(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130116
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ロボットハンドおよびピッキングロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
B25J15/08 P
B25J15/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034603
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】尾坂 忠史
(72)【発明者】
【氏名】西垣戸 貴臣
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707BS12
3C707DS01
3C707DS03
3C707ES03
3C707EU02
3C707EU07
3C707EV04
3C707EV07
3C707EV10
3C707FS01
3C707FT02
3C707FU02
3C707HS14
3C707HS27
3C707KS03
3C707KS09
3C707KT01
3C707KT06
3C707LV01
3C707LV10
3C707NS07
(57)【要約】
【課題】物品を確実に把持することができるロボットハンド及びピッキングシステムを提供する。
【解決手段】本発明ロボットハンド1は、物品100を把持する1本以上の指部13A、13Bと、指部13A、13Bを駆動する指駆動部12とを備え、指部13A、13Bのうち少なくとも1本は、閉じた際に指部13A、13B同士が接触する把持面側に、把持面同士が平行に接触する平面部13A41、13B41と、突起部13A45、13A46、13B45、13B46とを備え、突起部13A45、13A46、13B45、13B46が、物品100に下方から支持する
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持する1本以上の指部と、
前記指部を駆動する指駆動部とを備え、
前記指部のうち少なくとも1本は、閉じた際に前記指部同士が接触する把持面側に、把持面同士が平行に接触する平面部と、突起部とを備え、
前記突起部が、前記物品に下方から支持する
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記平面部は、前記物品に接触して支持をする
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項3】
請求項2に記載のロボットハンドにおいて、
前記平面部は、前記平面部が前記物品に接触して支持する際に前記物品の重量を超える摩擦力を発揮できる素材および把持面積を有して形成されている
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項4】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記指部のうち少なくとも1本は、凹部を備え、
前記平面部と、前記凹部の境界部分に、テーパ部を備えている
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項5】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記平面部または前記突起部は、柔軟な素材で構成されている
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項6】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記指部のうち少なくとも1本は、少なくとも2つの前記突起部を有し、
2つの前記突起部は、蓋付き容器の蓋部の下側を、2つの前記突起部で挟んだ際に、前記蓋付き容器の蓋部を下側から支持する
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項7】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
物品を把持する吸着部と、物品に応じて制御方法を判断する制御部とを備え、
前記制御部は、前記物品に応じて、前記吸着部と前記指部の使用とを選択、または、前記吸着部と前記指部の両方使用して前記物品の把持を行う
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項8】
物品を搬送する搬送ロボットを備え、
前記搬送ロボットの端部に、請求項1から7の何れか一項に記載のロボットハンドを備える
ことを特徴とするピッキングロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットハンドおよびピッキングロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、倉庫等で、所定の上流の工程から搬入された物品を搬送ロボットにより保持して、所定の場所まで搬出するピッキングシステムが知られている。ピッキングシステムに用いられる搬出ロボットには、物品を把持するロボットハンドが設けられている。ロボットハンドは通常、吸着パッドによって把持を行うが、物品の種類は多種多様であり、吸着パッドの吸着が困難な物品も存在する。例えば、ボトル状の物品やパウチを把持する必要がある。
【0003】
