(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130145
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】パネル支持装置
(51)【国際特許分類】
H02S 20/30 20140101AFI20230912BHJP
F16B 37/04 20060101ALI20230912BHJP
F16B 39/282 20060101ALI20230912BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20230912BHJP
H02S 20/10 20140101ALI20230912BHJP
【FI】
H02S20/30 E
F16B37/04 K
F16B39/282 A
F16B5/10 L
H02S20/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034647
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】520026065
【氏名又は名称】株式会社S1BATA holdings
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】柴田 薫
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001GC13
3J001JA10
3J001KA19
3J001KB04
(57)【要約】
【課題】安全性に優れると共に、施工時における作業効率の低下を抑制したパネル支持装置を提供すること。
【解決手段】パネルを設置する架台に用いられるパネル支持装置は、長尺状に形成されたレール202と、レール202の長手方向に延在し、上面に開口部215を有する溝部210と、溝部210の内部に配置されるコマ301と、コマ301と嵌合される支持ボルト302と、を備え、溝部210は、短手方向の中央部から両端部に向けて上向きに傾斜する略V字形の第1傾斜部を有し、コマ301は、溝部210の前記第1傾斜部と係合する略V字形の第2傾斜部を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを設置する架台に用いられるパネル支持装置であって、
長尺状に形成されたレールと、
前記レールの長手方向に延在し、上面に開口部を有する溝部と、
前記溝部の内部に配置されるコマと、
前記コマと嵌合される支持ボルトと、
を備え、
前記溝部は、短手方向の中央部から両端部に向けて上向きに傾斜する略V字形の第1傾斜部を有し、
前記コマは、前記溝部の前記第1傾斜部と係合する略V字形の第2傾斜部を有するパネル支持装置。
【請求項2】
前記溝部は、短手方向において前記コマの両端部と当接する上端部を有し、
前記上端部と、前記コマが前記上端部と当接する前記両端部には、互いに嵌合する凹凸形状が形成されている請求項1に記載のパネル支持装置。
【請求項3】
前記支持ボルトを嵌合させた前記コマを前記溝部に収納した場合に、前記レールの前記開口部の側縁と、前記支持ボルトの外側面との距離D1は、前記支持ボルトの直径dに対して、0.1d≦D1≦0.6dの範囲である請求項1又は2に記載のパネル支持装置。
【請求項4】
前記コマを前記溝部へ収納した場合に、前記コマが前記溝部の短手方向へ移動する範囲を規制する位置規制部を有する請求項1~3のいずれかに記載のパネル支持装置。
【請求項5】
前記コマの上面には、前記溝部の前記開口部と嵌合する上縁部が設けられている請求項1~4のいずれかに記載のパネル支持装置。
【請求項6】
前記支持ボルトを嵌合させた前記コマを前記溝部に収納した場合に、前記支持ボルトの下端部と前記溝部の底部との距離が2mm以上4mm以下である請求項1~5のいずれかに記載のパネル支持装置。
【請求項7】
前記支持ボルトと前記コマとの間にワッシャを備える請求項1~6のいずれかに記載のパネル支持装置。
【請求項8】
前記ワッシャは、皿バネワッシャである請求項7に記載の支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電パネルを架台に固定するため、太陽光発電パネルの側縁及び隣接する太陽光発電パネル間に固定用の金具を嵌め込み、その金具をボルトやナット等(以下、「ボルト類」ともいう)により架台に固定する構造のパネル支持装置が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-11567号公報
【特許文献2】特開2018-7342号公報
【特許文献3】特開2017-133239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光発電パネルは、主に屋外に設置されるため、金具を架台に固定しているボルト類が風圧により架台から外れてしまうことがある。このような不具合は、ボルト類と架台とが嵌合する部分の範囲(以下、「嵌合範囲」ともいう)が少ないために生じることが多い。このような不具合を回避するため、例えば、ボルト類の取り付け構造をより複雑にして、ボルト類と架台との嵌合範囲を多くすることが考えられる。しかし、ボルト類の取り付け構造を複雑にすると、金具やボルト類の取り付けに手間と時間がかかるため、作業効率が低下する。一方、ボルト類の取り付け構造を簡素化すると、作業効率は向上するが、ボルト類が風圧により架台から外れやすくなるため、安全性を確保することが難しい。
