(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130180
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報共有システム、情報共有方法および情報共有プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20230912BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20230912BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G08C19/00 301A
H04M11/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034705
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100213757
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 詩人
(72)【発明者】
【氏名】宮田 雄作
【テーマコード(参考)】
2F073
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AB01
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD07
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
5K201CB10
5K201CB13
5K201CC04
5K201CC07
5K201EC06
5K201ED05
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】情報共有の精度を向上させることができる情報処理装置、情報共有システム、情報共有方法および情報共有プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置(1)は、通信ネットワークを介して複数の携帯端末(2A)~(2D)と接続される情報処理装置であって、測定対象物を表示する表示情報を記憶する記憶部(11)と、前記複数の携帯端末(2)と通信して情報を送受信する送受信部(12)と、前記記憶部(11)及び前記送受信部(12)を制御する制御部(13)と、を備え、前記送受信部(12)は、前記携帯端末(2A)~(2D)から、前記測定対象物の対象部の測定結果と、前記表示情報における当該対象部の位置情報と、を含む測定情報を取得し、前記制御部(13)は、前記送受信部(12)が1つの前記携帯端末(2A)から前記測定情報を取得した際、前記記憶部(11)に当該測定情報を記憶させ、前記送受信部(12)に、他の前記携帯端末(2B)~(2D)に対して当該測定情報を送信させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して複数の携帯端末と接続される情報処理装置であって、
測定対象物を表示する表示情報を記憶する記憶部と、
前記複数の携帯端末と通信して情報を送受信する送受信部と、
前記記憶部及び前記送受信部を制御する制御部と、を備え、
前記送受信部は、前記携帯端末から、前記測定対象物の対象部の測定結果と、前記表示情報における当該対象部の位置情報と、を含む測定情報を取得し、
前記制御部は、前記送受信部が1つの前記携帯端末から前記測定情報を取得した際、前記記憶部に当該測定情報を記憶させ、前記送受信部に、他の前記携帯端末に対して当該測定情報を送信させることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記送受信部は、前記測定情報として、前記携帯端末の識別情報と、前記携帯端末を操作する作業者の識別情報と、のうち少なくとも一方を含む情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送受信部は、各々の前記携帯端末との通信状態に関する通信情報を取得し、
前記制御部は、前記他の携帯端末のうち所定の前記携帯端末の通信状態が不良である場合、当該通信情報が良好となった際に、前記送受信部に、当該所定の携帯端末に対して前記測定情報を送信させることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記送受信部が前記他の携帯端末に対して前記測定情報を送信した後、前記送受信部が所定の前記携帯端末から前記測定情報の受信に関するレスポンス情報を受信しなかった場合に、前記送受信部に、当該所定の携帯端末に対して前記測定情報を再送信させることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置と、前記複数の携帯端末と、を備えることを特徴とする情報共有システム。
