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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130119
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】チューブ
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/04 20060101AFI20230912BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20230912BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
F16L11/04
B32B27/34
B32B27/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034610
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水田 啓文
(72)【発明者】
【氏名】日置 友哉
(72)【発明者】
【氏名】浅香 茉彩
(72)【発明者】
【氏名】亀野 峻介
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
【Fターム(参考)】
3H111BA12
3H111BA15
3H111BA31
3H111CB03
3H111DA11
3H111DA26
3H111DB09
4F100AK46A
4F100AK46B
4F100AK51B
4F100AL09B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CA04A
4F100CA30A
4F100CB00C
4F100DA02
4F100GB07
4F100JK04A
4F100JK07A
4F100JK10A
4F100JK12B
4F100JK17
4F100JL11C
(57)【要約】
【課題】耐クリープ性と柔軟性とを向上することができるチューブを提供する。
【解決手段】内周側から外周側への厚み方向に複層の層が積層した積層体で構成された中空のチューブ10であって、積層体10Xは、曲げ弾性率が200MPa以上1450MPa以下のポリアミドで形成されており、厚さが0.1mm以上0.5mm以下である第1層10Aと、ポリウレタンエラストマー及びポリアミドエラストマーのいずれか1種又は2種の混合物で形成されている第2層10Bと、を含む構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側から外周側への厚み方向に複層の層が積層した積層体で構成された中空のチューブであって、
前記積層体は、
曲げ弾性率が200MPa以上1450MPa以下のポリアミドで形成されており、厚さが0.1mm以上0.5mm以下である第1層と、
ポリウレタンエラストマー及びポリアミドエラストマーのいずれか1種又は2種の混合物で形成されている第2層と、
を含む
チューブ。
【請求項2】
前記第1層が、可塑剤及び耐衝撃剤の少なくとも1種を、0wt%を超え、かつ30wt%以下の含有量で含有する
請求項1記載のチューブ。
【請求項3】
前記第1層が、PA11、PA12、PA1012のいずれか1種又は2種以上の混合物を含有する
請求項1又は2記載のチューブ。
【請求項4】
前記第2層が、ショア硬度85A以上95A以下のエラストマーで形成されている
請求項1~3のいずれか1項に記載のチューブ。
【請求項5】
前記第1層と前記第2層との間に接着層が設けられている
請求項1~4のいずれか1項に記載のチューブ。
【請求項6】
冷却水配管用チューブである
請求項1~5のいずれか1項に記載のチューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷却水配管等のチューブとしては、ポリアミド単層のチューブやポリウレタンエラストマー単層のチューブが使用されている。耐クリープ性が重要視される箇所や高温になる箇所にはポリアミド単層のチューブが用いられ、また、狭所配管や高温にならない箇所にはポリウレタンエラストマー単層のチューブが用いられる。このようにポリアミド単層のチューブとポリウレタンエラストマー単層のチューブは使い分けがされている。
