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特開2023-130128ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置
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  • 特開-ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置 図1
  • 特開-ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置 図2
  • 特開-ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置 図3
  • 特開-ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置 図4
  • 特開-ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130128
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 19/00 20160101AFI20230912BHJP
   A23G 3/00 20060101ALI20230912BHJP
   A23G 3/02 20060101ALI20230912BHJP
   A23L 19/10 20160101ALI20230912BHJP
   A23L 19/12 20160101ALI20230912BHJP
   A23L 19/18 20160101ALI20230912BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23G3/00
A23G3/02
A23L19/10
A23L19/00 B
A23L19/12 B
A23L19/18
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034623
(22)【出願日】2022-03-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】522089974
【氏名又は名称】豊田 政男
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【弁理士】
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】豊田 政男
【テーマコード(参考)】
4B014
4B016
【Fターム(参考)】
4B014GE01
4B014GG05
4B014GP14
4B014GP23
4B014GQ01
4B016LE01
4B016LG05
4B016LG06
4B016LG08
4B016LP03
4B016LP06
4B016LP08
(57)【要約】
【課題】オイルを使用せずに食感に優れた野菜チップスを製造できるノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】ノンフライ野菜チップスの製造方法は、原料となる野菜が予め決められた厚みに切断される切断工程S2と、切断工程S2にて切断された原料が水洗いされる水洗工程S3と、水洗工程S3にて水洗いされた原料が蒸される蒸し工程S5と、蒸し工程S6にて蒸された原料が乾燥される乾燥工程S6と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料となる野菜が予め決められた厚みに切断される切断工程と、
前記切断工程にて切断された前記原料が水洗いされる水洗工程と、
前記水洗工程にて水洗いされた前記原料が蒸される蒸し工程と、
前記蒸し工程にて蒸された前記原料が乾燥される乾燥工程と、を含むノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のノンフライ野菜チップスの製造方法において、
前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料が、変形を制限する受け部に支持された状態で処理されるノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載のノンフライ野菜チップスの製造方法において、
前記水洗工程、前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料が、変形を制限する受け部に支持された状態で処理されるノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項4】
請求項1記載のノンフライ野菜チップスの製造方法において、
前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料に変形を抑制する力が加えられるノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項5】
請求項1記載のノンフライ野菜チップスの製造方法において、
前記乾燥工程にて、前記原料の変形が抑制されるノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項6】
原料となる野菜が予め決められた厚みに切断される切断工程と、
前記切断工程にて切断された原料が蒸される蒸し工程と、