【請求項6】
通信ネットワークを介して複数の携帯端末と接続される情報処理装置を用いて、当該複数の携帯端末同士の間で情報を共有する情報共有方法であって、
前記携帯端末から、測定対象物の対象部の測定結果と、前記測定対象物を表示する表示情報における当該対象部の位置情報と、を含む測定情報を取得する取得工程と、
前記取得工程において取得した前記測定情報を、前記情報処理装置の記憶部に記憶する記憶工程と、
前記取得工程において取得した前記測定情報を、他の前記携帯端末に対して送信する送信工程と、を含むことを特徴とする情報共有方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の情報共有方法における各工程を実行させることを特徴とする情報共有プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報共有システム、情報共有方法および情報共有プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源設備等の保守作業に用いられる測定システムとして、測定装置と携帯情報端末とデータサーバとを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された測定システムは、複数の測定対象が存在する場合に用いられ、測定値の取得が完了していない測定対象の中で測定順序が最も早いものを特定する。これにより、どの測定対象についての測定を行うべきかを把握しやすくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、測定対象の数が多い場合や、測定対象同士が離れて配置されている場合等においては複数の作業者が測定を行うことがあり、特許文献1に記載された測定システムでは、複数の作業者が関わる作業に対応することが困難であった。即ち、各々の作業者にとって、他の作業者がどの対象の測定を完了したかを逐一確認することは困難であり、作業の重複や漏れ等が生じる可能性があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、情報共有の精度を向上させることができる情報処理装置、情報共有システム、情報共有方法および情報共有プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の代表的な実施の形態に係る情報処理装置は、通信ネットワークを介して複数の携帯端末と接続される情報処理装置であって、測定対象物を表示する表示情報を記憶する記憶部と、前記複数の携帯端末と通信して情報を送受信する送受信部と、前記記憶部及び前記送受信部を制御する制御部と、を備え、前記送受信部は、前記携帯端末から、前記測定対象物の対象部の測定結果と、前記表示情報における当該対象部の位置情報と、を含む測定情報を取得し、前記制御部は、前記送受信部が1つの前記携帯端末から前記測定情報を取得した際、前記記憶部に当該測定情報を記憶させ、前記送受信部に、他の前記携帯端末に対して当該測定情報を送信させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る情報処理装置によれば、情報共有の精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る情報共有システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態に係る情報共有システムの携帯端末における表示の一例を示す平面図である。
【
図3】実施の形態に係る情報共有システムにおいて送受信される測定情報の一例を示すテーブルである。
【
