(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130089
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20230912BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230912BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/01 451
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034550
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】掛井 宏一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056EB06
2C056EB36
2C056JA04
2C056JA13
2C056JC06
2C056JC13
(57)【要約】
【課題】廃インクタンクがケースに収容の有無の検出精度を向上させる。
【解決手段】プリンタ10の廃インク機構40は、廃インク流路42と、廃インクを収集する廃インクタンク43と、廃インクタンク43が収容されるケース41と、廃インクタンク43をケース41に収容するとき、第1の位置P11と第2の位置P12との間で変位する変位部材44を備える。変位部材44は、第1の位置P11のとき、廃インク流路42の流出口62の真下の位置に配置されるインク受け部73と、変位部材44が第1の位置P11と第2の位置P12の間を移動しているとき、インク受け部73よりも先に廃インクタンク43に当接する当接部75と、変位部材44の変位に応じて位置が変位する被検出部74を有する。センサ45は、被検出部74の位置を検出する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するインクヘッドと、
前記インクヘッドからインクを排出させる動作を行うクリーニング機構と、
前記クリーニング機構によって排出されたインクである廃インクを収集する廃インク機構と、
制御装置と、
を備え、
前記廃インク機構は、
前記クリーニング機構で排出された前記廃インクが流入する流入口と、前記廃インクが流出する流出口とを有する廃インク流路と、
前記廃インク流路の前記流出口から排出される前記廃インクを収集する廃インクタンクと、
前記廃インクタンクが収容されるケースと、
前記ケース内に移動可能に設けられ、前記廃インクタンクが前記ケースに収容されていないときに第1の位置に変位し、前記廃インクタンクが前記ケースに収容されているときに第2の位置に変位する変位部材と、
前記変位部材の位置を検出するセンサと、
を備え、
前記変位部材は、
前記変位部材が前記第1の位置のときに、前記廃インク流路の前記流出口の真下の位置に配置されるインク受け部と、
前記インク受け部と一体的に設けられ、前記変位部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動しているとき、前記インク受け部よりも先に前記廃インクタンクに当接する当接部と、
前記インク受け部と一体的に設けられ、前記変位部材が前記第1の位置のときに、第1の検出位置に配置され、前記変位部材が前記第2の位置のときに、第2の検出位置に配置される被検出部と、
を有し、
前記センサは、前記廃インクタンクが前記ケースに収容されているときに、前記インク受け部よりも上方に配置され、かつ、前記被検出部の位置を検出するように構成され、
前記制御装置は、前記被検出部が前記第2の検出位置にあるときに、前記ケースに前記廃インクタンクが収容されていると判定するように構成された、インクジェットプリンタ。
【請求項2】
前記当接部は、前記変位部材が前記第1の位置と前記第2の位置の間を移動しているとき、前記インク受け部よりも下方、かつ、前記廃インクタンクにおける前記ケースへの収容開始側に突出して配置されている、請求項1に記載されたインクジェットプリンタ。
【請求項3】
前記変位部材は、前記インク受け部と前記当接部との間に介設された接続部を有し、
前記当接部は、前記変位部材が前記第1の位置に配置されているときに、前記接続部よりも、前記廃インクタンクにおける前記ケースへの収容開始側に突出して配置されている、請求項1または2に記載されたインクジェットプリンタ。
【請求項4】
前記廃インクタンクには、上方に開口した収集口が形成され、
前記廃インクタンクは、前記廃インク流路の少なくとも一部が前記収集口に挿入されて、前記ケースに収容されるように構成されている、請求項1から3までの何れか1つに記載されたインクジェットプリンタ。
【請求項5】
前記ケースには、前記変位部材が移動しているときに、前記変位部材が通過可能な通過口が形成されている、請求項1から4までの何れか1つに記載されたインクジェットプリンタ。
【請求項6】
前記変位部材は、前記ケースに対して前記変位部材を揺動可能に構成する揺動軸を有し、前記揺動軸を支軸に揺動して、前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動可能に構成された、請求項1から5までの何れか1つに記載されたインクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被印刷物に向かってインクを吐出するインクヘッドを備えたインクジェットプリンタが知られている。インクジェットプリンタでは、ノズルからインクを安定的に吐出するため、印刷の途中または印刷以外のときに、ノズルからインクを吐出したりノズル内のインクを吸引したりするクリーニング動作が定期的に行われている。この動作によってノズル内の粘度が高くなったインクを排出することができ、ノズルの目詰まりを解消および抑制することができる。クリーニング動作では、印刷に使用されない廃インクが排出される。
【0003】
このようなクリーニング動作を行うインクジェットプリンタに関する先行技術文献として、特許文献1が挙げられる。例えば、特許文献1には、廃インクを収集する廃インク機構が開示されている。廃インク機構は、廃インクが流れる廃インク経路と、廃インクを収集する廃インクタンクと、廃インクタンクが収容されるケースと、ケース内に配置され、所定の回転軸を支軸として揺動可能なスイング部材と、を備えている。
【0004】
スイング部材は、廃インクタンクがケースに収容されていない状態(ここでは、廃インクタンクがケースの外に配置されている状態)において、廃インク経路の流出口の直下に配置され、廃インク経路から滴れ落ちる廃インクを受けるインク受け部を有している。インク受け部は、廃インクタンクがケースに収容された場合には、廃インク流路の流出口の直下から外れるように、ケースに対して揺動可能に設けられている。スイング部材には、廃インクタンクがケースに収容されたか否かをセンサが検知するための被検知部が設けられている。廃インクタンクをケースに収容しようとするとき、廃インクタンクがインク受け部を押すことで、スイング部材が揺動する。スイング部材の揺動により、被検出部が予め定められた検出位置まで変位すると、センサが被検出部の有無を検出できる状態となり、廃インクタンクがケースに収容されていることが判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたインクジェットプリンタでは、被検出部が検出位置まで変位することで、廃インクタンクがケースに収容されたと判定される。スイング部材は、廃インクタンクがケースに収容されていない場合には、廃インク流路の流出口の直下に位置するように配置されており、被検出部は、廃インク流路の流出口の近傍や、当該流出口よりも上方で揺動可能に構成されている。廃インク流路の流出口の上方は、流出口の下方と比べて上下方向のスペースが狭いため、被検出部の移動量に制限がある。そのため、被検出部の移動量を大きく設定することができなかった。よって、被検出部の僅かな移動量で、廃インクタンクの有無をセンサによって検出しなければならなかった。