(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130236
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】ドレンホース接続具
(51)【国際特許分類】
F24F 13/22 20060101AFI20230912BHJP
F16L 21/00 20060101ALN20230912BHJP
【FI】
F24F1/0007 361B
F24F13/22 222
F16L21/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034795
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】荒井 沙紀
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BD05
3L050BF04
3L050BF07
(57)【要約】
【課題】排水性能に優れたドレンホース接続具を提供する。
【解決手段】排水レール70上に設置されるドレンホース接続具10であって、上面12と、前面14と、前面14と反対側の後面16と、上面12と反対側に開口68と、を有する本体20と、上面12に設けられ、ドレンホース80が挿入可能な貫通穴30と、前面に設けられた排出口36と、貫通穴30の後方の内面であって、排出口36の下縁より高い位置に設けられ、ドレンホース80の先端80Aの後端部分に接触可能なホース停止部52と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水レール上に設置されるドレンホース接続具であって、
上面と、前面と、前記前面と反対側の後面と、前記上面と反対側に開口と、を有する本体と、
前記上面に設けられ、ドレンホースが挿入可能な貫通穴と、
前記前面に設けられた排出口と、
前記貫通穴の内面の後方であって、前記排出口の下縁より高い位置に設けられ、前記ドレンホースの先端の後端部分に接触可能なホース停止部と、
を備える、ドレンホース接続具。
【請求項2】
前記ホース停止部は、前記貫通穴の後方の内面から前方へ向かって突出した導水面を有する、請求項1に記載の、ドレンホース接続具。
【請求項3】
前記導水面は、前記排出口へ向かって下方へ傾斜している、請求項2に記載の、ドレンホース接続具。
【請求項4】
前記導水面の先端は、前記貫通穴に挿入されたドレンホースの先端の内面より内側で終端している、請求項2又は3に記載のドレンホース接続具。
【請求項5】
前記貫通穴は、
後側に配置された第1貫通穴と、
前記第1貫通穴に対し前側に配置された第2貫通穴と、を有し、
前記第1貫通穴に設けられた前記ホース停止部は、前記貫通穴の後方の内面から前方へ向かって突出した導水面を有し、
前記導水面の先端は、前記貫通穴の中心と、前記貫通穴に挿入されたドレンホースの先端の内面との間で終端しており、
前記第2貫通穴に設けられた前記ホース停止部は、前記第1貫通穴に設けられた前記ホース停止部よりも高い位置に設けられている、
請求項1~4のいずれか1項に記載のドレンホース接続具。
【請求項6】
前記ホース停止部は、前記貫通穴の後方の内面から前方へ向かって突出した導水面と、前記導水面と反対側に、排水レールと対向する底面とを有し、
前記底面は、前記排水レールの表面と相補的な凹凸形状を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のドレンホース接続具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレンホース接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
マンションなどの集合住宅の共同廊下やベランダなどに設置された空調機の室内機で発生した水は、ドレンホースによってドレン水として排出されている。このドレン水が、前記共同廊下やベランダ、その他構造物の下地などの各種床面上に流れると、床面に汚れやシミが生じたり、カビが発生したりする原因となる。
【0003】
これに対し、排水レールを床面に設置し、排水レール上にドレンホース接続具を設け、ドレンホース接続具にドレンホースを接続することによって、ドレン水を側溝等の所定の箇所へ導く排水方法が知られている。
【0004】
