(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130277
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】可動ルーバー、およびそれを備える扉
(51)【国際特許分類】
E06B 7/096 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
E06B7/096
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101524
(22)【出願日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】P 2022034737
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000145895
【氏名又は名称】株式会社小林製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】田村 佳大
(72)【発明者】
【氏名】荒川 周也
(72)【発明者】
【氏名】川島 翔
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036JA01
2E036JB03
2E036JC03
2E036KA03
2E036LA06
2E036LB02
2E036NA01
2E036NB01
2E036QA03
2E036QB01
(57)【要約】
【課題】ラックギアとピニオンギアとの噛み合いに問題が生じ難い構造の可動ルーバーを提供する。
【解決手段】可動ルーバー100を、複数のルーバー部材104と、各ルーバー部材104における少なくとも一方の端部に配設されたピニオンギア114と、各ルーバー部材104および各ピニオンギア114を回動可能に保持する複数の保持孔128を有する保持フレーム部材116と、各ピニオンギア114に対応する複数のピニオンギア収容孔130を有しており、各ピニオンギア収容孔130には、対応するピニオンギア114に噛合するラックギア132が形成されているラックフレーム部材118とで構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のルーバー部材と、
前記各ルーバー部材における少なくとも一方の端部に配設されたピニオンギアと、
前記各ルーバー部材および前記各ピニオンギアを回動可能に保持する複数の保持孔を有する保持フレーム部材と、
前記各ピニオンギアに対応する複数のピニオンギア収容孔を有しており、前記各ピニオンギア収容孔には対応する前記ピニオンギアに噛合するラックギアが形成されているラックフレーム部材とを備える
可動ルーバー。
【請求項2】
前記各ピニオンギア収容孔の幅は、対応する前記各ピニオンギアが嵌合する寸法に設定されている請求項1に記載の可動ルーバー。
【請求項3】
前記ラックフレーム部材は、長手方向の端縁に形成された切欠部を有しており、
前記切欠部の内縁と前記保持フレーム部材とで囲まれた空間に嵌め込まれる嵌合部材を更に備えている
請求項1に記載の可動ルーバー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の可動ルーバーと、
前記可動ルーバーが嵌め込まれる可動ルーバー嵌合孔を有する扉板部材とを有する
扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建物の室内の換気や採光を調整するための可動ルーバー、およびそれを備える扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、様々なタイプの可動ルーバーが開発されており、その中には複数枚のルーバー板を連動して回動させる仕組みとしてラックアンドピニオン形式を採用している可動ルーバーも含まれている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているようなラックアンドピニオン形式による可動ルーバーの場合、ラックギアがピニオンギアから浮き上がってしまう可能性があることから、ラックギアとピニオンギアとの噛み合いがずれてしまったり、ラックギアの山とピニオンギアの山とが互いに噛み込んでしまったりする問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、ラックギアとピニオンギアとの噛み合いに問題が生じ難い構造の可動ルーバー、およびそれを備える扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面によれば、