【0005】
本発明の目的は、安全性に優れると共に、施工時における作業効率の低下を抑制したパネル支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、パネルを設置する架台に用いられるパネル支持装置であって、長尺状に形成されたレールと、前記レールの長手方向に延在し、上面に開口部を有する溝部と、前記溝部の内部に配置されるコマと、前記コマと嵌合される支持ボルトと、を備え、前記溝部は、短手方向の中央部から両端部に向けて上向きに傾斜する略V字形の第1傾斜部を有し、前記コマは、前記溝部の前記第1傾斜部と係合する略V字形の第2傾斜部を有するパネル支持装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るパネル支持装置よれば、安全性に優れると共に、施工時における作業効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】太陽光発電パネル10を固定する架台20の斜視図である。
【
図3】架台20と太陽光発電パネル10の一部を示す斜視図である。
【
図4】レール202のX-Z面と平行な面における断面図である。
【
図5】コマ301と支持ボルト302を溝部210に収納した場合の溝部210の部分断面図である。
【
図7】支持ボルト302及びナット303の構成を説明する図である。
【
図9A】太陽光発電パネル10を支持具30によりレール202に固定する手順を説明する図である。
【
図9B】太陽光発電パネル10を支持具30によりレール202に固定する手順を説明する図である。
【
図9C】太陽光発電パネル10を支持具30によりレール202に固定する手順を説明する図である。
【
図10】支持具30Aの他の実施形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るパネル支持装置を、太陽光発電パネルを固定するパネル支持装置に適用した実施形態について説明する。本明細書に添付した図面は、いずれも模式図であり、理解しやすさ等を考慮して、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更又は誇張している。また、図面においては、部材の断面を示すハッチングを適宜に省略する。
【0010】
本明細書等において、形状、幾何学的条件、これらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「方向」等の用語については、その用語の厳密な意味に加えて、ほぼ平行、ほぼ直交等とみなせる程度の範囲、概ねその方向とみなせる範囲を含む。また、本明細書等では、
図1に示す太陽光発電ユニット1の短手方向をX(X1-X2)方向、長手方向をY(Y1-Y2)方向、高さ方向をZ(Z1-Z2)方向とする。また、各部材については、各部材が太陽光発電ユニット1に設置された状態を基準として、上記XYZの座標系を用いて説明する。なお、本明細書においては、「~方向」を適宜に「~側」ともいう。
【0011】
図1は、太陽光発電ユニット1の斜視図である。
図2は、太陽光発電パネル10を固定する架台20の斜視図である。
図3は、架台20と架台20に固定された太陽光発電パネル10の一部を示す斜視図である。
図4は、レール202のX-Z面と平行な面における断面図である。
図5は、コマ301と支持ボルト302を溝部210に収納したレール202断面図である。なお、
図5では、コマ301と支持ボルト302が溝部210のいずれにも接していない仮想的な状態を示している。
【0012】
図1に示すように、太陽光発電ユニット1は、複数の太陽光発電パネル10と、架台20と、を備えている。太陽光発電ユニット1において、太陽光発電パネル10は、支持具30(
図3参照)を介して架台20に固定されている。
後述する架台20のレール202、レール202に設けられた溝部210、支持具30のコマ301及び支持ボルト302は、本実施形態において、パネル支持装置を構成する。
【0013】
太陽光発電パネル10は、太陽光を光電変換して電力を発生する発電用パネルである。1枚の太陽光発電パネル10は、複数枚の太陽光発電セルと周辺部品により構成されている。本実施形態の太陽光発電ユニット1では、架台20上において、Y方向に7枚連ねた太陽光発電パネル10が、X方向に2列設置されている。以下、太陽光発電パネル10を、単に「パネル」ともいう。
【0014】
架台20は、太陽光発電パネル10を設置するための構造体である。
図2に示すように、架台20は、レール支持体201と、レール202と、を備えている。レール支持体201は、レール202を支持するための枠形の部材である。本実施形態の架台20では、長手方向(Y方向)に沿って、高さの異なる3つのレール支持体201が設置されている。なお、それぞれのレール支持体201は、施工場所に設けられたアンカー基礎(不図示)の上に設置されている。
【0015】
レール202は、太陽光発電パネル10を支持する部材であり、長尺状に形成されている。本実施形態の架台20では、
図2に示すように、短手方向(X方向)に沿って4本のレール202がレール支持体201上に配置されている。