ドレンホース接続具として、例えば特許文献1には、軸長方向にドレンホースをそれぞれ挿入脱可能な第1及び第2挿入空間を有する一方開口型の筒部と、前記ドレンホースからの水を排水処理部材側へと導く本体部とを有するドレンホース接続具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のドレンホース接続具は、ドレンホースを挿入する筒部が底面と直接つながっているので、ドレンホース先端が底面に接し得る。この場合、ドレンホース先端が底面と密着した場合、ドレン水がドレンホースから流出せず、排水レールを通じてドレン水を排出することが困難であるという問題があった。
【0007】
近年の自動洗浄機能のある空調機は、瞬間的に大量の水がドレン水として排水されるため、排水性能に優れたドレンホース接続具が求められている。
【0008】
本発明は、排水性能に優れたドレンホース接続具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、排水レール上に設置されるドレンホース接続具であって、上面と、前面と、前記前面と反対側の後面と、前記上面と反対側に開口と、を有する本体と、前記上面に設けられ、ドレンホースが挿入可能な貫通穴と、前記前面に設けられた排出口と、前記貫通穴の後方の内面であって、前記排出口の下縁より高い位置に設けられ、前記ドレンホースの後側の先端に接触可能なホース停止部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるドレンホース接続具は、排水性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るドレンホース接続具の斜視図である。
【
図2】本実施形態に係るドレンホース接続具の左側面図である。
【
図3】本実施形態に係るドレンホース接続具の右側面図である。
【
図4】本実施形態に係るドレンホースの
図2に示すIV-IV断面図である。
【
図5】本実施形態に係るドレンホース接続具の使用状態を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係るドレンホース接続具の使用状態における
図2に示すIV-IV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係るドレンホース接続具について、図を参照して以下説明する。以下、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を有する直交座標を用いて説明する。X軸に平行な方向を「X方向」、Y軸に平行な方向を「Y方向」、Z軸に平行な方向を「Z方向」と呼ぶ。X方向は、+X側を「前側」、-X側を「後側」とする前後方向である。Y方向は、+Y側を「上側」、-Y側を「下側」とする上下方向である。Z方向は、+Z側を「右側」、-Z側を「左側」とする左右方向である。本明細書において、「略同じ」とは、完全に一致する場合に限らず、測定誤差又は加工誤差程度の差異がある場合を含む。
【0013】
図1に示すドレンホース接続具10は、集合住宅の共同廊下やベランダの床面に設けられた排水レール(本図には図示しない)上に配置される。ドレンホース接続具10は、上面12と、前面14と、前面14と反対側の後面16と、一対の側面18を有する本体20を備える。本体20は、上面12を有する上部22と、前面14を有する前部24と、後面16を有する後部26と、一対の側面18をそれぞれ有する一対の側部28とを備える。
【0014】
本体20は、耐候性に優れた合成樹脂で形成してもよい。耐候性に優れた樹脂としては、例えばPMMA(メチルメタクリル)樹脂、AAS(アクリル・アクリロニトリル・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリルエチレンプロピレンゴムスチレン共重合体)樹脂、ASS(アクリロニトリルスチレンアクリル酸ゴム共重合体)およびMS(メチルメタクリレート・スチレン共重合)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等が例示できる。耐候性及び無機顔料との相溶性に優れる面から、AES樹脂もしくはPVC樹脂が好ましい。
【0015】