【0003】
特許文献1には、ベース樹脂としてポリウレタンエラストマーを用いた難燃性樹脂チューブ、及びベース樹脂としてポリアミドエラストマーを用いた難燃性樹脂チューブが開示されている。
【0004】
特許文献2には、流路を有する内層が帯電防止剤を含有するポリアミドで形成され、内層の外周にポリウレタンエラストマー等からなる外層が形成されている帯電防止チューブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-267055号公報
【特許文献2】特開2016-48088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ポリアミド単層のチューブは、一般的に、耐クリープ性に優れる反面、柔軟性が低く、キンクしやすいため狭い箇所への配策が難しいといった課題がある。一度キンクしてしまうと痕がつき、流体の移送が困難になる。
【0007】
ポリウレタンエラストマー単層のチューブは、一般的に、柔軟性に優れる反面、耐クリープ性が低く、圧力をかけ続けると外径が大きくなり元に戻らず、クリープし続けることによるチューブ破裂や、外径増大により継手再挿入不可になるといった課題がある。
【0008】
上記のように、ポリアミド単層のチューブやポリウレタンエラストマー単層のチューブでは、耐クリープ性と柔軟性とを両立するのは困難である。
【0009】
冷却水配管等のチューブは、耐クリープ性と柔軟性とを向上することが求められている。具体的には、雰囲気温度70℃、内圧0.5MPaにて660時間加圧後、加圧前からの外径増大率が5%以下である耐クリープ性を有しながら、ショア硬度98Aのポリウレタンエラストマー単層で構成された同径チューブとキンク半径が同等以下である柔軟性を有することが求められている。
【0010】
そこで本発明は、耐クリープ性と柔軟性とを向上することができるチューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るチューブは、内周側から外周側への厚み方向に複層の層が積層した積層体で構成された中空のチューブであって、前記積層体は、曲げ弾性率が200MPa以上1450MPa以下のポリアミドで形成されており、厚さが0.1mm以上0.5mm以下である第1層と、ポリウレタンエラストマー及びポリアミドエラストマーのいずれか1種又は2種の混合物で形成されている第2層と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、耐クリープ性と柔軟性とを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態のチューブの長手方向に垂直な面での断面図である。
図2】曲げ剛さ試験装置の概略構成を示す図である。
図3】耐クリープ性試験装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、以下に説明する形態は、あくまで例示であって、当業者にとって自明な範囲で適宜修正することができる。
【0015】
<実施形態>
(チューブ10の構成)
図1は本実施形態のチューブ10の長手方向に垂直な面での断面図である。本実施形態のチューブ10は、内周側から外周側への厚み方向に複層の層が積層した積層体10Xで構成された中空のチューブであり、積層体10Xは、内層である第1層10Aと、外層である第2層10Bとを含む。
【0016】
第1層10Aは、曲げ弾性率が200MPa以上1450MPa以下のポリアミドで形成されており、厚さが0.1mm以上0.5mm以下である。第1層10Aは、チューブ10の耐クリープ性を高める層である。第1層10Aを構成するポリアミドの曲げ弾性率が200MPa未満であるとチューブ10の耐クリープ性が確保できなくなり、1450MPaを超えるとチューブ10の柔軟性が確保できなくなる可能性がある。また、第1層10Aの厚さが0.1mm未満であるとチューブ10の耐クリープ性が確保できなくなり、0.5mmより厚くなるとチューブ10の柔軟性が確保できなくなる可能性がある。
【0017】
