(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130429
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】屈折率分布型レンズ、ロッドレンズアレイ、イメージスキャナ、プリンタ、検査装置、及びガラス組成物
(51)【国際特許分類】
G02B 3/00 20060101AFI20230912BHJP
C03C 3/085 20060101ALI20230912BHJP
C03C 3/087 20060101ALI20230912BHJP
C03C 3/089 20060101ALI20230912BHJP
C03C 3/093 20060101ALI20230912BHJP
C03C 3/095 20060101ALI20230912BHJP
C03C 3/097 20060101ALI20230912BHJP
C03C 21/00 20060101ALI20230912BHJP
C03C 3/078 20060101ALI20230912BHJP
【FI】
G02B3/00 B
C03C3/085
C03C3/087
C03C3/089
C03C3/093
C03C3/095
C03C3/097
C03C21/00 101
C03C3/078
C03C21/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109333
(22)【出願日】2023-07-03
(62)【分割の表示】P 2020076111の分割
【原出願日】2019-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004008
【氏名又は名称】日本板硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕明
(72)【発明者】
【氏名】谷口 敏
(72)【発明者】
【氏名】金子 徳史
(72)【発明者】
【氏名】山根 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】高城 智孝
(57)【要約】
【課題】大きな被写界深度を有する屈折率分布型レンズを提供する。
【解決手段】
屈折率分布型レンズ(1b)は、1.5~3.0mmの被写界深度を有する。被写界深度は、作動距離の最大値から最小値を差し引いて決定される。作動距離において、6本/mmの空間周波数における変調伝達関数(MTF)の値が30%以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.5~3.0mmの被写界深度を有し、
前記被写界深度は、作動距離の最大値から最小値を差し引いて決定され、
前記作動距離において、6本/mmの空間周波数における変調伝達関数(MTF)の値が30%以上である、
屈折率分布型レンズ。
【請求項2】
3~6°の開口角を有する、請求項1に記載の屈折率分布型レンズ。
【請求項3】
正立像の結像距離が45~80mmである、請求項1又は2に記載の屈折率分布型レンズ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の屈折率分布型レンズを備えた、光学製品。
【請求項5】
請求項4に記載の光学製品を備えた、光学機器。
【請求項6】
モル%で示して、
40%≦SiO2≦65%
0%≦TiO2≦10%
0.1%≦MgO≦22%
0.15%≦ZnO≦15%
0.5%≦Li2O<4%
2%≦Na2O≦20%
0%≦B2O3≦20%
0%≦Al2O3≦10%
0%≦K2O≦3%
0%≦Cs2O≦3%
0%≦Y2O3≦5%
0%≦ZrO2≦2%
0%≦Nb2O5≦5%
0%≦In2O3≦5%
0%≦La2O3≦5%
0%≦Ta2O5≦5%、を含み、
CaO、SrO、及びBaOからなる群より選ばれる少なくとも2つを、それぞれ0.1モル%以上15モル%以下含み、
モル%で表示して、
2%≦MgO+ZnO、
0.07≦ZnO/(MgO+ZnO)≦0.93、
2.5%≦Li2O+Na2O<24%、及び
0%≦Y2O3+ZrO2+Nb2O5+In2O3+La2O3+Ta2O5≦11%の条件を
満たす、
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物。
【請求項7】
日本光学硝子工業会規格(JOGIS)06-2009に準拠して決定される耐水性が
1級である、請求項6に記載の屈折率分布型レンズ用ガラス組成物。
【請求項8】
屈折率分布型レンズの製造方法であって、
第一アルカリ金属元素の酸化物を含むガラス組成物からなるガラス素線を形成することと、
前記第一アルカリ金属元素とは異なる第二アルカリ金属元素を含む溶融塩に前記ガラス素線を浸漬して、前記ガラス素線中の前記第一アルカリ金属元素と前記溶融塩中の前記第二アルカリ金属元素とをイオン交換処理することにより、前記ガラス素線に屈折率分布を形成することと、を備え、
前記ガラス組成物は、モル%で示して、
40%≦SiO2≦65%
0%≦TiO2≦10%
0.1%≦MgO≦22%
0.15%≦ZnO≦15%
0.5%≦Li2O<4%
2%≦Na2O≦20%
0%≦B2O3≦20%
0%≦Al2O3≦10%
0%≦K2O≦3%
0%≦Cs2O≦3%
0%≦Y2O3≦5%
0%≦ZrO2≦2%
0%≦Nb2O5≦5%
0%≦In2O3≦5%
0%≦La2O3≦5%
0%≦Ta2O5≦5%、を含み、
前記ガラス組成物は、CaO、SrO、及びBaOからなる群より選ばれる少なくとも2つを、それぞれ0.1モル%以上15モル%以下含み、
前記ガラス組成物は、モル%で表示して、
2%≦MgO+ZnO、
0.07≦ZnO/(MgO+ZnO)≦0.93、
2.5%≦Li2O+Na2O<24%、及び
0%≦Y2O3+ZrO2+Nb2O5+In2O3+La2O3+Ta2O5≦11%の条件を
満たす、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率分布型レンズ、光学製品、光学機器、及び屈折率分布型レンズ用ガラス組成物、及び屈折率分布型レンズの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Charge-Coupled Device (CCD)を用いて被検体の表面の欠陥を観察する装置が知られている。例えば、特許文献1には、光源と、照射手段と、集光手段と、観察手段とを備えた表面欠陥装置が記載されている。観察手段は、結像レンズとCCDとからなっている。
【0003】
特許文献2には、電子写真方式の複写機やプリンタの感光体ドラムの外観検査に適した検査装置が記載されている。この検査装置は、一列に並べられた複数の1次元CCDカメラで感光体ドラムを撮影するカメラ装置を備えている。
【0004】
一方、撮像センサとして密着型イメージセンサ(CIS)も知られている。CISはロッドレンズアレイを備えている。ロッドレンズアレイには、通常、屈折率分布型レンズが用いられる。
【0005】