前記蒸し工程にて蒸された前記原料が、変形が抑制されながら乾燥される乾燥工程と、を含むノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項7】
原料となる野菜を切断する切断機と、
前記切断機にて切断された前記原料を支持する受け部と、
前記受け部に支持された前記原料を蒸す蒸し機と、
前記蒸し器にて蒸された前記原料を前記受け部に支持された状態で乾燥する乾燥機と、を備えたノンフライ野菜チップスの製造装置。
【請求項8】
請求項7記載のノンフライ野菜チップスの製造装置において、
前記受け部が、前記原料の変形を抑制する抑制手段を有するノンフライ野菜チップスの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、さつまいもチップスの製造方法が記載されている。このさつまいもチップスの製造方法は、さつまいも粉と米粉とを加水混合した後、加熱成形し、乾燥-油揚げの工程を経た後、予め粉砕したアメを付着させ、後オーブンで加熱してアメを溶融させることを特徴としている。
【0003】
特許文献2には、従来のフライされたサツマイモチップスとは全く異なる新規な食感および風味を有する、サツマイモを用いたスナック菓子を効率よく得られるための製造方法が記載されている。このスナック菓子の製造方法は、厚さ1~5mmにスライスしたサツマイモを、対をなす加圧面間に入れて加圧しながら水分含有率が8%以下となるまで加熱してサツマイモチップスを得る工程、得られたサツマイモチップス2枚の間に、油脂および糖類を主原料とする食用クリームを挟む工程を含むことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07-099915号公報
【特許文献2】特開2011-109970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、オイルを使用せずに食感に優れた野菜チップスを製造できるノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、原料となる野菜が予め決められた厚みに切断される切断工程と、前記切断工程にて切断された前記原料が水洗いされる水洗工程と、前記水洗工程にて水洗いされた前記原料が蒸される蒸し工程と、前記蒸し工程にて蒸された前記原料が乾燥される乾燥工程と、を含むノンフライ野菜チップスの製造方法である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のノンフライ野菜チップスの製造方法において、前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料が、変形を制限する受け部に支持された状態で処理される。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載のノンフライ野菜チップスの製造方法において、前記水洗工程、前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料が、変形を制限する受け部に支持された状態で処理される。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載のノンフライ野菜チップスの製造方法において、前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料に変形を抑制する力が加えられる。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1記載のノンフライ野菜チップスの製造方法において、前記乾燥工程にて、前記原料の変形が抑制される。
【0011】
請求項6に記載の発明は、原料となる野菜が予め決められた厚みに切断される切断工程と、前記切断工程にて切断された原料が蒸される蒸し工程と、前記蒸し工程にて蒸された前記原料が、変形が抑制されながら乾燥される乾燥工程と、を含むノンフライ野菜チップスの製造方法である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、原料となる野菜を切断する切断機と、前記切断機にて切断された前記原料を支持する受け部と、前記受け部に支持された前記原料を蒸す蒸し機と、前記蒸し器にて蒸された前記原料を前記受け部に支持された状態で乾燥する乾燥機と、を備えたノンフライ野菜チップスの製造装置である。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7記載のノンフライ野菜チップスの製造装置において、前記受け部が、前記原料の変形を抑制する抑制手段を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オイルを使用せずに食感に優れた野菜チップスを製造できるノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るさつまいもチップスの製造装置の説明図である。
図2】同さつまいもチップスの製造装置が備える受け部の説明図である。
図3】さつまいもチップスの製造方法のフロー図である。
図4】(A)、(B)は、それぞれ、実施例に係るさつまいもチップス及び比較例に係るさつまいもチップスの外観を示す写真である。
図5】(A)、(B)は、それぞれ、実施例に係るさつまいもチップス及び比較例に係るさつまいもチップスの断面を示す拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係るさつまいもチップス製造装置10は、図1に示すように、切断機20と、受け部30と、蒸し機40と、乾燥機50と、を備え、食感に優れたノンフライのさつまいもチップス(野菜チップスの一例)を製造できる。
