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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130285
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20230912BHJP
   G01L 5/164 20200101ALI20230912BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20230912BHJP
   F16C 41/00 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G01L5/00 K
G01L5/164
F16C19/18
F16C41/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162452
(22)【出願日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2022034712
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】木田 喜啓
(72)【発明者】
【氏名】河野 隆修
(72)【発明者】
【氏名】木村 優介
(72)【発明者】
【氏名】赤間 貞洋
(72)【発明者】
【氏名】堀畑 晴美
(72)【発明者】
【氏名】近江 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】北浦 靖寛
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤史
(72)【発明者】
【氏名】森川 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】半田 晶寛
【テーマコード(参考)】
2F051
3J217
3J701
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB05
2F051BA07
2F051DA02
3J217JA02
3J217JA12
3J217JA13
3J217JA14
3J217JA24
3J217JA32
3J217JB07
3J217JB53
3J217JB62
3J217JB84
3J701AA03
3J701AA32
3J701AA43
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA77
3J701FA23
3J701FA25
3J701FA26
3J701GA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、変位の検出精度を高めることができる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、車両の車体に対して固定される固定子ベース部42と、軸受50とを備えている。軸受50は、外輪51、内輪52、及び外輪51と内輪52との間に設けられる転動体53を有し、車輪を固定子ベース部42に対して回転可能に支持する。内輪52が車輪に対して固定され、外輪51が固定子ベース部42に対して固定されている。検出装置は、内輪52に対して固定され、軸受50の径方向外側に延びる円盤状のレース部80と、検出ユニット90とを備えている。検出ユニット90は、固定子ベース部42のうち、径方向において軸受50から離れた位置であって、軸受50の軸方向においてレース部80と対向する位置に設けられている。検出ユニット90は、レース部80の軸方向変位、及び軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部(42)と、
外輪部材(51)、内輪部材(52)、及び前記外輪部材と前記内輪部材との間に設けられる転動体(53)を有し、回転体を前記ベース部に対して回転可能に支持する軸受(50)と、を備え、
前記外輪部材及び前記内輪部材のうち、一方である第1軸受部材(52)が前記回転体に対して固定され、他方である第2軸受部材(51)が前記ベース部に対して固定され、
前記第1軸受部材と一体回転するように設けられ、前記第1軸受部材に対して前記軸受の径方向外側に延びる円盤状の検出用回転部(80,83,86)と、
前記ベース部のうち、前記径方向において前記軸受から離れた位置であって、前記軸受の軸方向において前記検出用回転部と対向する位置に設けられ、前記検出用回転部の前記軸方向の変位、及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する変位検出部(90)と、
を備える、検出装置。
【請求項2】
前記検出用回転部のうち前記径方向において前記軸受から離れた位置には、前記軸受の周方向に延びる円環状の検出対象部(81,82,84,85,87,88)が形成されており、
前記変位検出部は、
前記ベース部に対して固定されるとともに前記軸方向において前記検出対象部の上端部又は下端部と対向する位置に設けられ、前記軸方向と交差する方向に延びる平面状の2つの受信コイル(110,120,130,140)と、
交流の励磁電圧が供給される励磁コイル(100)と、
を有し、
前記各受信コイルには、前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に電圧が誘起され、
前記各受信コイルの平面視において、前記各受信コイルのうちいずれか一方(120,140)の前記径方向における外側端部が前記検出対象部の前記径方向における外側端(81a)からはみ出しており、
前記各受信コイルの前記径方向における外側端の前記径方向における位置が異なっており、
前記各受信コイルは、前記軸方向の変位及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記各受信コイル(110,120)は、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(110A,120A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(110B,120B)と、
を有し、
前記各受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分(120A)が設けられるとともに他方側に前記第2部分(120B)が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分(110A)及び前記第2部分(110B)と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記各受信コイルの前記周方向の寸法が同じであり、
前記各受信コイルのうち、前記外側端からはみ出している受信コイル(120)の前記径方向の寸法が、残りの受信コイルの前記径方向の寸法よりも大きい、請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記各受信コイル(130,140)は、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(130A,140A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(130B,140B)と、
を有し、
前記各受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分(140A)が設けられるとともに他方側に前記第2部分(140B)が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分(130A)及び前記第2部分(130B)と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記各受信コイルの前記周方向の寸法が同じであり、
前記各受信コイルの前記径方向の寸法が同じである、請求項2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記検出用回転部のうち前記径方向において前記軸受から離れた位置には、前記軸受の周方向に延びる円環状の検出対象部(81,82,84,85,87,88)が形成されており、
前記変位検出部は、
前記ベース部に対して固定されるとともに前記軸方向において前記検出対象部の端部と対向する位置に設けられ、前記軸方向と交差する方向に延びる平面状の受信コイル(150)と、
交流の励磁電圧が供給される励磁コイル(100)と、
を有し、
前記受信コイルは、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(150A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(150B)と、
を有し、
前記受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分が設けられるとともに他方側に前記第2部分が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分及び前記第2部分と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記第1部分の前記周方向の寸法と前記第2部分の前記周方向の寸法とが同じであり、
前記第1部分及び前記第2部分のうち、一方の前記径方向の寸法が他方の前記径方向の寸法よりも大きくなっており、
前記受信コイルの平面視において、前記第1部分及び前記第2部分のうち、前記径方向の寸法が大きい方の前記径方向における外側端部が前記検出対象部の前記径方向における外側端(81a)からはみ出しており、
前記第1部分及び前記第2部分の前記径方向における外側端の前記径方向における位置が異なっており、
前記受信コイルは、前記軸方向の変位及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項6】
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
前記受信コイルの出力電圧信号に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位と、前記検出用回転部の上下方向の変位とを算出する変位算出部(71)を備える、請求項2~5のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項7】
算出された前記軸方向の変位に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力を算出し、算出された前記上下方向の変位に基づいて、前記回転体に作用する垂直荷重を算出する力算出部(72)を備える、請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記検出用回転部のうち前記径方向において前記軸受から離れた位置には、前記軸受の周方向に延びる円環状の検出対象部(81,82,84,85,87,88)が形成されており、
前記変位検出部は、
前記ベース部に対して固定されるとともに前記軸方向において前記検出対象部と対向する位置に設けられ、前記軸方向と交差する方向に延びる平面状の受信コイル(110,120,130,140,150)と、
交流の励磁電圧が供給される励磁コイル(100)と、
を有し、
前記受信コイルは、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(110A,120A,130A,140A,150A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(110B,120B,130B,140B,150B)と、
を有し、
前記受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分が設けられるとともに他方側に前記第2部分が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分及び前記第2部分と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記受信コイルは、前記検出用回転部の回転中心軸線を通る水平軸線を跨いた状態で設けられており、
前記受信コイルは、前記検出用回転部の前記軸方向の変位及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項9】
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
前記受信コイルの出力電圧信号に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位と、前記検出用回転部の前記軸方向及び上下方向それぞれと直交する方向である前後方向の変位とを算出する変位算出部(71)を備える、請求項8に記載の検出装置。
【請求項10】
算出された前記軸方向の変位に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力を算出し、算出された前記前後方向の変位に基づいて、前記回転体に作用する前記前後方向の力を算出する力算出部(72)を備える、請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
前記検出用回転部のうち前記径方向において前記軸受から離れた位置には、前記軸受の周方向に延びる円環状の検出対象部(81,82,84,85,87,88)が形成されており、
前記変位検出部は、
前記ベース部に対して固定されるとともに前記軸方向において前記検出対象部と対向する位置に設けられ、前記軸方向と交差する方向に延びる平面状の2つの受信コイル(110,120,130,140)と、
交流の励磁電圧が供給される励磁コイル(100)と、
を有し、
前記各受信コイルは、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(110A,120A,130A,140A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(110B,120B,130B,140B)と、
を有し、
前記各受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分が設けられるとともに他方側に前記第2部分が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分及び前記第2部分と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記各受信コイルは、前記検出用回転部の回転中心軸線を通る水平軸線を跨いた状態で設けられており、
前記各受信コイルは、前記検出用回転部の前記軸方向の変位に応じた電圧信号、及び前記検出用回転部の前記軸方向及び上下方向それぞれと直交する方向である前後方向の変位に応じた電圧信号を出力する、請求項1に記載の検出装置。
【請求項12】
前記受信コイルの出力電圧信号(v1)の包絡線(ENV1)を取得する信号取得部(161)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)を算出するオフセット電圧算出部(160)と、
取得された前記包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出する変位電圧算出部(161)と、
を備える、請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項13】
算出された前記軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出部(72)を備える、請求項12に記載の検出装置。
【請求項14】
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(163)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出部(162)と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出部(163)と、
算出された前記第1軸方向変位電圧の絶対値と、算出された前記第2軸方向変位電圧の絶対値とを加算することにより、合計電圧(vdty)を算出する合計電圧算出部(164)と、
を備える、請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項15】
算出された前記合計電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出部(72)を備える、請求項14に記載の検出装置。
【請求項16】
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(163)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出部(162)と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出部(163)と、
算出された前記第1軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力である第1軸方向力(Fy1)を算出し、算出された前記第2軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力である第2軸方向力(Fy2)を算出する力算出部(72)と、
を備え、
前記力算出部は、前記第1軸方向オフセット電圧が前記第2軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において前記第1軸方向力を前記回転体に作用する前記軸方向の力として算出し、前記第2軸方向オフセット電圧が前記第1軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において前記第2軸方向力を前記回転体に作用する前記軸方向の力として算出する、請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項17】
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(163)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出部(162)と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出部(163)と、
前記第1軸方向オフセット電圧が前記第2軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において、前記第1軸方向変位電圧に基づいて前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出し、前記第2軸方向オフセット電圧が前記第1軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において、前記第1軸方向変位電圧に基づいて前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出部(72)と、