その結果、廃インクタンクがケースに収容されていると判断される範囲に、被検出部が移動していないにも関わらず、移動していると判断される場合があった。そこで、本願出願人は、廃インクタンクがケースに収容されているか否かを検出する精度を上げたいと考えている。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、廃インクタンクがケースに収容されているか否かの検出精度を向上させることが可能なインクジェットプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るインクジェットプリンタは、インクを吐出するインクヘッドと、前記インクヘッドからインクを排出させる動作を行うクリーニング機構と、前記クリーニング機構によって排出されたインクである廃インクを収集する廃インク機構と、制御装置と、を備えている。前記廃インク機構は、廃インク流路と、廃インクタンクと、ケースと、変位部材と、センサとを備えている。前記廃インク流路は、前記クリーニング機構で排出された前記廃インクが流入する流入口と、前記廃インクが流出する流出口とを有する。前記廃インクタンクは、前記廃インク流路の前記流出口から排出される前記廃インクを収集する。前記ケースには、前記廃インクタンクが収容される。前記変位部材は、前記ケース内に移動可能に設けられ、前記廃インクタンクが前記ケースに収容されていないときに第1の位置に変位し、前記廃インクタンクが前記ケースに収容されているときに第2の位置に変位する。前記センサは、前記変位部材の位置を検出する。前記変位部材は、インク受け部と、当接部と、被検出部とを有している。前記インク受け部は、前記変位部材が前記第1の位置のときに、前記廃インク流路の前記流出口の真下の位置に配置される。前記当接部は、前記インク受け部と一体的に設けられ、前記変位部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動しているとき、前記インク受け部よりも先に前記廃インクタンクに当接する。前記被検出部は、前記インク受け部と一体的に設けられ、前記変位部材が前記第1の位置のときに、第1の検出位置に配置され、前記変位部材が前記第2の位置のときに、第2の検出位置に配置される。前記センサは、前記廃インクタンクが前記ケースに収容されているときに、前記インク受け部よりも上方に配置され、かつ、前記被検出部の位置を検出するように構成されている。前記制御装置は、前記被検出部が前記第2の検出位置にあるときに、前記ケースに前記廃インクタンクが収容されていると判定するように構成されている。
【0009】
上記インクジェットプリンタによれば、廃インク機構において、廃インクタンクをケースに収容しようとするとき、変位部材が第1の位置と第2の位置との間を移動する。このとき、インク受け部よりも先に当接部が廃インクタンクに当接する。このことによって、スイング部材の移動量(ここでは、当接部が廃インクタンクに当接しながら揺動する距離)を大きくすることができるため、センサによって位置が検出される被検出部の移動量を大きくすることができる。このように、廃インクタンクをケースに収容しようとするときに、被検出部の移動量を大きくすることができるため、廃インクタンクがケースに収容されているか否かを検出する精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、廃インクタンクがケースに収容されているか否かの検出精度を向上させることが可能なインクジェットプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの右側を一部切り欠いた斜視図である。
【
図2】実施形態に係るインクジェットプリンタの正面図である。
【
図5】ケースの下壁、前壁、左壁および上壁を省略した廃インク機構の正面図である。
【
図6】
図5の廃インク機構から廃インクタンクを取り外した状態の廃インク機構の正面図である。
【
図8】廃インクタンクのケースへの挿入開始時において、廃インクタンクがトレイに対して傾いている状態を示す
図5相当図である。
【
図10】廃インクタンクに所定量の廃インクが収集された状態を示す
図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
【0013】
本明細書において、「インクジェットプリンタ」とは、従来公知のインクジェット技術による印刷方法、例えば、二値偏向方式あるいは連続偏向方式などの連続方式や、サーマル方式、あるいは圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を利用したプリンタ全般をいう。
【0014】
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」ともいう。)10の斜視図であり、右側を一部切り欠いた図である。
図2は、プリンタ10のフロントカバー13が開いた状態を示す正面図である。なお、以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザから見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとし、プリンタ10からユーザに近づく方を前方、遠ざかる方を後方とする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味する。図面中の符号X、Y、Zは、それぞれ左右方向、前後方向、上下方向を意味する。ただし、これら方向は、説明の便宜上に定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置形態を何ら限定するものではない。
【0015】
プリンタ10は、光硬化型のプリンタである。
図2に示すように、プリンタ10は、開口11を有するケーシング12と、開口11を開閉自在に覆うフロントカバー13とを備えている。ケーシング12は、内部空間を有している。フロントカバー13は、後端を軸にして回転可能なように、ケーシング12に支持されている。フロントカバー13が後端を軸にして上方に開かれることにより、ケーシング12の内部空間と外部空間とが連通される。フロントカバー13には、例えば透明または半透明なアクリル板によって形成された窓14が設けられている。ユーザは、窓14を通じてケーシング12の内部を視認することができる。
【0016】
ケーシング12の内部空間は、上下方向Zに延びる仕切部材15により、左右方向Xに第1エリア16と第2エリア17とに区分けされている。第1エリア16は、仕切部材15の左側に位置する空間である。被印刷物25aへの印刷は、第1エリア16で行われる。第2エリア17は、仕切部材15の右側に位置する空間である。第2エリア17の前側には、クリーニング機構30と廃インク機構40とが配置されている。第2エリア17の後側には、制御装置100(
図1参照)が配置されている。
【0017】
図2に示すように、ケーシング12の内部空間には、ガイドレール18が配置されている。ガイドレール18は、ケーシング12に固定され、第1エリア16と第2エリア17とに亘って左右方向Xに延びている。ガイドレール18には、キャリッジ19が摺動自在に設けられている。キャリッジ19は、キャリッジ移動機構(図示せず)によって、ガイドレール18に沿って左右方向Xに往復移動する。キャリッジ移動機構は、ガイドレール18の右端および左端の周囲に配置された一対のプーリ(図示せず)と、ベルト(図示せず)と、キャリッジモータ(図示せず)と、を備えている。キャリッジ19は、一対のプーリに巻き掛けられたベルトに固定されている。一方のプーリにはキャリッジモータが連結されている。キャリッジモータは、制御装置100と電気的に接続されており、制御装置100によって制御される。キャリッジモータが駆動するとプーリが回転し、ベルトが走行する。これにより、キャリッジ19がガイドレール18に沿って左右方向Xに移動する。
【0018】
キャリッジ19には、複数のインクヘッド22(ここでは6つのインクヘッド22)と、2つの紫外線ランプ23とが搭載されている。インクヘッド22は、インクを吐出する。インクヘッド22は、下方に開口したノズル22a(
