(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130223
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034771
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板木 亮洋
(72)【発明者】
【氏名】佐賀 行弘
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF99
2C057AG11
2C057AG45
2C057AG91
2C057AR14
2C057BA14
2C057DB01
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることが可能な駆動基板等を提供する。
【解決手段】本開示の一実施の形態に係る駆動基板は、複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、ノズルから液体を噴射させるための駆動信号を生成する、複数の駆動デバイスを備えている。複数のノズルが、複数のノズル群に区別されていると共に、複数の駆動デバイスはそれぞれ、対応する1または複数のノズル群に適用される駆動信号を生成する。複数の駆動デバイスと複数のノズル群とが、互いに電気的に接続されており、複数の駆動デバイスが、所定方向に沿って並んで配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、
前記ノズルから液体を噴射させるための前記駆動信号を生成する、複数の駆動デバイスを備え、
前記複数のノズルが、複数のノズル群に区別されていると共に、
前記複数の駆動デバイスはそれぞれ、対応する1または複数の前記ノズル群に適用される前記駆動信号を生成し、
前記複数の駆動デバイスと前記複数のノズル群とが、互いに電気的に接続されており、
前記複数の駆動デバイスが、所定方向に沿って並んで配置されている
駆動基板。
【請求項2】
前記複数の駆動デバイスにはそれぞれ、前記複数のノズル群のうちの、接続先の前記ノズル群に対応する配線パターンが、電気的に接続されている
請求項1に記載の駆動基板。
【請求項3】
前記複数の駆動デバイスにはそれぞれ、接続先の単一の前記ノズル群に対応する前記配線パターンが、電気的に接続されている
請求項2に記載の駆動基板。
【請求項4】
前記複数の駆動デバイスに含まれる第1駆動デバイスには、接続先の単一の前記ノズル群に対応する前記配線パターンが、電気的に接続されていると共に、
前記複数の駆動デバイスに含まれる第2駆動デバイスには、接続先の複数の前記ノズル群に対応する前記配線パターンがそれぞれ、電気的に接続されている
請求項2に記載の駆動基板。
【請求項5】
前記第2駆動デバイスには、接続先の2つの前記ノズル群に対応する前記配線パターンとしての、第1配線パターンおよび第2配線パターンがそれぞれ、電気的に接続されており、
前記第2駆動デバイスにおける一方の端部側に、前記第1配線パターンが電気的に接続されていると共に、
前記第2駆動デバイスにおける他方の端部側に、前記第2配線パターンが電気的に接続されている
請求項4に記載の駆動基板。
【請求項6】
前記複数の駆動デバイスが、単一の信号線群を介して、互いにカスケード接続されている
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の駆動基板。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の駆動基板と、
前記駆動基板から出力される前記駆動信号に基づいて前記液体を噴射する、前記複数のノズルを有する噴射部と
を備えた液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項7に記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドを備えた液体噴射記録装置が様々な分野に利用されており、液体噴射ヘッドとしては、各種方式のものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような液体噴射ヘッドでは一般に、小型化を図ることが求められている。小型化を図ることが可能な、駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る駆動基板は、複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、ノズルから液体を噴射させるための駆動信号を生成する、複数の駆動デバイスを備えたものである。複数のノズルが、複数のノズル群に区別されていると共に、複数の駆動デバイスはそれぞれ、対応する1または複数のノズル群に適用される駆動信号を生成する。複数の駆動デバイスと複数のノズル群とが、互いに電気的に接続されており、複数の駆動デバイスが、所定方向に沿って並んで配置されている。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドは、上記本開示の一実施の形態に係る駆動基板と、この駆動基板から出力される駆動信号に基づいて液体を噴射する複数のノズルを有する噴射部と、を備えたものである。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置は、上記本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施の形態に係る駆動基板、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置によれば、小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る液体噴射記録装置の概略構成例を表すブロック図である。
【
図2】
図1に示した液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図3】
図2に示した液体噴射ヘッドの詳細構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図4】比較例に係る液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図5】変形例1に係る液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図6】第2の実施の形態に係る液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図7】変形例2に係る液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図8】変形例3に係る液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表すブロック図である。