複数のルーバー部材と、
前記各ルーバー部材における少なくとも一方の端部に配設されたピニオンギアと、
前記各ルーバー部材および前記各ピニオンギアを回動可能に保持する複数の保持孔を有する保持フレーム部材と、
前記各ピニオンギアに対応する複数のピニオンギア収容孔を有しており、前記各ピニオンギア収容孔には対応する前記ピニオンギアに噛合するラックギアが形成されているラックフレーム部材とを備える
可動ルーバーが提供される。
【0007】
好適には、
前記各ピニオンギア収容孔の幅は、対応する前記各ピニオンギアが嵌合する寸法に設定されている。
【0008】
好適には、
前記ラックフレーム部材は、長手方向の端縁に形成された切欠部を有しており、
前記切欠部の内縁と前記保持フレーム部材とで囲まれた空間に嵌め込まれる嵌合部材を更に備えている。
【0009】
本発明の別の局面によれば、
上記の可動ルーバーと、
前記可動ルーバーが嵌め込まれる可動ルーバー嵌合孔を有する扉板部材とを有する
扉が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各ルーバー部材における少なくとも一方の端部に配設されたピニオンギアがそれぞれ収容される複数のピニオンギア収容孔が形成されており、これらピニオンギア収容孔において当該ピニオンギアに噛合するラックギアが形成されているので、ラックギアがピニオンギアから浮き上がってしまう可能性を低減させて、ラックギアとピニオンギアとの噛み合いに問題が生じ難い構造の可動ルーバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明が適用された可動ルーバー100を含む扉10を示す正面図である。
【
図2】本発明が適用された可動ルーバー100を示す正面図である。
【
図3】本発明が適用された可動ルーバー100を示す拡大右側面図である。
【
図4】本発明が適用された可動ルーバー100の右端側における分解斜視図である。
【
図5】本発明が適用された可動ルーバー100の左端側における分解斜視図である。
【
図6】本発明が適用された他の例に係る可動ルーバー100を示す正面図である。
【
図7】ピニオンギア114の正面図(a)、左側面図(b)、および、右側面図(c)である。
【
図8】ラックフレーム部材118の正面図(a)、および、右側面図(b)である。
【
図9】スペーサー119,120の正面図(a)、平面図(b)、および、左側面図(c)である。
【
図10】ギアストッパー160の正面図(a)、平面図(b)、および、左側面図(c)である。
【
図11】変形例1に係るラックフレーム部材118が内側保持フレーム122に嵌め込まれて、かつ、空間202に嵌合部材204が嵌め込まれた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(可動ルーバー100を備える扉10の構成)
以下、本発明が適用された可動ルーバー100およびこれを備える扉10について図面を用いて説明する。本実施形態にかかる扉10は、
図1に示すように、少なくとも、扉板部材12と、可動ルーバー100とで構成されている。
【0013】
なお、本実施形態では、建屋内に設けられた扉10に可動ルーバー100を適用した例を示しているが、本発明に係る可動ルーバー100の適用先はこれに限定されるものではなく、例えば、室内外の換気や採光のため、壁面に可動ルーバー100を取り付けてもよい。また、可動ルーバー100を備える扉10についても、外部に面した場所だけでなく、建物内の部屋同士の間に配設してもよい。
【0014】
扉板部材12は、可動ルーバー100が嵌め込まれる可動ルーバー嵌合孔14を有する矩形板状の部材であり、鉛直方向に延びるいずれか一方の辺が建物の扉枠に対して回動可能に取り付けられている。
なお、扉板部材12を構成する材料は、必要は強度を担保できるものであれば、金属、樹脂、木材等どのような材料でも使用することができる。
【0015】
可動ルーバー100は、
図2から
図5に示すように、大略、枠部材102と、ルーバー部材104とを備えている。
【0016】
枠部材102は、ルーバー部材104が嵌め込まれる開口106を形成する部材であり、一対の側部材108と、上方部材110と、下方部材112とを有している。
【0017】
ルーバー部材104は、略帯状に形成された板材であり、本実施形態では、4枚のルーバー部材104が使用されている。各ルーバー部材104が閉じた状態(鉛直下向きの状態)となったとき、上下に隣り合うルーバー部材104の下端部と上端部とが互いに重なるようになっている。
【0018】
なお、1つの可動ルーバー100に使用されるルーバー部材104の数は特に限定されるものではなく、例えば