図3参照)を有している。インクヘッド22は、被印刷物25aに向かってノズル22aからインクを吐出するように構成されている。本実施形態では、6つのインクヘッド22は、インライン配列で配置されており、左右方向Xに並んでいる。6つのインクヘッド22は、それぞれ可撓性を有するインクチューブ(図示せず)によって、インクカートリッジ21と連通している。
【0019】
プリンタ10は、6つのインクヘッド22にそれぞれ連通された6つのインクカートリッジ21を備えている。6つのインクカートリッジ21には、それぞれ、紫外線硬化型のインク(UVインク)が貯留されている。UVインクは、典型的には重合性化合物と重合開始剤とを含んでいる。UVインクは、紫外線が照射されることで硬化が促進されるため、いったんプリンタ10や床面などに付着してしまうと、例えば水性インクやエコソルベント系インクに比べて落ち難い性質がある。したがって、ここに開示される技術の適用がより効果的である。インクカートリッジ21には、それぞれ、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、ブラックインク(K)、ホワイトインク(WH)、グロスインク(GL)が貯留されている。なお、本実施形態では、インクカートリッジ21の数が6であるが、インクカートリッジ21の数は、例えば5つ以下であってもよいし、7つ以上であってもよい。インクカートリッジ21は、ホワイトインクおよび/またはグロスインクを備えていなくてもよいし、他の色のインクを備えていてもよい。
【0020】
2つの紫外線ランプ23は、被印刷物25aに向かって、インクを硬化させるための紫外線を照射するように構成されている。紫外線ランプ23は、6つのインクヘッド22の左右両端に1つずつ配置されている。2つの紫外線ランプ23は、左右方向Xにインクヘッド22と並んでいる。紫外線ランプ23が照射する光は、インクを硬化可能な紫外線波長を有している。紫外線ランプ23は、例えばLED(Light Emitting Diode)や、蛍光灯(低圧水銀灯)、高圧水銀灯などである。なお、紫外線ランプ23の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。紫外線ランプ23は、インクヘッド22の左側あるいは右側のみに配置されていてもよい。紫外線ランプ23は、例えばインクヘッド22とは別のキャリッジに搭載されていてもよく、ケーシング12の壁面などに直接的または間接的に設けられていてもよい。
【0021】
プリンタ10は、いわゆるフラットベッドタイプのプリンタである。本実施形態では、
図2に示すように、ガイドレール18の下方には、テーブル25が配置されている。テーブル25は、被印刷物25aを支持する台であり、被印刷物25aが載置される台である。被印刷物25aの素材は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類はもちろんのこと、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)共重合体などの樹脂類、アルミニウムやステンレス鋼などの金属類、カーボン、陶器、セラミック、ガラス、ゴム、皮革などであってもよい。
【0022】
テーブル25は、テーブル移動機構26によって、前後方向Yに移動可能に構成されている。テーブル移動機構26は、テーブル25をインクヘッド22に対して前後方向Yに相対移動させるように構成されている。テーブル移動機構26は、2本のスライドレール26a、26bと、搬送部材26cと、前後移動用モータ(図示せず)とを備えている。2本のスライドレール26a、26bは、所定の距離離れて、前後方向Yに沿って平行に延びている。搬送部材26cは、スライドレール26a、26bに対して摺動自在に設けられている。搬送部材26cの上方には、テーブル25が支持されている。前後移動用モータは、制御装置100と電気的に接続されており、制御装置100によって制御される。前後移動用モータが駆動すると、スライドレール26a、26bに沿って搬送部材26cが移動する。このことによって、テーブル25が前後方向Yに移動する。
【0023】
図3は、クリーニング機構30の一例を示す模式図である。例えばインクヘッド22のノズル22aに埃が付着したり、インク溶媒の蒸発によってインクの硬化や増粘が発生したりすると、ノズル22aからインクが適切に吐出されなくなり、印刷不良が生じる。そこで、
図3に示すクリーニング機構30は、ノズル22aに付着した付着物(例えば、埃やインクの硬化物など)を取り除くように構成されている。クリーニング機構30は、インクヘッド22からインクが排出させる動作を行う。ここで、クリーニング機構30によって、インクヘッド22から排出されたインクのことを、廃インクという。
【0024】
クリーニング機構30は、キャリッジ19のホームポジションHP(
図2参照)の位置において、キャリッジ19の下方に配置されている。
図3に示すように、クリーニング機構30は、キャップ31と、キャップ移動機構32と、吸引ポンプ33と、流路34と、を備えている。キャップ31は、インクヘッド22の下面に形成されたノズル22aを覆うためのものである。このことによって、ノズル22aとキャップ31との間に密閉空間が形成される。キャップ31の数は、典型的にはインクヘッド22の数と同じであり、ここでは6つである。
【0025】
キャップ移動機構32は、キャップ31を支持し、キャップ31を上下方向Zへ移動させる機構である。キャップ移動機構32は、例えばキャップ移動用モータ(図示せず)を備えている。キャップ移動用モータは、制御装置100と電気的に接続されており、制御装置100によって制御される。このことによって、キャップ31は、ノズル22aを覆うキャップ位置と、ノズル22aから離隔した離隔位置と、に移動可能に構成されている。なお、
図3には、キャップ31がキャップ位置にある状態、すなわち、ノズル22aをキャップ31が覆う状態を示している。
【0026】
本実施形態では、プリンタ10の停止中などの印刷が行われていないとき、キャリッジ19はホームポジションHPで待機する。このとき、キャップ31は、キャップ移動機構32によってキャップ位置に位置付けられている。このことによって、インクヘッド22のノズル22aがキャップ31で覆われて、ノズル22aでのインクの乾燥が抑制される。
【0027】
吸引ポンプ33は、ノズル22a内のインクを吸引するためのものである。吸引ポンプ33は、制御装置100と電気的に接続されており、制御装置100によって制御される。流路34は、キャップ31から廃インク機構40へと廃インクを導くものである。流路34は、例えば可撓性を有するインクチューブである。流路34の数は、典型的にはインクヘッド22の数と同じであり、ここでは6つである。吸引ポンプ33は、流路34の中途部分に配置されている。
【0028】
インクヘッド22のノズル22aがキャップ31で覆われた状態において、吸引ポンプ33が駆動されると、キャップ31を介してノズル22a内のインクが吸引される。このことによって、印刷に使用されないインクが廃インクとしてキャップ31に排出される。また、インクヘッド22のノズル22aがキャップ31で覆われた状態において、インクヘッド22が駆動されると、キャップ31内でインクが吐出される。これにより、印刷に使用されないインク(例えばノズル22a内のインク)が廃インクとしてキャップ31に排出される。キャップ31は、流路34によって廃インク機構40に連通されている。キャップ31内に排出された廃インクは、流路34を通って、廃インク機構40に送られる。
【0029】
次に、廃インク機構40について説明する。
図4~
図6は、廃インク機構40の正面図である。なお、
図5および
図6では、ケース41の下壁41a、前壁41b、左壁41dおよび上壁41eが省略されている。廃インク機構40は、クリーニング機構30によって排出されたインクである廃インクを収集する機構である。
図5に示すように、廃インク機構40は、ケース41と、漏斗42と、廃インクタンク43と、スイング部材44と、センサ45と、を備えている。
【0030】
