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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130156
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】シーラントの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/10 20060101AFI20230912BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20230912BHJP
   B01F 23/43 20220101ALI20230912BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20230912BHJP
【FI】
C09K3/10 Z
B01D19/00 101
B01F23/43
B01F27/90
B01D19/00 102
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034663
(22)【出願日】2022-03-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】釜谷 昌希
【テーマコード(参考)】
4D011
4G035
4G078
4H017
【Fターム(参考)】
4D011AA16
4D011AB06
4D011AC08
4D011AD03
4G035AB38
4G078AA03
4G078AA16
4G078AA26
4G078AB01
4G078AB05
4G078AB11
4G078AB20
4G078BA07
4G078CA01
4G078DA01
4H017AE05
(57)【要約】
【課題】より簡便かつ作業性の高いシーラントの製造方法を提供する。
【解決手段】シーラントの製造方法は、主剤と硬化剤を混合することで生成されるシーラントの製造方法であって、主剤が充填された容器の表面の一部を開口して開口部を形成する工程と、開口部から容器の内部に硬化剤を注入する工程と、開口部から撹拌翼を挿入して、主剤と硬化剤とを混合して混練物を生成する工程と、開口部を閉じる工程と、容器の表面における他の一部に他の開口部を形成する工程と、他の開口部から撹拌翼を挿入して、混練物をさらに混合する工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤と硬化剤を混合することで生成されるシーラントの製造方法であって、
前記主剤が充填された容器の表面の一部を開口して開口部を形成する工程と、
前記開口部から前記容器の内部に前記硬化剤を注入する工程と、
前記開口部から撹拌翼を挿入して、前記主剤と前記硬化剤とを混合して混練物を生成する工程と、
前記開口部を閉じる工程と、
前記容器の表面における他の一部に他の開口部を形成する工程と、
前記他の開口部から前記撹拌翼を挿入して、前記混練物をさらに混合する工程と、
を含むシーラントの製造方法。
【請求項2】
前記開口部を閉じる工程の後に、前記容器の姿勢を変える工程をさらに含み、
前記他の開口部を形成する工程では、前記開口部とは反対側の表面に該他の開口部を形成する請求項1に記載のシーラントの製造方法。
【請求項3】
前記容器は上面、底面、及び円筒面を有する円柱形状をなし、
前記開口部を形成する工程では、前記上面を除去することで前記開口部を形成し、
前記他の開口部を形成する工程では、前記底面に前記他の開口部を形成する請求項1又は2に記載のシーラントの製造方法。
【請求項4】
前記他の開口部を形成する工程、及び前記混練物をさらに混合する工程を複数回ずつ実行する請求項1から3のいずれか一項に記載のシーラントの製造方法。
【請求項5】
前記混練物をさらに混合する工程の後に、前記混練物を撹拌脱泡する工程をさらに含む請求項1から4のいずれか一項に記載のシーラントの製造方法。
【請求項6】
前記混練物を撹拌脱泡する工程の後に、カートリッジに充填された前記混練物を冷凍する工程をさらに含む請求項5に記載のシーラントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シーラントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、航空機構造部材等に用いられる2液性のシーラントにおいては、シーラントに含まれる気泡によって形成されたボイドに起因する腐食、燃料漏れ、雷の影響を抑制するために、製造時に撹拌脱泡が行われる場合がある。
