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特開2023-130356薬液用容器及びこの型の容器の充填方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130356
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】薬液用容器及びこの型の容器の充填方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/06 20060101AFI20230912BHJP
【FI】
A61J1/06 F
A61J1/06 G
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023097761
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2020533799の分割
【原出願日】2018-12-19
(31)【優先権主張番号】102017223505.5
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】513220920
【氏名又は名称】フェッター ファルマ-フェルティグング ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘルテル,ウルリヒ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬液用容器及びこの型の容器の充填方法を提供する。
【解決手段】薬液用容器1は、遠位端5と近位端7とを有する内側容器3を備え、近位端に第1多孔質分離要素9が配置され、第1多孔質分離要素は薬液を保持するための保持空間15を区画し、内側容器が近位端と保持空間の少なくとも一部と共にその中に配置されている外側容器17を備える。正圧のガスを内側容器の外面19と外側容器の内面21との間に配置された周辺空間23内に配置可能で、外側容器は気密に内側容器周辺で延びている。内側容器の遠位端に出口チャネル部分25が接続され、外側容器の外に出口チャネル部分の少なくとも一部分が配置される。出口チャネル部分内にバルブ装置29が配置でき、バルブ装置は、開位置では、出口チャネル部分の遠位出口開口部31と保持空間との間の流体接続を開き、閉位置では、遠位出口開口部と保持空間との間の流体接続を遮蔽するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端(5)と近位端(7)とを有する内側容器(3)を備え、
前記近位端(7)に第1多孔質分離要素(9)が配置され、
前記第1多孔質分離要素(9)が、薬液を保持するための保持空間(15)を区画し、 前記内側容器(3)が、前記近位端(7)と前記保持空間(15)の少なくとも一部と共にその中に配置されている外側容器(17)を備え、
正圧下のガスを前記内側容器(3)の外面(19)と前記外側容器(17)の内面(21)との間の周辺空間(23)内に配置できるように、前記外側容器(17)が、気密に前記内側容器(3)周辺で延び、
前記内側容器(3)の前記遠位端(5)に出口チャネル部分(25)が接続され、
前記外側容器(17)の外に前記出口チャネル部分(25)の少なくとも一部分が配置され、
前記出口チャネル部分(25)内にバルブ装置(29)が配置され、前記バルブ装置が、開位置では前記出口チャネル部分(25)の遠位出口開口部(31)と前記保持空間(15)との間の流体接続を開き、閉位置では前記遠位出口開口部(31)と前記保持空間(15)との間の前記流体接続を遮蔽するように構成されている、薬液用容器(1)。
【請求項2】
前記遠位端(5)に第2多孔質分離要素(11)が配置され、前記第1多孔質分離要素(9)及び第2多孔質分離要素(11)が、前記保持空間(15)を区画している、請求項1に記載の容器(1)。
【請求項3】
前記内側容器(3)は、
a)毛細管として、及び/又は
b)細長く、及び/又は
c)一直線、特に円筒状、特に円環円筒状に、及び/又は
d)巻回され、特に螺旋状に形成されている、請求項1又は2のいずれか1項に記載の容器(1)。
【請求項4】
前記出口チャネル部分(25)が、前記内側容器(3)と一体に又はいくつかのピースで、特にアタッチメントとして、特にプラスチックアタッチメントとして形成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項5】
前記第1多孔質分離要素(9)及び/又は前記第2多孔質分離要素(11)が、焼結体として、特にフリットとして、好適にはガラスフリット若しくはセラミックフリットとして、又はフィルタ若しくはフィルタ膜として形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項6】
前記第2多孔質分離要素(11)が、前記外側容器(17)の外に配置されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項7】
前記外側容器(17)は、
a)円筒状に、及び/又は
b)樽形状若しくはピストン形状に、及び/又は
c)少なくとも部分的に凸状、好適には完全に凸状に、及び/又は
d)卵形又は楕円形として形成されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項8】
前記出口チャネル部分(25)が、前記内側容器(3)の延伸の主要方向に対し0°以外の有限角度で配置される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項9】
前記容器(1)は、前記バルブ装置(29)がフィンガートリガー(57)によって作動できるように、前記バルブ装置(29)に動作可能に接続される前記フィンガートリガー(57)を有する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項10】
前記バルブ装置(29)は、
a)逆止弁(41)、及び/又は
b)手動弁(43)、及び/又は
c)切換弁、及び/又は
d)逆止弁(41)と手動弁(43)とを備える複合弁(39)を備える、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項11】
前記内側容器(3)には薬液が充填され、前記外側容器(17)には正圧下のガスが充填されている、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項12】
前記第1近位多孔質分離要素(9)が、少なくとも部分的に、カバー要素(35)により前記外側容器(17)の前記周辺空間(23)に対して覆われており、
前記カバー要素(35)が、前記第1近位多孔質分離要素(9)を、好適には中央凹部(37)を除いて覆っている、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項13】
前記外側容器(17)と前記内側容器(3)との間の遠位接続点(27)に所定の破壊点が配置されている、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項14】
前記容器(1)は、シリンジ又はカルプルとして形成されている、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項15】
前記容器(1)の前記周辺空間(23)に第1所定圧でガスを充填し、
前記内側容器(13)の前記保持空間(15)に前記第1所定圧よりも高い第2所定圧で薬液を充填し、
