(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130093
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】電力変換システム、計量方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20230912BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20230912BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J13/00 301A
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034565
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 裕明
(72)【発明者】
【氏名】梶原 祥吾
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 章
(72)【発明者】
【氏名】則竹 良典
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB08
5G064DA05
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
(57)【要約】
【課題】再生可能エネルギー由来の電力を高精度に計量する。
【解決手段】複数の直流電力計(16a-16c)が複数の分散型電源(6-8)と複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)の間にそれぞれ接続される。交流電力計(15)がインバータ(12)と分電盤(3)の間に接続される。複数の分散型電源(6-8)には、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置(6)と、蓄電装置(7または8)が含まれる。制御部(13)は、インバータ(12)から分電盤(3)の方向に電流が流れている期間において、複数の直流電力計(16a-16c)で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と交流電力計(15)で測定された電力をもとに、発電装置(6)の発電量を計量する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分散型電源にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータと、
直流側が前記複数のDC/DCコンバータの合流点に接続され、交流側が電力系統および負荷に接続された分電盤に接続されるインバータと、
前記複数の分散型電源と前記複数のDC/DCコンバータの間にそれぞれ接続される複数の直流電力計と、
前記インバータと前記分電盤の間に接続される交流電力計と、
前記複数の直流電力計と前記交流電力計から、それぞれ測定された電力を取得する制御部と、を備え、
前記複数の分散型電源には、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置と、蓄電装置が含まれ、
前記制御部は、前記インバータから前記分電盤の方向に電流が流れている期間において、前記複数の直流電力計で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と前記交流電力計で測定された電力をもとに、前記発電装置の発電量を計量する、
電力変換システム。
【請求項2】
複数の分散型電源にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータと、
直流側が前記複数のDC/DCコンバータの合流点に接続され、交流側が電力系統および負荷に接続された分電盤に接続されるインバータと、
前記複数のDC/DCコンバータと前記合流点の間にそれぞれ接続される複数の直流電力計と、
前記インバータと前記分電盤の間に接続される交流電力計と、
前記複数の直流電力計と前記交流電力計から、それぞれ測定された電力を取得する制御部と、を備え、
前記複数の分散型電源には、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置と、蓄電装置が含まれる、
電力変換システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記インバータから前記分電盤の方向に電流が流れている期間において、前記複数の直流電力計で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と前記交流電力計で測定された電力をもとに、前記発電装置の発電量を計量する、
請求項2に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力系統と前記分電盤の間に接続される交流電力量計から取得される電力量と、前記発電装置の発電量をもとに、前記発電装置の発電量の内、前記負荷で消費された発電量を算出する、
請求項1または3に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記蓄電装置の充電期間において前記複数の直流電力計および前記交流電力計でそれぞれ測定された電力をもとに、前記蓄電装置に蓄積されている容量を、前記発電装置に由来する容量と前記電力系統に由来する容量に分類し、
前記インバータから前記分電盤の方向に電流が流れている期間の前記複数の直流電力計で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と、前記交流電力計で測定された電力と、前記蓄電装置に蓄積されている容量の内の前記発電装置に由来する容量の比率をもとに、前記蓄電装置から放電される前記発電装置に由来する放電量を計量する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記電力系統と前記分電盤の間に接続される交流電力量計から取得される電力量と、前記蓄電装置から放電される前記発電装置に由来する放電量をもとに、前記蓄電装置から放電される前記発電装置に由来する放電量の内、前記負荷で消費された放電量を算出する、
請求項5に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記複数の直流電力計および前記交流電力計は、特定計量器である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の電力変換システム。
