(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130272
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
B65D5/50 A ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034869
(22)【出願日】2022-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】397051139
【氏名又は名称】株式会社サンエコー
(74)【代理人】
【識別番号】100111785
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 英房
(72)【発明者】
【氏名】本橋 敏明
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB04
3E060BA03
3E060BB01
3E060BC02
3E060CC05
3E060CC18
3E060CC19
3E060CG12
3E060DA13
3E060DA14
3E060DA23
3E060EA20
(57)【要約】
【課題】先細の軸形状を有する被包装物を収納する四角筒状の包装容器に対して、従来のプラスチック製の内袋を代替する簡易な係止構造を備えた包装容器及びその板材を提供することである。
【解決手段】四つの側面板で構成される四角筒状の胴部(1)と、この胴部の開口(2)を閉止する蓋部(4)と、を備えた包装容器(B1、B2)であって、前記胴部(1)は、被包装物品が胴部との間のすきまでがたが生じないように被包装物品と接する抑え板をその内部に備え、前記抑え板は、前記胴部の長手方向装入側から奥側に向けて前記胴部の幅方向断面を狭めるように片持ちの状態で前記胴部に接続されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内部に被包装物品を収容するために四つの側面板で構成される四角筒状の胴部(1)と、この胴部の開口(2)を閉止する蓋部(4)と、を備えた包装容器(B1;B2)であって、
前記胴部(1)は、被包装物品が胴部との間のすきまでがたが生じないように被包装物品と接する抑え板(19;20)をその内部に備え、
前記抑え板は、前記胴部の長手方向装入側から奥側に向けて前記胴部の幅方向断面を狭めるように片持ちの状態で前記胴部の内部に接続されていることを特徴とする包装容器(B1、B2)。
【請求項2】
前記抑え板(19;20)は、前記側面板と接して配置される基部(19a;20a)とこの基部からミシン目(r1;r2)を介して延びて立ち上がる本体(19b;20b)を有することを特徴とする請求項1記載の包装容器(B1;B2)。
【請求項3】
前記抑え板(19)は、長手方向奥側端から接続補助板(18)に沿って形成された切欠(d1)を有し、前記切欠はその長手方向装入側でミシン目(r1)に接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器(B1;B2)。
【請求項4】
前記抑え板(20)は、幅方向端から接続補助板(28)に向かって形成された切欠(d2)を有し、その幅方向接続補助板側でミシン目(r2)に接続することを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器(B1;B2)。
【請求項5】
前記本体(19b、20b)は、そのほぼ中央に長手方向に沿って折り線が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の包装容器(B1;B2)。
【請求項6】
一枚紙からなる包装容器の板材(b1;b2)であって、
前記板材(b1;b2)は、
折り線(p)を介して幅方向に連続する第1側面板(14)、第2側面板(15)、第3側面板(16)、第4側面板(17)、接続補助板(18;28)及びミシン目線(q1;q2)を介して接続補助板と連続する抑え板(19;20)を備え、
前記第1側面板(14)と前記第3側面板(16)は、
その端部(3)に板面長手方向に台形状に伸びた突状部(14p、16p)を有し、前記突状部(14p、16p)は前記台形の斜辺を区切る折り線(y2、y1)を介してそれぞれ蓋接続片(J2、J1)と接続され、