なお、さつまいもチップス製造装置10は、バッチ式であってもよいし、連続式であってもよい。
【0018】
切断機20は、例えば、回転式の電動スライサーであり、原料となるさつまいもを予め決められた厚みに切断できる。
【0019】
受け部30は、図2に示すように、受け302と、抑制具304と、を有し、切断機20にて切断されたさつまいもSPを支持できる。
受け302は、網状の部材であり、上面にさつまいもSPが載せられる。受け302は、フッ素系樹脂によりコーティングされている。
受け302は、さつまいもSPを載せて搬送するコンベアーであってもよい。
【0020】
抑制具(抑制手段の一例)304は、受け302に取り付けられる器具である。
一般に、切断されたさつまいもSPは、乾燥させると部分的に反り返る。抑制具304は、このようなさつまいもSPの厚み方向の変形を制限できる。受け部30は、図1に示すように、間隔を空けて上下方向に重ねることができるように構成されている。
詳細には、抑制具304は、ばね(不図示)を有し、さつまいもSPを受け302との間で挟み込み、厚み方向に力(図2に示す矢印参照)を加えることができる。
抑制具304のさつまいもSPに接触する部分は、フッ素系樹脂によりコーティングされている。
【0021】
なお、抑制具304は、受け302との間に、空隙(空間)を形成する網状の部材であってもよい。形成される空隙の寸法は、さつまいもSPの厚みよりも予め決められた寸法だけ大きく設定され、この隙間の中に入れられたさつまいもSPは、受け302と抑制具304との間で大きく変形することが抑制される。
すなわち、受け部30は、さつまいもSPが乾燥される際に、そのさつまいもSPの変形を制限できればよい。
【0022】
付言すると、受け部30は、さつまいもSPの変形を制限する際に、乾燥工程によるさつまいもSPの切断面に交差する方向の変形を抑制部304と受け部302によって抑制し、さつまいもSPの切断面に沿う方向の収縮を許容できる構成となっている。換言すれば、受け部302及び抑制部304は、乾燥工程において、さつまいもSPが切断面に交差する方向に変形することを抑制する一方で収縮することを許容し、更に、乾燥空気が接触できる状態でさつまいもSPを支持できるように構成されている。
【0023】
蒸し機40は、受け部30に支持された状態のさつまいもSPを蒸すことができる。
蒸し機40は、受け部30を複数重ねられた状態のまま処理できる。
【0024】
乾燥機50は、蒸し機40にて蒸されたさつまいもSPを、受け部30に支持された状態で乾燥させることができる。
乾燥機50は、受け部30を複数重ねられた状態のまま処理できる。
【0025】
次に、さつまいもチップス製造装置10を用いたさつまいもチップスの製造方法について、図3に基づいて説明する。
さつまいもチップスは、以下の工程S1~S6に従って製造される。ただし、以下に明示した場合の他、可能な場合には、各工程S1~S6は順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよいし、一部が省略されて実施されてもよい。
(工程S1)
本工程は、次の切断工程(工程S2)にて処理ができるように、原料となるさつまいもを準備する前処理工程である。
具体的には、さつまいもが水洗いされ、汚れが落とされる。また、さつまいもの端や節が除去される。
【0026】
(工程S2)
本工程は、前処理されたさつまいもが予め決められた厚みになるように切断される切断工程である。
さつまいもは、切断機20により、厚みが例えば0.7~2.0mmになるように切断される。厚みが0.7mmよりも薄くなるように切断されると、製造されるさつまいもチップスが割れやすく食感に乏しくなる。一方で、厚みが2.0mmを超えて切断されると、固く食べにくくなり、後の乾燥工程(工程S6)における乾燥時間が長くなる。
【0027】
(工程S3)
本工程は、切断されたさつまいもSPが水洗いされる水洗工程である。水洗いは手洗いであってもよいし、水洗いのための洗浄機(不図示)が使用されてもよい。
本工程により、切断されたさつまいもSPのアクが取り除かれ、製造されるさつまいもチップスの苦味が低減される。
【0028】
(工程S4)
本工程は、水洗いされたさつまいもSPが、さつまいもSPの変形を制限する受け部30に載せられる載置工程である。
受け部30に支持されたさつまいもSPは、抑制具304の作用により、変形を抑制する力が加えられ、後の乾燥工程(工程S6)において変形が抑制される。
なお、特に連続式により製造する場合には、本載置工程は、水洗工程(工程S3)と入れ替えて実施されてもよい。従って例えば、さつまいもSPが抑制具が設けられたコンベアー(受け部30の変形例)に載せられ、変形が抑制された状態で搬送されながら、水洗工程(工程S3)が実施された後、次に示す蒸し工程(工程S5)及び乾燥工程(工程S6)が実施されてもよい。
【0029】
(工程S5)
本工程は、さつまいもSPが受け部30に支持された状態で蒸される蒸し工程である。
さつまいもSPは、蒸し機40によって、例えば少なくとも15分間蒸される。蒸し時間が15分よりも短いと製造されるさつまいもチップスの甘さが不足する。一方で、蒸し時間が長時間にわたると、さつまいもSP自身の形状が維持されなくなる。
【0030】
(工程S6)