ケース41は、例えば銅、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属製である。本実施形態では、ケース41には、廃インクタンク43が収容される。ケース41には、収容口50が形成されている。収容口50は、廃インクタンク43が通過する部分である。廃インクタンク43は、収容口50を通じてケース41内に収容される。本実施形態では、収容口50は、右方に向かって開口している。そのため、廃インクタンク43は、ケース41の右方から収容されるようになっている。
【0031】
図7は、ケース41の左側面図である。
図7に示すように、ケース41は、下壁41aと、前壁41bと、後壁41cと、左壁41dと、上壁41eとを有している。下壁41aは、第2エリア17(
図2参照)の下面に沿って左右方向Xおよび前後方向Yに広がっている。
図4に示すように、廃インクタンク43がケース41に収容されている状態において、前壁41bは、廃インクタンク43の左部および下部を覆うように配置されている。ここでは、前壁41bは、略L字状の形状を有している。前壁41bは、下壁41aの前端から上方に延びた下前壁41b1と、下前壁41b1の左部から上方に延びた上前壁41b2とを有している。
図6に示すように、後壁41cは、前壁41b(
図4参照)と対向しており、前壁41bと同様に略L字状の形状を有している。後壁41cは、下壁41a(
図7参照)の後端から上方に延びた下後壁41c1と、下後壁41c1の左部から上方に延びた上後壁41c2とを有している。
図7に示すように、左壁41dは、下壁41aの左端から上方に延び、前壁41bおよび後壁41cのそれぞれの左端と接続されている。上壁41eは、下壁41aと平行になるように配置され、前壁41bおよび後壁41cのそれぞれの上端と接続されている。
【0032】
本実施形態では、左壁41dと上壁41eとは離間している。ここでは、ケース41の左部には、通過口51が形成されている。通過口51は、前壁41bと、後壁41cと、左壁41dと、上壁41eとによって囲まれた開口部分である。通過口51は、スイング部材44(
図5参照)が揺動したときに、スイング部材44が通過可能な開口部分である。ここでは、詳しい図示は省略するが、廃インクタンク43が通過する収容口50は、下壁41aと、前壁41bと、後壁41cと、上壁41eとによって囲まれた開口部分である。
【0033】
本実施形態では、下壁41aには、トレイ53(
図5参照)が載置されている。下壁41aのXY平面は、トレイ53の底面よりも広い。トレイ53は、廃インクタンク43の載置位置をユーザに示す目印となる。トレイ53は、例えば廃インクタンク43から廃インクがオーバーフローしたり、ユーザが誤って廃インクタンク43を倒してしまい、廃インクタンク43から廃インクが流出したりしたときに、廃インクを受ける容器である。
図5に示すように、トレイ53の右側の側面は、右斜め上方に延びた傾斜面54を有している。トレイ53は、上下方向Zに移動可能に構成されている。
【0034】
漏斗42は、クリーニング機構30の流路34(
図3参照)から廃インクを受け入れるように構成されている。本実施形態では、漏斗42は、廃インク流路の一例である。漏斗42は、例えば銅、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属製や、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、フッ素系樹脂などの樹脂製である。
図6に示すように、漏斗42は、ケース41内の上部に設けられている。ここでは、漏斗42は、前壁41bと後壁41cとの間に配置されている。漏斗42は、クリーニング機構30で排出された廃インクが流入する流入口61と、廃インクが流出する流出口62とを有している。ここでは、流入口61は、上方に向かって開口している。流出口62は、下方に向かって開口している。
【0035】
漏斗42は、上方に向かって内径が大きくなる円錐部65と、円錐部65から下方に延びた筒状の管部66とを備えている。漏斗42の円錐部65の上端部の内径は、クリーニング機構30の流路34(
図3参照)の外径よりも大きい。ここでは、円錐部65の上端は上方に向かって開口している。円錐部65の上端が流入口61を構成している。流入口61には、流路34の一端が挿入される。
【0036】
管部66の下端は、下方に向かって開口している。管部66の下端が流出口62を構成している。流出口62は、廃インクタンク43の上面(後述する首部68の上端)よりも下方に位置している。管部66の下端部の一部は、斜めにカットされている。漏斗42の下端部は、廃インクタンク43の首部68に挿入される。
【0037】
図5に示すように、廃インクタンク43は、漏斗42の流出口62から排出される廃インクを収集する容器である。廃インクタンク43は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコン、フッ素系樹脂などの樹脂製である。廃インクタンク43は、黒色で遮光性を有していてもよい。廃インクタンク43は、扁平な直方体形状である。廃インクタンク43は、一対の幅広面43wと、一対の幅狭面43nとを備えている。幅広面43wは、左右方向Xに沿って配置されている。幅狭面43nは、前後方向Yに沿って配置されている。なお、廃インクタンク43の形状は特に限定されず、例えば円筒形状、立方体形状、袋体形状などであってもよい。
【0038】
廃インクタンク43には、収集口69が形成されている。収集口69は、上方に向かって開口している。本実施形態では、廃インクタンク43は、上部に設けられた筒状の首部68を有する。この首部68に、収集口69が形成されている。首部68の上端は、廃インクタンク43の平坦な上面と略同一の高さに設定されている。首部68は、廃インクタンク43がケース41に収容されているとき、漏斗42の円錐部65の下方に配置されている。首部68の内径、すなわち収集口69の直径は、漏斗42の管部66の外径よりも大きい。本実施形態では、廃インクタンク43は、漏斗42の少なくとも一部、ここでは管部66の下部が収集口69に挿入されるように構成されている。ここでは、廃インクタンク43の首部68に、漏斗42の管部66が挿入される。
【0039】
本実施形態では、廃インクタンク43はプリンタ10の内部に配置されている。廃インクタンク43がプリンタ10の内部に置かれる場合、プリンタ10を操作するユーザからは廃インクタンク43が見え難く、廃インクタンク43が所定の位置に置かれているか否かが目視で判別し難い。また、プリンタ10はUVインクを使用するため、硬化したインクが廃インクタンク43の内面に付着したり、あるいは、廃インクタンク43自体が黒色で遮光性を有していたりすることがある。この場合、ユーザには廃インクタンク43に収集されたインクの量が目視で確認し難い。したがって、ここに開示される技術の適用がより効果的である。ただし、廃インクタンク43はプリンタ10の外部に配置されていてもよい。
【0040】
本実施形態では、「廃インクタンク43がケース41に収容されている」とは、
図5に示すように、廃インクタンク43が、ケース41内のトレイ53に載っている状態のことをいう。廃インクタンク43がトレイ53に載っているとは、廃インクタンク43の底面と、トレイ53の底面とが平行に配置され、廃インクタンク43の底面の全体が、トレイ53の底面に接触している状態のことをいう。
図8は、廃インクタンク43がトレイ53に対して傾いている状態を示す
図5相当図である。
図8に示すように、例えば廃インクタンク43がケース41内に配置されている場合であっても、廃インクタンク43がトレイ53やケース41に対して斜めに傾いて配置されている場合には、ケース41に収容されているとは言わない。
【0041】
スイング部材44は、ケース41内に配置されている。スイング部材44は、本発明の変位部材の一例である。
図6、
図8、