図3に示すように、1枚の太陽光発電パネル10は、短手方向(X方向)に並んだ2本のレール202を跨ぐように設置されている。
【0016】
図4に示すように、レール202は、天板部203、側板部204及び底板部205を備え、断面が略角筒状となるように構成されている。レール202は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等により作製される。レール202の長手方向(Y方向)の両端部は、それぞれ開放されている。コマ301を嵌合させた支持ボルト302(後述)は、レール202の長手方向の端部から挿入される。なお、太陽光発電パネル10の設置後に、レール202の両端部をカバー等により塞いでもよい。
【0017】
レール202は、天板部203の下側(Z2側)に溝部210を備えている。溝部210は、天板部203と一体に設けられた部分であり、後述する支持具30のコマ301及び支持ボルト302(一部)が収納される。
溝部210は、上端部211、側面部212、レール傾斜部213及び凹部214を備えている。溝部210は、X-Z平面と平行な断面が略矩形状に構成され、レール202の長手方向(Y方向)に延在している。
【0018】
上端部211は、溝部210に収納されたコマ301のコマ嵌合部307(後述)と嵌合する部分である。
図4に示すように、上端部211は、溝部210の短手方向(X方向)の両端部側から中央部に向けて突出しており、天板部203と同一面となるように構成されている。上端部211には、レール202の長手方向に延在する開口部215が設けられている。なお、上端部211の厚み(上端部211とレール嵌合部216との間の寸法)Tは、例えば、3~5mm程度であり、後述するように、好ましくは4mmである。
【0019】
開口部215は、
図5に示すように、コマ301を嵌合させた支持ボルト302(以下、「コマ301と支持ボルト302」ともいう)を溝部210に収納した場合に、支持ボルト302のネジ部313(後述)が突出する部分である。開口部215の短手方向(X方向)の開口幅W1は、後述するように、支持ボルト302の直径、開口部215と支持ボルト302との隙間の大きさ、上端部211の厚みT等に応じて設定される。コマ301と支持ボルト302を溝部210に収納した場合に、開口部215の側縁と支持ボルト302(ネジ部313)の外側面との距離D1は、0.1d≦D1≦0.6dとなるように設定される。なお、dは、支持ボルト302のネジ部313の直径である。
【0020】
太陽光発電パネル10を支持具30によりレール202に固定する場合、後述するように、エンドクランプ304から突出した支持ボルト302にナット303を嵌合させ、ナット303を規定の締め付けトルクまで締め付ける作業が行われる(
図9A~
図9C参照)。しかし、太陽光発電パネル10をレール202に固定した後、風圧等の影響により、支持ボルト302と共にコマ301が上方向(Z1方向)又は上向きの斜め方向に引っ張られ、上端部211に亀裂が生じることがある。このような不具合は、例えば、開口部215の開口幅W1を11.5mmとし、上端部211の厚みTを4mmとすることにより抑制することができる。具体的には、支持ボルト302のネジ部313の直径dが8mmであれば、距離D1を1.75mmとすることにより、開口部215の開口幅W1を11.5mmとすることができる。また、上端部211の厚みTを4mmとした場合、支持ボルト302の頭部312と凹部214の底部214aとの間が適切なクリアランスとなるように、距離D4(後述)の寸法を調節してもよい。但し、上述した各部の寸法は一例であり、実際に施工される架台において、開口幅W1、上端部211の厚みT等の寸法は、上記数値の例に限定されない。
【0021】
レール嵌合部216は、上端部211のZ2側の面に設けられている。レール嵌合部216は、コマ301に設けられたコマ嵌合部307(後述)と嵌合する部分である。レール嵌合部216の表面には、凹凸形状が形成されている。後述するように、レール嵌合部216の凹凸形状は、コマ嵌合部307の凹凸形状と互いに噛み合うように形成されている。レール嵌合部216の凹凸形状は、レール202の長手方向(Y方向)に沿って形成されている。
【0022】
側面部212は、上端部211のZ2側に設けられた部分である。
図5に示すように、側面部212の短手方向の幅(内幅)W2は、側面部212とコマ301の突起部309(後述)との距離D2が1mm以上3mm以下となるように形成されている。例えば、コマ301の短手方向における突起部309間の幅W3が26mm、距離D2が1mmであれば、側面部212の幅W2は、28mmとなる。なお、上述した幅W3、距離D2等の寸法は一例であり、実際に施工される架台において、幅W3、距離D2等の寸法は上記数値の例に限定されない。
【0023】
レール傾斜部(第1傾斜部)213は、側面部212のZ2側に設けられた部分である。レール傾斜部213は、コマ301と支持ボルト302が溝部210へ収納された場合に、コマ301のコマ傾斜部310(後述)と係合する。
図5に示すように、レール傾斜部213は、溝部210の短手方向(X方向)の中央部からX1側及びX2側の両端部に向けてそれぞれ上向きに傾斜している。X1側のレール傾斜部213とX2側のレール傾斜部213は、両者の間にある空間を挟んで略V字形となる。
【0024】