を備える、請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項18】
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(169)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)及び基準状態における前記第2包絡線である上下方向オフセット電圧(vоftz)を算出するオフセット電圧算出部(168)と、
変位電圧算出部(169)と、
を備え、
前記変位電圧算出部は、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出し、
算出した前記軸方向変位電圧に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位が前記第2包絡線に及ぼす影響を定量化した上下方向補正電圧(vcz)を算出し、
取得された前記第2包絡線から、算出された前記上下方向オフセット電圧と、算出した前記上下方向補正電圧とを差し引くことにより、上下方向変位電圧(vdz)を算出する、請求項3又は4に記載の検出装置。
【請求項19】
算出された前記軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出し、算出された前記上下方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する垂直荷重(Fz)を算出する力算出部(72)を備える、請求項18に記載の検出装置。
【請求項20】
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、 2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(171)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)及び基準状態における前記第2包絡線である前後方向オフセット電圧(vоftx)を算出するオフセット電圧算出部(170)と、
変位電圧算出部(171)と、
を備え、
前記変位電圧算出部は、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出し、
算出した前記軸方向変位電圧に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位が前記第2包絡線に及ぼす影響を定量化した前後方向補正電圧(vcx)を算出し、
取得された前記第2包絡線から、算出された前記前後方向オフセット電圧と、算出した前記前後方向補正電圧とを差し引くことにより、前後方向変位電圧(vdx)を算出する、請求項11に記載の検出装置。
【請求項21】
算出された前記軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出し、算出された前記前後方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前後方向の力(Fx)を算出する力算出部(72)を備える、請求項20に記載の検出装置。
【請求項22】
取得された前記包絡線にローパスフィルタ処理を施すフィルタ部(172)を備え、
前記変位電圧算出部には、前記ローパスフィルタ処理が施された前記包絡線が入力される、請求項12に記載の検出装置。
【請求項23】
前記受信コイルの出力電圧信号(v1)の包絡線(ENV1)を取得する信号取得部(172)と、
前記検出用回転部の回転角情報及び取得された前記包絡線に基づいて、前記包絡線の振幅情報電圧(vmaxy)を算出する振幅情報算出部(174)と、
算出された前記振幅情報電圧から、基準状態における前記振幅情報電圧である基準電圧(vmaxofty)を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出する変位電圧算出部(175)と、
を備える、請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項24】
算出された前記軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出部(72)を備える、請求項23に記載の検出装置。
【請求項25】
前記検出対象部は、
金属部分(81)と、前記軸方向において貫かれた部分(82)とが前記周方向において交互に設けられた構成、
前記軸方向に凹む凹部(88)と、前記凹部に対して前記軸方向に突出する凸部(87)とが前記周方向において交互に設けられた構成、又は
金属部分と非金属部分とが前記周方向において交互に設けられた構成
になっており、
前記受信コイルの出力電圧信号に基づいて、前記検出用回転部の回転角を算出する角度算出部(73)を備える、請求項2~5,8~11のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項26】
請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
前記検出装置が備えるコンピュータ(70)に、
前記受信コイルの出力電圧信号(v1)の包絡線を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)を算出するオフセット電圧算出処理と、
取得された前記包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出する変位電圧算出処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項27】
請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出処理と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出処理と、
算出された前記第1軸方向変位電圧の絶対値と、算出された前記第2軸方向変位電圧の絶対値とを加算することにより、合計電圧(vdty)を算出する合計電圧算出処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項28】
請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出処理と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出処理と、
算出された前記第1軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力である第1軸方向力(Fy1)を算出し、算出された前記第2軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力である第2軸方向力(Fy2)を算出する力算出処理と、
を実行させ、
前記力算出処理において、前記第1軸方向オフセット電圧が前記第2軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において前記第1軸方向力を前記回転体に作用する前記軸方向の力として算出し、前記第2軸方向オフセット電圧が前記第1軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において前記第2軸方向力を前記回転体に作用する前記軸方向の力として算出する、プログラム。
【請求項29】
請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出処理と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出処理と、
前記第1軸方向オフセット電圧が前記第2軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において、前記第1軸方向変位電圧に基づいて前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出し、前記第2軸方向オフセット電圧が前記第1軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において、前記第1軸方向変位電圧に基づいて前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項30】
請求項3又は4に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)及び基準状態における前記第2包絡線である上下方向オフセット電圧(vоftz)を算出するオフセット電圧算出処理と、
変位電圧算出処理と、
を実行させ、
前記変位電圧算出処理において、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出し、
算出した前記軸方向変位電圧に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位が前記第2包絡線に及ぼす影響を定量化した上下方向補正電圧(vcz)を算出し、
取得された前記第2包絡線から、算出された前記上下方向オフセット電圧と、算出した前記上下方向補正電圧とを差し引くことにより、上下方向変位電圧(vdz)を算出する、プログラム。
【請求項31】
請求項11に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である横方向オフセット電圧(vоfty)及び基準状態における前記第2包絡線である前後方向オフセット電圧(vоftx)を算出するオフセット電圧算出処理と、
変位電圧算出処理と、
を実行させ、
前記変位電圧算出処理において、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出し、
算出した前記軸方向変位電圧に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位が前記第2包絡線に及ぼす影響を定量化した前後方向補正電圧(vcx)を算出し、
取得された前記第2包絡線から、算出された前記前後方向オフセット電圧と、算出した前記前後方向補正電圧とを差し引くことにより、前後方向変位電圧(vdx)を算出する、プログラム。
【請求項32】
請求項3,4,11のいずれか1項に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記受信コイルの出力電圧信号(v1)の包絡線(ENV1)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報及び取得された前記包絡線に基づいて、前記包絡線の振幅情報電圧(vmaxy)を算出する振幅情報算出処理と、
算出された前記振幅情報電圧から、基準状態における前記振幅情報電圧である基準電圧(vmaxofty)を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出する変位電圧算出処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、車輪に固定されたハブを車体に対して回転可能に支持する軸受装置が知られている。軸受装置は、車体に対して固定された外輪と、ハブに対して固定された内輪と、外輪及び内輪の間の転動体とを備えている。ここで、車両の走行を安定させるためには、車輪に作用する力に基づいて、車両の走行制御が行われることが望まれる。
【0003】
車輪に作用する力を検出するための構成として、特許文献1には、軸方向歪みセンサ、径方向歪みセンサ及び制御ユニットが記載されている。軸方向歪みセンサは、外輪の軸方向変位を検出し、径方向歪みセンサは、外輪の径方向変位を検出する。変位と、車輪に作用する力とには相関があるため、変位を力に換算することができる。そこで、制御ユニットは、軸方向歪みセンサにより検出された変位に基づいて、車輪の軸方向の力を算出し、径方向歪みセンサにより検出された変位に基づいて、車輪の上下方向の力を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5436191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の各センサは、軸受付近に設けられている。このため、車輪に力が作用する場合において各センサにより検出される変位は小さい。この場合、変位の検出精度が悪化することが懸念される。なお、変位の検出精度が悪化することは、車両に限らない。
【0006】
本発明は、変位の検出精度を高めることができる検出装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ベース部と、
外輪部材、内輪部材、及び前記外輪部材と前記内輪部材との間に設けられる転動体を有し、回転体を前記ベース部に対して回転可能に支持する軸受と、を備え、
前記外輪部材及び前記内輪部材のうち、一方である第1軸受部材が前記回転体に対して固定され、他方である第2軸受部材が前記ベース部に対して固定され、
前記第1軸受部材と一体回転するように設けられ、前記第1軸受部材に対して前記軸受の径方向外側に延びる円盤状の検出用回転部と、
前記ベース部のうち、前記径方向において前記軸受から離れた位置であって、前記軸受の軸方向において前記検出用回転部と対向する位置に設けられ、前記検出用回転部の前記軸方向の変位、及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する変位検出部と、を備える。
【0008】
本発明では、軸受を構成する第1軸受部材と一体回転するように検出用回転部が設けられている。このため、検出用回転部は、第1軸受部材に対して固定された回転体と一体回転する。
【0009】
ここで、回転体に軸方向の力が作用する場合における検出用回転部の軸方向変位は、第1軸受部材から径方向外側に離れるほど大きくなる。変位が大きくなる位置に変位検出部が設けられることにより、変位の検出精度を高めることができる。そこで、本発明では、ベース部のうち、径方向において軸受から離れた位置であって、軸方向において検出用回転部と対向する位置に変位検出部が設けられている。このため、例えば軸受付近に変位検出部が設けられる構成と比較して、検出用回転部の軸方向変位の変化に対する変位検出部の軸方向変位に応じた電圧信号の変化を大きくすることができる。これにより、変位検出部による軸方向変位の検出精度を高めることができ、例えば、検出された軸方向変位に基づく横力の算出精度を高めることができる。
【0010】
また、本発明の変位検出部の出力電圧信号は、上記軸方向変位に加え、検出用回転部の、上記軸方向と直交する方向の変位に応じた信号である。このため、この信号に基づいて、例えば、上記直交する方向に回転体に作用する力を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る車輪の縦断面図。
図2】レース部の平面図。
図3】タイヤに横力が作用した場合に外輪に対して内輪が傾斜した状態を示す図。
図4】タイヤに垂直荷重が作用した場合における内輪の上下方向変位を示す図。
図5】検出ユニットを示す図。
図6】検出ユニット及び処理部の電気的構成を示す図。
図7】多層基板の平面視における励磁コイル及び第1,第2受信コイルの投影図。
図8】多層基板の1層目に形成された配線パターン及びビアを示す図。
図9】多層基板の2層目に形成された配線パターン及びビアを示す図。
図10】多層基板の3層目に形成された配線パターン及びビアを示す図。
図11】多層基板の4層目に形成された配線パターン及びビアを示す図。
図12】第1,第2受信コイル及び遮蔽部の相対位置関係を示す図。
図13】変位及び回転角の検出原理を説明するための図。
図14】変位及び回転角の検出原理を説明するための図。
図15】簡略化した第2受信コイルの平面図。
図16】受信コイルの出力電圧信号及びこの信号の包絡線の推移を示す図。
図17】第1,第2包絡線の推移を示す図。
図18】変位信号及び軸方向変位の関係を示す特性図。
図19】横力が作用した場合における包絡線の基準状態からの変化を示す図。
図20】垂直荷重が作用した場合における第1,第2受信コイル及び遮蔽部の相対位置関係を示す図。
図21】垂直荷重が作用した場合における包絡線の基準状態からの変化を示す図。
図22】変位信号及び上下方向変位の関係を示す特性図。
図23】第1,第2変位信号と、各変位ΔY,ΔZ、横力及び垂直荷重とが紐づけられた特性情報を示す図。
図24】第1実施形態の変形例に係るレース部の平面図。
図25】第1実施形態の変形例に係るレース部の斜視図。
図26】第1実施形態の変形例に係るレース部の平面図。
図27】第1実施形態の変形例に係るレース部の平面図。
図28】第1実施形態の変形例に係るレース部及び基板の配置態様を示す図。
図29】第2実施形態に係る第1,第2受信コイル及び遮蔽部の相対位置関係を示す図。
図30】第3実施形態に係る受信コイルを示す図。
図31】基準状態における受信コイル及び遮蔽部の相対位置関係と、包絡線の推移とを示す図。
図32】横力が作用する場合における受信コイル及び遮蔽部の相対位置関係と、包絡線の推移とを示す図。
図33】垂直荷重が作用する場合における受信コイル及び遮蔽部の相対位置関係と、包絡線の推移とを示す図。
図34】第4実施形態に係るレース部及び検出ユニットを示す図。
図35】第5実施形態に係る車輪の縦断面図。
図36】第6実施形態に係る車輪の縦断面図。
図37】第7実施形態に係る処理部のブロック図。
図38】横方向変位電圧と横力との関係を示す図。
図39】横力算出処理の手順を示すフローチャート。
図40】横方向オフセット電圧及び横方向変位電圧等の推移を示すタイムチャート。
図41】第8実施形態に係る処理部のブロック図。
図42】横力算出処理の手順を示すフローチャート。
図43】横方向オフセット電圧及び横方向変位電圧等の推移を示すタイムチャート。
図44】第9実施形態に係る処理部のブロック図。
図45】横力算出処理の手順を示すフローチャート。
図46】横方向オフセット電圧及び横方向変位電圧等の推移を示すタイムチャート。
図47】第10実施形態に係る処理部のブロック図。
図48】横力算出処理の手順を示すフローチャート。
図49】第11実施形態に係る処理部のブロック図。
図50】横力,垂直荷重算出処理の手順を示すフローチャート。
図51】第12実施形態に係る処理部のブロック図。
図52】横力,前後荷重算出処理の手順を示すフローチャート。
図53】第13実施形態に係る処理部のブロック図。
図54】ローパスフィルタ特性を示す図。
図55】カットオフ周波数と車速,空気圧,車重との関係を示す図。
図56】第14実施形態に係る処理部のブロック図。
図57】横方向オフセット電圧及び横方向変位電圧等の推移を示すタイムチャート。
図58】第15実施形態に係る車載システムの構成図。
図59】ECU及び回路部を示す図。
図60】ECU及び回路部を示す図。
図61】ECU及び回路部を示す図。
図62】ECU及び回路部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る車両用検出装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態の検出装置は、インホイールモータを備える回転体としての車輪(駆動輪)に作用する力を算出可能に構成されている。車輪は、車両の通常の使用態様において水平状態となるように配置されている。車両は、例えば、2つの前輪及び2つの後輪を有する乗用の4輪車両である。ただし、車両としては、これに限らず、2輪車両等、4輪以外の車両であってもよい。また、車両の用途としては、乗用に限らない。
【0013】