前記バルブ装置(29)を閉鎖する請求項1乃至14のいずれか1項に記載の薬液用容器(1)を充填する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液用容器及びこの型の容器の充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬液用容器は、特にプレフィルドシリンジ又はカートリッジの形態で知られている。これらは多くの場合、医薬用ゴム製の少なくとも1つの変位可能なストッパを有し、変位可能なストッパは、容器内に入れられた薬液を容器から吐出するために、このような医療容器内において手動、モータ駆動又は圧力操作によっても動かすことができる。特に手動医療容器の場合、人間工学及び取り扱いにおいて欠点がある。従来のシリンジでは、特に患者が自身で注射しなくてはならない場合、これが面倒な方法と非人間工学的な手の位置でのみ可能である。従来のプレフィルドシリンジ又はカートリッジで、特に0.5mL未満の少量を高い正確性で供給及び計測することもまた、問題がある。特にこのような少量の場合、最終的に注入される量を正確に計測することは、ほぼ不可能である。従来の容器では、気泡の形成、そしてその結果としての空気塞栓症の危険性があるため、複数回使用することには問題がある。従来のストッパを形成するために使用される医薬用ゴムは、酸素透過性であり、酸素に敏感な薬液、例えばアドレナリンを保存するには適さないようになっている。加えて、このようなストッパは、特にガラス容器内における低摩擦での変位のために、特にシリコーンオイルの潤滑剤を必要とし、これは不適切に患者を潤滑剤に曝す結果となり得る。さらに、このような従来の容器は、真空及び/又は圧力負荷の下において、その密封の密閉性に関して問題がある。特に手動操作では、薬液を供給するためにストッパにかけられる力は、必然的に変動するため、薬液の定められた流量は、容器から供給する際、ほとんど保証できない。注入前に容器から気泡を取り除く必要がある場合は、気泡を放出する際にほぼ不可避的に薬液の望ましくない漏洩も発生する。最後に忘れてはならないのが、このことは、従来の容器では、特に少量はほぼ正確に計測できないという事実の一因となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述の欠点が発生しない、薬液用容器及びこの型の容器の充填方法を提供することを目的とする。
【0004】
本目的は、独立請求項の主題を創作することにより実現される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
本目的は、特に遠位端と近位端とをそれ自体が有する内側容器を備える薬液用容器を作成することにより実現される。近位端に第1近位多孔質分離要素が配置される。第1多孔質分離要素は、薬液を保持するための保持空間を区画している。容器はまた、内側容器が近位端と少なくとも保持空間の一部分と共にその中に配置されている外側容器を備える。正圧下のガスを内側容器の外面と外側容器の内面との間の外側容器の周辺空間内に入れることができるように、外側容器は気密に内側容器周辺で延びており、特に保持空間は、第1多孔質分離要素を介して周辺空間と圧力伝送接続を有している。内側容器の遠位端に容器の出口チャネル部分が接続され、外側容器の外に出口チャネル部分の少なくとも一部分が配置されている。出口チャネル部分内にバルブ装置が配置できるが、好適には配置されている。バルブ装置は、開位置では、出口チャネル部分の遠位出口開口部と保持空間との間の流体接続を開き、閉位置では、遠位出口開口部と保持空間との間の流体接続を遮蔽するように構成されている。薬液は保持空間内に保持及び保存でき、周辺空間内で正圧下にされたガスによって出口チャネル部分及びバルブ装置を介して遠位出口開口部を通して放出でき、これはバルブ装置がその閉位置からその開位置に動かされた際に第1近位多孔質分離要素を介して薬液に働きかける。これには容器内、具体的には内側容器内でも外側容器内でも、可動式ストッパが動くことを必要としない。むしろ、薬液は周辺空間内で正圧下にされたガスによってのみ放出される。このようにして、容器が人間工学的で、再現性よく、注入に関して簡易な方法で使用できるように、アクチュエータ又は変位可能なストッパの手動変位は完全に省くことができる。周辺空間内の正圧により、容器から出てくる薬液には定まった流量もある。この液体は、少量であっても高い正確性で投薬できるようにバルブ装置を介して高精度で供給できる。定まった流量は、注入の過程で経時的に一定であることができる、又は特定の方法で変化できる。保持空間よりも少ない薬液の第1所望量の投薬後、それが開位置から閉位置に戻され、その後、さらなる注入のために閉位置から開位置に再度動かすことができる場合に、複数回使用は、バルブ装置を用いて容易に可能となる。これは、薬液が保持空間から完全に供給されてしまうまで、望む限り何度も繰り返すことができる。周辺空間内に入れられたガスによっては、特に低酸素又はさらには無酸素ガスが周辺空間内に入っている場合は、容器は、アドレナリン等の酸素に敏感な薬液に対しても容易に使用できる。
【0006】
遠位方向とは、特に容器が目的どおりに注入対象つまり、特に患者の身体等の方向に向いた際に、特に容器から薬液が流れ出る方向を指す方向を意味すると理解される。近位方向とは、容器から薬液の意図された流出方向と逆を指す反対方向を意味すると理解される。
【0007】
第2多孔質分離要素は、内側容器の遠位端に配置されることが好ましく、第1多孔質分離要素及び第2多孔質分離要素は保持空間を区画している。薬液は続いて、特に第1多孔質分離要素と第2多孔質分離要素との間の保持空間内に保持可能で、好適には保持されている。それは、第2遠位多孔質分離要素、出口チャネル部分、及びバルブ装置を介して遠位出口開口部を通って吐出可能である。
【0008】
第1多孔質分離要素は、内側容器をその近位端、特にその近位端で直接的に閉鎖することが好ましい。特に出口チャネル部分が内側容器と共にいくつかの部分で形成されている場合、第2遠位分離要素も、内側容器をその遠位端、特にその遠位端で直接的に閉鎖することが好ましい。しかしながら、出口チャネル部分は内側容器と一体として配置されることも可能である。この場合、内側容器はいわば、出口チャネル部分に続いて、この場合では内側容器の遠位端が、基本的に保持空間の遠位端を示す仮想遠位端としてみなされるようになる。この仮想遠位端、従って同時に保持空間の遠位境界は、近位方向で見ると、出口チャネル部分の遠位出口開口部から間隔をあけている。
【0009】
少なくとも1つの多孔質分離要素、すなわち第1多孔質分離要素及び好適には第2多孔質分離要素は、内側容器に対して適所に固定されて配置されることが好ましい。特に、分離要素は内側容器に対して変位可能でないことが好ましい。むしろ、分離要素は内側容器に適所に固定されていることが好ましい。そのため、分離要素は、特に変位可能なストッパではない。
【0010】
しかしながら、代替的に、少なくとも1つの多孔質分離要素を変位可能とすることも可能である。特に、近位多孔質分離要素は、内側容器に変位可能に配置されることができ、好適には、薬液の吐出中に、その近位境界面と共に動くことができる。このことは、気泡の形成を防止することに特に有利な方法で寄与できる。第2遠位分離要素は、代替的に又は追加的に内側容器に、特に出口チャネル部分と一緒に脱着可能に取り付けることができる。特に、第2分離要素は出口チャネル部分の一部であることが可能又はそれに堅固に接続可能である。第2分離要素はまた、開封明示機構のある閉鎖部材又はプッシュオンカニューレに一体化可能である。
【0011】
容器には変位可能なストッパがないことが好ましい。そのため、それは変位可能なストッパを持たないことが好ましく、特に医薬用ゴム製の変位可能なストッパがないことが好ましい。しかしながら、原則として、特に内側容器内の第1分離要素と第2分離要素との間に変位可能なストッパを追加的に設けることも可能である。
【0012】
第1多孔質分離要素及び第2多孔質分離要素は、内側容器の特に壁、特に内壁、と共に保持空間を区画し、壁は特に保持空間を包囲する内周面を形成し、ここで多孔質分離要素はそれぞれ保持空間の終端境界を形成する。
【0013】