【
図9】変形例4に係る液体噴射ヘッドの概略構成例を模式的に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(駆動デバイスおよびノズル群の個数が同一である場合の例)
2.第1の実施の形態の変形例
変形例1(接続先のノズル群以外に対応する配線パターンも接続される場合の例)
3.第2の実施の形態(駆動デバイスおよびノズル群の個数が異なる場合の例)
4.第2の実施の形態の変形例
変形例2(2つの配線パターンが駆動デバイスの両端側に分けて接続される例)
変形例3(接続先のノズル群以外に対応する配線パターンも接続される場合の例)
変形例4(駆動基板内に5つの駆動デバイスが並んで配置される場合の例)
5.その他の変形例
【0011】
<1.第1の実施の形態>
[プリンタ5の概略構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ5の概略構成例を、ブロック図で表したものである。なお、本明細書の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0012】
プリンタ5は、後述するインク9を利用して、被記録媒体(例えば、
図1中に示した記録紙P)に対し、画像や文字等の記録(印刷)を行うインクジェットプリンタである。このプリンタ5は、
図1に示したように、インクジェットヘッド1および印刷制御部2を主に備えている。
【0013】
なお、インクジェットヘッド1は、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応し、プリンタ5は、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例に対応している。また、インク9は、本開示における「液体」の一具体例に対応している。
【0014】
(A.印刷制御部2)
印刷制御部2は、インクジェットヘッド1に対して、各種の情報(データ)を供給するものである。具体的には
図1に示したように、印刷制御部2は、インクジェットヘッド1内(後述する駆動デバイス41等)に対してそれぞれ、印刷制御信号Scを供給するようになっている。
【0015】
なお、この印刷制御信号Scには、例えば、画像データ、吐出タイミング信号、および、インクジェットヘッド1を動作させるための電源電圧等が、含まれるようになっている。
【0016】
(B.インクジェットヘッド1)
インクジェットヘッド1は、
図1中の破線の矢印で示したように、後述する複数のノズル孔Hnから記録紙Pに対して液滴状のインク9を噴射(吐出)して、画像や文字等の記録を行うヘッドである。このインクジェットヘッド1は、
図1に示したように、1つの噴射部11と、1つのI/F(インターフェース)基板12と、1つの駆動基板13とを、備えている。
【0017】
(B-1.噴射部11)
噴射部11は、
図1に示したように、複数のノズル孔Hnを有しており、これらのノズル孔Hnからインク9を噴射する部分である。このようなインク9の噴射は、駆動基板13上の後述する駆動デバイス41から出力される駆動信号Sd(駆動電圧Vd)に基づいて、行われるようになっている(
図1参照)。
【0018】
このような噴射部11は、
図1に示したように、アクチュエータプレート111およびノズルプレート112を含んで構成されている。なお、この噴射部11(アクチュエータプレート111)に対するインク9の供給は、例えば、インクジェットヘッド1内のインクタンク(
図1中に図示せず)から、インク供給管を介して行われるようになっている。
【0019】
(ノズルプレート112)
ノズルプレート112は、ポリイミド等のフィルム材または金属材料により構成されたプレートであり、
図1に示したように、上記した複数のノズル孔Hnを有している。これらのノズル孔Hnは、所定の間隔をおいて並んで形成されており、例えば円形状となっている。なお、このような複数のノズル孔Hnはそれぞれ、本開示における「ノズル」の一具体例に対応している。
【0020】
(アクチュエータプレート111)
アクチュエータプレート111は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料により構成されたプレートである。このアクチュエータプレート111には、複数のチャネル(圧力室)が設けられている。これらのチャネルは、インク9に対して圧力を印加するための部分であり、所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、並んで配置されている。各チャネルは、圧電体からなる駆動壁(不図示)によってそれぞれ画成されており、断面視にて凹状の溝部となっている。
【0021】
このようなチャネルには、インク9を吐出させるための吐出チャネルと、インク9を吐出させないダミーチャネル(非吐出チャネル)とが、存在している。言い換えると、吐出チャネルにはインク9が充填される一方、ダミーチャネルにはインク9が充填されないようになっている。なお、各吐出チャネルに対するインク9の充填は、例えば、そのような各吐出チャネルに共通して連通する流路(共通流路)を介して、行われるようになっている。また、各吐出チャネルは、ノズルプレート112におけるノズル孔Hnと個別に連通している一方、各ダミーチャネルは、ノズル孔Hnには連通しないようになっている。これらの吐出チャネルとダミーチャネルとは、所定の方向に沿って、交互に並んで配置されている。
【0022】
また、上記した駆動壁における対向する内側面にはそれぞれ、駆動電極が設けられている。この駆動電極には、吐出チャネルに面する内側面に設けられたコモン電極(共通電極)と、ダミーチャネルに面する内側面に設けられたアクティブ電極(個別電極)とが、存在している。これらの駆動電極と、後述する駆動デバイス41との間は、駆動基板13を介して電気的に接続されている。これにより、駆動基板13を介して、駆動デバイス41から各駆動電極に対し、前述した駆動電圧Vd(駆動信号Sd)が印加されるようになっている(
図1参照)。
【0023】
(B-2.I/F基板12)
I/F基板12は、
図1に示したように、駆動基板13とインクジェットヘッド1の外部(印刷制御部2)との間を、中継する基板(中継基板)である。これにより、印刷制御部2から入力された印刷制御信号Scが、I/F基板12を介して、駆動基板13(駆動デバイス41等)へと供給されるようになっている。