ボトル状の物品を把持するロボットハンドに関する技術としては、例えば、特許文献1に記載がある。
特許文献1には、第1の把持部と第2の把持部とを有する把持具が記載されている。
第2の把持部は、第1の把持部よりも遠位端側に配置され、第1の把持部よりも把持面の離間距離が大きい。なお、第2の把持部は、第1の把持部の中心軸付近において、その一部が省略されている、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-124067号公報(
図1、段落0020~0026等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ボトル状の物品の蓋部や本体部を、ロボットハンドの平面部の摩擦力によって把持していた。
そのため、特許文献1に記載の技術では、重いボトル状の物品を搬送する際に、ロボットハンドから抜け落ちるおそれがあった。
【0006】
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、重いボトル状の物品であっても確実に把持することができるロボットハンドおよびピッキングロボットシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明のロボットハンドは、物品を把持する1本以上の指部と、前記指部を駆動する指駆動部とを備え、前記指部のうち少なくとも1本は、閉じた際に前記指部同士が接触する把持面側に、把持面同士が平行に接触する平面部と、突起部とを備え、前記突起部が、前記物品に下方から支持している。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、重いボトル状の物品であっても確実に把持することができるロボットハンドおよびピッキングロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態1のピッキングシステムの概略構成図。
【
図2】本発明の実施形態1のロボットハンドの概略構成図。
【
図3A】ロボットハンドの指部が閉じた状態の正面図。
【
図3B】ロボットハンドの指部が開いた状態の正面図。
【
図4A】実施形態1のロボットハンドの指部の斜視図。
【
図4B】実施形態1のロボットハンドの指部の斜視図。
【
図5A】実施形態1で扱う物品の一例であるボトル2の蓋が閉じた状態の正面図。
【
図5B】実施形態1で扱う物品の一例であるボトル2の蓋が開いた状態の正面図。
【
図6A】ロボットハンドが収納段ボールからボトルを取り出す様子の正面図。
【
図6B】ロボットハンドが収納段ボールからボトルを取り出す様子の正面図。
【
図7A】ロボットハンドによってボトルを把持する様子の上面図。
【
図7B】ロボットハンドによってボトルを把持する様子の正面図。
【
図7C】ロボットハンドによってボトルを把持する様子の側面図。
【
図8A】様々な寸法の突起部に対するボトルの把持の様子の概略上面図。
【
図8B】様々な寸法の突起部に対するボトルの把持の様子の概略上面図。
【
図8C】様々な寸法の突起部に対するボトルの把持の様子の概略上面図。
【
図9】収納段ボールの端にあるボトルをロボットハンドで把持を行う様子の正面図。
【
図10】実施形態1で扱う物品の一例であるパウチの斜視図。
【
図11A】ロボットハンドによって収納段ボールに直立に整列して収納されたパウチを取り出す様子の正面図。
【
図11B】ロボットハンドによって収納段ボールに直立に整列して収納されたパウチを取り出す様子の正面図。
【
図12A】本発明の実施形態2に係るロボットハンドの正面図。
【
図12B】本発明の実施形態2に係るロボットハンドの正面図。
【
図13A】実施形態2のロボットハンドによって収納段ボールの中に整列して収納された箱状物品を取り出す様子の正面図。
【
図13B】実施形態2のロボットハンドによって収納段ボールの中に整列して収納された箱状物品を取り出す様子の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明は、ロボットハンドおよびロボットハンドを備えたピッキングシステムに関する。
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るロボットハンド1およびピッキングシステム5について説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
<<実施形態1>>
<ピッキングシステム5の構成>
図1に、本発明に係る実施形態1のピッキングシステム5の概略構成図を示す。
まず、実施形態1のピッキングシステム5の構成について説明する。
ピッキングシステム5は、収納段ダンボール200に入れて搬入される物品100を搬出コンテナ56に移し、所定の下流側の工程に搬出する装置である。
【0013】
ピッキングシステム5は、搬送ロボット51と、搬送ロボット51に物品100を搬入する搬入コンベア52と、移動機構53と、撮像装置55と、搬出コンベア54とを備えている。
ピッキングシステム5は、搬入コンベア52によって搬送された収納段ダンボール200の中の物品100を、搬送ロボット51を用いて搬出コンベア54上の搬出コンテナ56に搬送する。
【0014】
また、ピッキングシステム5は、搬送ロボット51、搬入コンベア52、移動機構53、撮像装置55を制御する制御装置57と、情報記憶装置58とを備えている。情報記憶装置58は、制御装置57に接続されている。制御装置57は、情報記憶装置58に格納された情報を用いて、ピッキングシステム5の制御を行う。
