(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130456
(43)【公開日】2023-09-20
(54)【発明の名称】鉛蓄電池セパレータおよび鉛蓄電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/434 20210101AFI20230912BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/449 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/437 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/411 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230912BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230912BHJP
【FI】
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/44
H01M50/414
H01M50/42
H01M50/429
H01M50/426
H01M50/449
H01M50/463 B
H01M50/437
H01M50/411
H01M50/489
H01M50/417
H01M50/403 D
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023112488
(22)【出願日】2023-07-07
(62)【分割の表示】P 2021117991の分割
【原出願日】2016-10-05
(31)【優先権主張番号】62/237,174
(32)【優先日】2015-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505458359
【氏名又は名称】ダラミック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ウィアー,ジェイ.,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムルズィー,アヒラ
(72)【発明者】
【氏名】アピカトラ,ススミタ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電池のサイクル寿命を改善する鉛電池用セパレータを提供する。
【解決手段】粒子、繊維、又は材料のうち少なくとも1つを備える少なくとも1つの電気的に非伝導性、伝導性、又は半導体の層、フィルム、コーティング、堆積、又は材料を有する多孔性の膜又は基板を備える鉛蓄電池セパレータであって、前記粒子、繊維、又は材料は、シリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物のうち少なくとも1つを備える、鉛蓄電池セパレータとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子、繊維、又は材料のうち少なくとも1つを備える少なくとも1つの電気的に非伝導性、伝導性、又は半導体の層、フィルム、コーティング、堆積、又は材料を有する多孔性の膜又は基板を備える鉛蓄電池セパレータであって、前記粒子、繊維、又は材料は、シリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物のうち少なくとも1つを備える、鉛蓄電池セパレータ。
【請求項2】
グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、炭素繊維、及びそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物から選択される導電性炭素を備える、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項3】
酸化アルミニウム(Al2O3)、ベーマイトAlO(OH)、酸化シリコン、ヒュームドシリカ、遷移金属等の酸化物、及びそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物から選択される金属酸化物を備える、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項4】
前記層は、ポリマー、結合剤、又はキャリア材料を更に備える、請求項1から3のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項5】
前記キャリア又は結合剤は、1つ以上のガラスマット、繊維マット、合成マット、セラミックス、及びポリマーを含む、請求項4に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項6】
前記ポリマーは、1つ以上のポリマー、無機もしくは有機ポリマーもしくはポリマー材料、ポリマー結合剤、有機結合剤、アクリル樹脂、セルロース、ポリオレフィン、PVDF、PVDF:HFP、PEO、PTFE、SBR、PVA、フェノールホルムアルデヒド樹脂、又はアクリレートを含む、請求項4から5のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項7】