図1に示すように、車輪は、ホイール10及びインホイールモータ20を備えている。ホイール10は、円筒状のリム部11と、リム部11のうち車幅方向外側の端部に設けられた円板上のディスク部12とを備えている。リム部11の外周には、タイヤ13が取り付けられている。
【0014】
インホイールモータ20は、リム部11及びディスク部12により囲まれたホイール10の内側空間に収容されており、ホイール10に回転動力を付与する。インホイールモータ20は、回転子30と、回転子30の径方向内側に配置された固定子40とを備えるアウタロータ型のモータである。
【0015】
回転子30は、円筒状の磁石保持部31と、磁石保持部31の内周面に設けられた磁石ユニット32とを備えている。磁石保持部31においてインホイールモータ20の軸方向(車両の車幅方向)の外側端から内側端までにわたって、リム部11の内周面と対向している。磁石ユニット32は、回転子30の回転中心軸線と同心の円筒状をなしており、磁石保持部31の内周面に固定された複数の磁石を有している。つまり、本実施形態のインホイールモータ20は表面磁石型の同期機(SPMSM)である。磁石ユニット32において、磁石は、回転子30の周方向に沿って極性が交互に変わるように並べられている。これにより、磁石ユニット32には、周方向に複数の磁極が形成されている。磁石は、例えば焼結ネオジム磁石である。ちなみに、インホイールモータ20としては、埋込磁石型の同期機(IPMSM)であってもよい。
【0016】
回転子30は、磁石保持部31のうち車幅方向外側端部に設けられ、磁石保持部31とディスク部12とを接続する円盤状の平板部33を備えている。平板部33には、ディスク部12がボルトにより固定されている。これにより、回転子30とホイール10とが一体回転する。
【0017】
固定子40は、径方向において磁石ユニット32と対向する位置に配置された円筒状の固定子巻線41と、固定子巻線41の径方向内側に設けられた円筒状の固定子ベース部42とを備えている。固定子巻線41は、径方向において磁石ユニット32と対向する位置に設けられたコイルサイド部と、コイルサイド部の軸方向両端に設けられたコイルエンド部とを備えている。
【0018】
固定子ベース部42は、例えばナックル等を介して車体に固定され、固定子巻線41等を保持する。固定子ベース部42は、車体に対して固定された円筒部43を備えている。円筒部43のうち径方向において固定子巻線41と隣り合う部分が固定子コア43aとされている。
【0019】
固定子ベース部42は、円筒部43の軸方向一端から径方向内側に延びる固定部44を備えている。固定部44及び軸受50により、固定子ベース部42に対して回転子30が回転可能に支持されている。固定部44のうち径方向外側端部は、平板部33側に突出する円環状の突出部45とされている。突出部45のうち平板部33に対向する部分は平坦面とされている。
【0020】
軸受50は、転がり軸受(例えばラジアル玉軸受)であり、「第1軸受部材」に相当する外輪51と、「第2軸受部材」に相当する内輪52と、外輪51及び内輪52の間に配置された複数の転動体53(例えば玉)とを備えている。外輪51は、ボルトにより固定部44に固定されている。内輪52は、径方向において外輪51と対向する円柱部52aと、円柱部52aの軸方向一端部から径方向外側に延びるフランジ部52bとを備えている。フランジ部52bは、ボルトにより平板部33及びディスク部12に固定されている。なお、図1には、内輪52と外輪51とが同軸になっている状態を示す。
【0021】
車両には、固定子巻線41に電気的に接続されたインバータと、インバータに電気的に接続された蓄電部とが備えられている。蓄電部は、車体に設けられ、例えばリチウムイオン蓄電池等の蓄電池である。インバータを構成する上,下アームスイッチのスイッチング制御は、制御装置により行われる。これにより、回転子30が回転し、車輪が回転する。なお、インバータ及び制御装置は、車体に設けられていてもよいし、インホイールモータ20に内蔵されていてもよい。
【0022】
ホイール10の内側空間には、「検出用回転部」に相当する円盤状のレース部80と、「変位検出部」に相当する検出ユニット90とが設けられている。レース部80及び検出ユニット90は、インホイールモータ20の回転子30の回転角(具体的には、電気角又は機械角)、車輪の回転速度、接地面(地面)GLと車輪(タイヤ13)との間に作用する横力Fy、及び接地面GLに対して垂直方向に接地面GLと車輪との間に作用する力(以下、垂直荷重Fz)を算出するために用いられる。横力が作用する方向と垂直荷重が作用する方向とは直交する。例えば、算出された回転角(電気角)は、制御装置においてインバータのスイッチング制御に用いられ、車輪の回転速度及び横力及び垂直荷重は、制御装置において車両の走行制御に用いられる。
【0023】
図1及び図2に示すように、レース部80は、円盤状をなし、金属材料(例えば、鉄又はアルミニウム)で構成されている。レース部80の中央部には、貫通孔が形成されている。レース部80のうち貫通孔の周縁部は、ディスク部12方向に屈曲する屈曲部80aとされている。屈曲部80aは、回転子30の平板部33の中央部に形成された貫通孔に嵌め込まれている。レース部80は、回転子30の平板部33から離間して、かつ、内輪52のフランジ部52bに面接触した状態で、ボルトにより固定されている。これにより、レース部80と内輪52とが同軸にされている。レース部80、回転子30及びホイール10は一体回転する。
【0024】
レース部80のうち径方向外側端部は、固定子ベース部42の突出部45と対向している。図2に示すように、レース部80の径方向外側端部には、金属部分である遮蔽部81と、レース部80の板厚方向に貫かれた切欠82とが周方向において交互に形成されている。遮蔽部81及び切欠82により、円環状の「検出対象部」が形成されている。本実施形態では、遮蔽部81の周方向長さL1と、切欠82の周方向長さL2とが等しくなっている。また、図2に示す例では、遮蔽部81及び切欠82が8組設けられている。なお、図2に示すLCiは、内輪52の中心軸線を示す。
【0025】
検出ユニット90は、いわゆる渦電流式のインダクティブセンサである。検出ユニット90は、図2図5及び図6に示すように、基板91と、基板91に設けられたコイル部92と、回路部93とを備えている。図2は、ホイール10側から見たレース部80を示す図である。図5は、ホイール10側から見た基板91を示す図である。基板91は、突出部45の平坦面に固定されている。これにより、基板91は、外輪51の軸方向と直交する方向に延びている。本実施形態では、基板91は、円環状の突出部45のうち上端部の平坦面に固定されている。
【0026】
図1及び図6に示すように、回路部93は、処理部70と電気的に接続されている。詳しくは、突出部45に挿通孔46が形成され、挿通孔46に挿通された配線を介して処理部70と回路部93とが電気的に接続されている。なお、処理部70は、車体に設けられていてもよいし、インホイールモータ20に内蔵されていてもよい。
【0027】
コイル部92は、励磁コイル100、第1受信コイル110及び第2受信コイル120を備えている。各コイル100,110,120は平面コイルである。回路部93は、集積回路で構成されている。回路部93は、図6に示すように、励磁コイル100に高周波の励磁電圧を供給する励磁回路94と、受信回路95とを備えている。励磁コイル100に励磁電圧が供給されると、励磁電圧と同じ又は同等の周波数の電圧が第1受信コイル110及び第2受信コイル120に誘起される。受信回路95は、各受信コイル110,120の両端の電圧を出力電圧信号として検出する。
【0028】
図1に示すように車輪に横力Fyが作用すると、図3に示すように、外輪51の中心軸線LCoに対する内輪52の中心軸線LCiの傾きθが大きくなる。この場合、各受信コイル110,120と、レース部80との軸方向距離が変化し、各受信コイル110,120の出力電圧信号の振幅が変化する。検出ユニット90は、この振幅変化に基づいて、レース部80の軸方向変位ΔYを算出し、算出した軸方向変位ΔYに基づいて、横力Fyを算出する。
【0029】
一方、車輪に垂直荷重Fzが作用すると、図4に示すように、外輪51の中心軸線LCoに対して直交する方向に、内輪52の中心軸線LCiが変位する。その結果、フランジ部52bに固定されたレース部80も変位する。この場合において、各受信コイル110,120の出力電圧信号の振幅が変化するように検出ユニット90が構成されている。この構成については、後に詳述する。検出ユニット90は、この振幅変化に基づいて、レース部80の軸方向及び車長方向と直交する方向における変位(以下、上下方向変位ΔZ)を算出し、算出した上下方向変位ΔZに基づいて、垂直荷重Fzを算出する。
【0030】
続いて、図7図11を用いて、コイル部92について説明する。本実施形態において、基板91は多層基板(具体的には4層の基板)であり、コイル部92を構成する励磁コイル100及び各受信コイル110,120は、多層基板上の配線パターンにより構成されている。図8図11には、レース部80側から基板91を見た場合における各層に形成された配線パターンを示す。図7(a)は、1層目の配線パターンに2~4層目の配線パターンを投影した図である。
【0031】
まず、励磁コイル100について説明する。励磁コイル100は、図8及び図9に示すように、基板91の板厚方向に隣接する1層目及び2層目に形成されている。各層の配線パターンは、励磁側ビアVIに充填された導体により電気的に接続されている。1層目には、配線パターンとして、励磁回路94に電気的に接続された第1励磁端部101と、第1励磁端部101から励磁側ビアVIまで時計回りに複数回(3回)周回して形成された第1励磁パターン102とが形成されている。2層目には、励磁回路94に電気的に接続された第2励磁端部103と、第2励磁端部103から励磁側ビアVIまで反時計回りに複数回(3回)周回して形成された第2励磁パターン104とが形成されている。これにより、6ターンの平面コイルの励磁コイル100が基板91に形成されている。励磁コイル100は、外輪51の周方向に延びる円弧状をなしている。
【0032】
続いて、第1受信コイル110について説明する。第1受信コイル110は、図8図11に示すように、1~4層目に形成されている。図10に示すように、3層目には、受信回路95に電気的に接続された第1受信端部111が形成されている。第1受信端部111には、第1AビアVA1を介して、1層目のパターン112の第1端が接続されている。パターン112の第2端には、第2AビアVA2を介して、2層目のパターン113の第1端が接続されている。パターン113の第2端には、第3AビアVA3、パターン114及び第4AビアVA4を介して、1層目のパターン115の第1端が接続されている。パターン115の第2端には、第5AビアVA5を介して、2層目のパターン116の第1端が接続されている。パターン116の第2端には、第6AビアVA6、パターン117及び第7AビアVA7を介して、4層目の第2受信端部118が接続されている。第2受信端部118は、受信回路95に接続されている。受信回路95は、第1受信端部111及び第2受信端部118の電位差を第1出力電圧信号v1として検出する。
【0033】
第1受信コイル110は、図7(a)に示すように、基板91の平面視において励磁コイル100に囲まれた領域に設けられている。また、第1受信コイル110は、励磁コイル100に励磁電圧が供給されている場合、第1受信コイル110の第1受信端部111及び第2受信端部118の間に第1極性の電圧を発生させる第1部分と、第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分とから構成されることとなる。詳しくは、図7(b)に示すように、基板91の平面視において、第1受信コイル110の周方向の中央部が1ターンの第1部分110Aとされ、第1受信コイル110のうち第1部分110Aの両端部が、第1部分110Aと同じターン数(1ターン)の第2部分110Bとされている。これにより、第1受信コイル110の周方向の中央軸線Ltに対して一方側の第1,第2部分110A,110Bのパターン形状と他方側の第1,第2部分110A,110Bのパターン形状とが上記中央軸線Ltに対して対称になっている。
【0034】
続いて、第2受信コイル120について説明する。第2受信コイル120は、図8図11に示すように、1~4層目に形成されている。図10に示すように、3層目には、受信回路95に電気的に接続された第3受信端部121が形成されている。第3受信端部121には、第1BビアVB1を介して、2層目のパターン122の第1端が接続されている。パターン122の第2端には、第2BビアVB2を介して、1層目のパターン123の第1端が接続されている。パターン123の第2端には、第3AビアVA3、パターン124及び第4BビアVB4を介して、1層目のパターン125の第1端が接続されている。パターン125の第2端には、第5BビアVB5を介して、2層目のパターン126の第1端が接続されている。パターン126の第2端には、第6BビアVB6、パターン127及び第7BビアVB7を介して、4層目の第4受信端部128が接続されている。第4受信端部128は、受信回路95に接続されている。受信回路95は、第3受信端部121及び第4受信端部128の電位差を第2出力電圧信号v2として検出する。
【0035】
第2受信コイル120は、図7(a)に示すように、基板91の平面視において励磁コイル100に囲まれた領域に設けられている。第2受信コイル120の周方向長さは、第1受信コイル110の周方向長さと同じである。第2受信コイル120の径方向長さは、第1受信コイル110の径方向長さよりも大きい。
【0036】
図7(c)に示すように、第2受信コイル120は、第1受信コイル110と同様に、第1部分120A及び第2部分120Bから構成されている。基板91の平面視において、第2受信コイル120の周方向の中央軸線Ltに対して一方側が第1部分120Aとされ、他方側が第2部分120Bとされている。
【0037】
第1受信コイル110及び第2受信コイル120において、中央軸線Ltから周方向端までの周方向長さは、遮蔽部81及び切欠82の周方向長さL1と同じである。また、図7(a)に示すように、基板91の平面視において、第2受信コイル120の周方向両端位置は、第1受信コイル110の周方向両端位置と同じである。
【0038】
基板91の平面視において、第2受信コイル120の径方向外側端の位置は、図12に示すように、外輪51の中心軸線LCoを中心とする第1同心円C1上に存在する。第1受信コイル110の径方向外側端の位置は、中心軸線LCoを中心とする第2同心円C2上に存在する。第2同心円C2の半径は、第1同心円C1の半径よりも小さい。第1受信コイル110の径方向内側端の位置は、中心軸線LCoを中心とする第3同心円C3上に存在する。第3同心円C3の半径は、第2同心円C2の半径よりも小さい。第2受信コイル120の径方向内側端の位置は、中心軸線LCoを中心とする第4同心円C4上に存在する。第4同心円C4の半径は、第3同心円C3の半径よりも小さい。
【0039】
第2受信コイル120の径方向外側端部は、基準状態における遮蔽部81の径方向外側端81aからはみ出している。基準状態は、任意に設定することができる。基準状態とは、例えば車両の停車状態であり、具体的には例えば水平な路面に車両が停車している状態である。図12に示すCPは、外輪51の中心軸線LCoを中心として、かつ、基準状態における遮蔽部81の径方向外側端81aを通る同心円CPである。
【0040】
続いて、図13図23を用いて、検出ユニット90によって変位及び回転角を検出できる原理について説明する。
【0041】
まず、図13及び図14を用いて、この原理の概要について説明する。図13に示すように、励磁コイルに高周波の励磁電圧vr(t)が供給されると、励磁コイルに高周波電流が流れる。その電流により磁束φ(t)が発生し、磁束φ(t)が受信コイルを鎖交する。受信コイルの両端には、鎖交磁束の時間変化率に比例した電圧ve(t)が誘起される。
【0042】
図14には、金属部分である遮蔽部により受信コイルの一部が覆われた状態を示す。遮蔽部のうち受信コイルと対向する部分には、励磁コイルの通電に伴う鎖交磁束により渦電流が流れる。この渦電流により、受信コイルに誘起電圧を発生させる磁束を弱める向きに磁束が発生し、受信コイルの誘起電圧の振幅が小さくなる。つまり、受信コイルの両端の電位差の振幅は、受信コイルのうち遮蔽部に覆われていない面積に比例する。
【0043】
図13及び図14の説明事項を踏まえ、図15及び図16を用いて、第2受信コイル120を例にして検出原理について説明する。図15及び図16は、図7等に示した第2受信コイル120及び遮蔽部81を、周方向を直線状にして示した図である。図16は、第2受信コイル120及び遮蔽部81の相対的な位置関係と、第2受信コイル120の第2出力電圧信号v2の推移とを示す図である。
【0044】
図15及び図16において、第2受信端部118から第1受信端部111へと電流が流れる方向(I+)を正方向と称し、第1受信端部111から第2受信端部118へと電流が流れる方向(I-)を負方向と称すこととする。また、図15及び図16では、紙面手前側から奥側に、励磁コイル100からの磁束が通過する。
【0045】
図16の時刻t1において、第1部分120Aの中央側の半分と、第2部分120Bの中央側の半分とが遮蔽部81により覆われている。第1部分120Aには正方向に電流を流そうとする電圧が誘起され、第2部分120Bには負方向に電流を流そうとする電圧が誘起される。その結果、第1部分120Aで発生する誘起電圧と第2部分120Bで発生する誘起電圧とが打ち消し合い、第2出力電圧信号v2の振幅が0となる。
【0046】
時刻t2において、第1部分120A及び第2部分120Bのうち第2部分120Bが遮蔽部81により覆われる。この場合、第1部分120Aには正方向に電流を流そうとする電圧が誘起され、第2部分120Bの誘起電圧が0となる。その結果、第2出力電圧信号v2の振幅が第1極性(正極性)側の最大値となる。この最大値は、レース部80が第2受信コイル120に近づくほど大きくなる。
【0047】
時刻t3において、第1部分120Aの端部側の半分と、第2部分120Bの端部側の半分とが遮蔽部81により覆われている。第1部分120Aには正方向に電流を流そうとする電圧が誘起され、第2部分120Bには負方向に電流を流そうとする電圧が誘起される。その結果、第1部分120Aで発生する誘起電圧と第2部分120Bで発生する誘起電圧とが打ち消し合い、第2出力電圧信号v2の振幅が0となる。
【0048】
時刻t4において、第1部分120A及び第2部分120Bのうち第1部分120Aが遮蔽部81により覆われる。この場合、第2部分120Bには負方向に電流を流そうとする電圧が誘起され、第1部分120Aの誘起電圧が0となる。その結果、第2出力電圧信号v2の振幅が、第1極性とは逆極性の第2極性(負極性)側の最大値となる。この最大値は、レース部80が第2受信コイル120に近づくほど大きくなる。
【0049】
本実施形態では、レース部80の径方向外側端部に遮蔽部81及び切欠82が交互に形成されている。このため、回転子30の回転中において、第2受信コイル120の第2出力電圧信号v2の振幅は周期的に変化し、図16及び図17に破線にて示すように、第2出力電圧信号v2の包絡線(以下、第2包絡線ENV2)は、正弦波状になる。例えば、磁石ユニット32の磁極位置の周方向間隔と、遮蔽部81及び切欠82の周方向長さとを関係付けて設定することにより、振幅又は包絡線と電気角θeとを対応付けることができる。