図6に示す別の実施例では、11枚のルーバー部材104が使用されている。
【0019】
図2から
図5に戻り、各ルーバー部材104の端部には、それぞれピニオンギア114が配設されている。このピニオンギア114は、
図7に示すように、ピニオンギア本体150と、このピニオンギア本体150からルーバー部材104側に延びる一対の脚部152と、各ピニオンギア114の中心から外向きに突出する凸部154とを有しており、ルーバー部材104の回動中心軸に対して同軸となるように設定されている。
【0020】
ピニオンギア114における一対の脚部152をルーバー部材104の端面に形成された脚部嵌合穴156に嵌合することにより、ルーバー部材104に対してピニオンギア114が固定される。
【0021】
なお、本実施形態では、一対の脚部152が丸棒状に形成されているが、脚部152の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、角棒状であってもよいし、それぞれの長さが異なる一対の脚部152であってもよい。また、脚部152の先端形状についても、尖っているものや、面状になっているものが考えられる。さらに言えば、脚部嵌合穴156の形状も脚部152の形状に合ったものであればよい。
【0022】
また、凸部154の端面には、ギア留め115が取り付けられている。
【0023】
次に、枠部材102における一方の(図中右側の)側部材108(
図4参照)は、保持フレーム部材116と、ラックフレーム部材118と、上側スペーサー119と、下側スペーサー120とを有している。
【0024】
保持フレーム部材116は、内側保持フレーム122と、外側保持フレーム124とで構成された中空状の棒状部材である。
【0025】
内側保持フレーム122は、各ルーバー部材104の端面に近接する位置に配設され、その断面が略「コ」字状に形成された棒状の部材であり、各ルーバー部材104に取り付けられた各ピニオンギア114がそれぞれ挿通される複数(ピニオンギア114の数と同数)の挿通孔126を有している。
【0026】
外側保持フレーム124は、内側保持フレーム122の外側に被せるようにして配設される帯状の部材であり、各ピニオンギア114の凸部154を保持する複数(ピニオンギア114の数と同数)の保持孔128を有している。
【0027】
本実施形態において、保持孔128の径はピニオンギア114の凸部154の外径に比べてやや大きく設定されていることから、当該凸部154が保持孔128に嵌合するようになっている。これにより、ピニオンギア114(凸部154)を中心としてルーバー部材104が回動する。
【0028】
また、保持孔128に挿通した凸部154の端面にギア留め115を取り付けることにより、ピニオンギア114とギア留め115との間で外側保持フレーム124を挟持するようになっている。
【0029】
ラックフレーム部材118は、その断面が略「コ」字状に形成された帯状の部材であり、各ピニオンギア114にそれぞれ対応する複数のピニオンギア収容孔130が形成されている。ピニオンギア収容孔130は、対応するピニオンギア114を収容可能な形状となっており、さらに、当該ピニオンギア収容孔130には、対応するピニオンギア114に噛合するラックギア132が形成されている(
図8参照)。
【0030】
なお、対応するピニオンギア114がちょうどぴったりと嵌合するように、ピニオンギア収容孔130の幅Wを当該ピニオンギア114の外径よりもやや大きい寸法に設定するのが好適である。
【0031】
また、本実施形態に係るラックフレーム部材118は、4つのピニオンギア収容孔130が形成された第1ラックフレーム134と、3つのピニオンギア収容孔130が形成された第2ラックフレーム136とを直列に組み合わせて構成されている。このように、複数のラックフレーム134,136を組み合わせてラックフレーム部材118を構成することにより、様々な枚数のルーバー部材104に対応することができる。
【0032】
上側スペーサー119および下側スペーサー120は、内側保持フレーム122と外側保持フレーム124との間に適切な間隔を設けてピニオンギア114やラックフレーム部材118がそれぞれ回動・上下動できるようにする役割を有する部材である。
【0033】
上側スペーサー119および下側スペーサー120は、それぞれスペーサー本体部138と、このスペーサー本体部138から突出する円柱状の突出部140とを有している(
図9参照)。この突出部140が内側保持フレーム122の上下端部にそれぞれ形成された突出部挿通孔142に挿通された後、枠部材102における上方部材110および下方部材112にそれぞれ形成された突出部収容孔144に収容されることで、上側スペーサー119および下側スペーサー120の位置決めが成される。
