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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023013026
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】ヒモ留め具及びヒモ留め方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 45/00 20060101AFI20230119BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20230119BHJP
   E04G 5/00 20060101ALI20230119BHJP
   F16G 11/14 20060101ALI20230119BHJP
【FI】
F16B45/00 F
E04G21/32 B
E04G5/00 301D
E04G5/00 301E
F16G11/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021116909
(22)【出願日】2021-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】504082025
【氏名又は名称】株式会社イング
(71)【出願人】
【識別番号】591083772
【氏名又は名称】株式会社永木精機
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】綾部 修平
(72)【発明者】
【氏名】岡本 航介
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038AA01
3J038BA01
3J038BA17
(57)【要約】
【課題】ヒモによる固定/固定解除を簡単な作業で行う。
【解決手段】ヒモ留め具10は、被固定部1と、基部2と、第1掛け部6と、第2掛け部7と、を備える。被固定部1は、別の部材に固定することが可能である。基部2は、被固定部1から延びる。第1掛け部6は、基部2から分岐して延び、ヒモを掛けることが可能である。第2掛け部7は、第1掛け部6とは反対側へ基部2から分岐して延び、ヒモを掛けることが可能である。第1掛け部6には、基部2から離れるのに従って被固定部1側に近づくように傾斜した、掛けられたヒモを案内する第1ガイド面6aが形成されている。第2掛け部7には、基部2から離れるのに従って被固定部1側に近づくように傾斜した、掛けられたヒモを案内する第2ガイド面7aが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
別の部材に固定することが可能な被固定部と、
前記被固定部から延びる基部と、
前記基部から分岐して延び、ヒモを掛けることが可能な第1掛け部と、
前記第1掛け部とは反対側へ前記基部から分岐して延び、ヒモを掛けることが可能な第2掛け部と、
を備え、
前記第1掛け部には、前記基部から離れるのに従って前記被固定部側に近づくように傾斜した、掛けられたヒモを案内する第1ガイド面が形成されており、
前記第2掛け部には、前記基部から離れるのに従って前記被固定部側に近づくように傾斜した、掛けられたヒモを案内する第2ガイド面が形成されていることを特徴とするヒモ留め具。
【請求項2】
請求項1に記載のヒモ留め具であって、
前記第2ガイド面よりも前記被固定部から遠い側に、細長い凹部が形成され、
前記凹部の長手方向は、前記第1掛け部及び前記第2掛け部が並ぶ方向と実質的に平行であり、
前記凹部の長手方向のうち、前記第1掛け部から遠い側の端部が開放されることを特徴とするヒモ留め具。
【請求項3】
請求項2に記載のヒモ留め具であって、
前記凹部において開放端の近傍に抜止め部が形成されていることを特徴とするヒモ留め具。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載のヒモ留め具であって、
前記被固定部に貫通状の固定孔が形成されていることを特徴とするヒモ留め具。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載のヒモ留め具であって、
前記被固定部に対するヒモの固定場所が、前記基部の中心に対して、前記第2掛け部から遠い側へ偏って位置することを特徴とするヒモ留め具。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載のヒモ留め具であって、