本工程は、蒸されたさつまいもSPが受け部30に支持された状態で乾燥される乾燥工程である。
さつまいもSPは、乾燥機50によって、例えば120~180℃の温度で乾燥され、水分が除去される。乾燥温度が120℃未満になると、乾燥時間が長くなり、生産性が低下する。乾燥温度が180℃を超えると、さつまいもチップスに焦げが発生しやすくなる。
受け部30に支持されたさつまいもチップスSPは、抑制具304の作用により、厚み方向の変形が抑制されながら乾燥される。
【0031】
乾燥したさつまいもチップスSPは、受け部30から取り出され、製品として出荷される。
なお、受け302及び抑制部304がフッ素系樹脂によりコーティングされているため、乾燥したさつまいもチップスSPが受け部30から取り出される際に、受け部30に付着して割れてしまうことが抑制される。
【0032】
以上の工程S1~S6を経て、オイルで揚げる工程や添加物を加える工程を含むことなく、食感に優れたさつまいもチップスが製造される。
【0033】
ここで、発明者は、前述の製造方法の乾燥工程(工程S6)にてさつまいもSPの変形を抑えることが食感に与える効果を調べるため、前述の製造方法に従って製造した実施例に係るさつまいもチップス(図4(A)参照)と、載置工程(工程S4)において抑制具304を取り外し、変形を抑える力を加えずに製造した比較例に係るさつまいもチップス(図4(B)参照)と、をそれぞれ準備した。
その後、準備した実施例に係るさつまいもチップス及び比較例に係るさつまいもチップスについて、それぞれ図5(A)及び図5(B)に示す断面の拡大写真を撮影し、対比した。
【0034】
その結果、実施例のさつまいもチップスの方が、比較例のさつまいもチップスよりも、内部の広い範囲でより多くの空洞が観察された。
このような空洞は、載置工程(工程S4)においてさつまいもSPの変形を抑える力が加えられ、乾燥工程(工程S6)にてさつまいもSPの変形が抑えられることにより形成されるものと推察され、この空洞によって、サクサクないしパリパリとした心地よい食感が発生することが判明した。
【0035】
このように、本実施の形態に係るさつまいもチップス製造装置10によれば、オイルを使用せずに食感に優れたノンフライさつまいもチップスを製造できる。
また、乾燥工程(工程S6)にてさつまいもSPの変形が抑えられるので、変形が抑えられない場合と比較して、製造されるノンフライさつまいもチップスの嵩が、例えば20~30%程度低減される。
【0036】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)について説明する。
前述の第1の実施の形態においては、さつまいもを切断機20により切断してさつまいもSPを作り、その後に、さつまいもSPを水洗する水洗工程S3を経て蒸し工程S5及び乾燥工程S6を行っている。
しかしながら、さつまいもの品種の違いやレンコンなど原料の相違によって、水洗工程S3を省略することも考えられる。すなわち、水洗工程S3にて、切断されたさつまいもSPの切断面に滲み出るヤラピンやラッパ樹脂等を水洗工程で洗い流しているが、品種の違いによって前述のヤラピン等を洗い流さなくても、乾燥後の食感に大きな影響を与えないものもある。
そこで、本実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)は、水洗工程S3を実施せず、切断工程S2から、載置工程S4、蒸し工程S5、乾燥工程S6を経てさつまいもチップスを含む野菜チップスを製造する。
【0037】
〔第3の実施の形態〕
続いて、本発明の第3の実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)について説明する。
前述の第1の実施の形態において、製造方法の例として、切断工程S2において切断されたさつまいもSPを抑制具が設けられたコンベアー(受け部30の変形例)に載せ、水洗工程S3、蒸し工程S5及び乾燥工程S6を経てさつまいもチップスSPを製造する連続式製造方法について説明した。
本実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)は、この連続式製造方法において、切断工程S2にて原料のさつまいもの断面の直径を計測して、切断されたさつまいもSPの大きさを把握し、載置工程において隣り合うさつまいもSPの間隔を極力狭くするものである。原料となるさつまいもは、長手方向中央部の径が太く、両端に向かって径が細くなる形状をしているため、切断されたさつまいもSPは、その面積が異なり形も不揃いである。従って、コンベアーにさつまいもSPを載置する際に、各さつまいもSPの大きさを考慮して隣り合う間隔を調整することにより、単位面積当たりのさつまいもSPの処理数を増やすことができる。
【0038】
〔第4の実施の形態〕
続いて、本発明の第4の実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)について説明する。
本実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)は、連続式製造方法であり、切断したさつまいもSPを前述のコンベアーに載置し抑制具を使用した状態で、水洗工程S3、蒸し工程S5、乾燥工程S6を実施することにより、まず、水洗工程S3によるさつまいもSPの損傷を抑えることが可能となる。すなわち、切断機で切断された複数のさつまいもSPを前述の抑制具を使用せずに水洗する場合、水を溜めた容器にさつまいもSPを入れ、水洗作業を行うことになるが、その際、さつまいもSP同士の接触や容器との接触により無用な力が加わることによってさつまいもSPの損傷が生じる恐れがある。よって、切断したさつまいもSPをコンベアーに載置し抑制具を使用した状態で水洗工程S3を行うことにより、さつまいもSPの損傷を軽減することが可能となる。更に、切断機で切断された複数のさつまいもSPを前述の抑制具を使用せずに水洗する場合、水洗後の複数のさつまいもSPを一つ一つ並べて載置する作業を省略できる。