凹部214は、レール傾斜部213のZ2側に設けられた部分である。
図5に示すように、溝部210の天板部203(上面)から凹部214の底部214aまでの距離D3は、コマ301と支持ボルト302を溝部210へ収納した場合に、支持ボルト302の下端部(後述する頭部312)と溝部210(凹部214)の底部214aとの距離D4が2mm以上4mm以下となるように形成されている。なお、前述したように、
図5は、コマ301のコマ傾斜部310(後述)と溝部210のレール傾斜部213とが接していない仮想的な状態を示しているが、上記距離D3は、例えば、
図9Aに示すように、コマ301のコマ傾斜部310と溝部210のレール傾斜部213とが接している状態での距離を示している。同様に、上記距離D4は、例えば、
図9Aに示すように、コマ301のコマ傾斜部と溝部210のレール傾斜部213とが接している状態での距離を示している。
【0025】
次に、支持具30を構成するコマ301、支持ボルト302、ナット303及び各クランプについて説明する。
図6Aは、コマ301の側面図である。
図6Bは、コマ301の平面図である。以下、
図6A及び
図6Bを総称して「
図6」ともいう。なお、本明細書では、コマ301がレール202の溝部210に収納された位置(
図5参照)を基準としてXYZの座標系を記載する。
コマ301は、支持ボルト302(後述)と共に溝部210(レール202)に収納される部品である。コマ301は、
図6Aに示す側面視ではZ2方向に略凸形となり、
図6Bに示す平面視では矩形状となる。コマ301は、例えば、ステンレス鋼により作製される。コマ301は、
図6Aに示すように、ボルト孔306、コマ嵌合部307、上縁部308、突起部309、コマ傾斜部310及び底部311を備えている。
【0026】
ボルト孔306は、支持ボルト302(後述)が嵌合される孔である。ボルト孔306の内周面には、支持ボルト302の雄ネジ313a(ネジ部313)と嵌合する雌ネジ(不図示)が形成されている。
【0027】
コマ嵌合部307は、溝部210のレール嵌合部216(
図5参照)と嵌合する部分である。コマ嵌合部307は、コマ301の短手方向(X方向)の両端部に設けられている。コマ嵌合部307のZ1側の面には、凹凸形状が形成されている。コマ嵌合部307の凹凸形状は、コマ嵌合部307がレール嵌合部216と嵌合したときに、レール嵌合部216の凹凸形状と互いに噛み合うように形成されている。すなわち、コマ嵌合部307がレール嵌合部216と嵌合したときに、一方の凹部(谷部)と他方の凸部(山部)とが噛み合い、一方の凸部と他方の凹部とが噛み合うように形成されている。
図6Bに示すように、コマ嵌合部307の凹凸形状は、コマ301の長手方向(Y方向)に沿って形成されている。コマ301が支持ボルト302と共に溝部210へ収納された場合に、コマ嵌合部307の凹凸形状が延在する方向は、レール嵌合部216に形成された凹凸形状が延在する方向と一致する。
【0028】
上縁部308は、溝部210の開口部215(
図5参照)と嵌合する部分である。上縁部308の短手方向の幅W4(
図5参照)は、溝部210の開口部215の開口幅W1と同じか、僅かに短くなるように形成されることが望ましい。例えば、溝部210の開口部215の開口幅W1が12.5mmであれば、上縁部308の幅W4は、10.6mmである。なお、上縁部308の短手方向の両端部は、中央側から端部側に向けて下向きに傾斜する傾斜面となる。すなわち、上縁部308は、側面視において略台形となるように形成されている。
【0029】
突起部(位置規制部)309は、溝部210へ収納されたコマ301が短手方向(X方向)へ移動する範囲を規制する部分である。突起部309は、コマ301の短手方向の両側面に形成されている。コマ301の短手方向における突起部309間の幅W3(
図5参照)は、溝部210の側面部212の幅W2(
図5参照)に合わせて形成されている。具体的には、コマ301を溝部210へ収納した場合に、コマ301の突起部309と溝部210の側面部212との距離D2が1mm以上3mm以下となるように形成されている。例えば、溝部210の側面部212の幅W2が28mmであれば、コマ301の突起部309間の幅W3は26mmとなる。その場合、コマ301の突起部309と溝部210の側面部212との距離D2は、1mmとなる。
【0030】
コマ傾斜部(第2傾斜部)310及び底部311は、突起部309のZ2側に設けられた部分である。コマ傾斜部310は、コマ301が支持ボルト302と共に溝部210へ収納された場合に、溝部210のレール傾斜部213と係合する。
図6Aに示すように、コマ傾斜部310は、コマ301の短手方向(X方向)の中央部からX1側及びX2側の両端部に向けてそれぞれ上向きに傾斜している。X1側のコマ傾斜部310とX2側のコマ傾斜部310は、両者の間にある底部311を挟んで略V字形となる。コマ301に形成されたコマ傾斜部310が傾斜する角度と、溝部210のレール傾斜部213が傾斜する角度は一致していることが望ましいが、施工に支障のない範囲で角度差があってもよい。
【0031】
図7は、支持ボルト302及びナット303の構成を説明する図である。支持ボルト302は、コマ301と共に溝部210へ収納される部品である。