【0050】
本実施形態では、励磁コイル100に励磁電圧が供給されている場合において、第2受信コイル120の第2出力電圧信号v2に対する第1受信コイル110の第1出力電圧信号v1の位相差が90度である。このため、図17に一点鎖線にて示すように、第2包絡線ENV2に対する第1出力電圧信号v1の包絡線(以下、第1包絡線ENV1)の位相差も90度である。
【0051】
図17に示すように、第2包絡線ENV2の振幅は、第1包絡線ENV1の振幅よりも小さい。これは、図7(a)に示すように、基板91の平面視において、第2受信コイル120により囲まれる面積が第1受信コイル110により囲まれる面積よりも大きいためである。
【0052】
受信回路95は、基準状態における第1包絡線ES1の振幅に対する実際の第1包絡線ENV1の振幅のずれ量を第1変位信号として処理部70に出力する。また、受信回路95は、基準状態における第2包絡線ES2の振幅に対する実際の第2包絡線ENV2の振幅のずれ量を第2変位信号として処理部70に出力する。本実施形態では、基準状態における第1,第2変位信号が0となるように受信回路95が構成されている。各変位信号は、各出力電圧信号v1,v2の正極性側の振幅最大値及び負極性側の振幅最大値が出現するたびに更新される。
【0053】
車輪に作用する横力が変化する場合について説明する。
【0054】
横力の方向が車幅方向外側を向いている場合、レース部80の上端部が固定子ベース部42側に近づき、下端部がホイール10側に近づくように外輪51に対して内輪52が傾く。この場合における軸方向変位ΔY及び各変位信号の極性を、図18に示すように正とする。軸方向変位ΔYが正方向に大きくなるほど、各変位信号が正方向に大きくなる。これは、図19(a)に示すように、レース部80が第1,第2受信コイル110,120に近づくほど、基準状態における第1,第2包絡線ES1,ES2に対して、実際の第1,第2包絡線ENV1,ENV2が大きくなるためである。
【0055】
横力の方向が車幅方向内側を向いている場合、レース部80の下端部が固定子ベース部42側に近づき、上端部がホイール10側に近づくように外輪51に対して内輪52が傾く。この場合における軸方向変位ΔY及び各変位信号の極性を、図18に示すように負とする。軸方向変位ΔYが負方向に大きくなるほど、各変位信号が負方向に大きくなる。これは、図19(b)に示すように、レース部80が第1,第2受信コイル110,120から離れるほど、基準状態における第1,第2包絡線ES1,ES2に対して、実際の第1,第2包絡線ENV1,ENV2が小さくなるためである。一方、基準状態における第1,第2変位信号は0となる。
【0056】
続いて、車輪に作用する垂直荷重が変化する場合について説明する。
【0057】
図20に、基準状態における各受信コイル110,120及び遮蔽部81の相対位置関係を示す。図20は、図7等に示した第1,第2受信コイル110,120及び遮蔽部81を、周方向を直線状にして示した図である。図中、ハッチングにて示す部分は、各受信コイル110,120のうち遮蔽部81により覆われる部分である。図21(a)に、基準状態における各包絡線の推移を示す。
【0058】
上向きの垂直荷重が増加する場合、レース部80の上端部が上側に変位する。この場合における上下方向変位ΔZ及び各変位信号の極性を、図22に示すように正とする。上下方向変位ΔZが正方向に大きくなるほど、各変位信号が正方向に大きくなる。これは、図20(b)に示すように、レース部80が上側に変位するほど、第2受信コイル120のうち遮蔽部81により覆われる面積が増加し、図21(b)に示すように、基準状態における第1,第2包絡線ES1,ES2に対して、実際の第1,第2包絡線ENV1,ENV2が大きくなるためである。
【0059】
一方、下向きの垂直荷重が増加する場合、レース部80の上端部が下側に変位する。この場合における上下方向変位ΔZ及び各変位信号の極性を、図22に示すように負とする。上下方向変位ΔZが負方向に大きくなるほど、各変位信号が負方向に大きくなる。これは、図20(c)に示すように、レース部80が下側に変位するほど、第2受信コイル120のうち遮蔽部81により覆われる面積が減少し、図21(c)に示すように、基準状態における第1,第2包絡線ES1,ES2に対して、実際の第1,第2包絡線ENV1,ENV2が小さくなるためである。
【0060】
図18に示すように、軸方向変位ΔYの単位変化量あたりの第2変位信号の変化量である第2横力係数K2yは、軸方向変位ΔYの単位変化量あたりの第1変化信号の変化量である第1横力係数K1yよりも大きい。これは、基板91の平面視において、第2受信コイル120により囲まれる面積が第1受信コイル110により囲まれる面積よりも大きいためである。
【0061】
図22に示すように、上下方向変位ΔZの単位変化量あたりの第2変位信号の変化量である第2垂直荷重係数K2zは、上下方向変位ΔZの単位変化量あたりの第1変化信号の変化量である第1垂直荷重係数K1zよりも大きい。これは、基板91の平面視において、第2受信コイル120により囲まれる面積が第1受信コイル110により囲まれる面積よりも大きいためである。
【0062】
また、第2垂直荷重係数K2zは第2横力係数K2yよりも小さく、第1垂直荷重係数K1zは第1横力係数K1yよりも小さい。これは、例えば、車輪における上下方向の剛性が車幅方向の剛性よりも大きいことに起因する。本実施形態では、「K2y>K1y>K2z>K1z」の関係になっている。
【0063】
以上から、軸方向変位ΔY及び上下方向変位ΔZの組み合わせと、第1変位信号及び第2変位信号の組み合わせとを一義的に紐づけることができる。このため、処理部70を構成する変位算出部71は、第1,第2変位信号と、第1,第2変位信号、軸方向変位ΔY及び上下方向変位ΔZが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、軸方向変位ΔY及び上下方向変位ΔZを算出する。
【0064】
処理部70を構成する力算出部72は、算出された軸方向変位ΔYと、軸方向変位ΔY及び横力Fyが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、横力Fyを算出する。力算出部72は、算出された上下方向変位ΔZと、上下方向変位ΔZ及び垂直荷重Fzが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、垂直荷重Fzを算出する。
【0065】
なお、上記マップ情報又は数式情報は、処理部70が備える記憶部(例えば不揮発性メモリ)に記憶されていればよい。また、力算出部72は、第1,第2変位信号と、第1,第2変位信号、横力Fy及び垂直荷重Fzが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、横力Fy及び垂直荷重Fzを算出してもよい。第1,第2変位信号と、マップ情報又は数式情報とに基づく荷重の算出は、第1,第2変位信号が登場する以下の各実施形態においても同様に適用できる。
【0066】
処理部70を構成する角度算出部73は、第1出力電圧信号v1及び第2出力電圧信号v2の少なくとも一方に基づいて、回転子30の回転角(例えば電気角θe)を算出する。
【0067】
具体的には例えば、角度算出部73は、第1包絡線ENV1又は第2包絡線ENV2に基づいて、電気角θeを算出すればよい。これは、包絡線が出力電圧信号の振幅の推移を示す情報であること、及び出力電圧信号の振幅が回転角に依存することに基づく算出方法である。
【0068】
また、例えば、角度算出部73は、第1出力電圧信号v1、第2出力電圧信号v2及び励磁電圧vrを入力として、同期検波及びローパスフィルタを用いることにより、電気角θeを算出すればよい。この算出方法は、デジタルトラッキング方式のものであり、例えば、特開2015-073407の明細書の段落0028~0030に記載されている。
【0069】
以上詳述した本実施形態によれば、軸方向変位ΔY及び上下方向変位ΔZを適正に算出することができ、ひいては横力Fy及び垂直荷重Fzの算出精度を高めることができる。また、本実施形態によれば、以下の効果も得られる。
【0070】
固定子ベース部42のうち、径方向において軸受50から離れた位置であって、軸方向においてレース部80の径方向端部と対向する位置に、検出ユニット90が設けられている。レース部80のうち軸方向において検出ユニット90と対向する部分は、軸受50から径方向外側に離れた部分である。このため、車輪に横力が作用する場合において、レース部80のうち軸方向において検出ユニット90と対向する部分の軸方向の変位を大きくすることができる。その結果、軸方向変位ΔYの検出精度を高めることができ、ひいては車両のばね下を構成する車輪の横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0071】
インホイールモータ20をアウタロータ型の構成としたため、レース部80の径方向端部を、軸受50から径方向に大きく離れた位置に配置することができる。これにより、軸方向変位ΔYの検出精度を高めることができる。
【0072】
第1受信コイル110及び第2受信コイル120が、固定子巻線41を構成するコイルエンド部よりも軸方向においてホイール10側に設けられている。これにより、固定子巻線41への通電に伴うノイズ等が第1受信コイル110及び第2受信コイル120の誘起電圧に及ぼす影響を抑制できる。その結果、軸方向変位ΔY、上下方向変位ΔZ及び回転角の検出精度を高めることができる。
【0073】
<第1実施形態の変形例1>
レース部は、図1等に示した構成に限らず、例えば、以下(A),(B)の構成であってもよい。
【0074】
(A)図24に示すように、レース部83には、遮蔽部85と、レース部を貫く開口84とが周方向において交互に設けられている。なお、図24の83aは、図1及び図2に示す屈曲部80aに相当する。また、開口84の周方向長さが図2の切欠82の周方向長さに対応する。
【0075】
(B)図25及び図26に示すように、レース部83には、レース部83の平坦面から内輪52の軸方向に突出する凸部87と、レース部83の平坦面から軸方向に突出するとともに凸部87に対して内輪52の軸方向に凹む凹部88とが周方向において交互に設けられている。なお、凸部87の周方向長さが図2の遮蔽部81の周方向長さに対応し、凹部88の周方向長さが図2の切欠82の周方向長さに対応する。凹部88及び凸部87が設けられていることにより、回転子30の回転中において、各受信コイル110,120とレース部83との軸方向距離が変化する。この変化を利用して、第1実施形態と同様に、軸方向変位ΔYを検出することができる。
【0076】
<第1実施形態の変形例2>
基板91に形成される2つの受信コイルが、同じ形状のコイル(例えば第2受信コイル120)であってもよい。この場合、2つの受信コイルの誘起電圧の位相が同じになる。
【0077】
<第1実施形態の変形例3>
図27に示すように、遮蔽部81の径方向外側端部のうち周方向両端部に切欠81bが形成されていてもよい。この場合、遮蔽部81の径方向外側端部が台形状となり、遮蔽部81の径方向外側端部において、径方向外側にいくほど周方向長さ寸法が小さくなる。これにより、レース部80が上下方向に変位する場合における第2包絡線ENV2の振幅変化量を大きくでき、横力係数を垂直荷重係数に対してより大きくできる。その結果、上下方向変位ΔZの検出精度を高めることができる。
【0078】
<第1実施形態の変形例4>
図28に示すように、基板91を、上下方向に対して傾斜させた状態にしてもよい。図28に示す例では、この傾斜により、基板91と遮蔽部81との軸方向距離が上側にいくほど大きくなっている。これにより、横力係数及び垂直荷重係数を図18及び図22に示す値から変化させることができる。
【0079】
<第2実施形態>
本実施形態では、図29に示すように、第1受信コイル130及び第2受信コイル140の形状が変更されている。図29は、第1,第2受信コイル130,140及び遮蔽部81を、周方向を直線状にして示した図である。第1受信コイル130は、第1実施形態の第1受信コイル110に対応し、第2受信コイル140は、第1実施形態の第2受信コイル120に対応している。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0080】
第1受信コイル130の径方向寸法と、第2受信コイル140の径方向寸法とは同じである。基板91の平面視において、第2受信コイル140の径方向外側端の位置は、外輪51の中心軸線LCoを中心とする第1同心円CA上に存在する。第1受信コイル130の径方向外側端の位置は、中心軸線LCoを中心とする第2同心円CB上に存在する。第2同心円CBの半径は、第1同心円CAの半径よりも小さい。第2受信コイル140の径方向外側端部は、基準状態における遮蔽部81の径方向外側端81aからはみ出している。
【0081】
本実施形態においても、図18及び図22に示すような特性がある。このため、変位算出部71及び力算出部72により、第1実施形態と同様に算出処理を行うことができる。
【0082】
<第3実施形態>
本実施形態では、2つの受信コイルに代えて、1つの受信コイルの出力電圧信号に基づいて、軸方向変位ΔY及び上下方向変位ΔZが算出される。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0083】
図30は、受信コイル150を、周方向を直線状にして示した図である。受信コイル150は、第1実施形態の第2受信コイル120に対応し、第1部分150A及び第2部分150Bを有している。受信コイル150は、基板91に形成されている。第1部分150A、第2部分150B及び遮蔽部81の周方向寸法は同じである。
【0084】
基板91の平面視において、第1部分150Aの径方向外側端の位置は、外輪51の中心軸線LCoを中心とする第1同心円Cα上に存在する。第2部分150Bの径方向外側端の位置は、中心軸線LCoを中心とする第2同心円Cβ上に存在する。第2同心円Cβの半径は、第1同心円Cαの半径よりも小さい。第1部分150Aにより囲まれる面積は、第2部分150Bにより囲まれる面積よりも大きい。第1部分150Aの径方向外側端部は、基準状態における遮蔽部81の径方向外側端81aからはみ出している。
【0085】
続いて、図31図33を用いて、1つの受信コイル150の出力電圧信号に基づいて、軸方向変位ΔY及び上下方向変位ΔZを算出できる理由について説明する。
【0086】
図31には、基準状態における受信コイル150及び遮蔽部81の相対位置関係と、基準状態における上記出力電圧信号の包絡線(以下、基準包絡線ES)の推移とを示す。図31(a)には、受信コイル150の平面視において、第1部分150Aの一部が遮蔽部81により覆われている状態を示す。図31(b)には、レース部80が回転し、第1部分150A及び第2部分150Bの一部が遮蔽部81により覆われている状態を示す。図31(c)には、レース部80が更に回転し、第2部分150B全てが遮蔽部81により覆われている状態を示す。
【0087】
基準包絡線ESにおいて、相対的に小さい小振幅と、相対的に大きい大振幅とが交互に出現する。図31には、基準包絡線ESのゼロクロスタイミングをts0にて示す。図31において、受信コイル150と遮蔽部81との相対位置関係が(a)の場合における基準包絡線ESは時刻tsaの値(つまり、小振幅)となり、(b)の場合における基準包絡線ESは時刻tsbの値となり、(c)の場合における基準包絡線ESは時刻tscの値(つまり、大振幅)となる。
【0088】
続いて、図32に、車輪に車幅方向内側の横力が作用する場合における受信コイル150及び遮蔽部81の相対位置関係と、出力電圧信号の包絡線ENVの推移とを示す。図32において、受信コイル150と遮蔽部81との相対位置関係が(a)の場合における包絡線ENVは時刻tyaの値(つまり、小振幅)となり、(b)の場合における包絡線ENVは時刻tybの値となり、(c)の場合における基準包絡線ESは時刻tycの値(つまり、大振幅)となる。
【0089】
車幅方向内側の横力が車輪に作用すると、遮蔽部81が受信コイル150から離れるように変位する。この場合、包絡線ENVの小振幅は、基準包絡線ESの小振幅よりも小さくなり、包絡線ENVの大振幅は、基準包絡線ESの大振幅よりも小さくなる。また、包絡線ENVのゼロクロスタイミングty0が、基準包絡線ESのゼロクロスタイミングts0から遅れる。
【0090】
一方、車幅方向外側の横力が車輪に作用すると、遮蔽部81が受信コイル150に近づくように変位する。この場合、包絡線ENVの小振幅は、基準包絡線ESの小振幅よりも大きくなり、包絡線ENVの大振幅は、基準包絡線ESの大振幅よりも大きくなる。また、包絡線ENVのゼロクロスタイミングty0が、基準包絡線ESのゼロクロスタイミングts0よりも早まる。
【0091】
したがって、包絡線の大振幅及び小振幅と、基準包絡線ESのゼロクロスタイミング及び包絡線ENVのゼロクロスタイミングのずれ量とに基づいて、軸方向変位ΔYを把握することができる。
【0092】
続いて、図33に、車輪に作用する上向きの垂直荷重が増加する場合における受信コイル150及び遮蔽部81の相対位置関係と、出力電圧信号の包絡線ENVの推移とを示す。図33において、受信コイル150と遮蔽部81との相対位置関係が(a)の場合における包絡線ENVは時刻tzaの値(つまり、小振幅)となり、(b)の場合における包絡線ENVは時刻tzbの値となり、(c)の場合における基準包絡線ESは時刻tzcの値(つまり、大振幅)となる。
【0093】
基準状態に対して上向きの垂直荷重が増加すると、遮蔽部81が上側に変位する。この場合、包絡線ENVの小振幅は、基準包絡線ESの小振幅よりも大きくなる。これは、第1部分150Aにおいて遮蔽部81により覆われる面積が増加し、第2部分150B側で発生する電位差を打ち消そうとする第1部分150Aの誘起電圧が小さくなるためである。また、包絡線ENVの大振幅は、基準包絡線ESの大振幅から変化しない。これは、遮蔽部81が上側に変位した場合であっても、第2部分150Bの径方向外側端が遮蔽部81からはみ出さないためである。
【0094】
基準状態に対して上向きの垂直荷重が増加すると、包絡線ENVのゼロクロスタイミングtz0が、基準包絡線ESのゼロクロスタイミングts0から遅れる。
【0095】
一方、基準状態に対して下向きの垂直荷重が増加すると、遮蔽部81が下側に変位する。この場合、包絡線ENVの小振幅は、基準包絡線ESの小振幅よりも小さくなり、包絡線ENVの大振幅は、基準包絡線ESの大振幅から変化しない。また、包絡線ENVのゼロクロスタイミングtz0が、基準包絡線ESのゼロクロスタイミングts0よりも早まる。
【0096】
したがって、包絡線の大振幅及び小振幅と、基準包絡線ESのゼロクロスタイミング及び包絡線ENVのゼロクロスタイミングのずれ量とに基づいて、上下方向変位ΔZを把握することができる。
【0097】