【0039】
〔第5の実施の形態〕
続いて、本発明の第5の実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)について説明する。
本実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)は、水洗工程S3から蒸し工程S5及び乾燥工程S6までを実行するにあたり、さつまいもSPをコンベアーに載置して抑制具によりさつまいもSPの切断面方向から拘束した状態で、前述の各工程を実施する。
その結果、さつまいもSPに無用な外力を加えることを抑制できるため、さつまいもSPの損傷を抑えることができる。
【0040】
前述の第1~第5の実施の形態に係る野菜チップスの製造方法において、オイルを使用せずに食感に優れた野菜チップスを製造するという効果を奏するためには、少なくとも乾燥工程S6において、野菜チップスの変形を抑制することが重要である。
このことから、本実施の形態に係るノンフライ野菜チップスの製造方法は、原料となる野菜が予め決められた厚みに切断される切断工程S2と、切断工程S2にて切断された原料が蒸される蒸し工程S5と、蒸し工程S5にて蒸された原料をその変形が抑制されながら乾燥される乾燥工程S6と、を含むことを特徴とするものである。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
原料となる野菜は、さつまいもに限定されるものではない。野菜の他の例として、例えば、ジャガイモなどの芋類、蓮根、大根及びかぼちゃが挙げられる。
【符号の説明】
【0042】
10 さつまいもチップス製造装置
20 切断機
30 受け部
40 蒸し機
50 乾燥機
302 受け
304 抑制具
SP さつまいも
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料となる野菜が0.7mm以上かつ2.0mm以下の厚みに切断される切断工程と、
前記切断工程にて切断された前記原料が水洗いされる水洗工程と、
前記水洗工程にて水洗いされた前記原料が蒸される蒸し工程と、
前記蒸し工程にて蒸された前記原料が乾燥される乾燥工程と、を含み、
前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料が、厚み方向の変形を制限する受け部に支持された状態で処理されるノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項2】
原料となる野菜が0.7mm以上かつ2.0mm以下の厚みに切断される切断工程と、
前記切断工程にて切断された前記原料が水洗いされる水洗工程と、
前記水洗工程にて水洗いされた前記原料が蒸される蒸し工程と、
前記蒸し工程にて蒸された前記原料が乾燥される乾燥工程と、を含み、
前記水洗工程、前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料が、厚み方向の変形を制限する受け部に支持された状態で処理されるノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項3】
原料となる野菜が0.7mm以上かつ2.0mm以下の厚みに切断される切断工程と、
前記切断工程にて切断された前記原料が水洗いされる水洗工程と、
前記水洗工程にて水洗いされた前記原料が蒸される蒸し工程と、
前記蒸し工程にて蒸された前記原料が乾燥される乾燥工程と、を含み、
前記乾燥工程の間、前記原料が、厚み方向の変形を制限する受け部に支持された状態で処理されるノンフライ野菜チップスの製造方法。
【請求項4】
原料となる野菜を0.7mm以上かつ2.0mm以下の厚みに切断する切断機と、
前記切断機にて切断された前記原料を支持する受け部と、
前記受け部に支持された前記原料を蒸す蒸し機と、
前記蒸し器にて蒸された前記原料を前記受け部に支持された状態で乾燥する乾燥機と、
を備え、
前記受け部が、前記原料の厚み方向の変形を制限する抑制手段を有するノンフライ野菜チップスの製造装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、さつまいもチップスの製造方法が記載されている。このさつまいもチップスの製造方法は、さつまいも粉と米粉とを加水混合した後、加熱成形し、乾燥-油揚げの工程を経た後、予め粉砕したアメを付着させ、後オーブンで加熱してアメを溶融させることを特徴としている。
【0003】
特許文献2には、従来のフライされたサツマイモチップスとは全く異なる新規な食感および風味を有する、サツマイモを用いたスナック菓子を効率よく得られるための製造方法が記載されている。このスナック菓子の製造方法は、厚さ1~5mmにスライスしたサツマイモを、対をなす加圧面間に入れて加圧しながら水分含有率が8%以下となるまで加熱してサツマイモチップスを得る工程、得られたサツマイモチップス2枚の間に、油脂および糖類を主原料とする食用クリームを挟む工程を含むことを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07-099915号公報