周辺空間は、少なくとも保持空間と同じくらい大きいことが好ましい。保持空間の全内容量の吐出全体にわたって、容器から、好適には定まった流量で、薬液の連続的で障害のない吐出が可能となるように、周辺空間のガス容量はこのようにして、特に、多孔質分離要素間の内側容器内の薬液の容量に少なくとも対応している。
【0014】
ガスが周辺空間内に正圧下で入れられていることは、特にガスが周辺空間内で容器の周囲圧力よりも高い圧力、特に通常の圧力、好適には1013mbarよりも高い圧力下で入れられているという意味である。正圧は、保持空間からの薬液の所望の吐出動作が実現されるように設定されることが好ましい。このことは、薬液の所定の流量に特に当てはまる。
【0015】
出口チャネル部分は、特に流動を許容するように内側容器の遠位端に接続され、好適には流動を妨げるように周辺空間から分離されている。これは、一方の出口チャネル部分と他方の周辺空間との間に特に直接的な流体接続がないことを意味する。このような流体接続には、多くとも、好適には遠位分離要素、保持空間、及び近位分離要素が介在され、薬液を放出するために周辺空間からのガスは、保持空間内を浸透でき、次に好適には遠位分離要素を介し、最終的に遠位出口開口部を介して出口チャネル部分に出ることを可能としている。
【0016】
好適な実施形態では、内側容器及び/又は外側容器は、ガラスを含む又はガラスから構成されることが可能である。このようにして、どんな場合でも、容器の外部環境に対しガスが不浸透性である特に永久的に圧力の安定した容器が提供できる。しかしながら、内側容器及び/又は外側容器は金属若しくは金属合金、プラスチック又はセラミックを含む、又は金属若しくは金属合金、プラスチック又はセラミックから構成可能である。
【0017】
バルブ装置は、初めてバルブ装置を開くと、元に戻せない変化を起こし、後に容易に認識できるように、開封明示機構のある閉鎖部材として設計されることが好ましい。初めて作動する際に破断又は分裂する、例えば、壊れやすいウェブ、膜等を、バルブ装置に設けることができる。
【0018】
カニューレ、シリンジ、ニードル等は、好適には、出口チャネル部分の遠位出口開口部に固定されて配置可能である。しかしながら、遠位出口開口部が、固定カニューレ、シリンジ針、輸液チューブ等の輸液セット等の注入装置のための出口チャネル部分の接続要素に配置されることも可能である。特に、遠位出口開口部は、出口チャネル部分を構成するルアーロック接続に形成可能である。
【0019】
代替的に又は追加的に、内側容器は細長いことが好ましい。内側容器の延伸は、このように、特に遠位端から近位端を指す長手方向を定める。
【0020】
代替的に又は追加的に、内側容器は一直線で、特に円筒状であることが好ましい。これは内側容器の特に簡易で特に安価な形態を示している。内側容器は、特に好適には、円環円筒状のデザインである。
【0021】
代替又は追加として、内側容器は巻回されることが好ましく、特に螺旋状である。内側容器は、特に好適には、その最長の延伸方向を指す軸に巻き付けられている。このようにして、容器の全長は、その外形に沿って測定される長さと等しい一直線の内側容器を有する容器に比べて短縮することができる。
【0022】
本発明の更なる形態によれば、内側容器は毛細管として設計されることが可能である。これは、容器が充填されると毛細管力により薬液が保持空間内に運ばれ、同時に液体が近位多孔質分離要素を完全に満たすように、特に保持空間を区画している内周面は薬液の内側容器、特に内周面の材質との相互作用機能として、及び薬液の表面張力機能として寸法決めされることを意味する。任意の長さの円筒状内側容器の場合、内周面は、特に内側容器の内径又は内部半径によって決定され、その後それ相応に寸法決めされる。小さな保持空間でさえも内側容器の明確に認知できる長さにわたって延びることができ、肉眼で容易により少ない量の投薬を判断できるように、ここでは簡易な方法で目盛りを付けることができるように、毛細管としての内側容器の設計は、比較的小さな内径も必要とする。そのため、注入は容易に実施できる。特に、内側容器の長さは、内径よりも数倍大きいことが好ましい。
【0023】
内側容器の毛細管力が無視できる場合でも、容器が垂直向きでの注入も可能である。
【0024】
内側容器は、特に好適には、10mm未満、好適には8mm未満、好適には最大で4mm、好適には4mm未満、好適には最大で3mm、好適には3mm未満、特に好適には最小2mm乃至最大3mmの内径を有する。
【0025】
本発明の更なる形態によれば、出口チャネル部分は内側容器と一体的に形成されることが可能である。内側容器付きの出口チャネル部分は、特に好適には、一体のガラスパーツとして設計され、第2遠位多孔質分離要素は、内側容器と出口チャネル部分との間の分離体を表すことが好ましく、それは出口チャネル部分及び内側容器の一体構成の内部に配置されることが好ましく、近位方向の遠位出口開口部からオフセットしている。
【0026】
代替的に、出口チャネル部分は、好適には内側容器と共にいくつかの部分で形成されることが可能である。特に出口チャネル部分は、内側容器に対するアタッチメントとして設計でき、液密にそれ、特に内側容器の遠位端に差し込むことが可能で、又は内側容器の遠位端に他の方法で液密に接続可能である。出口チャネル部分は、特に好適にはプラスチックアタッチメントとして設計される。したがって、これは、例えば、射出成形加工により、特に安価に製造できる。
【0027】
出口チャネル部分が内側容器と共に一体に、又はいくつかの部分として形成されているかどうかにかかわらず、出口チャネル部分は、バルブ装置のレセプタクルを有することが好ましく、特に、遠位出口開口部から薬液の流出方向に対し横断する、横断方向に出口チャネル部分を貫通するボアとして設計可能である。
【0028】
本発明の更なる形態によれば、第1多孔質分離要素及び/又は第2多孔質分離要素は焼結体として設計されることが可能である。このような多孔質分離要素は、そのいくつかの領域のみで互いに一体的に接合されている複数の粒子から形成されることが好ましい。このような焼結体は、互いに接触している粒子を、領域によっては軟化温度まで、好適には溶融温度よりも低い温度まで加熱し、エッジ領域で軟化又は部分的に溶融させて、特にその接点領域において互いに接合させることで製造されることが好ましい。特に、粒子の最も近い隣接するもの同士は互いに部分的に接合する。特に毛細管のように機能する緻密なチャネルは、粒子間に残っている。このような焼結体の特に好適な実施形態は、フリットであり、第1多孔質分離要素及び/又は第2多孔質分離要素は、特にフリットとして、好適にはガラスフリット又はセラミックフリットとして設計されている。
【0029】
しかしながら、第1多孔質分離要素及び/又は第2多孔質分離要素は、特に最小0.5μm乃至最大3μm、好適には最小1μm乃至最大2μm、好適には1.6μmの気孔径を有するフィルタ又はフィルタ膜として設計されることも可能である。少なくとも1つの分離要素は、好適には、最小0.1バール乃至最大0.7バール、好適には0.4バールの沸点を有する。
【0030】
このような焼結体は、容器に薬液が充填される際又はその後、容器から薬液が吐出される際のいずれかに薬液中に存在する粒子を、特に遠位多孔質分離要素によって濾過できるように、フィルタ特性を有する。これは眼科的に薬液を使用する状況では、非常に小さな粒子が眼の硝子体に全く入らない又は入っても少量のみとなるため、特に好ましい。
【0031】
多孔質分離要素はまた、次の重要な機能も果たすことができる。医療容器の充填中、第1近位多孔質分離要素の領域での毛細管力は、薬液が保持空間から周辺空間に漏れることを防ぐ。毛細管力は一方で内側容器内に、他方で第1多孔質分離要素の領域に広がり、結果的に保持空間が完全に空気なく充填される。さらに、第1多孔質分離要素は、周辺空間内のガスの正圧を液体に伝送する役割を有し、バルブ装置が開いていると遠位出口開口部を介してそれを吐出できる。薬液は保持空間内に入れられた液体と接触しなくなり、そこに存在する気泡又はガスと接触するようになると遠位多孔質分離要素を通って流出しなくなるため、遠位多孔質分離要素は非常に効率的に気泡の注入を防止する。そのため、望ましくないガスの注入は効果的に予防できる。
