基板4において三つの接続用導体10が第2の接続線10Yとして用いられる。
【0132】
<電子機器の一実施形態>
以下に、本技術電子機器として適用される撮像装置の一実施形態の構成例について説明する(
図32参照)。
【0133】
電子機器(撮像装置)100には、例えば、撮像機能を担うカメラブロック90を有する交換レンズが取り付けられる。尚、電子機器100がレンズ鏡筒を有する場合には、電子機器100にカメラブロック90が設けられる。
【0134】
電子機器100は、撮影された画像信号のアナログ-デジタル変換等の信号処理を行うカメラ信号処理部91と、画像信号の記録再生処理を行う画像処理部92とを有している。また、電子機器100は、撮影された画像等を表示する表示部93と、メモリー99への画像信号の書込及び読出を行うR/W(リーダ/ライタ)94と、電子機器100の全体を制御するCPU(Central Processing Unit)95と、カメラブロック90に配置されたレンズの駆動を制御するレンズ駆動制御部96と、ユーザーによって所要の操作が行われる各種のスイッチ等の操作部97とを有している。
【0135】
電子機器100には、カメラブロック90によって取り込まれた光学像を電気的信号に変換するCCDやCMOS等の撮像素子98が設けられている。
【0136】
カメラ信号処理部91は、撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の各種の信号処理を行う。
【0137】
画像処理部92は、所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理等を行う。
【0138】
表示部93はユーザーの操作部97に対する操作状態や撮影した画像等の各種のデータを表示する機能を有している。尚、電子機器100においては、表示部93が設けられていなくてもよく、撮影された画像データが他の表示装置に送出されて画像が表示されるように構成されていてもよい。
【0139】
R/W94は、画像処理部92によって符号化された画像データのメモリー99への書込及びメモリー99に記録された画像データの読出を行う。
【0140】
CPU95は、電子機器100に設けられた各回路ブロックを制御する制御処理部として機能し、操作部97からの指示入力信号等に基づいて各回路ブロックを制御する。
【0141】
レンズ駆動制御部96は、CPU95からの制御信号に基づいてレンズを移動させる駆動源を制御する。
【0142】
操作部97はユーザーによる操作に応じた指示入力信号をCPU95に対して出力する。
【0143】
メモリー99は、例えば、R/W94に接続されたスロットに対して着脱可能な半導体メモリー又は電子機器100の内部に予め組み込まれている半導体メモリーである。
【0144】
以下に、電子機器100における動作を説明する。
【0145】
撮影の待機状態では、CPU95による制御の下で、撮影された画像信号がカメラ信号処理部91を介して表示部93に出力され、カメラスルー画像として表示される。また、操作部97からの指示入力信号が入力されると、CPU95がレンズ駆動制御部96に制御信号を出力し、レンズ駆動制御部96の制御に基づいてレンズが移動される。
【0146】
操作部97からの指示入力信号により撮影動作が行われると、撮影された画像信号がカメラ信号処理部91から画像処理部92に出力されて圧縮符号化処理され、所定のデータフォーマットのデジタルデータに変換される。変換されたデータはR/W94に出力され、メモリー99に書き込まれる。
【0147】
メモリー99に記録された画像データを再生する場合には、操作部97に対する操作に応じて、R/W94によってメモリー99から所定の画像データが読み出され、画像処理部92によって伸張復号化処理が行われた後に、再生画像信号が表示部93に出力されて再生画像が表示される。
【0148】
尚、本技術において、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理から、カメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理、R/W94によるメモリー99への画像信号の書込処理までの一連の処理の一部のみ、または全てを含む処理のことを言う。
【0149】
即ち、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理のみを指してもよく、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理までを指してもよい、また、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理を経て、画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよい。さらに、「撮像」とは、撮像素子98による取り込まれた光を電気信号に変換する光電変換処理からカメラ信号処理部91による撮像素子98からの出力信号に対するデジタル信号への変換、ノイズ除去、画質補正、輝度・色差信号への変換等の処理、及び画像処理部92による所定の画像データフォーマットに基づく画像信号の圧縮符号化・伸張復号化処理や解像度等のデータ仕様の変換処理までを指してもよく、R/W94によるメモリー99への画像信号の書込処理までを指してもよい。
【0150】
上記の処理において各処理の順番は適宜入れ替わってもよい。
【0151】
また、本技術において、カメラブロック90及び電子機器100は、上記の処理を行う撮像素子98、カメラ信号処理部91、画像処理部92、R/W94の一部のみまたは全てを含むように構成されていてもよい。
【0152】
さらに、カメラブロック90が撮像素子98、カメラ信号処理部91、画像処理部92、R/W94のうち一部を含んで構成されていてもよい。
【0153】
<本技術>
本技術は、以下のような構成にすることもできる。
【0154】
(1)
トップ基板とボトム基板と複数の中間基板とを有する多段基板が内部に配置され、
前記トップ基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第1の回路パターンが形成され、
前記ボトム基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第2の回路パターンが形成され、