【0003】
特に、より確実な撹拌脱泡を行うため、下記特許文献1に係るシーラントの製造方法では、主剤と硬化剤を混合した後、予め混錬を行ってから撹拌脱泡が行われる。混錬作業は、具体的には、混合後の主剤と硬化剤を作業台に乗せ、へら等を用いて人力で行われることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6688757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように人力で混錬作業を行う場合、主剤又は硬化剤に含まれる有機物質や、清掃に用いる有機溶剤に作業者が接触する可能性がある。そのため、より簡便かつ作業性の高いシーラントの製造方法が求められていた。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、より簡便かつ作業性の高いシーラントの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係るシーラントの製造方法は、主剤と硬化剤を混合することで生成されるシーラントの製造方法であって、前記主剤が充填された容器の表面の一部を開口して開口部を形成する工程と、前記開口部から前記容器の内部に前記硬化剤を注入する工程と、前記開口部から撹拌翼を挿入して、前記主剤と前記硬化剤とを混合して混練物を生成する工程と、前記開口部を閉じる工程と、前記容器の表面における他の一部に他の開口部を形成する工程と、前記他の開口部から前記撹拌翼を挿入して、前記混練物をさらに混合する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より簡便かつ作業性の高いシーラントの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係るシーラントの製造方法の各工程を示すフローチャートである。
図2】主剤の容器の形状を示す模式断面図である。
図3】本開示の実施形態に係るシーラントの製造方法における開口部を形成する工程、及び撹拌翼による混合を行う様子を示す説明図である。
図4】本開示の実施形態に係るシーラントの製造方法における開口部を閉じる工程の様子を示す説明図である。
図5】本開示の実施形態に係るシーラントの製造方法における他の開口部を形成する工程の様子を示す説明図である。
図6】本開示の実施形態に係るシーラントの製造方法における混練物をさらに混合する工程の様子を示す説明図である。
図7】本開示の実施形態に係るシーラントの製造方法の変形例を示すフローチャートである。
図8】本開示の実施形態に係るシーラントの製造方法の変形例における主剤の容器の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(シーラントの製造方法)
以下、本開示の実施形態に係るシーラントの製造方法について、図1から図6を参照して説明する。
【0011】
このシーラントの製造方法は、航空機や輸送用車両等に用いられるシーラントを製造するための方法である。シーラントとは、例えば窓ガラスとその周囲の壁面との隙間を埋めたり、壁面同士の接合部の隙間を埋めたりするために用いられる。シーラントは、主剤と硬化剤の2液を所定の比率で混合することによって硬化して、弾性のあるゴム状となる。一例として、主剤としては二酸化マンガンが挙げられ、硬化剤としては酢酸エチルが挙げられる。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るシーラントの製造方法は、主剤の容器1に開口部61を形成する工程S1と、硬化剤を投入する工程S2と、主剤と硬化剤を混合して混練物を生成する工程S3と、開口部61を閉止する工程S4と、容器1の姿勢を変える工程S5と、他の開口部62を形成する工程S6と、混練物をさらに混合する工程S7と、撹拌脱泡する工程S8と、混練物をカートリッジに充填する工程S9と、混練物を冷凍する工程S10と、を含む。
【0013】
(容器の形状)