例えば、特許文献3~5には、屈折率分布型レンズが記載されている。屈折率分布型レンズ又は屈折率分布型ロッドレンズは、中心から外周に向かって屈折率が連続的に減少している屈折率分布を有するロッド状(棒状)のレンズである。特許文献3に記載の屈折率分布型レンズにおいて、レンズの周表面における屈折率と中心軸における屈折率との差Δnは0.003以上である。特許文献3によれば、Δnが0.003よりも小さくなると開口角(2θ)が約10°よりも小さくなり、このことが望ましくないことが示唆されている。換言すると、特許文献3には、5°未満の開口角(θ)が望ましくないことが示唆されていると考えられる。
【0006】
特許文献4において実施例に係る屈折率分布型レンズの開口角は、約10.1~12.9°である。特許文献5において実施例に係る屈折率分布型レンズの開口角は、10.1~12.0°である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7-27709号公報
【特許文献2】特開2003-75906号公報
【特許文献3】特公昭51-21594号公報
【特許文献4】特開2005-289775号公報
【特許文献5】特開2008-230956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び2には、屈折率分布型レンズを用いることは記載されていない。特許文献3~5に記載の屈折率分布型レンズは大きな開口角を有している。このことは、屈折率分布型レンズにおいて大きな被写界深度を実現する観点から有利とは言い難く、特許文献3~5に記載の屈折率分布型レンズの被写界深度は小さいと考えられる。
【0009】
このような事情に鑑み、本発明は、大きな被写界深度を有する屈折率分布型レンズを提供する。また、本発明は、このような屈折率分布型レンズを備えた光学製品、及びその光学製品を備えた光学機器を提供する。加えて、本発明は、屈折率分布型レンズの被写界深度を大きくするのに有利な屈折率分布型レンズ用ガラス組成物を提供する。また、本発明は、大きな被写界深度を有する屈折率分布型レンズを製造するのに有利な方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
1.5~3.0mmの被写界深度を有し、
前記被写界深度は、作動距離の最大値から最小値を差し引いて決定され、
前記作動距離において、6本/mmの空間周波数における変調伝達関数(MTF)の値が30%以上である、
屈折率分布型レンズを提供する。
【0011】
本発明は、
上記の屈折率分布型レンズを備えた、光学製品を提供する。
【0012】
本発明は、
上記の光学製品を備えた、光学機器を提供する。
【0013】
本発明は、
モル%で示して、
40%≦SiO2≦65%
0%≦TiO2≦10%
0.1%≦MgO≦22%
0.15%≦ZnO≦15%
0.5%≦Li2O<4%
2%≦Na2O≦20%
0%≦B2O3≦20%
0%≦Al2O3≦10%
0%≦K2O≦3%
0%≦Cs2O≦3%
0%≦Y2O3≦5%
0%≦ZrO2≦2%
0%≦Nb2O5≦5%
0%≦In2O3≦5%
0%≦La2O3≦5%
0%≦Ta2O5≦5%、を含み、
CaO、SrO、及びBaOからなる群より選ばれる少なくとも2つを、それぞれ0.1モル%以上15モル%以下含み、
モル%で表示して、
2%≦MgO+ZnO、
0.07≦ZnO/(MgO+ZnO)≦0.93、
2.5%≦Li2O+Na2O<24%、及び
0%≦Y2O3+ZrO2+Nb2O5+In2O3+La2O3+Ta2O5≦11%の条件を
満たす、
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物を提供する。
【0014】
本発明は、
屈折率分布型レンズの製造方法であって、
第一アルカリ金属元素の酸化物を含むガラス組成物からなるガラス素線を形成することと、
前記第一アルカリ金属元素とは異なる第二アルカリ金属元素を含む溶融塩に前記ガラス素線を浸漬して、前記ガラス素線中の前記第一アルカリ金属元素と前記溶融塩中の前記第二アルカリ金属元素とをイオン交換処理することにより、前記ガラス素線に屈折率分布を形成することと、を備え、
前記ガラス組成物は、モル%で示して、
40%≦SiO2≦65%
0%≦TiO2≦10%
0.1%≦MgO≦22%
0.15%≦ZnO≦15%
0.5%≦Li2O<4%
2%≦Na2O≦20%
0%≦B2O3≦20%
0%≦Al2O3≦10%
0%≦K2O≦3%
0%≦Cs2O≦3%
0%≦Y2O3≦5%
0%≦ZrO2≦2%
0%≦Nb2O5≦5%
0%≦In2O3≦5%
0%≦La2O3≦5%
0%≦Ta2O5≦5%、を含み、
前記ガラス組成物は、CaO、SrO、及びBaOからなる群より選ばれる少なくとも2つを、それぞれ0.1モル%以上15モル%以下含み、
前記ガラス組成物は、モル%で表示して、
2%≦MgO+ZnO、
0.07≦ZnO/(MgO+ZnO)≦0.93、
2.5%≦Li2O+Na2O<24%、及び
0%≦Y2O3+ZrO2+Nb2O5+In2O3+La2O3+Ta2O5≦11%の条件を
満たす、
方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
上記の屈折率分布型レンズは、大きな被写界深度を有する。また、上記の屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、屈折率分布型レンズの被写界深度を大きくするのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明に係る屈折率分布型レンズの一例の被写界深度の決定方法を説明する図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る屈折率分布型レンズの一例の開口角を示す図である。
【
図3A】
図3Aは、本発明に係る屈折率分布型レンズの製造方法の一例におけるイオン交換処理を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、屈折率分布型レンズにおける屈折率分布を概念的に示すグラフである。
【
図4】
図4は、本発明に係る光学製品の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明に係る光学機器の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明に係る光学機器の別の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る光学機器のさらに別の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る光学機器のさらに別の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例2、比較例3、及び参考例1に係る屈折率分布型レンズのMTFの値と作動距離との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