【請求項8】
電力変換システムに接続された分散型電源の計量方法であって、
前記電力変換システムは、
複数の分散型電源にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータと、
直流側が前記複数のDC/DCコンバータの合流点に接続され、交流側が電力系統および負荷に接続された分電盤に接続されるインバータと、
前記複数の分散型電源と前記複数のDC/DCコンバータの間、または前記複数のDC/DCコンバータと前記合流点の間にそれぞれ接続される複数の直流電力計と、
前記インバータと前記分電盤の間に接続される交流電力計と、を備え、
前記複数の分散型電源には、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置と、蓄電装置が含まれ、
前記インバータから前記分電盤の方向に電流が流れている期間において、前記複数の直流電力計で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と前記交流電力計で測定された電力をもとに、前記発電装置の発電量を計量する、
計量方法。
【請求項9】
前記電力系統と前記分電盤の間に接続される交流電力量計から取得される電力量と、前記発電装置の発電量をもとに、前記発電装置の発電量の内、前記負荷で消費された発電量を算出する、
請求項8に記載の計量方法。
【請求項10】
前記蓄電装置の充電期間において前記複数の直流電力計および前記交流電力計でそれぞれ測定された電力をもとに、前記蓄電装置に蓄積されている容量を、前記発電装置に由来する容量と前記電力系統に由来する容量に分類し、
前記インバータから前記分電盤の方向に電流が流れている期間の前記複数の直流電力計で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と、前記交流電力計で測定された電力と、前記蓄電装置に蓄積されている容量の内の前記発電装置に由来する容量の比率をもとに、前記蓄電装置から放電される前記発電装置に由来する放電量を計量する、
請求項8または9に記載の計量方法。
【請求項11】
前記電力系統と前記分電盤の間に接続される交流電力量計から取得される電力量と、前記蓄電装置から放電される前記発電装置に由来する放電量をもとに、前記蓄電装置から放電される前記発電装置に由来する放電量の内、前記負荷で消費された放電量を算出する、
請求項10に記載の計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、分散型電源と接続される電力変換システム、計量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の抑制、低炭素・脱炭素化社会への実現に向け、二酸化炭素などの温室効果ガス削減の動きが拡大している。日本では2013年4月にJ-クレジット制度が開始した。J-クレジット制度は、温室効果ガスの排出削減または吸引量を、国がクレジットとして認証する制度である。認証されたクレジットは環境価値として証券化され、取引対象となる。J-クレジットには再生可能エネルギー由来クレジットが含まれる。再生可能エネルギー由来クレジットは、再生可能エネルギー(例えば、太陽光、風力、水力など)を由来として発電された電気の環境価値を証券化したものである。また、再生可能エネルギー由来クレジットに類似する証書として、日本自然保護エネルギー株式会社が第三者認証機関の認証を得て、グリーン電力証書を発行している。
【0003】
日本では2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)が開始し、太陽光発電システムの普及が拡大した。固定価格買取制度を利用することで、ユーザは、太陽光発電システムで発電された電力の内の余剰分を電力会社に固定価格で売却することができる。この固定価格には環境価値分が上乗せされている。
【0004】
従来、太陽光発電システムで発電された電力の内の自家消費分については基本的に、環境価値として顕在化されていなかった。近年、太陽光発電システムで発電された電力の内の自家消費分の環境価値を証券化してクレジットを創出する動きが開始されている。
【0005】
固定価格買取制度の買取価格は年々低下しており、太陽光発電システムで発電された電力を自家消費するニーズが高まっている。それに伴い、太陽光発電システムと蓄電システムを連携させたシステム(以下、ハイブリッド蓄電システム(創蓄連携システムとも称される))が普及してきている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
太陽光発電システムの場合、比較的簡単かつ高精度に、逆潮流電力や自家消費電力を計量することができる。ハイブリッド蓄電システムの場合、蓄電池からの放電電力に、太陽電池から充電された太陽電池由来の電力と、系統から充電された系統由来の電力が混ざり込んでいる。そのため、自家消費電力の内、太陽電池由来の電力を高精度に計量することが難しくなる。
【0008】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、再生可能エネルギー由来の電力を高精度に計量することができる電力変換システム、計量方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の電力変換システムは、複数の分散型電源にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータと、直流側が前記複数のDC/DCコンバータの合流点に接続され、交流側が電力系統および負荷に接続された分電盤に接続されるインバータと、前記複数の分散型電源と前記複数のDC/DCコンバータの間にそれぞれ接続される複数の直流電力計と、前記インバータと前記分電盤の間に接続される交流電力計と、前記複数の直流電力計と前記交流電力計から、それぞれ測定された電力を取得する制御部と、を備える。前記複数の分散型電源には、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置と、蓄電装置が含まれ、前記制御部は、前記インバータから前記分電盤の方向に電流が流れている期間において、前記複数の直流電力計で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と前記交流電力計で測定された電力をもとに、前記発電装置の発電量を計量する。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本開示の表現を装置、システム、方法、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、再生可能エネルギー由来の電力を高精度に計量することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係る電力変換システムを説明するための図である。