図4】実施の形態に係る情報共有システムにおいて情報処理装置が実行する情報共有処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態に係る情報共有システムにおいて携帯端末が実行する送信処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態に係る情報共有システムの携帯端末における表示の他の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0010】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る情報処理装置(1)は、通信ネットワークを介して複数の携帯端末(2A)~(2D)と接続される情報処理装置であって、測定対象物を表示する表示情報を記憶する記憶部(11)と、前記複数の携帯端末(2)と通信して情報を送受信する送受信部(12)と、前記記憶部(11)及び前記送受信部(12)を制御する制御部(13)と、を備え、前記送受信部(12)は、前記携帯端末(2A)~(2D)から、前記測定対象物の対象部の測定結果と、前記表示情報における当該対象部の位置情報と、を含む測定情報を取得し、前記制御部(13)は、前記送受信部(12)が1つの前記携帯端末(2A)から前記測定情報を取得した際、前記記憶部(11)に当該測定情報を記憶させ、前記送受信部(12)に、他の前記携帯端末(2B)~(2D)に対して当該測定情報を送信させることを特徴とする。
【0011】
〔2〕上記〔1〕に記載の情報処理装置(1)において、前記送受信部(12)は、前記測定情報として、前記携帯端末(2A)~(2D)の識別情報と、前記携帯端末(2A)~(2D)を操作する作業者の識別情報と、のうち少なくとも一方を含む情報を取得してもよい。
【0012】
〔3〕上記〔1〕または〔2〕に記載の情報処理装置(1)において、前記送受信部(12)は、各々の前記携帯端末(2A)~(2D)との通信状態に関する通信情報を取得し、前記制御部(13)は、前記他の携帯端末(2B)~(2D)のうち所定の前記携帯端末の通信状態が不良である場合、当該通信情報が良好となった際に、前記送受信部(12)に、当該所定の携帯端末に対して前記測定情報を送信させてもよい。
【0013】
〔4〕上記〔1〕または〔2〕に記載の情報処理装置(1)において、前記制御部(13)は、前記送受信部(12)が前記他の携帯端末(2B)~(2D)に対して前記測定情報を送信した後、前記送受信部(12)が所定の前記携帯端末から前記測定情報の受信に関するレスポンス情報を受信しなかった場合に、前記送受信部(12)に、当該所定の携帯端末に対して前記測定情報を再送信させてもよい。
【0014】
〔5〕本発明の代表的な実施の形態に係る情報共有システム(100)は、上記〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の情報処理装置(1)と、前記複数の携帯端末(2A)~(2D)と、を備えることを特徴とする。
【0015】
〔6〕本発明の代表的な実施の形態に係る情報共有方法は、通信ネットワークを介して複数の携帯端末(2A)~(2D)と接続される情報処理装置(1)を用いて、当該複数の携帯端末(2A)~(2D)同士の間で情報を共有する情報共有方法であって、前記携帯端末(2A)~(2D)から、測定対象物の対象部の測定結果と、前記測定対象物を表示する表示情報における当該対象部の位置情報と、を含む測定情報を取得する取得工程と、前記取得工程において取得した前記測定情報を、前記情報処理装置(1)の記憶部(11)に記憶する記憶工程と、前記取得工程において取得した前記測定情報を、他の前記携帯端末(2B)~(2D)に対して送信する送信工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
〔7〕本発明の代表的な実施の形態に係る情報共有プログラムは、コンピュータに、上記〔6〕に記載の情報共有方法における各工程を実行させることを特徴する。
【0017】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0018】
図1は、実施の形態に係る情報共有システム100の構成を示すブロック図である。
【0019】
情報共有システム100は、例えば建物の設備点検時に複数の作業者間で情報を共有するために用いられるものであって、情報処理装置としてのサーバ1と、各々の作業者が所持する携帯端末2A~2Dと、を備える。図示の例では、情報共有システム100が4個の携帯端末2A~2Dを有するものとするが、情報共有システムは複数の携帯端末を備えていればよく、その数は限定されない。
【0020】
情報処理装置1は、データの送受信およびデータの演算を行うプログラム処理装置である。情報処理装置1としては、サーバやPC(Personal Computer)等を例示することができる。なお、情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと記憶装置を含むMCU(Micro Controller Unit)等を備えた機器であってもよい。以下の説明では、一例として情報処理装置1がサーバであるとし、情報処理装置1を「サーバ1」とも表記する。