【0032】
注入を行うためにガスが第1近位分離要素を通過できる一方で、他方では第2遠位分離要素を通じたガスの注入が予防されることを確実にするため、第1分離要素及び第2分離要素は、互いに異なる気孔サイズ又は気孔径を有することが好ましい。特に、第1分離要素及び第2分離要素は異なる沸点を有し、従って、ガスの異なる流路特性を有する。
【0033】
しかしながら、周辺空間内での圧力は注入の過程で下がるため、分離要素が同じ気孔径及び/又は沸点を有することも可能であり、第1分離要素は注入の最初にガスがより高いガス圧で通過することを可能にするが、第2分離要素は注入の最後に、そのころには低くなっているガス圧でガスが通過することを防ぐ。
【0034】
多孔質分離要素がガラスフリットとして設計されている場合、それらは溶融により内側容器に融着することが好ましい。内側容器もガラスを含む又はガラスから構成される場合、これは特に安定して安価な方法で可能である。
【0035】
内側容器をガラスから形成することは、薬液に対し化学的に高く不活性であるためさらに利点がある。変位可能なストッパが内側容器に提供されないため、潤滑剤の使用がなく、特に、シリコーンオイルは不要である。薬液はこのように、汚染の危険性なく高い純度で内側容器に保存できる。
【0036】
本発明の更なる形態によれば、遠位多孔質分離要素が外側容器の外に配置されることが可能である。外側容器が気密に内側容器に接続している接続点は、好適には融着され、従って遠位多孔質分離要素に対し近位方向にオフセットする。しかしながら遠位多孔質分離要素が外側容器の内側に、又は正確に外側容器と内側容器との間の接続点の領域に配置されることも可能である。
【0037】
本発明の発展によると、外側容器が円筒状であることが提供される。これは、外側容器の簡易で、特に容易に製造できるデザインを示している。
【0038】
代替的に又は追加的に、好適には外側容器が樽形状又はピストン形状であることが可能となる。これは、特に外側容器は相互に鉛直な2つの方向に湾曲した壁を有することができることを意味する。このような構成は、鋭い角度の変移の回避に役立ち、外側容器が特に圧力が安定するような設計を可能とする。
【0039】
代替的に又は追加的に、外側容器は凸状であることが好ましく、この凸状デザインは外から外側容器の観察者が見る方向においてである。容器の外壁はこのように、特に全体的に外向きの曲率又は隆起を有する。これは特に圧力的に安定した外側容器にも寄与する。
【0040】
代替的に又は追加的に、好適には外側容器は卵形又は楕円形であることが可能となる。これにより、外側容器は特に好ましい圧力が非常に安定する形状となり、特に基本的に卵形状又は電球形状の物体として設計できる。
【0041】
本発明の更なる形態によれば、出口チャネル部分は内側容器が延びている主要方向に対して0°以外の有限角度で配置されることを可能とする。特に、出口チャネル部分の遠位出口開口部を有する出口チャネル部分の長手方向、つまり特に出口方向又は出口部分の長手方向は、内側容器が延びている主要方向に対して0°以外の有限角度で延びている。内側容器の延伸の主要方向は、少なくともいくつかの領域において、それが円筒状である場合、特に内側容器のシリンダ軸又は縦軸、又はそれ回りに内側容器が特に螺旋状に例えば巻回できる内側容器の最長寸法の方向である。
【0042】
出口チャネル部分が内側容器の延伸の主要方向に0°以外の角度を形成するため、容器はピストル状の形状とすることができ、ユーザの片手で容器を容易で人間工学的に持つことができる一方、他方では自然な手の位置で特に手の指で容器を保持してバルブ装置を容易で人間工学的に操作できる。このようにして、患者にとって多くの努力なしに容器で自分自身に注射することを容易とする。
【0043】
本発明の更なる形態によれば、バルブ装置に操作可能なように接続されたフィンガートリガーを有する容器が提供され、バルブ装置はフィンガートリガーによって作動できるようになっている。このようにして、バルブ装置は、ユーザが指を使って、特に人間工学的に作動させることができる。特に好適には、出口チャネル部分が内側容器の延伸の主要方向に対して0°以外の有限角度にされており、容器はバルブ装置を作動させることができるフィンガートリガーも備える。フィンガートリガーは人間工学的に容易に操作できるピストルの引き金のように働く。これには特に患者の簡易で分かりやすい自己注射に関して大きな利点がある。フィンガートリガーは、特にピストルのような簡易な湾曲した屈曲要素を有する。しかしながら、フィンガートリガーが、それを通じて容器のユーザが指を伸ばすことができるフィンガーリング、特に閉じたフィンガーリングを有することも可能である。バルブ装置を開くことに加えて、フィンガーリングは、その周りに到達することを必要とせず、特に簡易な方法でフィンガートリガーを後方に動かすことで閉じることも可能にする。
【0044】
本発明の更なる形態によれば、バルブ装置は逆止弁、手動弁、切換弁、及び/又は逆止弁及び手動弁を備える複合弁を有することが可能となる。逆止弁は、容器を充填する際に特に有利であることが判明しており、薬液は、この機能的状態で逆止弁が開いた状態でガスの正圧をわずかに超える圧力下で保持空間内に導入できる。通常の保存状態では、周辺空間内のガス及び保持空間内の薬液は、その後この正圧下で保持され、この正圧は、容器の外部環境で働く通常の圧力に逆らって逆止弁をそのシーリングシートに押し付ける。
【0045】
手動弁はユーザにより容易に開閉でき、遠位出口開口部を介した薬液の供給は容易に制御できる。しかしながら、特にバルブ装置がこのような切換弁を制御するように設計された電子制御装置を有する場合、切換弁もまたこのために使用できる。
【0046】
逆止弁及び手動弁を備える複合弁が特に好適で、複合弁は、逆止弁の部品により容器内に薬液を簡易に充填ししっかりと保持する機能を満足させるが、同時に手動弁の部品によりバルブ装置を容易に開閉する機能も実行する。手動弁の部品及び逆止弁は、互いに一体に形成されていることが好ましい。手動弁は、特に好適には逆止弁用のシートを有し、このシートは保持空間と遠位出口開口部との間の流体接続のための流動チャネルを同時に提供する。特に手動弁は、閉位置で逆止弁のバルブ要素用のシートを有する凹部を有することができ、保持空間と遠位出口開口部との間の流体接続のためのチャネルとして機能するような方法でこの凹部は開位置で旋回する。
【0047】
特に手動弁は、容器からの薬液の出力方向に斜めに、好適には垂直に配置され、閉位置で保持空間の方向に旋回し、逆止弁のバルブ要素のシーリングシートを形成するように形成される凹部を有する旋回可能シリンダを有することも可能である。開位置では、保持空間と遠位出口開口部との間の液体流路がこの凹部を介して開くような方法で、この凹部は好適には90°旋回する。逆止弁のバルブ要素は同時に、ここでも保持空間と遠位出口開口部との間の流体接続が構築されるように、さらに手動弁のシリンダの非凹状外側周面により保持空間の方向で密閉方向に押し付けられる。シリンダが閉位置に旋回して戻されたら、保持空間と遠位出口開口部との間の流体接続が再度遮断されるように、逆止弁のバルブ要素は次に凹部内にぴったりと受け付けられる。
【0048】
バルブ装置は、プラスチックを含む又はプラスチックから形成されることが好ましい。これはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とすることも可能で、この素材は不活性である一方、他方では非常に滑らかであり、良好なシーリング作用も提供する。そうするとバルブ装置用に追加の潤滑剤及び/又は封止剤は必要ないかもしれない。例えば、手動弁のシリンダはOリングで封止されて、好適には保持及び案内されることも可能である。追加的に又は代替的に、薬液が、バルブ装置の領域のギャップを通してではなく、遠位出口開口部を通って横方向にのみ逃げ出ることができるように、特に、バルブの閉位置で容器を外部から封止及び/又は容器の外部に対して保持空間と遠位出口開口部との間の流体接続を封止するためにバルブ装置の領域でワックスのようなシーラントが少なくとも1つ使用されることも可能である。