前記接続補助板(18;28)は、
その端部(3)に板面長手方向に伸びた突状部(18p)を有し、前記突状部は折り線(y1)を介して蓋接続片(J1)と接続され、
前記第2側面板(15)は、その端部(3)に折り線(z2)を介して延びた内蓋(F2)を有し、
前記第4側面板(17)は、その端部(3)に折り線(z1)を介して延びた外蓋(F1)を有し、
前記内蓋(F2)及び外蓋(F1)は、
それぞれ折り線(p)の延長上に板面長手方向に延びた折り線(x2、x2、x1、x1)を介して隣り合う蓋接続片(J2,J2、J1、J1)と接続されていることを特徴とする包装容器の板材(b1)。
【請求項7】
前記抑え板(19)は、基部(19a)とその基部にミシン目(r1)を介して接続された本体(19b)とを有し、
前記本体(19b)は、その長手方向奥側端に接続補助板(18)に沿って切欠(d1)が形成され、
前記基部(19a)は、その長手方向装入側から奥側に向かってその幅が前記切欠(d1)に至るまで直線的に狭くなるようにミシン目(r1)が形成された包装容器の板材(b1)。
【請求項8】
前記抑え板(20)は、基部(20a)とその基部にミシン目(r2)を介して接続された本体(20b)とを有し、その幅方向端から接続補助板(28)に向かって切欠(d2)が形成され、
前記基部(20a)は、その長手方向装入側から奥側に向かってその切欠(d2)の先端付近から接続補助板(28)のミシン目(q2)に至るまでその幅が狭くなるようにミシン目(r2)が形成され、
前記本体(20b)は、その長手方向奥側に向かってその長手方向端からその中央部までその幅方向中央部に折り線(t)が設けられている包装容器の板材(b2)。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の板材(b1;b2)を各折り線で折り曲げ、所要個所を貼り付けて組立ててなる包装容器(B1;B2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器およびそれを一枚の板材の要所の折曲げと貼着けにより組み立てられる包装容器用板材に関し、詳しくは、被包装物の形状が筒状である物品を包装するのに好適な紙製包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から被包装物の形状が筒状である物品(例えばトナーカートリッジなど)を包装する包装容器として、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されるような紙製容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3172544号公報
【特許文献2】公開特許公報第2020-128242号
【0004】
特許文献1に記載された紙製容器(1)は四角筒状であり、容器の端部に蓋部(4)を備えている。そして、一枚の紙製板材の要所の折曲げと貼着けにより組み立てられる。四角筒状であるため、多数個を積み重ねても安定して積むことができる。
【0005】
特許文献2に記載された紙製容器(A)は四角筒状であり、容器の端部に蓋部(4)を備えている。そして、一枚の紙製板材の要所の折曲げと貼着けにより組み立てられる。蓋部(4)は、包装容器の端部に撃力を受けた場合にこれを緩和するための突状部を設けており、包装物の出し入れの際に人手により蓋部が開閉自在にできる技術が提案されている。
【0006】
近年は、人手に代わりロボットを用いた包装容器の組立及び出荷ラインにより、人手を介さず無人で組立て、梱包及び出荷までを行うことができるようになってきた。このため、特に、一枚の板材からなる包装容器は、あらかじめ貼付けまで行った半完成の状態で運送時や在庫時に省スペースを実現できる利点があることから、このようなロボットを用いた組立てラインでの利用が増加している。
【0007】
一方、被包装物がトナーカートリッジに代表される概ね先細の軸形状を有する被包装物であってその断面の大きさに変動があるような場合は、運搬中に包装容器の内部で被包装物に過度の加速度がかからないように、プラスチック製の内袋に包んで梱包されることが多かった。