図5に示すように、スイング部材44は、ケース41内に移動可能に設けられている。スイング部材44は、廃インクタンク43をケース41に収容するときに、廃インクタンク43に押されることで揺動するものである。本実施形態では、スイング部材44は、ケース41内の上部に配置され、かつ、漏斗42の周囲に配置される。ここでは、スイング部材44は、揺動軸70を有している。揺動軸70は、ケース41内おいて、前後方向Yに延びている。揺動軸70は、前壁41bと後壁41cとに架け渡されている。スイング部材44は、揺動軸70を介して前壁41bおよび後壁41cに取り付けられている。スイング部材44は、揺動軸70を支軸として揺動可能である。スイング部材44は、揺動軸70を支軸として、円状の軌道で重力方向に揺動可能なように構成されている。スイング部材44は、制御装置100には接続されておらず、ユーザが廃インクタンク43をケース41に収容するための動作を行うことによって揺動される。スイング部材44は、例えば銅、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属製である。
【0042】
本実施形態では、スイング部材44は、第1の揺動位置P11(
図6参照)と、第2の揺動位置P12(
図5参照)との間で揺動可能に構成されている。第1の揺動位置P11は、本発明の第1の位置の一例であり、第2の揺動位置P12は、本発明の第2の位置の一例である。ここで、
図6に示すように、第1の揺動位置P11とは、廃インクタンク43がケース41に収容されていないとき、言い換えると、廃インクタンク43によってスイング部材44が押されていないときに、スイング部材44が配置される位置のことである。第1の揺動位置P11にスイング部材44が配置されているとき、廃インクタンク43は、ケース41の外部に配置されている。
図5に示すように、第2の揺動位置P12とは、廃インクタンク43がケース41に収容されているときに、スイング部材44が配置される位置のことである。ここでは、スイング部材44が第2の揺動位置P12に配置されているとき、スイング部材44は、廃インクタンク43によって押されている状態であり、廃インクタンク43の左方および上方に位置する。
【0043】
図9は、スイング部材44の斜視図である。
図9に示すように、スイング部材44は、第1アーム部71と、第2アーム部72と、インク受け部73と、被検出部74と、当接部75と、を有している。第1アーム部71と第2アーム部72は、前後一対に構成されている。第1アーム部71は、第2アーム部72の後方に配置されている。
図6に示すように、第1アーム部71および第2アーム部72は、スイング部材44が第1の揺動位置P11に配置されているとき、すなわちスイング部材44が廃インクタンク43に押されていない状態のときに、上下方向Zに延びている。ここでは、第1アーム部71および第2アーム部72のそれぞれの上端に揺動軸70が設けられている。揺動軸70は、第1アーム部71と第2アーム部72とに架け渡されている。
【0044】
インク受け部73は、スイング部材44が第1の揺動位置P11に配置されているとき、すなわち廃インクタンク43がケース41から取り外されているときに、漏斗42から滴り落ちる廃インクを受けるものである。
図9に示すように、インク受け部73は、第1アーム部71と第2アーム部72との間に配置されており、第1アーム部71の下端と第2アーム部72の下端とにそれぞれ接続されている。
図6に示すように、スイング部材44が第1の揺動位置P11に配置されているときに、インク受け部73は、スイング部材44の自重によって漏斗42の流出口62の真下の位置に配置されるように構成されている。スイング部材44が第1の揺動位置P11に配置されているとき、インク受け部73は、典型的には水平になる。このとき、インク受け部73のXY面は、漏斗42の管部66の流出口62の平面視面積よりも大きい。これにより、インク受け部73は、廃インクタンク43がケース41から取り外されたときに、漏斗42の流出口62から滴り落ちるインクを受け止めて、プリンタ10の内部でのインクの漏れを的確に防止する。
【0045】
本実施形態では、
図9に示すように、インク受け部73には、パット76が載せ置かれている。パット76は、インク吸収性の材料で構成されている。パット76の素材は、例えばポリオレフィンなどの樹脂類である。パット76は、典型的には多孔質体、例えばスポンジである。ただし、パット76は、省略することも可能である。
【0046】
被検出部74は、インク受け部73と一体的に設けられ、センサ45によって位置を検出されるものである。被検出部74の位置に基づいて、廃インクタンク43がケース41に収容されているか否かが判定される。本実施形態では、被検出部74は、円を四等分した形状、言い換えると中心角が90度の略扇形状に形成されている。被検出部74は、第1アーム部71に設けられている。被検出部74は、スイング部材44の揺動に合わせて揺動するように構成されている。被検出部74は、スイング部材44の揺動に伴い、揺動軸70を支軸として円状の軌道で揺動する。
【0047】
ここでは、被検出部74は、第1の検出位置P21(
図6参照)と、第2の検出位置P22(
図5参照)との間で揺動可能に構成されている。ここで、第1の検出位置P21とは、
図6に示すように、スイング部材44が第1の揺動位置P11のときに、被検出部74が配置される位置のことである。本実施形態では、第1の検出位置P21とは、被検出部74がセンサ45内に配置される位置である。被検出部74は、第1の揺動位置P11のときに、スイング部材44の自重によってセンサ45内に配置されるように構成されている。第2の検出位置P22とは、
図5に示すように、スイング部材44が第2の揺動位置P12のときに、被検出部74が配置される位置のことである。本実施形態では、第2の検出位置P22とは、センサ45から外れた位置のことである。詳しくは、第2の検出位置P22は、センサ45よりも上方の位置のことである。
【0048】
当接部75は、廃インクタンク43と当接する部位である。当接部75は、インク受け部73と一体的に設けられ、スイング部材44が第1の揺動位置P11(
図6参照)と第2の揺動位置P12(
図5参照)との間を移動しているとき、インク受け部73よりも先に廃インクタンク43に当接する。当接部75は、スイング部材44が第1の揺動位置P11と第2の揺動位置P12との間を移動しているとき、インク受け部73よりも下方、かつ、廃インクタンク43におけるケース41への収容開始側(ここでは右方側)に突出して配置されている。ここでは、当接部75は、廃インクタンク43をケース41に収容しようとするときに、インク受け部73よりも下方の位置で、インク受け部73よりも先に廃インクタンク43(詳しくは、廃インクタンク43の左側の幅狭面43n)に当接して押される。本実施形態では、
図6に示すように、当接部75は、スイング部材44が第1の揺動位置P11に配置されているとき、すなわち廃インクタンク43がケース41の外部に配置されている状態において、インク受け部73よりも下方、かつ、インク受け部73よりもケース41の収容口50側(ここでは右方)に配置されている。本実施形態では、当接部75は、平板状に形成されているが、当接部75の形状は、特に限定されない。第1の揺動位置P11のとき、平板状の当接部75は、前後方向Yに延び、かつ、右方に向かうに連れて上方に傾斜するように延びている。
図5に示すように、第2の揺動位置P12のとき、平板状の当接部75は、前後方向Yおよび左右方向Xに延びている。
【0049】
本実施形態では、
図9に示すように、当接部75は、棒状の接続部77を介してインク受け部73に接続されている。ここでは、接続部77の一端は、当接部75に接続されている。接続部77の他端は、第1アーム部71に接続されており、第1アーム部71を介してインク受け部73に接続されている。
図6に示すように、第1の揺動位置P11のとき、接続部77は、インク受け部73から当接部75に向かって右方かつ下方に沿って斜めに延びている。
図5に示すように、第2の揺動位置P12のとき、接続部77は、上下方向Zに延びている。
【0050】