足場の防護シートを固定するヒモに用いられることを特徴とするヒモ留め具。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載のヒモ留め具を用いたヒモ留め方法であって、
前記第1掛け部にヒモを掛ける第1工程と、
前記第1掛け部に掛けられたヒモの先端を、前記基部に概ね沿う向きで、前記被固定部から遠ざかる向きに引っ張る第2工程と、
前記第2掛け部にヒモを掛ける第3工程と、
を含むことを特徴とするヒモ留め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒモを着脱可能に留めるためのヒモ留め具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば建設工事現場において、建物を囲むように足場が仮設されることがある。多くの場合、この足場の外面には、作業床及び建物からの物体の落下対策のため、また、塗料の周囲への飛散等を防止するため、防護シートが立面状に設けられる。
【0003】
防護シートは広面積で外部環境と接しているため、強風にあおられ、足場崩壊等の原因になることがある。従って、台風等による強風が防護シートに作用する前に、防護シートによって足場の周囲が覆われない状態とし、強風が収まった後に防護シートを復旧する必要がある。
【0004】
特許文献1には、シートの左右端部際の縦方向にたとえば300mピッチで穿設されたリングに紐を通し、この紐を足場の縦材(単管足場の場合には縦単管、枠組足場の場合には枠組縦材)に括り付けることで横方向を固定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-117912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されているような、単にヒモで結ぶ方法では、ヒモを結ぶ/解くのに手間が掛かっていた。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、ヒモによる固定/固定解除を簡単な作業で行うことが可能なヒモ留め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成のヒモ留め具が提供される。即ち、ヒモ留め具は、被固定部と、基部と、第1掛け部と、第2掛け部と、を備える。前記被固定部は、別の部材に固定することが可能である。前記基部は、前記被固定部から延びる。前記第1掛け部は、前記基部から分岐して延び、ヒモを掛けることが可能である。前記第2掛け部は、前記第1掛け部とは反対側へ前記基部から分岐して延び、ヒモを掛けることが可能である。前記第1掛け部には、前記基部から離れるのに従って前記被固定部側に近づくように傾斜した、掛けられたヒモを案内する第1ガイド面が形成されている。前記第2掛け部には、前記基部から離れるのに従って前記被固定部側に近づくように傾斜した、掛けられたヒモを案内する第2ガイド面が形成されている。
【0010】
これにより、ヒモを第1掛け部及び第2掛け部に掛けることにより、基部が延びる向きに沿うヒモの引張りに対して一定の強度を確保しながら、ヒモをヒモ留め具に固定することができる。従って、ヒモの付け外し手間を少なくすることができる。また、第1ガイド面及び第2ガイド面の傾斜により、掛けられたヒモがヒモ留め具から外れにくくすることができる。
【0011】
前記のヒモ留め具においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2ガイド面よりも前記被固定部から遠い側に、細長い凹部が形成される。前記凹部の長手方向は、前記第1掛け部及び前記第2掛け部が並ぶ方向と実質的に平行である。前記凹部の長手方向のうち、前記第1掛け部から遠い側の端部が開放される。
【0012】
これにより、凹部にヒモを入れた状態で、かつ、第1掛け部にヒモを掛けた状態で、ヒモを引っ張って弛みを容易に除去することができる。また、このようにヒモを引っ張った後に第2掛け部に掛けるためのヒモの取回しが容易になる。
【0013】
前記のヒモ留め具においては、前記凹部において開放端の近傍に抜止め部が形成されていることが好ましい。
【0014】
これにより、凹部からヒモが抜けにくくすることができる。
【0015】
前記のヒモ留め具においては、前記被固定部に貫通状の固定孔が形成されていることが好ましい。
【0016】
これにより、ヒモ留め具に別の部材を固定するための簡素な構成を実現できる。
【0017】
前記のヒモ留め具においては、前記被固定部に対するヒモの固定場所が、前記基部の中心に対して、前記第2掛け部から遠い側へ偏って位置することが好ましい。
【0018】
これにより、第1掛け部に掛けられた状態でヒモを引っ張った場合に、引張り力を被固定部によって良好に受けることができる。