【特許文献2】特開2011-109970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、オイルを使用せずに食感に優れた野菜チップスを製造できるノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、原料となる野菜が0.7mm以上かつ2.0mm以下の厚みに切断される切断工程と、前記切断工程にて切断された前記原料が水洗いされる水洗工程と、前記水洗工程にて水洗いされた前記原料が蒸される蒸し工程と、前記蒸し工程にて蒸された前記原料が乾燥される乾燥工程と、を含み、前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料が、厚み方向の変形を制限する受け部に支持された状態で処理されるノンフライ野菜チップスの製造方法である。
【0007】
【0008】
請求項に記載の発明は、原料となる野菜が0.7mm以上かつ2.0mm以下の厚みに切断される切断工程と、前記切断工程にて切断された前記原料が水洗いされる水洗工程と、前記水洗工程にて水洗いされた前記原料が蒸される蒸し工程と、前記蒸し工程にて蒸された前記原料が乾燥される乾燥工程と、を含み、前記水洗工程、前記蒸し工程及び前記乾燥工程の間、前記原料が、厚み方向の変形を制限する受け部に支持された状態で処理されるノンフライ野菜チップスの製造方法である
【0009】
請求項3に記載の発明は、原料となる野菜が0.7mm以上かつ2.0mm以下の厚みに切断される切断工程と、前記切断工程にて切断された前記原料が水洗いされる水洗工程と、前記水洗工程にて水洗いされた前記原料が蒸される蒸し工程と、前記蒸し工程にて蒸された前記原料が乾燥される乾燥工程と、を含み、前記乾燥工程の間、前記原料が、厚み方向の変形を制限する受け部に支持された状態で処理されるノンフライ野菜チップスの製造方法である。
【0010】
【0011】
【0012】
請求項に記載の発明は、原料となる野菜を0.7mm以上かつ2.0mm以下の厚みに切断する切断機と、前記切断機にて切断された前記原料を支持する受け部と、前記受け部に支持された前記原料を蒸す蒸し機と、前記蒸し器にて蒸された前記原料を前記受け部に支持された状態で乾燥する乾燥機と、備え、前記受け部が、前記原料の厚み方向の変形を制限する抑制手段を有するノンフライ野菜チップスの製造装置である。
【0013】
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、オイルを使用せずに食感に優れた野菜チップスを製造できるノンフライ野菜チップスの製造方法及び製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るさつまいもチップスの製造装置の説明図である。
図2】同さつまいもチップスの製造装置が備える受け部の説明図である。
図3】さつまいもチップスの製造方法のフロー図である。
図4】(A)、(B)は、それぞれ、実施例に係るさつまいもチップス及び比較例に係るさつまいもチップスの外観を示す写真である。
図5】(A)、(B)は、それぞれ、実施例に係るさつまいもチップス及び比較例に係るさつまいもチップスの断面を示す拡大写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0017】
〔第1の実施の形態〕
本発明の第1の実施の形態に係るさつまいもチップス製造装置10は、図1に示すように、切断機20と、受け部30と、蒸し機40と、乾燥機50と、を備え、食感に優れたノンフライのさつまいもチップス(野菜チップスの一例)を製造できる。
なお、さつまいもチップス製造装置10は、バッチ式であってもよいし、連続式であってもよい。
【0018】
切断機20は、例えば、回転式の電動スライサーであり、原料となるさつまいもを予め決められた厚みに切断できる。
【0019】
受け部30は、図2に示すように、受け302と、抑制具304と、を有し、切断機20にて切断されたさつまいもSPを支持できる。
受け302は、網状の部材であり、上面にさつまいもSPが載せられる。受け302は、フッ素系樹脂によりコーティングされている。
受け302は、さつまいもSPを載せて搬送するコンベアーであってもよい。
【0020】
抑制具(抑制手段の一例)304は、受け302に取り付けられる器具である。
一般に、切断されたさつまいもSPは、乾燥させると部分的に反り返る。抑制具304は、このようなさつまいもSPの厚み方向の変形を制限できる。受け部30は、図1に示すように、間隔を空けて上下方向に重ねることができるように構成されている。
詳細には、抑制具304は、ばね(不図示)を有し、さつまいもSPを受け302との間で挟み込み、厚み方向に力(図2に示す矢印参照)を加えることができる。
抑制具304のさつまいもSPに接触する部分は、フッ素系樹脂によりコーティングされている。
【0021】
なお、抑制具304は、受け302との間に、空隙(空間)を形成する網状の部材であってもよい。形成される空隙の寸法は、さつまいもSPの厚みよりも予め決められた寸法だけ大きく設定され、この隙間の中に入れられたさつまいもSPは、受け302と抑制具304との間で大きく変形することが抑制される。
すなわち、受け部30は、さつまいもSPが乾燥される際に、そのさつまいもSPの変形を制限できればよい。
【0022】