以上から、包絡線ENVの小振幅、大振幅及び基準包絡線ESのゼロクロスタイミングと包絡線ENVのゼロクロスタイミングとのずれ量の組み合わせと、軸方向変位ΔY及び上下方向変位ΔZの組み合わせとを紐づけたマップ情報又は数式情報が作成できる。変位算出部71は、受信コイル150の出力電圧信号に基づく包絡線ENVを用いて、包絡線ENVの小振幅及び大振幅と、基準包絡線ESのゼロクロスタイミングからのずれ量とを算出する。変位算出部71は、算出した小振幅及び大振幅と、上記ずれ量と、上記マップ情報又は数式情報とに基づいて、軸方向変位ΔY及び上下方向変位ΔZを算出する。力算出部72は、算出された軸方向変位ΔYと、軸方向変位ΔY及び横力Fyが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、横力Fyを算出する。力算出部72は、算出された上下方向変位ΔZと、上下方向変位ΔZ及び垂直荷重Fzが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、垂直荷重Fzを算出する。なお、変位算出部71は、例えば、回転子30の電気角と関係付けて設定された基準タイミングを、基準包絡線ESのゼロクロスタイミングとして把握すればよい。また、マップ情報又は数式情報として、包絡線ENVの小振幅、大振幅及び基準包絡線ESのゼロクロスタイミングと包絡線ENVのゼロクロスタイミングとのずれ量の組み合わせと、横力Fy及び垂直荷重Fzの組み合わせとを紐づけたマップ情報又は数式情報が記憶部に記憶されていてもよい。この場合、力算出部72は、このマップ情報又は数式情報と、算出した小振幅及び大振幅と、算出した上記ずれ量とに基づいて、横力Fy及び垂直荷重Fzを算出すればよい。
【0098】
<第3実施形態の変形例>
受信コイルとして、図7(b)のような形状の受信コイルが用いられてもよい。この場合、受信コイルの第1部分及び第2部分のうち一方の径方向寸法が他方の径方向寸法よりも大きくなっていればよい。
【0099】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態の検出ユニット90は、垂直荷重Fzに代えて、車両の車長方向において接地面GLと車輪との間に作用する力(以下、前後荷重Fx)を算出する。横力Fyが作用する方向と前後荷重Fxが作用する方向とは直交する。前後荷重Fxは、制御装置において車両の走行制御に用いられる。
【0100】
図34に、レース部80及び検出ユニット90を示す。
【0101】
基板91に形成された第1,第2受信コイル110,120は、内輪52の中心軸線LCi(レース部80の回転中心)を通る水平軸線HLを跨いた状態で設けられている。例えば、レース部80の平坦面の平面視において、第1,第2受信コイル110,120の周方向の中央軸線Ltと水平軸線HLとが一致するように基板91が配置されている。
【0102】
第1,第2受信コイル110,120は、レース部80の車長方向両端部のうち、車両前側の端部又は車両後側の端部付近に設けられている。以下、車両前側の端部に第1,第2受信コイル110,120が設けられている場合を例にして説明する。
【0103】
車両が加速する場合における前後荷重Fxを正とし、車両が減速する場合における前後荷重Fxを負とする。前後荷重Fxが正となる場合、遮蔽部81が車両進行方向側に変位する。この状態は、第1実施形態において車輪に作用する上向きの垂直荷重が増加する状態に対応する。一方、前後荷重Fxが負となる場合、遮蔽部81が車両進行方向とは逆側に変位する。この状態は、第1実施形態において車輪に作用する下向きの垂直荷重が増加する状態に対応する。
【0104】
受信回路95は、第1実施形態と同様に、基準状態における第1包絡線ES1の振幅に対する実際の第1包絡線ENV1の振幅のずれ量を第1変位信号として処理部70に出力する。また、受信回路95は、基準状態における第2包絡線ES2の振幅に対する実際の第2包絡線ENV2の振幅のずれ量を第2変位信号として処理部70に出力する。
【0105】
変位算出部71は、第1,第2変位信号と、第1,第2変位信号、軸方向変位ΔY及び車長方向変位ΔXが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、軸方向変位ΔY及び車長方向変位ΔXを算出する。
【0106】
力算出部72は、算出された軸方向変位ΔYと、軸方向変位ΔY及び横力Fyが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、横力Fyを算出する。力算出部72は、算出された車長方向変位ΔXと、車長方向変位ΔX及び前後荷重Fxが関係付けられたマップ情報又は数式情報に基づいて、前後荷重Fxを算出する。
【0107】
以上説明した本実施形態によれば、単一の検出ユニット90により、軸方向変位ΔY及び車長方向変位ΔXを検出することができる。
【0108】
<第4実施形態の変形例>
第1,第2受信コイルとして、図29に示す第1,第2受信コイル130,140が用いられてもよい。また、受信コイルとしては、2つに限らず、図30に示す1つの受信コイルが用いられてもよい。
【0109】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図35に示すように、回転子30、レース部80及び軸受50の同軸度を小さくできる構成が採用されている。なお、図35において、先の図1等に示した構成と同一の構成又は対応する構成については、便宜上、同一の符号を付している。また、本実施形態のレース部80には屈曲部80aが形成されていない。
【0110】
回転子30を構成する平板部33の径方向中央部には、貫通孔33aが形成されている。平板部33のうち車幅方向内側の面には、径方向内側端部から径方向外側に向かって延びる円環状の段差部33bが形成されている。段差部33bのうち車幅方向内側の面は平坦面とされている。段差部33bのうち径方向内側端部には、車幅方向内側に突出する円環状の位置決め部33cが形成されている。
【0111】
レース部80の径方向中央部には、貫通孔80bが形成されている。段差部33bの平坦面にレース部80の平坦面が当接した状態で、レース部80の貫通孔80bに位置決め部33cが嵌め合わされる。これにより、回転子30の回転中心軸線とレース部80の回転中心軸線とが同軸にされている。
【0112】
内輪52のフランジ部52bのうち径方向内側端部には、車幅方向外側に突出する円環状の軸受側段差部52cが形成されている。平板部33のうち位置決め部33cよりも径方向内側部分は、車幅方向外側に凹む円環状の凹部33dが形成されている。軸受側段差部52cが凹部33dに嵌め合わされることにより、内輪52の中心軸線、回転子30の回転中心軸線及びレース部80の回転中心軸線が同軸にされている。特に本実施形態では、フランジ部52bの車幅方向外側の平坦面と、レース部80及び位置決め部33cの平坦面とが当接している。これにより、回転子30の回転中心軸線、レース部80の回転中心軸線及び内輪52の中心軸線の同軸度を好適に小さくできる。
【0113】
平板部33、レース部80及びフランジ部52bには、軸方向に貫通する第1貫通孔が形成されている。第1貫通孔は、周方向に並んで(例えば、周方向に等間隔に並んで)複数形成されている。各第1貫通孔には、ボルト200が挿通されている。ボルト200の頭部を車幅方向外側に向けるとともにボルト200の軸部を車幅方向内側に向けた状態で、ボルト200が第1貫通孔に挿通されている。この挿通状態において、軸部の先端部の雄ネジがナット201の雌ネジにねじ込まれている。これにより、重ね合わされた状態の平板部33、レース部80及びフランジ部52bがボルト200の頭部とナット201とにより挟み込まれる。その結果、回転子30、レース部80及び軸受50が一体化されている。
【0114】
平板部33、レース部80、フランジ部52b及びディスク部12には、軸方向に貫通する第2貫通孔が形成されている。第2貫通孔は、第1貫通孔の形成位置からずれた位置に、周方向に並んで(例えば、周方向に等間隔に並んで)複数形成されている。各第2貫通孔には、ボルト210が挿通されている。ボルト210の頭部を車幅方向内側に向けるとともにボルト210の軸部を車幅方向外側に向けた状態で、ボルト210が第2貫通孔に挿通されている。この挿通状態において、ボルト210の雄ネジがナット211の雌ネジにねじ込まれている。これにより、重ね合わされた状態の平板部33、フランジ部52b、レース部80及びディスク部12がボルト210の頭部とナット211とにより挟み込まれる。その結果、回転子30、軸受50、レース部80及びホイール10が一体化されている。
【0115】
続いて、駆動輪の製造方法について説明する。この製造方法では、レース部80を備えるモータASSYを組み立てた後、モータASSYをホイール10に組み付ける。
【0116】
段差部33bの平坦面にレース部80の平坦面を当接させた状態で、レース部80の貫通孔80bに位置決め部33cを嵌め合わせる。その後、レース部80を段差部33b及びフランジ部52bで挟みつつ、軸受側段差部52cを凹部33dに嵌め合わせる。
【0117】
平板部33、レース部80及びフランジ部52bを重ねた状態で、ボルト200の頭部を回転子30の外側に向けてボルト200を各第1貫通孔に挿通する。そして、ボルト200の雄ネジにナット201の雌ネジをねじ込む。これにより、重ね合わされた状態の平板部33、レース部80及びフランジ部52bがボルト200の頭部とナット201とにより挟み込まれる。これにより、回転子30、レース部80及び軸受50が一体化されたモータASSYとなる。ここで、段差部33bの平坦面にレース部80の平坦面を当接させているため、ボルト200にナット201がねじ込まれる場合におけるレース部80の反りを抑制することができる。
【0118】
モータASSYとディスク部12とを重ねた状態で、ボルト210の頭部を固定子ベース部42側に向けてボルト210を各第2貫通孔に挿通する。そして、ボルト210の雄ネジにナット211の雌ネジをねじ込む。これにより、モータASSY及びホイール10が一体化される。
【0119】
以上説明した本実施形態によれば、回転子30、レース部80及び軸受50の同軸度を小さくした駆動輪を提供することができる。これにより、検出ユニット90による検出精度を高めることができる。
【0120】
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、第5実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図36に示すように、レース部80が、内輪52ではなく、回転子30に固定されている。なお、図36において、先の図35等に示した構成と同一の構成又は対応する構成については、便宜上、同一の符号を付している。
【0121】
段差部33bの平坦面にレース部80の平坦面が当接した状態で、レース部80の貫通孔80bに位置決め部33cが嵌め合わされている。この状態で、ボルト220によりレース部80と段差部33bとが固定されている。
【0122】
平板部33及びフランジ部52bには、軸方向に貫通する第1貫通孔が形成されている。第1貫通孔は、周方向に並んで(例えば、周方向に等間隔に並んで)複数形成されている。各第1貫通孔には、ボルト230が挿通されている。ボルト230の頭部を車幅方向内側に向けるとともにボルト230の軸部を車幅方向外側に向けた状態で、ボルト230が第1貫通孔に挿通されている。この挿通状態において、ボルト230の雄ネジがナット231の雌ネジにねじ込まれている。これにより、重ね合わされた状態の平板部33及びフランジ部52bがボルト230の頭部とナット231とにより挟み込まれる。その結果、回転子30、レース部80及び軸受50が一体化されている。
【0123】
平板部33、フランジ部52b及びディスク部12には、軸方向に貫通する第2貫通孔が形成されている。第2貫通孔は、径方向において第1貫通孔の形成位置からずれた位置に、周方向に並んで(例えば、周方向に等間隔に並んで)複数形成されている。各第2貫通孔には、ボルト240が挿通されている。ボルト240の頭部を車幅方向内側に向けるとともにボルト240の軸部を車幅方向外側に向けた状態で、ボルト240が第2貫通孔に挿通されている。この挿通状態において、ボルト240の雄ネジがナット241の雌ネジにねじ込まれている。これにより、重ね合わされた状態の平板部33、フランジ部52b及びディスク部12がボルト240の頭部とナット241とにより挟み込まれる。その結果、回転子30及びホイール10が一体化されている。
【0124】
<第7実施形態>
以下、第7実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、処理部70による横力Fyの算出方法を変更する。
【0125】
処理部70は、マイコンを主体として構成され、マイコンは、CPUを備えている。マイコンが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコンがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコンは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する図39等に示す力算出処理のプログラムが含まれる。プログラムが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えばOTA(Over The Air)等、インターネット等の通信ネットワークを介して更新可能である。
【0126】
図37に、本実施形態に係る処理部70のブロック図を示す。
【0127】
処理部70を構成する変位算出部71は、オフセット電圧算出部160及び変位電圧算出部161を備えている。オフセット電圧算出部160には、角度算出部73により算出された電気角θeが入力される。
【0128】
オフセット電圧算出部160は、電気角θeに基づいて、軸方向オフセット電圧vоftyを算出する。軸方向オフセット電圧vоftyは、基準状態における第1包絡線ENV1である。本実施形態において、軸方向オフセット電圧vоftyは、1周期の平均値が0になり、ゼロアップクロスタイミング及びゼロダウンクロスタイミングが、第1包絡線ENV1(図17参照)と同じ信号である。基準状態は、任意に設定することができる。基準状態とは、上述したように、例えば車両の停車状態であり、具体的には例えば水平な路面に車両が停車している状態である。本実施形態では、第1包絡線ENV1の1周期と、回転子30の1電気角周期とが同じ周期に設定されている(図40参照)。また、軸方向オフセット電圧vоftyは、例えば、車両用検出装置の設計時に適合された値であってもよいし、車両用検出装置の出荷検査時に測定された値であってもよい。
【0129】
変位電圧算出部161は、第1包絡線ENV1を受信回路95から取得する信号取得部としても機能する。変位電圧算出部161は、第1包絡線ENV1から軸方向オフセット電圧vоftyを差し引くことにより、軸方向変位電圧vdy(=ENV1-vоfty)を算出する。なお、変位電圧算出部161は、受信回路95から第1出力電圧信号v1を取得し、取得した第1出力電圧信号v1に基づいて第1包絡線ENV1を算出してもよい。
【0130】
現在の状態が基準状態である場合、第1包絡線ENV1と軸方向オフセット電圧vоftyとが同じ信号となり、軸方向変位電圧vdyが0になる。一方、現在の状態が基準状態からずれている場合、軸方向オフセット電圧vоftyのゼロクロスタイミング以外の期間において、第1包絡線ENV1と軸方向オフセット電圧vоftyとの値が異なり、軸方向変位電圧vdyが0以外の値となる。軸方向変位電圧vdyは、第1包絡線ENV1から、回転子30の回転に伴う変動成分の影響が除去された信号であり、横力Fyと相関を有する信号である。
【0131】
第1,第2包絡線ENV1,ENV2のうち第1包絡線ENV1が軸方向変位電圧vdyの算出に用いられているのは、第1包絡線ENV1に垂直荷重Fzの影響が乗らないためである。
【0132】
力算出部72は、軸方向変位電圧vdyに基づいて横力Fyを算出する。例えば、力算出部72は、図38に示すように、比例係数Ky(>0)と軸方向変位電圧vdyとの乗算値を横力Fyとして算出する。なお、力算出部72は、軸方向変位電圧vdyと、軸方向変位電圧vdy及び横力Fyが関係付けられたマップ情報とに基づいて、横力Fyを算出してもよい。
【0133】
ちなみに、図38に示す例では、軸方向変位電圧vdyを独立変数とし、横力Fyを従属変数とする1次式の切片が0となっている。ただし、基準状態の設定態様によっては、切片が0以外の値になり得る。
【0134】
図39に、処理部70により実行される横力Fyの算出処理のフローチャートを示す。
【0135】
ステップS10では、オフセット電圧算出部160において、電気角θeに基づいて軸方向オフセット電圧vоftyを算出する。
【0136】
ステップS11では、変位電圧算出部161において、取得した第1包絡線ENV1から軸方向オフセット電圧vоftyを差し引くことにより、軸方向変位電圧vdyを算出する。
【0137】
ステップS12では、力算出部72において、軸方向変位電圧vdyに基づいて横力Fyを算出する。
【0138】
図40に、回転子30の回転速度が一定の場合における軸方向オフセット電圧vоfty及び軸方向変位電圧vdy等の推移を示す。図40に示す例では、時刻t1~t2の期間において車輪に横力Fyが作用する。このため、時刻t1~t2の期間において、第1包絡線ENV1が軸方向オフセット電圧vоftyからずれる。その結果、時刻t1~t2の期間のうち、軸方向オフセット電圧vоftyのゼロクロスタイミング以外の期間において、軸方向変位電圧vdyが0以外の値となり、横力Fyを反映した値となる。その結果、横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0139】
<第8実施形態>
以下、第8実施形態について、第7実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、処理部70による横力Fyの算出方法を変更する。
【0140】
図41に、本実施形態に係る処理部70のブロック図を示す。
【0141】
変位算出部71は、オフセット電圧算出部162、変位電圧算出部163及び合計電圧算出部164を備えている。オフセット電圧算出部162には、角度算出部73により算出された電気角θeが入力される。
【0142】
オフセット電圧算出部162は、電気角θeに基づいて、第1軸方向オフセット電圧vоfty1及び第2軸方向オフセット電圧vоfty2を算出する。第1軸方向オフセット電圧vоfty1は、基準状態における第1包絡線ENV1であり、第2軸方向オフセット電圧vоfty2は、基準状態における第2包絡線ENV2である。本実施形態において、各軸方向オフセット電圧vоfty1,vоfty2は、1周期の平均値が0になる。また、第1軸方向オフセット電圧vоfty1は、ゼロアップクロスタイミング及びゼロダウンクロスタイミングが第1包絡線ENV1と同じ信号であり、第2軸方向オフセット電圧vоfty2は、ゼロアップクロスタイミング及びゼロダウンクロスタイミングが第2包絡線ENV2と同じ信号である。第1包絡線ENV1と第2包絡線ENV2との位相差は電気角で90°であるため、第1軸方向オフセット電圧vоfty1と第2軸方向オフセット電圧vоfty2との位相差は電気角で90°となる(図43参照)。
【0143】
変位電圧算出部163は、第1包絡線ENV1を受信回路95から取得する。変位電圧算出部163は、第1包絡線ENV1から第1軸方向オフセット電圧vоfty1を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧vdy1(=ENV1-vоfty1)を算出する。また、変位電圧算出部163は、第2包絡線ENV2から第2軸方向オフセット電圧vоfty2を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧vdy2(=ENV2-vоfty2)を算出する。なお、変位電圧算出部161は、受信回路95から第1,第2出力電圧信号v1,v2を取得し、取得した第1,第2出力電圧信号v1,v2に基づいて第1,第2包絡線ENV1,ENV2を算出してもよい。
