(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130288
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】腎毒性軽減剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/047 20060101AFI20230912BHJP
A61P 39/00 20060101ALI20230912BHJP
A61K 31/7088 20060101ALN20230912BHJP
【FI】
A61K31/047
A61P39/00
A61K31/7088
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022178039
(22)【出願日】2022-11-07
(62)【分割の表示】P 2022555690の分割
【原出願日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2021113495
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004156
【氏名又は名称】日本新薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】園家 暁
(72)【発明者】
【氏名】藤原 佳絵
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】若山 達志
(72)【発明者】
【氏名】増田 博文
(72)【発明者】
【氏名】関 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】松原 拓真
(72)【発明者】
【氏名】沼倉 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】戸田 達史
(72)【発明者】
【氏名】池田 真理子
(72)【発明者】
【氏名】小林 千浩
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA06
4C086NA07
4C086NA14
4C086ZC37
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA05
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA07
4C206ZC37
(57)【要約】
【課題】一実施形態において、本発明は、アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤、当該医薬組成物の腎毒性を軽減するための方法を提供することを課題とする。
【解決手段】一実施形態において、本発明は、アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mLになる量で使用される、腎毒性軽減剤に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mLになる量で使用される、腎毒性軽減剤。
【請求項2】
前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が2.5mg/mL~200mg/mLになる量で使用される、請求項1に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項3】
前記医薬組成物中のアンチセンスオリゴマーの濃度が、0.5mg/mL~200mg/mLである、請求項1又は2に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項4】
アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~30となる量で使用される、腎毒性軽減剤。
【請求項5】
アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.1~13.3となる量で使用される、請求項4に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項6】
糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項7】
アンチセンスオリゴマーがモルホリノオリゴマーである、請求項1~6のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項8】
アンチセンスオリゴマーがホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーである、請求項1~7のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項9】
アンチセンスオリゴマーの5'末端が、下記化学式(1)~(2):
【化1】
のいずれかの基である、請求項1~8のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項10】
前記アンチセンスオリゴマーが、その塩基配列中に4つの連続するプリン塩基を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項11】
前記4つの連続するプリン塩基のうちの少なくとも2つがグアニンである、請求項10に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項12】
前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号1~10からなる群から選択される塩基配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項13】
前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号11で示される塩基配列の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項14】
前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号11で示される塩基配列の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とするものではない、請求項1~12のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
【請求項15】
アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性を軽減するための方法であって、糖アルコールを、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mLになる量で添加することを含む、方法。
【請求項16】
アンチセンスオリゴマーを投与した対象において、アンチセンスオリゴマーの腎毒性を軽減するための方法であって、糖アルコールを前記対象に投与することを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~30となる量で投与される、方法。
【請求項17】
アンチセンスオリゴマーを含む腎毒性が軽減された医薬組成物であって、糖アルコールを含む腎毒性軽減剤を1mg/mL~400mg/mLの濃度で含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤、当該医薬組成物の腎毒性を軽減するための方法、アンチセンスオリゴマーを含む腎毒性が軽減された医薬組成物などに関する。
【背景技術】
【0002】
アンチセンスオリゴマーは、標的とするmRNA及びmRNA前駆体に配列特異的にハイブリダイゼーションする核酸である。アンチセンスオリゴマーは、mRNA及びmRNA前駆体の分解、エキソンスキッピング、エキソンインクルージョン、翻訳阻害等を介してその作用を発揮し、幾つかの疾患の治療薬として用いられている。例えば、特開2015-91229(特許文献1)は、SVA型レトロトランスポゾンの挿入変異を有するフクチン遺伝子の異常スプライシングを正常化することにより、福山型筋ジストロフィー等を治療し得るアンチセンス核酸を開示している。
【0003】
しかし、アンチセンスオリゴマーに関しては、例えばモルホリノオリゴマーが腎臓に集積すること(非特許文献1、
図2)、モルホリノオリゴマー投与により腎毒性が発現すること(非特許文献2、
図3、表5)、モルホリノオリゴマー投与により腎臓尿細管に好塩基性物質が認められること(非特許文献3、
図1)が知られていた。この腎毒性及び尿細管内の好塩基性物質の出現を回避する方法は不明であった。一方、単量体形態におけるよりも高い毒性を凝集体形態において有するオリゴヌクレオチドについて、凝集を崩壊させるマンニトール等の化学種を使用して加熱することで、治療用オリゴヌクレオチドの製剤中での多量体形成を抑制可能であること(特許文献2)、液体製剤中の糖、糖アルコール類がオリゴヌクレオチドの凝集を抑制すること(特許文献3)が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-91229
【特許文献2】国際公開2002/036767
【特許文献3】国際公開2010/009038
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Heemskerk HA, de Winter CL, de Kimpe SJ, van Kuik-Romeijn P, Heuvelmans N, Platenburg GJ, van Ommen GJ, van Deutekom JC, Aartsma-Rus A. In vivo comparison of 2'-O-methyl phosphorothioate and morpholino antisense oligonucleotides for Duchenne muscular dystrophy exon skipping. J Gene Med. 2009 Mar;11(3):257-66. doi: 10.1002/jgm.1288.