【
図2】実施の形態1に係る太陽電池の発電量、定置型蓄電池の放電量、車載蓄電池の放電量の内の環境価値を模式的に示した図である。
【
図3】実施の形態2に係る電力変換システムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電力変換システム1を説明するための図である。電力変換システム1には複数の分散型電源が接続される。本実施の形態では、複数の分散型電源として、太陽電池6、定置型蓄電池7および車載蓄電池8が接続される。
【0014】
電力変換システム1は、太陽電池6用のパワーコンディショナ機能と、定置型蓄電池7用のパワーコンディショナ機能、車載蓄電池8用のパワーコンディショナ機能を一体化させた統合型の電力変換システム(パワーステーション(登録商標)とも称される)である。電力変換システム1は、主な構成要素として、第1DC/DCコンバータ11a、第2DC/DCコンバータ11b、第3DC/DCコンバータ11c、インバータ12および制御部13を備える。
【0015】
太陽電池6は光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接、直流電力に変換することができる。太陽電池6として、ヘテロ接合太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、単結晶シリコン太陽電池、薄膜シリコン太陽電池、化合物系太陽電池などを使用することができる。
【0016】
太陽電池6は、第1DC/DCコンバータ11aと接続され、発電した電力を第1DC/DCコンバータ11aに出力する。第1DC/DCコンバータ11aは、太陽電池6と直流バスBdとの間に接続され、太陽電池6から出力される直流電力の電圧を調整可能なコンバータである。第1DC/DCコンバータ11aは例えば、昇圧チョッパで構成することができる。
【0017】
定置型蓄電池7は、電力を充放電可能であり、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池などで構成される。定置型蓄電池7は、第2DC/DCコンバータ11bと接続され、第2DC/DCコンバータ11bにより充放電制御される。第2DC/DCコンバータ11bは、定置型蓄電池7と直流バスBdとの間に接続され、定置型蓄電池7を充放電する双方向DC/DCコンバータである。
【0018】
車載蓄電池8は、電動車に搭載される駆動用蓄電池であり、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池などで構成される。電動車と電力変換システム1は充電ケーブルで接続される。車載蓄電池8は、電動車が自宅に駐車時に第3DC/DCコンバータ11cと接続され、第3DC/DCコンバータ11cにより充放電制御される。第3DC/DCコンバータ11cは、車載蓄電池8と直流バスBdとの間に接続され、電動車が自宅に駐車時に車載蓄電池8を充放電する双方向DC/DCコンバータである。
【0019】
なお定置または車載の蓄電池は、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどのキャパシタで代用することもできる。本明細書では蓄電池とキャパシタを総称して蓄電装置という。
【0020】
インバータ12は、直流バスBdと分電盤3との間に接続される。直流バスBdには、第1DC/DCコンバータ11a-第3DC/DCコンバータ11cが並列に接続される。インバータ12は、第1DC/DCコンバータ11a、第2DC/DCコンバータ11bおよび第3DC/DCコンバータ11cの少なくとも一つから直流バスBdを介して供給される直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を分電盤3に出力する。その際、インバータ12は、出力する交流電力の電圧または電流を制御することができる。
【0021】
また、インバータ12は、分電盤3を介して商用電力系統2(以下、単に系統2という)から供給される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を第2DC/DCコンバータ11bまたは第3DC/DCコンバータ11cに出力することもできる。分電盤3には、系統2と宅内負荷4が接続される。宅内負荷4は宅内に設置された負荷の総称である。
【0022】
第1DC/DCコンバータ11a-第3DC/DCコンバータ11cおよびインバータ12には、変換効率が同じか、できるだけ近いものを使用することが望ましい。
【0023】
制御部13は、電力変換システム1全体を制御する。制御部13は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、またはハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源としてアナログ素子、マイクロコントローラ、DSP、ROM、RAM、ASIC、FPGA、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源として、ファームウェアなどのプログラムを利用できる。
【0024】
制御部13は、第1DC/DCコンバータ11aを制御することにより、太陽電池6のMPPT(Maximum Power Point Tracking) 制御を実行する。具体的には制御部13は、太陽電池6の出力電圧および出力電流である、第1DC/DCコンバータ11aの入力電圧および入力電流を測定して太陽電池6の発電電力を推定する。制御部13は、測定した太陽電池6の出力電圧と、推定した発電電力をもとに、太陽電池6の発電電力を最大電力点(最適動作点)にするための電圧指令値を生成する。制御部13は例えば、山登り法に従い動作点電圧を所定のステップ幅で変化させて最大電力点を探索し、最大電力点を維持するように電圧指令値を生成する。第1DC/DCコンバータ11aは、生成された電圧指令値に基づく駆動信号に応じてスイッチング動作する。
【0025】