本体20は、上面12に貫通穴30を有する。貫通穴30は、上部22を厚さ方向、すなわち上下方向に貫通している。貫通穴30の直径は、挿入されるドレンホースに合わせて適宜選択される。貫通穴30は、第1貫通穴32と、第1貫通穴32に対し前側に配置された第2貫通穴34とを有する。第1貫通穴32と第2貫通穴34は、互いに前後方向に離れた状態、すなわち分離した状態で形成されている。第1貫通穴32と第2貫通穴34の間は所定の長さ、例えば、貫通穴30の半径より長く、直径より短い距離だけ離れている。本体20の上面12は、前方へ向かって、上方向へ傾斜していてもよい。本体20は、上面12に、前方向を示す目印を有してもよい。
図1の場合、本体20は、上面12に前方を先端とする矢印35を有する。
【0016】
図2に示すように、本体20は、前面14に排出口36を有する。排出口36は、前部24を厚さ方向、すなわち前後方向へ貫通し、前部24の下端を凹状に切り欠いて形成されている。本体20は、左右一対の脚部38を有する。一対の脚部38は、下端に排水レール表面に接触する座面40を有する。前部24の下端は、一対の脚部38の間に、座面40から左右方向中央に向かってそれぞれ斜めに湾曲状に立ち上がり、さらに水平方向に接続された輪郭41を有する。前部24において一対の脚部38で囲まれた領域が、排出口36である。一対の脚部38は、本体20の側面18に沿って後方へ延びている(
図1)。脚部38の座面40の左右方向の長さL3は、排水レールの溝の幅より短い。排出口36の上縁の高さは、第1貫通穴32に挿入されたドレンホースの先端の高さ以上であるのが好ましい。ドレンホース接続具10は、排出口36の上縁の高さが上記の高さであることによって、ドレンホースから流入したドレン水をよりスムーズに排出することができる。
【0017】
図3に示すように、本体20は、後面16の下端に、排水レールの表面と相補的な形状を有する。
図3に示す後面16の下端は、凹凸形状を有する。すなわち、本体20は、後面16の下端に、下方に突出した複数の凸部42と、複数の凸部42間にそれぞれ形成された上方へ窪んだ複数の凹部44とを有する。凸部42の高さ、すなわち凸部42の下端から凹部44の上端までの長さは、排水レールの凸条の長さと略同じである。
図3の凸部42は2個、凹部44は3個である例を示したが、本発明はこれに限らず、排水レールの表面に合わせて適宜変更することができる。
【0018】
図4に示すように、本体20は、上部22が比較的厚肉であって、前部24及び後部26は上部22に比べ薄肉である。本体20は、内部に、第1貫通穴32と第2貫通穴34と排出口36を繋ぐ内部空間46を有する。本体20は、前方側の下端が開放されている。第1貫通穴32及び第2貫通穴34は、それぞれ中心軸L1,L2に沿った円筒状の内面48,50を有する。第1貫通穴32及び第2貫通穴34における、後方側の内面48,50の中心軸方向の長さL5,L6は、それぞれ直径に対し50%以上であるのが好ましい。第1貫通穴32及び第2貫通穴34の中心軸L1,L2は、互いに平行でもよく、上下方向に平行であってもよいし、上下方向に対し傾いていてもよい。
図4に示す第1貫通穴32及び第2貫通穴34は、下方へ向かって前方へ傾斜している。
【0019】
本体20は、第1貫通穴32の後方側の下端に、ホース停止部としての第1ホース停止部52を有する。第1ホース停止部52は、第1貫通穴32の下端の後方側の内面に設けられ、前方へ突出した突起である。第1ホース停止部52の高さ方向の位置は、排出口36の下縁、すなわち一対の脚部38の座面40と前面14が交差する位置39より高い位置である。第1ホース停止部52は、第1貫通穴32に挿入されたドレンホースの先端の後端部分が接触することによって、当該ドレンホースの先端の後端部分を排出口36の下縁より高い位置に保持する。本体20は、第1貫通穴32の第1ホース停止部52と対向する前方に、内部空間46へ通じる第1流入口54を有する。
【0020】
第1ホース停止部52は、第1貫通穴32の後方側の内面48から前方へ突出した導水面としての第1導水面56を有してもよい。第1導水面56は、後側から左右両側へ延びる範囲が第1貫通穴32の下端縁と連続して一体に形成されていると共に、前側が第1流入口54に接続されている。第1導水面56は、前後方向及び左右方向に平行な平面でもよい。
図4に示す第1導水面56は、前方へ向かって下方へ傾いた傾斜面である。
【0021】
第1導水面56は、第1貫通穴32に挿入されたドレンホースの先端の内面より内側で終端していてもよい。第1導水面56の先端56Aは、