【0019】
前記のヒモ留め具においては、仮設足場の防護シートを固定するヒモに用いられることが好ましい。
【0020】
これにより、防護シートの強風対策のために固定を解除したり、再び固定する作業を容易に行うことができる。
【0021】
本発明の第2の観点によれば、上記のヒモ留め具を用いた、以下のようなヒモ留め方法が提供される。即ち、このヒモ留め方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、を含む。前記第1工程では、前記第1掛け部にヒモを掛ける。前記第2工程では、前記第1掛け部に掛けられたヒモの先端を、前記基部に概ね沿う向きで、前記被固定部から遠ざかる向きに引っ張る。前記第3工程では、前記第2掛け部にヒモを掛ける。
【0022】
これにより、第2工程でのヒモの引張りにより、ヒモの弛みを容易に除去することができる。従って、ヒモによる強力な固定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るヒモ留め具の全体的な構成を示す斜視図。
図2】ヒモをヒモ留め具のフック部に掛けた状態を示す斜視図。
図3】ヒモを第1掛け部に掛けた状態を示す斜視図。
図4】ヒモを第2掛け部側へ移動させた状態を示す斜視図。
図5】ヒモを第2掛け部及び第1掛け部に掛けた状態を示す斜視図。
図6】ヒモをフック部に掛けた状態を示す斜視図。
図7】仮設された足場において、防護シートを閉じた状態を示す正面図。
図8】防護シートを開いた状態を示す正面図。
図9】防護シートを足場の縦材に固定する固定箇所を拡大して示す斜視図。
図10】変形例のヒモ留め具を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るヒモ留め具10の全体的な構成を示す斜視図である。
【0025】
図1に示すヒモ留め具10は、ヒモ11を掛けて固定することができる器具である。
【0026】
ヒモ留め具10は、被固定部1と、基部2と、第1掛け部6と、第2掛け部7と、フック部8と、を備える。
【0027】
被固定部1には、ヒモ留め具10とは異なる部材を固定することができる。本実施形態において、被固定部1は、円形のリング状に形成されている。被固定部1の中心には、円形の固定孔1aが貫通状に形成されている。
【0028】
本実施形態において、被固定部1に固定される部材は、後述のヒモ11である。言い換えれば、1つのヒモ11が、被固定部1に固定されると同時に、基部2、第1掛け部6、第2掛け部7及びフック部8の部分にも固定される。ただし、ヒモ11と異なる部材が被固定部1に固定されても良い。
【0029】
基部2は、被固定部1に連続するように形成されている。基部2は、被固定部1から細長く延びるように構成されている。被固定部1から基部2が延びた先端部分には、第1掛け部6及び第2掛け部7が、概ねT字状に分岐するように配置されている。基部2の周囲には、ヒモ11を、少なくとも半周以上巻き付けることができる。
【0030】
第1掛け部6は、基部2の先端から分岐して延びるように構成されている。第1掛け部6は細長く形成されている。第1掛け部6が延びる方向は、基部2の長手方向に対して、垂直、又は、垂直より小さい角度をなしている。
【0031】
第1掛け部6には、第1ガイド面6aが形成されている。第1ガイド面6aは、基部2から離れるのに従って被固定部1に近づくように傾斜している。
【0032】
第2掛け部7は、基部2の先端から分岐して延びるように構成されている。第2掛け部7は細長く形成されている。第2掛け部7が延びる方向は、基部2の長手方向に対して、垂直、又は、垂直より小さい角度をなしている。
【0033】
第2掛け部7には、第2ガイド面7aが形成されている。第2ガイド面7aは第1ガイド面6aと同様に、基部2から離れるのに従って被固定部1に近づくように傾斜している。
【0034】
第1掛け部6及び第2掛け部7に跨るように、フック部8が形成されている。フック部8には、細長いフック溝(凹部)8aが形成されている。フック溝8aは、第2ガイド面7aよりも被固定部1から遠い側に配置されている。フック溝8aには、後述のヒモ11を掛けた状態で保持することができる。
【0035】
フック溝8aの長手方向は、第1掛け部6及び第2掛け部7が並ぶ方向に概ね沿うように配置されている。フック溝8aの長手方向のうち、第1掛け部6から遠い側の端部が開放されている。
【0036】
フック溝8aのうち開放端の近傍には、傾斜状の突起(抜止め部)8bが形成されている。この突起8bにより、ヒモ11がフック溝8aから抜けにくくすることができる。フック溝8aの開放端の周囲には、傾斜状のガイド面8c,8dが形成されている。ガイド面8c,8dによってヒモ11がフック溝8aの開放端に導かれるので、ヒモ11を外部からフック溝8aに容易に入れることができる。