前記層は、500オングストロームから500μm、好ましくは0.1μmから250μm、より好ましくは1から250μm、1から150μm、2.5から150μm、2.5から125μm、2.5から100μm、2.5から75μm、5から75μm、5から100μm、10から100μm、5から50μm、5から25μm、25から100μm、25から50μm、25から75μmの範囲の厚さを有する、請求項1から6のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項8】
前記多孔性の膜は1つ以上の熱可塑性ポリマーを含む、請求項1から7のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマーはポリエチレンを含む、請求項8に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項10】
前記多孔性の膜又は基板は、リブ、鋸歯形状、エンボス加工、波形、穿孔、又はくぼみを含む、請求項1から9のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項11】
前記多孔性の膜又は基板は、PE、PO、PVC、セルロース、ゴム、ガラスマット、又はAGMを含む、請求項1から10のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項12】
前記多孔性の膜又は基板は1つ以上の添加物又は薬品を含む、請求項1から11のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項13】
前記多孔性の膜は、20重量%、18重量%、16重量%、14重量%、12重量%、
10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、又は0.5重量%以下の量のプロセスオイルを含む、請求項1から12のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項14】
向上した電荷受容性、向上した表面伝導率、向上した耐酸化性、低減した酸層化、向上した金属汚染誘導酸化耐性、低減した黒い残留物、向上した湿潤性、及び/又は向上した剛性を有する、請求項1から13のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載の電池セパレータを作製する方法であって、シリカ、ヒュームドシリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、金属、金属酸化物、セルロース、セルロース材料、ガラス、繊維ガラス、炭素、導電性炭素、又はそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物のうち少なくとも1つの粒子、繊維、又は材料のうち少なくとも1つを備える少なくとも1つの電気的に非伝導性、伝導性、又は半導体の層、フィルム、コーティング、堆積、又は材料を、多孔性又は微孔性の膜又は基板の少なくとも一方側に塗布するステップを備える、方法。
【請求項16】
前記層は、ディップ、ナイフ、カーテン、グラビア、溶媒コーティング、水性コーティング、有機コーティング、物理的気相成長法、原子層成長法、又は化学的気相成長法によって塗布される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載のセパレータを備える鉛蓄電池。
【請求項18】
向上した電荷受容性、向上した伝導率、向上したサイクル寿命、低減した酸層化、向上した金属汚染耐性、低減した黒い残留物、向上した電解質湿潤又は充填時間、及びそれらの組み合わせを有する、請求項17に記載の鉛蓄電池。
【請求項19】
本明細書に図示又は記載される、改良されたか又は新規のセパレータ、電池、又は方法。
【請求項20】
シリカ、ヒュームドシリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、金属、金属酸化物、セルロース、セルロース材料、ガラス、繊維ガラス、炭素、導電性炭素、又はそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物のうち少なくとも1つの粒子、繊維、又は材料のうち少なくとも1つを備える少なくとも1つの電気的に非伝導性、伝導性、又は半導体の層、フィルム、コーティング、堆積、又は材料を、少なくとも一方側に有し、更に、ポリマー、結合剤、又はキャリア材料を備える多孔性の膜又は基板を備え、前記ポリマー、結合剤、又はキャリア材料は、1つ以上のガラスマット、繊維マット、合成マット、セラミックス、及びポリマーを含む、鉛蓄電池セパレータ。
【請求項21】
グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、酸化グラフェン、炭素繊維、及びそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物から選択される導電性炭素を備える、請求項20に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項22】
酸化アルミニウム(Al2O3)、ベーマイトAlO(OH)、酸化シリコン、ヒュームドシリカ、遷移金属等の酸化物、及びそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物から選択される金属酸化物を備える、請求項20に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項23】
シリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、及びそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物を備える、請求項20に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項24】
前記ポリマーは、1つ以上のポリマー、無機もしくは有機ポリマーもしくはポリマー材
料、ポリマー結合剤、有機結合剤、アクリル樹脂、セルロース、ポリオレフィン、PVDF、PVDF:HFP、PEO、PTFE、SBR、PVA、フェノールホルムアルデヒド樹脂、又はアクリレートを含む、請求項20に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項25】
前記層は、500オングストロームから500μm、好ましくは0.1μmから250μm、より好ましくは1から250μm、1から150μm、2.5から150μm、2.5から125μm、2.5から100μm、2.5から75μm、5から75μm、5から100μm、10から100μm、5から50μm、5から25μm、25から100μm、25から50μm、25から75μmの範囲の厚さを有する、請求項20から24のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項26】
前記微孔性の膜は1つ以上の熱可塑性ポリマーを含む、請求項20から25のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項27】
前記熱可塑性ポリマーはポリエチレンを含む、請求項26に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項28】
前記微孔性の膜又は基板は、リブ、鋸歯形状、エンボス加工、波形、穿孔、又はくぼみを含む、請求項20から27のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項29】
前記微孔性の膜又は基板は、PE、PO、PVC、セルロース、ゴム、ガラスマット、又はAGMを含む、請求項20から28のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項30】
前記微孔性の膜又は基板は1つ以上の添加物又は薬品を含む、請求項20から29のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項31】
前記微孔性の膜は、20重量%、18重量%、16重量%、14重量%、12重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、又は0.5重量%以下の量のプロセスオイルを含む、請求項20から30のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項32】
向上した電荷受容性、向上した表面伝導率、向上した耐酸化性、低減した酸層化、向上した金属汚染誘導酸化耐性、低減した黒い残留物、向上した湿潤性、及び/又は向上した剛性を有する、請求項20から31のいずれかに記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項33】
請求項20から32のいずれかに記載の電池セパレータを作製する方法であって、シリカ、ヒュームドシリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、金属、金属酸化物、セルロース、セルロース材料、ガラス、繊維ガラス、炭素、導電性炭素、又はそれらの組み合わせ、ブレンド、又は混合物のうち少なくとも1つの粒子、繊維、又は材料のうち少なくとも1つを備える少なくとも1つの電気的に非伝導性、伝導性、又は半導体の層、フィルム、コーティング、堆積、又は材料を、多孔性又は微孔性の膜又は基板の少なくとも一方側に塗布するステップを備える、方法。
【請求項34】
前記層は、ディップ、ナイフ、カーテン、グラビア、溶媒コーティング、水性コーティング、有機コーティング、物理的気相成長法、原子層成長法、又は化学的気相成長法によって塗布される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項20から34のいずれかに記載のセパレータを備える鉛蓄電池。
【請求項36】
向上した電荷受容性、向上した伝導率、向上したサイクル寿命、低減した酸層化、向上
した金属汚染耐性、低減した黒い残留物、向上した電解質湿潤又は充填時間、及びそれらの組み合わせを有する、請求項35に記載の鉛蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年10月5日に出願された米国仮特許出願第62/237,174号に対する優先権及びその利益を主張する。この出願の全体的な内容は参照により本願に含まれる。
【0002】