【0024】
(B-3.駆動基板13)
駆動基板13は、
図1に示したように、I/F基板12と噴射部11との間を電気的に接続する基板である。この駆動基板13は、前述した駆動信号Sdを駆動デバイス41から出力することで、前述したノズルプレート112におけるインク9の噴射動作を、個別に制御するようになっている。
【0025】
このような駆動基板13は、
図1に示したように、複数の駆動デバイス41を備えている。具体的には、
図1の例では、駆動デバイス411,412,…,41(n-1),41n(n:2以上の整数)からなる、n個の駆動デバイス41が、駆動基板13上に設けられている。
【0026】
これらの駆動デバイス41はそれぞれ、
図1に示したように、噴射部11における各ノズル孔Hnからインク9を噴射させるための、上記した駆動信号Sd(駆動電圧Vd)を生成および出力するデバイスである。このような駆動デバイス41はそれぞれ、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成されている。
【0027】
[インクジェットヘッド1の詳細構成]
続いて、
図2および
図3を参照して、インクジェットヘッド1の詳細構成例について説明する。
図2は、
図1に示したインクジェットヘッド1の概略構成例を、模式的にブロック図で表したものであり、
図3は、
図2に示したインクジェットヘッド1の詳細構成例を、模式的にブロック図で表したものである。
【0028】
なお、
図2においては、駆動基板13の基板面(X-Y平面)内における各方向(X軸方向およびY軸方向)を、図示している。
図3および後述する他の図面(
図5~
図9)においてはそれぞれ、便宜上、これらのX軸方向およびY軸方向の図示を、省略している。
【0029】
まず、
図2,
図3に示したように、インクジェットヘッド1では、前述した複数のノズル孔Hnが、複数のノズル群Gに区別(グループ化)されている。具体的には、
図2,
図3の例では、ノズル群G1,G2,…,G(n-1),Gnからなる、n個のノズル群Gに、区別されている。つまり、このインクジェットヘッド1では、上記した駆動デバイス41の個数(n個)と、ノズル群Gの個数(n個)とが、同一となっている。
【0030】
また、このような複数の駆動デバイス41と複数のノズル群Gとが、駆動配線Ld(Ld1~Ldn)を介して、互いに電気的に接続されている。具体的には、
図2,
図3に示したように、駆動デバイス411とノズル群G1とが、駆動配線Ld1を介して互いに電気的接続され、駆動デバイス412とノズル群G2とが、駆動配線Ld2を介して互いに電気的接続されている。同様に、駆動デバイス41(n-1)とノズル群G(n-1)とが、駆動配線Ld(n-1)を介して互いに電気的接続され、駆動デバイス41nとノズル群Gnとが、駆動配線Ldnを介して互いに電気的接続されている。
【0031】
更に、複数の駆動デバイス41はそれぞれ、対応するノズル群Gに適用される駆動信号Sdを生成し、駆動配線Ldを介して、ノズル群G側へと出力するようになっている。具体的には、
図2に示したように、駆動デバイス411は、対応するノズル群G1に適用される駆動信号Sd1を生成し、駆動配線Ld1を介してノズル群G1側へと出力する。同様に、駆動デバイス412は、対応するノズル群G2に適用される駆動信号Sd2を生成し、駆動配線Ld2を介してノズル群G2側へと出力する。駆動デバイス41(n-1)は、対応するノズル群G(n-1)に適用される駆動信号Sd(n-1)を生成し、駆動配線Ld(n-1)を介してノズル群G(n-1)側へと出力する。駆動デバイス41nは、対応するノズル群Gnに適用される駆動信号Sdnを生成し、駆動配線Ldnを介してノズル群Gn側へと出力する。
【0032】
なお、このようなノズル群Gの一例としては、ノズルプレート112内で所定方向に沿って延在する、ノズル列が挙げられる。ただし、この例には限られず、他のグループ化手法を用いて、ノズル群を設定するようにしてもよい。
【0033】
また、駆動基板13の基板面(
図2中に示したX-Y平面)上では、複数の駆動デバイス41が、所定方向(この例ではX軸方向)に沿って、並んで配置されている。ただし、この「所定方向に沿って、並んで配置」とは、(X軸方向に沿った)直線状には限られず、例えば、Y軸方向に沿って互い違いに配置(千鳥配置)されている場合などのように、多少、ずれて配置されていてもよい。
【0034】
更に、この駆動基板13上において、複数の駆動デバイス41にはそれぞれ、接続先の単一のノズル群Gに対応する配線パターン(各種の電源配線のパターン)が、電気的に接続されている。これは、各ノズル群Gに対応して使用される駆動電源のグループが、互いに異なるためである。具体的には、
図3に示したように、駆動デバイス411には、接続先のノズル群G1に対応する配線パターンLv1が、電気的接続されており、駆動デバイス412には、接続先のノズル群G2に対応する配線パターンLv2が、電気的接続されている。同様に、駆動デバイス41(n-1)には、接続先のノズル群G(n-1)に対応する配線パターンLv(n-1)が、電気的接続されており、駆動デバイス41nには、接続先のノズル群Gnに対応する配線パターンLvnが、電気的接続されている。また、
図3の例では、各駆動デバイス41における(X軸方向に沿った)双方の端部側にそれぞれ、そのような各配線パターンが電気的接続されている。
【0035】
更に、この駆動基板13上では、
図3に示したように、複数の駆動デバイス41が、単一の信号線群Lsを介して、互いにカスケード接続されている。なお、このような信号線群Lsには、例えば、クロック信号や、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)等によるデータ信号などの、各種の信号線が含まれている。
【0036】
[動作および作用・効果]
(A.プリンタ5の基本動作)
このプリンタ5では、以下のようなインクジェットヘッド1によるインク9の噴射動作を用いて、被記録媒体(記録紙P等)に対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われる。具体的には、このインクジェットヘッド1では、以下のようにして、せん断(シェア)モードを用いたインク9の噴射動作が行われる。
【0037】
まず、駆動基板13上の各駆動デバイス41は、噴射部11におけるアクチュエータプレート111内の前述した駆動電極(コモン電極およびアクティブ電極)に対し、駆動電圧Vd(駆動信号Sd)を印加する。具体的には、各駆動デバイス41は、前述した吐出チャネルを画成する一対の駆動壁に配置された各駆動電極に対し、駆動電圧Vdを印加する。これにより、これら一対の駆動壁がそれぞれ、その吐出チャネルに隣接するダミーチャネル側へ、突出するように変形する。