情報記憶装置58は、取り扱う物品100の形状、大きさや、搬入コンベア52に載置されている姿勢等の物品100に関する情報が予め格納されている。また、情報記憶装置58には、撮像装置55で撮影される搬入コンベア52から搬入された物品100の情報を記憶してもよい。
【0015】
搬送ロボット51は、例えば、6軸の関節を有する垂直多関節ロボットである。搬送ロボット51のアーム51aには、ロボットハンド1が設けられている。
撮像装置55は、搬入コンベア52から搬入された物品100を撮影する。そこで、撮像装置55は、搬送ロボット51がロボットハンド1を用いて物品100を把持する位置の上方に配置されている。
【0016】
撮像装置55は、撮影した情報を制御装置57に出力する。制御装置57は、撮像装置55から取得した情報に基づいて、物品100の位置や物品100の大きさ等の物品100に関する情報を判別する。つまり、制御装置57は、撮像装置55から取得した情報を、予め格納されている物品100に関する情報と照合して、物品100の位置や物品100の大きさ等の物品100に関する情報を判別する。
【0017】
そして、制御装置57は、物品100に関する情報に基づいて、搬送ロボット51及びロボットハンド1の動作を制御する。
なお、ピッキングシステム5では、撮像装置55を、物品100を把持する位置の上方に設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、撮像装置55を搬送ロボット51やロボットハンド1に設けてもよく、あるいは物品100を把持する位置の側方等に配置してよい。あるいは、撮像装置55の位置が動的に変わる構成となっていてもよい。
【0018】
さらに、撮像装置55が撮影した情報に基づいて、制御装置57が物品100の大きさや種別等を判別する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、情報記憶装置58に予め物品100の大きさや種別等に関する情報を格納し、この情報記憶装置58から制御装置57が物品100に関する情報を取得してもよい。
搬送ロボット51は、移動機構53により1軸方向(
図1のβ1方向)に移動可能に支持されている。移動機構53は、搬入コンベア52と搬出コンベア54の間に配置されている。そして、移動機構53の移動方向の一方側には、搬入コンベア52が配置され、他方側には、搬出コンベア54が配置されている。
【0019】
搬入コンベア52は、複数の物品100を収納した収納段ダンボール200をピッキングシステム5の上流側の工程から所定の位置、つまり、ロボットハンド1が把持する位置まで搬送する。
搬出コンベア54に設けた搬出コンテナ56には、搬送ロボット51およびロボットハンド1により搬出された物品100が収納される。そして、搬出コンベア54は、物品100が収納された搬出コンテナ56をピッキングシステム50の下流側の工程の所定の位置まで搬送する。
【0020】
収納段ダンボール200に収納された物品100は、すべて同一の物品であってもよいし、複数種類の物品が混載されていてもよい。また、収納段ボール200毎に、収納されている物品100が異なっていてもよい。つまり、収納段ボール200毎に任意の物品100が収納されている。
【0021】
<ロボットハンド1>
ロボットハンド1の構成について、
図2~
図4を参照して説明する。
図2に、本発明の実施形態1のロボットハンド1の概略構成図を示す。
ロボットハンド1は、基部11と、指駆動部12と、指部13A、13Bとを備えている。
【0022】
指部13Aは、指リンク部13A1、13A2、13A3と、指先部13A4とを備える。指リンク部13A1は、一方端に指歯車部13A11を備え、基部11と回転自在に接続されている。指リンク部13A1は、指歯車部13A11と固定されている。指リンク部13A1の他方端は指リンク部13A3と回転自在に接続されている。
【0023】
指リンク部13A2は、一方端が基部11と回転自在に接続され、他方端は指リンク部13A3と回転自在に接続されている。
指リンク部13A3の先端には、物品100(
図1参照)を把持する指先部13A4が接続されている。
【0024】
指リンク部13A1、13A2、13A3、および指先部13A4のそれぞれを回転自在に接続した4点の回転軸O11、O12、O13、O14を結んだ四角形は、対辺の長さが等しい平行四辺形となっている。
指部13Bも、指部13Aと同様な構成の指リンク部13B1、13B2、13B3と、指先部13B4とを備えている。
【0025】
<ロボットハンド1の開閉>
図3A、
図3Bに、ロボットハンド1の開閉の様子の正面図を示す。
図3Aに、ロボットハンド1の指部13A、13Bが閉じた状態の正面図を示す。
図3Bに、ロボットハンド1の指部13A、13Bが開いた状態の正面図を示す。
指駆動部12は、ステッピングモータであり、その回転量を制御することができる。指駆動部12の出力軸には、駆動歯車部121を備えている。
【0026】
駆動歯車部121は、指歯車部13B11と接続されている(と噛み合っている)。指歯車部13B11は、指歯車部13A11と接続されている(と噛み合っている)。指駆動部12を回転駆動させる(例えば、
図3Aの矢印α11)ことにより、指部13Aと指部13Bが同期して駆動される。つまり、指駆動部12を回転駆動させることにより、指部13Aと指部13Bとが開閉される。
【0027】
例えば、
図3Aに示すように、駆動歯車部121を時計周りに回転させる(
図3Aの矢印α11)と、指歯車部13B11は反時計周りに回転する(
図3Aの矢印α12)。指リンク部13B1も、指歯車部13B11と一体に接続しているため、同様に反時計周りに回転する(