制御部13は、第2DC/DCコンバータ11bを制御して、定置型蓄電池7を充放電制御する。第2DC/DCコンバータ11bは、制御部13から設定される電流指令値または電圧指令値に基づき、定置型蓄電池7の定電流(CC)放電、定電圧(CV)放電、定電流充電または定電圧充電を行う。なお、定置型蓄電池7を太陽電池6の発電量および宅内負荷4の消費量の少なくとも一方に追従させて運転する場合、制御部13は、直流バスBdの電圧に応じて第2DC/DCコンバータ11bの電流指令値を生成する。
【0026】
制御部13は、第3DC/DCコンバータ11cを制御して、車載蓄電池8を充放電制御することができる。制御部13は、充電ケーブル内の通信線を経由して車載蓄電池8のBMU(Battery Management Unit)と通信することができる。CHAdeMO(登録商標)の場合、CAN(Controller Area Network)で接続される。第3DC/DCコンバータ11cは、制御部13または車載蓄電池8のBMUから設定される電流指令値または電圧指令値に基づき、車載蓄電池8の定電流放電、定電圧放電、定電流充電または定電圧充電を行う。
【0027】
制御部13は、直流バスBdの電圧が目標値を維持するようにインバータ12を制御する。具体的には制御部13は、直流バスBdの電圧を測定し、測定したバス電圧を目標値に一致させるための電流指令値を生成する。制御部13は、直流バスBdの電圧が目標値より高い場合はインバータ12の出力電力を上げるための電流指令値を生成し、直流バスBdの電圧が目標値より低い場合はインバータ12の出力電力を下げるための電流指令値を生成する。インバータ12は、生成された電流指令値に基づく駆動信号に応じてスイッチング動作する。
【0028】
電源回路14は、インバータ12と分電盤3間の配電線に供給される交流電力を直流電力に変換しつつ、所定の電圧値に降圧して制御電源電圧を生成する。電源回路14は例えば、系統2の202±20Vの交流電圧を、24Vの直流電圧(制御電源電圧)に変換する。電源回路14は、生成した制御電源電圧を、電力変換システム1内の各種負荷(例えば、第1DC/DCコンバータ11a-第3DC/DCコンバータ11cおよびインバータ12にそれぞれ含まれる駆動回路)に供給する。電源回路14は、さらに制御電源電圧を降圧して制御部13の電源電圧(例えば、5V)を生成して、制御部13に供給する。
【0029】
外部接続管理装置17は、電力検出ユニットであってもよいし、リモコン設定器であってもよいし、HEMS(Home Energy Management System)コントローラであってもよい。外部接続管理装置17と電力変換システム1の本体との間は有線(例えば、RS-485規格に準拠したケーブル)で接続されてもよいし、無線(例えば、Wi-Fi(登録商標)、小電力無線)で接続されてもよい。外部接続管理装置17はルータ装置20に接続される。外部接続管理装置17とルータ装置20との間は有線(例えば、LANケーブル)または無線(例えば、Wi-Fi)で接続される。
【0030】
外部接続管理装置17にはモニタ(不図示)を接続することができる。外部接続管理装置17とモニタは直接接続されてもよいし、ルータ装置20を介して接続されてもよい。モニタには、太陽光発電システムの発電量、買電量、売電量、使用電力量、時間帯別の電気料金、運転モードなどを表示させることができる。なお、これらの情報は、ルータ装置20に無線または有線で接続されたユーザが所持する情報端末(例えば、スマートフォン、タブレット、PCなど)の画面に表示させることもできる。
【0031】
外部接続管理装置17またはモニタは記録媒体を含んでいてもよい。その場合、電力量の測定データをログデータとして記録媒体に保存することができる。記録媒体は、内蔵式でもよいし、着脱式のリムーバブル記録媒体であってもよい。
【0032】
外部接続管理装置17は、外部のネットワーク9に接続するためのゲートウェイとしての機能を担う。ネットワーク9は、インターネット、専用線、VPN(Virtual Private Network)などの通信路の総称であり、その通信媒体やプロトコルは問わない。通信媒体として例えば、光ファイバ網、ADSL網、CATV網、モバイル通信網、無線LAN、有線LANなどを使用することができる。通信プロトコルとして例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)/IP、イーサネット(登録商標)などを使用することができる。
【0033】
系統2と分電盤3の間に、交流電力量計としてのスマートメータ5が接続される。スマートメータ5は、電圧センサと電流センサを備え、電圧センサで測定された系統電圧と、電流センサで測定された電流を乗算して電力を測定する。スマートメータ5は、所定時間(例えば、30分)ごとの積算電力量を計量することができる。順潮流電力も逆潮流電力も計量することができる。スマートメータ5は通信機能を搭載し、ネットワーク9を介して所定時間ごとに積算電力量を小売電気事業者サーバ40に送信することができる。またスマートメータ5は、外部接続管理装置17に測定電力をリアルタイムに送信することもできる。
【0034】
インバータ12と分電盤3の間に交流電力計15が接続される。より具体的には、インバータ12と分電盤3間の配電線上の、電源回路14の分岐点N2より分電盤3側に交流電力計15が設置される。交流電力計15は、電圧センサと電流センサを備え、電圧センサで測定された電力変換システム1の出力電圧または入力電圧と、電流センサで測定された電力変換システム1の出力電流または入力電流を乗算して、電力変換システム1の出力電力または入力電力を測定する。交流電力計15は、測定した電力変換システム1の出力電力または入力電力を制御部13に出力する。なお、乗算は制御部13で行ってもよい。
【0035】
交流電力計15は、特定計量に使用する計量器(以下、特定計量器という)で構成される。日本では2020年6月にエネルギー供給強靭化法が成立した。エネルギー供給強靭化法には、分散型リソースの活用促進に向けた環境整備のため、特定計量制度が盛り込まれた。特定計量制度は、一定の条件の下、計量法に基づく検定を受けない計量器の使用を特例として許可する制度である。事前に届出を行った事業者(アグリゲータなど)は、家庭などの分散リソース(例えば、太陽光発電、EV)を活用した新たな取引に限り、その届け出た取引に対して、計量法の規定の適用除外を受けることができる。
【0036】
事業者は、適切な計量の実施を確保し、需要家(家庭など)を保護する観点から、使用する特定計量器の精度の確保、需要家への説明責任が求められる。パワーコンディショナも特定計量器の対象となる。特定計量器は、新たな電力取引を行おうとする届出者が、取引当事者間のニーズや取引規模や使用用途などを踏まえて、使用中の公差を0.9%~10%の7段階の中から柔軟に選択できることとされた。公差とは、計量値から真値を減じた値の真値に対する割合の絶対値で表される許容差をいう。例えば、n3階級が選択される場合、検査時の公差が2.0%、使用中の公差が3.0%と規定されている。n3階級は、一般送配電事業者の送電網を介した取引において、取引規模に関わらず、取引の相手方に対して説明責任を負わずに取引が可能な階級である。