図2に示すように、主剤は予め容器1に充填された状態で用意されている。一例として、この容器1は、上蓋11を含む円形の上面10と、上面10と反対側に設けられた円形の底面20と、これら上面10及び底面20を中心軸方向に接続する円筒状の円筒面30と、を有する。上蓋11の周囲には、当該上蓋11が嵌合するための肩部12が形成されている。この容器1は例えばアルミ等の金属で形成されている。
【0014】
工程S1では、上記の容器1の表面の一部に撹拌翼90を挿入するための開口部61を形成する。具体的には、図2中の破線で示すように、容器1の肩部12を含む上面10を缶切り等で切除する。これにより、容器1の上方に円形の開口部61が形成される。
【0015】
この状態で、予め計量された分量の硬化剤を開口部61から投入する(工程S2)。なお、これら工程S1と工程S2はその順序を入れ替えてもよい。つまり、開口部61を形成するに先立って硬化剤を投入することも可能である。その後、図3に示すように、開口部61から撹拌器具の撹拌翼90を挿入して、主剤と硬化剤を撹拌混合する(工程S3)。この工程S3では、撹拌翼90を容器1内部で回転させながら上下方向や幅方向に動かしながら撹拌混合を行うことが望ましい。これにより、主剤と硬化剤とが化学結合して混練物(シーラント)が生成される。
【0016】
なお、この状態では、図3中に示すように、主剤と硬化剤が十分に混合された撹拌領域41と、混合が不十分である非撹拌領域42とが容器1内に混在している。特に、容器1の底面20付近では、撹拌翼90が届きにくいことや、撹拌翼90の接触による容器1の損壊を防ぐ必要があることから、非撹拌領域42が形成されやすい。また、混練物の粘性が非常に高いことから、混練物自体の流動性や重力による自然対流も生じにくく、非撹拌領域42と撹拌領域41とが明確に生じてしまうことが知られている。
【0017】
次に、図4に示すように、開口部61を蓋材50によって閉止する(工程S4)。蓋材50は、容器1の外径と同等の径を有する樹脂製であることがコストや入手性の観点から有利である。
【0018】
その後、図5に示すように、蓋材50が下方に位置するように、容器1の上下方向を入れ替える。つまり、容器1の姿勢を変える(工程S5)。これにより、上述の非撹拌領域42容器1内の上部に位置している状態となる。さらに、この状態で、容器1の底面20(つまり、姿勢が変わった後に上方を向いている面)に、他の開口部62を形成する(工程S6)。さらに言い換えれば、当初の開口部61とは反対側に位置する表面の他の一部に他の開口部62が形成される。この工程S6は、例えば缶切り等の切削器具で行われる。これにより、底面20が全て除去された状態となる。
【0019】
その次に、図6に示すように、他の開口部62を通じて混練物に撹拌翼90を挿入し、さらなる混練物の混合を行う(工程S7)。この工程S7により、当初の工程S3で存在していた非撹拌領域42が上方から撹拌翼90によって撹拌される。その結果、非撹拌領域42が存在しなくなり、容器1内の全てが撹拌領域となる。
【0020】
次いで、混練物を容器1ごと、真空撹拌脱泡機に設置して、撹拌脱泡を行う(工程S8)。又は、混練物を容器1から別の容器に少量ずつ分けて個別に真空撹拌脱泡機に設置し、撹拌脱泡を行ってもよい。これにより、混練物の内部にわずかに存在していた空隙(ボイド)が取り除かれる。
【0021】
その後、容器1内の混練物を、予め用意されているカートリッジに充填する(工程S9)。この工程S9は、例えば、筒状のカートリッジの下方に混練物を充填したカップを設置して、当該カップからカートリッジ内に混練物を押し出すようにして充填することで行われる。
【0022】
最後に、カートリッジに充填された混練物を冷凍機によって冷凍する(工程S10)。冷凍された状態で混練物は保管され、必要に応じて解凍され、種々の作業に供される。以上により、本実施形態に係るシーラントの製造方法の全工程が完了する。
【0023】
(作用効果)
ここで、従来は、主剤と硬化剤の混合をさらに促進するために、予め混錬という工程を経て撹拌脱泡が行われていた。この混錬作業は、具体的には、混合後の主剤と硬化剤の混練物を作業台に乗せ、へら等を用いて人力で行われることが一般的であった。
【0024】
しかしながら、上記のように人力で混錬作業を行う場合、主剤又は硬化剤に含まれる有機物質や、作業台の清掃に用いる有機溶剤に作業者が接触する可能性がある。結果として、混練作業が、製造作業全体の安全性や作業効率を妨げる要因となっていた。そのため、より簡便かつ作業性の高いシーラントの製造方法が求められていた。
【0025】