このような内袋があると、軸形状の被包装物の長手方向に沿った断面の大きさに多少の変動があっても、内袋が緩衝材となって被包装物の動きが制限され、運搬の際にがたつきを生ずることを防止でき、不要な過度の加速度が被包装物に加わることを防止することができた。このため、たとえば、ブラック(黒色)のトナーカートリッジとカラー(マゼンタ、イエロー、ブルー)のトナーカートリッジなどのように、トナーの種類によって外径が少々異なるものであっても、一種類の共通の包装容器を使用することが可能であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなプラスチック製の内袋の使用は、プラスチックが化石燃料である石油を原料として製造されるため石油の使用を促し結果としてCO2の排出を促すことにつながりかねず、また、自然環境の中でプラスチックは分解がされづらいことから、野生動物がえさと間違えて摂取するなど生態系にも悪影響があることがわかってきた。このため、近年要請されるSDGs( Sustainable Development Goals)の考え方に沿わないことから、このようなプラスチック製の内袋の使用は控えることが世界的に要請されるようになってきた。
【0009】
そこで、本発明の課題は、このような概ね先細の軸形状を有する被包装物を収納する四角筒状の包装容器に対して、従来のプラスチック製の内袋を代替する簡易な係止構造を備えた包装容器を提供することである。蓋部が人手若しくはロボットにより開閉自在にできることを維持しながら、概ね先細の軸形状を有する被包装物を包装容器内でがたつかないように係止することができる。
【0010】
また、別な課題は、このような係止構造を備えた包装容器を折り曲げと貼り付けのみにより作成するための板材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有する手段を提供する。
(第1の手段)
その内部に被包装物品を収容するために四つの側面板で構成される四角筒状の胴部と、この胴部の開口を閉止する蓋部と、を備えた包装容器であって、
前記胴部は、被包装物品が胴部との間のすきまでがたが生じないように被包装物品と接する抑え板をその内部に備え、
前記抑え板は、前記胴部の長手方向装入側から奥側に向けて前記胴部の幅方向断面を狭めるように片持ちの状態で前記胴部の内部に接続されていることを特徴とする。
これにより、先細の軸形状を有する被包装物を包装容器内でがたつかないように抑え板で係止することができる。
【0012】
(第2の手段)
また、前記抑え板は、前記側面板と接して配置される基部とこの基部からミシン目を介して延びて立ち上がる本体を有することが好ましい。
これにより、被包装物の具体的な形状に応じてミシン目の位置を変えることにより、胴部の断面方向の任意の位置に抑え板を設けることができ、被包装物を効果的に係止することができる。
【0013】
(第3の手段)
また、前記抑え板は、長手方向奥側端から接続補助板に沿って形成された切欠を有し、前記切欠は、その長手方向装入側でミシン目に接続することが好ましい。
これにより、抑え板は被包装物の収納の際にその先端部が当たると被包装物に沿って曲がりやすくなり緊密に被包装物を抑えることができ、被包装物を効果的に係止することができる。
【0014】
(第4の手段)
また、前記抑え板は、幅方向端から接続補助板に向かって形成された切欠を有し、その幅方向接続補助板側でミシン目に接続することが好ましい。
これにより、被包装物の具体的な形状に応じてミシン目の位置を変えることにより、胴部の長手方向の任意の位置に抑え板を設けることができ、被包装物を効果的に係止することができる。
【0015】
(第5の手段)
また、前記本体は、そのほぼ中央に長手方向に沿って折り線が設けられていることが望ましい。
これにより、被包装物の先端部が当たる箇所で抑え板が折り線で折曲がることができ、さらに緊密に被包装物を抑えることができ、被包装物をより効果的に係止することができる。
【0016】
(第6の手段)
一枚紙からなる包装容器の板材であって、
前記板材は、折り線を介して幅方向に連続する第1側面板、第2側面板、第3側面板、第4側面板、接続補助板及びミシン目線を介して接続補助板と連続する抑え板を備え、
前記第1側面板と前記第3側面板は、
その端部に板面長手方向に台形状に伸びた突状部を有し、前記突状部は折り線を介してそれぞれ蓋接続片と接続され、