【0144】
現在の状態が基準状態である場合、第1包絡線ENV1と第1軸方向オフセット電圧vоfty1とが同じ信号となり、第1軸方向変位電圧vdy1が0になる。一方、現在の状態が基準状態からずれている場合、第1軸方向オフセット電圧vоfty1のゼロクロスタイミング以外の期間において、第1包絡線ENV1と第1軸方向オフセット電圧vоfty1との値が異なり、第1軸方向変位電圧vdy1が0以外の値となる。
【0145】
現在の状態が基準状態である場合、第2包絡線ENV2と第2軸方向オフセット電圧vоfty2とが同じ信号となり、第2軸方向変位電圧vdy2が0になる。一方、現在の状態が基準状態からずれている場合、第2軸方向オフセット電圧vоfty2のゼロクロスタイミング以外の期間において、第2包絡線ENV2と第2軸方向オフセット電圧vоfty2との値が異なり、第2軸方向変位電圧vdy2が0以外の値となる。
【0146】
合計電圧算出部164は、第1軸方向変位電圧vdy1の絶対値と第2軸方向変位電圧vdy2の絶対値とを加算することにより、合計電圧vdty(=|vdy1|+|vdy2|)を算出する。
【0147】
力算出部72は、合計電圧vdtyに基づいて横力Fyを算出する。例えば、力算出部72は、下式(eq1)に基づいて、横力Fyを算出する。下式(eq1)において、Ka(>0)は比例係数である。
【0148】
Fy=Ka×vdty …(eq1)
なお、力算出部72は、合計電圧vdtyと、合計電圧vdty及び横力Fyが関係付けられたマップ情報とに基づいて、横力Fyを算出してもよい。
【0149】
図42に、処理部70により実行される横力Fyの算出処理のフローチャートを示す。
【0150】
ステップS20では、オフセット電圧算出部162において、電気角θeに基づいて第1,第2軸方向オフセット電圧vоfty1,vоfty2を算出する。
【0151】
ステップS21では、変位電圧算出部163において、取得した第1包絡線ENV1から第1軸方向オフセット電圧vоfty1を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧vdy1を算出する。また、取得した第2包絡線ENV2から第2軸方向オフセット電圧vоfty2を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧vdy2を算出する。
【0152】
ステップS22では、合計電圧算出部164において、第1,第2軸方向変位電圧vdy1,vdy2に基づいて合計電圧vdtyを算出する。
【0153】
ステップS23では、力算出部72において、合計電圧vdtyに基づいて横力Fyを算出する。
【0154】
図43に、回転子30の回転速度が一定の場合における各軸方向オフセット電圧vоfty1,vоfty2、第1,第2軸方向変位電圧vdy1,vdy2及び合計電圧vdty等の推移を示す。図43に示す例では、時刻t1~t2の期間において車輪に横力Fyが作用する。このため、時刻t1~t2の期間において、第1包絡線ENV1が第1軸方向オフセット電圧vоfty1からずれ、第2包絡線ENV2が第2軸方向オフセット電圧vоfty2からずれる。その結果、時刻t1~t2の期間のうち、第1軸方向オフセット電圧vоfty1のゼロクロスタイミング以外の期間において第1軸方向変位電圧vdy1が0以外の値となり、第2軸方向オフセット電圧vоfty2のゼロクロスタイミング以外の期間において第2軸方向変位電圧vdy2が0以外の値となる。
【0155】
ここで、第1軸方向オフセット電圧vоfty1と第2軸方向オフセット電圧vоfty2との位相差が90°であるため、図43に示す例では、時刻t1~t2の期間において合計電圧vdtyが0以外の値になり、合計電圧vdtyがゼロクロスしない。このため、第1,第2軸方向オフセット電圧vоfty1,vоfty2のうち一方がゼロクロスする場合であっても、他方により横力Fyを把握できる。つまり、合計電圧vdtyによれば、横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0156】
<第9実施形態>
以下、第9実施形態について、第8実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、処理部70による横力Fyの算出方法を変更する。
【0157】
図44に、本実施形態に係る処理部70のブロック図を示す。
【0158】
変位算出部71は、オフセット電圧算出部162及び変位電圧算出部163を備えている。
【0159】
オフセット電圧算出部162は、電気角θeに基づいて、第1軸方向オフセット電圧vоfty1及び第2軸方向オフセット電圧vоfty2を算出する。
【0160】
変位電圧算出部163は、第1包絡線ENV1を受信回路95から取得する。変位電圧算出部163は、第1包絡線ENV1から第1軸方向オフセット電圧vоfty1を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧vdy1を算出する。また、変位電圧算出部163は、第2包絡線ENV2から第2軸方向オフセット電圧vоfty2を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧vdy2を算出する。
【0161】
力算出部72は、候補横力算出部165及び選択部166を備えている。候補横力算出部165は、第1軸方向変位電圧vdy1に基づいて第1横力Fy1(「第1軸方向力」に相当)を算出し、第2軸方向変位電圧vdy2に基づいて第2横力Fy2(「第2軸方向力」に相当)を算出する。例えば、候補横力算出部165は、第1比例係数Ky1(>0)と第1軸方向変位電圧vdy1との乗算値を第1横力Fy1として算出し、第2比例係数Ky2(>0)と第2軸方向変位電圧vdy2との乗算値を第2横力Fy2として算出する。なお、各横力Fy1,Fy2は、第7実施形態等と同様にマップ情報に基づいて算出されてもよい。
【0162】
本実施形態では、第1軸方向オフセット電圧vоfty1の絶対値が第2軸方向オフセット電圧vоfty2の絶対値よりも大きくなる第1期間L1と、第2軸方向オフセット電圧vоfty2の絶対値が第1軸方向オフセット電圧vоfty1の絶対値よりも大きくなる第2期間L2とが電気角θeと関係付けられている。選択部166は、電気角θeに基づいて、現在のタイミングが第1期間L1に含まれていると判定した場合に第1横力Fy1を横力Fyとして算出し、現在のタイミングが第2期間L2に含まれていると判定した場合に第2横力Fy2を横力Fyとして算出する。これにより、横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0163】
図45に、処理部70により実行される横力Fyの算出処理のフローチャートを示す。
【0164】
ステップS30では、オフセット電圧算出部162において、電気角θeに基づいて第1,第2軸方向オフセット電圧vоfty1,vоfty2を算出する。
【0165】
ステップS31では、変位電圧算出部163において、取得した第1包絡線ENV1から第1軸方向オフセット電圧vоfty1を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧vdy1を算出する。また、取得した第2包絡線ENV2から第2軸方向オフセット電圧vоfty2を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧vdy2を算出する。
【0166】
ステップS32では、候補横力算出部165において、第1,第2軸方向変位電圧vdy1,vdy2に基づいて第1,第2横力Fy1,Fy2を算出する。
【0167】
ステップS33では、選択部166において、現在のタイミングが第1期間L1に含まれていると判定した場合に第1横力Fy1を横力Fyとして算出し、現在のタイミングが第2期間L2に含まれていると判定した場合に第2横力Fy2を横力Fyとして算出する。
【0168】
図46に、回転子30の回転速度が一定の場合における各軸方向オフセット電圧vоfty1,vоfty2及び第1,第2軸方向変位電圧vdy1,vdy2等の推移を示す。図46に示す例では、時刻t1~t2の期間において車輪に横力Fyが作用する。選択部166において、現在のタイミングが第1期間L1に含まれていると判定した場合に第1横力Fy1が横力Fyとして算出され、現在のタイミングが第2期間L2に含まれていると判定された場合に第2横力Fy2が横力Fyとして算出される。
【0169】
以上説明した本実施形態によれば、横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0170】
<第10実施形態>
以下、第10実施形態について、第9実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。処理部70による横力Fyの算出方法を変更する。
【0171】
図47に、本実施形態に係る処理部70のブロック図を示す。
【0172】
変位算出部71は、選択部167を備えている。選択部167は、電気角θeに基づいて、現在のタイミングが第1期間L1に含まれていると判定した場合、第1軸方向変位電圧vdy1を軸方向変位電圧vdyとして力算出部72に出力し、現在のタイミングが第2期間L2に含まれていると判定した場合、第2軸方向変位電圧vdy2を軸方向変位電圧vdyとして力算出部72に出力する。力算出部72は、入力された軸方向変位電圧vdyに基づいて、横力Fyを算出する。これにより、横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0173】
図48に、処理部70により実行される横力Fyの算出処理のフローチャートを示す。
【0174】
ステップS31の完了後、ステップS34では、選択部167において、現在のタイミングが第1期間L1に含まれていると判定した場合、第1軸方向変位電圧vdy1を軸方向変位電圧vdyとして力算出部72に出力する。一方、現在のタイミングが第2期間L2に含まれていると判定した場合、第2軸方向変位電圧vdy2を軸方向変位電圧vdyとして力算出部72に出力する。
【0175】
ステップS35では、軸方向変位電圧vdyに基づいて横力Fyを算出する。
【0176】
以上説明した本実施形態によれば、第9実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0177】
<第11実施形態>
以下、第11実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、横力Fyと垂直荷重Fzとが同時に作用する場合における力算出方法について説明する。
【0178】
図49に、本実施形態に係る処理部70のブロック図を示す。
【0179】
変位算出部71は、オフセット電圧算出部168及び変位電圧算出部169を備えている。
【0180】
オフセット電圧算出部162は、電気角θeに基づいて、軸方向オフセット電圧vоfty及び上下方向オフセット電圧vоftzを算出する。上下方向オフセット電圧vоftzは、基準状態における第2包絡線ENV2である。上下方向オフセット電圧vоftzは、1周期の平均値が0になる。また、上下方向オフセット電圧vоftzは、ゼロアップクロスタイミング及びゼロダウンクロスタイミングが第2包絡線ENV1と同じ信号である。軸方向オフセット電圧vоftyと上下方向オフセット電圧vоftzとの位相差は電気角で90°となる。
【0181】
変位電圧算出部168は、第1,第2包絡線ENV1,ENV2を受信回路95から取得する。変位電圧算出部168は、第1包絡線ENV1から軸方向オフセット電圧vоftyを差し引くことにより、軸方向変位電圧vdyを算出する。
【0182】
変位電圧算出部168は、算出した軸方向変位電圧vdy及び電気角θeに基づいて、上下方向補正電圧vczを算出する。上下方向補正電圧vczは、車輪に横力が作用した場合において横力が第2包絡線ENV2に及ぼす影響を定量化した信号であり、具体的には、横力による第2包絡線ENV2の変化量を示す信号である。上下方向補正電圧vczは、第2包絡線ENV2と同じ周期で変動し、1周期の平均値が0になる。また、上下方向補正電圧vczは、ゼロアップクロスタイミング及びゼロダウンクロスタイミングが第2包絡線ENV1と同じ信号である。つまり、上下方向補正電圧vczと第2包絡線ENV2との位相差は0°である。変位電圧算出部169は、例えば、軸方向変位電圧vdyが大きいほど、上下方向補正電圧vczの振幅を大きくする。
【0183】
変位電圧算出部169は、第2包絡線ENV2から、上下方向オフセット電圧vоftzと、上下方向補正電圧vczとを差し引くことにより、上下方向変位電圧vdzを算出する。上下方向補正電圧vczが差し引かれることにより、横力が上下方向変位電圧vdzに及ぼす影響を除去できる。つまり、上下方向変位電圧vdzは横力に依存しなくなる。
【0184】
力算出部72は、軸方向変位電圧vdyに基づいて横力Fyを算出し、上下方向変位電圧vdzに基づいて垂直荷重Fzを算出する。例えば、力算出部72は、比例係数Kz(>0)と上下方向変位電圧vdzとの乗算値を垂直荷重Fzとして算出する。なお、力算出部72は、上下方向変位電圧vdzと、上下方向変位電圧vdz及び垂直荷重Fzが関係付けられたマップ情報とに基づいて、垂直荷重Fzを算出してもよい。
【0185】
図50に、処理部70により実行される横力Fy及び垂直荷重Fzの算出処理のフローチャートを示す。
【0186】
ステップS40では、オフセット電圧算出部168において、電気角θeに基づいて軸方向オフセット電圧vоfty及び上下方向オフセット電圧vоftzを算出する。
【0187】
ステップS41では、変位電圧算出部169において、取得した第1包絡線ENV1から軸方向オフセット電圧vоftyを差し引くことにより、軸方向変位電圧vdyを算出する。
【0188】
ステップS42では、変位電圧算出部169において、軸方向変位電圧vdyに基づいて、上下方向補正電圧vczを算出する。
【0189】
ステップS43では、変位電圧算出部169において、第2包絡線ENV2から、上下方向オフセット電圧vоftzと、上下方向補正電圧vczとを差し引くことにより、上下方向変位電圧vdzを算出する。
【0190】
ステップS44では、力算出部72において、軸方向変位電圧vdyに基づいて横力Fyを算出し、上下方向変位電圧vdzに基づいて垂直荷重Fzを算出する。
【0191】
以上説明した本実施形態によれば、横力Fy及び垂直荷重Fzの算出精度を高めることができる。
【0192】
<第12実施形態>
以下、第12実施形態について、第11実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、垂直荷重Fzに代えて、前後荷重Fxを算出する。このため、レース部80及び検出ユニット90として、第4実施形態(図34参照)で説明した構成が用いられる。
【0193】
図51に、本実施形態に係る処理部70のブロック図を示す。
【0194】
変位算出部71は、オフセット電圧算出部170及び変位電圧算出部171を備えている。
【0195】
オフセット電圧算出部170は、電気角θeに基づいて、軸方向オフセット電圧vоfty及び前後方向オフセット電圧vоftxを算出する。前後方向オフセット電圧vоftxは、基準状態における第2包絡線ENV2である。前後方向オフセット電圧vоftxは、1周期の平均値が0になる。また、前後方向オフセット電圧vоftxは、ゼロアップクロスタイミング及びゼロダウンクロスタイミングが第2包絡線ENV1と同じ信号である。軸方向オフセット電圧vоftyと前後方向オフセット電圧vоftxとの位相差は電気角で90°となる。
【0196】
変位電圧算出部171は、第1,第2包絡線ENV1,ENV2を受信回路95から取得する。変位電圧算出部171は、第1包絡線ENV1から軸方向オフセット電圧vоftyを差し引くことにより、軸方向変位電圧vdyを算出する。
【0197】
変位電圧算出部171は、算出した軸方向変位電圧vdy及び電気角θeに基づいて、車長方向補正電圧vcxを算出する。車長方向補正電圧vcxは、車輪に横力が作用した場合において横力が第2包絡線ENV2に及ぼす影響を定量化した信号であり、具体的には横力による第2包絡線ENV2の変化量を示す信号である。車長方向補正電圧vcxは、第2包絡線ENV2と同じ周期で変動し、1周期の平均値が0になる。また、車長方向補正電圧vcxは、ゼロアップクロスタイミング及びゼロダウンクロスタイミングが第2包絡線ENV1と同じ信号である。つまり、車長方向補正電圧vcxと第2包絡線ENV2との位相差は0°である。変位電圧算出部171は、例えば、軸方向変位電圧vdyが大きいほど、車長方向補正電圧vcxの振幅を大きくする。
【0198】
変位電圧算出部171は、第2包絡線ENV2から、前後方向オフセット電圧vоftxと、車長方向補正電圧vcxとを差し引くことにより、前後方向変位電圧vdxを算出する。車長方向補正電圧vcxが差し引かれることにより、横力が前後方向変位電圧vdxに及ぼす影響を除去できる。つまり、前後方向変位電圧vdxは横力に依存しなくなる。
【0199】
力算出部72は、軸方向変位電圧vdyに基づいて横力Fyを算出し、前後方向変位電圧vdxに基づいて前後荷重Fxを算出する。例えば、力算出部72は、比例係数Kx(>0)と前後方向変位電圧vdxとの乗算値を前後荷重Fxとして算出する。なお、力算出部72は、前後方向変位電圧vdxと、前後方向変位電圧vdx及び前後荷重Fxが関係付けられたマップ情報とに基づいて、前後荷重Fxを算出してもよい。
【0200】
図52に、処理部70により実行される横力Fy及び前後荷重Fxの算出処理のフローチャートを示す。
【0201】
ステップS50では、オフセット電圧算出部170において、電気角θeに基づいて軸方向オフセット電圧vоfty及び前後方向オフセット電圧vоftxを算出する。
【0202】
ステップS51では、変位電圧算出部171において、取得した第1包絡線ENV1から軸方向オフセット電圧vоftyを差し引くことにより、軸方向変位電圧vdyを算出する。
【0203】
ステップS52では、変位電圧算出部171において、軸方向変位電圧vdyに基づいて、車長方向補正電圧vcxを算出する。
【0204】
ステップS53では、変位電圧算出部171において、第2包絡線ENV2から、前後方向オフセット電圧vоftxと、車長方向補正電圧vcxとを差し引くことにより、前後方向変位電圧vdxを算出する。
【0205】
ステップS54では、力算出部72において、軸方向変位電圧vdyに基づいて横力Fyを算出し、前後方向変位電圧vdxに基づいて前後荷重Fxを算出する。
【0206】
以上説明した本実施形態によれば、横力Fy及び前後荷重Fxの算出精度を高めることができる。
【0207】
<第13実施形態>
以下、第13実施形態について、第7実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図53に示すように、変位電圧算出部161で用いられる第1包絡線ENV1にローパスフィルタ処理が施される。
【0208】
図53に、本実施形態に係る処理部70のブロック図を示す。
【0209】
変位算出部71は、フィルタ部172及びパラメータ取得部173を備えている。パラメータ取得部173は、車両の車速情報、車両を構成する車輪のタイヤ13の空気圧情報、及び車両の車重情報を取得する。車速情報、空気圧情報及び車重情報は、フィルタ部172に入力される。