【0037】
次に、ヒモ留め具10の第1掛け部6及び第2掛け部7等に対してヒモ11を固定する方法の例を、図2から図6までを参照して説明する。以下の説明では、図2から図6までのヒモ留め具10に関し、図面における手前側を表側と呼び、奥側を裏側と呼ぶことがある。
【0038】
図2には、被固定部1にヒモ11の端部を固定した状態のヒモ留め具10が示されている。ヒモ11としては任意のものを使用できるが、本実施形態では、ポリエチレン製のヒモが用いられている。
【0039】
最初に、作業者は図2の右側に示すように、このヒモ11の別の端部を、フック部8のフック溝8aに掛けて、裏側から表側へ通す。
【0040】
次に、作業者は図2の太線矢印で示すように、フック溝8aを通過した表側の部分を、第1掛け部6に掛けるようにして第1掛け部6の裏側へ通し、被固定部1から遠ざかる向きに引っ張る。こうして図3の状態になる。
【0041】
次に、作業者は図3の太線矢印で示すように、ヒモ11の端部を、ヒモ留め具10の裏側で、フック溝8aに通すためにフック溝8aに導かれているヒモ11に交差させる。更に、ヒモ11の端部を、第2掛け部7の裏側を通すようにして被固定部1側に引っ張る。こうして図4の状態になる。
【0042】
次に、作業者は図4の太線矢印で示すように、ヒモ11の端部を、基部2の表側、第1掛け部6の裏側の順に通過させる。この結果、ヒモ11は、第2掛け部7に掛けられ、基部2に半周程度巻き付けられた後、第1掛け部6に掛けられる。こうして図5の状態になる。
【0043】
最後に、図5の太線矢印で示すように、ヒモ11の端部を再びフック部8のフック溝8aに掛けて、裏側から表側へ通す。
【0044】
以上により、図6に示す、ヒモ11がヒモ留め具10に強固に固定された状態が実現される。ヒモ11をヒモ留め具10から取り外すには、上述の手順を逆に行えば良い。
【0045】
図3の状態では、ヒモ11が、ヒモ留め具10のフック部8と、第1掛け部6と、の両方に掛けられている。作業者は図2から図6までの全工程を、ヒモ11の先端を引っ張りながら行うが、特に図3の状態でヒモ11の先端を矢印P方向に引っ張ることにより、ヒモ11の全体に生じている弛みを効果的に除去することができる。このとき、第1掛け部6に掛けられているヒモ11は、上述した第1ガイド面6aの傾斜によって、基部2に近づくように案内される。従って、上記のようにヒモ11を矢印Pの方向に引っ張る過程で、ヒモ11が第1掛け部6から外れることはない。
【0046】
図1に示すように、被固定部1は、基部2の中心2cに対して、第2掛け部7から遠い側(第1掛け部6に近い側)へ偏って配置されている。従って、図3のように第1掛け部6にヒモ11を掛けて引っ張ったときに、ヒモ留め具10の姿勢をあまり変化させることなく、その引張力を被固定部1によって受け止めることが容易である。従って、第1ガイド面6aの案内作用を確実に働かせることができる。従って、図3の状態で第1掛け部6からヒモ11が外れにくい構成となっている。
【0047】
図4には、ヒモ11が、第2掛け部7に掛けられる直前の状態が示されている。上述した第2ガイド面7aの傾斜によって、図5に示すように、ヒモ11を基部2に近い部分に案内しながら第2掛け部7に掛けることができる。このように、第2掛け部7の傾斜によって、ヒモ11が第2掛け部7から外れにくくなっている。また、第2掛け部7の近傍においてヒモ11に弛みが生じにくいので、強固な固定を実現できる。
【0048】
次に、ヒモ留め具10の用途の一例について説明する。
【0049】
図7には、建物20に近接するように仮設された足場21が示されている。この足場21はいわゆる単管足場であるが、足場の構成は任意である。図7及び図8は、建物の外側から足場21を見た様子である。図面での表現の都合上、図7及び図8において建物20及び足場21は鎖線で示されている。
【0050】
足場21の上縁部において、吊りロープ(開閉ガイド部材)22が水平方向に張られている。吊りロープ22は、足場21の幅全体にわたって設けられている。この吊りロープ22には、後述の防護シート25,26をカーテンのように吊り下げて支持することができる。防護シート25,26の重量が作用しても弛んで垂下しないように、吊りロープ22には十分に強い張力が加えられることが好ましい。吊りロープ22を強く張るための構成は任意であるが、例えば、吊りロープ22をベルト荷締め機に連結して引っ張る構成とすることができる。
【0051】