図3Aの矢印α13)。
このとき、指リンク部13B2は指リンク部13B1と平行に回転する。指リンク部13B3は、常に同じ姿勢を保ちながら、平行移動する(
図3Aの矢印α1)。
【0028】
指歯車部13B11の反時計周りの回転(
図3Aの矢印α12)と同時に、指歯車部13A11は時計周りに回転し(
図3Aの矢印α14)、指部13Aは指部13Bと対称に動作する(
図3Aの矢印α1)。つまり、
図3Bに示すように、ロボットハンド1が開かれる。この開動作によって、ロボットハンド1は、
図3Bに示す指先部13A4、13B4の間に物体を挟み、把持をすることができる。
このとき、指駆動部12の回転量を任意に制御することで、指部13A、13Bの開閉位置も任意に制御することができる。
【0029】
また、指駆動部12の電流値を制御することでステッピングモータのトルクを調整し、把持力を制御することもできる。
なお、指駆動部12は、ステッピングモータを例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば空気圧アクチュエータなど、その他各種のアクチュエータを用いることもできる。
さらに、指部13Aの構成として平行リンク機構を例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば単純に、一本のリンクで構成することもできる。
【0030】
<指先部13A4の構成>
図4Aに、実施形態1のロボットハンド1の指部13Aの斜視図を示す。
図4Bに、実施形態1のロボットハンド1の指部13Bの斜視図を示す。
図4Aに示す指先部13A4は、厚みの薄い略直方体の板状であり、平面部13A41を備える。
平面部13A41の側面の一部は中心側に斜めに削って、切込み部13A43、13A44が形成されている。
【0031】
平面部13A41側の中央は窪んでおり、凹部13A42が形成されている。さらに、凹部13A42の下方には、互いに向かい合って半球状の二つの突起部13A45、13A46を備えている。二つの突起部13A45、13A46で物品100を下側から支持して把持できる。
【0032】
さらに、凹部13A42の上側の、平面部13A41との境界には、テーパ部13A47を備えている。
なお、
図4A、
図4Bでは、突起部13A45、13A46の高さs1は、平面部13A41の高さs2と同じとなっているが、より高さが低く、突起部13A45、13A46を引っ込んだ形状とすることもできる。しかし、後記するように、平面部13A41によってパウチ3(
図11B参照)の把持を行うために、突起部13A45、13A46の高さs1を、平面部13A41の高さs2よりも高くすることは望ましくない。
【0033】
突起部13A45、13A46の間には隙間が空いているが、突起部13A45、13A46を一体とすることもできる。
また、突起部13A45、13A46の形状は半球状に限定されず、例えば突起部13A45、13A46を角型の突起とすることもできる。
【0034】
また、
図4A、
図4Bでは、突起部13A45、13A46、13B45、13B46と平面部13A41、13B41が隣接しているが、分離した形状とすることもできる。
指先部13A4は、硬度がショアA50のウレタン素材で構成され、柔軟性を備える。しかし、これに限定されるものではなく、指先部13A4は、例えば別の硬度など、その他各種のゴムであってもよい。あるいは、指先部13A4は、ゴム素材ではなく、アルミニウムなどの金属など、複数の素材を組み合わせて製作されていてもよい。
【0035】
<指先部13B4の構成>
図4Bに示すように、指先部13B4も、指先部13A4(
図4A参照)と同様の形状をしている。
指先部13B4は、平面部13B41と、切込み部13B43、13B44と、突起部13B45、13B46と、テーパ部13B47と、凹部13B42とを備えている。平面部13A41、13B41は、指部13A、13Bを開閉(
図3A、
図3B参照)しても常に平行が保たれている。平面部13A41、13B41により、物品100を平面部13A41、13B41との各摩擦力で支持できる。
【0036】
平面部13A41の内側に突起部13A45、13A46を備え、平面部13B41の内側に突起部13B45、13B46を備えている。これにより、指先部13A4と指先部13B4とをコンパクトに構成できる。
そして、突起部13A45、13A46は、平面部13A1と同じ高さであり、突起部13B45、13B46は、平面部13B1と同じ高さである。そのため、指部13A4、13B4を閉じたときに、平面部13A41と平面部13B41とは、平行に接触する。
【0037】
指先部13B4は、硬度がショアA50のウレタン素材で構成され、柔軟性を備える。しかし、これに限定されるものではなく、指先部13B4は、例えば別の硬度など、その他各種のゴムであってもよい。あるいは、指先部13B4は、ゴム素材ではなく、アルミニウムなどの金属など、複数の素材を組み合わせて製作されていてもよい。
平面部13A41、13B41は、それぞれ平面部13A41、13B41が物品100に接触して支持する際に物品100の重量を超える摩擦力を発揮できる素材および把持面積を有して形成されている。これにより、物品100を平面部13A41、13B41の摩擦力で物品100を把持できる。
【0038】
<指部13A、13Bの変形例>