【0037】
太陽電池6と第1DC/DCコンバータ11aの間に第1直流電力計16aが接続される。第1直流電力計16aは、電圧センサと電流センサを備え、電圧センサで測定された太陽電池6の出力電圧と、電流センサで測定された太陽電池6の出力電流を乗算して、太陽電池6の出力電力を測定する。第1直流電力計16aは、太陽電池6の出力電力を制御部13に出力する。なお、乗算は制御部13で行ってもよい。
【0038】
定置型蓄電池7と第2DC/DCコンバータ11bとの間に第2直流電力計16bが接続される。第2直流電力計16bは、電圧センサと電流センサを備え、電圧センサで測定された定置型蓄電池7の充電電圧または放電電圧と、電流センサで測定された定置型蓄電池7の充電電流または放電電流を乗算して、定置型蓄電池7の充電電力または放電電力を測定する。第2直流電力計16bは、定置型蓄電池7の充電電力または放電電力を制御部13に出力する。なお、乗算は制御部13で行ってもよい。
【0039】
車載蓄電池8と第3DC/DCコンバータ11cとの間に第3直流電力計16cが接続される。第3直流電力計16cは、電圧センサと電流センサを備え、電圧センサで測定された車載蓄電池8の充電電圧または放電電圧と、電流センサで測定された車載蓄電池8の充電電流または放電電流を乗算して、車載蓄電池8の充電電力または放電電力を測定する。第3直流電力計16cは、定置型蓄電池7の充電電力または放電電力を制御部13に出力する。なお、乗算は制御部13で行ってもよい。
【0040】
なお
図1では図面を簡略化するため、第1DC/DCコンバータ11a-第3DC/DCコンバータ11cおよびインバータ12のそれぞれの制御用の電圧を測定するための電圧センサ、およびそれぞれの制御用の電流を測定するための電流センサは省略して描いている。なお、一部の制御において、特定計量器で測定された電圧または電流の値が流用されてもよい。
【0041】
制御部13は、インバータ12から分電盤3の方向に電流が流れている電力変換システム1の出力期間において、定置型蓄電池7および車載蓄電池8が充放電していない場合、交流電力計15で測定された電力を太陽電池6の発電電力とし、所定期間の太陽電池6の発電電力を積算して、太陽電池6の発電量を計量する。
【0042】
制御部13は、電力変換システム1の出力期間において、定置型蓄電池7および車載蓄電池8が充電している場合、交流電力計15で測定された電力を太陽電池6の発電電力(蓄電される分を除く)とし、所定期間の太陽電池6の発電電力(蓄電される分を除く)を積算して、太陽電池6の発電量(蓄電される分を除く)を計量する。後述するように、太陽電池6の発電電力の内、定置型蓄電池7または車載蓄電池8に蓄電された分は、定置型蓄電池7または車載蓄電池8から放電されたときに、発電量として顕在化される。
【0043】
制御部13は、電力変換システム1の出力期間において、定置型蓄電池7または車載蓄電池8が放電している場合、第1直流電力計16a-第3直流電力計16cで測定された複数の電力の按分比率を算出する。以下の説明では定置型蓄電池7および車載蓄電池8が同時に充放電しないことを前提とする。制御部13は、当該按分比率と交流電力計15で測定された電力をもとに太陽電池6の発電電力を算出する。
【0044】
例えば、太陽電池6の出力電力:定置型蓄電池7の放電電力:車載蓄電池8の放電電力が1:1:0の場合、制御部13は、交流電力計15で測定された電力に1/2を掛けて、太陽電池6の発電電力(蓄電装置経由を含まず)を算出する。制御部13は、所定期間の太陽電池6の発電電力(蓄電装置経由を含まず)を積算して、太陽電池6の発電量(蓄電装置経由を含まず)を計量する。
【0045】
制御部13は、スマートメータ5から外部接続管理装置17を経由して取得される電力量と、太陽電池6の発電量をもとに、太陽電池6の発電量の内、宅内負荷4で消費された電力量を算出する。買電期間(順潮流期間)では、太陽電池6の発電量全部が、自家消費電力量となる。売電期間(逆潮流期間)では、制御部13は太陽電池6の発電量から、スマートメータ5から取得した逆潮流電力量を減算して、太陽電池6の発電量の自家消費電力量を算出する。なお、定置型蓄電池7または車載蓄電池8が放電している場合、制御部13は、スマートメータ5から取得した逆潮流電力量に、太陽電池6の発電量(蓄電装置経由を含まず)の按分比率を掛けて補正した逆潮流電力量を、太陽電池6の発電量から減算する必要がある。
【0046】
制御部13は、定置型蓄電池7の充電期間において、第1直流電力計16aで測定される電力がゼロの期間では、第2直流電力計16bで測定された電力の積算量を系統由来の電力量として記録する。制御部13は、定置型蓄電池7の充電期間において、交流電力計15で測定される電力がゼロまたは電力変換システム1から分電盤3に出力される方向の期間では、第2直流電力計16bで測定された電力の積算量を太陽電池由来の電力量として記録する。
【0047】
制御部13は、定置型蓄電池7の充電期間において、第1直流電力計16aで測定される電力がゼロでなく、かつ交流電力計15で測定される電力が分電盤3から電力変換システム1に入力する方向の期間では、第1直流電力計16aで測定される電力と交流電力計15で測定される電力の按分比率を算出する。制御部13は、第2直流電力計16bで測定された電力の積算量に、第1直流電力計16aで測定される電力の比率を掛けて太陽電池由来の電力量を算出して記録する。制御部13は、第2直流電力計16bで測定された電力の積算量に、交流電力計15で測定される電力の比率を掛けて系統由来の電力量を算出して記録する。
【0048】
このように制御部13は、定置型蓄電池7の充電期間において、第1直流電力計16a-第3直流電力計16cおよび交流電力計15でそれぞれ測定された電力をもとに、定置型蓄電池7の容量を、太陽電池由来の容量と系統由来の容量に分類して記録する。
【0049】
制御部13は、電力変換システム1の出力期間において、定置型蓄電池7が放電している場合、第1直流電力計16a-第3直流電力計16cで測定された複数の電力の按分比率を算出する。制御部13は、当該按分比率と電力変換システム1の出力期間の交流電力計15で測定された電力をもとに、定置型蓄電池7の放電電力を算出する。制御部13は、所定期間の定置型蓄電池7の放電電力を積算して、定置型蓄電池7の放電量を算出する。