防護シート25,26は、足場21を構成する縦材のうち幅方向中央付近に位置する縦材21aを境にして、2つ設けられている。防護シート25,26は、それぞれ矩形である。防護シート25,26の構成は任意であるが、例えばメッシュシートとして構成することができる。防護シート25,26のそれぞれは、1つのシートから構成されても良いし、2つ以上のシートを垂直方向又は水平方向に繋ぎ合わせて構成されても良い。
【0052】
図7においては省略されているが、矩形状の防護シート25,26の各辺に相当する部分には、適宜の間隔で貫通孔が形成されている。防護シート25,26の上端部に位置する貫通孔にはリンク部材23が固定され、このリンク部材23が吊りロープ22に取り付けられている。リンク部材23は、適宜の間隔をあけて、防護シート25,26に対して複数設けられている。
【0053】
それぞれのリンク部材23は、吊りロープ22に対してスライド移動可能である。従って、縦材21aの位置から防護シート25,26を互いに離れる方向に移動させて、図8に示すように防護シート25,26を開くことができる。
【0054】
リンク部材23の構成は任意である。例えば、滑車が設けられた部材をリンク部材23として使用し、滑車が吊りロープ22の上に乗るように取り付けることができる。また、例えば、リンク部材23として、公知の結束バンドを用いることができる。結束バンドのループに十分な遊びを持たせておくことにより、吊りロープ22に対して結束バンドが滑って移動することができる。
【0055】
ヒモ11及びヒモ留め具10は、図7のように防護シート25,26を閉じた状態で、例えば符号Aに示す部分で、防護シート25,26同士を水平方向に繋いで固定するために用いることができる。
【0056】
固定箇所Aの拡大図が、図9に示されている。図9は、図7とは異なり、防護シート25,26を内側から見た様子を示している。図9を参照して、2つの防護シート25,26の両方を縦材21aに固定する作業を説明する。
【0057】
予め、作業者は、ヒモ11の一端を、ヒモ留め具10の被固定部1に固定しておく。被固定部1へヒモ11を結び付ける方法は任意である。
【0058】
図9に示すように、作業者は、ヒモ11の中途部を防護シート25の貫通孔25aに予め結んで固定する。作業者は、防護シート25に固定されたヒモ11のうち、ヒモ留め具10(被固定部1)が固定された側の端部を、反対側の防護シート26の側に引き出して、縦材21aの周りを周回させる。
【0059】
次に、作業者は、防護シート25に固定されたヒモ11のうち、ヒモ留め具10が固定されていない側の端部を、防護シート26の貫通孔26aに通す。作業者は、貫通孔26aを通過したヒモ11を、反対側の防護シート25の側に引き出して、縦材21aの周りを周回させる。
【0060】
図9には、ヒモ11をヒモ留め具10に掛ける直前の状態が示されている。この状態から、図2から図6までに示した工程を行うことで、防護シート25,26を縦材21aに対してヒモ11により簡便に固定することができる。
【0061】
以上の作業を、図7で2つの防護シート25,26が接する部分において、適宜の間隔で並んで配置された貫通孔25a,26aのそれぞれに対して行う。これにより、各固定箇所Aにおける固定が行われて、図7のように防護シート25,26が閉じた状態を強固に保持することができる。
【0062】
近い将来に強風が予想される場合は、全ての固定箇所Aにおいてヒモ留め具10からヒモ11を外すことで、防護シート25,26を図8のように開くことができる。開く過程で適宜折り畳まれた防護シート25,26は、足場21の幅方向端部に位置する縦材21bに固定される。この固定にあたって、ヒモ留め具10が用いられても良いし、別の方法が用いられても良い。
【0063】
従来は、防護シート25,26は、ヒモ11だけを用いて縦材21aに固定されていた。本実施形態では、ヒモ留め具10を用いることで、図2から図6に示す単純な工程によってヒモ11を固定することができる。従って、例えば作業者が軍手を装着した状態であっても作業が容易であり、利便性が高められている。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態のヒモ留め具10は、被固定部1と、基部2と、第1掛け部6と、第2掛け部7と、を備える。被固定部1は、ヒモ留め具10と異なる部材に固定することが可能である。基部2は、被固定部1から延びる。第1掛け部6は、基部2から分岐して延び、ヒモ11を掛けることが可能である。第2掛け部7は、第1掛け部6とは反対側へ基部2から分岐して延び、ヒモ11を掛けることが可能である。第1掛け部6には、基部2から離れるのに従って被固定部1側に近づくように傾斜した、掛けられたヒモ11を案内する第1ガイド面6aが形成されている。第2掛け部7には、基部2から離れるのに従って被固定部1側に近づくように傾斜した、掛けられたヒモ11を案内する第2ガイド面7aが形成されている。