【0038】
このとき、駆動壁における深さ方向の中間位置を中心として、駆動壁がV字状に屈曲変形することになる。そして、このような駆動壁の屈曲変形により、吐出チャネルがあたかも膨らむように変形する。このように、一対の駆動壁での圧電厚み滑り効果による屈曲変形によって、吐出チャネルの容積が増大する。そして、吐出チャネルの容積が増大することにより、インク9が吐出チャネル内へ誘導されることになる。
【0039】
次いで、このようにして吐出チャネル内へ誘導されたインク9は、圧力波となって吐出チャネルの内部に伝播する。そして、ノズルプレート112のノズル孔Hnにこの圧力波が到達したタイミング(またはその近傍のタイミング)で、駆動電極に印加される駆動電圧Vdが、0(ゼロ)Vとなる。これにより、上記した屈曲変形の状態から駆動壁が復元する結果、一旦増大した吐出チャネルの容積が、再び元に戻ることになる。
【0040】
このようにして、吐出チャネルの容積が元に戻る過程で、吐出チャネル内部の圧力が増加し、吐出チャネル内のインク9が加圧される。その結果、液滴状のインク9が、ノズル孔Hnを通って外部へと(記録紙Pへ向けて)吐出される(
図1参照)。このようにしてインクジェットヘッド1におけるインク9の噴射動作(吐出動作)がなされ、その結果、記録紙Pに対する画像や文字等の記録動作が行われる。
【0041】
(B.インクジェットヘッド1における作用・効果)
続いて、インクジェットヘッド1における作用および効果について、比較例と比較しつつ、詳細に説明する。
【0042】
まず、複数のノズル群を有するインクジェットヘッドでは、ノズル群ごとの吐出ばらつきを抑制するため、そのようなノズル群ごとに、駆動電源や駆動信号を設定したり、制御したりする方法が、知られている。ただし、ノズル群ごとに電源パターンや信号パターンを用意する必要あるため、駆動基板上の駆動デバイスや配線パターンが増加し、基板幅が大きくなる要因となる。
【0043】
一方、近年では高精細化のニーズにより、ノズルピッチは狭くなる傾向にあり、従来製品と同じノズル数であっても、ノズル群の幅が狭くなっている。これらのことから、ノズル数(ノズル群)の増加に伴って配線パターンは増加する一方で、基板幅はコンパクトにする(駆動基板の小型化を図る)必要があると言える。
【0044】
(B-1.比較例)
ここで、
図4は、比較例に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド101)の概略構成例を、模式的にブロック図で表したものである。この比較例のインクジェットヘッド101は、
図3に示したインクジェットヘッド1において、駆動基板13の代わりに駆動基板103を設けると共に、n個のノズル群G1~Gnの代わりに2つのノズル群G101,G102を設けたものに対応している。なお、この
図4においても、前述した
図2と同様に、駆動基板103の基板面(X-Y平面)内における各方向(X軸方向およびY軸方向)を、図示している。
【0045】
この比較例の駆動基板103ではまず、
図4に示したように、(n-1)個の駆動デバイス411~41(n-1)が、所定方向(X軸方向)に沿って、並んで配置されていると共に、信号線群Ls101を介して、互いにカスケード接続されている。この駆動基板103ではまた、(k+1)個(k:1以上の整数)の駆動デバイス41n~41(n+k)が、所定方向(X軸方向)に沿って、並んで配置されていると共に、信号線群Ls102を介して、互いにカスケード接続されている。そして、駆動デバイス411~41(n-1)からなるデバイス列と、駆動デバイス41n~41(n+k)からなるデバイス列とは、駆動基板103内のY軸方向に沿って、並んで配置されている。つまり、駆動基板13(
図3参照)では、駆動デバイス411~41nからなるデバイス列が、1列に配置されているのに対し、この駆動基板103では、上記した2列のデバイス列が配置されている。
【0046】
また、この駆動基板103では、
図4に示したように、駆動デバイス411~41(n-1)はそれぞれ、共通の駆動配線Ld101を介してノズル群G101と電気的接続されている。そして、駆動デバイス411~41(n-1)はそれぞれ、この共通の駆動配線Ld101を介して、ノズル群G101に対応する駆動信号Sd101を、ノズル群G101側へと出力するようになっている。一方、駆動デバイス41n~41(n+k)はそれぞれ、共通の駆動配線Ld102を介してノズル群G102と電気的接続されている。そして、駆動デバイス41n~41(n+k)はそれぞれ、この共通の駆動配線Ld102を介して、ノズル群G102に対応する駆動信号Sd102を、ノズル群G102側へと出力するようになっている。
【0047】
なお、
図4に示したように、駆動デバイス411~41(n-1)はそれぞれ、接続先のノズル群G101に対応する配線パターンLv101が、電気的接続されている。同様に、駆動デバイス41n~41(n+k)にはそれぞれ、接続先のノズル群G102に対応する配線パターンLv102が、電気的接続されている。
【0048】
このように、比較例のインクジェットヘッド101では、駆動基板103において、複数の駆動デバイスが複数列に分けて配置されていることから、以下のようになる。すなわち、駆動基板103上における配線(配線パターンLv101,Lv102や、駆動配線Ld101,Ld102等)の経路が、長くなったり、複雑なものとなってしまうおそれがある。また、駆動基板103上の信号線群についても、複数の信号線群Ls101,Ls102に分けて配置されていることから、信号線群の経路も、長くなったり、複雑なものとなってしまうおそれがある。その結果、この比較例のインクジェットヘッド101では、駆動基板103の小型化を図るのが、困難であると言える。
【0049】
(B-2.作用・効果)
これに対してインクジェットヘッド1では、以下のような構成となっていることで、例えば、以下のような作用および効果が得られる。
【0050】
すなわち、まず、このインクジェットヘッド1では、各駆動デバイス41に対応するノズル群Gに適用される駆動信号Sdが、複数の駆動デバイス41と電気的接続された複数のノズル群Gへと出力される。また、これら複数の駆動デバイス41は、所定方向(X軸方向)に沿って、並んで配置されている。
【0051】