【非特許文献2】Sazani P, Ness KP, Weller DL, Poage D, Nelson K, Shrewsbury AS. Chemical and mechanistic toxicology evaluation of exon skipping phosphorodiamidate morpholino oligomers in mdx mice. Int J Toxicol. 2011 May;30(3):322-33. doi: 10.1177/1091581811403504. Epub 2011 May 3.
【非特許文献3】Carver MP, Charleston JS, Shanks C, Zhang J, Mense M, Sharma AK, Kaur H, Sazani P. Toxicological Characterization of Exon Skipping Phosphorodiamidate Morpholino Oligomers (PMOs) in Non-human Primates. J Neuromuscul Dis. 2016 Aug 30;3(3):381-393. doi: 10.3233/JND-160157.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、アンチセンスオリゴマーを含有する医薬組成物には腎毒性の問題があることが知られている。このような状況において、改善されたアンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下に記載するアンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤、当該医薬組成物の腎毒性を軽減するための方法、アンチセンスオリゴマーを含む腎毒性が軽減された医薬組成物などを提供する。
(1)アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mLになる量で使用される、腎毒性軽減剤。
(2)前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が2.5mg/mL~200mg/mLになる量で使用される、(1)に記載の腎毒性軽減剤。
(3)前記医薬組成物中のアンチセンスオリゴマーの濃度が、0.5mg/mL~200mg/mLである、(1)又は(2)に記載の腎毒性軽減剤。
(4-1)アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~30となる量で使用される、腎毒性軽減剤。
(4-2)アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~90となる量で使用される、腎毒性軽減剤。
(4-3)前記医薬組成物と腎毒性軽減剤が別々に投与される、(4-1)又は(4-2)に記載の腎毒性軽減剤。
(5)アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.1~13.3となる量で使用される、(4-1)~(4-3)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
(6)糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、(1)~(5)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
(7)アンチセンスオリゴマーがモルホリノオリゴマーである、(1)~(6)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
(8)アンチセンスオリゴマーがホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーである、(1)~(7)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
(9)アンチセンスオリゴマーの5'末端が、下記化学式(1)~(2):
【0008】
【0009】
のいずれかの基である、(1)~(8)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
(10)前記アンチセンスオリゴマーが、その塩基配列中に4つの連続するプリン塩基を含む、(1)~(9)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
(11)前記4つの連続するプリン塩基のうちの少なくとも2つがグアニンである、(10)に記載の腎毒性軽減剤。
(12)前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号1~10からなる群から選択される塩基配列を含む、(1)~(11)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
(13)前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号11で示される塩基配列の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とする、(1)~(12)のいずれか記載の腎毒性軽減剤。
(14)前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号11で示される塩基配列の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とするものではない、(1)~(12)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
(15-1)アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性を軽減するための方法であって、糖アルコールを、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mLになる量で添加することを含む、方法。
(15-2)糖アルコールを、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が2.5mg/mL~200mg/mLになる量で添加する、(15-1)に記載の方法。
(15-3)前記医薬組成物中のアンチセンスオリゴマーの濃度が、0.5mg/mL~200mg/mLである、(15-1)又は(15-2)に記載の方法。
(16-1)アンチセンスオリゴマーを投与した対象において、アンチセンスオリゴマーの腎毒性を軽減するための方法であって、糖アルコールを前記対象に投与することを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~30となる量で投与される、方法。
(16-2)アンチセンスオリゴマーを投与した対象において、アンチセンスオリゴマーの腎毒性を軽減するための方法であって、糖アルコールを前記対象に投与することを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~90となる量で投与される、方法。
(16-3)前記アンチセンスオリゴマーと前記糖アルコールが別々に投与される、(16-1)又は(16-2)に記載の方法。