被検体の外観検査において収集される画像データは、被検体の欠陥を識別できる解像度を有していなければならない。一次元CCDセンサを備えたカメラを用いて高い解像度の画像データを得ようとすると、1つのカメラにおいて撮像できる有効幅は小さくなる。このため、1つのカメラで被検体の全体を撮像することが困難な場合がある。例えば、画像データにおいて必要とされる解像度に対応する画素サイズが90μmである場合、4096画素の一次元CCDセンサを備えたカメラで撮像できる領域の幅は約370mmである。この場合、1200mmの幅を有する被検体をくまなく検査するには一次元CCDセンサとカメラレンズとを備えた4台のカメラシステムを幅方向に並べる必要がある。一次元CCDセンサを備えた複数台のカメラシステムを搭載すると装置の製造コストが高くなる。加えて、被検体の種類の変更を変更する度に複数のカメラシステムの調整及びメンテナンスが必要になり、検査のランニングコストも高くなる。
【0018】
そこで、CISを用いて被検体の外観検査を行うことが考えられる。CISは、基板上に配置された複数の一次元受光素子と、ロッドレンズアレイとを備える。CISにおいて、ロッドレンズアレイは正立等倍像を形成する。CISを用いれば、1200mmの幅の一次元画像を1つのユニットで得ることができる。ロッドレンズアレイは、例えば複数のロッド状の屈折率分布型レンズを配列したものである。屈折率分布型レンズは、その半径方向に屈折率分布を有し、屈折率分布型レンズの半径方向において中心部から周辺部に向かって屈折率が変化する。ロッドレンズアレイを備えたCISは、CCDセンサとレンズとを備えた従来のカメラシステムに比べて、撮像素子と撮影対象の物体との間の距離を10分の1程度に低減でき、装置の小型化の点で有利である。一方、CISにおいて、撮影対象の物体とレンズとの間隔の許容範囲を示す特性値である被写界深度(DOF)が小さい。このことは、被検体の厚みにばらつきがある場合に、被検体において焦点が合う部分と焦点が合わない部分とが発生するという問題を引き起こす。このため、焦点が合わない部分の画像は鮮明でなく、欠陥の見落とし及び欠陥の誤認が発生する可能性がある。
【0019】
上記の通り、特許文献3~5に記載の屈折率分布型レンズの開口角は大きく、このことは屈折率分布型レンズのDOFを大きくする観点から有利とは言い難い。そこで、本発明者らは、屈折率分布型レンズにおいて所望の範囲のDOFを実現すべく、屈折率分布型レンズの製造のために用いられるガラス組成物の条件を抜本的に見直した。本発明者らは、多大な試行錯誤を重ねた結果、所望の範囲のDOFを実現できる屈折率分布型レンズを遂に見出した。なお、本発明に係る屈折率分布型レンズは、被検体の外観検査の技術分野だけでなく、イメージスキャナ、複写機、ファクシミリ、及びプリンタ等の画像形成の技術分野の全般にわたって利用可能である。
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、本発明の一例に関するものであり、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0021】
屈折率分布型レンズ1bは、1.5~3.0mmの被写界深度(DOF)を有する。屈折率分布型レンズ1bのDOFは、作動距離の最大値から最小値を差し引いて決定される。屈折率分布型レンズ1bの作動距離において、6本/mmの空間周波数における変調伝達関数(MTF)の値が30%以上である。
【0022】
図1に示す通り、屈折率分布型レンズ1bのDOFは、例えば、レンズアレイ10aと
、ラインパターン3と、受光素子2とを光軸方向に所定間隔で配置し、レンズアレイ10aとラインパターン3との距離を変動させながらMTFの値を求めることによって決定できる。レンズアレイ10aは、複数の屈折率分布型レンズ1bを光軸と垂直な方向に配列することによって構成されている。ラインパターン3は、6本/mmの空間周波数に対応する白黒のラインペアを有する。受光素子2は、例えば、CCDセンサである。例えば、ハロゲンランプからの出射光をカラーフィルター及び光拡散板を通過させた後ラインパターン3に照射する。カラーフィルターは、例えば、波長500~600nmの範囲の光を透過させるものであってもよく、主として波長530nmを透過させるものであってもよい。このとき、MTFの値は、レンズアレイ10aに入射する前の、明部と暗部からなる所定の空間周波数を有するラインパターン3の像(入力像)に対する、レンズアレイ10aによって受光素子2に結像して得られる像(出力像)の再現率として決定できる。
【0023】
MTFの値が最大となるラインパターン3と受光素子2との距離(物点-結像点間距離)Dmaxを決定する。そのうえで、光軸に平行なZ軸の正方向(ΔL>0)及び負方向(Δ
L<0)にラインパターン3を移動させ、それぞれの位置でMTFの値を求める。これにより、所定のMTFの値の許容できる範囲を設定することで、作動距離の最大値及び最小値を求めることができる。その結果、屈折率分布型レンズ1bのDOFを決定できる。なお、ΔL>0において、ラインパターン3とレンズアレイ10aとの距離は、距離Dmax
に対応する作動距離よりも大きい。一方、ΔL<0において、ラインパターン3とレンズアレイ10aとの距離は、距離Dmaxに対応する作動距離よりも小さい。ΔL=0におい
て、ラインパターン3とレンズアレイ10aとの距離は、距離Dmaxに対応する作動距離
と等しい。
【0024】
屈折率分布型レンズ1bは、そのDOFが上記の範囲にあるので、例えば、不均一な厚み、段差、凹凸を有する被検体の外観検査に適した画像データを得るのに有利である。このため、屈折率分布型レンズ1bは、被検体の外観検査の精度向上及び検査基準の高度化に寄与しうる。
【0025】
屈折率分布型レンズ1bのDOFは、望ましくは1.5mm以上であり、より望ましくは1.8mm以上であり、さらに望ましくは2mm以上である。屈折率分布型レンズ1bのDOFは、望ましくは2.8mm以下であり、より望ましくは2.5mm以下である。
【0026】
MTFの値が最大となる物点-結像点間距離Dmaxに対応する作動距離は、例えば15
mm以上であり、望ましくは18mm以上である。物点-結像点間距離Dmaxがこれらの
範囲にあることにより、DOFが適切な範囲となる。このような屈折率分布型レンズ1bを含むロッドレンズアレイを検査装置に組み込むことにより、段差を有する対象物も検査できる。加えて、ロッドレンズアレイが対象物と適切な距離を保つことができ、光学系の組み立ての容易化を図ることができる。
【0027】
屈折率分布型レンズ1bは、例えば、3~6°の開口角θを有する。これにより、屈折率分布型レンズ1bのDOFが所望の範囲に調整されやすい。屈折率分布型レンズ1bの開口角θは、例えば、
図2に示すように定義される。開口角θは、屈折率分布型レンズ1bの光軸の一端に入射可能な光線と光軸とがなす角度の最大値である。
図2において、F1は、被写体面であり、F2は受光素子等における受光面(結像面)である。Z
0は、屈
折率分布型レンズ1bの長さである。L
oは、MTFの値が最大となるときの被写体面F
1と屈折率分布型レンズ1bとの間の距離であり、L
iは、MTFの値が最大となるとき
の結像面F2と屈折率分布型レンズ1bとの間の距離である。
図2において、レンズアレイ10aは、略正立等倍結像系を構成しており、距離L