【0034】
また、スペーサー本体部138には、貫通孔146が形成されており、外側保持フレーム124の上下端部にそれぞれ形成された外側保持フレーム貫通孔148から当該貫通孔146を通して内側保持フレーム122の内側保持フレーム貫通孔151、さらには、上方部材110および下方部材112にそれぞれ形成された挿通穴153まで図示しないピン部材等を挿通することにより、外側保持フレーム124・上側スペーサー119および下側スペーサー120・内側保持フレーム122を上方部材110および下方部材112に固定することができる。
【0035】
さらに、スペーサー本体部138の薄肉部145には、後述するギアストッパー160の係合突部168が嵌め込まれる係合孔149が形成されている。
【0036】
次に、枠部材102における他方の(図中左側の)側部材108(
図5参照)は、基本的に上述した(図中右側の)側部材108と同じであるので、 以下では(図中右側の)側部材108との相違点のみ説明する。
【0037】
他方の側部材108では、ラックフレーム部材118が省かれており、また、上側スペーサー119にギアストッパー160が取り付けられている。
【0038】
ギアストッパー160は、
図10に示すように、ギアストッパー本体部162と、このギアストッパー本体部162から突出するギア当接部164とを有する部材である。
【0039】
ギアストッパー本体部162の端部に形成された薄肉部166には、上側スペーサー119に形成された係合孔149に係合する係合突部168が形成されている。
【0040】
ギアストッパー本体部162における係合突部168を上側スペーサー119における係合孔149に嵌め込んだ状態において、ギア当接部164の先端が最上段に位置するピニオンギア本体150の歯に当接するようになっている。
【0041】
(可動ルーバー100の組み立て)
次に、上述した本実施形態に係る可動ルーバー100の組み立て手順について簡単に説明する。各ピニオンギア114における脚部152を図中右側の側部材108における保持フレーム部材116の内側保持フレーム122における挿通孔126に挿通してルーバー部材104の端面に形成されている脚部嵌合穴156に嵌合する。そして、上側スペーサー119および下側スペーサー120の各突出部140を内側保持フレーム122の突出部挿通孔142に挿通して上方部材110および下方部材112の突出部収容孔144に収容する。ここまでで、各ルーバー部材104と、上方部材110と、下方部材112と、ピニオンギア114と、上側スペーサー119と、下側スペーサー120との組付けが完了する。
【0042】
然る後、ラックフレーム部材118に形成された各ピニオンギア収容孔130が対応するピニオンギア本体150を収容するように嵌め込む。このとき、各ピニオンギア本体150が対応するラックギア132と噛み合うようにする。
【0043】
そして、各ピニオンギア114における凸部154が対応する保持孔128に挿通されるようにして外側保持フレーム124を組み付けて、当該凸部154の先端面にギア留め115を取り付ける。ここまでで、図中右側の側部材108の組み付けが完了する。
【0044】
さらに、同様の手順で図中左側の側部材108を組み付けて可動ルーバー100の組み立てが完了する。
【0045】
(ルーバー部材104の角度調整)
ルーバー部材104の角度調整は、ユーザがいずれか1枚のルーバー部材104を直接触って調整する。一例として、
図2中、下から2枚目のルーバー部材104を直接触って調整する場合について説明すると、ユーザがルーバー部材104の角度を回動調整すると、当該ルーバー部材104と共に対応するピニオンギア114も回動するので、当該ピニオンギア114のピニオンギア本体150と噛み合っているラックギア132が上下方向に動くので、ラックフレーム部材118全体が上下方向に動く。
【0046】
すると、ユーザが触れていないルーバー部材104に対応するピニオンギア114もラックギア132の上下方向の動きに応じて回動する。これにより、ユーザが触れていないルーバー部材104も同様に回動する。
【0047】
なお、本実施形態に係る可動ルーバー100は、ギアストッパー160を有しており、当該ギアストッパー160におけるギア当接部164がピニオンギア本体150に当接して当該ピニオンギア114の不所望な回動を防止しているので、ユーザがいずれかのルーバー部材104を直接触って(ギア当接部164による回動抑制力に抗して)回動調整しない限り、ルーバー部材104が不所望に回動することがない。
【0048】
(可動ルーバー100の特徴)