(16-4)糖アルコールが、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.1~13.3となる量で使用される、(16-1)~(16-3)のいずれかに記載の方法。
(17-1)アンチセンスオリゴマーを含む腎毒性が軽減された医薬組成物であって、糖アルコールを含む腎毒性軽減剤を1mg/mL~400mg/mLの濃度で含む、医薬組成物。
(17-2)糖アルコールを含む腎毒性軽減剤を2.5mg/mL~200mg/mLの濃度で含む、(17-1)に記載の医薬組成物。
(17-3)前記医薬組成物中のアンチセンスオリゴマーの濃度が、0.5mg/mL~200mg/mLである、(17-1)又は(17-2)に記載の医薬組成物。
(18)糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、(15-1)~(17-3)のいずれかに記載の方法又は医薬組成物。
(19)アンチセンスオリゴマーがモルホリノオリゴマーである、(15-1)~(18)のいずれかに記載の方法又は医薬組成物。
(20)アンチセンスオリゴマーがホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーである、(15-1)~(19)のいずれかに記載の方法又は医薬組成物。
(21)アンチセンスオリゴマーの5'末端が、下記化学式(1)~(2):
【0010】
【0011】
のいずれかの基である、(15-1)~(20)のいずれかに記載の方法又は医薬組成物。
(22)前記アンチセンスオリゴマーが、その塩基配列中に4つの連続するプリン塩基を含む、(15-1)~(21)のいずれかに記載の方法又は医薬組成物。
(23)前記4つの連続するプリン塩基のうちの少なくとも2つがグアニンである、(22)に記載の方法又は医薬組成物。
(24)前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号1~10からなる群から選択される塩基配列を含む、(15-1)~(23)のいずれかに記載の方法又は医薬組成物。
(25)前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号11で示される塩基配列の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とする、(15-1)~(24)のいずれか記載の腎毒性軽減剤。
(26)前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号11で示される塩基配列の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とするものではない、(15-1)~(24)のいずれかに記載の腎毒性軽減剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤、当該医薬組成物の腎毒性を軽減するための方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】表11に示す条件での620nmにおける吸光度測定値を示す。
【
図2】表12に示す条件での620nmにおける吸光度測定値を示す。
【
図3】表13に示す条件での620nmにおける吸光度測定値を示す。
【
図4】表14に示す条件での620nmにおける吸光度測定値を示す。
【
図5】表15に示す条件での620nmにおける吸光度測定値を示す。
【
図6】表16に示す条件での620nmにおける吸光度測定値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施形態において、本発明は、アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤に関する。本明細書において、「腎毒性軽減剤」とはアンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物が有し得る腎毒性あるいはその原因となる現象(好塩基性物質の蓄積等)を軽減するための薬剤を意味する。投与されたアンチセンスオリゴマーが排泄の過程で高濃度に腎臓に分布し蓄積することにより、腎臓に好塩基性物質が発現することがある。腎毒性とは、腎臓でのアンチセンスオリゴマーの蓄積がより高度化することにより、組織に障害が生じること、又は腎機能が低下することを意味する。腎臓の組織障害により、例えば尿細管の拡張、及び壊死が生じる事が知られており、腎機能の低下により、例えば血中尿素窒素量(BUN)値、及び血中クレアチニン(Cre)値が上昇することが広く知られている。アンチセンスオリゴマーの腎毒性を軽減することより、高用量のアンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物、当該医薬組成物を用いた疾患を治療するための方法が提供され得る。
【0015】
腎毒性軽減効果の有無は、例えば血中尿素窒素量(BUN)値、及び血中クレアチニン(Cre)値を、例えばそれぞれウレアーゼ、GIDH法及び酵素法で実施例に記載のとおりに測定することにより決定することができる。例えば、腎毒性軽減剤を投与しない場合と比べて、腎毒性軽減剤を投与した場合にBUN値及び/又はCre値が、例えば、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、又は50%以上低下した場合に、腎毒性軽減効果があると決定することができる。
【0016】
一実施形態において、本発明の腎毒性軽減剤は、糖アルコールからなるものでもよく、又は糖アルコールを含むものであってもよい。限定するものではないが、糖アルコールの例としては、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、キシリトール、アラビトール、エリトリトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、ラクチトールが挙げられる。一実施形態において、糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはマンニトール、ソルビトール、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
本発明の腎毒性軽減剤が、糖アルコール以外の成分を含む場合、腎毒性軽減剤は、糖アルコールに薬学的に許容される担体又は添加剤(及び任意に本発明の腎毒性軽減剤)を適宜配合して製剤化してもよい。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。好ましくは、非経口剤である。注射剤は凍結乾燥製剤としてもよい。担体又は添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体又は添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性又は油性基剤等の各種担体、賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