iは、距離L
oと略等しい。
図2において、X
0は、屈折率分布型レンズ1bの視野半径である。屈折率分布型レンズ1bの
開口角θは、例えば、実施例に記載の方法に従って決定できる。なお、実施例に記載の方
法において、イオン交換前のガラス素線の屈折率Ncの代わりに、屈折率分布型レンズ1bの中心における屈折率n
0を用いて開口角θを決定してもよい。Nc又はn
0は日本工業規格(JIS)B 7071-2:2018に記載のVブロック法を用いて求めることができる。
【0028】
屈折率分布型レンズ1bの開口角θは、3.5°以上であってもよく、3.7°以上であってもよい。屈折率分布型レンズ1bの開口角θは、望ましくは5.5°以下であり、より望ましくは5.2°以下である。
【0029】
屈折率分布型レンズ1bは、例えば、0.130~0.230mm-1の屈折率分布定数(√A))を有していてもよい。なお、√Aは、Aの平方根を意味する。屈折率分布型レンズの半径rにおける屈折率をn(r)とすると、レンズの近軸領域でn(r)=n0×{1-(A/2)×r2}が成り立つ。屈折率分布定数√Aがこのような範囲にあれば、屈折率分布型レンズ1bの開口角θが所望の範囲に収まりやすい。その結果、屈折率分布型レンズ1bのDOFが所望の範囲に調整されやすい。
【0030】
屈折率分布型レンズ1bの屈折率分布定数は、0.140mm-1以上であってもよく、0.145mm-1以上であってもよい。屈折率分布型レンズ1bの屈折率分布定数は、望ましくは0.210mm-1以下であり、より望ましくは0.205mm-1以下である。
【0031】
屈折率分布型レンズ1bにおける正立像の結像距離は、例えば、45~80mmである。このことは、屈折率分布型レンズ1bのDOFを所望の範囲に調整する観点から有利である。
【0032】
屈折率分布型レンズ1bにおける正立像の結像距離は、47mm以上であってもよく、50mm以上であってもよく、53mm以上であってもよく、54mm以上であってもよい。屈折率分布型レンズ1bにおける正立像の結像距離は、75mm以下であってもよく、70mm以下であってもよく、67mm以下であってもよい。
【0033】
屈折率分布型レンズ1bは、典型的には、ロッド状又はファイバー状のレンズである。屈折率分布型レンズ1bは、例えば、半径方向において
図3Bに示すような屈折率分布を有する。ここで、
図3Bにおいて原点における屈折率n
0は、屈折率分布型レンズ1bの
中心軸における屈折率を意味する。rは、屈折率分布型レンズ1bの半径方向における位置を表す。
【0034】
屈折率分布型レンズ1bは、必要に応じて、開口角よりも大きな入射角を有する入射光がレンズの側面で反射してノイズ光(いわゆる、ホワイトノイズ(迷光))が発生することを防止する構造を有していてもよい。このような構造は、例えば、レンズの側面に設けられた光吸収層又は光散乱層でありうる。例えば、屈折率分布型レンズ1bは、光吸収層となる着色層がレンズの側面に配置されたコア-クラッド構造を有していてもよいし、光散乱層となる微細な凹凸部が側面に形成された構造を有していてもよい。
【0035】
屈折率分布型レンズ1bは、典型的にはガラス製のレンズである。屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、モル%で示して、40%≦SiO2≦65%、0%≦TiO2≦10%、0.1%≦MgO≦22%、0.15%≦ZnO≦15%、0.5%≦Li2O<4%
、2%≦Na2O≦20%、0%≦B2O3≦20%、0%≦Al2O3≦10%、0%≦K2O≦3%、0%≦Cs2O≦3%、0%≦Y2O3≦5%、0%≦ZrO2≦2%、0%≦Nb2O5≦5%、0%≦In2O3≦5%、0%≦La2O3≦5%、及び0%≦Ta2O5≦5%を含む。加えて、屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、CaO、SrO、及びBaOからなる群より選ばれる少なくとも2つを、それぞれ0.1モル%以上15モル%以下含む。さらに、屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、モル%で表示して、2%≦MgO+
ZnO、0.07≦ZnO/(MgO+ZnO)≦0.93、2.5%≦Li2O+Na2O<24%、及び0%≦Y2O3+ZrO2+Nb2O5+In2O3+La2O3+Ta2O5≦
11%の条件を満たす。このようなガラス組成物を用いることにより、所望のDOFを有する屈折率分布型レンズを得ることができる。
【0036】
屈折率分布型レンズ1bは、例えば、上記のガラス組成物からなるガラス素線をイオン交換処理することによって製造できる。
【0037】
(SiO2)
SiO2は、ガラスの網目構造を形成する必須成分である。SiO2の含有率が40モル%未満では、イオン交換後に屈折率分布型レンズとしての光学特性を発現させるために必要な他の成分の含有率が相対的に大きくなって、失透が生じやすくなる。また、当該含有率が40モル%未満では、ガラス組成物としての化学的な耐久性が著しく低下する。一方、当該含有率が65モル%を超えると、他の成分、例えば屈折率分布を形成するためのアルカリ成分、屈折率増加成分、及び物性値調整成分など、の含有率が限定され、実用的なガラス組成物とすることが困難となる。このため、SiO2の含有率は、40モル%以上
65%モル以下である。
【0038】
(TiO2)
TiO2は、ガラス組成物の屈折率を増大させる作用を有する必須成分である。母材ガ
ラス組成物の屈折率を増大させることにより、当該ガラス組成物から得られた屈折率分布型レンズの中心屈折率を増大させることができる。また、TiO2の含有率を増加させる
ことにより、屈折率分布型レンズにおける屈折率分布を、より理想的な状態に近づけることができ、解像度に優れる屈折率分布型レンズの製造が可能となる。TiO2の含有率が
10モル%のときには、得られるレンズに基づく画像の解像度の低下は観察されないが、その含有率が1モル%未満のときには画像の解像度が明らかに低下して、実用的なレンズが得られない。一方、当該含有率が10モル%を超えると、着色が強くなることで色収差が大きくなり、実用的なレンズが得られない。そこで、画像の解像度を高めることができ、かつ、色収差が小さいレンズを得るために、TiO2の含有率は、1モル%以上10モ
ル%以下である。TiO2の含有率は、望ましくは2モル%以上8モル%以下である。
【0039】
(MgO)
MgOは、ガラス組成物の熔融温度を低下させ、イオン交換後における、レンズ中心部と周辺部との間の屈折率差(Δn)を大きくする作用を有する必須成分である。MgOの含有率が22モル%を超えると、失透が生じやすくなる。また、MgOの含有率が22モル%を超えると、その他の成分の含有率が過度に減少し、実用的なガラス組成物を得られない。このため、MgOの含有率は、0.1モル%以上22モル%以下である。十分な屈折率差を実現する観点から、MgOの含有率は、望ましくは2モル%以上である。MgOの含有率が2モル%以上であると、アルカリ土類金属酸化物(CaO、SrO、BaO)の含有率を、アルカリイオンの易動度をさらに低下させることを目的としてより適切に制御できる。すなわち、MgOの含有率は、望ましくは2モル%以上22モル%以下であり、より望ましくは2%以上16%以下である。