【0210】
フィルタ部172は、第1包絡線ENV1を受信回路95から取得し、取得した第1包絡線ENV1にローパスフィルタ処理を施して変位電圧算出部161に出力する。変位電圧算出部161では、ローパスフィルタ処理が施されて高周波ノイズ成分が除去された第1包絡線ENV1が軸方向変位電圧vdyの算出に用いられる。これにより、軸方向変位電圧vdyの算出精度を高めることができる。
【0211】
フィルタ部172は、図54に示すように、カットオフ周波数fcutoffを有している。本実施形態において、フィルタ部172は、図55に示すように、車速が低かったり、空気圧が低かったり、車重が重かったりするほど、カットオフ周波数fcutoffを低くするようにローパスフィルタ特性を変更する。
【0212】
走行路面に対するタイヤ13の接地面積が大きいほど、第1包絡線ENV1に混入する高周波ノイズ成分の周波数が低くなる傾向にある。このため、タイヤ13の接地面積が大きいほど、カットオフ周波数fcutoffを低くすることにより、第1包絡線ENV1から高周波ノイズ成分を適切に除去できる。ここで、タイヤ13の接地面積は、車速が低かったり、空気圧が低かったり、車重が重かったりするほど大きくなる。
【0213】
以上説明した本実施形態によれば、軸方向変位電圧vdyの算出精度を高めることができ、ひいては横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0214】
<第13実施形態の変形例>
図41図44図47に示した変位電圧算出部163に入力される第1,第2包絡線ENV1,ENV2、図49に示した変位電圧算出部169に入力される第1,第2包絡線ENV1,ENV2、及び図51に示した変位電圧算出部171に入力される第1,第2包絡線ENV1,ENV2にも、フィルタ部172によりローパスフィルタ処理が施されてもよい。
【0215】
<第14実施形態>
以下、第14実施形態について、第7,第13実施形態等との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、横力Fyの算出方法を変更する。
【0216】
図56に、本実施形態に係る処理部70のブロック図を示す。
【0217】
変位算出部71は、最大値算出部174(「振幅情報算出部」に相当)及び変位電圧算出部175を備えている。最大値算出部174は、電気角θe及びローパスフィルタ処理された第1包絡線ENV1に基づいて、第1包絡線ENV1の振幅絶対値vmaxy(「振幅情報電圧」に相当)を算出する。最大値算出部174は、例えば、1/2電気角周期毎、1電気角周期毎、又はN電気角周期毎(Nは2以上の整数)に、振幅絶対値vmaxyを算出する。
【0218】
変位電圧算出部175は、算出した振幅絶対値vmaxyから基準振幅値vmaxofty(「基準電圧」に相当)を差し引くことにより、軸方向変位電圧vdyを算出する。基準振幅値vmaxoftyは、基準状態における第1包絡線ENV1の振幅絶対値である。
【0219】
現在の状態が基準状態である場合、振幅絶対値vmaxyと基準振幅値vmaxoftyとが同じ値となり、軸方向変位電圧vdyが0になる。一方、現在の状態が基準状態からずれている場合、振幅絶対値vmaxyと基準振幅値vmaxoftyとが異なる値となり、軸方向変位電圧vdyが0以外の値となる。なお、基準振幅値vmaxoftyは、例えば、車両用検出装置の設計時に適合された値であってもよいし、車両用検出装置の出荷検査時に測定された値であってもよい。また、振幅絶対値vmaxyは、検出ユニット90等の温度に応じて変化し得るため、その温度を検出する温度センサの検出値に基づいて補正されてもよい。
【0220】
力算出部72は、軸方向変位電圧vdyに基づいて横力Fyを算出する。
【0221】
図57に、回転子30の回転速度が一定の場合における振幅絶対値vmaxy及び基準振幅値vmaxofty等の推移を示す。なお、図57には、軸方向オフセット電圧vоftyも示されている。図57に示す例では、時刻t1~t2の期間において車輪に横力Fyが作用する。
【0222】
最大値算出部174は、第1包絡線ENV1の各周期において第1包絡線ENV1の値が最大になるタイミングを電気角θeに基づいて把握する。最大値算出部174は、電気角θe及び第1包絡線ENV1に基づいて、振幅絶対値vmaxyを算出する。図57に示す例では、振幅絶対値vmaxyは、1電気角周期毎に更新される。最大値算出部174は、振幅絶対値vmaxyから基準振幅値vmaxoftyを差し引くことにより、軸方向変位電圧vdyを算出する。軸方向変位電圧vdyも1電気角周期毎に更新される。
【0223】
以上説明した本実施形態によっても、横力Fyを算出することができる。
【0224】
<第14実施形態の変形例>
・フィルタ部172が設けられていなくてもよい。
【0225】
・最大値算出部174は、振幅絶対値vmaxyに代えて、所定期間における第1包絡線ENV1の時間積分値(「振幅情報電圧」に相当)を算出してもよい。所定期間は、例えば、1/2電気角周期毎、1電気角周期毎、又はN電気角周期毎(Nは2以上の整数)である。
【0226】
最大値算出部174は、算出した時間積分値から基準積分値(「基準電圧」に相当)を差し引くことにより、軸方向変位電圧vdyを算出する。基準積分値は、基準状態における第1包絡線ENV1の所定期間における時間積分値である。
【0227】
現在の状態が基準状態である場合、時間積分値と基準積分値とが同じ値となり、軸方向変位電圧vdyが0になる。一方、現在の状態が基準状態からずれている場合、時間積分値と基準積分値とが異なる値となり、軸方向変位電圧vdyが0以外の値となる。
【0228】
<第15実施形態>
以下、第15実施形態について、第7~第14実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、変位算出部71、力算出部72及び角度算出部73の実装位置について説明する。
【0229】
図58に、車両300に搭載されるシステムの概要を示す。
【0230】
車両300は、インバータ310、蓄電池320及びモータECU330を備えている。インバータ310は、相数分(例えば3相分)の上,下アームスイッチの直列接続体を備えている。モータECU330が備えるモータ制御部331は、上,下アームスイッチのスイッチング制御を行うことにより、蓄電池320の直流電力を交流電力に変換してインホイールモータ20の固定子巻線41に供給する。これにより、車両300の駆動輪が回転し、車両300が走行する。
【0231】
図59に示すように、回路部93に変位算出部71、力算出部72及び角度算出部73が備えられてもよい。詳しくは、回路部93の共通の制御基板に、変位算出部71、力算出部72、角度算出部73、励磁回路94及び受信回路95が備えられる。力算出部72により算出された横力Fy等は、モータECU330に入力される。
【0232】
図59に示す構成によれば、軸方向オフセット電圧等の算出において電気角θeと同期をとりやすい。これにより、軸方向変位電圧の算出精度を高めることができ、ひいては横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0233】
軸方向変位電圧は、絶対値が非常に小さい信号であり得る。この場合、力算出部72がモータECU330に備えられると、軸方向変位電圧を回路部93からモータECU330に送信する場合に軸方向変位電圧にノイズが混入し、軸方向変位電圧のSN比が小さくなる。その結果、横力Fyの算出精度が低下し得る。これに対し、図59に示す構成によれば、回路部93において横力Fyの算出処理が完結するため、横力Fyの算出精度を高めることができる。
【0234】
なお、図59に示す構成に代えて、図60図62に示す構成を採用することもできる。図60に示す構成は、力算出部72がモータECU330に備えられる構成である。図61に示す構成は、角度算出部73がモータECU330に備えられる構成である。図62に示す構成は、変位算出部71、力算出部72及び角度算出部73がモータECU330に備えられる構成である。
【0235】
変位算出部71、力算出部72及び角度算出部73の少なくとも1つがモータECU330に備えられることにより、回路部93の制御基板の小型化を図ることができる。
【0236】
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0237】
・第1~第3,第5,第6実施形態において、検出ユニット90が軸方向においてレース部80の下端部と対向する位置に設けられていてもよい。また、検出ユニット90が、レース部80に対してディスク部12側に配置されていてもよい。
【0238】
図2の切欠82又は図24の開口84に、合成樹脂等の非金属部が設けられていてもよい。この場合、レース部において、金属部分と非金属部分とが周方向において交互に設けられた構成を実現でき、第1実施形態等の同様に回転角を検出することができる。
【0239】
図1に示すインホイールモータ20がレース部80を備えていなくてもよい。この場合、例えば、インホイールモータ20の平板部33のうち、軸方向においてコイル部92と対向する部分に、遮蔽部と開口とが周方向に交互に形成されたり、凹部と凸部とが周方向に交互に形成されたりしてもよい。なお、この場合、平板部33が「検出用回転部」に相当する。
【0240】
・第1,第2,第5,第6実施形態において、基板91に形成される受信コイルは1つであってもよい。
【0241】
・第7~第14実施形態において、図7に示す第1,第2受信コイル110,120に代えて、第2実施形態で説明した図29に示す第1,第2受信コイル130,140が用いられてもよい。
【0242】
・第8~第12実施形態において、第2受信コイル120の径方向外側端の位置が第2同心円C2上に存在し、第2受信コイル120の径方向内側端の位置が第3同心円C3上に存在してもよい(図12参照)。この場合、第2受信コイル120の第2出力電圧信号v2に基づく第2包絡線ENV2に垂直荷重Fzの影響が乗らない。
【0243】
・変位を検出するセンサとしては、渦電流式のセンサに限らず、例えばレーザ光で変位を検出するセンサであってもよい。
【0244】
・軸受としては、外輪51が固定子ベース部42に固定され、内輪52がホイール10に固定されているものに限らず、外輪がホイール10に固定され、内輪が固定子ベース部42に固定されているものであってもよい。この場合、内輪が「第1軸受部材」に相当し、外輪が「第2軸受部材」に相当する。
【0245】
・モータとしては、車輪に収容されるものに限らず、例えば、車体に設けられたオンボードモータであってもよい。また、モータとしては、アウタロータ型のものに限らず、インナロータ型のものであってもよい。
【0246】
・検出ユニット90の少なくとも一部がレース部80に接触した状態で設けられていてもよい。
【0247】
・検出装置の適用対象は車輪に限らず、例えば、航空機のプロペラ、船舶のスクリュー、内燃機関の回転部材(例えばクランクシャフト)又は発電用タービン等、任意の回転体に適用することができる。また、回転体は、その軸方向が水平方向となる状態で使用されるものに限らず、その軸方向が水平方向以外の方向(例えば上下方向)となる状態で使用されるものであってもよい。
【0248】
・本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0249】
以下、上述した各実施形態から抽出される特徴的な構成を記載する。
[構成1]
ベース部(42)と、
外輪部材(51)、内輪部材(52)、及び前記外輪部材と前記内輪部材との間に設けられる転動体(53)を有し、回転体を前記ベース部に対して回転可能に支持する軸受(50)と、を備え、
前記外輪部材及び前記内輪部材のうち、一方である第1軸受部材(52)が前記回転体に対して固定され、他方である第2軸受部材(51)が前記ベース部に対して固定され、
前記第1軸受部材と一体回転するように設けられ、前記第1軸受部材に対して前記軸受の径方向外側に延びる円盤状の検出用回転部(80,83,86)と、
前記ベース部のうち、前記径方向において前記軸受から離れた位置であって、前記軸受の軸方向において前記検出用回転部と対向する位置に設けられ、前記検出用回転部の前記軸方向の変位、及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する変位検出部(90)と、
を備える、検出装置。
[構成2]
前記検出用回転部のうち前記径方向において前記軸受から離れた位置には、前記軸受の周方向に延びる円環状の検出対象部(81,82,84,85,87,88)が形成されており、
前記変位検出部は、
前記ベース部に対して固定されるとともに前記軸方向において前記検出対象部の上端部又は下端部と対向する位置に設けられ、前記軸方向と交差する方向に延びる平面状の2つの受信コイル(110,120,130,140)と、
交流の励磁電圧が供給される励磁コイル(100)と、
を有し、
前記各受信コイルには、前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に電圧が誘起され、
前記各受信コイルの平面視において、前記各受信コイルのうちいずれか一方(120,140)の前記径方向における外側端部が前記検出対象部の前記径方向における外側端(81a)からはみ出しており、
前記各受信コイルの前記径方向における外側端の前記径方向における位置が異なっており、
前記各受信コイルは、前記軸方向の変位及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する、構成1に記載の検出装置。
[構成3]
前記各受信コイル(110,120)は、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(110A,120A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(110B,120B)と、
を有し、
前記各受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分(120A)が設けられるとともに他方側に前記第2部分(120B)が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分(110A)及び前記第2部分(110B)と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記各受信コイルの前記周方向の寸法が同じであり、
前記各受信コイルのうち、前記外側端からはみ出している受信コイル(120)の前記径方向の寸法が、残りの受信コイルの前記径方向の寸法よりも大きい、構成2に記載の検出装置。
[構成4]
前記各受信コイル(130,140)は、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(130A,140A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(130B,140B)と、
を有し、
前記各受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分(140A)が設けられるとともに他方側に前記第2部分(140B)が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分(130A)及び前記第2部分(130B)と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記各受信コイルの前記周方向の寸法が同じであり、
前記各受信コイルの前記径方向の寸法が同じである、構成2に記載の検出装置。
[構成5]
前記検出用回転部のうち前記径方向において前記軸受から離れた位置には、前記軸受の周方向に延びる円環状の検出対象部(81,82,84,85,87,88)が形成されており、
前記変位検出部は、
前記ベース部に対して固定されるとともに前記軸方向において前記検出対象部の端部と対向する位置に設けられ、前記軸方向と交差する方向に延びる平面状の受信コイル(150)と、
交流の励磁電圧が供給される励磁コイル(100)と、
を有し、
前記受信コイルは、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(150A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(150B)と、
を有し、
前記受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分が設けられるとともに他方側に前記第2部分が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分及び前記第2部分と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記第1部分の前記周方向の寸法と前記第2部分の前記周方向の寸法とが同じであり、
前記第1部分及び前記第2部分のうち、一方の前記径方向の寸法が他方の前記径方向の寸法よりも大きくなっており、
前記受信コイルの平面視において、前記第1部分及び前記第2部分のうち、前記径方向の寸法が大きい方の前記径方向における外側端部が前記検出対象部の前記径方向における外側端(81a)からはみ出しており、
前記第1部分及び前記第2部分の前記径方向における外側端の前記径方向における位置が異なっており、
前記受信コイルは、前記軸方向の変位及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する、構成1に記載の検出装置。
[構成6]
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
前記受信コイルの出力電圧信号に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位と、前記検出用回転部の上下方向の変位とを算出する変位算出部(71)を備える、構成2~5のいずれか1つに記載の検出装置。
[構成7]
算出された前記軸方向の変位に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力を算出し、算出された前記上下方向の変位に基づいて、前記回転体に作用する垂直荷重を算出する力算出部(72)を備える、構成6に記載の検出装置。
[構成8]
前記検出用回転部のうち前記径方向において前記軸受から離れた位置には、前記軸受の周方向に延びる円環状の検出対象部(81,82,84,85,87,88)が形成されており、
前記変位検出部は、
前記ベース部に対して固定されるとともに前記軸方向において前記検出対象部と対向する位置に設けられ、前記軸方向と交差する方向に延びる平面状の受信コイル(110,120,130,140,150)と、
交流の励磁電圧が供給される励磁コイル(100)と、
を有し、
前記受信コイルは、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(110A,120A,130A,140A,150A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(110B,120B,130B,140B,150B)と、
を有し、