図4に示すように、第1貫通穴32の中心と第1貫通穴32に挿入されたドレンホースの先端の内面との間で終端している。ここでドレンホースの先端の内面は、先端の前方側の端部の内面である。
【0022】
本体20は、第1導水面56と反対側に、底面58を有する。底面58は、後面16の下端の凸部42及び凹部44から続く、凸条42A及び溝44Aを有する。凸条42A及び溝44Aは、底面58全体にわたって前後方向に延びている。すなわち凸条42A及び溝44Aは底面58の、本体20の後面16と底面58とが交差する縁から第1ホース停止部52の先端52Aまでの範囲に設けられている。底面58の前後方向の長さは、少なくとも後部24から第1貫通穴32の中心軸L1までの長さを有する。
【0023】
本体20は、第1貫通穴32と第2貫通穴34の間に間隔保持部60を有する。間隔保持部60は上端が本体20の上面12であって下端が本体20の内部空間46に面している。間隔保持部60の厚みは、第2貫通穴34の後方側の内面50の中心軸L2方向の長さL6、又は第1貫通穴32の前方側の内面48の中心軸L1方向の長さと同じでもよい。
【0024】
本体20は、第2貫通穴34の後方側の下端に、ホース停止部としての第2ホース停止部62を有する。第2ホース停止部62は、第2貫通穴34の下端の後方側の内面に設けられ、前方へ突出した突起である。第2ホース停止部62の高さ方向の位置は、排出口36の下縁、すなわち一対の脚部38の座面40と前面14が交差する位置39より高い位置である。第2ホース停止部62は、第1ホース停止部52より高い位置に設けられているのが好ましい。第2ホース停止部62は、第2貫通穴34に挿入されたドレンホースの先端の後端部分が接触することによって、当該ドレンホースの後端部分を排出口36の下縁より高く、好ましくは第1貫通穴32に挿入されたドレンホースの先端より高い位置に保持する。本体20は、第2貫通穴34の第2ホース停止部62と対向する前方に、内部空間46へ通じる第2流入口64を有する。
【0025】
第2ホース停止部62は、第2貫通穴34の後方側の内面50から前方へ突出した導水面としての第2導水面66を有してもよい。第2導水面66は、後側から左右両側へ延びる範囲が第2貫通穴34の下端縁と一体に形成されていると共に、前側が第2流入口64に接続されている。第2導水面66は、前後方向及び左右方向に平行な面でもよい。
図4に示す第2導水面66は、前方へ向かって下方へ傾いた傾斜面である。
【0026】
第2導水面66は、第2貫通穴34に挿入されたドレンホースの先端の内面より内側で終端していてもよい。第2導水面66の前側の先端66Aは、第2貫通穴34の中心軸L2より後側で終端している。
【0027】
本体20の内部空間46は、上方が間隔保持部60、左右方向が一対の側部28、後方が後部26、前方が前部24によって区画されている。内部空間46は、第1流入口54を介して第1貫通穴32に通じており、第2流入口64を通じて第2貫通穴34に通じている。本体20は、内部空間46の下端に、一対の側部28と、第1ホース停止部52の先端とで囲まれた開口68を有する。内部空間46は、下方の開口68を通じて排水レール表面に通じる。内部空間46及び開口68は、排出口36を介して外部に通じている。
【0028】
本体20の前部24及び後部26は、第1貫通穴32及び第2貫通穴34の中心軸L1,L2と平行であってもよいし、中心軸L1,L2に対し傾いていてもよい。
図4に示す本体20の前部24及び後部26は、第1貫通穴32及び第2貫通穴34の中心軸L1,L2と平行であり、下方へ向かって前方へ傾斜している。
【0029】
次に、本実施形態に係るドレンホース接続具10の作用及び効果を説明する。ドレンホース接続具10は、
図5に示すように、排水レール70上に設置される。排水レール70は、住居の外壁72側から床材74の前縁へ向かう方向を長手方向とし、床材74の表面に接合されている。床材74が合成樹脂製である場合、排水レール70は、熱溶接によって床材74表面に接合されているのが好ましい。排水レール70は、床材74と同様の合成樹脂、例えばPVC樹脂である場合、床材74との接着性に優れるので、好ましい。床材74は、住居の外壁72側から前縁に向かって1/100~1/50程度の水勾配が形成されている。排水レール70は、表面に、住居の外壁72側から前縁に向かう方向に延びる複数の凸条76を有する。凸条76の間にはそれぞれ複数の溝78が形成されている。