【0049】
逆止弁のバルブ要素が、例えば、ばね要素又は他の適切な付勢要素でその閉位置に付勢されることも可能である。しかしながら、バルブ装置はそのような付勢要素を持たないことも可能で、その場合、保持空間内の圧力と、一方で周辺空間内の圧力、他方で容器の外部環境における圧力との圧力差は、逆止弁のバルブ要素をそのシート内に押し入れるのに十分である。
【0050】
好適な実施形態によると、さらなる又は異なるように構成されたバルブ装置もその閉位置に付勢される。例えば、それ自体で複合弁として設計されているか逆止弁と組み合わせて設計されているかにかかわらず、手動弁は、例えば、作動レバー又は既述のフィンガートリガーに係合した付勢要素、特に、ばねによって、その閉位置に付勢される。バルブ装置は、その後、付勢力に抗して開き、バルブ装置は、ユーザがバルブ装置を解放又は開くとすぐに自動的に閉じることが好ましい。
【0051】
本発明の更なる形態によれば、内側容器が薬液で満たされ、外側容器が正圧下のガスで満たされることが可能となる。これまでに説明されている利点はこのような場合に実現される。特に、内側容器に酸素に敏感な薬液を満たすことが可能で、酸素が不十分又は酸素のないガスが外側容器内のガスとして使用されている場合、酸素に敏感な薬液は長期間にわたって容器内で安全に保存できる。原則として、薬液と反応しないいずれのガス、例えば、空気、窒素、不活性ガス、特に不活性の希ガスを、外側容器内のガスとして使用できる。
【0052】
本発明の更なる形態によれば、第1近位多孔質分離要素は、カバー要素により外側容器の周辺空間に対し少なくともいくつかの領域において覆われ、カバー要素は好適には中央凹部を除く、近位多孔質分離要素を覆うことが可能となる。カバー要素は、有利には、加圧ガスと薬液との間の接触域を減少させることができ、その結果として、特に、保持空間から第1近位多孔質分離要素を通って周辺空間内までの蒸発損失を最小にできる。同時に、カバー要素は近位多孔質分離要素上の機械的応力に対する保護、特に、例えば、誤って落下した場合等の衝撃に容器がさらされた場合の飛び散りに対しての保護を提供する。
【0053】
カバー要素は、カバーキャップとして好適に設計されており、特に、中央ボアを有する。代替的にカバー要素が膜、好適には、中央凹部を有するものとして設計されることも可能である。
【0054】
カバー要素の代替又は追加として、第1多孔質分離要素が、内側容器の近位端の外側の保持空間の自由内径よりも小さな外径を有することも可能である。特に、内側容器の内周面は、近位端の領域内で内側に向かって厚くすることができるため、放射状に内側へ突出し、第1多孔質分離要素は放射状に厚くなる領域に配置される。このようにして、ガスと薬液との間の接触域を縮小でき、特に最小にできる。
【0055】
本発明の更なる形態によれば、外側容器が気密に内側容器に接続、特に融着される遠位接続点に所定の破壊点を配置することが可能となる。容器が衝撃、特に落下による衝撃にさらされた場合、制御された状態で、衝撃音なく、薬液が漏れ出ることもなく、ガスを逃がすことを可能にするように、所定の破壊点が設計されることが好ましい。所定の破壊点は、穴又はボアとして設計できることが好ましく、特に容器の縦軸に対して横断する。ガスが縦軸に対して横方向に逃げる場合、これは最大で容器の回転を招くが、その並進加速を生じさせず、このことは特に、容器がロケットのように加速してしまうことを防止する。
【0056】
本発明の更なる形態によれば、容器はシリンジ又はカルプルとして設計されることが可能となる。すでに説明した容器の利点は、この場合特別な方法で実現される。
【0057】
保持空間は、好適には2mL未満、好適には1.5mL未満、好適には1mL未満、好適には0.6mL未満、好適には0.5mL未満の容量を有し、正確な注入のためにさらに少ない量を、便宜上、提供するように構成される。保持空間は、1mLの中空寸法を有することが好ましい。容器は、特に好適には、眼注射用に構成され、特に眼の硝子体への眼注射用である。
【0058】
容器はまた、複数回使用の注入を行うように設定されていることが好ましく、特に皮下又は筋肉内への使用の場合及び/又は1ヶ月間にわたる等、長期間の場合は、バルブ装置は必要に応じて開閉でき、複数回使用の注入は例えば異なる部位に行われる。
【0059】
容器は、特に好適には、皮下又は筋肉内への注入を行うために設計される。
【0060】
本目的は、上述の実施形態例のいずれか1つによって、薬液用容器を充填するための方法を創作することによっても実現される。方法は次の工程から構成される。容器の周辺空間にガスが第1所定圧で充填される。内側容器の保持空間にはその後、第2所定圧で薬液が充填され、第2所定圧は第1所定圧よりも高く、最終的にバルブ装置が閉鎖される。このようにして、内側容器の保持空間は、特に安全に、再現性よく、完全に充填できる。
【0061】
特に有利には、内側容器が毛細管として設計され、毛細管力は充填中の保持空間内で薬液の柱を構築させると同時に、後に空にする際にそれを一緒に保持するため、ガスの注入が効果的に回避される。
【0062】
周辺空間は、内側容器及び第1近位多孔質分離要素だけでなく出口チャネル部分及びバルブ装置も介して充填されることが好ましい。特に、外側容器の周辺空間を充填するにはこの方法でのみアクセス可能であるが、そうでない場合は、外側容器は完全に気密である。保持空間もまた、出口チャネル部分及びバルブ装置を介して充填される。保持空間へのアクセスルートは他に存在しないことが好ましい。
【0063】
空気以外のガスがガスとして使用されている場合、周辺空間が十分に洗い流されるように、特に出口チャネル部分及びバルブ装置を介して、容器の周辺空間は何度か真空状態にされ、使用される純ガスで満たされることが好ましい。このようにして、特に、低酸素又は無酸素の雰囲気を周辺空間に提供することができる。
【0064】
第1所定圧は、容器からの後の薬液の吐出の所定の終圧と対応することが好ましい。結果的に、第2所定圧は、バルブ装置が閉じた後に容器内に初期圧力として設定される。
【0065】
充填に際して、容器は、少なくとも出口チャネル部分、及び特に遠位出口開口部が、薬液内に浸される又は薬液が供給される圧接ポートに接続されることが好ましい。そして、第1所定圧よりも高い第2所定圧によって、及び好適には、内側容器に働く毛細管力によって、充填が自動的に行われる。これらのことはまた、保持空間の完全で気泡のない充填を可能にし、充填は、毛細管力が近位多孔質分離要素を超えて周辺空間内に薬液が漏れ出ることを防ぐとすぐに自動的に停止する。
【0066】
外部の第2所定圧が取り除かれれば、バルブ装置の逆止弁は自動的に閉じることが好ましい。バルブ装置、好適には手動バルブのさらなるバルブ部品は、ここで追加的に取り付けられるか、又は充填前にすでに取り付けられている場合、充填後に閉鎖されるかのいずれかが可能である。
【0067】
周辺空間へのガスの充填中又は充填前、薬液の少なくとも1つの主要成分、特にその溶媒の、好適にはガス内の分圧は、分圧が薬液の少なくともこの主要成分の蒸気圧又は第2所定圧の内側容器内の薬液、したがって容器1の永続的な保存圧に正確に一致するように調整されることが好ましい。このようにして、特に薬液の飽和蒸気圧は保存条件下で周辺空間内に設定される。このことは、近位多孔質分離要素を介して周辺空間内へと薬液の少なくとも成分が蒸発することを防止することに有利に役立ち、これは、特に近位多孔質分離要素が乾燥してしまうことを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
本発明は、以下に図面を参照してより詳細に説明される。
図1】薬液用容器の第1実施形態の概略図を示す。
図2】このような容器の第2実施形態の概略図を示す。
図3】このような容器の第3実施形態の出口チャネル部分の詳細図を示す。