前記接続補助板は、その端部に板面長手方向に伸びた突状部を有し、前記突状部は折り線を介して蓋接続片と接続され、
前記第2側面板は、その端部に折り線を介して延びた内蓋を有し、
前記第4側面板は、その端部に折り線を介して延びた外蓋を有し、
前記内蓋及び外蓋は、それぞれ折り線の延長上に板面長手方向に延びた折り線を介して隣り合う蓋接続片と接続されていることを特徴とする。
これにより、1枚の板材をもとに折り曲げと貼り付けにより被包装物をその内部で係止できる包装容器を形成することができる包装容器の板材を提供できる。
【0017】
(第7の手段)
また、前記抑え板は、基部と前記基部にミシン目を介して接続された本体とを有し、前記本体は、その長手方向奥側端に接続補助板に沿って切欠が形成され、前記基部は、その長手方向装入側から奥側に向かってその幅が前記切欠に至るまで狭くなるようにミシン目が形成されていることが好ましい。
これにより、胴部断面方向の任意の位置に抑え板を有する包装容器の板材を提供できる。
【0018】
(第8の手段)
また、前記抑え板は、基部とその基部にミシン目を介して接続された本体とを有し、その幅方向端から接続補助板に向かって切欠が形成され、前記基部は、その長手方向装入側から奥側に向かってその切欠の先端付近から接続補助板のミシン目に至るまでその幅が狭くなるようにミシン目が形成され、前記本体は、その長手方向奥側に向かってその長手方向端からその中央部までその幅方向中央部に折り線が設けられていることが好ましい。
これにより、胴部長手方向の任意の位置に抑え板を有する包装容器の板材を提供できる。
【0019】
(第9の手段)
前記記載の板材を各折り線で折り曲げ、所要個所を貼り付けて組立ててなる包装容器。
これにより、1枚の板材から被包装物を係止することができる包装容器を製造することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る包装容器は以上説明したように構成したので、包装容器内でがたつかないように係止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の包装容器の第1の実施形態の展開平面図である。また、本発明の包装容器用板材の第1の実施形態の平面図である。
【
図2】本発明の包装容器の第2の実施形態の展開平面図である。また、本発明の包装容器用板材の第2の実施形態の平面図である。
【
図3】本発明の包装容器の第1及び第2の実施形態の概略側面図(紙面上側の図)と概略正面図(紙面下側の図)である。
【
図4】本発明の包装容器の第1及び第2の実施形態の概略平面図である。
【
図5】本発明の包装容器の第1及び第2の実施形態の端部の斜視図である(端部閉止状態)。
【
図6】本発明の包装容器の第1及び第2の実施形態の端部の斜視図である(端部半閉止状態)。
【
図7】本発明の包装容器の第2の実施形態の装入側A-A視の断面図である(未収納)。
【
図8】本発明の包装容器の第1の実施形態の未収納時の奥側B-B視の断面図である。
【
図9】本発明の包装容器の第1の実施形態の収納時の奥側B-B視の断面図である。
【
図10】本発明の包装容器の第2の実施形態の装入側A-A視の断面図である(未収納)。
【
図11】本発明の包装容器の第2の実施形態の収納時の奥側B-B視の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る包装容器および包装容器用板材の実施形態の一例を、
図1~
図11を参照しながら説明する。
なお、板紙については、
図1、
図2に記したように、板紙(側面板)の並ぶ方向を幅方向(紙面の左右方向)とし、これと直角方向を長手方向(紙面の上下方向)として説明する。また、長手方向については、紙面の上側を「装入側」、紙面の下側を「奥側」と表記することがある。「装入側」とは、被収納物を包装容器の胴部に装入する側であり、「奥側」とは、装入された被収納物からみて胴部の奥の側をいうものである。
また、包装容器については、
図3、
図4に示すように、板紙と同様、幅方向と長手方向を規定して説明する。
加えて、板紙においては、各側面板について、第1側面板、第2側面板、第3側面板、第4側面板などと規定して説明するが、上下左右については各側面板を区別する便宜上のものであり、これに限るものではない。