2本の指部13A、13Bの両方にそれぞれ突起部13A45、13A46と突起部13B45、13B46、および平面部13A41と平面部13B41を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、指部13Aのみが突起部13A45、13A46を有し、指部13Bは突起部13B45、13B46がなく、単なる平面部13B41(
図4B参照)のみである構成としてもよい。
【0039】
また、2本の指部13A、13Bの両方を指駆動部12によって駆動する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、指部13Aのみが指駆動部12のよって固定され、指部13Bは固定とすることもできる。この形状によって得られる機能については、後記する。
【0040】
<ピッキングシステ5ムの変形例>
図1に示す搬送ロボット51を移動機構53により移動させる例を説明したが、これに限定されるものではなく、搬送ロボット51自体に移動機構を設けてもよく、あるいは搬送ロボット51を固定してもよい。
なお、ピッキングシステム5として、物品100を搬出コンテナ56に収納する例を説明したが、これに限定されるものではない。ピッキングシステム5としては、例えば、搬送ロボット51のロボットハンド1により把持された物品100を搬出コンベア54上に搬送したり、図示しない収納棚に収納したりしてもよく、その他各種のピッキングシステム5が適用されるものである。
【0041】
また、搬送ロボット51として、6軸の関節を有する垂直多関節ロボットを適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。搬送ロボット51としては、水平方向の回転と、鉛直方向への移動を行う2軸のロボットを適用してもよく、その他各種のロボットが適用できるものである。
【0042】
<ロボットハンド1を用いた物品100のピッキング作業>
次に、ピッキングシステム5におけるロボットハンド1を用いた物品100のピッキング作業の具体例を、
図5Aから
図11Bを参照して説明する。
特に、ロボットハンド1を用いると、ボトル状やパウチ状の物品100を安定的に把持可能なことを説明する。
【0043】
<ボトル状の物品100のボトル2の把持>
まず、ロボットハンド1によってボトル状の物品100のボトル2が安定的に把持可能なことを説明する。
【0044】
図5Aに、実施形態1で扱う物品の一例であるボトル2の上蓋部21が閉じた状態の正面図を示す。
図5Bに、実施形態1で扱う物品の一例であるボトル2の上蓋部21が開いた状態の正面図を示す。
ボトル2は、例えば1L(リットル)の酢の入ったガラス瓶である。ボトル2は、略円筒形状の上蓋部21と下蓋部22と本体部23とを備えている。
【0045】
上蓋部21の一部は、下蓋部22と
図5A、
図5Bの紙面垂直方向を回転軸として、回転自由に接続されている。上蓋部21を、当該回転軸周りに回転させて開けることができる。
【0046】
図5Aは、上蓋部21が閉められた状態を示しており、
図5Bは、上蓋部21が開けられた状態を示している。
また、人が上蓋部21を開け易くするために、上蓋部21は、指が係合される上蓋突起部211を備えている。ボトル2の本体部23は、下蓋部22が取り付けられている。下蓋部22の直下は、下蓋部22よりも細いボトルネック部231を備えている。
ボトルネック部231の下は、下部が広がる略円錐の円錐部232を備え、円錐部232の下方は略円筒形の本体部23となっている。
【0047】
なお、上蓋部21は、突起部211を備えず、単純な円筒形状であってもよい。また、上蓋部21と下蓋部22は、
図5A、
図5Bにおける縦方向を回転軸として回転自由に接続されており、上蓋部21を捻じって回転させることでボトル2の蓋を開閉する構成でもよい。具体例として、ペットボトルや、缶コーヒーの回して開閉する蓋が挙げられる。
ボトル2の重量は、軽い場合もあれば、重い場合もある。例えば、ボトル2が酢の入った1Lのガラス瓶の場合、その重量は約1.5kgである。同様に酢の入ったボトル2が300ml(ミリリットル)のペットボトルとすると、重量は約300gである。同様にボトル2が2Lのペットボトルの場合、重量は約2kgである。
【0048】
図6A、
図6Bに、ロボットハンド1が収納段ボール200からボトル2を取り出す様子の正面図を示す。
収納段ボール200の中には、複数のボトル2が直立して整列して収納されている。
ロボットハンド1を使ってボトル2を1本取り出す。
図6Aに示すように、まずロボットハンド1の指部13A、13Bが、整列するボトル2の隙間に上方から侵入する(
図6Aの矢印γ11)。そして、指駆動部12によって指部を13A、13Bを閉じ、ボトル2を把持する。
【0049】
次に、
図6Bに示すように、搬送ロボット51(
図1参照)によって、ロボットハンド1を垂直に持ち上げ、ボトル2を取り出す。なお、
図6A、
図6Bでは複数の収納段ボール200の中にボトル2のみが収納されているが、ボトル2を含む複数種類の物品が収納されていてもよい。
ボトル2の重量が大きな場合、一般のロボットハンドでは、うまく把持ができなければ、搬送中に落下する危険性がある。
【0050】
しかし、本実施形態1のロボットハンド1では、下記のように、ボトル2を安定的に把持することができる。
図7A、
図7B、
図7Cに、それぞれロボットハンド1によってボトル2を把持する様子の上面図、正面図、側面図を示す。
指先部13A4、13B4でボトル2を把持をした際に、
図7B、
図7Cに示すように、ボトル2のボトルネック部231に、指先部13A4、13B4の突起部13A45、13A46、13B45、13B46が潜り込む。
【0051】
すなわち、