次に上述した扉10における可動ルーバー100の作用について説明する。各ルーバー部材104の端部に配設されたピニオンギア114がそれぞれ収容される複数のピニオンギア収容孔130がラックフレーム部材118に形成されており、これらピニオンギア収容孔130においてピニオンギア114に噛合するラックギア132が形成されているので、ラックギア132がピニオンギア114から浮き上がってしまう可能性を低減させて、ラックギア132とピニオンギア114との噛み合いに問題が生じ難い構造の可動ルーバー100を提供することができる。
【0049】
(変形例1)
上述した実施形態に係る可動ルーバー100では4枚のルーバー部材104が使用されており、また、
図6に示す別の実施例では11枚のルーバー部材104が使用されている。一般的に、一対の側部材108の長さが同じ(つまり、開口106の高さ寸法が同じ)であれば、使用されるルーバー部材104の枚数が少なくなるほど、1枚当りのルーバー部材104の幅W2(
図4参照)は長くなる。
【0050】
このように1枚当りのルーバー部材104の幅W2が長くなると、ユーザがいずれか1枚のルーバー部材104を直接触って各ルーバー部材104の角度調整を行う際に、より軽い力で各ルーバー部材104を回動させることができるようになる。しかしながら、これが過ぎると、今度はルーバー部材104に例えば風が当たるだけで各ルーバー部材104が不所望に回動してしまうことや、各ルーバー部材104を中間の開度で維持するのが難しいといった問題が生じる。また、使用されるルーバー部材104の枚数が少なくなって、ラックフレーム部材118に形成されたラックギア132と噛み合うピニオンギア114の数が減ることも同じ問題を引き起こす原因となる。
【0051】
そこで、
図11に示すように、ラックフレーム部材118における長手方向の端縁に切欠部200を形成する。そして、この切欠部200の内縁と内側保持フレーム122とで囲まれた空間202に対して、当該空間202の断面形状よりもやや大きい断面形状を有している嵌合部材204を嵌め込む。なお、嵌合部材204は、適当な弾性を有する材料で形成されるのが好ましい。
【0052】
すると、嵌合部材204がラックフレーム部材118における切欠部200の内縁および内側保持フレーム122を常に押圧することとなり、内側保持フレーム122に対してラックフレーム部材118が摺動し難くなる。これにより、可動ルーバー100に使用されるルーバー部材104の枚数が少なくなっても、各ルーバー部材104が不所望に回動してしまうことや、各ルーバー部材104を中間の開度で維持するのが難しいといった問題を回避できる。
【0053】
なお、ひとつのラックフレーム部材118に形成する切欠部200の数は特に限定されるものではないが、ラックギア132が形成されている位置に近い方の、ラックフレーム部材118における長手方向の端縁に切欠部200を形成するのが好適である。これにより、空間202に嵌め込まれた嵌合部材204によってラックフレーム部材118が押圧付勢される方向Fが、ラックギア132がピニオンギア114に向かう方向Gと同じになるので、ラックギア132がピニオンギア114に対して空回りするおそれを低減できるからである。
【0054】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
10…扉、12…扉板部材、14…可動ルーバー嵌合孔
100…可動ルーバー、102…枠部材、104…ルーバー部材、106…開口、108…側部材、110…上方部材、112…下方部材、114…ピニオンギア、115…ギア留め、116…保持フレーム部材、118…ラックフレーム部材、119…上側スペーサー、120…下側スペーサー、122…内側保持フレーム、124…外側保持フレーム、126…(内側保持フレーム122の)挿通孔、128…(外側保持フレーム124の)保持孔、130…(ラックフレーム部材118の)ピニオンギア収容孔、132…ラックギア、134…第1ラックフレーム、136…第2ラックフレーム、138…スペーサー本体部、140…突出部、142…突出部挿通孔、144…突出部収容孔、145…(スペーサー本体部138の)薄肉部、146…貫通孔、148…外側保持フレーム貫通孔、149…(スペーサー本体部138の)係合孔、150…ピニオンギア本体、151…内側保持フレーム貫通孔、152…脚部、153…(上方部材110および下方部材112の)挿通穴、154…(ピニオンギア114の)凸部、156…脚部嵌合穴、160…ギアストッパー、162…ギアストッパー本体部、164…ギア当接部、166…薄肉部、168…係合突部
200…(ルーバー部材104の)切欠部、202…空間、204…嵌合部材
W2…(ルーバー部材104の)幅