【0040】
(ZnO、MgO+ZnO、ZnO/(MgO+ZnO))
ZnOは、ガラス組成物及び屈折率分布型レンズの耐候性を向上させる作用を有する。本発明に係るガラス組成物において、ZnOは、MgOの一部を置換するために加えてもよい。ガラス組成物及び屈折率分布型レンズの耐候性を高める観点から、ZnOの含有率は、0.15モル%以上15モル%以下である。このとき、MgO及びZnOの含有率の合計(MgO+ZnO)が2モル%以上であるように、MgO及びZnOの含有率が調整される。加えて、MgO及びZnOの含有率の合計に対するZnOの含有率の比(ZnO
/(MgO+ZnO)が、0.07≦ZnO/(MgO+ZnO)≦0.93となるように、MgO及びZnOの含有率が調整される。ガラス組成物及び屈折率分布型レンズの耐候性をより高める観点から、ZnOの含有率は、望ましくは3%モル以上15モル%以下である。この場合、MgO+ZnOが6モル%以上であってもよく、0.12≦ZnO/(MgO+ZnO)≦0.93の条件が満たされうる。耐失透性の観点から、ZnOの含有率は、望ましくは8モル%以下である。ガラス組成物及び屈折率分布型レンズの耐候性をさらに高める観点から、ZnOの含有率は、より望ましくは4モル%以上15モル%以下である。この場合、MgO+ZnOが6モル%以上であってもよく、MgO+ZnOが6モル%以上22モル%以下でありうる。MgO+ZnOは、15モル%以下であってもよい。また、ZnO/(MgO+ZnO)は、望ましくは0.07以上0.9以下であり、より望ましくは0.25以上0.85以下であり、さらに望ましくは0.25以上0.8以下であり、とりわけ望ましくは0.3以上0.8以下である。
【0041】
(Li2O)
Li2Oは、必須成分であり、本発明のガラス組成物をイオン交換して屈折率分布型レ
ンズを得るために、最も重要な成分の一つである。従来、ガラス組成物におけるLi2O
の含有率が少ないと、イオン交換によって、十分な濃度分布、即ち十分な屈折率分布を発現できず、適切な屈折率分布型レンズを得ることができないと考えられていた。しかし、本発明者らは、Li2Oの含有率が4モル%以下であるガラス組成物であっても、所定の
条件でイオン交換を行うことにより、適切な屈折率分布を有し、かつ、大きなDOFを有する屈折率分布型レンズを作製できることを新たに見出した。Li2Oの含有率が4モル
%以下を超えると、得られる屈折率分布型レンズの開口角が大きくなりやすく、DOFが小さくなりやすい。Li2Oの含有率は、0.5モル%以上であり、望ましくは0.7モ
ル%以上であり、より望ましくは1モル%以上である。また、Li2Oの含有率は、4モ
ル%以下であり、望ましくは3.5モル%以下であり、より望ましくは3モル%以下であり、さらに望ましくは2モル%以下である。
【0042】
屈折率分布型レンズ1bの特徴の一つは、Li2Oの含有率が様々な先行技術より少な
いことである。従前は、Li2Oの含有率を少なくできない製造工程上の理由があった。
本発明者らは、イオン交換法による1バッチあたりのガラス素線の処理量を制限すること及び溶融塩におけるLiの当初の含有量を少なくすること等の新たな工夫により、像面湾曲等のレンズの収差を抑制しつつ、開口角が従前より小さく、かつ実用的な解像度を備える屈折率分布型レンズが得られることを新たに見出した。
【0043】
(Na2O)
Na2Oは、イオン交換の際に、いわゆる混合アルカリ効果によって、Liと、Liイ
オンを置換するイオン交換種のイオン(溶融塩中に含有されるイオン)とのイオン交換を助け、イオンの易動度を適度に保つ。イオン易動度を適度に保つことで、イオン交換速度を適度に調整でき、屈折率分布型レンズの光学特性を調整できる。ガラス組成物中のNa2Oの含有率が2モル%未満であると、ガラス成形時にガラスが硬くなるので、成形が困
難となる。加えて、ガラスの溶融温度が著しく上昇し、レンズの作製が困難となる。また、イオンの易動度を適度に保つ効果を十分に得ることが難しい。一方、Na2Oの含有率
が20%を超えると、ガラスの化学耐久性が低下し、実用性に欠ける。したがって、Na2Oの含有率は、2モル%以上であり、望ましくは5モル%以上であり、より望ましくは
10モル%以上である。また、Na2Oの含有率は、20モル%以下であり、望ましくは
17モル%以下である。
【0044】
(Li2O+Na2O)
上記の通り、ガラス組成物におけるLi2Oの含有率とNa2O含有率との合計(Li2
O+Na2O)は、2.5モル%以上24モル%未満である。Li2O+Na2Oがこの範
囲であると、このガラス組成物を用いて製造された屈折率分布型レンズによって良好な解像度の画像を得ることができる。Li2O+Na2Oは、望ましくは6モル%以上であり、より望ましくは10モル%以上である。
【0045】
(Li2O/Na2O)
Na2Oの含有率に対するLi2Oの含有率の比(Li2O/Na2O)が大きいと、ガラス組成物を用いて製造された屈折率分布型レンズの解像力が向上することがある。一方、Li2O/Na2Oが過剰に大きい(例えば1.0以上)と、ガラス組成物を用いて製造された屈折率分布型レンズの開口角が大きくなり、そのDOFが小さくなる傾向にある。このため、Li2O/Na2Oは、例えば、0.2以下であり、望ましくは0.15以下であり、より望ましくは0.1以下である。
【0046】
上記のガラス組成物は、さらに以下の成分を含んでいてもよい。
【0047】
(B2O3)
B2O3は、ガラスの網目構造を形成する任意成分であり、得られる屈折率分布型レンズの解像力及び開口角θをほとんど変化させることなく、ガラス組成物のガラス化を促進し、その粘性を調整する作用を有する。また、若干ではあるが、ガラス組成物のイオン交換速度を遅くする作用も有する。B2O3は、例えば、上述した各必須成分の含有率は本発明の範囲内であるが、組成物として見たときに一部の成分の含有率が相対的に大きくなり、ガラスとしての安定性が低下する(例えば失透を生じやすくなる)場合に、加えてもよい。B2O3の添加により、必須成分間の含有率の比率を変えることなく、相対的に大きくなった上記一部の成分の含有率を小さくすることができる。得られる屈折率分布型レンズの解像力及び開口角を変化させることなく添加できるB2O3の含有率は、例えば、20%モル以下である。このため、B2O3の含有率は、0%モル以上20モル%以下である。当該含有率は、望ましくは0モル%以上10モル%以下であり、ガラス組成物がB2O3を含有する場合、その含有率は望ましくは1モル%以上10モル%以下である。
【0048】
(Al2O3)
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、任意成分としてAl2O3を含んでいてもよく、その含有率は、0モル%以上10モル%以下である。
【0049】
(SiO2+TiO2+B2O3)
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物において、SiO2、TiO2、及びB2O3の含有率の合計(SiO2+TiO2+B2O3)は、例えば41モル%以上70モル%以下であり、望ましくは50モル%以上70モル%以下である。