第1層10Aは、可塑剤及び耐衝撃剤の少なくとも1種を、0wt%を超え、かつ30wt%以下の含有量で含有することが好ましい。可塑剤としては、例えばBBSA(ブチルベンゼンスルホンアミド)を用いることができる。耐衝撃剤としては、例えばオレフィン系ゴム成分を用いることができる。可塑剤及び耐衝撃剤は、一般的にポリアミドに使用される可塑剤及び耐衝撃剤を用いることができる。可塑剤及び耐衝撃剤の少なくとも1種が添加されることにより、柔軟性の低下を最小限にとどめることができ、可塑剤及び耐衝撃剤の含有量が30wt%を超えるとチューブ10の耐クリープ性が確保できなくなる可能性がある。
【0018】
第1層10Aは、曲げ弾性率が200MPa以上1450MPa以下のポリアミドとして、例えば、PA11、PA12、PA1012のいずれか1種又は2種以上の混合物を含有する。
【0019】
第2層10Bは、ポリウレタンエラストマー及びポリアミドエラストマーのいずれか1種又は2種の混合物で形成されている。第2層10Bは、チューブ10の柔軟性を高める層である。ポリウレタンエラストマーは、ウレタン結合を有するハードセグメントと、エステル結合あるいはエーテル結合を有するソフトセグメントとの共重合体である。ポリアミドエラストマーは、アミド結合を有するハードセグメントと、エステル結合あるいはエーテル結合を有するソフトセグメントとの共重合体である。
【0020】
第2層10Bは、ショア硬度85A以上95A以下のエラストマーで形成されていることが好ましい。第2層10Bを構成するエラストマーのショア硬度が95Aを超えるとチューブ10の柔軟性が確保できなくなる可能性がある。
【0021】
図1に示すチューブ10では、第1層10Aが内層であり、第2層10Bが外層であるが、第1層10Aが外層であり、第2層10Bが内層であってもよい。
【0022】
第1層10Aと第2層10Bの一方又は両方は、多層構成であってもよい。この場合、第1層10Aと第2層10Bの層構成は任意に選択可能である。例えば、第1層10Aが多層の積層構造となっている構成や、第2層10Bが多層の積層構造となっている構成としてもよい。また、複数の第1層10Aの間に第2層10Bが配置された構成や、複数の第2層10Bの間に第1層10Aが配置された構成でもよく、さらに、第1層10A及び第2層10Bが交互に積層した構成でもよい。
【0023】
チューブ10を構成する積層体10Xは、第1層10A及び第2層10B以外の層(不図示)を含んでいてもよい。第1層10A及び第2層10B以外の層は、第1層10Aと第2層10Bとの間、第1層10A及び第2層10Bよりも内周側、第1層10A及び第2層10Bの外周側のいずれに設けられていてもよい。
【0024】
例えば、第1層10A及び第2層10B以外の層として、第1層10Aと第2層10Bとの間に接着層(不図示)が設けられていてもよい。接着層は、第1層10Aと同様にチューブ10の耐クリープ性を高める機能を有していてもよい。あるいは、第2層10Bと同様にチューブ10の柔軟性を高める機能を有していてもよい。また、チューブ10を構成する積層体10Xは、第1層10A及び第2層10B以外に接着層ではない層を含んでいてもよく、さらに接着層を含んでいてもよい。
【0025】
本実施形態のチューブは、冷却水配管用チューブとして好ましく適用することができる。
【0026】
(チューブ10の作用・効果)
本実施形態のチューブ10によれば、耐クリープ性を高める第1層10A及び柔軟性を高める第2層10Bを積層した構成とすることで、雰囲気温度70℃、内圧0.5MPaにて660時間加圧後、加圧前からの外径増大率が5%以下である耐クリープ性を有しながら、ショア硬度98Aのポリウレタンエラストマー単層で構成された同径チューブとキンク半径が同等以下である柔軟性を確保することができる。
【0027】
(チューブ10の製造方法)
次に上記のように構成されたチューブの製造方法を説明する。チューブは、押出成形によって形成される。図1に示すチューブ10の製造方法としては、内層となる第1層10Aを内層押出機で形成後、この第1層10Aの外周面に、外層押出機で第2層10Bを形成する方法、又は第1層10Aを形成する材料と、第2層10Bを形成する材料とを、溶融状態で共押出成形して熱融着する方法とがある。
【0028】
第1層10Aが外層であり、第2層10Bが内層である場合でも、上記と同様にして形成することができる。また、接着層等の第1層10A及び第2層10B以外の層を含む場合でも、上記と同様に各層を押出機で順次押し出して積層する方法や、各層の材料を共押出成形して積層する方法がある。