【0050】
制御部13は、所定期間に定置型蓄電池7に充電された太陽電池由来の容量と、系統由来の容量の合計を算出し、算出した合計容量と太陽電池由来の容量をもとに、所定期間に充電された容量の内の太陽電池由来の容量の比率を算出する。制御部13は、当該太陽電池由来の容量の比率を、放電期間の定置型蓄電池7からの放電量に掛けて、放電期間の定置型蓄電池7からの太陽電池由来の放電量を計量する。
【0051】
制御部13は、スマートメータ5から外部接続管理装置17を経由して取得される電力量と、定置型蓄電池7の太陽電池由来の放電量をもとに、太陽電池由来の放電量の内、宅内負荷4で消費された電力量を算出する。買電期間(順潮流期間)では、太陽電池由来の放電量の全部が、自家消費電力量となる。売電期間(逆潮流期間)では、制御部13は太陽電池由来の放電量から、スマートメータ5から取得した逆潮流電力量を減算することにより、太陽電池由来の放電量の自家消費電力量を算出する。なお、太陽電池6が発電している場合、制御部13は、スマートメータ5から取得した逆潮流電力量に、定置型蓄電池7の放電量の按分比率を掛けて補正した逆潮流電力量を、太陽電池由来の放電量から減算する必要がある。
【0052】
制御部13は、定置型蓄電池7と同様の算出方法で、所定期間における車載蓄電池8からの太陽電池由来の放電量と、その内の自家消費電力量を算出することができる。なお、車載蓄電池8の容量は、電動車の走行に伴う放電により減少し、外部の充電施設からの充電により増加する。
【0053】
車載蓄電池8のBMU は、電力変換システム1と充電ケーブルで接続された状態が解除されたときから、次に充電ケーブルで電力変換システム1と接続されるまでの期間(以下、分離期間という)の、車載蓄電池8の消費量と、外部の充電施設からの充電量を記録しておく。車載蓄電池8のBMUは、分離期間が終了して充電ケーブルで電力変換システム1と接続されると、充電ケーブル内の通信線を経由して分離期間の消費量と充電量を制御部13に送信する。
【0054】
制御部13は、分離期間の消費量と充電量を比較して充電量の方が多い場合、分離期間の充電量から消費量を減算して正味充電量を算出する。制御部13は、所定期間に車載蓄電池8に充電された自宅の太陽電池由来の容量と、系統由来の容量と、外部の充電設備由来からの正味充電量の合計を算出し、算出した合計容量と太陽電池由来の容量をもとに、所定期間に車載蓄電池8に充電された容量の内の太陽電池由来の容量の比率を算出する。
【0055】
制御部13は、所定期間ごとに太陽電池6の発電量の内の自家消費量、定置型蓄電池7の太陽電池由来の放電量の内の自家消費量、車載蓄電池8の太陽電池由来の放電量の内の自家消費量を外部接続管理装置17に出力する。なお、制御部13は、太陽電池6の発電量の内の逆潮流量、定置型蓄電池7の太陽電池由来の放電量の内の逆潮流、車載蓄電池8の太陽電池由来の放電量の内の逆潮流も外部接続管理装置17に出力してもよい。
【0056】
外部接続管理装置17は、電力変換システム1の本体から受信した太陽電池6の発電量の内の自家消費量、定置型蓄電池7の太陽電池由来の放電量の内の自家消費量、車載蓄電池8の太陽電池由来の放電量の内の自家消費量を、ネットワーク9を経由してデータサーバ30に送信する。
【0057】
データサーバ30は例えば、電力変換システム1のメーカにより運営されるサーバである。データサーバ30は、データセンタまたは自社施設に設置される自社サーバであってもよいし、クラウドサービス契約に基づくクラウドサーバであってもよい。電力変換システム1のメーカまたはパートナー企業は、データサーバ30に蓄積された太陽電池6の発電量に由来する自家消費量(蓄電装置経由分も含む)をまとめて、J-クレジット認証委員会に申請する。申請が承認されるとJ-クレジットが発行される。これにより、太陽電池6の発電量に由来する自家消費量が環境価値として顕在化される。
【0058】
図2は、実施の形態1に係る太陽電池6の発電量、定置型蓄電池7の放電量、車載蓄電池8の放電量の内の環境価値を模式的に示した図である。太陽電池由来の発電量の内、自家消費されずに逆潮流された分は、固定価格買取制度(FIT)などの別の仕組みで環境価値が顕在化される。
【0059】
以上の説明では、所定期間ごとの太陽電池6の発電量の内の自家消費量、定置型蓄電池7の太陽電池由来の放電量の内の自家消費量、車載蓄電池8の太陽電池由来の放電量の内の自家消費量の算出を、電力変換システム1の制御部13で行う例を説明した。この点、所定期間ごとの太陽電池6の発電量の内の自家消費量、定置型蓄電池7の太陽電池由来の放電量の内の自家消費量、車載蓄電池8の太陽電池由来の放電量の内の自家消費量の算出をデータサーバ30で行ってもよい。この場合、制御部13は、第1直流電力計16a-第3直流電力計16cおよび交流電力計15でそれぞれ測定された電力を外部接続管理装置17に出力する。外部接続管理装置17は、電力変換システム1の本体から受信した第1直流電力計16a-第3直流電力計16cおよび交流電力計15でそれぞれ測定された電力を、ネットワーク9を経由してデータサーバ30に送信する。
【0060】
以上説明したように実施の形態1によれば、交流電力計15で測定された電力と、第1直流電力計16a-第3直流電力計16cで測定された電力の按分比率をもとに太陽電池6の発電量に由来する電力量を計量することで、太陽電池6の発電量に由来する電力量を高精度に計量することができる。
【0061】
第1DC/DCコンバータ11a-第3DC/DCコンバータ11cの変換効率が同じか近い場合、交流電力計15で測定された電力の内の、太陽電池6の出力電力の分と、定置型蓄電池7または車載蓄電池8の放電電力の分を高精度に切り分けることができる。交流電力計15で測定された電力を按分することで算出された太陽電池6の出力電力と、定置型蓄電池7または車載蓄電池8の放電電力からは、第1DC/DCコンバータ11aと、第2DC/DCコンバータ11bまたは第3DC/DCコンバータ11cの変換損失分と、インバータ12の変換損失分と、電力変換システム1の内部消費分が除外されており、宅内負荷4で消費された正味の電力量を計量することができる。
【0062】
また、交流電力計15および第1直流電力計16a-第3直流電力計16cに特定計量器を使用することで、最終的に算出される太陽電池6の発電量に由来する自家消費量の計量精度を担保することができる。
【0063】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2に係る電力変換システム1を説明するための図である。実施の形態2に係る電力変換システム1は、