センサ45は、廃インクタンク43がケース41に収容されているか否かを検出するためのものである。ここでは、センサ45は、被検出部74の揺動に基づいて、被検出部74の位置を検出するように構成されている。そして、被検出部74の位置に基づいて、廃インクタンク43がケース41に収容されているか否かを検出する。センサ45は、制御装置100と電気的に接続されており、制御装置100によって制御される。
【0051】
図5に示すように、センサ45は、廃インクタンク43がケース41に収容されているときにインク受け部73よりも上方に配置されている。センサ45は、ケース41の後壁41cに取り付けられている。センサ45としては、周知のものを利用することができる。センサ45は、例えば透過型や反射型のフォトセンサである。フォトセンサは応答時間が早いため、廃インクタンク43の有無をリアルタイムで精度よく検出することができる。センサ45が透過型のフォトセンサである場合、センサ45は、発光部45aと受光部45bとを備える。
【0052】
センサ45では、発光部45aから受光部45bに向かって光が照射される。被検出部74は、センサ45の発光部45aと受光部45bとの間に介在可能なように構成されている。スイング部材44の揺動に伴って、被検出部74が発光部45aと受光部45bとの間に配置されると、発光部45aから受光部45bに向かう光が遮られる。受光部45bで受光される光の量(受光量)は、受光部45bから制御装置100に入力される。受光部45bか入力された受光量の値に基づいて、廃インクタンク43がケース41に収容されているか否かが検出される。発光部45aから受光部45bに向かう光の受光量が予め定められた基準値を超えた場合には、制御装置100によって、廃インクタンク43がケース41に収容されていると判断され、印刷開始や、クリーニング動作が開始状態であると判断される。
【0053】
本実施形態では、廃インク機構40は、廃インクタンク43の交換時期を検出する交換検出装置80を備えている。交換検出装置80は、付勢ばね81と、遮蔽部82と、検出センサ83と、を備えている。付勢ばね81の一端は、遮蔽部82を介してトレイ53に連結されている。付勢ばね81は、トレイ53を上方に付勢している。付勢ばね81は、例えば、つる巻きばねである。付勢ばね81の弾性力は、廃インクタンク43の自重と所定量の廃インクの重さとを合計した弾性力と釣り合うように調整されている。
【0054】
遮蔽部82は、L字の形状に形成されている。遮蔽部82は、付勢ばね81とトレイ53との間に介在している。遮蔽部82は、トレイ53の左端から上方に延びた立壁55に取り付けられている。検出センサ83は、廃インクタンク43の交換時期を検出可能なように構成されている。検出センサ83は、制御装置100と電気的に接続されており、制御装置100によって制御される。本実施形態では、検出センサ83は、ケース41の後壁41cに取り付けられている。検出センサ83としては、周知のものを利用することができる。検出センサ83は、例えば透過型や反射型のフォトセンサである。検出センサ83は、例えばセンサ45と同様に、透過型のフォトセンサであり、図示しない発光部と受光部とを備えている。検出センサ83は、遮蔽部82が発光部と受光部との間に介在可能なように構成されている。
【0055】
図6に示すように、廃インクタンク43がトレイ53に載置されていないとき、および、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されていないときには、付勢ばね81の弾性力によって遮蔽部82が上方に押し上げられている。この時点では、遮蔽部82は、検出センサ83の発光部と受光部との間に配置されていない。そのため、発光部から受光部に向かう光は、遮蔽部82によって遮られていない。
【0056】
図10は、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集された状態を示す
図5相当図である。一方、廃インクタンク43に徐々に廃インクが溜まっていき、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されたとき、
図10に示すように、遮蔽部82は、付勢ばね81の弾性力に抗し、廃インクタンク43の自重と所定量の廃インクの重さによって押し下げられる。なお、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されているとき、トレイ53が左下方に傾くため、廃インクタンク43も左下方に僅かながら傾く。このとき、スイング部材44の当接部75が廃インクタンク43によって左方に押されるため、スイング部材44が左方に揺動し、ケース41に形成された通過口51を通過する。
【0057】
廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されたとき、遮蔽部82は、検出センサ83の発光部と受光部との間に配置されている。このことにより、検出センサ83の発光部から受光部に向かう光の量(受光量)が減少する。受光量の情報は、検出センサ83の受光部から制御装置100に入力される。制御装置100では、この受光量の値に基づいて、廃インクタンク43の交換時期を検出することができる。
【0058】
図1の制御装置100は、プリンタ10の各部の動作を制御する。制御装置100は、典型的にはコンピュータである。制御装置100は、例えば、印刷データを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置とを備えている。
【0059】
図11は、制御装置100の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、制御装置100は、メイン制御部101と、第1判定部102と、第2判定部103と、印刷開始制御部105と、通知部104と、を備えている。制御装置100の各部は、相互に通信可能に構成されている。制御装置100の各部は、プロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれたものであってもよい。
【0060】
メイン制御部101は、印刷動作を制御する。メイン制御部101は、キャリッジ移動機構のキャリッジモータと、テーブル移動機構26(
図2参照)の前後移動用モータと、に通信可能に接続されており、被印刷物25aとインクヘッド22(
図2参照)との相対的な位置関係を制御している。メイン制御部101は、インクヘッド22と通信可能に接続されており、被印刷物25aに対するインクの吐出を制御している。メイン制御部101は、紫外線ランプ23(
図2参照)と通信可能に接続され、紫外線ランプ23の起動と停止を制御している。メイン制御部101は、センサ45の発光部45a(
図5参照)と通信可能に接続されており、発光部45aからの光の出射を制御している。
【0061】
メイン制御部101は、クリーニング機構30のキャップ移動機構32(
図3参照)と吸引ポンプ33(
図3参照)とに通信可能に接続されており、クリーニング動作を制御する。メイン制御部101は、例えば、長時間の休止後に印刷を再開する場合に、クリーニング動作を行うように構成されていてもよい。メイン制御部101は、例えば、ユーザが画像に印刷不良が生じていることを認識した場合に、ユーザからの指示を受けて、クリーニング動作を行うように構成されていてもよい。
【0062】
第1判定部102は、センサ45による被検出部74の位置の検出結果に基づいて、廃インクタンク43がケース41に収容されているか否かを判定する。ここでは、第1判定部102は、
図5に示すように、被検出部74が第2の検出位置P22にあるとき、ケース41に廃インクタンク43が収容されていると判定するように構成されている。一方、第1判定部102は、被検出部74が第1の検出位置P21(
図6参照)、または、第1の検出位置P21と第2の検出位置P22との間(
図8参照)にあるときに、ケース41に廃インクタンク43が収容されていないと判定するように構成されている。
【0063】