さらに、本発明の包装容器B1、B2は、それぞれ実施形態1、2に対応しており、さらにそれぞれ対応する板紙b1、b2から作られるものである。このため、共通する部材は同じ番号を振っている。そして、これは包装容器B1、B2の間及び板紙b1、b2 の間でも同様である。
【実施例0023】
(概要)
本例の包装容器B1は、
図5の端部斜視図(閉止状態)、
図6の端部斜視図(半閉止状態)、
図3の概略側面図及び概略正面図、並びに
図4の概略平面図に示すように、四つの側面板14、15、16、17からなる四角筒状の胴部1と、この胴部1の前後の開口2をそれぞれ開閉自在に閉止する蓋部4、4とを備える。
図3、
図5及び
図6に示すように、便宜上、外蓋F1とこれに接続する蓋接続片J1、J1及び内蓋F2とこれに接続する蓋接続片J2、J2とを併せて、蓋部4という。
図7は、本発明の包装容器B1の第1の実施形態の装入側A-A視の断面図である(
図3参照)。
図9に示すように、胴部1は被包装物を収納する実質的に四角柱形状の空間と被包装物を収納した際その内部でがたつかないように抑える抑え板19をその内部に備えるように形成されている。
【0024】
(包装容器)
本例の包装容器B1の胴部1は、
図7の断面図に示すように、実際には、前記のような折り線pを介して連続する4つの側面板14、15、16、17と、この側面板17と折り線pを介して連続する補助接続板18で構成される。補助側面板18は、側面板14と重ねられて接着される際の糊代となるとともに、後述する抑え板19とさらにミシン目q1を介して連続している。
本例では、側面板14、15、16、17は同じ幅である。このため、その幅方向断面はほぼ正方形を呈する。補助側面板18は糊代であることから、側面板14、15、16、17よりも幅が狭い。また、端部の突状部18pは、他の突状部14p、16pの台形形状の対応する一部の形状となっている。
図5、
図1に示すように、胴部1は、一組の対向する側面板14、16の端部3に実質的に45度の立ち上がり角度で立ち上がって先細の台形状に延びる突状部14p、16pをそれぞれ有している。そして、
図6、
図1に示すように、蓋部4は、胴部1の他の一組の対向する側面板15、17の端部3にそれぞれ外蓋F1及び内蓋F2を有する。本例では、胴部1の両端に開閉できる蓋部4を設けているが、一端のみとすることもできる。
図6、
図1に示すように、外蓋F1は、隣り合う2つの突状部18p、16pと山折り線y1、y1を介して蓋接続片J1、J1と連続し、内蓋F2は、隣り合う2つの突状部16p、14pと山折り線y2、y2を介して蓋接続片J2、J2と連続する。
蓋接続片J1、J2は、突状部14p、16p、18pの台形の脚部に接続されている。後述するように、蓋部4の開閉時には、蓋接続片J1,J2がそれぞれ山折り線y1、y2と谷折り線x1、x2となりここで折れ曲がることにより開閉する。このため、
図5、
図6に示すように、内蓋F2の蓋接続片J2は、外蓋F1の内側に入るため、蓋閉止時の過剰な干渉を避けて、台形形状より小振りの二等辺三角形形状としている。
【0025】
(抑え板)
図7は、包装容器B1の装入側から見たA-A視の断面図である。
図8は同じく包装容器B1の奥側から見たB-B視の断面図である。
図7、
図8に示すように、抑え板19は、基部19aと本体19bで構成され、胴部1の内部に設けられている。
図7、
図8、
図1に示すように、接続補助板18が糊代として側面板14の内側に接しており、接着によって固定されている。基部19aはミシン目q1で接続補助板18から折り曲げられて接続補助板18と接するように折りたたまれており、接着によって接続補助板18に固定されている。本体19bは、ミシン目r1で基部19aに接続されている。
そして、基部19aの断面方向の幅は長手方向装入側端部では接続補助板18とほぼ同じかやや狭く形成されており、長手方向奥側に向かって直線的に狭くなるように形成されている。このため、後述のように、基部19bによって、装入側では胴部3の断面積が広く、奥側に行くにしたがって連続的に狭くなるので、基部19bはガイドの役割を果たし、基部19bに沿って被包装物D1を胴部3に入れやすい。
【0026】
(切欠)
切欠d1が基部19aの長手方向奥側に形成され、基部19aと本体19bを画するミシン目r1がこの切欠d1の底部に接続している。このため、本体19bは、