前記中間基板は両端がそれぞれバンプを介して前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンに接続可能な複数の接続用導体を有すると共に前記トップ基板と前記ボトム基板の間に位置され、
複数の前記中間基板は各一部が対向した状態で位置される対向部として形成され、
前記対向部はメッキ部が設けられた接合部と前記メッキ部が設けられていない非接合部とを有し、
前記ボトム基板又は前記中間基板には少なくとも前記トップ基板側に開口され半田が注入される注入溝が形成され、
隣り合う前記中間基板の前記接合部同士が対向された状態において前記注入溝に注入された半田がリフローによる加熱時に毛細管現象により前記接合部間で流動される
電子機器。
【0155】
(2)
前記注入溝は前記ボトム基板に形成されると共に導電部が設けられた接続部と前記導電部が設けられていない非接続部とを有し、
前記注入溝の両側にそれぞれ前記中間基板が位置され前記接合部同士と前記非接合部同士がそれぞれ対向された状態において前記半田が毛細管現象により前記接合部間で流動される
前記(1)に記載の電子機器。
【0156】
(3)
前記接合部と前記非接合部と前記接続部と前記非接続部がそれぞれ複数形成され、
前記接合部と前記非接合部が交互に形成され、
前記接続部と前記非接続部が交互に形成された
前記(2)に記載の電子機器。
【0157】
(4)
前記非接続部の容積が前記接続部の容積より大きくされた
前記(2)又は前記(3)の何れかに記載の電子機器。
【0158】
(5)
前記注入溝が前記ボトム基板に形成され、
前記対向部の全体が前記接合部として形成され、
前記非接続部は前記中間基板が位置される部分の外側に形成された
前記(2)から前記(4)の何れかに記載の電子機器。
【0159】
(6)
複数の前記中間基板が前記ボトム基板の周方向において離隔して位置され、
前記複数の接続用導体が厚み方向からの視認状態において千鳥状に配列され、
前記ボトム基板と前記中間基板の間にはスペーサーとして機能する電子部品が前記接続用導体に非接触の状態で配置され、
前記電子部品が前記中間基板における対角の角部にそれぞれ配置され、
前記ボトム基板の周方向において順に配置された複数の前記電子部品が外側と内側に交互に位置された
前記(1)から前記(5)の何れかに記載の電子機器。
【0160】
(7)
複数の前記電子部品のうち最も離隔して配置された二つの前記電子部品が位置決め用電子部品として設けられ、
前記位置決め用電子部品の高さが他の前記電子部品の高さより高くされ、
前記中間基板における前記位置決め用電子部品が配置される部分に前記位置決め用電子部品の一部が挿入される挿入用凹部が形成された
前記(6)に記載の電子機器。
【0161】
(8)
複数の前記中間基板が前記ボトム基板の周方向において離隔して位置され、
前記複数の中間基板は前記トップ基板の外周に沿って塗布される接着剤であるサイドフィルによって前記トップ基板に接着され、
前記トップ基板には外周部に外方に突出され周方向に離隔して位置された複数の堰き止め用突部が設けられ、
複数の前記中間基板は各前記中間基板の隙間がそれぞれ前記堰き止め用突部に覆われた状態で前記トップ基板に接合された
前記(1)から前記(7)の何れかに記載の電子機器。
【0162】
(9)
前記トップ基板が絶縁性を有する基材ベースと前記基材ベース上に形成された前記第1の回路パターンとを有し、
前記基材ベースが原板において複数の繋ぎ目を介して繋がれた部分が前記繋ぎ目の中間部で切断されることにより形成され、
前記堰き止め用突部として前記繋ぎ目が用いられた
前記(8)に記載の電子機器。
【0163】
(10)
複数の前記中間基板が前記ボトム基板の周方向において離隔して位置された状態における四つのコーナーにそれぞれ前記サイドフィルを堰き止める堰き止め用壁部が設けられた
前記(8)又は前記(9)に記載の電子機器。
【0164】
(11)
前記中間基板が絶縁性を有する基材と導電性を有する前記接続用導体とを有し、
前記堰き止め用壁部が前記基材と同一の材料によって形成された
前記(10)に記載の電子機器。
【0165】
(12)
複数の前記接続用導体のうち各一部が差動信号回路用の一対の第1の接続線と接地回路用の複数の第2の接続線として用いられ、
複数の前記第2の接続線によって一対の前記第1の接続線が取り囲まれた状態にされ、
前記第1の接続線が隣り合う前記中間基板においてそれぞれ一つずつ設けられ、
前記第2の接続線が隣り合う前記中間基板においてそれぞれ少なくとも一つずつ設けられた
前記(1)から前記(11)の何れかに記載の電子機器。
【0166】
(13)
隣り合う前記中間基板の前記接合部同士の間で流動された前記半田が固化された状態において前記第2の接続線として用いられた
前記(12)に記載の電子機器。
【0167】
(14)
トップ基板とボトム基板と複数の中間基板とを有し、
前記トップ基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第1の回路パターンが形成され、
前記ボトム基板には厚み方向における少なくとも一方の面に第2の回路パターンが形成され、
前記中間基板は両端がそれぞれバンプを介して前記第1の回路パターンと前記第2の回路パターンに接続可能な複数の接続用導体を有すると共に前記トップ基板と前記ボトム基板の間に位置され、
複数の前記中間基板は各一部が対向した状態で位置される対向部として形成され、
前記対向部はメッキ部が設けられた接合部と前記メッキ部が設けられていない非接合部とを有し、
前記ボトム基板又は前記中間基板には少なくとも前記トップ基板側に開口され半田が注入される注入溝が形成され、
隣り合う前記中間基板の前記接合部同士が対向された状態において前記注入溝に注入された半田がリフローによる加熱時に毛細管現象により前記接合部間で流動される
多段基板。
【符号の説明】
【0168】
100 電子機器
1 多段基板
2 トップ基板
3 ボトム基板
4 中間基板
5 基材ベース
7 基材ベース
9 基材
10 接続用導体
11 対向部
11a 接合部
11b 非接合部
30 バンプ
40 バンプ
50 半田
12 注入溝
13 接続部
14 非接続部
15 導電部
16 メッキ部
17 空間
12A 注入溝
18 凹部
19 電子部品
19A 位置決め用電子部品
20 挿入用凹部
300 サイドフィル
400 原板
21 繋ぎ目(堰き止め用突部)
22 堰き止め用壁部
10X 第1の接続線
10Y 第2の接続線