【0021】
サーバ1は、通信ネットワークを介して複数の携帯端末2A~2Dと接続されるものであって、記憶部11と、送受信部12と、制御部13と、を備える。サーバ1は、表示部や入力部等の他の構成を有していてもよい。
【0022】
記憶部11は、後述する各種の情報を記憶する不揮発性記憶装置であって、例えばハードディスクドライブ等の磁気的な記憶装置であってもよいし、ソリッドステートドライブ等の電気的な記憶装置であってもよい。
【0023】
送受信部12は、無線通信部であって、例えばインターネット回線等の通信ネットワークを介して携帯端末2A~2Dと無線通信するものであって、例えばRF回路やアンテナ等を含む。
【0024】
制御部13は、サーバ1の各部(特に記憶部11及び送受信部12)を制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置と、各種の周辺回路とを含んで構成されている。
【0025】
以上のようなサーバ1は、送受信部12から取得した情報を、記憶部11に記憶したり制御部13によって処理したり、記憶部11に記憶された情報を、送受信部12によって外部にしたりすることができるものである。
【0026】
携帯端末2A~2Dは、例えばスマートフォンやタブレット端末等の無線通信可能な機器であって、記憶部21と、送受信部22と、制御部23と、表示部24と、入力部25と、を備える。尚、複数の携帯端末2A~2Dは、上記各構成を備える点で共通しているものの、各部の大きさや性能等は異なっていてもよいし、スマートフォンとタブレット端末とが混在していてもよい。
【0027】
記憶部21は、後述する各種の情報を記憶する不揮発性記憶装置であって、ソリッドステートドライブ等の電気的な記憶装置が例示される。
【0028】
送受信部22は、無線通信部であって、例えばインターネット回線等の通信ネットワークを介してサーバ1と無線通信するものであって、例えばRF回路やアンテナ等を含む。即ち、携帯端末2A~2Dの送受信部22は、サーバ1の送受信部12と対応したものであればよい。また、後述する測定装置200との間で有線通信がされる場合には、送受信部22は、有線通信可能な端子部を備えていればよい。
【0029】
制御部23は、携帯端末2A~2Dの各部を制御するものであって、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと、RAM(Random access memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置と、各種の周辺回路とを含んで構成されている。
【0030】
表示部24は、各種の情報を表示するためのディスプレイであって、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であればよい。
【0031】
入力部25は、作業者が各種情報を入力するためのものであって、以下ではタッチパネルが採用されているものとするが、ディスプレイとは独立したキーボード等が採用されてもよい。
【0032】
以上のような携帯端末2A~2Dは、送受信部22又は入力部25から取得した情報を、記憶部21に記憶したり制御部23によって処理したり、記憶部21に記憶された情報を、送受信部22によって外部にしたり、記憶部21に記憶された情報を表示部24に表示したりすることができるものである。
【0033】
ここで、設備点検の一例として、配電盤の点検作業における情報共有システム100の使用方法(情報共有方法)について説明する。この場合、配電盤が測定対象物となり、配電盤に設けられた各電線が対象部となり、電気抵抗が測定され、抵抗値が測定結果となる。
【0034】
一人の作業者が携帯端末2A~2Dのうち一台を使用する。このとき、各々の携帯端末2A~2Dは識別情報として端末IDを有している。また、各々の作業者は、点検用のアプリケーションを起動させた際、各々の携帯端末2A~2Dを操作する作業者の識別情報として、自身の作業者IDを入力するようになっている。
【0035】
点検作業を始める際、まず、作業者が点検用のアプリケーションを起動させ、配電盤を撮影する。このとき、携帯端末2A~2Dに搭載されたカメラを用いてもよいし、携帯端末2A~2Dとは別の装置であるカメラを用いて撮影し、画像データを携帯端末2A~2Dに送信してもよい。このように配電盤を撮影することで、携帯端末2A~2Dは、配電盤を表示する表示情報(画像データ)を得る。以下の作業においては、携帯端末2A~2Dにおいて点検用のアプリケーションが常に稼働しており、表示部24への表示や入力部25に対する入力時には、このアプリケーションが利用されるものとする。