これにより、例えば上記比較例等のように、複数の駆動デバイス41が複数列に分けて配置されている場合と比べ、駆動基板13上における配線パターン(各種の電源配線や信号配線のパターン:Lv1~Lvn)の経路が、短くなったり、簡易なものとなる。また、駆動配線Ld等の経路についても、上記比較例等と比べ、短くなったり、簡易なものとなる。その結果、この第1の実施の形態では、上記比較例等と比べ、駆動基板13の小型化を図ることが可能となる。
【0052】
また、そのような配線パターンLv1~Lvnが、短くなったり簡易なものとなることから、配線インピーダンスを低減することができ、電源のバイパスコンデンサ等の部品点数も、削減することができる。その結果、駆動基板13やインクジェットヘッド1全体のコストを、低減することも可能となる。
【0053】
また、この第1の実施の形態では、複数の駆動デバイス41にはそれぞれ、複数のノズル群Gのうちの、接続先のノズル群Gに対応する配線パターンのみが、電気的接続されていることから、以下のようになる。すなわち、例えば、複数のノズル群Gの各々に対応する配線パターン(Lv1~Lvnの全て)が電気的接続されている場合(例えば、後述する変形例1の場合に相当)と比べ、電気的接続される配線パターンの数が、削減される。その結果、駆動基板13の更なる小型化を図ることが可能となる。また、配線パターン(Lv1~Lvn)を分けて電気的接続されることから、これらの配線パターン同士でのノイズ干渉を防止することも、可能となる。
【0054】
特に、この第1の実施の形態では、複数の駆動デバイス41にはそれぞれ、複数のノズル群Gのうちの、接続先の単一のノズル群Gに対応する配線パターン(Lv1~Lvnのうちのいずれか1つ)のみが、電気的接続されていることから、以下のようになる。すなわち、例えば、接続先の複数のノズル群Gに対応する配線パターン(Lv1~Lvnのうちの2つ以上)がそれぞれ、電気的接続されている場合と比べ、電気的接続される配線パターンの数が、更に削減される。その結果、駆動基板13を、より一層小型化することが可能となる。
【0055】
加えて、この第1の実施の形態では、複数の駆動デバイス41が、単一の信号線群Lsを介して、互いにカスケード接続されていることから、以下のようになる。すなわち、カスケード接続以外の場合(例えば上記比較例等のように、複数の信号線群Lsを用いた並列接続の場合など)と比べ、信号線群Lsの配線パターンの経路も、短くなったり、簡易なものとなる。その結果、駆動基板13の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0056】
<2.第1の実施の形態の変形例>
続いて、上記第1の実施の形態の変形例(変形例1)について説明する。なお、以下では、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0057】
[変形例1]
(構成)
図5は、変形例1に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1A)の概略構成例を、模式的にブロック図で表したものである。この変形例1のインクジェットヘッド1Aは、第1の実施の形態のインクジェットヘッド1(
図3参照)において、駆動基板13の代わりに駆動基板13Aを設けたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0058】
なお、このインクジェットヘッド1Aは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
【0059】
この駆動基板13Aは、駆動基板13(
図3参照)において、各駆動デバイス41に対する配線パターンの接続態様を、変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0060】
具体的には、
図5に示したように、各駆動デバイス41に対して、複数のノズル群Gの各々に対応する配線パターン(Lv1~Lvnの全て)が、電気的接続されている。つまり、駆動デバイス411,412,…,41nの各々に対して、配線パターンLv1~Lvnの各々が、電気的接続されている。このように、この変形例1においては、上記した第1の実施の形態の場合とは異なり、各駆動デバイス41には、接続先のノズル群G以外に対応する配線パターンも、電気的接続されるようになっている。
【0061】
(作用・効果)
このような構成の変形例1においても、基本的には第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0062】
<3.第2の実施の形態>
続いて、本開示の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、これまでに説明した第1の実施の形態および変形例1とは異なり、駆動デバイス41の個数(3個)と、ノズル群Gの個数(2個)とが、互いに異なっている場合の例に、対応している。なお、以下では、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0063】
(構成)
図6は、第2の実施の形態に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1B)の概略構成例を、模式的にブロック図で表したものである。この第2の実施の形態のインクジェットヘッド1Bは、第1の実施の形態のインクジェットヘッド1(
図3参照)において、駆動基板13の代わりに駆動基板13Bを設けると共に、ノズル群Gの個数を変更(2つのノズル群G1,G2へと変更)したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0064】
なお、このインクジェットヘッド1Bは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
【0065】
駆動基板13Bは、駆動基板13(
図3参照)において、駆動デバイス41の個数を変更(3つの駆動デバイス411~413へと変更)すると共に、各駆動デバイス41に対する配線パターンおよび駆動配線Ldの接続態様をそれぞれ、変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0066】
具体的には、
図6に示したように、この駆動基板13Bでは、駆動デバイス411とノズル群G1とが、駆動配線Ld1を介して互いに電気的接続され、駆動デバイス413とノズル群G2とが、駆動配線Ld3を介して互いに電気的接続されている。一方、駆動デバイス412は、駆動配線Ld21を介してノズル群G1と電気的接続されていると共に、駆動配線Ld22を介してノズル群G2と電気的接続されている。
【0067】