図7、
図8に示すように、側面板17に沿うように立ち上がり、胴部1の長手方向装入側から奥側に向けて胴部1の幅方向断面を狭めるようにミシン目r1から片持ちの状態で胴部3の内部に立ち上がっている。すなわち、基部19bは、胴部3の被包装物D1が収納される胴部3の内部においてその断面積を狭くしている。
図9に示すように、切欠d1があるため、切欠d1より奥側に位置する本体19bの部分は、接続補助板18に拘束されないため、被包装物D1が装入された際に、被包装物に沿って曲がることができ、被包装物D1と密着することができる。特に、段ボール紙製の板材を用いる場合は、可撓性が得られやすく好適である。
また、上述の切欠d1より奥側に位置する本体19bの部分は、その長手方向奥側からほぼ中央部まで幅方向中央部に折り線を設けてもよい(不図示)。この折り線があると、この個所で折れ曲がりやすいため、被包装物のサイズが代わってもより大きい調整幅で被包装物と密着することができる。
【0027】
(板材)
本例の包装容器B1は、1枚の板材b1を材料として、これを折り曲げ及び貼り付けをすることにより、製造することができる。
図1に、本例の板材の展開図(平面図)を示す。紙面で示す側が組み立てた際に包装容器の内側になる。
この板材b1は、折り線pを介してほぼ等間隔幅をもって幅方向に連続するそれぞれの側面板、すなわち、第1側面板14、第2側面板15、第3側面板16、第4側面板17を有するとともに、幅方向一端部(左端部)に位置する第4側面板17の端縁に、折り線pを介して接続補助板18が連続し、さらにミシン目線q1を介して抑え板19が連続するように設けられている。
後述のように、胴部1は、この板材b1を各折り線pで折り曲げて、接続補助板18を第1側面板14に貼り付けて、形成することができる。
図3、
図5に示すように、このようにして形成された胴部1の両端は蓋部4、4を形成する。
【0028】
(板材の素材)
本例は、紙製の板材を用いている。具体的には、厚さが2mmのライナに挟まれた中芯を有する三層構造の段ボール紙である。板材b1は、紙製に限るものではなく、樹脂などで補強されていてもよい。少なくとも、折り曲げと貼り付け・接着の手段を用いて包装容器を組み立てることができるような可撓性と強度を備える板材であることが好ましい
【0029】
(板材の製法)
この板材b1は、抜き型を用いて段ボール紙を打ち抜くことにより得ることができる。周知の打ち抜き機を用いて、打ち抜く際に、折り線(罫線ともいう。)も併せて加工することができる。必要に応じ、折り線を加工する際、面掘り加工を加えてもよい。
【0030】
(板材:第1側面板及び第3側面板並びに接続補助板)
図1に示すように、第1側面板14と第3側面板16は、胴部1を構成する際に向かい合う一組の側面板で、その長手方向端E(仮想線)の延長線上からほぼ等脚台形形状の突状部14p、16pが延びている。
接続補助板18は、胴部1を構成する側面板で、第1側面板14と接し糊代となる板である。このため、突状部18pは、接続補助板18の長手方向端Eの延長線上から等脚台形形状の一部が延びて形成されているが、上底に達したところで切れ落ちている。蓋閉止時の過剰な干渉を避けて、蓋部4の開閉をしやすくするためである。
【0031】
前述のように、便宜上、外蓋F1とこれに接続する外蓋接続片J1、J1及び内蓋F2とこれに接続する内蓋接続片J2、J2とを併せて、蓋部4という。また、
図1に示すように、板材b1では長手方向端Eで分けられる胴部1の端部3という場合もある。
(板材:第2側面板及び第4側面板並びに接続補助板)
次に、第2側面板15と第4側面板17は、胴部1を構成する際に向かい合う他の一組の側面板で、その長手方向端Eの延長線上に、折り線z1、z2を備え、この折り線z1、z2を介して、外蓋F1と内蓋F2がそれぞれ連続するように設けられている。
この長手方向端Eは、
図1に示すように、板材b1の端部3と胴部1を分ける仮想の線であり、
図1の板紙b1においてこれに対応する表示をしている。後述の外蓋F1と内蓋F2はこの線上に設けられた折り線z1、z2を介して第2側面板15と第4側面板17の両端に設けられている。
後述のように外蓋F1及び内蓋F2は、この折り線z1、z2でそれぞれ第2側面板15と第4側面板17に対しほぼ直角に折り曲げられて、開口2を閉止するように開閉動作を行なう。