【0036】
複数の携帯端末2A~2Dのうち、例えば携帯端末2Aが表示情報を取得した場合、この携帯端末2Aの制御部23は、記憶部21に表示情報を記憶させ、送受信部22に、サーバ1に対して表示情報を送信させる。サーバ1は、送受信部12が表示情報を取得した場合、制御部13が、記憶部11に表示情報を記憶させ、送受信部12に、他の携帯端末2B~2Dに対して表示情報を送信させる。他の携帯端末2B~2Dは、送受信部22が表示情報を取得した場合、制御部23が、記憶部21に表示情報を記憶させる。このようにして、全ての携帯端末2A~2D及びサーバ1が表示情報を記憶する。
【0037】
1つの建物に複数の配電盤が存在する場合には、各々の配電盤について上記と同様の作業が行われればよい。尚、過去に対象となる配電盤の点検作業を行ったことがある場合には、サーバ1に記憶された過去の表示情報を携帯端末2A~2Dに送信するようにしてもよい。また、例えば測定対象物の形状が明確である場合には、撮影された画像データに代えて、建物の竣工図面データ等の図面データを表示情報として用いてもよく、この場合、サーバ1に記憶された図面データを携帯端末2A~2Dに送信すればよい。
【0038】
次に、作業者は、各々が担当する配電盤の表示情報を表示部24に表示させる(
図2参照)。即ち、配電盤の一部である測定対象物T1が、複数の対象部(電線)T11~T16を有している。そして、作業者は、各電線T11~T16について電気抵抗を測定し、測定結果を入力する。
【0039】
図1には、測定装置200と携帯端末2A~2Dとが通信し、抵抗値の情報が送信される様子を示している。測定装置200と携帯端末2A~2Dとは無線接続されていてもよいし有線接続されていてもよく、通信方式等は特に限定されない。作業者が表示部24上において測定対象の電線T11~T16の近傍(例えば後述する表示D11,D12の位置)をタップすることで、測定される(又は測定された)抵抗値情報がタップした位置に表示される。
【0040】
尚、携帯端末2A~2Dと測定装置200とが通信できない場合に、手動入力モードに切り換え可能であってもよい。即ち、測定値200によって得られた抵抗値を、作業者が手動で携帯端末2A~2Dの表示部24に入力してもよい。また、そもそも携帯端末2A~2Dと測定装置200とが通信せず、抵抗値が常に手動で入力されてもよい。
【0041】
例えば携帯端末2Aにおいて上記のように抵抗値が入力されると、この表示部24には、
図2のように電線の近傍に抵抗値が表示される。即ち、電線T11の抵抗値が、表示D11として電線T11近傍に表され、電線T14の抵抗値が、表示D12として電線T14近傍に表されている。携帯端末2Aの記憶部21は、測定結果である抵抗値と、表示情報における電線の位置情報と、を含む測定情報を記憶する。この位置情報は、画像データである表示情報における座標情報(X,Y)であればよい。
【0042】
携帯端末2Aの制御部23は、抵抗値が入力されると、送受信部22を制御し、サーバ1に対して測定情報を送信させる。サーバ1の制御部13は、送受信部12が測定情報を取得した際、この測定情報を記憶部11に記憶させ、送受信部12に、他の携帯端末2B~2Dに対してこの測定情報を送信させる。他の携帯端末2B~2Dは、送受信部22が測定情報を取得した際、この測定情報を記憶部21に記憶させ、表示部24に、表示情報だけでなく測定結果も表示させる。このとき、測定結果の表示位置は、測定情報に含まれる位置情報に基づいて決定される。
【0043】
他の携帯端末2B~2Dのうち1つが測定情報を取得及び送信した場合も、同様の処理がなされる。これにより、複数の測定情報がサーバ1及び携帯端末2A~2Dに記憶されていく。
【0044】
図3は、実施の形態に係る情報共有システムにおいて送受信される測定情報の一例を示すテーブルである。
【0045】
測定情報は、例えば、
図3に示すテーブルとしてサーバ1および携帯端末2A~2Dに記憶される。即ち、測定情報は、例えば、測定した日時の情報と、作業者IDと、端末IDと、どの配電盤であるかを特定するための画像No.と、位置情報と、測定値と、後述するように未送信の端末が存在しているかの情報と、を含む。尚、携帯端末2A~2Dにおいては未送信の端末の情報については記憶されなくてもよい。以上のようにして、複数の携帯端末2A~2Dの間で測定情報がリアルタイムで共有されることとなる。
【0046】
上記のような情報共有システム100において、サーバ1の制御部13が実行する情報共有処理について、
図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0047】