したがって、駆動デバイス411は、対応するノズル群G1に適用される駆動信号Sd1を生成し、駆動配線Ld1を介してノズル群G1側へと出力すると共に、駆動デバイス413は、対応するノズル群G2に適用される駆動信号Sd2を生成し、駆動配線Ld3を介してノズル群G2側へと出力する。一方、駆動デバイス412は、対応するノズル群G1に適用される駆動信号Sd1を生成し、駆動配線Ld21を介してノズル群G1側へと出力すると共に、対応するノズル群G2に適用される駆動信号Sd2を生成し、駆動配線Ld22を介してノズル群G2側へと出力するようになっている。
【0068】
また、
図6に示したように、駆動デバイス411,413にはそれぞれ、複数のノズル群G(G1,G2)のうちの、接続先の単一のノズル群G(G1またはG2)に対応する配線パターン(Lv1またはLv2)が、電気的接続されている。つまり、駆動デバイス411には、接続先の単一のノズル群G1に対応する配線パターンLv1が、電気的接続されていると共に、駆動デバイス413には、接続先の単一のノズル群G2に対応する配線パターンLv2が、電気的接続されている。一方、駆動デバイス412には、複数のノズル群G1,G2のうちの、接続先の複数のノズル群G1,G2に対応する配線パターンLv1,Lv2がそれぞれ、電気的接続されている。
【0069】
なお、
図6に示した駆動デバイス411,413はそれぞれ、本開示における「第1駆動デバイス」の一具体例に対応している。また、
図6に示した駆動デバイス412は、本開示における「第2駆動デバイス」の一具体例に対応している。この点は、後述する変形例2(
図7参照)および変形例3(
図8参照)においても、同様である。
【0070】
(作用・効果)
このような構成の第2の実施の形態においても、基本的には第1の実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0071】
また、特に第2の実施の形態では、駆動デバイス411,413にはそれぞれ、複数のノズル群G(G1,G2)のうちの、接続先の単一のノズル群G(G1またはG2)に対応する配線パターン(Lv1またはLv2)が、電気的接続されている。一方、駆動デバイス412には、複数のノズル群G1,G2のうちの、接続先の複数のノズル群G1,G2に対応する配線パターンLv1,Lv2がそれぞれ、電気的接続されている。これにより、例えば、駆動デバイス41やノズル群Gの個数や配置関係等に応じて、対応する1または複数の配線パターンを、駆動デバイス41に電気的接続させることができ、配線パターンの接続態様の自由度を、向上させることができる。その結果、駆動基板13Bの小型化を図りつつ、利便性も向上させることが可能となる。
【0072】
<4.第2の実施の形態の変形例>
続いて、上記第2の実施の形態の変形例(変形例2~4)について説明する。なお、以下では、第1または第2の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
[変形例2]
(構成)
図7は、変形例2に係るに係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1C)の概略構成例を、模式的にブロック図で表したものである。この変形例2のインクジェットヘッド1Cは、第2の実施の形態のインクジェットヘッド1B(
図6参照)において、駆動基板13Bの代わりに駆動基板13Cを設けたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0074】
なお、このインクジェットヘッド1Cは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
【0075】
この駆動基板13Cは、駆動基板13B(
図6参照)において、各駆動デバイス41に対する配線パターンの接続態様を、一部変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0076】
具体的には、
図7に示したように、まず、駆動デバイス411,413にはそれぞれ、第2の実施の形態(
図6参照)と同様に、複数のノズル群G(G1,G2)のうちの、接続先の単一のノズル群G(G1またはG2)に対応する配線パターン(Lv1またはLv2)が、電気的接続されている。また、駆動デバイス412においても、第2の実施の形態(
図6参照)と同様に、複数のノズル群G1,G2のうちの、接続先の複数のノズル群G1,G2に対応する配線パターンLv1,Lv2がそれぞれ、電気的接続されている。
【0077】
ただし、第2の実施の形態(
図6参照)では、駆動デバイス412における(X軸方向に沿った)双方の端部側に、配線パターンLv1,Lv2の双方が電気的接続されているのに対し、この変形例2では、以下のようになっている。すなわち、
図7に示したように、駆動デバイス412における(X軸方向に沿った)一方の端部側に、配線パターンLv1が電気的接続されていると共に、駆動デバイス412における他方の端部側に、配線パターンLv2が電気的接続されている。
【0078】
なお、
図7中の駆動デバイス412に接続された配線パターンLv1は、本開示における「第1配線パターン」の一具体例に対応している。また、
図7中の駆動デバイス412に接続された配線パターンLv2は、本開示における「第2配線パターン」の一具体例に対応している。
【0079】
(作用・効果)
このような構成の変形例2においても、基本的には第2の実施の形態等と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0080】
また、特にこの変形例2では、駆動デバイス412における一方および他方の端部側にそれぞれ、接続先の2つのノズル群G1,G2に対応する配線パターンLv1,Lv2が、個別に電気的接続されていることから、以下のようになる。すなわち、例えば第2の実施の形態等のように、駆動デバイス412における少なくとも一方の端部側に、これらの配線パターンLv1,Lv2の双方が電気的接続されている場合と比べ、駆動デバイス412の端部に電気的接続される配線パターンの数が、削減される。その結果、駆動基板13Cを、より一層小型化することが可能となる。
【0081】
[変形例3]
(構成)
図8は、変形例3に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1D)の概略構成例を、模式的にブロック図で表したものである。この変形例3のインクジェットヘッド1Dは、第2の実施の形態のインクジェットヘッド1B(
図6参照)において、駆動基板13Bの代わりに駆動基板13Dを設けたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0082】