本実施形態では、第1判定部102は、センサ45の受光部45bと通信可能に接続されている。第1判定部102には、受光部45bから受光量が入力される。第1判定部102は、この受光量の値から、廃インクタンク43がケース41に収容されているか否かを判定するように構成されている。例えば、受光量が予め定められた基準値以下の場合には、廃インクタンク43がケース41に収容されていないと判定する。一方、受光量が予め定められた基準値を超える場合には、廃インクタンク43がケース41に収容されていると判定する。
【0064】
第2判定部103は、交換検出装置80の検出センサ83(
図10参照)と通信可能に接続されている。第2判定部103には、検出センサ83の受光量が入力される。第2判定部103は、この検出センサ83の受光量から、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されているか否かを判定するように構成されている。第2判定部103は、例えば、検出センサ83の受光量が相対的に大きい第1の状態である場合には、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されていないと判定する。言い換えれば、第2判定部103は、廃インクを収容する余剰のスペースが廃インクタンク43に残っていると判定する。一方、検出センサ83の受光量が相対的に小さい第2の状態である場合には、第2判定部103は、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されていると判定する。
【0065】
印刷開始制御部105は、第1判定部102と第2判定部103との判定結果に基づいて、プリンタ10の状態を制御するように構成されている。印刷開始制御部105は、例えば、第1判定部102で廃インクタンク43が設置されていると判定された場合には、プリンタ10を、印刷開始が可能な印刷待機状態とする。一方、印刷開始制御部105は、第1判定部102で廃インクタンク43が設置されていないと判定された場合には、プリンタ10を、印刷開始が不可能な状態とする。言い換えれば、印刷開始制御部105は、廃インクタンク43が設置されない限り、プリンタ10で印刷を行えないようにロックする。また、印刷開始制御部105は、例えば、第2判定部103で廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されていると判定された場合には、プリンタ10の停止状態を解除しない。言い換えれば、印刷開始制御部105は、廃インクタンク43に廃インクを収集する余裕がない場合には、プリンタ10で印刷を行えないようにロックする。これにより、廃インクタンク43が設置されていない状態、および/または、廃インクタンク43が満タンの状態でユーザが印刷の開始を指示したとしても、プリンタ10は稼働しない。そのため、廃インクがトレイ53やプリンタ10の内部に撒き散らされることを防ぐことができる。
【0066】
通知部104は、第1判定部102と第2判定部103との判定結果に基づいて、ユーザにエラーを通知するように構成されている。例えば、廃インクタンク43がケース41に収容されていないと判定された場合に、エラーを通知する。例えば、通知部104は、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されていると判定された場合に、廃インクタンク43が満タンである旨を通知する。通知部104は、例えば、プリンタ10に設けられた表示画面(図示せず)に文字やイラストなどで、廃インクタンク43がケース41に収容されていない旨、および/または、廃インクタンク43が満タンである旨を表示してもよいし、警告音などの音声によって廃インクタンク43がケース41に収容されていない旨、および/または、廃インクタンク43が満タンである旨を通知してもよい。これにより、ユーザは廃インクタンク43がケース41に収容されていないこと、および/または、廃インクタンク43が満タンであることを認識することができる。
【0067】
廃インク機構40のケース41に廃インクタンク43を収容しようとするとき、
図8に示すように、ユーザは、ケース41の収容口50から廃インクタンク43をケース41内に入れる。このとき、首部68の収集口69に、漏斗42の管部66を挿入するように、首部68側から廃インクタンク43を挿入する。このことで、廃インクタンク43がトレイ53に対して傾いた状態において管部66が首部68内に配置される。
【0068】
廃インクタンク43をケース41内に入れたとき、廃インクタンク43の幅狭面43nがスイング部材44の当接部75と当接する。このとき、廃インクタンク43をさらに奥へと挿入していくと、
図8に示すように、スイング部材44の当接部75が揺動軸70を支軸として揺動され、上方へ押し上げられる。そして、
図5に示すように、廃インクタンク43がケース41に収容され、トレイ53の中に載置されると、スイング部材44は、廃インクタンク43に支持されて第2の揺動位置P12で静止する。これに伴って、センサ45よりも上方に位置に、被検出部74が配置される。その結果、第1判定部102により、廃インクタンク43がケース41に収容されていると判定される。
【0069】
例えば当接部75が省略されている場合には、
図8に示すように、廃インクタンク43が斜めに配置されたときに、インク受け部73が廃インクタンク43に当接して揺動すると、その揺動量が小さいために、廃インクタンク43がケース41に完全に収容されていないにも関わらず、廃インクタンク43がケース41に収容されている判定される場合があり得る。この場合は、廃インクタンク43がケース41に収容されていないにも関わらず、印刷やクリーニング動作が開始されると課題が生じていた。また、廃インクタンク43がケース41に完全に収容されていないために、廃インクタンク43の重量に応じてトレイ53が上下に揺動せずに、廃インクタンク43が満タンであることを検知できず、廃インクタンク43からインクが溢れることがあり得るという課題が生じていた。これに対して、本実施形態では、スイング部材44に当接部75が設けられていることで、スイング部材44の揺動量(ここでは、当接部75が廃インクタンク43に当接しながら揺動する距離)を大きくすることができる。このため、廃インクタンク43がケース41に完全に収容されていないにも関わらず、廃インクタンク43がケース41に収容されていると判定されるというような、ケース41に対する廃インクタンク43の有無の誤検出を生じ難くすることができる。よって、廃インクタンク43がケース41に完全に収容された後に、印刷やクリーニング動作を開始できると共に、廃インクタンク43からインクが漏れることを回避することができる。
【0070】
廃インクが収集されていない空の状態の廃インクタンク43をケース41に収容したとき、
図6に示すように、交換検出装置80では、検出センサ83の発光部と受光部との間に遮蔽部82が配置されていない。そのため、第2判定部103により、廃インクタンク43に新たな廃インクを収集する余裕があると判定される。プリンタ10で印刷やクリーニング動作などを行うと、廃インクタンク43に徐々に廃インクが溜まっていく。そして、廃インクタンク43に所定量の廃インクが収集されたとき、
図10に示すように、交換検出装置80では、トレイ53が左下方に傾くと共に、遮蔽部82が下方に移動して、検出センサ83の発光部と受光部との間に配置される。その結果、第2判定部103により、廃インクタンク43が満タンであると判定される。このとき、ユーザは、廃インクタンク43を取り外して、廃インクタンク43に収集された廃インクを廃棄するか、あるいは廃インクタンク43を交換する必要がある。
【0071】
廃インクタンク43を取り外すとき、ユーザは、上記とは逆にトレイ53の下面に沿って廃インクタンク43を抜き取る。これにより、スイング部材44の当接部75と廃インクタンク43との接触が解消される。このとき、スイング部材44は揺動軸70を支軸として揺動し、
図6に示すように、やがて自重と釣り合う第1の揺動位置P11で静止する。これに伴って、被検出部74はセンサ45内に移動して、発光部45aと受光部45bとの間に介在することになる。その結果、第1判定部102により、廃インクタンク43がケース41に収容されていないと判定される。