制御部13は、例えば携帯端末2A~2Dにおいて上記のアプリケーションが起動されたことを示す情報を取得した際に、情報共有処理を開始する。情報共有処理において、制御部13は、まず携帯端末2A~2Dからの受信情報に基づいて、再測定であるか否かを判定する(ステップS1)。再測定でない場合(ステップS1でN)、制御部13は、送受信部12が表示情報を取得したか否かを繰り返し判定する(ステップS2)。制御部13は、送受信部12が表示情報を取得した場合(ステップS2でY)、この表示情報を記憶部11に記憶させ(ステップS3)、送受信部12に、表示情報が送信されてきた携帯端末とは異なる携帯端末に対して表示情報を送信させる(ステップS4)。
【0048】
制御部13は、再測定である場合(ステップS1でY)又はステップS4の後、送受信部12が測定情報を取得したか否かを繰り返し判定する(ステップS5)。ステップS5の前において測定情報を取得する工程が取得工程となる。制御部13は、送受信部12が測定情報を取得した場合(ステップS5でY)、この測定情報を記憶部11に記憶させる(ステップS6、記憶工程)。次に、制御部13は、測定情報に含まれる端末IDに基づいて、測定情報が送信されてきた携帯端末とは異なる携帯端末に対して測定情報を送信する(ステップS7、送信工程)。制御部13は、ステップS7の後、再びステップS4に戻り、上記の工程を繰り返す。
【0049】
尚、制御部13は、例えば携帯端末2A~2Dから終了命令を受信した場合や、予め設定された全ての測定が終了した場合に、情報共有処理を終了すればよい。また、上記のステップS4では、未測定の対象部について測定情報を取得することを前提としているが、既に測定情報を取得している対象部について再び測定情報を取得してもよい。このように再び測定情報を取得する場合、上記のステップS5では、既に記憶されている測定情報を更新すればよい。このとき、表示部24に確認メッセージ等を表示させることにより、測定情報の更新をするか否かを確認し、作業者が更新(上書き)をするか否かを選択可能にしてもよい。また、測定情報を単に上書きするのではなく、過去の測定情報を記憶しつつ新たな測定情報を記憶してもよい。過去の測定情報及び新たな測定情報の両方を記憶する場合、両方の情報を表示させてもよいし、作業者の操作によって過去の測定情報と新たな測定情報との表示が切り換えられてもよい。
【0050】
上記では、サーバ1と携帯端末2A~2Dとの通信状態が常に良好であることを前提としていたが、これらの通信状態は一時的に悪化することがある。このような場合の対処法について、以下に説明する。
【0051】
まず、携帯端末2A~2Dからサーバ1に対して情報を送信する場合について説明する。携帯端末2A~2Dは、送受信部22の状態に基づいて、自身の通信状態が良好であるか不良であるかを判定することができる。通信状態の悪化に対応可能なように携帯端末2A~2Dの制御部23が実行する送信処理について、
図5のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0052】
制御部23は、上記のアプリケーションが起動された際に送信処理を開始する。送信処理において、制御部23は、まず測定結果及び位置情報が入力されたか否かを繰り返し判定する(ステップS11)。制御部23は、測定結果及び位置情報が入力された場合(ステップS11でY)、送受信部22から通信状態の情報を取得し(ステップS12)、通信状態が良好であるか否かを判定する(ステップS13)。制御部23は、通信状態が良好でない(不良である)場合(ステップS13でN)、最新の測定情報を未送信の測定情報として記憶部21に記憶させ(ステップS14)、ステップS11に戻る。
【0053】
制御部23は、通信状態が良好である場合(ステップS13でY)、最新の測定情報を送受信部12に送信させ(ステップS15)、未送信の測定情報を送受信部12に送信させる(ステップS16)。さらに、制御部23は、ステップS15,16で送信した情報を送信済みの情報として記憶部21に記憶させ(ステップS17)、再びステップS11に戻る。尚、制御部23は、例えばアプリケーションが停止された場合に送信処理を終了すればよい。尚、上記のステップS15では、測定情報が自動的に送信されるものとしたが、作業者が送信命令を出したときのみ測定情報を送信するようにしてもよい。
【0054】