【0032】
(板材:外蓋と蓋接続片)
外蓋F1は、後述の内蓋F2とともに胴部1の開口2を閉止する。外蓋F1は、ちょうど開口2を閉止するほぼ正方形の形状と大きさを有する。
図1に示すように、外蓋F1の幅方向左右にそれぞれ接続片J1が折り線x1を介して接続されている。これらの接続片J1、J1は、さらにそれぞれ第3側面板16及び接続補助板18と折り線y1を介して接続されている。本例では、折り線x1と折り線y1は実質的に45度の角度で仮想線E上で交差する。
【0033】
(板材:内蓋と蓋接続片)
内蓋F2は、前述の外蓋F1とともに胴部1の開口2を閉止する。内蓋F1は、ちょうど開口2を閉止するほぼ正方形の形状と大きさを有する。
図1に示すように、内蓋F2の幅方向左右にそれぞれ接続片J2が折り線x2を介して接続されている。これらの接続片J2、J2は、さらに第1側面板14及び第3側面板16と折り線y2を介して接続されている。本例では、折り線x2と折り線y2は実質的に45度の角度で仮想線E上で交差する。
(板材:内蓋の凹部)
後述のように、内蓋F2を開閉する際は、開口2を閉じている内蓋F2を指などでつまんで引き出しやすくするために、その先端部に指がはいる大きさのほぼ矩形の凹部dを有している。
【0034】
(蓋接続片詳細:外蓋、内蓋)
図1に示すように、外蓋接続片J1、J1及び内蓋接続片J2、J2は、外蓋F1及び内蓋F2と第1側面板14、第3側面板16をそれぞれ接続するもので、外蓋接続片J1の形状は、ほぼ第3側面板16の突状部16pと同一である。また、内蓋接続片J2は、外蓋F1の内側に入るため、蓋閉止時の過剰な干渉を避けて、等脚台形形状より小振りの二等辺三角形形状としている。
【0035】
包装容器B1を組み立てて外蓋F1で開口2を閉止する際は、接続片J1は、折り線y1と折り線z1が山折り線となり、折り線x1が谷折り線となるようにすると、外蓋F1は、折り線z1で内側に折れることにより、接続片J1は折り線y1が稜線になるように突状部14p、16pの内側に沿って折りたたまれ、開口2は閉止される。このため、開口2を開閉自在に閉止可能とすることができる。
なお、本例では前後の開口2は、いずれも開閉自在に閉止することにしたが、一方のみであっても差し支えない。その場合、一方を常時閉止にするには、別途の構造としで糊付けなどで固定してもよい。
【0036】
(抑え板)
図1に示すように、抑え板19は、基部19aと本体19bで構成されている。基部19aは接続補助板18に折り線pと平行なミシン目線q1を介して接続されている。本体19bは、ミシン目r1で基部19aに接続されている。そして、基部19aの長手方向装入側端部の幅は接続補助板18とほぼ同じかやや狭く形成されており、長手方向奥側に向かって直線的に狭くなるように形成されている。また、その奥側の長手方向端でこのミシン目r1に接続する切欠d1を有している。
このため、本体19bは、組み立てられて包装容器B1において、
図7に示すように、側面板17に沿うように立ち上がり、胴部1の長手方向装入側から奥側に向けて胴部1の幅方向断面を狭めるように片持ちの状態で立ち上がることが可能である。
【0037】
切欠d1は、抑え板19の長手方向奥側端から接続補助板18との境界である折り線pに沿ってスリット状に長手方向装入側に向けて形成されている。
本体19bの幅方向端は各側面板の折り線pとほぼ平行に奥側に向かって伸び、切欠d1の底部とほぼ同じ長手方向の位置u1で直線的にやや減少して長手方向端 E上の位置v1でその長手方向端に達する。この位置v1から切欠d1の開始する点w1までが長手方向端Eの延長上で本体19bの長手方向端を形成する。
本体19bの幅は切欠d1の底部で最大となっている。この最大幅は、各側面板の幅とほぼ同じかやや小さくすると、胴部3の内部に収まりやすいので好ましい。
なお、本体19bの切欠d1より板面長手方向奥側に位置する箇所は、その長手方向奥側からほぼ中央部までその幅方向中央部に折り線tを設けることもできる。
【0038】
(組立手順)
次に、前述した構成の板材b1を用いて、包装容器B1を組み立てる手順を説明する。
(胴部の組立て)
(1)まず、