図1に示した実施の形態2に係る電力変換システム1と比較して第1直流電力計16a-第3直流電力計16cの設置位置が異なる。
【0064】
実施の形態2では、第1直流電力計16aは、第1DC/DCコンバータ11aと、直流バスBd上の第1DC/DCコンバータ11a-第3DC/DCコンバータ11cの合流点N1との間に接続される。第2直流電力計16bは、第2DC/DCコンバータ11bと合流点N1との間に接続される。第3直流電力計16cは、第3DC/DCコンバータ11cと合流点N1との間に接続される。
【0065】
制御部13は、定置型蓄電池7の充電期間において、第1直流電力計16aで測定される電力がゼロでなく、かつ交流電力計15で測定される電力が分電盤3から電力変換システム1に入力する方向の期間では、第1直流電力計16aで測定される電力と交流電力計15で測定される電力の按分比率を算出する。制御部13は、第2直流電力計16bで測定された電力の積算量に、第1直流電力計16aで測定される電力の比率と、第2DC/DCコンバータ11bの変換効率を掛けて太陽電池由来の電力量を算出して記録する。制御部13は、第2直流電力計16bで測定された電力の積算量に、交流電力計15で測定される電力の比率と、第2DC/DCコンバータ11bの変換効率を掛けて系統由来の電力量を算出して記録する。車載蓄電池8についても同様である。その他の動作は実施の形態1と同様である。
【0066】
以上説明したように実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。実施の形態2では、第1直流電力計16a-第3直流電力計16cを直流バスBd側に設置することで、交流電力計15で測定された電力から第1DC/DCコンバータ11a-第3DC/DCコンバータ11cの変換損失の影響を取り除くことができる。したがって、第1DC/DCコンバータ11a-第3DC/DCコンバータ11cの変換効率にばらつきがあっても、太陽電池6の発電量に由来する電力量を高精度に計量することができる。
【0067】
以上、本開示を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0068】
上記実施の形態では、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置として太陽電池6を使用する例を説明した。この点、太陽電池6の代わりに、風力発電機、マイクロ水力発電機を使用することもできる。この場合、風力発電機またはマイクロ水力発電機と、第1DC/DCコンバータ11aとの間に整流器が接続される。
【0069】
上記実施の形態では、定置型蓄電池7および車載蓄電池8が接続される電力変換システム1を説明したが、定置型蓄電池7または車載蓄電池8の一方のみが接続される電力変換システム1であってもよい。
【0070】
なお、実施の形態は、以下の項目によって特定されてもよい。
【0071】
[項目1]
複数の分散型電源(6-8)にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)と、
直流側が前記複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)の合流点(N1)に接続され、交流側が電力系統(2)および負荷(4)に接続された分電盤(3)に接続されるインバータ(12)と、
前記複数の分散型電源(6-8)と前記複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)の間にそれぞれ接続される複数の直流電力計(16a-16c)と、
前記インバータ(12)と前記分電盤(3)の間に接続される交流電力計(15)と、
前記複数の直流電力計(16a-16c)と前記交流電力計(15)から、それぞれ測定された電力を取得する制御部(13)と、を備え、
前記複数の分散型電源(6-8)には、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置(6)と、蓄電装置(7または8)が含まれ、
前記制御部(13)は、前記インバータ(12)から前記分電盤(3)の方向に電流が流れている期間において、前記複数の直流電力計(16a-16c)で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と前記交流電力計(15)で測定された電力をもとに、前記発電装置(6)の発電量を計量する、
電力変換システム(1)。
これによれば、発電装置(6)の発電量を高精度に計量することができる。
[項目2]
複数の分散型電源(6-8)にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)と、
直流側が前記複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)の合流点(N1)に接続され、交流側が電力系統(2)および負荷(4)に接続された分電盤(3)に接続されるインバータ(12)と、
前記複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)と前記合流点(N1)の間にそれぞれ接続される複数の直流電力計(16a-16c)と、
前記インバータ(12)と前記分電盤(3)の間に接続される交流電力計(15)と、
前記複数の直流電力計(16a-16c)と前記交流電力計(15)から、それぞれ測定された電力を取得する制御部(13)と、を備え、
前記複数の分散型電源(6-8)には、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置(6)と、蓄電装置(7または8)が含まれる、
電力変換システム(1)。
これによれば、発電装置(6)の発電量を高精度に計量することができる。
[項目3]
前記制御部(13)は、前記インバータ(12)から前記分電盤(3)の方向に電流が流れている期間において、前記複数の直流電力計(16a-16c)で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と前記交流電力計(15)で測定された電力をもとに、前記発電装置(6)の発電量を計量する、
項目2に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、発電装置(6)の発電量を高精度に計量することができる。
[項目4]
前記制御部(13)は、前記電力系統(2)と前記分電盤(3)の間に接続される交流電力量計(5)から取得される電力量と、前記発電装置(6)の発電量をもとに、前記発電装置(6)の発電量の内、前記負荷(4)で消費された発電量を算出する、