上記では、携帯端末2A~2Dの通信状態について判定したが、携帯端末2A~2D自身の通信状態が良好であっても、サーバ1側にトラブルが生じることで通信できないこともある。そこで、上記の送信処理において、レスポンス情報の有無を判定する工程を採用してもよい。レスポンス情報とは、測定情報を取得した機器(サーバ又は携帯端末)が、測定情報の送信元の機器に対し、測定情報を受信したことを通知するために送信する情報である。
【0055】
即ち、ステップS15のように測定情報を送信する工程に次いで、制御部23が、サーバ1からのレスポンス情報を送受信部22が受信したか否かを判定する工程を実行し、送受信部22がレスポンス情報を受信しない場合には、制御部23が、このときの測定情報を未送信の測定情報として記憶部21に記憶させるようにしてもよい。このような工程を採用すれば、携帯端末2A~2Dとサーバ1とのいずれに問題が生じている場合であっても対応することができる。
【0056】
また、サーバ1から携帯端末2A~2Dに対して情報を送信する場合においても、同様の処理を行えばよい。即ち、サーバ1の制御部13は、送受信部12が携帯端末2A~2Dに対して測定情報を送信した後、送受信部12が所定の携帯端末から測定情報の受信に関するレスポンス情報を受信しなかった場合に、送受信部12に、この所定の携帯端末に対して測定情報を再送信させてもよい。
【0057】
この場合、上記の情報共有処理において測定情報を送信するステップS6の後に、制御部13が、携帯端末2A~2Dからのレスポンス情報を送受信部12が受信したか否かを判定する工程を実行し、携帯端末2A~2Dのうち所定の携帯端末から送受信部12がレスポンス情報を受信しない場合には、制御部13が、このときの測定情報を未送信の測定情報として記憶部11に記憶させればよい。その後、制御部13は、例えば所定時間が経過した場合や、次の測定情報の送信後にレスポンス情報を受信した場合等、所定の条件に基づいて再送信させればよい。
【0058】
例えば、サーバ1が、携帯端末2Aから測定情報を取得し、他の携帯端末2B~2Dに測定情報を送信した場合に、携帯端末2Bからレスポンス情報が受信できなかったとする。このとき、サーバ1の制御部13は、携帯端末2Bに測定情報を送信できなかったことを記憶し、上記のような所定の条件に基づいて、送受信部12に、携帯端末2Bに対して測定情報を再送信させる。
【0059】
また、サーバ1においても、レスポンス情報の有無を判定する工程に代えて、サーバ1の通信状態を判定する工程を採用してもよい。即ち、サーバ1の送受信部12が、各々の携帯端末2A~2Bとの通信状態に関する通信情報を取得し、制御部13が、他の携帯端末2A~2Dのうち所定の携帯端末の通信状態が不良である場合、この通信情報が良好となった際に、送受信部12に、この所定の携帯端末に対して測定情報を送信させてもよい。
【0060】
この場合、上記の情報共有処理において測定情報を送信するステップS6の前に、制御部13がサーバ1と各々の携帯端末2A~2Dとの通信状態を判定する工程を実行し、携帯端末2A~2Dのうち所定の携帯端末との通信状態が不良である場合には、このときの測定情報を未送信の測定情報として記憶部11に記憶させ、通信状態が回復した場合にこの測定情報をこの携帯端末に送信させればよい。
【0061】
例えば、サーバ1が、携帯端末2Aから測定情報を取得し、携帯端末2Bとの通信状態が不良であるとする。このとき、サーバ1の制御部13は、携帯端末2Bに測定情報を送信できないことを記憶部11に記憶させ、通信状態が良好となった場合に、送受信部12に、携帯端末2Bに対して測定情報を再送信させる。
【0062】
また、サーバ1又は携帯端末2A~2Dから測定情報を再送信する際、上記のように通信状態が良好となったことを判断してから送信してもよいし、所定の時間間隔で自動的に再送信してもよい。
【0063】
本実施の形態によれば、測定情報が測定結果と位置情報とを含むとともに、サーバ1が1つの携帯端末2Aから測定情報を取得した際に、他の携帯端末2B~2Dにこの測定情報を送信することで、各作業者は、表示された情報を確認することによってどの配電盤(測定対象物)におけるどの配線(対象部)の測定が完了したかを把握することができる。これにより、情報共有の精度を向上させることができる。
【0064】
上記のように情報共有の精度を向上させることにより、作業の重複や作業漏れを抑制することができる。また、情報が共有され且つ蓄積されていくことで、全作業が終了した後に、各作業者の作業結果を統合するといった工程が不要となり、作業報告書を作成しやすくすることができる。
【0065】
また、測定情報に端末IDおよび作業者IDが含まれることで、正規の端末を用いて正規の作業者が作業を行ったことを確認することができ、測定結果の信頼性を確保することができる。
【0066】