図4】薬液用容器の第4実施形態の詳細概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
図1は、特にシリンジ又はカートリッジとして設計されている、薬液用容器1の第1実施形態の概略図を示す。容器1は、遠位端5及び近位端7を有する内側容器3を有する。第1多孔質分離要素9は近位端7に配置され、第2多孔質分離要素11は遠位端5に配置されることが好ましい。第1多孔質分離要素9及び第2多孔質分離要素11は、内側容器3の内周面13と共に、薬液、特に液体医薬有効成分及び/又は補形薬を受けるように構成されている保持空間15を区画している。
【0070】
容器1は外側容器17も有し、内側容器3は、その近位端7及び少なくとも部分的に保持空間15と共に外側容器17内に配置される。外側容器17は、特に外側シェル表面である内側容器3の外面19と外側容器17の内面21との間に配置される周辺空間23内に、容器1の外部の環境に対して正圧下のガスを配置できるように、気密に内側容器3を包囲する。
【0071】
周辺空間23は、特に周辺空間23内に広がる圧力が、保持空間15に伝達されるように、第1多孔質分離要素9を介して保持空間15に接続されている。
【0072】
出口チャネル部分25は、内側容器3の遠位端5に接続され、少なくとも部分的に外側容器17の外に、特に外側容器17が気密に内側容器3に接続、好適には融着されている接続点27の遠位に配置される。
【0073】
バルブ装置29は出口チャネル部分25内に配置され、開位置では出口チャネル部分25の遠位出口開口部31と保持空間15との間に流体接続を確立し、閉位置では遠位出口開口部31と保持空間15との間の流体接続を遮蔽するように構成されている。
【0074】
内側容器3及び外側容器17は両方ともガラスから形成されていることが好ましく、特に内側容器3は、図1の実施形態では一直線である(場合により巻回された)ガラスチューブ又はガラスシリンダから、外側容器17は、ガラスチューブ又はガラスシリンダ又はガラスバルブから形成されていることが好ましい。外側容器17の内部空間は、外側容器17が少なくとも内側容器3の一部を収容できるように、内側容器3に対して適合する。
【0075】
しかしながら、内側容器3及び/又は外側容器17はまた、プラスチックから構成されることも、プラスチック製であることも可能である。セラミック又は金属又は金属合金もまた、内側容器3及び/又は外側容器17の材料として使用できる。
【0076】
内側容器3は、その近位端7が外側容器17内において自由に突出することが好ましく、特に近位端7では外側容器17と接続されていない。しかしながら、外側容器17内における内側容器3の機械的サポート、サポート要素、特に放射状ウェブ、又は複数のこのようなサポート要素、特に放射状ウェブは、内側容器3と外側容器17との間に配置されることが可能で、これらが外側容器17の内面21で内側容器3を支持する。外側容器17は、容器1の長手方向において測定して、内側容器3の近位端7から間隔を隔ててその近位端33にて閉鎖するように設計されている。
【0077】
内側容器3の遠位端5の近辺に配置され、好ましくは、そこから近位方向にオフセットしていることが好ましい接続点27の領域では、外側容器17が気密に内側容器3に接続、特に融着されている融着。このようにして、周辺空間23は、外側容器17によって全側方が気密に包囲されている。
【0078】
接続点27は、容器1の長手方向で見ると、その遠位端5の高さに設けられることも可能である。原則として、内側容器3の遠位端5は外側容器17内に配置されることも可能で、出口チャネル部分25の一部が、そして外側容器17内に延び、接続点27は、そして外側容器17と出口チャネル部分25との間の直接的な接続部として設計されることも可能である。
【0079】
容器1の長手方向は、特に容器1の最長の方向及び/又は容器1の対称軸の方向を指す方向である。図1では、これは水平方向である。半径方向は長手方向と垂直である。円周方向は長手方向を同心円状に包囲している。
【0080】
第1多孔質分離要素9は、その近位端7で内側容器3を閉鎖している。第2多孔質分離要素11は、内側容器3の遠位端5の領域で保持空間15を区画している。
【0081】
多孔質要素9及び11は、内側容器3に空間的に固定され、特に内側容器3の内周面13に空間的に固定され、それ故、内側容器3内で又は内側容器3に対して動かすことができない。特に、多孔質要素9及び11が内側容器3に一体的に接続、好適には融着することも可能である。
【0082】
保持空間15内に入れられた薬液は、周辺空間23内に正圧で入れられたガスが第1多孔質分離要素9を介して薬液に圧力が印加されるため、バルブ装置29を介してその開位置で遠位出口開口部31から供給可能である。上述の圧力は、容器1の外部環境の周囲圧力よりも大きい。そのため、薬液はバルブ装置29の開位置で遠位出口開口部31を通って放出される。これは、容器1がストッパなしとして、特に変位可能なストッパを有さず、さらには医薬用ゴム製の変位可能なストッパを有さないように設計されるように、いかなる可動部品も必要とせず、特に変位可能なストッパもない。
【0083】
保持空間15からの薬液の吐出は、バルブ装置29をその開位置からその閉位置に動かすことで中断できる。このようにして、例えば、異なる位置、皮下又は筋肉内への使用、又はより長い期間にわたって、薬液の複数回使用が可能となる。
【0084】
周辺空間23は、少なくとも保持空間15と同じ大きさを有することが好ましく、好適には、保持空間15よりも大きい。その結果、遠位出口開口部31を介する薬液の可能な限り最も均一な供給は、供給している期間に全体にわたって、必要に応じて一定の又は特定の方法で変動する、定められた流量を保証可能である。
【0085】
内側容器3は、特に内径が4mm未満、好適には3mm未満の毛細管として設計されることが好ましい。その結果、薬液の液柱は、保持空間15内で有利に保持され、これは、一方で保持空間15を充填することを容易にし、他方で遠位端5の領域、従って、特に第2多孔質分離要素11の領域で、薬液が供給されている際の気泡の形成を防止する。空気又はガスの注入は、このように有利に予防可能である。保持空間15から薬液が完全に供給された後でも、まだ薬液で濡れている第2多孔質分離要素11は、その中で働く毛細管力によって、ガスの浸透と注入を防止する。
【0086】
薬液の液柱が内周面13に張り付かず、むしろ完全に外れるように、毛細管力は、空にしている最中において、薬液の液柱を一緒に保持するため、内側容器3の毛細管特性は保持空間15を完全に空にすることもできる。
【0087】
図1に示される容器1の第1実施形態例では、内側容器3が細長く、特に一直線で、好適には円筒状、特に環状円筒の形態である。
【0088】
図1による容器1の第1実施形態例では、接続点27の領域の接続領域を除いて、外側容器17も同様に円筒状、好適には環状円筒である。
【0089】
内側容器3は特に薬液で満たされ、外側容器は正圧下のガスで満たされている。ガスは空気としてもよいが、不活性ガス、特に窒素、希ガス又は異なるガスの混合体、特に窒素及び/又は少なくとも1つの希ガスとしてもよい。周辺空間23に無酸素又は少なくとも低酸素ガスが入れられている場合、薬液は酸素に敏感な液体とすることもできる。容器1はそのため、アドレナリン等の酸素に敏感な薬液を長期保存することにも適している。これは、これらのストッパは酸素に対する一定の透過性を持つため、医薬用ゴム製ストッパを有する従来の医療容器では典型的は当てはまらない。これに対して、容器1はバルブ装置29の閉位置で外部に対して気密である。
【0090】
ここで、第1近位多孔質分離要素9は、外側容器17の周辺空間23に対してカバー要素35で少なくとも部分的に覆われ、カバー要素は、中央凹部37を除いて近位多孔質分離要素9を覆う。カバー要素35は、特に中央ボアのあるキャップとして又は小さな開口部のある膜として設計可能である。代替的に、第1多孔質分離要素9を、非常に小型、つまり小径とし、放射状に内側へと厚みを増す内周面13の領域に配置、特に溶融して設けることも可能である。それに応じて減少した領域は、これを介して第1多孔質分離要素9が周辺空間23内のガスに接触するが、薬液の少なくとも一部が気相に変化し、そうして近位多孔質分離要素9が乾燥してしまうことを有利に減少させる。