少なくとも選択された実施形態によれば、本出願又は本発明は、新規の、改良された、もしくは最適化された多孔性のフィルム、膜、もしくは基板、官能化された、コーティングされた、もしくは処理された多孔性のフィルム、膜、もしくは基板、新規の、改良された、最適化された、官能化された、コーティングされた、もしくは処理されたセパレータ膜、セパレータ、多層セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、もしくは複合物、そのようなフィルム、膜、基板、セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、もしくは複合物を含む電気化学デバイス、電池、もしくはセル、そのようなフィルム、膜、基板、セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、もしくは複合物を備えたプレートもしくは電極の新規の、改良された、もしくは最適化された組み合わせ又はシステム、そのようなフィルム、膜、基板、セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、複合物、システム、組み合わせ、セル、デバイス、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのようなフィルム、膜、基板、セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、複合物、システム、組み合わせ、セル、デバイス、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。少なくともいくつかの実施形態によれば、本出願は、新規の、改良された、もしくは最適化された、官能化された、コーティングされた、もしくは処理された微孔性の膜、電池セパレータ膜、鉛蓄電池セパレータ膜、セパレータ、及び/又は鉛蓄電池セパレータであって、少なくとも1つの官能化された、コーティングされた、もしくは処理された表面を少なくとも1つの側に有し、少なくとも1つのコーティング、フィルム、層、もしくは材料を少なくとも1つの側、リブ(rib)、もしくは表面に有するもの、そのような膜、電池セパレータ膜、鉛蓄電池セパレータ膜、セパレータ、及び/又は鉛蓄電池セパレータを含むエネルギ貯蔵デバイス、セル、システム、組み合わせ、及び/又は電池、そのような膜、電池セパレータ膜、鉛蓄電池セパレータ膜、セパレータ、及び/又は鉛蓄電池セパレータを作製する方法、及び/又は、そのような膜、電池セパレータ膜、鉛蓄電池セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、複合物、組み合わせ、システム、デバイス、セル、及び/又は電池等を使用する方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
鉛蓄電池は4つの基本的なコンポーネントを有する。すなわち、酸化鉛正極活物質(PAM:positive active material)コーティングが塗布された鉛又は鉛合金の格子とすることができる正極、負極活物質(NAM:negative active material)コーティングが塗布された鉛又は鉛合金の格子とすることができる負極、セパレータ、及び、一般に硫酸である液体電解質である。イオン流を可能としながら反対の極性の電極間の物理的接触を防止するため、電極間には電気的に絶縁性の多孔性セパレータが配置される。多くの場合、セパレータは、例えばポリエチレン(PE)膜等のポリオレフィン膜のような微孔性ポリマーの膜又は材料を含む。鉛蓄電池において、電解質と正極が接するエリアは界面の「酸化帯(oxidation zone)」と呼ばれる。酸化は、純粋に化学的であるか、又は純粋に電気化学的であるか、又はそれら双方の組み合わせであり得る。この酸化帯は、数百ミクロン(又はμm)のオーダーであり、セパレータが配置された電解質内に延出している。ポリエチレン及び同様のポリマーは本質的に電池の動作中に耐酸化性でなく、そのため、特に酸化帯に位置するセパレータの部分では加速酸化が生じ得る。セパレータ材料の酸化は、電池性能低下と短寿
命化を招く可能性がある。
【0004】
典型的なセパレータは多くの場合、正極又は負極の一方又は双方を、通常はエンベロープ、ポケット、又はスリーブ構成で取り囲んでいる。エンベロープ又はスリーブは、電極を取り囲むため必要な形状に折り畳まれた1枚のセパレータ材料から得られる。この折り畳みと切断は、自動化機器を用いて連続的に行われることが多い。自動車用電池の製造業者は、時間をかけてセパレータのバックウェブ(backweb)厚さを250μm~150μまで低減させてきた。これは、セパレータの体積が減少すると電池内には追加の電解質及び電極材料が存在することができ、パワーと性能が増大するからである。しかしながら、曲げ剛性は厚さの3乗に関連するので、わずかであっても厚さが低減すると曲げ剛性が著しく低下する可能性がある。例えば、厚さが30%低減すると結果として曲げ剛性が70%低下し得る。セパレータの剛性の低下は、既存の機器に製造上の課題を突き付ける。例えば、剛性の低下は、不注意による折り畳みや折り目が生じる傾向を増大させ、完成したセパレータの不良品発生率(rejection rate)を上昇させる。製造速度を低下させれば不良品発生率が低下する可能性があるが、そのような速度低下に伴う生産性の損失は、商業的に望ましくないか又は実行不可能であることが多い。
【0005】
鉛蓄電池が著しく放電された場合、エネルギ貯蔵反応に硫酸が関与しているために電解質の重量は低下する。再充電が行われると、電極の表面(すなわち境界層)において、バルク電解質よりも高い密度を有する純粋な硫酸が生成される。境界層では、硫酸の外側部分だけがバルク電解質内に拡散し、残りの硫酸は電解質よりも重いので電池の底部に集まる。バルク電解質からの硫酸のこの分離は「酸層化(acid stratification)」と呼ばれている。電池の上部における硫酸レベル低下は、プレート活性化を阻害すると共に腐食を増大させる。また、底部における酸濃度の上昇は電池の電圧を人工的に上昇させ、これが電池管理システムを妨害する可能性がある。全体として、酸層化は抵抗を増大させ、これは電池寿命を短くする。
【0006】