【0050】
(Y2O3、ZrO2、Nb2O5、In2O3、La2O3、Ta2O5)
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、イオン交換後に得られる屈折率分布型レンズの屈折率の調整、あるいは耐候性の向上を目的として、Y2O3、ZrO2、Nb2O5、In2O3、La2O3、及びTa2O5からなる群より選択される少なくとも1つの成分を含んで
いてもよい。これらの成分の含有率の合計は0モル%以上11モル%以下であり、屈折率分布型レンズ用ガラス組成物がこれらの成分を含む場合、これらの成分の含有率の合計は、望ましくは0.2モル%以上6モル%以下である。また、これらの成分の含有率とZnOの含有率との合計が15モル%以下であることが望ましい。
【0051】
(Y2O3)
Y2O3の含有率は、望ましくは0モル%以上5モル%以下である。
【0052】
(ZrO2)
ZrO2の含有率は、望ましくは0モル%以上2モル%以下であり、屈折率分布型レン
ズ用ガラス組成物がZrO2を含む場合、その含有率は0.2モル%以上2モル%以下で
ある。
【0053】
Nb2O5、In2O3、La2O3、及びTa2O5の含有率のそれぞれは、望ましくは0モル%以上5モル%以下である。
【0054】
(K2O、Cs2O)
K2O及びCs2Oは、混合アルカリ効果により、MgO、CaO、SrO、及びBaOと同様に、アルカリイオンの易動度を小さくする作用を有する任意成分である。K2O及
びCs2Oの含有率のそれぞれは、例えば、0モル%以上3モル%以下である。屈折率分
布型レンズ用ガラス組成物の耐水性を高める観点から、Cs2Oの含有率は、望ましくは
2モル%未満であり、より望ましくは0モル%以上1モル%以下であり、さらに望ましくは0.5モル%以下である。屈折率分布型レンズ用ガラス組成物の耐水性を高める観点から、屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、Cs2Oを実質的に含まないことが望ましい
。本明細書において「実質的に含まない」とは、当該成分の含有率が0.1モル%未満であることを意味する。
【0055】
(その他の成分)
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物において、その他の成分として、GeO2を含んで
いてもよい。GeO2の含有率は0モル%以上10モル%以下でありうる。また、屈折率
分布型レンズ用ガラス組成物は、添加物として、SnO2、As2O3、及びSb2O3から
なる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。SnO2、As2O3、及びS
b2O3の含有率のそれぞれは、0モル%以上1モル%以下でありうる。屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、実質的に上記の成分からなってもよい。この場合、ガラス組成物が含む各成分の含有率、ならびに各成分の含有率間の関係(合計及び含有比)は、上述した各条件を満たす。本明細書において、「実質的に~からなる」とは、含有率にして0.1モル%未満の不純物を許容することを意味する。
【0056】
(PbO)
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、実質的に鉛(代表的な化合物としてはPbO)を含まない。また、屈折率分布型レンズ1bも実質的に鉛を含まない。
【0057】
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物において、例えば、日本光学硝子工業会規格(JOGIS)06-2009に準拠して決定される耐水性が1級である。この場合、屈折率分
布型レンズ用ガラス組成物が高い耐水性を有し、屈折率分布型レンズ用ガラス組成物を用いて製造された屈折率分布型レンズも高い耐水性を有しやすい。屈折率分布型レンズをなすガラスにおいても、JOGIS 06-2009に準拠して決定される耐水性が1級で
あってもよい。
【0058】
屈折率分布型レンズ用ガラス組成物は、第一アルカリ金属元素の酸化物を含む。屈折率分布型レンズ1bは、例えば、以下の工程(I)及び(II)を含む方法によって製造できる。
(I)上記の屈折率分布型レンズ用ガラス組成物からなるガラス素線1aを形成する。
(II)屈折率分布型レンズ用ガラス組成物に含まれる第一アルカリ金属元素Qとは異なる第二アルカリ金属元素Rを含む溶融塩Sにガラス素線1aを浸漬して、ガラス素線1a中の第一アルカリ金属元素Qと溶融塩中の第二アルカリ金属元素Rとをイオン交換処理することにより、ガラス素線1aに屈折率分布を形成する。
【0059】
(II)の工程において、例えば、
図3Aに示す通り、容器Vの内部の溶融塩Sにガラス
素線1aを投入し、溶融塩Sにガラス素線1aを所定時間浸漬する。溶融塩Sにおいて、例えば、硝酸カリウム及び硝酸ナトリウムの少なくとも1つが溶融している。ガラス素線1aを溶融塩Sに浸漬すると、例えば、ガラス素線1aに含まれるLi(リチウム)等の第一アルカリ金属元素Qの陽イオンが溶融塩S中に溶け出す。一方、溶融塩S中のK(カリウム)等の第二アルカリ金属元素Rの陽イオンがガラス素線1aに侵入する。溶融塩Sの温度及び溶融塩Sへのガラス素線1aの浸漬時間を調整することにより、第一アルカリ金属元素Qの陽イオンと第二アルカリ金属元素Rの陽イオンとのイオン交換を適切に制御できる。ガラス素線1aの内部には、特定の1価の陽イオンの濃度分布が生じ、この濃度分布に応じて、
図3Bに示すような屈折率分布がガラス素線1aに形成される。これにより、ガラス素線1aから屈折率分布型レンズ1bを製造できる。
【0060】
本発明に係る光学製品は、屈折率分布型レンズ1bを備える限り、特定の製品に限定されない。屈折率分布型レンズ1bを用いて、例えば、所定のレンズアレイを提供できる。この場合、レンズアレイは、屈折率分布型レンズ1bの配列に関し、0次元の配列、1次元の配列、又は2次元の配列を有し得る。0次元の配列とは、例えば、単一の屈折率分布型レンズ1bが配置された構成であり、単一の屈折率分布型レンズ1bからなる光学製品によって所望の作用を期待するものである。1次元の配列とは、特定方向に複数の屈折率分布型レンズ1bが一列に配列された構成である。その特定方向を主走査方向といい、主走査方向に垂直であり、かつ、光軸に垂直な方向を副走査方向という。複数の屈折率分布型レンズ1bは、それらの光軸が略平行になるように配列される。2次元の配列とは、1次元の配列に加え、それとは異なる方向にレンズが複数配列された構成である。例えば、主走査方向に沿って複数の屈折率分布型レンズ1bが二列以上に配列された構成が2次元の配列に該当し得る。レンズアレイ10bによれば、個々の屈折率分布型レンズの径が小さくても、広範囲の正立等倍像を得ることができる。
【0061】
例えば、屈折率分布型レンズ1bを用いて、