図7に示すように、支持ボルト302は、フランジ付きの頭部312と、ネジ部313とを備えている。ネジ部313の外周面には、雄ネジ313aが形成されている。支持ボルト302は、フランジ付きの頭部312とネジ部313とが一体化されたフランジ付きボルトである。ナット303は、フランジ付きナットである。ナット303の内周面には、ネジ部313の雄ネジ313aと嵌合可能な雌ネジ(不図示)が形成されている。なお、
図7において、支持ボルト302及びナット303の配置は、パネル施工時の配置を示している。すなわち、パネル施工時において、支持ボルト302は、頭部312が下側(Z2側)となり、ネジ部313が上側(Z1側)となる向きで使用される。また、ナット303は、支持ボルト302の上側(Z1側)からネジ部313に嵌合される。
【0032】
図8Aは、エンドクランプ304の側面図である。
図8Aに示すように、エンドクランプ304は、略L字形に形成された部品である。エンドクランプ304は、
図3に示すように、複数の太陽光発電パネル10のうち、長手方向(Y方向)の端に配置されるパネルの一方の側縁(又は反対側となる他方の側縁)を固定するために用いられる。エンドクランプ304の中央部には、孔部314が形成されている。
図8Aに示すように、太陽光発電パネル10の一方の側縁をエンドクランプ304に当接させ、孔部314に貫通させた支持ボルト302(ネジ部313)にナット303を嵌合させて締め付けることにより、太陽光発電パネル10の一方の側縁をレール202に固定することができる。
【0033】
図8Bは、中間クランプ305の側面図である。
図8Bに示すように、中間クランプ305は、略凹形に形成された部品である。中間クランプ305は、
図3に示すように、複数の太陽光発電パネル10のうち、長手方向(Y方向)において隣接するパネル間を固定するために用いられる。中間クランプ305の中央部には、孔部315が形成されている。
図8Bに示すように、太陽光発電パネル10Aの一方の側縁と、隣接する太陽光発電パネル10Bの他方の側縁とを中間クランプ305に当接させ、孔部315に貫通させた支持ボルト302(ネジ部313)にナット303を嵌合させて締め付けることにより、太陽光発電パネル10Aの一方の側縁と太陽光発電パネル10Bの他方の側縁とをレール202に固定することができる。
上述したエンドクランプ304及び中間クランプ305は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等により作製される。
【0034】
次に、太陽光発電パネル10をレール202(架台20)に固定する手順について説明する。
図9A~
図9Cは、太陽光発電パネル10を支持具30によりレール202に固定する手順を説明する図である。なお、
図9A~
図9Cでは、太陽光発電パネル10をエンドクランプ304によりレール202に固定する例について説明するが、隣接する2つの太陽光発電パネル10を中間クランプ305(
図8B参照)によりレール202に固定する場合も同様の手順で作業することができる。
【0035】
まず、
図9Aに示すように、コマ301を嵌合させた支持ボルト302を、レール202の溝部210に収納する。コマ301と支持ボルト302をレール202の溝部210に収納すると、コマ301に形成されたコマ傾斜部310と溝部210に形成されたレール傾斜部213とが係合した状態となる。コマ301のコマ傾斜部310と溝部210のレール傾斜部213とが係合することにより、コマ301の短手方向(X方向)の中心位置と溝部210の短手方向の中心位置を一致させることができる。なお、コマ301と支持ボルト302とを嵌合させる際、コマ301を支持ボルト302の頭部312と接する位置までねじ込み、更に両者を締め込んで、コマ301と支持ボルト302とを強固に嵌合させることが望ましい。コマ301と支持ボルト302との嵌合が弱いと、支持ボルト302にナット303を嵌合させたときに、支持ボルト302が緩んでナット303が空回したり、締め付け後の支持ボルト302に緩みが生じたりするためである。
【0036】
次に、
図9Bに示すように、レール202の天板部203に太陽光発電パネル10を設置する。そして、エンドクランプ304の孔部314に支持ボルト302のネジ部313を貫通させ、エンドクランプ304を、太陽光発電パネル10の一方の側縁と当接するように取り付ける。なお、
図9B及び
図9C(後述)では、ナット303とエンドクランプ304による太陽光発電パネル10の固定と、溝部210に収納されたコマ301と支持ボルト302の状態を分かり易くするため、レール202上において、エンドクランプ304と太陽光発電パネル10が設置される向きを平面的にずらして描いている。すなわち、
図9B及び
図9Cでは、エンドクランプ304が太陽光発電パネル10と当接する向きを、
図3に示すY方向(実際のエンドクランプ304が向く方向)ではなく、平面的に90度ずれたX方向として描いている。
【0037】
続いて、
図9Bに示すように、エンドクランプ304の孔部314から突出した支持ボルト302のネジ部313にナット303を嵌合させて締め込む。この締め込みにより、ナット303がエンドクランプ304に当接すると、これ以降は、ナット303の締め込みに連動して、コマ301と支持ボルト302が上側(Z1側)に引き上げられる。そして、更にナット303を締め込むことにより、