図7Bに示すように、ボトル2の下蓋部22をロボットハンド1の突起部13A45、13A46、13B45、13B46が下から支えているため、下方向に抜けることはない。さらに、
図7A、
図7Bに示すように、ボトル2のボトルネック部231を4つの突起部13A45、13A46、13B45、13B46で支えているため、横方向に抜けることもなく、搬送中に落下せず安定した把持を行うことができる。
【0052】
仮に指先部13A4、13B4が本実施形態1とは異なる場合、例えば、実施形態1の突起部13A45、13A46、13B45、13B46や、
図4A、
図4Bに示す凹部13A42、13B42が存在せず、完全な平面である場合、ロボットハンド1の把持力が上蓋部21(
図7B参照)にかかり、ロボットハンド1を持ち上げたときに、
図5Bに示すように、上蓋部21を開けてしまう可能性がある。更に実施形態1のボトル2では、上蓋部21の上蓋突起部211(
図5A参照)を把持してしまい、上蓋部21を開けてしまう可能性も高い。
【0053】
しかし、
図7B、
図7Cに示すように、本実施形態1のロボットハンド1では、ボトル2のボトルネック部231(
図7B参照)を下から支えた把持を行っている。
上蓋部21と上蓋突起部211は凹部13A42(
図4A参照)、凹部13B42(
図4B参照)に入り込んでおり、上蓋部21を開ける力がかからないようになっている。さらに、凹部13A42、13B42の上側にあるテーパ部13A47、13B47(
図7B参照)が上蓋部21を抑えつけるようになっているため、やはり上蓋部21が開かないようになっている。
【0054】
また、
図1に示す撮像装置55によるボトル2の位置認識誤差があり、
図7A、
図7B、
図7Cと少しずれた位置でボトル2の把持を試みてしまった場合も、ボトル2の上蓋部21を開けたり、搬送中にボトル2を落下させたりすることなく、おおよそ
図7A、
図7B、
図7Cの位置で安定把持をすることができる。
【0055】
図7Aに示す突起部13A45、13A46、13B45、13B46の4点でボトル2のボトルネック部231を把持する。そのため、水平方向に多少指先部13A4、13B4の把持位置がずれていたとしても、ボトル2にはロボットハンド1の中心方向への力が働く。そのため、指先部13A4、13B4による把持をすることで、
図7Aに示す位置へと収まる。
また、ロボットハンド1が、
図7Bに示す位置よりも多少下部を掴んでしまった場合、テーパ部13A47と13B47で上蓋部21を挟む把持状態となる。しかし、テーパ部13A47、13B47はそれぞれ傾斜しているため、ボトル2には下方向の力が働いている。そのため、ロボットハンド1を少し持ち上げても、ボトル2は持ち上がらず、ロボットハンド1は少しずつ閉じる。その後、
図7Bに示すように、ボトルネック部231に突起部13A45、13A46、13B45、13B46が引っかかる把持位置となり、やはりボトル2を安定的に把持することができる。
【0056】
あるいは、更にボトル2の下方を掴んでしまい、突起部13A45、13A46、13B45、13B46がボトル2の円錐部232(
図7B参照)を掴む場合も考えられるが、同様にロボットハンド1を持ち上げても、下方向の力が働き、
図7Bの把持状態へ収まる。
なお、ボトル2の寸法は種類によって異なるが、例えばガラス瓶やペットボトルでは、
【0057】
図5Aに示す上蓋部21、下蓋部22、ボトルネック部231などの、蓋部の寸法は、規格、製造設備等の関係から、大きな違いはない。そのため、同一の指先部13A4、13B4(
図3A、
図3B参照)によって、様々な種類のボトル2を把持することができる。また、指先部13A4、13B4は、柔らかいウレタンで構成されているため、把持を行った際に変形し、多少の寸法違いでも対応することができる。例えば、ボトル2のボトルネック部231(
図5A参照)が小さい場合でも、
図7A、
図7Bに示すように、突起部13A45、13A46、13B45、13B46が変形して潜り込み、上述と同様にボトルネック部231に潜り込み、ボトル2を安定的に支えることができる。
【0058】
図8A、
図8B、
図8Cに、それぞれ様々な寸法の突起部13A45、13A46、13B45、13B46に対する、ボトル2の把持の様子の概略上面図を示す。
図8Aは、突起部13A45、13A46、13B45、13B46が適切な寸法である場合の突起部13A45、13A46、13B45、13B46による把持の様子を示している。
【0059】
図8Aに示すように、突起部13A45、13A46、13B45、13B46でボトル2の下蓋部22をひっかけて支えることで、ボトル2を安定的に把持することができる。また、ボトル2を左右方向にも挟み込む把持を行っているため、ボトル2の揺れや、
図8Aの横方向に対するずれがあった場合にも、安定的に把持をすることができる。
【0060】
図8Bは、突起部13A45、13A46、13B45、13B46間の距離が広すぎる場合のボトル2の把持の様子を示している。突起部13A45、13A46、13B45、13B46間の距離が広すぎるため、突起部13A45、13A46、13B45、13B46で下蓋部22を支えることができない。ボトル2が軽い場合は、凹部13A42、13B42(
図4A、
図4B参照)で下蓋部22を摩擦把持することができる。しかし、ボトル2が重い場合は、把持することができない。また、上蓋部21(
図5A参照)を把持してしまうことで、上蓋部21を開けてしまう危険性もある。
【0061】