また、サーバ1および携帯端末2A~2Dが、通信状態を確認したりレスポンス情報を取得したりすることで、測定情報の送信の可否を判断することができ、再送信することで、送信漏れを抑制し、情報共有の精度をさらに向上させることができる。
【0067】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0068】
例えば、上記実施の形態では、配電盤を測定対象物とし、その電線を対象部として電気抵抗を測定するものとしたが、測定対象物や対象部、測定される特性はこれに限定されない。例えば、
図6に示すように、複数のブレーカを有する配電盤を測定対象物とし、対象部としてのブレーカにおいて、印加されている電圧値を測定してもよい。
図6に示す例では、測定対象物(配電盤)T2が、複数の対象部(ブレーカ)T21~T27を有し、ブレーカT26の印加電圧が、表示D21としてブレーカT26近傍に表され、ブレーカT28の印加電圧が、表示D22としてブレーカT28近傍に表されている。
【0069】
また、建物に設けられた照明を測定対象物とし、所定の位置における照度を測定してもよい。このとき、測定位置が対象部となる。また、測定される特性は、上記のような電線の抵抗値や電圧値、照度に限定されず、絶縁抵抗や、接地抵抗、電流、電力、温度、湿度、音量、輝度などの各種物理量であってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、情報共有処理のステップS6において制御部13が測定情報を送信させるものとしたが、この工程の前に、携帯端末2A~2Dから要求命令があったか否かを判定し、要求命令があった際に測定情報を送信するようにしてもよい。即ち、サーバ1から自動的に測定情報を送信するのではなく、携帯端末2A~2D側の命令に基づいて測定情報が送信されるようにしてもよい。このとき、携帯端末2A~2Dは、所定の時間間隔で要求命令の信号をサーバ1に対して送信すればよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、測定情報に端末IDおよび作業者IDが含まれるものとしたが、測定情報にはこれらのうち一方のみが含まれていてもよい。例えば、測定情報に作業者IDのみが含まれるようにした場合、各作業者がどの携帯端末2A~2Dを使用するかを自由に選択した場合でも、作業者IDに基づいて信頼性を確保することができる。また、測定情報には、端末IDおよび作業者IDのいずれもが含まれないようにしてもよい。この場合、例えば携帯端末そのものやアプリケーションの起動にロックをかけ、正規の作業者のみが操作できるようにする等、他の方法で信頼性を確保すればよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、情報共有システム100の使用方法の一例について説明したが、このような方法に限定されず、例えば同じ対象を繰り返し測定する場合には、以下のような方法も可能である。まず、初回の測定時には、上記同様に表示情報を生成するとともに測定情報を記憶する。このとき生成した表示情報と、得られた測定情報のうち例えば上記のような情報No.、画像No.及び位置情報と、によってテンプレートを生成し、サーバ1に記憶する。2回目以降の測定では、まずサーバ1から携帯端末2A~2Dにこのテンプレートを送信する。
【0073】
これにより、携帯端末2A~2Dの表示部24には、2回目以降の測定前に、測定値を入力するための欄が表示された(画像上に配置された)状態となる。また、このような入力欄のみを表示してもよいし、この入力欄とともに過去の(特に一回前の)測定値を表示してもよい。過去の測定値を表示すれば、最新の測定値と比較することができ、品質の向上を図ることができる。
【0074】
また、初回の測定であっても、測定の対象部を予め把握可能な場合には、例えば図面等に基づいて上記同様のテンプレートを作成しておき、このテンプレートを用いて初回(又は2回目以降)の測定を行ってもよい。
【0075】
上述のフローチャートは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。すなわち、フローチャートの各図に示したステップは具体例であって、このフローに限定されるものではない。例えば、一部の処理の順番が変更されてもよいし、各処理間に他の処理が挿入されてもよいし、一部の処理が並列に行われてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…サーバ(情報処理装置)、11…記憶部、12…送受信部、13…制御部、2A~2D…携帯端末、100…情報共有システム