従って、改良されたセパレータ及び/又は電池に対する必要性が存在する。例えば、向上したかもしくは改善した電荷受容性、表面伝導率、耐酸化性、湿潤性、曲げ剛性、及び/又はサイクル寿命、及び/又は低減した酸層化を与え得る改良されたセパレータ又は電池に対する必要性、向上した電荷受容性及び/又は低減した酸層化を有する電池、特に鉛蓄電池に対する必要性、向上した湿潤性、向上した表面伝導率、向上した耐酸化性、及び/又は増大した剛性を有する電池セパレータに対する必要性、及び/又は、完成したセパレータの不良品発生率が低減したセパレータを含む電池コンポーネントの迅速な生産を可能とする製造プロセスに対する必要性があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願又は本発明の少なくとも選択された実施形態、態様、又は目的によれば、新規の又は改良されたセパレータ、電池、及び/又は方法は、上述の必要性に対処し、向上したかもしくは改善した電荷受容性、表面伝導率、酸化耐性、湿潤性、曲げ剛性、及び/又はサイクル寿命、及び/又は低減した酸層化を与え得る改良されたセパレータ、向上した電荷受容性及び/又は低減した酸層化を有する、特に鉛蓄電池のような改良された電池、向上した湿潤性、向上した表面伝導率、向上した酸化耐性、及び/又は増大した剛性を与える改良された電池セパレータ、及び/又は、完成したセパレータの不良品発生率を低下させつつ、セパレータを含む電池コンポーネントの迅速な生成を可能とし、及び/又は、新規の又は改良されたセパレータ、電池、及び/又は方法を提供でき、及び/又は、向上したかもしくは改善した電荷受容性、表面伝導率、酸化耐性、及び/又はサイクル寿命、低減した酸層化、乱用もしくは汚染に対する向上した耐性、向上した金属汚染誘導酸化耐性、低減した黒い残留物、向上した湿潤性、向上した剛性、向上したセパレータ使用可能時間、又はそれらの組み合わせを提供できる、改良された製造プロセスに対する必要性に対処することができる。
【0008】
本出願又は本発明の少なくとも1つの実施形態、態様、又は目的によれば、セパレータの酸化を防止して、電池の所望のサイクル寿命、セパレータの使用可能時間、又はそれら双方を改善、向上、又は維持する。
【0009】
本出願又は本発明の少なくとも1つの実施形態、態様、又は目的によれば、基板の上部の剛性材料層が、セパレータの大部分の剛性増大の代わりとなることで、セパレータの大部分が固くてもろくなる可能性を回避する。
【0010】
少なくとも特定の実施形態によれば、本明細書に記載される電池セパレータは、優れた耐酸化性を有し得ると共に鉛蓄電池システムにおいて安定する多層又は複合微孔性膜電池セパレータを対象とする。少なくとも他の選択された実施形態によれば、本発明は、酸化耐性の増大、クロムイオン等の金属イオン汚染の存在下での酸化耐性の向上、酸層化の低減、表面伝導率の向上、電荷受容性の向上、剛性及び加工性(processability)の増大、及び/又は表面湿潤性の増大が得られる層を有する電池セパレータを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
少なくともいくつかの選択された実施形態によれば、本発明は、少なくとも一方側に少なくとも1つの材料、処理、機能、又は層を追加するために官能化、コーティング、処理等が行われた微孔性ポリマー膜である電池用セパレータを対象とする。いくつかの選択された特定の実施形態において、材料、処理、機能、又は層は、結合剤を含む場合も含まない場合もあり、シリカ、酸化シリカ、アルミナ、酸化アルミニウム、金属、金属酸化物、導電性炭素材料、酸安定化セルロース等の1つ以上の材料を含み、及び/又は、1つ以上の導電性又は誘電性又は絶縁性の層を含み得る。
【0012】
少なくともいくつかの実施形態によれば、改良されたセパレータを取得する方法が提供され、ポリマー微孔性膜、ポリエチレン(PE)微孔性膜、織った材料又は不織の材料、不織ガラスマット、不織吸収性ガラスマット(AGM:absorptive glass mat)、不織のPET又は織ったPET、セルロース不織マット等の少なくとも1つの表面又は側に、処理、材料、又は層が適用される。材料、処理、又は層は、気相成長(vapor deposition)、化学堆積(chemical deposition)、真空補助方法、PVD、CVD、TD、DCD、PACVD、DLC、薄膜コーティング、又は堆積技術、ナノフィルム技術、単一原子厚さコーティング技術、ゾルゲル、溶媒コーティング、水性コーティング等によって適用することができる。いくつかの実施形態では、材料、処理、コーティング、層、又は機能は、溶媒を使用しない方法、結合剤を使用しない方法、又は溶媒及び結合剤を使用しない方法によって、適用又は追加される。他の選択された実施形態では、層は、処理後に除去され得る結合剤及び/又は溶媒の存在下で与えられる。
【0013】
少なくとも選択された実施形態によれば、多孔性又はイオン伝導性のコーティング又は層を有する多孔性膜は、鉛蓄電池において電池セパレータとして提供され、電池のサイクル寿命、クランキング能力、及び高い電荷受容性を向上させ得る。
【0014】
少なくとも特定の実施形態によれば、本明細書に記載される電池セパレータは、優れた耐酸化性を有し得ると共に鉛蓄電池システムにおいて安定する多層又は複合微孔性膜電池セパレータを対象とする。少なくとも他の選択された実施形態によれば、本発明は、酸化耐性の増大、クロムイオン等の金属イオン汚染の存在下での酸化耐性の向上、酸層化の低