図9C(部分拡大図)に示すように、コマ301のコマ嵌合部307に形成された凹凸形状と、溝部210のレール嵌合部216に形成された凹凸形状とを互いに嵌合させることができる。この後、更にナット303を規定の締め付けトルクまで締め込むことにより、太陽光発電パネル10をレール202(架台20)に固定することができる。
【0038】
上述した本実施形態のパネル支持装置によれば、例えば、以下のような効果を奏する。
本実施形態のパネル支持装置によれば、コマ301と支持ボルト302をレール202の溝部210に収納すると、コマ301に形成されたコマ傾斜部310と溝部210に形成されたレール傾斜部213とが係合する。コマ301と支持ボルト302をレール202の溝部210に収納した際に、コマ301が傾いたりして、コマ301の短手方向(X方向)の中心位置が溝部210の短手方向の中心位置からずれたとしても、コマ301と支持ボルト302は、自重により溝部210の中心位置の方向に向けてレール傾斜部213を滑りながら移動する。そのため、コマ301と支持ボルト302をレール202の溝部210に収納することにより、コマ301の短手方向の中心位置と溝部210の短手方向の中心位置を、簡単且つより正確に一致させることができる。
【0039】
本構成によれば、コマ301と支持ボルト302を溝部210に収納した際に、コマ301の位置が短手方向にずれることにより、一方の側でコマ301と溝部210との嵌合範囲が少なくなり、この部分において取り付け強度が低下するリスクを低減することができる。したがって、風圧等により、コマ301と支持ボルト302が、クランプ(304/305)やナット303と共にレール202から外れてしまう不具合を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態のパネル支持装置は、
図9A~
図9Cに示すように、一般的なパネル支持装置とほぼ同じ手順で施工できるため、ボルト類の取付け構造を複雑化した場合と比べて、作業工数の増加による作業効率の低下を抑制することができる。
したがって、本実施形態のパネル支持装置によれば、安全性に優れるだけでなく、施工時における作業効率の低下を抑制することができる。
【0041】
本実施形態のパネル支持装置において、レール202の溝部210は、コマ301を嵌合させた支持ボルト302を溝部210へ収納した場合に、支持ボルト302の下端部と凹部214の底部214aとの距離D4が2mm以上4mm以下となるように形成されている(
図5参照)。本構成によれば、コマ301を嵌合させた支持ボルト302の下端部と凹部214の底部214aとの距離D4が下限値(2mm)未満となる場合、コマ301を嵌合させた支持ボルト302を、レール202の溝部210に収納することができないか、収納できたとしても、支持ボルト302の下端部と凹部214の底部214aとの接触により、収納する際に大きな抵抗が生じる。そのため、作業者は、上記のような症状が発生した場合に、コマ301と支持ボルト302とが適切に嵌合していないと判断することができる。したがって、本実施形態のパネル支持装置においては、作業者がコマ301と支持ボルト302とが適切に嵌合していない状態でレール202に取り付けてしまう施工ミスを未然に防ぐことができる。
【0042】
また、作業者がコマ301を支持ボルト302に嵌合させる向きを間違えた場合、すなわち、コマ301の底部311(
図6A参照)がZ1側となるように支持ボルト302に嵌合させた場合、コマ301と支持ボルト302とが適切に嵌合していても、コマ嵌合部307と溝部210のレール傾斜部213とが干渉するため、コマ301と支持ボルト302を溝部210に収納できなくなる。そのため、コマ301と支持ボルト302の組付けミスを未然に防ぐこともできる。
【0043】
本実施形態のパネル支持装置において、コマ301の突起部309と溝部210の側面部212との距離D2は、1mm以上3mm以下となるように形成されている(
図5参照)。そのため、コマ301を嵌合させた支持ボルト302をレール202の溝部210に収納した際に、コマ301の短手方向(X方向)の位置が上限値(3mm)を超えてずれないようにすることができる。このように、本実施形態のパネル支持装置は、先に説明した、コマ301に形成されたコマ傾斜部310と溝部210に形成されたレール傾斜部213の斜面同士が係合する構成と、コマ301の突起部309と溝部210の側面部212との距離D2を1mm以上3mm以下とする構成とを備えているため、コマ301と支持ボルト302をレール202の溝部210に収納した際に、コマ301の短手方向の中心位置と溝部210の短手方向の中心位置とを、より確実に一致させることができる。
【0044】
なお、コマ301の短手方向(X方向)の両側面に突起部309を設けずに、両側面をそれぞれ外側に向けて延長させる構成も考えられる。しかし、コマ301の短手方向の両側面を外側に向けて延長させた場合、上記距離D2が1mm以上3mm以下であったとしても、コマ301を溝部210へ挿入した際に、コマ301が短手方向にずれていると、コマ301の短手方向の一方の側面と溝部210の側面部212との間の接触抵抗が大きくなる。そのため、コマ301を溝部210の所望の位置まで移動させるのに時間がかかる。しかし、本実施形態のように、コマ301の短手方向(X方向)の両側面に突起部309を設けた場合、コマ301が短手方向にずれたとしても、コマ301に形成された突起部309と溝部210の側面部212との間の接触抵抗が小さいため、コマ301を溝部210の所望の位置までスムーズに移動させることができる。