図4に示すレンズアレイ10bを提供できる。レンズアレイ10bにおいて、複数の屈折率分布型レンズ1bが、それらの光軸が略平行になるように配列されている。レンズアレイ10bにおいて、複数の屈折率分布型レンズ1bは、2次元の配列をなすように二列に配置されている。レンズアレイ10bにおいて、複数の屈折率分布型レンズ1bは、例えば、一対の繊維強化プラスチック(FRP)基板5の間に配置されている。一対のFRP基板5の間において、複数の屈折率分布型レンズ1b同士の間の空間及びFRP基板5と屈折率分布型レンズ1bとの間の空間には黒色樹脂7が充填されている。これにより、一対のFRP基板5の間において、複数の屈折率分布型レンズ1bが一体化されている。このようなレンズアレイ10bは、例えば、下記のように作製できる。まず、一方のFRP基板5の表面に、複数の屈折率分布型レンズ1bをほぼ平行に配列させ、他方のFRP基板5によってレンズを狭持する。その後、一対のFRP基板5の間の空間に黒色樹脂7を充填し、全体を一体化する。さらに、必要に応じて屈折率分布型レンズ1bの端面が研磨される。
【0062】
レンズアレイ10bは、様々な観点から変更可能であり、レンズアレイを構成する各部分の材料には、レンズアレイの作製において公知の材料を用いてもよい。また、複数の屈折率分布型レンズ1bの配列は、二列に限定されない。複数の屈折率分布型レンズ1bは、一列に配列されていてもよいし、三列以上に配列されていてもよい。屈折率分布型レンズ1bを多数列に配列すると、大面積に対応可能なレンズアレイを提供できる。
【0063】
屈折率分布型レンズ1bは、上記の光学性能を備えるプラスチック製ロッドレンズでありうる。プラスチック製ロッドレンズは、例えば共重合法、ゾル-ゲル法、及び相互拡散法などの方法で作製できる。特に相互拡散法では、中心から外周に向かって屈折率が段階的に小さくなる樹脂を同心円状に積層したうえで、屈折率が連続的になるように層間の物資の相互的な拡散を行う。このような処理を行った後にさらに加熱延伸して棒状のロッド
レンズを得る。プラスチック製ロッドレンズは、その材質の特性上、取扱いが簡便で一般的に廉価であり、場合によってはメリットがある。
【0064】
屈折率分布型レンズ1bを備えたレンズアレイは、大きなDOFを有し、場合によっては耐候性に優れ、スキャナ、複写機、ファクシミリ、プリンタ、CIS、及びラインカメラ等の光学機器に幅広く用いることができる。さらには、屈折率分布型レンズ1bを備えたレンズアレイは、特に耐水性(耐湿性)に優れることから、オフィスなどの一般空調だけでなく、高温多湿な状況に晒される工場、保管倉庫又は輸送トラックなどの物流を含めた多様な環境においても、上記の光学機器などに適用可能である。
【0065】
レンズアレイ10bを用いて、例えば、
図5に示すCISスキャナ100を提供できる。CISスキャナ100は、例えば、レンズアレイ10bと、筐体11と、ライン状受光素子12、ライン状照明装置13、原稿台14とを備える。ライン状受光素子12は、レンズアレイ10bの主走査方向に延びている。
図5においてX軸に平行な方向が主走査方向であり、Y軸に平行な方向が副走査方向である。ライン状照明装置13は、レンズアレイ10bの主走査方向に延びている。原稿台14はガラス板によって形成されている。原稿台14をなすガラス板は、筐体11の開口を覆うように配置される。レンズアレイ10b、ライン状受光素子12、及びライン状照明装置13は、筐体11の内部に配置されている。ライン状照明装置13から原稿台14の上に置かれた原稿Pへ、線状に照明光が照射される。原稿Pの表面で反射した光が、ライン状受光素子12に入射するようにレンズアレイ10bが配置されている。レンズアレイ10b及びライン状受光素子12を含むスキャナ機構を副走査方向に走査すること又は原稿台14の上に置かれた原稿Pを副走査方向に搬送することによって、原稿Pに関する二次元の画像データを得ることができる。
【0066】
レンズアレイ10bは、大きなDOFを有する屈折率分布型レンズ1bを備えているので、例えば、皺又は見開きの部分などにより、原稿Pの一部が浮いた部分においても、読み取られた画像の品質が良好になりやすい。
【0067】
レンズアレイ10bを用いて、例えば、
図6に示すスキャナ300を提供できる。スキャナ300は、筐体31と、ライン状受光素子32と、ライン状照明装置33と、第一スペーサ34aと、第二スペーサ34bと、基板35とを備えている。スキャナ300では、ライン状照明装置33が筐体31の外部に配置されている。例えば、スキャナ300において、読取を予定する原稿Pの部分とライン状受光素子32との光学的配置を適切に調整するために、レンズアレイ10bは、第一スペーサ34a及び第二スペーサ34bによって筐体31に対し位置決めされて固定されている。スキャナ300は、被検体の外観を検査する装置に適用されてもよく、原稿Pの代わりに被検体(検査対象物)からの画像を得るために使用されてもよい。この場合、ライン状照明装置33から出射された光線が被検体に照射され、被検体の表面で反射した光はレンズアレイ10bの結像作用によって、ライン状受光素子32に結像される。ライン状受光素子32は、被検体の表面の1次元の画像情報を逐次電気信号に変換し、出力できる。
【0068】
レンズアレイ10bを用いて、例えば、
図7に示すプリンタ500を提供できる。プリンタ500は、書込ヘッド51と、感光ドラム52と、帯電器53、現像器54と、転写器55と、定着器56と、消去ランプ57と、清掃器58と、給紙カセット59とを備えている。レンズアレイ10bは、書込ヘッド51の内部に配置されている。プリンタ500は、電子写真方式のプリンタである。書込ヘッド51は、レンズアレイ10bと、発光素子アレイ(図示省略)とを備えている。レンズアレイ10bは、発光素子アレイから発せられた光を、感光ドラム52上に露光させる結像光学系を構成している。詳細には、レンズアレイ10bは、その焦点が感光ドラム52の表面に位置しており、正立等倍光学系を構成している。感光ドラム52の表面には、アモルファスSiなどの光導電性を有する
材料(感光体)からなる感光層が形成されている。最初に、回転している感光ドラム52の表面が帯電器53によって均一に帯電する。次に、書込ヘッド51によって、形成する画像に対応するドットイメージの光が感光ドラム52の感光層に照射され、感光層において光が照射された領域の帯電が中和され、感光層に潜像が形成される。次に、現像器54によって感光層にトナーを付着させると、トナーは感光層の帯電状態に従って、感光層における潜像が形成された部分に付着する。次に、付着したトナーを、転写器55によって、カセットから送られてきた用紙に転写し、その後、定着器56によって用紙を加熱すると、トナーが用紙に定着して画像が形成される。一方、転写の終了した感光ドラム52の帯電は消去ランプ57によって全領域にわたって中和され、その後、清掃器58によって感光層上に残ったトナーが除去される。
【0069】
レンズアレイ10bを用いて、例えば、