【0030】
ドレンホース接続具10は、第1貫通穴32を住居の外壁72側、第2貫通穴34を前縁側に配置した状態で、ドレンホース接続具10の一対の脚部38及び凸条42Aが、それぞれ排水レール70の溝78に嵌まり込んでいる。ドレンホース接続具10の複数の溝44Aに、排水レール70の凸条76が嵌まり込んでいる。したがって、ドレンホース接続具10は、
図6に示すように、底面58及び座面38が排水レール70表面に接した状態で、排水レール70上に設置される。ドレンホース接続具10は、接着剤によって排水レール70の表面に接合されていてもよい。接着剤は、一対の脚部38の座面40、及び凸条42Aと溝44Aを含む底面58に接着剤を塗布してもよい。上記接着剤としては、ドレンホース接続具10と排水レール70とを接着することができるものであれば特に限定されないが、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、尿素樹脂系接着剤、シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤及び、ゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤が挙げられる。ドレンホース接続具10と排水レール70との間に隙間が生じる場合は、ドレンホース接続具10の底面58に接着剤を多めに塗布し、溝44Aを埋める充填剤として使用してもよい。
【0031】
ドレンホース接続具10の第1貫通穴32にドレンホース80が挿入され、第2貫通穴34にドレンホース81が挿入される。ドレンホース80,81は、適度な柔軟性を有することが好ましく、例えば、PVC樹脂などの合成樹脂、ゴムなどでチューブ状に形成された成形品である。ドレンホース80は、金属製でもよい。
【0032】
図6に示すように、第1貫通穴32に挿入されたドレンホース80の先端80Aは、先端80Aの後側が、第1ホース停止部52に接触する位置まで差し込まれる。ドレンホース80は、第1貫通穴32の内面48によって姿勢が保持される。すなわちドレンホース80は、第1貫通穴32に挿入された範囲内において、中心軸が、第1貫通穴32の中心軸L1と略同じ方向に保持される。
【0033】
同様に、第2貫通穴34に挿入されたドレンホース81の先端81Aは、先端81Aの後側が、第2ホース停止部62に接触する位置まで差し込まれる。ドレンホース81は、第2貫通穴34の内面50によって姿勢が保持される。すなわちドレンホース81は、第2貫通穴34に挿入された範囲内において、中心軸が、第2貫通穴34の中心軸L2と略同じ方向に保持される。以下、第1貫通穴32に挿入されるドレンホース80と、第2貫通穴34に挿入されるドレンホース81を区別しない場合、ドレンホース80と称する。
【0034】
ドレンホース接続具10に接続されるドレンホース80が1本の場合、当該ドレンホース80は第1貫通穴32及び第2貫通穴34の一方に挿入され、他方の貫通穴は、埃や土砂などが本体20内へ入り込むことを防ぐため、図示しない着脱可能な蓋で閉塞されるのが好ましい。
【0035】
上記のように排水レール70上に設置されたドレンホース接続具10にドレンホース80を通じてドレン水が流入する。第1貫通穴32に挿入されたドレンホース80の先端80Aから流れ出たドレン水は、第1導水面56に接触する。第1導水面56は、後側から左右両側に延びる範囲が第1貫通穴32の下端縁と連続して一体に形成されているので、ドレン水は、前方の第1流入口54に向かって第1導水面56上を前方へ流れる。第1導水面56の先端に到達したドレン水は、第1流入口54を通じて内部空間46へ流れ込む。内部空間46は下方に排水レール70に通じる開口68を有しているので、内部空間46へ流れ込んだドレン水は、前方への勢いを維持しながら、排水レール70上に流れ落ちる。ドレン水は、排水レール70上を排出口36へ向かって流れる。
【0036】
第2貫通穴34に挿入されたドレンホース81の先端81Aから流れ出たドレン水は、第2導水面66によって前方へ方向づけられ第2流入口64を通じて内部空間46へ流れ込む。内部空間46においてドレン水は、第1流入口54から流れ込んだドレン水と合流し、排出口36から本体20の外部へ排出される。ドレンホース接続具10から排出されたドレン水は、床材74の水勾配によって排水レール70上を前縁側に向かって流れ、床材74に形成された図示しない凹溝に排出される。