【0045】
本実施形態のパネル支持装置において、コマ301の突起部309と溝部210の側面部212との距離D2は、1mm以上3mm以下となるように形成されている(
図5参照)。そのため、コマ301の短手方向における突起部309間の幅W3を、溝部210の側面部212の短手方向の幅W2により近付けることができる。本構成によれば、コマ嵌合部307とレール嵌合部216との嵌合範囲を大きくできるため、コマ嵌合部307とレール嵌合部216との結合力を増加させることができる。
【0046】
本実施形態のパネル支持装置において、コマ301が嵌合した支持ボルト302は、頭部312が下側(Z2側)となり、ネジ部313が上側(Z1側)となるように溝部210に収納される(
図5参照)。本構成によれば、支持ボルト302に嵌合したコマ301が溝部210の内部で空回りすることが抑制されるため、上側(Z1側)からナット303を締め込むことにより、太陽光発電パネル10とクランプ(304/305)を確実に固定することができる。
【0047】
なお、従来のパネル支持装置では、レール側にコマを収納し、上側から支持ボルトを挿入してコマと嵌合させる構成が多く用いられている。しかし、このような構成では、締め付けのために支持ボルトを回したときに、コマ(ナット)がレールの内部で空回りしやすくなるため、太陽光発電パネルとクランプを十分な締め付けトルクで固定できなくなるおそれがある。これに対して、本願実施形態のパネル支持装置では、コマ301と支持ボルト302とが嵌合した状態で溝部210内に収納される(
図5参照)。本構成によれば、コマ301がナット303と直に嵌合していないため、締め付けのためにナット303を回したときに、コマ301が空回りしにくくなる。そのため、太陽光発電パネル10とクランプ(304/305)を十分な締め付けトルクで確実に固定することができる。
【0048】
本実施形態のパネル支持装置において、溝部210のレール嵌合部216と、コマ301のコマ嵌合部307には、それぞれ凹凸形状が形成されている。本構成によれば、
図9Cに示すように、エンドクランプ304の孔部314から突出した支持ボルト302のネジ部313にナット303を嵌合させて締め込むと、
図9Cの部分拡大図に示すように、コマ 301のコマ嵌合部307に形成された凹凸形状と、溝部210のレール嵌合部216に形成された凹凸形状とが互いに嵌合する。このように、コマ301のコマ嵌合部307と溝部210のレール嵌合部216のそれぞれの凹凸形状が嵌合することにより、振動等によりコマ301が回転したり、ずれたりする不具合を抑制することができる。また、それぞれの凹凸形状同士が嵌合することにより、コマ301のコマ嵌合部307を、溝部210のレール嵌合部216により確実に食い込ませることができる。
【0049】
本実施形態のパネル支持装置において、開口部215の短手方向の開口幅W1は、コマ301と支持ボルト302を溝部210に収納した場合に、開口部215の側縁と支持ボルト302の外側面との距離D1が、支持ボルト302の直径dに対して、0.1d≦D1≦0.6dの範囲となるように形成されている(
図5参照)。これによれば、コマ301のコマ嵌合部307と溝部210のレール嵌合部216との嵌合範囲が大きくなるため、コマ嵌合部307とレール嵌合部216との結合力を増加させることができる。
【0050】
本実施形態のパネル支持装置において、コマ301は、溝部210の開口部215と嵌合する上縁部308(
図5参照)を備えている。そのため、
図9Bの状態からナット303の締め込み、コマ301と支持ボルト302が上側に引き上げられると、
図9Cに示すように、コマ301の上縁部308と溝部210の開口部215とが嵌合する。本構成によれば、コマ301の短手方向の中心位置と溝部210の短手方向の中心位置とがずれていても、コマ301と支持ボルト302が上側に引き上げられた際に、コマ301の上縁部308と溝部210の開口部215とが嵌合することにより、コマ301の短手方向の中心位置と溝部210の短手方向の中心位置とを一致させることができる。
【0051】
また、コマ301の上縁部308は、側面視において略台形となるように形成されている(
図6A参照)。本構成によれば、コマ301の短手方向の中心位置と溝部210の短手方向の中心位置とが僅かにずれている状態で、コマ301と支持ボルト302が上側に引き上げられた場合、コマ301の上縁部308において、一方の端部(傾斜面)が溝部210の開口部215と摺動しながら上側へ移動する。そのため、コマ301と支持ボルト302を、上側によりスムーズに引き上げることができる。
【0052】
次に、支持具30の他の実施形態について説明する。
図10は、支持具30Aの他の実施形態を説明する図である。
図10は、コマ301、支持ボルト302及びワッシャ316を溝部210に収納したレール202の断面図であり、
図5に対応する。
図10についても、
図5と同様に、コマ301と支持ボルト302が溝部210のいずれにも接していない仮想的な状態を示している。また、
図10において、前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜に省略する。