付言すると、受け部30は、さつまいもSPの変形を制限する際に、乾燥工程によるさつまいもSPの切断面に交差する方向の変形を抑制部304と受け部302によって抑制し、さつまいもSPの切断面に沿う方向の収縮を許容できる構成となっている。換言すれば、受け部302及び抑制部304は、乾燥工程において、さつまいもSPが切断面に交差する方向に変形することを抑制する一方で収縮することを許容し、更に、乾燥空気が接触できる状態でさつまいもSPを支持できるように構成されている。
【0023】
蒸し機40は、受け部30に支持された状態のさつまいもSPを蒸すことができる。
蒸し機40は、受け部30を複数重ねられた状態のまま処理できる。
【0024】
乾燥機50は、蒸し機40にて蒸されたさつまいもSPを、受け部30に支持された状態で乾燥させることができる。
乾燥機50は、受け部30を複数重ねられた状態のまま処理できる。
【0025】
次に、さつまいもチップス製造装置10を用いたさつまいもチップスの製造方法について、図3に基づいて説明する。
さつまいもチップスは、以下の工程S1~S6に従って製造される。ただし、以下に明示した場合の他、可能な場合には、各工程S1~S6は順番を入れ替えて実施されてもよいし、並行して実施されてもよいし、一部が省略されて実施されてもよい。
(工程S1)
本工程は、次の切断工程(工程S2)にて処理ができるように、原料となるさつまいもを準備する前処理工程である。
具体的には、さつまいもが水洗いされ、汚れが落とされる。また、さつまいもの端や節が除去される。
【0026】
(工程S2)
本工程は、前処理されたさつまいもが予め決められた厚みになるように切断される切断工程である。
さつまいもは、切断機20により、厚みが例えば0.7~2.0mmになるように切断される。厚みが0.7mmよりも薄くなるように切断されると、製造されるさつまいもチップスが割れやすく食感に乏しくなる。一方で、厚みが2.0mmを超えて切断されると、固く食べにくくなり、後の乾燥工程(工程S6)における乾燥時間が長くなる。
【0027】
(工程S3)
本工程は、切断されたさつまいもSPが水洗いされる水洗工程である。水洗いは手洗いであってもよいし、水洗いのための洗浄機(不図示)が使用されてもよい。
本工程により、切断されたさつまいもSPのアクが取り除かれ、製造されるさつまいもチップスの苦味が低減される。
【0028】
(工程S4)
本工程は、水洗いされたさつまいもSPが、さつまいもSPの変形を制限する受け部30に載せられる載置工程である。
受け部30に支持されたさつまいもSPは、抑制具304の作用により、変形を抑制する力が加えられ、後の乾燥工程(工程S6)において変形が抑制される。
なお、特に連続式により製造する場合には、本載置工程は、水洗工程(工程S3)と入れ替えて実施されてもよい。従って例えば、さつまいもSPが抑制具が設けられたコンベアー(受け部30の変形例)に載せられ、変形が抑制された状態で搬送されながら、水洗工程(工程S3)が実施された後、次に示す蒸し工程(工程S5)及び乾燥工程(工程S6)が実施されてもよい。
【0029】
(工程S5)
本工程は、さつまいもSPが受け部30に支持された状態で蒸される蒸し工程である。
さつまいもSPは、蒸し機40によって、例えば少なくとも15分間蒸される。蒸し時間が15分よりも短いと製造されるさつまいもチップスの甘さが不足する。一方で、蒸し時間が長時間にわたると、さつまいもSP自身の形状が維持されなくなる。
【0030】
(工程S6)
本工程は、蒸されたさつまいもSPが受け部30に支持された状態で乾燥される乾燥工程である。
さつまいもSPは、乾燥機50によって、例えば120~180℃の温度で乾燥され、水分が除去される。乾燥温度が120℃未満になると、乾燥時間が長くなり、生産性が低下する。乾燥温度が180℃を超えると、さつまいもチップスに焦げが発生しやすくなる。
受け部30に支持されたさつまいもチップスSPは、抑制具304の作用により、厚み方向の変形が抑制されながら乾燥される。
【0031】
乾燥したさつまいもチップスSPは、受け部30から取り出され、製品として出荷される。
なお、受け302及び抑制部304がフッ素系樹脂によりコーティングされているため、乾燥したさつまいもチップスSPが受け部30から取り出される際に、受け部30に付着して割れてしまうことが抑制される。
【0032】
以上の工程S1~S6を経て、オイルで揚げる工程や添加物を加える工程を含むことなく、食感に優れたさつまいもチップスが製造される。
【0033】
ここで、発明者は、前述の製造方法の乾燥工程(工程S6)にてさつまいもSPの変形を抑えることが食感に与える効果を調べるため、前述の製造方法に従って製造した実施例に係るさつまいもチップス(図4(A)参照)と、載置工程(工程S4)において抑制具304を取り外し、変形を抑える力を加えずに製造した比較例に係るさつまいもチップス(図4(B)参照)と、をそれぞれ準備した。
その後、準備した実施例に係るさつまいもチップス及び比較例に係るさつまいもチップスについて、それぞれ図5(A)及び図5(B)に示す断面の拡大写真を撮影し、対比した。
【0034】
その結果、実施例のさつまいもチップスの方が、比較例のさつまいもチップスよりも、内部の広い範囲でより多くの空洞が観察された。
このような空洞は、載置工程(工程S4)においてさつまいもSPの変形を抑える力が加えられ、乾燥工程(工程S6)にてさつまいもSPの変形が抑えられることにより形成されるものと推察され、この空洞によって、サクサクないしパリパリとした心地よい食感が発生することが判明した。
【0035】
このように、本実施の形態に係るさつまいもチップス製造装置10によれば、オイルを使用せずに食感に優れたノンフライさつまいもチップスを製造できる。