なお、このインクジェットヘッド1Dは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
【0083】
この駆動基板13Dは、駆動基板13B(
図6参照)において、各駆動デバイス41に対する配線パターンの接続態様を、変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0084】
具体的には、
図8に示したように、各駆動デバイス41に対して、複数のノズル群G1,G2の各々に対応する配線パターンLv1,Lv2がそれぞれ、電気的接続されている。つまり、駆動デバイス411,412,413の各々に対して、配線パターンLv1,Lv2の各々が、電気的接続されている。このように、この変形例3においては、上記した第2の実施の形態および変形例2の場合とは異なり、各駆動デバイス41には、接続先のノズル群G以外に対応する配線パターンも、電気的接続されるようになっている。
【0085】
(作用・効果)
このような構成の変形例3においても、基本的には第2の実施の形態等と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0086】
[変形例4]
(構成)
図9は、変形例4に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1E)の概略構成例を、模式的にブロック図で表したものである。この変形例4のインクジェットヘッド1Eは、第2の実施の形態のインクジェットヘッド1B(
図6参照)において、駆動基板13Bの代わりに駆動基板13Eを設けたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0087】
なお、このインクジェットヘッド1Eは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
【0088】
この駆動基板13Eは、駆動基板13B(
図6参照)において、駆動デバイス41の個数を変更(5つの駆動デバイス411~415へと変更)すると共に、各駆動デバイス41に対する配線パターンおよび駆動配線Ldの接続態様をそれぞれ、変更したものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
【0089】
具体的には、
図9に示したように、この駆動基板13Eでは、駆動デバイス411とノズル群G1とが、駆動配線Ld1を介して互いに電気的接続され、駆動デバイス412とノズル群G1とが、駆動配線Ld2を介して互いに電気的接続されている。同様に、駆動デバイス414とノズル群G2とが、駆動配線Ld4を介して互いに電気的接続され、駆動デバイス415とノズル群G2とが、駆動配線Ld5を介して互いに電気的接続されている。一方、駆動デバイス413は、駆動配線Ld31を介してノズル群G1と電気的接続されていると共に、駆動配線Ld32を介してノズル群G2と電気的接続されている。
【0090】
したがって、駆動デバイス411は、対応するノズル群G1に適用される駆動信号Sd1を生成し、駆動配線Ld1を介してノズル群G1側へと出力すると共に、駆動デバイス412は、対応するノズル群G1に適用される駆動信号Sd1を生成し、駆動配線Ld2を介してノズル群G1側へと出力する。同様に、駆動デバイス414は、対応するノズル群G2に適用される駆動信号Sd2を生成し、駆動配線Ld4を介してノズル群G2側へと出力すると共に、駆動デバイス415は、対応するノズル群G2に適用される駆動信号Sd2を生成し、駆動配線Ld5を介してノズル群G2側へと出力する。一方、駆動デバイス413は、対応するノズル群G1に適用される駆動信号Sd1を生成し、駆動配線Ld31を介してノズル群G1側へと出力すると共に、対応するノズル群G2に適用される駆動信号Sd2を生成し、駆動配線Ld32を介してノズル群G2側へと出力するようになっている。
【0091】
また、
図9に示したように、駆動デバイス411,412,414,415にはそれぞれ、複数のノズル群G(G1,G2)のうちの、接続先の単一のノズル群G(G1またはG2)に対応する配線パターン(Lv1またはLv2)が、電気的接続されている。つまり、駆動デバイス411,412にはそれぞれ、接続先の単一のノズル群G1に対応する配線パターンLv1が、電気的接続されていると共に、駆動デバイス414,415にはそれぞれ、接続先の単一のノズル群G2に対応する配線パターンLv2が、電気的接続されている。一方、駆動デバイス413には、複数のノズル群G1,G2のうちの、接続先の複数のノズル群G1,G2に対応する配線パターンLv1,Lv2がそれぞれ、電気的接続されている。そして、前述した変形例2の場合と同様に、駆動デバイス413における(X軸方向に沿った)一方の端部側に、配線パターンLv1が電気的接続されていると共に、駆動デバイス413における他方の端部側に、配線パターンLv2が電気的接続されている。
【0092】
なお、
図9に示した駆動デバイス411,412,414,415はそれぞれ、本開示における「第1駆動デバイス」の一具体例に対応している。また、
図9に示した駆動デバイス413は、本開示における「第2駆動デバイス」の一具体例に対応している。
図9中の駆動デバイス413に接続された配線パターンLv1は、本開示における「第1配線パターン」の一具体例に対応している。また、
図9中の駆動デバイス413に接続された配線パターンLv2は、本開示における「第2配線パターン」の一具体例に対応している。
【0093】
(作用・効果)
このような構成の変形例4においても、基本的には第2の実施の形態等と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
【0094】
なお、この変形例4では、2つの駆動デバイス411,412を用いてノズル群G1に対応する駆動信号Sd1を出力すると共に、2つの駆動デバイス414,415を用いてノズル群G2に対応する駆動信号Sd2を出力し、駆動デバイス413を用いて各ノズル群G1,G2に対応する駆動信号Sd1,Sd2をそれぞれ出力している。ただし、このような複数の駆動デバイス41と複数のノズル群Gとの間の分配態様については、この例には限られず、他の分配態様であってもよい。具体的には、例えば、3つの駆動デバイス411,412,413を用いて、ノズル群G1に対応する駆動信号Sd1を出力すると共に、2つの駆動デバイス414,415を用いて、ノズル群G2に対応する駆動信号Sd2を出力するようにしてもよい。
【0095】
<5.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0096】