【0053】
図10に示す支持具30Aは、支持ボルト302とコマ301との間にワッシャ316を備えている。ワッシャ316は、例えば、皿バネワッシャである。皿バネワッシャは、未装着の状態で略円錐形状のワッシャであり、中央に支持ボルト302(ネジ部313)が貫通する丸穴を有する。ワッシャ316は、山側が頭部312に向くように支持ボルト302に挿入される。支持ボルト302のネジ部313に、ワッシャ316を挿入し、更にコマ301を嵌合させて締め付けることにより、支持ボルト302、コマ301及びワッシャ316を一体化させることができる。支持ボルト302とコマ301との間にワッシャ316を挟むことにより、支持ボルト302とコマ301との間には、ワッシャ316の弾性力(反力)及び摩擦抵抗が作用する。そのため、施工後において、支持ボルト302とコマ301との間に生じる緩みを抑制することができる。支持ボルト302とコマ301との間にワッシャ316を設けた場合、支持ボルト302の頭部312と凹部214の底部214aとの間が適切なクリアランスとなるように、距離D4を、例えば4mm程度とすることが好ましい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内に含まれる。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述の実施形態及び後述する変形形態は、適宜に組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0055】
(変形形態)
実施形態では、支持ボルト302と嵌合する部材として、ナット(フランジ付きナット)303を例として説明したが、これに限定されない。支持ボルト302と嵌合する部材は、ナットとワッシャとを組み合わせたものでもよいし、ダブルナットであってもよい。また、皿バネナット等の緩み止めの機能を備えたナットでもよい。
【0056】
図10に示す他の実施形態では、ワッシャ316として、皿バネワッシャを用いた例について説明したが、ワッシャ316は、例えば、スプリングワッシャであってもよい。また、コマ301の底部311(
図6A参照)に対して支持ボルト302の頭部312が小さい場合、ワッシャ316として平ワッシャ(プレートワッシャ)を用いてもよい。平ワッシャは、締め付けにより弾性力(反力)及び摩擦抵抗を生じないが、コマ301の底部311に対して支持ボルト302の頭部312が小さい場合、支持ボルト302とコマ301との間に平ワッシャを設けることにより、支持ボルト302とコマ301との間の接地面積(締め付けによる応力が作用する範囲)をより広くできるので、支持ボルト302とコマ301との間に生じる緩みの抑制に効果がある。また、ワッシャ316の枚数は、1枚に限らず、複数枚設けてもよい。更に、ワッシャ316を用いる代わりに、支持ボルト302の頭部312を、緩み止めの機能を備えた形状(例えば、皿バネナットと同じ形状)としてもよい。
【0057】
実施形態では、
図5又は
図9Cに示すように、溝部210のレール嵌合部216の凹凸形状と、コマ301のコマ嵌合部307の凹凸形状を、それぞれ波形状とした例について説明したが、これに限定されない。凹凸形状は、例えば、三角形状、四角形状、鋸歯形状等であってもよい。
【0058】
実施形態において、エンドクランプ304(
図8A参照)は、太陽光発電パネル10をレール202の上に仮置きした後に取り付けてもよいし、エンドクランプ304の孔部314に支持ボルト302を貫通させた後に、太陽光発電パネル10をレール202の上に設置してもよい。
【0059】
実施形態において、中間クランプ305(
図8B参照)は、太陽光発電パネル10A及び10Bをレール202の上に仮置きした後に取り付けてもよいし、パネルの設置順によっては、中間クランプ305の孔部315に支持ボルト302を貫通させた後に、太陽光発電パネル10A及び10Bをレール202の上に設置してもよい。
【0060】
実施形態では、
図1に示すように、架台20上に7枚連ねた太陽光発電パネル10を2列設置する例について説明したが、これに限定されない。架台20に設置される太陽光発電パネル10の数は1枚であってもよいし、
図1の構成よりも多い15枚以上であってもよい。また、
図1に示す架台20において、X方向に配置するレール202の数を増やすことにより、風圧により太陽光発電パネル10から架台20に作用する応力を分散させることができる。
【0061】
実施形態では、本発明に係るパネル支持装置を、太陽光発電パネルを固定するパネル支持装置に適用する例について説明したが、これに限定されない。本発明に係るパネル支持装置は、例えば、防音用パネル、防風用パネル、目隠し用パネルの他、パーテーション等の固定に適用することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1 太陽光発電ユニット
10、10A、10B 太陽光発電パネル
20 架台
30 支持具
202 レール
210 溝部
211 上端部
212 側面部
213 レール傾斜部
214 凹部
214a 底部
215 開口部
216 レール嵌合部
301 コマ
302 支持ボルト
303 ナット
307 コマ嵌合部
308 上縁部
309 突起部
310 コマ傾斜部
312 頭部
313 ネジ部
316 ワッシャ