図1に示す板材b1について、折り線q1に沿って抑え板19を折り曲げるとともに基部19aと接続補助板18を接着などの手段で固定する。本例の固定は、糊付け、接着が好ましいが、その他の固定手段の使用を妨げるものではない。
(2)その後、第4側面板17を折り曲げるとともに、折り線pに沿って第1側面板14を折り曲げて、接続補助板18を糊代として第1側面板14に接着などの手段で固定する。
ここまでで、板材b1の糊付けが終了し、包装容器として半製品が完成する。この後は組み立てを行えば包装容器として完成する。この半製品は、折り畳まれた状態であるため、保管あるいは運搬の際に省スペースが実現できる。
(3)次に、接着が完了するまで待って、その後、第4側面板17と接続補助板18の折り線pと第2側面板15と紙面板16の折り線pが山折れになるように展開すると、正四角筒状の胴部1を組み立てることができ、両側に開口2を有する包装容器B1が完成する。
【0039】
(包装容器としての使用)
包装容器B1を使用する際、すなわち、被包装物を収納する場合は、装入側の端部から被包装物を装入し、蓋部4を閉止すればよい。
図9は、包装容器B1に軸状の形状を有する被包装物D1を装入した際のB-B断面を示す。このように、本体19bは被包装物D1と接触して撓み、被包装物D1を係止する。また、
図9は、被包装物D1より径の小さい被包装物D2を装入した場合を想像線で示している。この場合は、より小さい撓みで被包装物D2と接触して、被包装物D2を係止する。
以上のように異なる径の被包装物に対して包装容器の内部で係止することができる。このようにして、閉止した包装容器を
図3、
図4に示す。また、閉止が完了した端部の状態を
図5に示す。次に、端部の閉止について、さらに説明する。
【0040】
(端部の閉止)
本例の包装容器B1の端部について、内蓋F2を折り曲げて、開口2を閉止していく様子を、
図5及び
図6に示す。
図6は、内蓋F2を閉止した状態(半閉止状態)を示し、
図5は次いで外蓋F1を閉止した状態(全閉状態)を示す。
【0041】
(内蓋の閉止)
内蓋F2を閉止した端部の状態を
図6に示す。
図6に示すように、接続片J2の折り線y2が山側になるようにして内蓋F2を折り線x2が谷になるように折りたたむ。そうすると、内蓋F2に加工された折り線m2で谷折りとなるので、内蓋F2が折りたたみやすくなる。さらに押し込むと、接続片J2、J2は、隣り合う突状部14p、16pに沿って折りたたまれて、内蓋F2が90度内側に折り曲って開口2を閉止する。これで、開口2は半閉止状態となる。
【0042】
(外蓋の閉止)
外蓋F1を閉止した端部の状態を
図5に示す。
図5に示すように、接続片J1の折り線y1が山側になるようにして外蓋F1を折り線x1が谷になるように折りたたむ。そうすると、外蓋F1に加工された折り線m1で谷折りとなるので、外蓋F1が折りたたみやすくなる、さらに押し込むと、接続片J1、J1は、隣り合う突状部16p、18pに沿って折りたたまれて、外蓋F1が90度内側に折り曲って内蓋F1に重なる。これで、開口2は全閉状態となる。
以上のようにして、本例の開口2は内蓋F2及び外蓋F1により閉止される。
【0043】
なお、被包装物を収容する際には、まず、胴部1を組立てた後、被包装物を、開口2から装入し、被包装物が胴部1内に収容されたら、内蓋F2、次いでF1を前述の手順で閉じるとよい。
【0044】
このように、壁接続片J1、J1、J2、J2は、内蓋F2、外蓋F1を開閉させる際に、いったん折り線m1、m2で折りたたまれるとともに、さらに蓋を閉じていくと、展開させることができる。そうすると、胴部1の突状部14p、16pは、壁接続片J1、J1、J2、J2が互いに重なることができるため、突状部14p、16pの補強をすることができる。
加えて、輸送する際や移動させる際に蓋部4に撃力などの外力が加わっても変形しにくくなり、その内部の被包装物に対して緩衝作用を果たすことができる。したがって、このような形状の蓋部4により従来より安全に被包装物を保管、輸送することができる。
以上、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら説明したが、本発明に係る紙製包装容器は図示例に限定されず、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において種々の設計変更が可能であることは言うまでもない。