【0065】
これにより、ヒモ11を第1掛け部6及び第2掛け部7に掛けることにより、基部2に沿う向きでのヒモ11の引張りに対して一定の強度を確保しながら、ヒモ11をヒモ留め具10に固定することができる。従って、ヒモ11の付け外しの手間を少なくすることができる。また、第1ガイド面6a及び第2ガイド面7aに傾斜が付いているので、掛けられたヒモ11がヒモ留め具10から外れにくくすることができる。
【0066】
本実施形態のヒモ留め具10において、第1ガイド面6aよりも被固定部1から遠い側に、細長いフック溝8aが形成される。フック溝8aの長手方向は、第1掛け部6及び第2掛け部7が並ぶ方向と実質的に平行である。フック溝8aの長手方向のうち、第1掛け部6から遠い側の端部が開放される。
【0067】
これにより、フック溝8aにヒモ11を入れた状態で、かつ、第1掛け部6にヒモ11を掛けた状態で、ヒモ11を図3の矢印Pのように引っ張って弛みを除去し易い構成とすることができる。更に、フック溝8aに入ったヒモ11の位置は、フック溝8aにおいて開放端と反対側の端部で安定する。従って、上記のようにヒモ11を引き絞った後に第2掛け部7に掛けるためのヒモ11の取回しが容易になる。
【0068】
本実施形態のヒモ留め具10において、フック溝8aにおいて開放端の近傍に突起8bが形成されている。
【0069】
これにより、フック溝8aからヒモ11が抜けにくくすることができる。
【0070】
本実施形態のヒモ留め具10において、被固定部1に貫通状の固定孔1aが形成されている。
【0071】
これにより、ヒモ留め具10に別の部材(本実施形態では、ヒモ11)を固定するための簡素な構成を実現できる。
【0072】
本実施形態のヒモ留め具10において、被固定部1に対するヒモ11の固定場所(具体的には、固定孔1a)が、基部2の中心2cに対して、第2掛け部7から遠い側へ偏って位置する。
【0073】
これにより、図3のようにヒモ11が第1掛け部6に掛けられた状態で引っ張られたときに、引張り力を被固定部1によって良好に受けることができる。
【0074】
本実施形態のヒモ留め具10は、足場21の防護シート25,26を固定するヒモ11に用いられる。
【0075】
これにより、足場21が防護シート25,26によって覆われない状態/覆われる状態の切換が容易になる。従って、強風対策をより機動的に行うことができる。
【0076】
本実施形態では、ヒモ留め具10を用いて、以下に示す方法でヒモ11の固定が行われている。第1工程では、第1掛け部6にヒモ11を掛ける。第2工程では、第1掛け部6に掛けられたヒモ11の先端を、基部2に概ね沿う向きで、被固定部1から遠ざかる向きに引っ張る。第3工程では、第2掛け部7にヒモ11を掛ける。
【0077】
これにより、第2工程でのヒモ11の引張りにより、ヒモ11の弛みを容易に除去することができる。従って、ヒモ11による強力な固定を容易に行うことができる。
【0078】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。変更は単独で行われても良いし、複数の変更が任意に組み合わせて行われても良い。
【0079】
被固定部1の構成は任意である。例えば、図10の変形例のヒモ留め具10xに示すように、被固定部1が、ヒモ11を固定するために、基部2、第1掛け部6、第2掛け部7及びフック部8に相当する構成を有しても良い。
【0080】
第1ガイド面6a及び第2ガイド面7aは、直線状の斜面とすることに代えて、曲線状(例えば、円弧状)の斜面とすることもできる。
【0081】
ヒモ留め具10において、フック部8を省略することもできる。
【0082】
図3図4の工程を、1回だけでなく複数回繰り返しても良い。
【0083】
防護シート25について、図7の固定箇所Aで示した部分と水平方向反対側の縁部を縦材21bに固定するために、ヒモ11及びヒモ留め具10,10xを用いることができる。防護シート26においても同様である。
【0084】
ヒモ11とヒモ留め具10,10xによる固定は、防護シート25,26の固定以外の用途に用いることもできる。
【符号の説明】
【0085】
1 被固定部
1a 固定孔
2 基部
2c 中心
6 第1掛け部
6a 第1ガイド面
7 第2掛け部
7a 第2ガイド面
8a フック溝(凹部)
8b 突起(抜止め部)
10,10x ヒモ留め具
11 ヒモ
21 足場
25,26 防護シート
図1
図2
図3
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図10