【0029】
一般的に、第1層10A及び第2層10Bを形成する樹脂は、予めペレット化しておくことが好ましい。例えば、第1層10Aを形成するポリアミドや、第2層10Bを形成するポリウレタンエラストマーを、それぞれ一軸押出機、二軸押出機、二軸混練機などで溶融混練してペレット化する。
【0030】
上記のようにして、耐クリープ性を高める第1層10A及び柔軟性を高める第2層10Bを積層することで、雰囲気温度70℃、内圧0.5MPaにて660時間加圧後、加圧前からの外径増大率が5%以下である耐クリープ性を有しながら、ショア硬度98Aのポリウレタンエラストマー単層で構成された同径チューブとキンク半径が同等以下である柔軟性を確保したチューブを製造することができる。
【0031】
(実施例)
上記の製造方法に示した手順で、実施例1~8及び比較例1~5に係るチューブを作製し、評価を行った。実施例1~8及び比較例1~3,5に係るチューブは、外径が8.0mm、内径が5.0mm、全体厚さが1.5mmとした。比較例4に係るチューブは、外径が8.0mm、内径が6.0mm、全体厚さが1.0mmとした。実施例1~8及び比較例1~3においては共押出にてチューブを製作した。比較例4~5においては単層の押出にてチューブを製作した。
【0032】
内層である第1層10AをPA11(曲げ弾性率350MPa)で厚さ0.1mmとして形成し、外層である第2層10Bをエーテル系ポリウレタンエラストマー(ショア硬度95A)で厚さ1.4mmとして形成して、実施例1に係るチューブを作製した。
【0033】
内層の厚さ0.2mmとし、外層の厚さを1.3mmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2に係るチューブを作製した。
【0034】
内層の厚さ0.3mmとし、外層の厚さを1.2mmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に係るチューブを作製した。
【0035】
内層の厚さ0.5mmとし、外層の厚さを1.0mmとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4に係るチューブを作製した。
【0036】
内層である第1層10AをPA12(曲げ弾性率1450MPa)で厚さ0.5mmとして形成し、外層である第2層10Bをエーテル系ポリウレタンエラストマー(ショア硬度95A)で厚さ1.0mmとして形成して、実施例5に係るチューブを作製した。
【0037】
内層である第1層10AをPA12(曲げ弾性率200MPa)で厚さ0.1mmとして形成し、外層である第2層10Bをエーテル系ポリウレタンエラストマー(ショア硬度85A)で厚さ1.4mmとして形成して、実施例6に係るチューブを作製した。
【0038】
内層である第1層10AをPA12(曲げ弾性率1450MPa)で厚さ0.5mmとして形成し、外層である第2層10Bをポリアミドエラストマー(ショア硬度95A)で厚さ1.0mmとして形成して、実施例7に係るチューブを作製した。
【0039】
内層である第1層10AをPA12(曲げ弾性率200MPa)で厚さ0.1mmとして形成し、外層である第2層10Bをポリアミドエラストマー(ショア硬度85A)で厚さ1.4mmとして形成して、実施例8に係るチューブを作製した。
【0040】
内層である第1層10AをPA11(曲げ弾性率350MPa)で厚さ0.75mmとして形成し、外層である第2層10Bをエーテル系ポリウレタンエラストマー(ショア硬度95A)で厚さ0.75mmとして形成して、比較例1に係るチューブを作製した。
【0041】
内層の厚さ1.0mmとし、外層の厚さを0.5mmとしたこと以外は比較例1と同様にして、比較例2に係るチューブを作製した。
【0042】
内層である第1層10AをPA12(曲げ弾性率1700MPa)で厚さ0.1mmとして形成し、外層である第2層10Bをエーテル系ポリウレタンエラストマー(ショア硬度95A)で厚さ1.4mmとして形成して、比較例3に係るチューブを作製した。
【0043】
PA12(曲げ弾性率400MPa)の単層で厚さ1.0mmとして比較例4に係るチューブを作製した。
【0044】
エーテル系ポリウレタンエラストマー(ショア硬度98A)の単層で厚さ1.5mmとして比較例5に係るチューブを作製した。