例えば、上記実施の形態等では、プリンタおよびインクジェットヘッドにおける各部材(駆動デバイスやノズル群、配線パターン、駆動配線、信号群など)の構成例(形状、配置、接続態様、種類、個数等)を具体的に挙げて説明した。ただし、これらの構成例については、上記実施の形態等で説明した構成例には限られず、他の形状や配置、接続態様、種類、個数等であってもよい。
【0097】
具体的には、例えば、I/F基板や駆動基板等の構成については、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の構成であってもよい。また、上記実施の形態等では、駆動基板が1つ設けられている場合を例に挙げて説明したが、例えば、駆動基板が2つ以上設けられていてもよい。更に、上記実施の形態等では、中継基板としてのI/F基板を、インクジェットヘッド内に設けた場合について説明したが、この場合には限られず、例えばインクジェットヘッド内に、そのような中継基板(I/F基板)を設けないようにしてもよい。加えて、上記実施の形態等では、複数の駆動デバイスが、(単一の)信号線群を介して互いにカスケード接続されている場合を例に挙げて説明したが、この場合の例には限られない。すなわち、例えば、複数の駆動デバイスが、信号線群を介して互いにカスケード接続されていないようにしてもよい。
【0098】
また、インクジェットヘッドの構造としては、各タイプのものを適用することが可能である。すなわち、例えば、アクチュエータプレート111における各吐出チャネルの延在方向の中央部からインク9を吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。あるいは、例えば、各吐出チャネルの延在方向に沿ってインク9を吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのインクジェットヘッドであってもよい。更には、プリンタの方式としても、上記実施の形態等で説明した方式には限られず、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)方式など、各種の方式を適用することが可能である。
【0099】
更に、例えば、インクタンクとインクジェットヘッドとの間でインク9を循環させて利用する、循環式のインクジェットヘッド、あるいは、インク9を循環させずに利用する、非循環式のインクジェットヘッドのいずれであっても、本開示を適用することが可能である。
【0100】
また、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0101】
更に、上記実施の形態等では、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例として、プリンタ(インクジェットプリンタ)を挙げて説明したが、この例には限られず、インクジェットプリンタ以外の他の装置にも、本開示を適用することが可能である。換言すると、本開示の「液体噴射ヘッド」(インクジェットヘッド)を、インクジェットプリンタ以外の他の装置に適用するようにしてもよい。具体的には、例えば、ファクシミリやオンデマンド印刷機などの装置に、本開示の「液体噴射ヘッド」を適用するようにしてもよい。
【0102】
加えて、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0103】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0104】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
複数のノズルを有する液体噴射ヘッドに適用する駆動信号を出力する基板であって、
前記ノズルから液体を噴射させるための前記駆動信号を生成する、複数の駆動デバイスを備え、
前記複数のノズルが、複数のノズル群に区別されていると共に、
前記複数の駆動デバイスはそれぞれ、対応する1または複数の前記ノズル群に適用される前記駆動信号を生成し、
前記複数の駆動デバイスと前記複数のノズル群とが、互いに電気的に接続されており、
前記複数の駆動デバイスが、所定方向に沿って並んで配置されている
駆動基板。
(2)
前記複数の駆動デバイスにはそれぞれ、前記複数のノズル群のうちの、接続先の前記ノズル群に対応する配線パターンが、電気的に接続されている
上記(1)に記載の駆動基板。
(3)
前記複数の駆動デバイスにはそれぞれ、接続先の単一の前記ノズル群に対応する前記配線パターンが、電気的に接続されている
上記(2)に記載の駆動基板。
(4)
前記複数の駆動デバイスに含まれる第1駆動デバイスには、接続先の単一の前記ノズル群に対応する前記配線パターンが、電気的に接続されていると共に、
前記複数の駆動デバイスに含まれる第2駆動デバイスには、接続先の複数の前記ノズル群に対応する前記配線パターンがそれぞれ、電気的に接続されている
上記(2)に記載の駆動基板。
(5)
前記第2駆動デバイスには、接続先の2つの前記ノズル群に対応する前記配線パターンとしての、第1配線パターンおよび第2配
線パターンがそれぞれ、電気的に接続されており、
前記第2駆動デバイスにおける一方の端部側に、前記第1配線パターンが電気的に接続されていると共に、
前記第2駆動デバイスにおける他方の端部側に、前記第2配線パターンが電気的に接続されている
上記(4)に記載の駆動基板。
(6)
前記複数の駆動デバイスが、単一の信号線群を介して、互いにカスケード接続されている
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の駆動基板。
(7)
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の駆動基板と、
前記駆動基板から出力される前記駆動信号に基づいて前記液体を噴射する、前記複数のノズルを有する噴射部と
を備えた液体噴射ヘッド。
(8)
上記(7)に記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
【符号の説明】
【0105】
1,1A~1E…インクジェットヘッド、11…噴射部、111…アクチュエータプレート、112…ノズルプレート、12…I/F基板、13,13A~13E…駆動基板、2…印刷制御部、41,411~41n…駆動デバイス、5…プリンタ、9…インク、P…記録紙、Hn…ノズル孔、Sc…印刷制御信号、Sd,Sd1~Sdn…駆動信号、Vd…駆動電圧、G,G1~Gn…ノズル群、Ld,Ld1~Ldn,Ld21,Ld22,Ld31,Ld32…駆動配線、Lv1~Lvn…配線パターン、Ls…信号線群。