【0037】
本実施形態に係るドレンホース接続具10は、ドレンホース80,81の先端80A,81Aを排出口36の下縁より高い位置に保持し、流路を形成する。これによりドレンホース80,81から流出したドレン水は、ドレンホース接続具10内へスムーズに流入する。ドレンホース接続具10内に流入したドレン水は、開口68を通じて排水レール70上へ移動し、当該排水レール70上を流れ、排出口36を通じてドレンホース接続具10から排出される。
【0038】
すなわち、第1及び第2ホース停止部52,62が、ドレンホース80,81の先端80A,81Aの後側を排出口36の下縁より高い位置に保持することによって、ドレンホース80,81を流通してきたドレン水の流量が多い場合であっても、ドレン水はドレンホース80,81からスムーズに本体20内へ流入し、排水レール70へ移動する。さらに、ドレン水の流量が少ない場合、ドレン水は主にドレンホース80,81の後側先端から本体20内に流れ込むので、ドレンホース80,81の先端の後側が排出口36の下縁より高い位置にあることによって、ドレンホース80,81内にドレン水が滞留することを抑制できる。したがって、ドレンホース接続具10は、ドレンホース80,81から供給されたドレン水をよりスムーズに排出することができるので、排水性能に優れる。
【0039】
本実施形態に係る第1及び第2ホース停止部52,62は、貫通穴30の後方側の内面から前方へ向かって突出した第1及び第2導水面56,66を有する。ドレンホース80から流出したドレン水は、第1及び第2導水面56,66に接し、第1及び第2導水面56,66に沿って前側へ移動する。すなわちドレンホース接続具10は、ドレン水を前側へ移動させてから、開口68を通じて排水レール70上へドレン水を移動させる。したがって第1及び第2ホース停止部52,62が、それぞれ第1及び第2導水面56,66を有することによって、ドレンホース80,81を流通してきたドレン水の流量が多い場合であっても、ドレン水を、後部26からより離れた、より排出口36に近い位置まで移動させてから排水レール70上に落下させるので、後部26の後側へドレン水が漏れることを抑制することができる。したがって、ドレンホース接続具10は、排水性能に優れる。
【0040】
本実施形態に係るドレンホース接続具10は、第1及び第2導水面56,66が排出口36へ向かって下方へ傾斜している場合、ドレンホース80,81から流入したドレン水は、第1及び第2導水面56,66に沿って排出口36へ向けてよりスムーズに移動して開口68を通じて排水レール70上へ移動する。したがって、ドレンホース80,81を流通してきたドレン水の流量が多い場合であっても、第1及び第2導水面56,66が排出口36へ向かって下方へ傾斜していることによって、後部26の後側へドレン水が漏れることをより抑制することができる。
【0041】
本実施形態に係るドレンホース接続具10は、第1及び第2導水面56,66の先端56A,66Aが貫通穴30に挿入されたドレンホース80,81の先端80A,81Aの内面より内側で終端しているので、貫通穴30に差し込まれたドレンホース80,81の先端80A,81Aが第1及び第2導水面56,66によって閉塞されることを防ぐことができる。
【0042】
ドレンホースの先端は、理想的にはドレンホースの中心軸に直交するように切断されるのが好ましいが、必ずしもそのように切断されるとは限らない。例えば、結果として傾いた形状に切断され、貫通穴に挿入されたときに、意図せず、ドレンホースの先端の一部が導水面と一致し、先端の一部が導水面に密着してしまうことが考えられる。
【0043】
本実施形態に係るドレンホース接続具10は、第1及び第2導水面56,66の先端56A,66Aが貫通穴30に挿入されたドレンホース80,81の先端の内面より内側で終端しているので、仮にドレンホース80,81の先端80A,81Aの一部が第1及び第2導水面56,66と一致した場合であっても、ドレンホース80,81の先端80A,81Aの内面と第1及び第2導水面56,66の先端56A,66Aとの間に、より確実に流路が形成される。当該流路から流出したドレン水は、第1及び第2導水面56,66に接することなく直接、内部空間46へ流れ込む。したがって、ドレンホース80を流通してきたドレン水の流量が多い場合であっても、ドレンホース80,81が閉塞されることを防ぐことができるので、ドレンホース接続具10は、排水性能に優れる。