【0045】
なお、上記のPA11及びPA12の曲げ弾性率は、ISO178に則って測定された曲げ弾性率である。
【0046】
作製したチューブの構成を表1に示す。上記のように作製したチューブに対し、以下に示す各種評価を行った。
【0047】
(柔軟性)
図2に示す曲げ剛さ試験装置11を用いて、柔軟性を評価した。まずチューブ10を恒温恒湿室(23℃、50%RH)で24時間以上静置させた後、曲げ剛さ試験装置に取り付けた。なお、チューブ10は、長さ(mm)=π((R+OD)/2)+(2×OD)で求めた長さに切断した。ここで、R:試験開始時のチューブ曲げ半径(mm)、OD:チューブ外径(mm)であり、本試験では343mmとした。レール上に設けられた可動部14を100mm/分の速度で固定部12に向かって移動させることにより、チューブ10を徐々に曲げていき、キンク半径を調べた。キンク半径は、チューブ10にキンクが発生したときのチューブ10の曲げ半径である。試験数を5とし、各実施例及び比較例のキンク半径の平均を求めた。キンク半径が、比較例5のチューブに対し、同等以下の場合は○、より大きい場合は×とし、結果を表1の「柔軟性」の欄に記載した。
【0048】
(耐クリープ性)
図3に示す耐クリープ性試験装置32を用いて、耐クリープ性試験を行い、耐クリープ性を評価した。チューブ10を150mmの長さに切断し、一方の端部に継手20を介してブランクキャップ21を取り付けた。チューブ10の他方の端部は継手20を介してマニホールド30に取り付けた。マニホールド30には加圧空気供給ライン31が接続されており、マニホールド30を介してチューブ10の内側に圧力を印加可能に設けられている。
【0049】
まず、耐クリープ性試験における加圧前のチューブ10の外径A(mm)を定圧ノギスで測定した。次に、チューブ10を70℃の湯浴に浸した状態で、加圧空気供給ライン31から加圧空気を供給してチューブ10の内側に0.5MPaの圧力を印加し、660時間後に加圧した状態のチューブ10の外径B(mm)を定圧ノギスで測定した。外径増大率(%)=(B/A)×100-100の式から、外径増大率を算出した。試験数を3とし、各実施例及び比較例の外径増大率の平均を求めた。外径増大率が5%以下である場合は〇、5%を超える場合を×とし、結果を表1の「耐クリープ性」の欄に記載した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示す通り、実施例1~8は、曲げ弾性率が200MPa以上1450MPa以下のポリアミドで形成されており、厚さが0.1mm以上0.5mm以下である内層と、エーテル系ポリウレタンエラストマー又はポリアミドエラストマーで形成されている外層を積層した構成であることにより、柔軟性と耐クリープ性の評価結果が良好であった。
【0052】
比較例1~4は、耐クリープ性の評価結果は良好であったが、柔軟性が良好ではなかった。比較例5は、柔軟性の評価基準としたものであるが、耐クリープ性の評価結果は良好ではなかった。
【符号の説明】
【0053】
10 チューブ
10A 第1層
10B 第2層
10X 積層体
11 曲げ剛さ試験装置
12 固定部
14 可動部
20 継手
21 ブランクキャップ
30 マニホールド
31 加圧空気供給ライン
32 耐クリープ性試験装置
R 曲げ半径
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
(柔軟性)
図2に示す曲げ剛さ試験装置11を用いて、柔軟性を評価した。まずチューブ10を恒温恒湿室(23℃、50%RH)で24時間以上静置させた後、曲げ剛さ試験装置に取り付けた。なお、チューブ10は、長さ(mm)=π(R+OD/2)+(2×OD)で求めた長さに切断した。ここで、R:試験開始時のチューブ曲げ半径(mm)、OD:チューブ外径(mm)であり、本試験では343mmとした。レール上に設けられた可動部14を100mm/分の速度で固定部12に向かって移動させることにより、チューブ10を徐々に曲げていき、キンク半径を調べた。キンク半径は、チューブ10にキンクが発生したときのチューブ10の曲げ半径である。試験数を5とし、各実施例及び比較例のキンク半径の平均を求めた。キンク半径が、比較例5のチューブに対し、同等以下の場合は○、より大きい場合は×とし、結果を表1の「柔軟性」の欄に記載した。