【0018】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は通常の製剤業務(例えば有効成分を注射用水、天然植物油等の溶媒に溶解又は懸濁させる等)に従って調製することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO-50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。さらに、凍結乾燥製剤としてもよい。
【0019】
本明細書において、アンチセンスオリゴマーは、オリゴヌクレオチド、モルホリノオリゴマー、又はペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid:PNA)オリゴマーのいずれであってもよい(以下、それぞれを、「本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド」、「本明細書に記載のアンチセンスモルホリノオリゴマー」、又は「本明細書に記載のアンチセンスペプチド核酸オリゴマー」ともいう。)。
【0020】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドを構成単位とするアンチセンスオリゴマーであり、かかるヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又は修飾ヌクレオチドのいずれであってもよい。
【0021】
修飾ヌクレオチドとは、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを構成する核酸塩基、糖部分、及びリン酸結合部分の全部又は一部が修飾されているものをいう。
【0022】
核酸塩基としては、例えば、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、チミン、ウラシル、又はそれらの修飾塩基を挙げることができる。かかる修飾塩基としては、例えば、シュードウラシル、3-メチルウラシル,ジヒドロウラシル、5-アルキルシトシン(例えば、5-メチルシトシン)、5-アルキルウラシル(例えば、5-エチルウラシル)、5-ハロウラシル(例えば、5-ブロモウラシル)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(例えば、6-メチルウラシル)、2-チオウラシル、4-チオウラシル、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、1-メチルアデニン、1-メチルヒポキサンチン、2,2-ジメチルグアニン、3-メチルシトシン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、N6-メチルアデニン、7-メチルグアニン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メチルカルボニルメチルウラシル、5-メチルオキシウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸、2-チオシトシン、プリン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、イソグアニン、インドール、イミダゾール、キサンチン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
糖部分の修飾としては、例えば、リボースの2’位の修飾及び糖のその他の部分の修飾を挙げることができる。リボースの2’位の修飾としては、例えば、リボースの2’位の-OH基を-OR、-R、-R’OR、-SH、-SR、-NH2、-NHR、-NR2、-N3、-CN、-F、-Cl、-Br、-Iに置換する修飾を挙げることができる。ここで、Rはアルキル又はアリールを表す。R’はアルキレンを表す。
【0024】
糖のその他の部分の修飾としては、例えば、リボース又はデオキシリボースの4’位のOをSに置換したもの、糖の2’位と4’位を架橋したもの、例えば、LNA(Locked Nucleic Acid)又はENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
リン酸結合部分の修飾としては、例えば、ホスホジエステル結合をホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスホネート結合、ホスホロアミデート結合、ボラノフォスフェート結合(例えば、Enya et al: Bioorganic & Medicinal Chemistry,2008, 18, 9154-9160を参照)に置換する修飾を挙げることができる(例えば、再公表特許公報第2006/129594号及び再公表特許公報第2006/038608号を参照)。
【0026】
本明細書において、アルキルとしては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキルが好ましい。具体的には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシルが挙げられる。当該アルキルは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらで1~3個置換されていてもよい。
【0027】
本明細書において、シクロアルキルとしては、炭素数3~12のシクロアルキルが好ましい。具体的には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシルが挙げられる。
【0028】
本明細書において、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
【0029】
本明細書において、アルコキシとしては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ等を挙げることができる。とりわけ、炭素数1~3のアルコキシが好ましい。
【0030】
本明細書において、アリールとしては、炭素数6~10のアリールが好ましい。具体的には、例えば、フェニル、α-ナフチル、β-ナフチルを挙げることができる。とりわけフェニルが好ましい。当該アリールは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、アルキル、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが1~3個置換されていてもよい。
【0031】
本明細書において、アルキレンとしては、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1~6のアルキレンが好ましい。具体的には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、2-(エチル)トリメチレン、1-(メチル)テトラメチレンを挙げることができる。
【0032】
本明細書において、アシルとしては、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルカノイル又はアロイルを挙げることができる。アルカノイルとしては、例えば、ホルミル、アセチル、2-メチルアセチル、2,2-ジメチルアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、2,2-ジメチルプロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。アロイルとしては、例えば、ベンゾイル、トルオイル、ナフトイルを挙げることができる。かかるアロイルは置換可能な位置において置換されていてもよく、アルキルで置換されていてもよい。