【0044】
本実施形態に係る貫通穴30は、後側に配置された第1貫通穴32と、第1貫通穴32に対し前側に配置された第2貫通穴34と、を有する。ドレンホース接続具10は、2本のドレンホース80,81を挿入することができ、それぞれのドレンホース80,81を流通してきたドレン水をよりスムーズに排出することができる。
【0045】
本実施形態に係る第1貫通穴32の第1導水面56の先端56Aは、第1貫通穴32の中心と第1貫通穴32に挿入されたドレンホース80の先端80Aの内面との間で終端している。ドレンホース80から流出したドレン水は、第1導水面56に接触し、第1貫通穴32の中心より前側まで第1導水面56上を移動するので、後部26からより離れ、より排出口36へ近い位置までドレン水を導くことができる。第1導水面56は、ドレンホース80の先端80Aの内面より内側で終端しているので、第1貫通穴32に差し込まれたドレンホース80の先端80Aが第1導水面56によって閉塞されることを防ぐことができる。したがって、ドレンホース接続具10は、排水性能に優れる。
【0046】
本実施形態に係る第2貫通穴34に設けられた第2ホース停止部62は、第1貫通穴32に設けられた第1ホース停止部52よりも高い位置に設けられている。第1ホース停止部52に対し第2貫通穴34の第2ホース停止部62が、より高い、上方の位置に配置されているので、第2貫通穴34に挿入されたドレンホース81が、第1貫通穴32に挿入されたドレンホース80から流出したドレン水の流れを邪魔しない。したがって、ドレンホース接続具10は、ドレン水を円滑に内部空間46から排出口36へ導くことができるので、排水性能に優れる。
【0047】
排出口の上縁の高さが、第1貫通穴32に挿入されたドレンホース80の先端より高い場合、前部24が内部空間46を通じて排出口36から排出されるドレン水を妨げることを抑制できる。したがって、ドレンホース接続具10は、ドレンホース80から流入したドレン水をよりスムーズに排出することができる。
【0048】
本実施形態に係る底面58が、排水レール70表面と相補的な凹凸形状からなり、底面58全体に亘って延びる凸条42A及び溝44Aを有することによって、底面58が排水レール70上に前後方向の所定の範囲で密着し得る。内部空間46から排水レール70表面に供給されたドレン水は、前方へ向かって排出口へ流れるが、仮に一部のドレン水が後方へ向かったとしても、底面58が少なくとも後部24から第1貫通穴32の中心軸L1までの範囲で排水レール70表面と密着しているので、後部26より後側へドレン水が漏れることを抑制することができる。したがって、ドレンホース接続具10は、ドレンホース80を流通してきたドレン水の流量が多い場合であっても、ドレン水が漏れることを抑制することができるので、排水性能に優れる。
【0049】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨の範囲内で適宜変更することができる。
【0050】
例えば、上記実施形態の場合、ドレンホース接続具10は、第1貫通穴32及び第2貫通穴34を有する場合について説明したが、第1貫通穴32のみでもよい。
【0051】
本体20の上面12は、前方へ向かって上方へ傾斜している場合について説明したが、本発明はこれに限らない。本体の上面は、水平であってもよいし、前方向かって下方へ傾斜していてもよい。
【0052】
上記実施形態の場合、第1貫通穴32及び第2貫通穴34の中心軸L1,L2は、下方へ向かって前方へ傾斜していている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。第1貫通穴及び第2貫通穴の中心軸は、上下方向に平行でもよいし、下方向かって後方へ傾斜していてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 ドレンホース接続具
12 上面
14 前面
16 後面
20 本体
30 貫通穴
32 第1貫通穴
34 第2貫通穴
36 排出口
42 凸部
42A 凸条
44 凹部
44A 溝
46 内部空間
48 内面
50 内面
52 第1ホース停止部
54 第1流入口
56 第1導水面
58 底面
62 第2ホース停止部
64 第2流入口
66 第2導水面
68 開口
70 排水レール
74 床材
76 凸条
78 溝
80,81 ドレンホース
80A,81A 先端