図8Cは、突起部13A45、13A46、13B45、13B46の距離が狭すぎる場合のボトル2の把持の様子を示している。この場合、突起部13A45、13A46、13B45、13B46でボトル2の下蓋部22を下方からひっかけて支えることで、ボトル2を安定的に把持することができる。しかし、ボトル2を
図8Aの左右方向にはあまり挟み込めていないため、ボトル2の揺れや、
図8Aの横方向に対するずれがあった場合に、落下してしまう危険性がある。
【0062】
従って、突起部13A45、13A46、13B45、13B46については、
図8Bに示すように間隔が広すぎてボトル2が落下しないように設計するのが望ましい。ボトル2が落下しない範囲内で、突起部13A45、13A46、13B45、13B46の極力間隔を広めにし、ボトル2の横ずれに対して安定的に把持できるように設計するのが適切である。
また、ロボットハンド1の指部13A、13B(
図3A参照)の先端が大きい場合、ボトル2の隙間にロボットハンド1が侵入するときに、指部13A、13Bがボトル2に衝突してしまう危険性がある。実施形態1では、指先部13A4、13B4は略薄板形状で、薄い形状であることから、十分に余裕を持って侵入することができる。
【0063】
具体的には、指部13A、13Bの厚さと、撮像装置55(
図1参照)によるボトル2の最大位置認識誤差を2倍した値の和が、ボトル2の隙間の幅よりも小さければ、ボトル2間に指部13A、13Bが確実に侵入可能である。指部13A、13Bの厚さは、これを満たすように設計することができる。
【0064】
<収納段ボール200の端にあるボトル2の把持>
仮に
図6A、
図6Bに示したように、ロボットハンド1で真上からボトル2の把持を試みた場合、指部13Aが収納段ボール200と干渉してしまい、把持をすることができない。
【0065】
図9に、収納段ボール200の端にあるボトル2を、ロボットハンド1で把持を行う様子の正面図を示す。
そこで、
図9に示すように、ロボットハンド1を内側に少し傾けて把持をすることで、ロボットハンド1と収納段ボール200との干渉を回避することができる。
【0066】
図4A、
図4Bに示すように、指先部13A4、13B4には、斜めの切込み部13A43、13A44、13B43、13B44が設けられており、収納段ボール200との干渉を避けられるようになっている。このとき、
図9に示すように、初めは指リンク部13A3、13B3の把持姿勢が斜めとなるが、ロボットハンド1によって持ち上げたあとに
図6Bのように姿勢を直立させ、指リンク部13A3、13B3の把持力を少し弱めたり、一度ボトル2を置いてから指リンク部13A3、13B3(
図2参照)で持ち直したりことで、
図6Bと同様の状態で把持することができる。
【0067】
<ロボットハンド1によるパウチ状の物品100のパウチ3の把持>
次に、ロボットハンド1によってパウチ状の物品100を把持する例を説明する。
図10に、実施形態1で扱う物品100の一例であるパウチ3の斜視図を示す。
パウチ3は、柔軟な袋の中に液体が入った物品100である。パウチ3の下部3sには液体が溜まって膨らんでいるが、上部3uは袋のみで非常に薄くなっている。パウチ3の重量は、軽い場合もあれば、重い場合もある。例えば、液体の容量が1Lあれば、比重が1の場合、重量は約1kgである。
【0068】
図11A、
図11Bに、ロボットハンド1によって、収納段ボール200に直立に整列して収納されたパウチ3を取り出す様子の正面図を示す。
ボトル2の場合と同様に、
図11Aに示すように、まずロボットハンド1の指部13A、13Bが、整列するパウチ3の隙間3sに上方から侵入し、指駆動部12によって指部13A、13Bをパウチ3を挟んで閉じ、パウチ3を把持する。
続いて、
図11Bに示すように、搬送ロボット51によって、ロボットハンド1を垂直に持ち上げ、指先部13A4、13B4で挟んでパウチ3を取り出す。
【0069】
この際、パウチ3の指先部13A4、13B4で把持されている部分は潰れ、厚みがほぼ無い状態となる。本実施形態1のロボットハンド1では指先部13A4、13B4の平面部13A41、13B41(
図4A、
図4B参照)が平行に接触することから、平面部13A41、13B41がパウチ3とも平行に接触する。
従って、パウチ3と指部13A、13Bの指先部13A4、13B4との接触面積を大きくすることができるため、摩擦力が大きくなり、重量のあるパウチ3でも安定的に把持をすることができる。
【0070】
逆に、パウチ3の重量に対して、把持部の摩擦力が十分でない場合、搬送中に把持部からパウチ3が外れてパウチ3を落下させてしまう危険性がある。
仮に、指先部13A4、13B4が本実施形態1と異なり、例えばボトル2の把持に特化して、半球状の突起部13A45、13A46、13B45、13B46のみで構成されており、平面部13A41、13B41が存在しないとする。この仮定の場合、パウチ3とロボットハンドは、少し潰れた半球状の突起部13A45、13A46、13B45、13B46(
図4A、
図4B参照)のみと接触することになる。すると、パウチ3が非常に小さな接触面積で指部13A、13Bとしか接触していないことになり、把持の際の摩擦力が小さく、パウチ3を指部13A、13Bから落下させてしまう可能性がある。
【0071】
なお、平面部13A41、13B41の内側に突起部13A45、13A46、13B45、13B46(
図4A、
図4B参照)がある例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、片側にのみ平面部13A41、13B41を備え、もう片側に突起部13A45、13A46、13B45、13B46を備えることもできる。これにより、収納段ボール200の隅にあるボトル2や、パウチ3を把持する際に、