そこで、本実施形態では、上述のような方法を採っている。上記方法によれば、容器1に形成された開口部61から撹拌翼90を挿入して撹拌することで混練物が生成された後、他の開口部62からさらなる混練物の混合が行われる。これにより、1回目の撹拌後に存在していた非撹拌領域42(上述)が、その後の撹拌によって解消される。したがって、例えば混練物を作業台に出して人力による混練作業を行うことなく、ボイド(空隙)の少ない良好な混練物を得ることができる。結果として、従来の混練作業に伴う有機溶剤への暴露や作業性の低下の可能性を低減することが可能となる。
【0026】
さらに、上記の製造方法では、開口部61を閉じる工程S4の後に、容器1の姿勢を変える工程S5をさらに含み、他の開口部62を形成する工程S6では、開口部61とは反対側の表面に該他の開口部62を形成する。
【0027】
この方法によれば、容器1の姿勢を変えた後、他の開口部62が初めの開口部61の反対側に形成される。これにより、撹拌翼90が届かずに混練が不十分であった領域(非撹拌領域42)が他の開口部62側から外部に露出した状態となる。この非撹拌領域42に対して他の開口部62から撹拌翼90を挿入して撹拌を行うことで、非撹拌領域42が解消されて、さらに積極的に混練物の混練(混合)を施すことができる。その結果、さらに良好な品質のシーラントを得ることができる。また、作業員が混練物に直に触れることがないことから、作業性もさらに向上させることができる。
【0028】
また、上記の製造方法では、容器1は上面10、底面20、及び円筒面30を有する円柱形状をなし、開口部61を形成する工程S1では、上面10を除去することで開口部61を形成し、他の開口部62を形成する工程S6では、底面20に他の開口部62を形成する。
【0029】
この方法によれば、容器1が円柱形状をなしている場合、つまり上面10、底面20、及び円筒面30を有する形状である場合に、上面10と底面20からそれぞれ撹拌翼90が挿入される。これにより、上面10又は底面20を作業台上に安置した状態で作業を行うことが可能となる。つまり、容器1の姿勢を安定させた状態で効率的に撹拌・混練を行うことが可能となる。それにより、作業性をさらに向上させることができる。一方で、円筒面30に開口部61を形成する場合、容器1の姿勢を維持することが難しく、作業性が低下する可能性がある。上記の方法によれば、このような可能性を低減することができる。
【0030】
加えて、上記の製造方法では、混練物をさらに混合する工程S7の後に、混練物を撹拌脱泡する工程S8をさらに含む。
【0031】
この方法によれば、混練物を撹拌脱泡することで、当該混練物に含まれるボイド(空隙)をさらに少なくすることができる。これにより、混練物の品質をさらに高めることができる。また、ボイドが低減されることから、カートリッジごとのシーラントの内容量を精緻にコントロールすることが可能となり、作業の工程管理や資材管理をさらに正確に行うことが可能となる。
【0032】
また、上記の製造方法では、混練物を撹拌脱泡する工程S8の後に、カートリッジ内の混練物を冷凍する工程S10をさらに含む。
【0033】
上記方法によれば、混練物をカートリッジごと冷凍することで、当該混練物を長期にわたって安定的に保存することが可能となる。また、作業上の必要性に応じて適宜混練物を解凍して必要な分だけ使用することができることから、使用せずに破棄される混練物の量が削減され、資材コストをさらに低減することが可能となる。
【0034】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0035】
例えば、上記実施形態では、上面10、底面20、及び円筒面30を有する円柱状の容器1に主剤が充填されている状態を前提として説明をした。しかしながら、上記の製造方法を適用することが可能な容器1の形状は円柱状に限定されない。
【0036】
他の例として、図8に示すように、容器101が直方体状、又は立方体状をなしていてもよい。この場合には、ある一の面に開口部161を形成して撹拌を行うことで混練物を生成した後、当該一の面とは反対側に位置する面に他の開口部162を形成することが望ましい。また、ある一の面にある開口部161を形成した後、当該開口部161から90度ずらした面に開口部162を形成してもよい。これにより、非撹拌領域42が解消され、上述したものと同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