【0033】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、各種自動合成装置(例えば、AKTA oligopilot plus 10 / 100(GE Healthcare))を用いて容易に合成することが可能であり、あるいは、第三者機関(例えば、Promega社又はTakara社)等に委託して作製することもできる。
【0034】
本明細書に記載のアンチセンスモルホリノオリゴマーは、下記一般式で表される基を構成単位とするアンチセンスオリゴマーである。
【0035】
【0036】
(式中、Baseは、核酸塩基を表し;
Wは、以下のいずれかの式で表わされる基を表す。
【0037】
【0038】
(式中、Xは、-CH2R1、-O-CH2R1、-S-CH2R1、-NR2R3、又はFを表し;
R1は、H、アルキルを表し;
R2及びR3は、同一又は異なって、H、アルキル、シクロアルキル、又はアリールを表し;
Y1は、O、S、CH2、又はNR1を表し;
Y2は、O、S、又はNR1を表し;
Zは、O又はSを表す。))
本明細書において、モルホリノオリゴマーは、好ましくは、以下の式で表わされる基を構成単位とするオリゴマー(ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(以下、「PMO」という))である。
【0039】
【0040】
(式中、Base、R2、R3は、前記と同義である。)
モルホリノオリゴマーは、例えば、国際公開公報第1991/009033号、又は国際公開公報第2009/064471号に記載の方法に従って製造することができる。特に、PMOは、国際公開公報第2009/064471号、又は国際公開公報第2013/100190号に記載の方法に従って製造することができる。
【0041】
本明細書に記載のアンチセンスペプチド核酸オリゴマーは、下記一般式で表される基を構成単位とするアンチセンスオリゴマーである。
【0042】
【0043】
(式中、Baseは、前記と同義である。)
ペプチド核酸オリゴマーは、例えば、以下の文献に従って製造することができる。
1)P. E. Nielsen, M. Egholm, R. H. Berg, O. Buchardt,Science, 254, 1497 (1991)2)M. Egholm, O. Buchardt, P. E. Nielsen, R. H. Berg,JACS, 114, 1895 (1992)
3)K. L. Dueholm, M. Egholm, C. Behrens, L. Christensen, H. F. Hansen, T. Vulpius, K. H. Petersen, R. H. Berg, P. E. Nielsen, O. Buchardt,J. Org. Chem., 59, 5767 (1994)
4)L. Christensen, R. Fitzpatrick, B. Gildea, K. H. Petersen, H. F. Hansen, T. Koch, M. Egholm,O. Buchardt, P. E. Nielsen, J. Coull, R. H. Berg, J. Pept. Sci., 1, 175 (1995)5)T. Koch, H. F. Hansen, P. Andersen, T. Larsen, H. G. Batz, K. Otteson, H. Orum, J. Pept. Res., 49, 80 (1997)
本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーは、その医薬的に許容可能な塩の形態、水和物の形態、又は医薬的に許容可能な塩の水和物の形態であってもよい。
【0044】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーの医薬的に許容可能な塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩などの金属塩;アンモニウム塩;t-オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N-ベンジル-フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機アミン塩;弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸塩;酢酸塩、リンゴ酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩などの有機酸塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などが挙げられる。これらの塩は、公知の方法で製造することができる。あるいは、本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーは、その水和物の形態にあってもよい。
【0045】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーは、5’末端が、下記化学式(1)~(3)のいずれかの基であってもよい。好ましくは(1)又は(2)のいずれかの基である。
【0046】
【0047】
以下、上記(1)、(2)、及び(3)で示される基を、それぞれ「基(1)」、「基(2)」、及び「基(3)」と呼ぶ。
【0048】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーの塩基配列は限定しないが、例えばその塩基配列中に4つの連続するプリン塩基を含んでもよい。また、4つの連続するプリン塩基のうちの少なくとも2つがグアニンであってよい。
【0049】
一実施形態において、本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーは、(i)配列番号1~10からなる群から選択される塩基配列、(ii)配列番号1~10からなる群から選択される塩基配列に対して80%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の配列同一性を有する塩基配列、又は(iii)配列番号1~10からなる群から選択される塩基配列において1又は数個の塩基が付加、欠失、又は置換された塩基配列を含む、又はからなる。
【0050】
本明細書において塩基配列の「同一性」とは、2つの塩基配列をアライメントした場合に一致する塩基の割合を意味する。配列同一性は、FASTA(Science 227 (4693): 1435-1441, (1985))や、カーリン及びアルチュールによるアルゴリズムBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 872264-2268, 1990; Proc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたblastn、blastx、tblastnやtblastxと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al: J Mol Biol 215: 403, 1990)。blastnを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