図9に示すように、壁際200kにより近づくことが可能となるため、より容易に把持することが可能となる。
【0072】
ロボットハンド1は、本実施形態1で挙げたボトル2状、パウチ3状の物品のみならず、他の様々な物品を把持することもできる。
以上の構成のロボットハンド1及びピッキングシステム5によれば、物品100を確実に把持することができる。特に従来のロボットハンドと比較して、重い物品100のボトル2や、パウチ3を確実に把持することができる。
【0073】
<<実施形態2>>
図12A、
図12Bに、本発明の実施形態2に係るロボットハンド1Aの正面図を示す。
実施形態2のロボットハンド1Aについて、実施形態1のロボットハンド1と異なる点を主に説明する。
実施形態2のロボットハンド1Aは、吸着部14と、吸着駆動部15とを備えている。
【0074】
吸着駆動部15は空気圧シリンダである。吸着駆動部15は、基部11に接続されている。
吸着駆動部15の先端に吸着部14が接続されている。吸着部14は、指部13A、13Bの間に配置されている。
図12A、
図12Bに示すように、吸着駆動部15によって、吸着部14を伸縮させることができる。吸着部14は、真空圧によって物体を吸い付け、物品100を把持することができる。なお、
図12A、
図12Bでは、吸着駆動部15が見えるように、基部11が一部省略されている。
【0075】
なお、吸着駆動部15は空気圧シリンダを例として挙げたが、モータなど別の各種アクチュエータを用いることもできる。
図12A、
図12Bでは、吸着部14は、指部13A、13Bの内側に配置されているとしたが、指部13A、13Bの外側に配置することもできる。例えば、
図12A、
図12Bの指部13A、13Bよりも左または右の外側に寄っていたり、
図12A、
図12Bの紙面手前側または奥側に寄らせることができる。これにより、指部13A、13Bと、吸着部14の干渉が回避しやすくなる。また、収納段ボール200の壁際の物品100を把持する際に、壁200kとの干渉を回避しやすくなる利点がある。
【0076】
図13A、
図13Bに、実施形態2のロボットハンド1Aによって、収納段ボール200の中に整列して収納された箱状物品4を取り出す様子の正面図を示す。
箱状物品4の間には隙間が存在しないため、指部13A、13Bを用いても、箱状物品4を取り出すことはできない。しかし、実施形態2では、
図13Aに示す吸着部14で箱状物品4を吸着して、
図13Bに示すように、指部13A、13Bとともに箱状物品4を取り出すことができる。
【0077】
具体的には、まず、
図13Aに示すように、吸着駆動部15を伸ばして吸着部14を箱状物品4へと押し当てる。次に、吸着部14で真空を引き、箱状物品4を真空圧で吸着して把持する。その後、吸着駆動部15を縮め、吸着部14を上にあげると、箱状物品4が持ち上がり、箱状物品4を把持をすることができる。
さらに、
図13Bに示すように、指部13A、13Bを閉じれば、箱状物品4が指部13A、13Bで把持して支えられ、より安定した箱状物品4の把持を行うこともできる。
【0078】
このとき、箱状物品4は、
図4A、
図4Bに示す指部13A、13Bの平面部13A41、13B41と平行に接するため、接触面積が大きい。従って、指部13A、13Bの平面部13A41、13B41が大きな摩擦力で箱状物品4を安定的に把持できる。さらに、吸着部14で吸着していることから、平面部13A41、13B41の接触面圧も小さいため、箱状物品4を潰さずに把持することができる。
【0079】
一方、実施形態1で述べたボトル2や、パウチ3は、その上面が小さいため、吸着部14によって、ボトル2やパウチ3の把持を行うことはできない。そのため、実施形態1と同様に、指部13A、13Bのみを用いることで把持を行う(
図6B、
図11B参照)。このように、吸着が可能な物品100は吸着部14(
図13A参照)による把持と、指部13A、13Bによる把持方法(
図13B参照)を使い分けることで、一つのロボットハンド1で多様な物品100を把持することができる。
【0080】
以上より、ピッキングロボットシステム5における搬送ロボット51の端部に、上述のロボットハンド1、1Aを備えることで、ロボットハンド1、1Aの作用効果を奏するピッキングロボットシステム5を実現できる。
【0081】
<<その他の実施形態>>
1.なお、上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。添付の特許請求の範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1、1A ロボットハンド
2 ボトル(蓋付き容器)
3 パウチ(物品)
4 箱状物品(物品)
5 ピッキングシステム(ピッキングロボットシステム)
12 指駆動部
121 駆動歯車部(指駆動部)
13A、13B 指部
13A1、13A2、13A3、13B1、13B2、13B3 指リンク部(指駆動部)
13A11、13B11 指歯車部(指駆動部)
13A4、13B4 指先部(指部)
13A41、13B41 平面部(指部)
13A42、13B42 凹部(指部)
13A43、13A44、13B43、13B44 切込み部(指部)
13A45、13A46、13B45、13B46 突起部(指部)
13A47、13B47 テーパ部
14 吸着部
22 下蓋部(蓋部)
51 搬送ロボット
55 撮像装置(制御部)
57 制御装置(制御部)
58 情報記憶装置(制御部)
100 物品