図8に示す検査装置700を提供できる。検査装置700は、CISスキャナ71と、ライン状状照明装置72と、制御器73と、出力装置74と、搬送装置75と、搬送制御装置76とを備えている。CISスキャナ71の内部にはレンズアレイ10bが配置されている。搬送装置75は、例えばベルトコンベヤーである。搬送装置75は、プリント基板、テキスタイル、及び紙等の被検体Tを搬送する。搬送制御装置76は、搬送装置75を制御するためのデジタルコンピュータであり、搬送装置75の搬送速度を調整するための制御信号を搬送装置75に向かって出力する。CISスキャナ71及びライン状照明装置72は、例えば、搬送装置75の上方に配置されており、被検体Tは、搬送装置75によってCISスキャナ71の真下を通過する。CISスキャナ71及びライン状照明装置72は、被検体Tの明瞭な画像データが得られるように配置されている。制御器73は、被検体Tの画像データを形成するためのデジタルコンピュータである。被検体TがCISスキャナ71の真下を通過するときに、制御器73は、CISスキャナ71から1次元の画像情報を連続的に取得する。加えて、制御器73は、搬送制御装置76から被検体Tの搬送位置情報を取得する。制御器73は、CISスキャナ71から取得した1次元の画像情報と、搬送制御装置76から取得した搬送位置情報とに基づいて計算処理を行い、2次元の画像情報を形成する。形成された2次元の画像情報は、制御器73に予め記憶された、異物、ワレ、ピンホール等の欠陥を特徴づける情報と比較される。これにより、制御器73は、被検体Tにおける欠陥の有無、欠陥の数、及び欠陥の位置を特定する。制御器73は、この比較結果に基づいて、被検体Tの良否を判断してもよい。出力装置74は、例えばモニターであり、制御器73によって形成された2次元の画像情報を表示する。
【実施例0070】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0071】
(ガラス組成物の調製及び屈折率分布型レンズの作製)
表1に示す組成となるようにガラス原料を混合し、混合物を熔融して、実施例1~4、比較例1~3、及び参考例1に係る熔融ガラス(ガラス組成物)を得た。表1における数値はモル%を示す。各ガラス組成物における所定の成分のモル%基準の含有率の関係を表2に示す。各熔融ガラスを紡糸してファイバー状に成形し、得られたガラスファイバーを所定の長さで切断し、切断面を研磨した。これにより、各実施例、各比較例、及び参考例1に係るガラス素線を得た。各ガラス素線の直径(線径)は、560μmであった。次に、各ガラス素線を構成するガラス組成物のガラス転移温度付近に加熱した硝酸ナトリウム溶融塩に各ガラス素線を浸漬し、イオン交換処理を行った。これにより、各ガラス素線に屈折率分布を形成した。その後、イオン交換処理後のガラス素線を1周期長に切断し、切断した端面を研磨して、各実施例、各比較例、及び参考例1に係る屈折率分布型レンズを得た。
【0072】
(特性評価)
上記のように作製した屈折率分布型レンズを適当な長さに切断して得られたサンプルの切断面を鏡面研磨した。次に、このサンプルの一方の端面に格子状のパターンが記載されたシートを接触させ、サンプルの他方の端面からそのパターンの正立像を観察して、各屈折率分布型レンズの周期長Pを決定した。次に、√A=2π/Pの関係に基づいて、各屈折率分布型レンズの屈折率分布係数√Aを決定した。次に、屈折率分布係数√A、屈折率分布型レンズの半径r0、及びイオン交換処理前のガラス素線の屈折率Ncの値と、下記
の式(1)に示す関係に基づいて、各屈折率分布型レンズの開口角θを決定した。結果を表3に示す。なお、屈折率Ncは、1.60であり、各屈折率分布型レンズの光軸における屈折率とみなすことができた。
θ=sin-1{√A・Nc・r0} 式(1)
【0073】
屈折率Ncは、各実施例、各比較例、及び参考例1に係るガラス組成物の屈折率を評価することで求めた。ガラス組成物からなる母材ガラスを切り出して15mm平方の断面積を有する直方体状の試料を作製し、JIS B 7071-2:2018に記載のVブロック法に従って屈
折率Ncを評価した。本方法ではVブロックプリズムに試料を載せ、分光された光線を通した際に試料で曲げられた光線の偏角を測定する。本方法は、この偏角の値と既知のVブロックプリズムの屈折率から、相対的に試料の屈折率を計算する方法である。評価には島津製作所製のKPR-3000を用いた。
【0074】
(耐水性評価)
JOGIS 06-2009に準拠して各ガラス組成物の耐水性を評価した。各ガラス
組成物から作製した試料を沸騰水中に1時間置いて減量率を測定し、減量率に応じて各ガラス組成物の耐水性を評価した。JOGIS 06-2009における耐水性は、1級か
ら6級に区分されており、耐水性が1級であるガラスは、耐候性、特に水分に対して優れた耐久性を持つといえる。
【0075】
(DOFの測定)
各屈折率分布型レンズに対し、その側面にノイズ光の除去を目的に所定の処理(凹凸形成処理)を施した。その後、複数の各屈折率分布型レンズを2次元に配列して、
図4に示すような複数の屈折率分布型レンズが2列に配列されたレンズアレイを作製した。このようにして、各実施例、各比較例、及び参考例1に係るレンズアレイを得た。1mmの間隔に6組の黒白のラインペアを有するラインパターンを準備した。すなわち、このラインパターンは、6本/mmの空間周波数を有していた。ハロゲンランプからの出射光をカラーフィルター(透過中心波長:530nm、半値全幅15nm)を通過させてラインパターンに照射した。
図1に示すように、MTFの値が最大となる位置に、ラインパターン、各レンズアレイ、及び受光素子を配置した。このときの、レンズアレイと受光素子との間の距離をレンズ-結像位置間距離L
oと決定した。結果を表3に示す。その後、ラインパタ
ーンを光軸方向に移動させながら、各位置でMTFの値を求め、ΔLとMTFの値との関係からMTFの値が30%以上となる作動距離の範囲を特定した。そのうえで、作動距離の最大値から最小値を差し引いて、各屈折率分布型レンズの被写界深度(DOF)を決定した。結果を表3に示す。また、
図9に、実施例2、比較例3、及び参考例1に係るレンズアレイにおける、MTFの値とΔLとの関係を示す。
【0076】
表1に示す通り、各実施例に係る屈折率分布型レンズを備えたレンズアレイにおけるDOFは、1.5~3.0mmの範囲にあり、各実施例に係る屈折率分布型レンズが所望のDOFを有することが示唆された。加えて、各実施例に係るガラス組成物の耐水性は1級であった。一方、各比較例に係る屈折率分布型レンズを備えたレンズアレイにおけるDOFは小さかった。参照例1に係る屈折率分布型レンズを備えたレンズアレイにおけるDOFは2.4mmであった。しかし、参照例1に係るガラス組成物の耐水性は4級であり、
参照例1に係るガラス組成物は各実施例に係るガラス組成物と比べると耐水性の点で劣っていることが示唆された。
【0077】
【0078】
【0079】
特許文献1及び2には、屈折率分布型レンズを用いることは記載されていない。特許文献3~5に記載の屈折率分布型レンズは大きな開口角を有している。このことは、屈折率分布型レンズにおいて大きな被写界深度を実現する観点から有利とは言い難く、特許文献3~5に記載の屈折率分布型レンズの被写界深度は小さいと考えられる。屈折率分布型レンズの被写界深度が小さいと、例えば、対象物の厚みにばらつきがある場合に対象物において焦点が合う部分と焦点が合わない部分とが発生しうる。また、屈折率分布型レンズを備えた製品は、一般空調だけでなく、高温多湿な環境にも適用できれば、その製品の価値が高まりうる。