さらに、容器101のように直方体状、又は立方体状の容器1である場合、いずれの面をも作業台上に安置することができることから、図7に示すように、容器1の姿勢を変える工程S5、他の開口部62を形成する工程S6、及び混練物をさらに混合する工程S7を複数回ずつ繰り返して行うことが可能となる。つまり、図8に示すように、2対の面同士の間で、開口部161と他の開口部162を形成して、さらなる混練物の混合を行うことが可能である。これにより、非撹拌領域42をさらに効率的に解消することができる。その結果、より良好な品質のシーラントを得ることができる。
【0038】
<付記>
各実施形態に記載のシーラントの製造方法は、例えば以下のように把握される。
【0039】
(1)第1の態様に係るシーラントの製造方法は、主剤と硬化剤を混合することで生成されるシーラントの製造方法であって、前記主剤が充填された容器1の表面の一部を開口して開口部61を形成する工程と、前記開口部61から前記容器1の内部に前記硬化剤を注入する工程と、前記開口部61から撹拌翼90を挿入して、前記主剤と前記硬化剤とを混合して混練物を生成する工程と、前記開口部61を閉じる工程と、前記容器1の表面における他の一部に他の開口部62を形成する工程と、前記他の開口部62から前記撹拌翼90を挿入して、前記混練物をさらに混合する工程と、を含む。
【0040】
上記方法によれば、開口部61から撹拌翼90を挿入して撹拌することで混練物が生成された後、他の開口部62からさらなる混練物の混合が行われる。これにより、例えば混練物を作業台に出して人力による混練作業を行うことなく、ボイドの少ない良好な混練物を得ることができる。
【0041】
(2)第2の態様に係るシーラントの製造方法は、(1)のシーラントの製造方法であって、前記開口部61を閉じる工程の後に、前記容器1の姿勢を変える工程をさらに含み、前記他の開口部62を形成する工程では、前記開口部61とは反対側の表面に該他の開口部62を形成する。
【0042】
上記方法によれば、他の開口部62が、容器1における初めの開口部61の反対側に形成される。これにより、撹拌翼90が届かずに混練が不十分であった領域に対して積極的に混練を施すことができる。
【0043】
(3)第3の態様に係るシーラントの製造方法は、(1)又は(2)のシーラントの製造方法であって、前記容器1は上面10、底面20、及び円筒面30を有する円柱形状をなし、前記開口部61を形成する工程では、前記上面10を除去することで前記開口部61を形成し、前記他の開口部62を形成する工程では、前記底面20に前記他の開口部62を形成する。
【0044】
上記方法によれば、容器1が円柱形状をなしている場合に、上面10と底面20からそれぞれ撹拌翼90が挿入される。これにより、容器1の姿勢を安定させた状態で効率的に混練を行うことが可能となる。
【0045】
(4)第4の態様に係るシーラントの製造方法は、(1)から(3)のいずれか一態様に係るシーラントの製造方法であって、前記他の開口部62を形成する工程、及び前記混練物をさらに混合する工程を複数回ずつ実行する。
【0046】
上記方法によれば、他の開口部62を通じた混練物のさらなる混合が複数回実行されることで、混練物の品質をさらに高めることができる。
【0047】
(5)第5の態様に係るシーラントの製造方法は、(1)から(4)のいずれか一態様に係るシーラントの製造方法であって、前記混練物をさらに混合する工程の後に、前記混練物を撹拌脱泡する工程をさらに含む。
【0048】
上記方法によれば、混練物を撹拌脱泡することで、当該混練物に含まれるボイドをさらに少なくすることができる。
【0049】
(6)第6の態様に係るシーラントの製造方法は、(5)のシーラントの製造方法であって、前記混練物を撹拌脱泡する工程の後に、カートリッジに充填された前記混練物を冷凍する工程をさらに含む。
【0050】
上記方法によれば、混練物をカートリッジごと冷凍することで、当該混練物を安定的かつ長期にわたって保存することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1…容器
10…上面
11…上蓋
12…肩部
20…底面
30…円筒面
41…撹拌領域
42…非撹拌領域
50…蓋材
61…開口部
62…他の開口部
90…撹拌翼
101…容器
161…開口部
162…他の開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8