【0091】
所定の破壊点は、接続点27の領域に配置されることが好ましい。このようにすることで、たとえ容器1に偶発的に衝撃が与えられても、爆発的な破壊を予防することができる。むしろ、好適には薬液の実質的な漏出はなく、ガスを周辺空間23から制御して逃がすことを可能にすることが好ましい。所定の破壊点は、長手方向に対し横方向に、特に半径方向の向きのボア又は穴として設計されることが好ましい。これにより、周辺空間23から逃げ出すガスにより、容器1が本質的にロケットのように加速することを防ぐ。その結果、軸回り、つまり縦軸に対し垂直に容器1が最大で一回転するが、並進変位はない。所定の破壊点は、操作中の容器1の安全性を高める。
【0092】
容器1は、少量、特に1mL未満、好適には0.6mL未満、好適には0.5mL未満、好適には1mLの薬液を保持するように設計されていることが好ましい。眼注射、及び特に眼の硝子体への注射を意図した薬液を保持するように設計されていることが特に好ましい。特にこの場合では、遠位の第2多孔質分離要素11も、その多孔質の特性に起因してフィルタ効果を有することが有利であり、こうして眼への粒子注入を効果的に防ぐことができる。
【0093】
第1多孔質分離要素9及び/又は第2多孔質分離要素11、特に好適には多孔質要素9及び11の両方は、焼結体、特にフリットとして、好適にはガラスフリット若しくはセラミックフリットとして、又はフィルタ若しくはフィルタ膜として設計されることが好ましい。
【0094】
遠位の第2多孔質分離要素11は、好適には外側容器17の外、特に接続点27から遠位に配置される。しかしながら、すでに上述のように、遠位の第2多孔質分離要素11は、接続点27の高さに、又は外側容器17内にさえ配置されることも可能である。
【0095】
出口チャネル部分25は、この場合、内側容器3と共にいくつかの部分で形成され、それによって、特にアタッチメントとして、好適にはプラスチックアタッチメントとして設計され、これは、内側容器3の遠位端5にぴったりと設置されて、特に適切な保持及びシール手段によってそこに保持される。しかしながら、代替的に、出口チャネル部分は内側容器と一体的に形成されることも可能である。
【0096】
出口チャネル部分25は、バルブ装置29を受けるために、好適には適切な凹部、特に横孔を有する。
【0097】
図2は、容器1の第2実施形態例の模式図を示す。同一の及び機能的に同一の要素には、同じ参照符号が付与されているため、これに関しては前述の説明を参照する。この第2実施形態例では、同様に毛細管として設計されることが好ましい内側容器3は巻かれており、特に螺旋状に巻回されている。これにより、同じ保持空間15、特に内側容器3の同じ内径で、容器1の全体的な長さを短縮している。
【0098】
第2実施形態例では、外側容器17は、特に樽形状又はピストン形状の凸形、好適には卵形又は楕円形である。特に少なくとも2つの相互に鉛直な方向に有限の非ゼロの曲率を有する湾曲壁を有する。この形状で、外側容器17は、特に角又は急激な変化を持たないため、特に圧力的に安定している。
【0099】
図3は、容器1の第3実施形態例の詳細な模式図を示す。同一の及び機能的に同一の要素には、同じ参照符号が付与されているため、これに関しては前述の説明を参照する。バルブ装置29の操作及び構成の好適なモードは、図3を参照して、さらに詳細に説明されている。ここで、バルブ装置29は、バルブ装置29として互いに一体に形成された逆止弁41及び手動弁43を併せた複合弁39を有する。逆止弁41は、この場合では、特に球状の特に弁球として設計された逆止弁要素45を有する。この逆止弁要素45は、保持空間15内の正圧により、手動弁43のバルブ要素49に少なくとも部分的に形成されているバルブシート47内に押し入れられている。このバルブ要素49は、バルブ回転軸回りに回転可能に出口チャネル部分25に取り付けられたシリンダとして設計されることが好ましく、バルブ回転軸は半径方向を指すため、容器1の長手方向に垂直である。バルブシート47は、バルブ要素49に凹部又はトラフとして、従って、バルブ要素49の外側周面51に窪みとして形成される。
【0100】
バルブ要素49は、ここでは一体として、作動要素53、特にハンドルに接続される。バルブ要素49は、作動要素53、特に手動でバルブ回転軸回りに旋回できる。
【0101】
図3は、複合弁39を示し、これにより閉位置のバルブ装置29も示されている。なぜなら逆止弁要素45は、保持空間15内の正圧によりバルブシート47へと押し込まれており、保持空間15は遠位出口開口部31から封止されているからである。
【0102】
バルブ要素49がバルブ回転軸回りに、特に90°旋回する場合、バルブシート47を形成する凹部の外側の外側周面51は、保持空間15の方向、従って図3の右向きに逆止弁要素45を押し、それがバルブシート47からずれる。その結果、逆止弁要素45の遮断作用がキャンセルされる。同時に、バルブシート47を形成するバルブ要素49の凹部はこの時、保持空間15がそれを介して遠位出口開口部31と流体連結する流体路を提供する。複合弁39及びこれとともにバルブ装置29も、結果的に開位置に配置される。閉位置へ戻すには、逆止弁要素45がバルブシート47内に受け止められ、密閉を作ることができる位置、特に図3に示される位置に、バルブ要素49をバルブシート47と共に戻すようにして、簡単な方法で行われる。
【0103】
バルブ要素49は、特にこの方法では、特にOリングとして設計されているシール55を介して、出口チャネル部分25に流体密封な方法で取り付けられる。
【0104】
ここで示される構成の代替手段として、バルブ装置29も、逆止弁、手動弁、又は互いとは別に形成された逆止弁と手動弁又は切換弁を有することもできる。
【0105】
図4は、容器1の第4実施形態例の模式図を示す。同一の及び機能的に同一の要素には、同じ参照符号が付与されているため、これに関しては前述の説明を参照する。この第4実施形態例では、容器1はフィンガートリガー57をバルブ装置29の作動要素53として有する。その結果、特に患者が自分自身で容器1から注射を投与する際に、バルブ装置29は特に人間工学的に作動させることができる。
【0106】
出口チャネル部分25が、内側容器3の延伸の主要方向、特に長手方向に対して0°以外の有限角度で配置されている容器1の実施形態例(不図示)も好ましい。このようにして、特に快適な手の位置で特に人間工学的に操作できる、ピストル状の構成の容器1を提供することができる。容器1のこのピストル状の構成は、バルブ装置29のための作動要素53としてフィンガートリガー57と組み合わされていることが好ましく、これは、特に注射を自身で行うことを望む動作に制限のある患者にも、容器1の人間工学性をさらに高め、その使用性もさらに高める。
【0107】
容器1を充填する方法は、好適には、容器1が後に使用される際に予想される外部の周囲圧力よりも高い、従って、特に、具体的には1013mbarの通常の圧力よりも高い第1所定圧で周辺空間23にガスを充填し、内側容器3の保持空間15には、その後、第2所定圧で薬液が充填され、第2所定圧は第1所定圧よりも高い。特にここで言及された圧力条件の組み合わせ及び保持空間15の毛細管特性は、気泡なしに第1近位多孔質分離要素9まで、それを完全に充填する結果となる。バルブ装置29は、その後、閉鎖されて、充填を完了することが好ましい。その結果、第2所定圧が終圧、結果として正圧として周辺空間23内及び保持空間15内に広がる。容器1の注入特性及び特に少なくとも遠位出口開口部31から薬液を吐出するための初期流量は、このように第2所定圧を選択することにより設定可能である。第1所定圧は、注入の最後における終圧を定めることが好ましい。
【0108】