前記受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分が設けられるとともに他方側に前記第2部分が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分及び前記第2部分と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記受信コイルは、前記検出用回転部の回転中心軸線を通る水平軸線を跨いた状態で設けられており、
前記受信コイルは、前記検出用回転部の前記軸方向の変位及び前記軸方向と直交する方向の変位に応じた電圧信号を出力する、構成1に記載の検出装置。
[構成9]
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
前記受信コイルの出力電圧信号に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位と、前記検出用回転部の前記軸方向及び上下方向それぞれと直交する方向である前後方向の変位とを算出する変位算出部(71)を備える、構成8に記載の検出装置。
[構成10]
算出された前記軸方向の変位に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力を算出し、算出された前記前後方向の変位に基づいて、前記回転体に作用する前記前後方向の力を算出する力算出部(72)を備える、構成9に記載の検出装置。
[構成11]
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
前記検出用回転部のうち前記径方向において前記軸受から離れた位置には、前記軸受の周方向に延びる円環状の検出対象部(81,82,84,85,87,88)が形成されており、
前記変位検出部は、
前記ベース部に対して固定されるとともに前記軸方向において前記検出対象部と対向する位置に設けられ、前記軸方向と交差する方向に延びる平面状の2つの受信コイル(110,120,130,140)と、
交流の励磁電圧が供給される励磁コイル(100)と、
を有し、
前記各受信コイルは、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に第1極性の電圧を発生させる第1部分(110A,120A,130A,140A)と、
前記励磁コイルに前記励磁電圧が供給されている場合に前記受信コイルの両端に前記第1極性とは逆極性の第2極性の電圧を発生する第2部分(110B,120B,130B,140B)と、
を有し、
前記各受信コイルは、
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側に前記第1部分が設けられるとともに他方側に前記第2部分が設けられて、かつ、前記第1部分と前記第2部分とが前記周方向に並んだ構成、又は
前記受信コイルの平面視において、前記受信コイルの前記周方向の中央に対して一方側の前記第1部分及び前記第2部分と他方側の前記第1部分及び前記第2部分とが、前記中央に対して対称の構成
になっており、
前記各受信コイルは、前記検出用回転部の回転中心軸線を通る水平軸線を跨いた状態で設けられており、
前記各受信コイルは、前記検出用回転部の前記軸方向の変位に応じた電圧信号、及び前記検出用回転部の前記軸方向及び上下方向それぞれと直交する方向である前後方向の変位に応じた電圧信号を出力する、構成1に記載の検出装置。
[構成12]
前記受信コイルの出力電圧信号(v1)の包絡線(ENV1)を取得する信号取得部(161)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)を算出するオフセット電圧算出部(160)と、
取得された前記包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出する変位電圧算出部(161)と、
を備える、構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置。
[構成13]
算出された前記軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出部(72)を備える、構成12に記載の検出装置。
[構成14]
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(163)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出部(162)と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出部(163)と、
算出された前記第1軸方向変位電圧の絶対値と、算出された前記第2軸方向変位電圧の絶対値とを加算することにより、合計電圧(vdty)を算出する合計電圧算出部(164)と、
を備える、構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置。
[構成15]
算出された前記合計電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出部(72)を備える、構成14に記載の検出装置。
[構成16]
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(163)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出部(162)と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出部(163)と、
算出された前記第1軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力である第1軸方向力(Fy1)を算出し、算出された前記第2軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力である第2軸方向力(Fy2)を算出する力算出部(72)と、
を備え、
前記力算出部は、前記第1軸方向オフセット電圧が前記第2軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において前記第1軸方向力を前記回転体に作用する前記軸方向の力として算出し、前記第2軸方向オフセット電圧が前記第1軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において前記第2軸方向力を前記回転体に作用する前記軸方向の力として算出する、構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置。
[構成17]
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(163)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出部(162)と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出部(163)と、
前記第1軸方向オフセット電圧が前記第2軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において、前記第1軸方向変位電圧に基づいて前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出し、前記第2軸方向オフセット電圧が前記第1軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において、前記第1軸方向変位電圧に基づいて前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出部(72)と、
を備える、構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置。
[構成18]
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(169)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)及び基準状態における前記第2包絡線である上下方向オフセット電圧(vоftz)を算出するオフセット電圧算出部(168)と、
変位電圧算出部(169)と、
を備え、
前記変位電圧算出部は、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出し、
算出した前記軸方向変位電圧に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位が前記第2包絡線に及ぼす影響を定量化した上下方向補正電圧(vcz)を算出し、
取得された前記第2包絡線から、算出された前記上下方向オフセット電圧と、算出した前記上下方向補正電圧とを差し引くことにより、上下方向変位電圧(vdz)を算出する、構成3又は4に記載の検出装置。
[構成19]
算出された前記軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出し、算出された前記上下方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する垂直荷重(Fz)を算出する力算出部(72)を備える、構成18に記載の検出装置。
[構成20]
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得部(171)と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)及び基準状態における前記第2包絡線である前後方向オフセット電圧(vоftx)を算出するオフセット電圧算出部(170)と、
変位電圧算出部(171)と、
を備え、
前記変位電圧算出部は、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出し、
算出した前記軸方向変位電圧に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位が前記第2包絡線に及ぼす影響を定量化した前後方向補正電圧(vcx)を算出し、
取得された前記第2包絡線から、算出された前記前後方向オフセット電圧と、算出した前記前後方向補正電圧とを差し引くことにより、前後方向変位電圧(vdx)を算出する、構成11に記載の車両用検出装置。
[構成21]
算出された前記軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出し、算出された前記前後方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前後方向の力(Fx)を算出する力算出部(72)を備える、構成20に記載の検出装置。
[構成22]
取得された前記包絡線にローパスフィルタ処理を施すフィルタ部(172)を備え、
前記変位電圧算出部には、前記ローパスフィルタ処理が施された前記包絡線が入力される、構成12~21のいずれか1項に記載の検出装置。
[構成23]
前記受信コイルの出力電圧信号(v1)の包絡線を取得する信号取得部(172)と、
前記検出用回転部の回転角情報及び取得された前記包絡線に基づいて、前記包絡線の振幅情報電圧(vmaxy)を算出する振幅情報算出部(174)と、
算出された前記振幅情報電圧から、基準状態における前記振幅情報電圧である基準電圧(vmaxofty)を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出する変位電圧算出部(175)と、
を備える、構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置。
[構成24]
算出された前記軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出部(72)を備える、構成23に記載の検出装置。
[構成25]
前記検出対象部は、
金属部分(81)と、前記軸方向において貫かれた部分(82)とが前記周方向において交互に設けられた構成、
前記軸方向に凹む凹部(88)と、前記凹部に対して前記軸方向に突出する凸部(87)とが前記周方向において交互に設けられた構成、又は
金属部分と非金属部分とが前記周方向において交互に設けられた構成
になっており、
前記受信コイルの出力電圧信号に基づいて、前記検出用回転部の回転角を算出する角度算出部(73)を備える、構成2~24のいずれか1つに記載の検出装置。
[構成26]
構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
前記検出装置が備えるコンピュータ(70)に、
前記受信コイルの出力電圧信号(v1)の包絡線を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)を算出するオフセット電圧算出処理と、
取得された前記包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出する変位電圧算出処理と、
を実行させる、プログラム。
[構成27]
構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出処理と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出処理と、
算出された前記第1軸方向変位電圧の絶対値と、算出された前記第2軸方向変位電圧の絶対値とを加算することにより、合計電圧(vdty)を算出する合計電圧算出処理と、
を実行させる、プログラム。
[構成28]
構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出処理と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出処理と、
算出された前記第1軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力である第1軸方向力(Fy1)を算出し、算出された前記第2軸方向変位電圧に基づいて、前記回転体に作用する前記軸方向の力である第2軸方向力(Fy2)を算出する力算出処理と、
を実行させ、
前記力算出処理において、前記第1軸方向オフセット電圧が前記第2軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において前記第1軸方向力を前記回転体に作用する前記軸方向の力として算出し、前記第2軸方向オフセット電圧が前記第1軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において前記第2軸方向力を前記回転体に作用する前記軸方向の力として算出する、プログラム。
[構成29]
構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である第1軸方向オフセット電圧(vоfty1)及び基準状態における前記第2包絡線である第2軸方向オフセット電圧(vоfty2)を算出するオフセット電圧算出処理と、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記第1軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第1軸方向変位電圧(vdy1)を算出し、取得された前記第2包絡線から、算出された前記第2軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、第2軸方向変位電圧(vdy2)を算出する変位電圧算出処理と、
前記第1軸方向オフセット電圧が前記第2軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において、前記第1軸方向変位電圧に基づいて前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出し、前記第2軸方向オフセット電圧が前記第1軸方向オフセット電圧よりも大きい期間において、前記第1軸方向変位電圧に基づいて前記回転体に作用する前記軸方向の力(Fy)を算出する力算出処理と、
を実行させる、プログラム。
[構成30]
構成3又は4に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)及び基準状態における前記第2包絡線である上下方向オフセット電圧(vоftz)を算出するオフセット電圧算出処理と、
変位電圧算出処理と、
を実行させ、
前記変位電圧算出処理において、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出し、
算出した前記軸方向変位電圧に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位が前記第2包絡線に及ぼす影響を定量化した上下方向補正電圧(vcz)を算出し、
取得された前記第2包絡線から、算出された前記上下方向オフセット電圧と、算出した前記上下方向補正電圧とを差し引くことにより、上下方向変位電圧(vdz)を算出する、プログラム。
[構成31]
構成11に記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
2つの前記受信コイルとして、第1受信コイル(110,130)及び第2受信コイル(120,140)が備えられ、
前記回転体は、その回転中心が水平状態となるように配置され、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記第1受信コイルの第1出力電圧信号(v1)の包絡線である第1包絡線(ENV1)、及び前記第2受信コイルの第2出力電圧信号(v2)の包絡線である第2包絡線(ENV2)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報に基づいて、基準状態における前記第1包絡線である軸方向オフセット電圧(vоfty)及び基準状態における前記第2包絡線である前後方向オフセット電圧(vоftx)を算出するオフセット電圧算出処理と、
変位電圧算出処理と、
を実行させ、
前記変位電圧算出処理において、
取得された前記第1包絡線から、算出された前記軸方向オフセット電圧を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出し、
算出した前記軸方向変位電圧に基づいて、前記検出用回転部の前記軸方向の変位が前記第2包絡線に及ぼす影響を定量化した前後方向補正電圧(vcx)を算出し、
取得された前記第2包絡線から、算出された前記前後方向オフセット電圧と、算出した前記前後方向補正電圧とを差し引くことにより、前後方向変位電圧(vdx)を算出する、プログラム。
[構成32]
構成3,4,11のいずれか1つに記載の検出装置に適用されるプログラムにおいて、
前記検出装置が備えるコンピュータに、
前記受信コイルの出力電圧信号(v1)の包絡線(ENV1)を取得する信号取得処理と、
前記検出用回転部の回転角情報及び取得された前記包絡線に基づいて、前記包絡線の振幅情報電圧(vmaxy)を算出する振幅情報算出処理と、
算出された前記振幅情報電圧から、基準状態における前記振幅情報電圧である基準電圧(vmaxofty)を差し引くことにより、軸方向変位電圧(vdy)を算出する変位電圧算出処理と、
を実行させる、プログラム。
【符号の説明】
【0250】
20…インホイールモータ、30…回転子、40…固定子、50…軸受、80…レース部、90…検出ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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