【0051】
本明細書において、1又は数個の塩基が付加、欠失、又は置換された塩基配列における数個は、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、又は10個を意味する。
【0052】
一実施形態において、本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーは、フクチン遺伝子のゲノム配列(GenBank ACCESSION: AB038490)にSVA型レトロトランスポゾン配列(GenBank ACCESSION: AB185332)が挿入された挿入変異型フクチン遺伝子のゲノム配列(配列番号11)の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とするものであるか、又は当該範囲を標的配列とするものではない。配列番号11の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とするアンチセンスオリゴマーの例として、配列番号1~7からなる群から選択される塩基配列を含むアンチセンスオリゴマーが挙げられる。配列番号11の第115937位~第115981位の範囲を標的配列としないアンチセンスオリゴマーの例として、配列番号8~10からなる群から選択される塩基配列を含むアンチセンスオリゴマーが挙げられる。
【0053】
一実施形態において、本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーは、機能性ペプチド、例えば細胞浸透性ペプチド(CPP)が結合しているコンジュゲートである。公知の機能性ペプチド又は市販の機能性ペプチドを本明細書において使用することができる。本明細書で使用することができる機能性ペプチドには、例えば、国際公開第2008/036127号パンフレットに開示されているアルギニンリッチペプチド;又は国際公開第2009/005793号パンフレットに開示されている臓器を標的とするペプチド、例えば、RXR、RBRなど;又は国際公開第2012/150960号パンフレットに開示されているアミノ酸サブユニットを含むペプチドが含まれる。細胞浸透性ペプチド(CPP)は、哺乳動物細胞の細胞膜を通過することができ、したがって、細胞ドラッグデリバリーを改善することができる10~約30アミノ酸の短いペプチド配列を表す(例えば、Hum Mol Genet. 2011 Aug 15; 20(16): 3151-3160; Pharmacology & Therapeutics 154 (2015) 78-86を参照されたい)。公知のCPP又は市販のCPPを本明細書において使用することができる。本明細書において使用することができるCPPは、例えば、Pharmacology
& Therapeutics 154 (2015) 78-86の80頁の表1に列挙されたCPPが含まれ、例えば、TAT(48-60)、ペネトラチン、ポリアルギニン、Oct4、WT1-pTj、DPV3、トランスポータン、MAP、VP22、Rep1、KW、KFGF、FGF12、インテフリンβ3ペプチド、C105Y、TP2;特表2017-500856明細書(国際公開第2015/089487号パンフレット)の段落[0085]、表1に列挙されるCPP、例えばDPV10/6、DPV15b、YM-3、Tat、LR11、C45D18、Lyp-1、Lyp-2、BMV GAG、hLF1-22、C45D18、LR20などが挙げられる。CPPは、例えば、Funakoshi,Co.,Ltd.から市販されている。TAT(Funakoshi,Co.,Ltd.)、ペネトラチン(Funakoshi,Co.,Ltd.)などの市販のCPP、又は公知のCPP、例えばR8などを本明細書において使用することができる。本明細書において用いることができる好ましいCPPは、例えば、hLIMK、TAT、ペネトラチン、R8などを含む(国際公開第2016/187425号パンフレット、国際公開第2018/118662号パンフレット、国際公開第2018/118599号パンフレット、国際公開第2018/118627号パンフレット、EBioMedicine 45 (2019) 630-645などを参照されたい)。CPPは、本明細書のアンチセンスオリゴマーに直接結合することができ、又はCPPをアンチセンスオリゴマーに結合することができるリンカーを介して結合することができる。公知のリンカーを本明細書において使用することができる。このようなリンカーには、例えば、特表2017-500856明細書(国際公開第2015/089487号パンフレット)、国際公開第2015/089487号パンフレット、国際公開第2009/073809号パンフレット、国際公開第2013/075035号パンフレット、国際公開第2015/105083号パンフレット、国際公開第2014/179620号パンフレット、国際公開第2015/006740号パンフレット、国際公開第2017/010575号パンフレットなどに記載されるものが含まれる。本明細書において使用することができる好ましいリンカーは、例えば、4-マレイミド酪酸、ジスルフィド結合を介して本明細書の機能性ペプチド又はアンチセンスオリゴマーに結合することができるリンカーなどを含む。本明細書のコンジュゲートは、当業者に公知の方法によって調製することができる。
【0054】
本明細書に記載の医薬組成物は、薬学的に許容される担体又は添加剤(及び任意に本発明の糖アルコール)を適宜配合して製剤化してもよい。医薬組成物について、薬学的に許容される担体又は添加剤及び製剤化については、アンチセンス核酸が有効成分であること以外は、本発明の腎毒性軽減剤に記載したのと同様である。
【0055】
一実施形態において、本発明の腎毒性軽減剤は、本明細書に記載の医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mL、例えば2.5mg/mL~200mg/mLになる量で使用される、及び/又は医薬組成物に添加される。一実施形態において本発明の腎毒性軽減剤は、例えば前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL以上、2.5mg/mL以上、3mg/mL以上、4mg/mL以上、5mg/mL以上、10mg/mL以上、15mg/mL以上、20mg/mL以上、30mg/mL以上、又は40mg/mL以上になる量で使用される、及び/又は医薬組成物に添加される。また、本発明の腎毒性軽減剤は、例えば前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が400mg/mL以下、350mg/mL以下、300mg/mL以下、250mg/mL以下、又は200mg/mL以下になる量で使用される、及び/又は医薬組成物に添加される。
【0056】