また、乾燥工程(工程S6)にてさつまいもSPの変形が抑えられるので、変形が抑えられない場合と比較して、製造されるノンフライさつまいもチップスの嵩が、例えば20~30%程度低減される。
【0036】
〔第2の実施の形態〕
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)について説明する。
前述の第1の実施の形態においては、さつまいもを切断機20により切断してさつまいもSPを作り、その後に、さつまいもSPを水洗する水洗工程S3を経て蒸し工程S5及び乾燥工程S6を行っている。
しかしながら、さつまいもの品種の違いやレンコンなど原料の相違によって、水洗工程S3を省略することも考えられる。すなわち、水洗工程S3にて、切断されたさつまいもSPの切断面に滲み出るヤラピンやラッパ樹脂等を水洗工程で洗い流しているが、品種の違いによって前述のヤラピン等を洗い流さなくても、乾燥後の食感に大きな影響を与えないものもある。
そこで、本実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)は、水洗工程S3を実施せず、切断工程S2から、載置工程S4、蒸し工程S5、乾燥工程S6を経てさつまいもチップスを含む野菜チップスを製造する。
【0037】
〔第3の実施の形態〕
続いて、本発明の第3の実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)について説明する。
前述の第1の実施の形態において、製造方法の例として、切断工程S2において切断されたさつまいもSPを抑制具が設けられたコンベアー(受け部30の変形例)に載せ、水洗工程S3、蒸し工程S5及び乾燥工程S6を経てさつまいもチップスSPを製造する連続式製造方法について説明した。
本実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)は、この連続式製造方法において、切断工程S2にて原料のさつまいもの断面の直径を計測して、切断されたさつまいもSPの大きさを把握し、載置工程において隣り合うさつまいもSPの間隔を極力狭くするものである。原料となるさつまいもは、長手方向中央部の径が太く、両端に向かって径が細くなる形状をしているため、切断されたさつまいもSPは、その面積が異なり形も不揃いである。従って、コンベアーにさつまいもSPを載置する際に、各さつまいもSPの大きさを考慮して隣り合う間隔を調整することにより、単位面積当たりのさつまいもSPの処理数を増やすことができる。
【0038】
〔第4の実施の形態〕
続いて、本発明の第4の実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)について説明する。
本実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)は、連続式製造方法であり、切断したさつまいもSPを前述のコンベアーに載置し抑制具を使用した状態で、水洗工程S3、蒸し工程S5、乾燥工程S6を実施することにより、まず、水洗工程S3によるさつまいもSPの損傷を抑えることが可能となる。すなわち、切断機で切断された複数のさつまいもSPを前述の抑制具を使用せずに水洗する場合、水を溜めた容器にさつまいもSPを入れ、水洗作業を行うことになるが、その際、さつまいもSP同士の接触や容器との接触により無用な力が加わることによってさつまいもSPの損傷が生じる恐れがある。よって、切断したさつまいもSPをコンベアーに載置し抑制具を使用した状態で水洗工程S3を行うことにより、さつまいもSPの損傷を軽減することが可能となる。更に、切断機で切断された複数のさつまいもSPを前述の抑制具を使用せずに水洗する場合、水洗後の複数のさつまいもSPを一つ一つ並べて載置する作業を省略できる。
【0039】
〔第5の実施の形態〕
続いて、本発明の第5の実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)について説明する。
本実施の形態に係る野菜チップス製造装置(製造方法)は、水洗工程S3から蒸し工程S5及び乾燥工程S6までを実行するにあたり、さつまいもSPをコンベアーに載置して抑制具によりさつまいもSPの切断面方向から拘束した状態で、前述の各工程を実施する。
その結果、さつまいもSPに無用な外力を加えることを抑制できるため、さつまいもSPの損傷を抑えることができる。
【0040】
前述の第1~第5の実施の形態に係る野菜チップスの製造方法において、オイルを使用せずに食感に優れた野菜チップスを製造するという効果を奏するためには、少なくとも乾燥工程S6において、野菜チップスの変形を抑制することが重要である。
このことから、本実施の形態に係るノンフライ野菜チップスの製造方法は、原料となる野菜が予め決められた厚みに切断される切断工程S2と、切断工程S2にて切断された原料が蒸される蒸し工程S5と、蒸し工程S5にて蒸された原料をその変形が抑制されながら乾燥される乾燥工程S6と、を含むことを特徴とするものである。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
原料となる野菜は、さつまいもに限定されるものではない。野菜の他の例として、例えば、ジャガイモなどの芋類、蓮根、大根及びかぼちゃが挙げられる。
【符号の説明】
【0042】
10 さつまいもチップス製造装置
20 切断機
30 受け部
40 蒸し機
50 乾燥機
302 受け
304 抑制具
SP さつまいも