【0072】
以上、本実施形態では、
図5に示すように、廃インク機構40は、漏斗42と、廃インクタンク43と、ケース41と、スイング部材44と、センサ45とを備えている。
図6に示すように、漏斗42は、クリーニング機構30で排出された廃インクが流入する流入口61と、廃インクが流出する流出口62とを有する。
図5に示すように、廃インクタンク43は、漏斗42の流出口62から排出される廃インクを収集する。ケース41には、廃インクタンク43が収容される。スイング部材44は、ケース41内に移動可能に設けられ、廃インクタンク43がケース41に収容されていないときに第1の揺動位置P11(
図6参照)に変位し、廃インクタンク43がケース41に収容されているときに第2の揺動位置P12(
図5参照)に変位するものである。センサ45は、スイング部材44の位置を検出する。スイング部材44は、インク受け部73と、当接部75と、被検出部74とを有している。
図6に示すように、インク受け部73は、スイング部材44が第1の揺動位置P11のときに、漏斗42の流出口62の真下の位置に配置される。当接部75は、インク受け部73と一体的に設けられ、スイング部材44が第1の揺動位置P11(
図6参照)と第2の揺動位置P12(
図5参照)との間を移動しているとき、インク受け部73よりも先に廃インクタンク43に当接する。
図6に示すように、被検出部74は、インク受け部73と一体的に設けられ、スイング部材44が第1の揺動位置P11のときに、第1の検出位置P21に配置され、
図5に示すように、スイング部材44が第2の揺動位置P12のときに、第2の検出位置P22に配置される。センサ45は、廃インクタンク43がケース41に収容されているときに、インク受け部73よりも上方に配置され、かつ、被検出部74の位置を検出するように構成されている。制御装置100は、被検出部74が第2の検出位置P22にあるときに、ケース41に廃インクタンク43が収容されていると判定するように構成されている。
【0073】
本実施形態では、廃インク機構40において、廃インクタンク43をケース41に収容しようとするとき、スイング部材44が第1の揺動位置P11と第2の揺動位置P12との間を移動する。このとき、インク受け部73よりも先に当接部75が廃インクタンク43に当接する。このことによって、スイング部材44の移動量(ここでは、当接部75が廃インクタンク43に当接しながら揺動する距離)を大きくすることができるため、センサ52によって位置が検出される被検出部74の移動量を大きくすることができる。このように、廃インクタンク43をケース41に収容しようとするときに、被検出部74の移動量を大きくすることができるため、廃インクタンク43がケース41に収容されているか否かを検出する精度を向上させることができる。
【0074】
本実施形態では、当接部75は、スイング部材44が第1の揺動位置P11(
図6参照)と第2の揺動位置P12(
図5参照)の間を移動しているとき、インク受け部73よりも下方、かつ、廃インクタンク43におけるケース41への収容開始側(ここでは右方側)に突出して配置されている。このことによって、廃インクタンク43をケース41に収容しようとするときに、インク受け部73よりも先に当接部75を廃インクタンク43に当接させることができる。また、当接部75は、インク受け部73よりも下方で廃インクタンク43と当接しているため、当接部75が廃インクタンク43に当接しながら揺動する距離を大きくすることができる。その結果、センサ52によって位置が検出される被検出部74の移動量を大きくすることができる。このように、廃インクタンク43をケース41に収容しようとするときに、被検出部74の移動量を大きくすることができるため、廃インクタンクがケースに収容されているか否かを検出する精度を向上させることができる。
【0075】
本実施形態では、スイング部材44は、インク受け部73と当接部75との間に介設された接続部77を有している。当接部75は、
図6に示すように、スイング部材44が第1の揺動位置P11に配置されているときに、接続部77よりも、廃インクタンク43におけるケース41への収容開始側(ここでは右方側)に突出して配置されている。スイング部材44は、ケース41に対してスイング部材44を揺動可能に構成する揺動軸70を有し、揺動軸70を支軸に揺動して、第1の揺動位置P11と第2の揺動位置P12との間を移動可能に構成されている。このことによって、廃インクタンク43を収容口50からケース41に収容しようとするとき、インク受け部73よりも前に、廃インクタンク43を当接部75に当接させ、当接部75を押すことで、スイング部材44を揺動させることができる。
【0076】
本実施形態では、
図5に示すように、廃インクタンク43には、上方に開口した収集口69が形成されている。廃インクタンク43は、漏斗42の少なくとも一部(ここでは管部66の下部)が収集口69に挿入されて、ケース41に収容されるように構成されている。このように、漏斗42の少なくとも一部を収集口69に挿入させるためには、
図10に示すように、廃インクタンク43を斜めにして、収集口69に漏斗42の少なくとも一部を挿入する。このように、廃インクタンク43を斜めにした状態であっても、廃インクタンク43をケース41に収容しようとするとき、インク受け部73よりも前に、廃インクタンク43を当接部75に当接させ、当接部75を押すことで、スイング部材44を揺動させることができる。
【0077】
本実施形態では、ケース41には、スイング部材44が揺動しているときに、スイング部材44が通過可能な通過口51(
図7参照)が形成されている。ここでは、インク受け部73よりも下方の位置に当接部75が位置しているため、スイング部材44の全体が相対的に大きくなる。そのため、スイング部材44が揺動するときに、ケース41に接触することがあり得る。しかしながら、本実施形態では、ケース41には、スイング部材44が揺動するときに、スイング部材44が通過する通過口51が形成されている。よって、スイング部材44が揺動しているときに、スイング部材44がケース41に接触することを防止することができる。
【0078】
以上、本実施形態に係るインクジェットプリンタ10について説明した。しかし、本発明に係るインクジェットプリンタは、これに限定されない。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を組み合わせたり、他の変形態様に置き換えたりすることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0079】
例えば、上記実施形態では、インクヘッド22がキャリッジ19に搭載され、左右方向Xに往復移動(シャトル移動)しながら印刷が行われる、いわゆるシャトルタイプ(シリアルタイプ)のプリンタ10について説明したが、これには限定されない。ここに開示される技術は、例えば被印刷物25aと同じかそれよりも長い幅のラインヘッドを備え、当該ラインヘッドが固定された状態で印刷が行われる、いわゆるラインタイプのプリンタにも同様に適用することができる。
【0080】
さらに、ここに開示される技術は様々なタイプのインクジェットプリンタに適用することができる。また、プリンタ10は独立したプリンタとして単独で使用されるものに限定されず、他の装置と組み合わせたものであってもよい。例えば、プリンタ10は被印刷物25aをカットするカッティングヘッドを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
10 プリンタ(インクジェットプリンタ)
22 インクヘッド
30 クリーニング機構
40 廃インク機構
41 ケース
42 漏斗(廃インク流路)
43 廃インクタンク
44 スイング部材(変位部材)
45 センサ
50 収容口
51 通過口
61 流入口
62 流出口
69 収集口
70 揺動軸
73 インク受け部
74 被検出部
75 当接部
77 接続部
100 制御装置
P11 第1の揺動位置(第1の位置)
P12 第2の揺動位置(第2の位置)
P21 第1の検出位置
P22 第2の検出位置