一実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物中のアンチセンスオリゴマーの濃度は、0.5mg/mL~200mg/mL、例えば6mg/mL~200mg/mLである。一実施形態において、本明細書に記載の医薬組成物中のアンチセンスオリゴマーの濃度は、0.5mg/mL以上、1mg/mL以上、2mg/mL以上、3mg/mL以上、4mg/mL以上、5mg/mL以上、又は6mg/mL以上であってよく、200mg/mL以下、180mg/mL以下、150mg/mL以下、140mg/mL以下、又は130mg/mL以下であってよい。
【0057】
一実施形態において、本発明は、アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~90、0.05~30、例えば0.1~13.3となる量で使用される、腎毒性軽減剤に関する。アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物及び糖アルコールについては上記のとおりである。一実施形態において、本発明の腎毒性軽減剤は、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1以上、2以上、又は5以上となる量で使用される。一実施形態において、本発明の腎毒性軽減剤は、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、25以下、20以下、15以下、13.3以下又は10以下となる量で使用される。
【0058】
一実施形態において、本発明の腎毒性軽減剤は、本明細書に記載の医薬組成物中に含まれ、本明細書に記載の医薬組成物と共に投与される。例えば、本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーを任意にグルコース等の担体と共に凍結乾燥したものを、注射用水等の溶媒に溶かした医薬組成物と、本明細書に記載の腎毒性軽減剤を混合し、その後任意に溶媒により量を調節して対象に投与してもよい。また、例えば、本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーを本発明の腎毒性軽減剤と共に凍結乾燥したものを、注射用水等の溶媒に溶かして医薬組成物とし、その後任意に溶媒により量を調節して対象に投与してもよい。
【0059】
別の実施形態において、本発明の腎毒性軽減剤は、本明細書に記載の医薬組成物中に含まれず、本明細書に記載の医薬組成物とは別々に(同時に又は逐次的に)投与される。例えば、本明細書に記載のアンチセンスオリゴマーの凍結乾燥剤を、注射用水等の溶媒に溶かした医薬組成物と、本明細書に記載の腎毒性軽減剤を別々に対象に投与してもよい。本明細書において、腎毒性軽減剤及び医薬組成物を「同時に」投与するとは、腎毒性軽減剤及び医薬組成物を同一の時点で投与することを意味する。本明細書において、腎毒性軽減剤及び医薬組成物を「逐次的に」投与するとは、異なる時点で投与することを意味する。具体的には、腎毒性軽減剤の前又は後に投与することができ、この場合の腎毒性軽減剤と医薬組成物の投与間隔は、限定しないが、例えば数分間、数時間、又は一日程度までであってよい。
【0060】
本明細書において、医薬組成物及び/又は腎毒性軽減剤を投与する対象としては、限定しないが、例えば哺乳動物、例えばヒト等の霊長類、ラット、マウス、及びドブネズミ等の実験動物、ブタ、ウシ、ウマ、及びヒツジ等の家畜動物等が挙げられ、好ましくはヒトである。
【0061】
医薬組成物及び/又は腎毒性軽減剤を投与する際の用量としては、医薬組成物に含まれるアンチセンスオリゴマー及び腎毒性軽減剤に含まれる糖アルコールの種類、医薬組成物及び腎毒性軽減剤の剤形、年齢や体重等の対象の状態、投与経路、疾患の性質と症状を考慮した上で調整され得るが、アンチセンスオリゴマーの量として、例えば1日当たり0.1mg~10g/ヒトの範囲内、例えば1mg~1g/ヒトの範囲内、例えば10mg~100mg/ヒトの範囲内とすることができ、糖アルコールの量として、例えば1日当たり0.1mg~200g/ヒトの範囲内、例えば1mg~100g/ヒトの範囲内、例えば10mg~50g/ヒトの範囲内、例えば100mg~50g/ヒトの範囲内、例えば100mg~40g/ヒトの範囲内、例えば100mg~30g/ヒトの範囲内、例えば100mg~20g/ヒトの範囲内、例えば1g~20g/ヒトの範囲内、例えば2g~20g/ヒトの範囲内、例えば1g~10g/ヒトの範囲内、例えば100mg~1g/ヒトの範囲内とすることができる。投与回数及び投与頻度は限定しないが、例えば1日1回から2、3回の投与回数で、1日から2、3日間の間隔をあけて投与することができる。また、例えば1回のみで投与することもでき、その数日後にもう一回投与して合計2回投与することもできる。
【0062】
一実施形態において、本発明は、アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性を軽減するための方法、又はアンチセンスオリゴマーを含む腎毒性が軽減された医薬組成物を生産するための方法であって、糖アルコールを、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mLになる量で添加することを含む、方法に関する。本実施形態において、アンチセンスオリゴマー、医薬組成物、糖アルコール、医薬組成物中の糖アルコールの濃度等については、本明細書に記載するとおりである。
【0063】
一実施形態において、本発明は、アンチセンスオリゴマー又はアンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物を投与した対象において、アンチセンスオリゴマーの腎毒性を軽減するための方法であって、糖アルコール又は腎毒性軽減剤を前記対象に投与することを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~90又は0.05~30となる量で投与される、方法に関する。本実施形態において、アンチセンスオリゴマー、医薬組成物、糖アルコール、腎毒性軽減剤、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比等については、本明細書に記載するとおりである。
【0064】
一実施形態において、本発明は、アンチセンスオリゴマーを含む腎毒性が軽減された医薬組成物であって、糖アルコールを含む腎毒性軽減剤を1mg/mL~400mg/mLの濃度で含む、医薬組成物に関する。本実施形態において、アンチセンスオリゴマー、医薬組成物、糖アルコール、医薬組成物中の糖アルコールの濃度等については、本明細書に記載するとおりである。
【実施例0065】
[実施例1:アンチセンスオリゴマー(PMO)の製造]
国際公開公報WO2013/100190に記載の方法に従い、表1に示すアンチセンスオリゴマー(PMO No.1~10(配列番号1~10))を合成した。各アンチセンスオリゴマーの分子量の理論値及びESI-TOF-MSによる実測値も示す。
【0066】
【0067】
上記表における「基(1)」及び「基(2)」は以下の通りである。
【0068】
【0069】
[実施例2:D-マンニトールによる腎毒性軽減作用の評価]
表1に示すアンチセンスオリゴマーのうち、PMO No.1、2、3、4、6、7、10(配列番号1、2、3、4、6、7、10)について、医薬用途への有用性を検証するため、腎臓における安全性評価を行った。
(1)評価方法