項目1または3に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、発電装置(6)の発電量の内の負荷(4)で消費された発電量を高精度に計量することができる。
[項目5]
前記制御部(13)は、
前記蓄電装置(7または8)の充電期間において前記複数の直流電力計(16a-16c)および前記交流電力計(15)でそれぞれ測定された電力をもとに、前記蓄電装置(7または8)に蓄積されている容量を、前記発電装置(6)に由来する容量と前記電力系統(2)に由来する容量に分類し、
前記インバータ(12)から前記分電盤(3)の方向に電流が流れている期間の前記複数の直流電力計(16a-16c)で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と、前記交流電力計(15)で測定された電力と、前記蓄電装置(7または8)に蓄積されている容量の内の前記発電装置(6)に由来する容量の比率をもとに、前記蓄電装置(7または8)から放電される前記発電装置(6)に由来する放電量を計量する、
項目1から4のいずれか1項に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、蓄電装置(7または8)から放電される発電装置(6)に由来する放電量を高精度に計量することができる。
[項目6]
前記制御部(13)は、前記電力系統(2)と前記分電盤(3)の間に接続される交流電力量計(5)から取得される電力量と、前記蓄電装置(7または8)から放電される前記発電装置(6)に由来する放電量をもとに、前記蓄電装置(7または8)から放電される前記発電装置(6)に由来する放電量の内、前記負荷(4)で消費された放電量を算出する、
項目5に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、蓄電装置(7または8)から放電される発電装置(6)に由来する放電量の内の負荷(4)で消費された放電量を高精度に算出することができる。
[項目7]
前記複数の直流電力計(16a-16c)および前記交流電力計(15)は、特定計量器である、
項目1から6のいずれか1項に記載の電力変換システム(1)。
これによれば、複数の直流電力計(16a-16c)および交流電力計(15)のそれぞれで測定される電力の精度を確保することができる。
[項目8]
電力変換システム(1)に接続された分散型電源の計量方法であって、
前記電力変換システム(1)は、
複数の分散型電源(6-8)にそれぞれ接続される複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)と、
直流側が前記複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)の合流点(N1)に接続され、交流側が電力系統(2)及び負荷(4)に接続された分電盤(3)に接続されるインバータ(12)と、
前記複数の分散型電源(6-8)と前記複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)の間、または前記複数のDC/DCコンバータ(11a-11c)と前記合流点(N1)の間にそれぞれ接続される複数の直流電力計(16a-16c)と、
前記インバータ(12)と前記分電盤(3)の間に接続される交流電力計(15)と、を備え、
前記複数の分散型電源(6-8)には、再生可能エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置(6)と、蓄電装置(7または8)が含まれ、
前記インバータ(12)から前記分電盤(3)の方向に電流が流れている期間において、前記複数の直流電力計(16a-16c)で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と前記交流電力計(15)で測定された電力をもとに、前記発電装置(6)の発電量を計量する、
計量方法。
これによれば、発電装置(6)の発電量を高精度に計量することができる。
[項目9]
前記電力系統(2)と前記分電盤(3)の間に接続される交流電力量計(5)から取得される電力量と、前記発電装置(6)の発電量をもとに、前記発電装置(6)の発電量の内、前記負荷(4)で消費された発電量を算出する、
項目8に記載の計量方法。
これによれば、発電装置(6)の発電量の内の負荷(4)で消費された発電量を高精度に計量することができる。
[項目10]
前記蓄電装置(7または8)の充電期間において前記複数の直流電力計(16a-16c)および前記交流電力計(15)でそれぞれ測定された電力をもとに、前記蓄電装置(7または8)に蓄積されている容量を、前記発電装置(6)に由来する容量と前記電力系統(2)に由来する容量に分類し、
前記インバータ(12)から前記分電盤(3)の方向に電流が流れている期間の前記複数の直流電力計(16a-16c)で測定された複数の電力の按分比率を算出し、当該按分比率と、前記交流電力計(15)で測定された電力と、前記蓄電装置(7または8)に蓄積されている容量の内の前記発電装置(6)に由来する容量の比率をもとに、前記蓄電装置(7または8)から放電される前記発電装置(6)に由来する放電量を計量する、
項目8または9に記載の計量方法。
これによれば、蓄電装置(7または8)から放電される発電装置(6)に由来する放電量を高精度に計量することができる。
[項目11]
前記電力系統(2)と前記分電盤(3)の間に接続される交流電力量計(5)から取得される電力量と、前記蓄電装置(7または8)から放電される前記発電装置(6)に由来する放電量をもとに、前記蓄電装置(7または8)から放電される前記発電装置(6)に由来する放電量の内、前記負荷(4)で消費された放電量を算出する、
項目10に記載の計量方法。
これによれば、蓄電装置(7または8)から放電される発電装置(6)に由来する放電量の内の負荷(4)で消費された放電量を高精度に算出することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 電力変換システム、 2 系統、 3 分電盤、 4 宅内負荷、 5 スマートメータ、 6 太陽電池、 7 定置型蓄電池、 8 車載蓄電池、 9 ネットワーク、 11a 第1DC/DCコンバータ、 11b 第2DC/DCコンバータ、 11c 第3DC/DCコンバータ、 12 インバータ、 13 制御部、 14 電源回路、 15 交流電力計、 16a 第1直流電力計、 16b 第2直流電力計、 16c 第3直流電力計、 17 外部接続管理装置、 20 ルータ装置、 30 データサーバ、 40 小売電気事業者サーバ。