周辺空間23が充填される前又は周辺空間23が充填される際に、薬液の少なくとも1つの主要成分、特に溶媒のガス内の分圧は、この分圧が第2所定圧の薬液又は少なくとも内側容器3内の薬液の主要成分の蒸気圧に対応するように設定されることが好ましい。結果的に、薬液のための保存条件下で、周辺空間23内に飽和蒸気圧が設定されて、第1多孔質分離要素9を介した周辺空間23内へと、その蒸発、そしてそれによる第1多孔質分離要素9の乾燥が回避される。
【0109】
ここで提案される容器1により、患者によって自己使用されることに特に適した注入容器が提供される。この場合、容器1の操作者は、保持空間15から薬液を吐出するために圧力を印加する必要がない。最後になるが重要なこととして、このことは容器1を充填する側で薬液の吐出のための適切な流量をあらかじめ調整することも可能にする。
【0110】
容器1は、自動注入装置、特に自動インジェクタ又はペンで使用されるように構成され、又はそれ自体が自動注入装置として設計されることが好ましい。
【0111】
バルブ装置29が出口チャネル部分25に、従って容器1で遠位に配置されているため、それは注入のために提供されるカニューレの近くに配置され、遠位出口開口部31に接続される。人間工学的な片手操作が可能となるように容器1の操作者がバルブ装置29及び出口チャネル部分25の近くを掴むことも可能である。
【0112】
容器1は、特に非常に低いデッドエア空間により特徴付けられる。そのため、注入前に空気を抜く必要がない。
【0113】
変位可能なストッパがないため、潤滑剤が不要で、シリコーンオイルを使用する必要がない。
【0114】
バルブ装置29は、開位置の方向にのみ能動的な作動が必要となるように、その閉位置に付勢されていることが好ましい。これにより、さらに容器1の操作が単純化される。
【0115】
特に内側容器3の毛細管設計及びそれによる細長い形状により、さらに少ない用量の正確な測定が容易に可能となる。これにより、気泡無し充填と注入前に容器1から空気を抜く必要がなくなることを組み合わせることで、保持空間15内に入れられた薬液を極めて経済的に使用可能とする。医療容器1は、そのため、少ない注入量のみならず、高価な又は有毒な物質に関連した使用でも有利に使用できる。容器1は、特に人間工学的に好ましく、簡単な注射を可能にする。
【0116】
特に眼科及び/又は手術での正確で複雑な注入に特に適している。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端(5)と近位端(7)とを有する内側容器(3)を備え、
前記近位端(7)に第1多孔質分離要素(9)が配置され、
前記第1多孔質分離要素(9)が、薬液を保持するための保持空間(15)を区画し、 前記内側容器(3)が、前記近位端(7)と前記保持空間(15)の少なくとも一部と共にその中に配置されている外側容器(17)を備え、
正圧下のガスを前記内側容器(3)の外面(19)と前記外側容器(17)の内面(21)との間の周辺空間(23)内に配置できるように、前記外側容器(17)が、気密に前記内側容器(3)周辺で延び、
前記内側容器(3)の前記遠位端(5)に出口チャネル部分(25)が接続され、
前記外側容器(17)の外に前記出口チャネル部分(25)の少なくとも一部分が配置され、
前記出口チャネル部分(25)内にバルブ装置(29)が配置され、前記バルブ装置が、開位置では前記出口チャネル部分(25)の遠位出口開口部(31)と前記保持空間(15)との間の流体接続を開き、閉位置では前記遠位出口開口部(31)と前記保持空間(15)との間の前記流体接続を遮蔽するように構成されている、液体医薬有効成分及び/又は補形薬を注射するためのシリンジ又はカルプルである容器(1)。
【請求項2】
前記遠位端(5)に第2多孔質分離要素(11)が配置され、前記第1多孔質分離要素(9)及び第2多孔質分離要素(11)が、前記保持空間(15)を区画している、請求項1に記載の容器(1)。
【請求項3】
前記内側容器(3)は、以下の(a)~(e)からなる群から選択された形態から形成されている、請求項1又は2に記載の容器(1)。
a)毛細管として、
b)細長く、
c)一直線、円筒状又は円環円筒状に、
d)巻回され又は螺旋状に、
e)これらの形態の組み合わせとして。
【請求項4】
前記出口チャネル部分(25)が、前記内側容器(3)と一体に又はいくつかのピースで、又はアタッチメントとして若しくはプラスチックアタッチメントとして形成されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項5】
前記第1多孔質分離要素(9)及び/又は前記第2多孔質分離要素(11)が、焼結体として、フリットとして、ガラスフリット若しくはセラミックフリットとして、又はフィルタ若しくはフィルタ膜として形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項6】
前記第2多孔質分離要素(11)が、前記外側容器(17)の外に配置されている、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項7】
前記外側容器(17)は、以下の(a)~(e)からなる群から選択された形状から形成されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の容器(1)。
a)円筒状に、
b)樽形状若しくはピストン形状に、
c)少なくとも部分的に凸状は完全に凸状に、
d)卵形又は楕円形として
e)これらの形状の組み合わせとして。
【請求項8】
前記出口チャネル部分(25)が、前記内側容器(3)の延伸の主要方向に対し0°以外の有限角度で配置される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項9】
前記容器(1)は、前記バルブ装置(29)がフィンガートリガー(57)によって作動できるように、前記バルブ装置(29)に動作可能に接続される前記フィンガートリガー(57)を有する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項10】
前記バルブ装置(29)は、以下の(a)~(e)からなる群から選択された装置を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の容器(1)。
a)逆止弁(41)、
b)手動弁(43)、
c)切換弁、
d)逆止弁(41)と手動弁(43)とを備える複合弁(39)
【請求項11】
前記内側容器(3)には薬液が充填され、前記外側容器(17)には正圧下のガスが充填されている、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項12】
前記第1近位多孔質分離要素(9)が、少なくとも部分的に、カバー要素(35)により前記外側容器(17)の前記周辺空間(23)に対して覆われており、
前記カバー要素(35)が、前記第1近位多孔質分離要素(9)を、中央凹部(37)を除いて覆っている、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項13】
前記外側容器(17)と前記内側容器(3)との間の遠位接続点(27)に所定の破壊点が配置されている、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項14】
前記容器(1)は、シリンジ又はカルプルとして形成されている、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の容器(1)。
【請求項15】
前記容器(1)の前記周辺空間(23)に第1所定圧でガスを充填し、
前記内側容器(13)の前記保持空間(15)に前記第1所定圧よりも高い第2所定圧で薬液を充填し、
前記バルブ装置(29)を閉鎖する請求項1から14のいずれか1項に記載の液体医薬有効成分及び/又は補形薬を注射するためのシリンジ又はカルプルである容器(1)を充填する方法。
【外国語明細書】