PMO No.1、2、6、7、10の各アンチセンスオリゴマーを0.9%の塩化ナトリウムを含む注射用水(大塚製薬製)に溶解し、各アンチセンスオリゴマーを表2、3、6、7、8に記載の濃度で含みD-マンニトールを含まない対照の投与液を作製した。また、PMO No.3、4の各アンチセンスオリゴマーを5%グルコース(大塚製薬製)に溶解し、各アンチセンスオリゴマーを表4、5に記載の濃度で含みD-マンニトールを含まない対照の投与液を作製した。
【0070】
次に、PMO No.1、2、6、7、10の各アンチセンスオリゴマーを0.9%の塩化ナトリウムを含む注射用水に溶解し、さらに20%D-マンニトール(陽進堂製)を生理食塩水(大塚製薬製)又は0.9%塩化ナトリウムを含む注射用水で希釈した溶液を加えて、各アンチセンスオリゴマーとD-マンニトールを各々表2、3、6、7、8に記載の濃度で含む投与液を作製した。また、PMO No.3、4(配列番号3、4)の各アンチセンスオリゴマーを15%D-マンニトール(テルモ製)を注射用水で希釈した溶液に溶解し、各アンチセンスオリゴマーとD-マンニトールを各々表4、5に記載の濃度で含む投与液を作製した。
【0071】
これらの投与液をC57BL/6J雄性6週齢マウスの尾静脈内へ4、10、20mL/kgで投与した。翌日、マウスより血清を回収し、血中尿素窒素量(BUN)値をウレアーゼ・GIDH法、血中クレアチニン(Cre)値を酵素法で、生化学自動分析装置JCA-BM6050又はJCA-BM8060(日本電子製)を用いて測定した。D-マンニトールを含まない対照の投与液を投与したマウスと比較して、D-マンニトールを含む投与液を投与したマウスにおいてBUN値及びCre値の両方の値が低下した場合に、腎毒性が軽減したと判定した。
(2)評価結果
試験した各アンチセンスオリゴマーは、D-マンニトールを含む投与液を投与したマウスにおいて、BUN値及びCre値の両方の値で低下傾向が認められたため、D-マンニトールが腎毒性を軽減することを確認した。結果を表2、3、4、5、6、7、8に示す。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
以上の結果より、D-マンニトールはアンチセンスオリゴマー投与による腎毒性を軽減することが示された。
[実施例3:D-ソルビトールによる腎毒性軽減作用の評価]
表1に示すアンチセンスオリゴマーのうち、PMO No.2、3(配列番号2、3)について、医薬用途への有用性を検証するため、腎臓における安全性評価を行った。
(1)評価方法
PMO No.2のアンチセンスオリゴマーを生理食塩水に溶解し、アンチセンスオリゴマーを表9に記載の濃度で含みD-ソルビトールを含まない対照の投与液を作製した。また、PMO No.3のアンチセンスオリゴマーをダルベッコPBS(-)(ニッスイ製)に溶解し、アンチセンスオリゴマーを表10に記載の濃度で含みD-ソルビトールを含まない対照の投与液を作製した。
【0080】
次に、PMO No.2のアンチセンスオリゴマーをD-ソルビトール(丸石製薬製)を生理食塩水で溶解した溶液に溶解し、アンチセンスオリゴマーとD-ソルビトールを表9に記載の濃度で含む投与液を作製した。また、PMO No.3のアンチセンスオリゴマーをD-ソルビトールを注射用水で溶解した溶液に溶解し、アンチセンスオリゴマーとD-ソルビトールを表10に記載の濃度で含む投与液を作製した。
【0081】
これらの投与液をC57BL/6J雄性6週齢マウス(N=3)の尾静脈内へ4、10mL/kgで投与した。翌日、マウスより血清を回収し、血中尿素窒素量(BUN)値をウレアーゼ・GIDH法、及び血中クレアチニン(Cre)値を酵素法で、生化学自動分析装置JCA-BM8060(日本電子製)を用いて測定した。D-ソルビトールを含まない投与液を投与したマウスと比較して、D-ソルビトールを含む投与液を投与したマウスにおいてBUN値及びCre値の両方の値が低下した場合に、腎毒性が軽減したと判定した。
(2)評価結果
試験した各アンチセンスオリゴマーは、D-ソルビトールを含む投与液を投与したマウスにおいて、BUN値及びCre値の両方の値で低下傾向が認められたため、D-ソルビトールが腎毒性を軽減することを確認した。結果を表9、10に示す。
【0082】
【0083】
【0084】
[実施例4:D-マンニトールによる析出抑制作用の評価]
試験方法
表1に示すアンチセンスオリゴマーのうち、PMO No.1、2、3、5、6、7(配列番号1、2、3、5、6、7)について、医薬用途への有用性をさらに検証するため、尿中を想定したイオン存在下での析出量及びD-マンニトールによる析出抑制作用を評価した。
【0085】
各アンチセンスオリゴマーを生理食塩水又はD-マンニトール水溶液に溶解し、尿を想定した塩化カリウム及び塩化ナトリウムを含む水溶液と混和した。評価した条件(溶液の組成)を表11~16に示す。混和した溶液をプレートリーダーInfinite F200 Pro(TECAN社製)を用いて37℃加温条件下、620nmでの吸光度を測定した。尿中でのアンチセンスオリゴマーの析出を想定した場合、アンチセンスオリゴマーの濃度、塩化カリウム濃度及び塩化ナトリウム濃度は、アンチセンスオリゴマーの投与量や尿量によって変動するため、配列ごとに注射用水を媒体に用いて析出がみられる条件を設定した。また、得られた条件から媒体のみをD-マンニトール水溶液に変更した条件で測定し、両条件において得られた吸光度の比較を行った。吸光度が上昇した場合に、析出がみられたと判断し、析出がみられるまでの時間及び吸光度上昇値を評価した。D-マンニトール水溶液を媒体とした場合に、注射用水を媒体とした場合よりも析出がみられるまでの時間が遅い、又は吸光度上昇値が小さい場合に、析出抑制作用があると判定した。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
試験結果
試験した各アンチセンスオリゴマーは、全てD-マンニトール水溶液を媒体とした場合に、析出がみられるまでの時間が遅延し、吸光度の上昇を抑制したことから、D-マンニトールはアンチセンスオリゴマーの析出を抑制することが示された。それぞれの結果を、
図1~6に示す。
【0093】
以上の結果より、D-マンニトールはアンチセンスオリゴマーの尿中での析出を抑制することが示された。
アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mLになる量で使用される、腎毒性軽減剤。
アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性軽減剤であって、糖アルコールを含み、アンチセンスオリゴマーを1としたときの糖アルコールの重量比が0.05~30となる量で使用される、腎毒性軽減剤。
前記アンチセンスオリゴマーが、配列番号11で示される塩基配列の第115937位~第115981位の範囲を標的配列とするものではない、請求項1~12のいずれか一項に記載の腎毒性軽減剤。
アンチセンスオリゴマーを含む医薬組成物の腎毒性を軽減するための方法であって、糖アルコールを、前記医薬組成物中の糖アルコールの濃度が1mg/mL~400mg/mLになる量で添加することを含む、方法。
アンチセンスオリゴマーを含む腎毒性が軽減された医薬組成物であって、糖アルコールを含む腎毒性軽減剤を1mg/mL~400mg/mLの濃度で含む、医薬組成物。