減、表面伝導率の向上、電荷受容性の向上、剛性、操業性(runnability)、及び加工性の増大、及び/又は表面湿潤性の増大が得られる層を有する電池セパレータを対象とする。酸化耐性を与えるためポリマーセパレータにおいて使用される方法の1つは、残留オイルの犠牲酸化によるものである。鉱油等のオイル(可塑剤)は、ポリエチレン(PE)セパレータの湿式プロセス形成の間に孔形成剤として使用される。残留オイルがセパレータ上に残された場合、これは犠牲酸化種として作用し得る。残留オイルは、一般に約8重量%~20重量%の濃度でセパレータ母材に存在し得る。この薬品/オイルは犠牲剤又は成分として作用し、ポリエチレンよりも前に酸化することによって、セパレータ自体が酸化する率を低下させる。しかしながら酸化すると、犠牲オイル又は材料はセパレータから解放される可能性があり、濃い色の又は黒い色の残留物又はフィルムとして電解質の上部に現れ得る。また、耐酸化性材料層は、セパレータ膜内の数パーセントのオイルに置き換わることによって、黒い残留物の問題を軽減させることも可能である。
【0015】
少なくとも選択された実施形態、態様、又は目的によれば、本出願又は本発明は、上述の必要性又は問題に対処することができ、及び/又は、ポリマー微孔性膜の少なくとも1つの表面、リブ、側、又は部分上に少なくとも1つのコーティング、層、又は材料を提供することができる。少なくとも選択された実施形態によれば、記載されるのは、酸化耐性の向上、黒い残留物の低減、湿潤性の向上、表面伝導率の向上、及び/又は剛性の増大をセパレータに付与するコーティング、層、フィルム、処理、堆積、又は材料である。少なくとも選択された実施形態によれば、記載されるのは、サイクル寿命、電荷受容性の向上、及び/又は酸層化の低減が得られる電池、特に鉛蓄電池である。
【0016】
少なくとも選択された実施形態によれば、開示されるのは、上述の望ましい特性、性能、又は特徴のうち1つ以上を付与し得るコーティング、層、又は材料を有する多孔性膜を調製するための方法である。いくつかの実施形態において、コーティング、層、又は材料は、例えばシリカ、アルミナ、金属、金属酸化物、導電性炭素材料、セルロース、それらの混合物、多層等の電気的に伝導性又は電気的に絶縁性の材料の1つ以上の層を含む。
【0017】
酸化物は典型的に電気的に非伝導性であり、例えば、シリカ、酸化シリコン、アルミナ、及び酸化アルミニウムである(シリカは酸化シリコンの一般用語であり、アルミナは酸化ルミニウムの一般用語である)。
【0018】
金属、金属酸化物、及び炭素は全て、電気的に伝導性、又は部分的に伝導性、又は半導体であり得る。
【0019】
セパレータは典型的には電気的に非伝導性(絶縁体)であるが、多孔性であり電解質で濡れ、電池の充電及び放電中にイオン伝導性を可能とする。いくつかの材料は電気絶縁体(非伝導性)であり得るが、熱伝導性であり得る(アルミナ等)。
【0020】
いくつかの選択された実施形態では、正極に面する多孔性膜の表面にコーティング、層、又は材料が提供され、他の実施形態では、負極に面する多孔性膜の面にコーティング、層、又は材料(又は異なるコーティング、層、もしくは材料)が提供される。いくつかの実施形態では、多孔性膜又はセパレータの両面(又は側面、上側及び下側、正極側及び負極側)に、コーティング、層、又は材料(又は異なるコーティング、層、又は材料)が提供される。いくつかの選択された実施形態では、多孔性膜はエンベロープ又はスリーブとして提供され、コーティング、層、又は材料は、エンベロープ又はスリーブの外面、内面、又は両面に存在し得る。
【0021】
いくつかの選択された実施形態において、提供されるのは、鉛蓄電池等における微孔性電池セパレータ膜の側、表面、リブ、又は部分のための又はこれらの上の層である。この
層は好ましくは耐酸化性であり(ベースフィルム、基板、又は膜よりも耐性が高い)、少なくとも正極に面するセパレータ膜の側に、例えばセパレータ及び正極(又は正極又はプレート又はPAMに隣接したガラスマット)の界面に存在し、いくつかの鉛蓄電池又はセルにおいて、少なくとも約2.1、2.2、2.5、又は2.7V(ボルト)、又はそれ以上のセルポテンシャルまで安定し得る。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載されるセパレータ膜は、シリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、金属、金属酸化物、導電性炭素材料、それらの混合物又はブレンド(blend)等の少なくとも1つの材料を含有する少なくとも1つの層又は堆積を有する微孔性電池セパレータ膜を対象とする。堆積もしくは層の厚さは(又は複数の堆積及び/又は複数の層は)0.1μm~250μmの範囲内である。シリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、金属、金属酸化物、導電性炭素材料、セルロース、セルロース材料、それらの混合物又はブレンド等を含有する少なくとも1つの層を有する、鉛蓄電池における微孔性膜によって、他の材料でコーティングされた及び/又はそのような層もしくはコーティングを持たない残留オイルを含むセパレータと同一か又はより優れたターゲット性能、特徴、又は特性を有するセパレータを得ることができる。
【0023】
本明細書において使用されるコーティング材料は、不活性又は反応性であり得る。反応性材料は、例えば酸素、電解質、電磁放射(例えばUV)、又は熱エネルギ入力の存在下で、初期反応が起こり得る。これによって、コーティング又は層の全体又は表面のいずれかで化学変化が生じる。基板又は膜上のコーティング、層、又は材料は、堆積又はコーティングプロセス出発物質であるか、又は、膜表面上のコーティングもしくは層であるかもしくはこれを構成する反応した(変化した)材料であり得る。また、コーティング又は層では、所望の材料の濃度が異なる(表面に近付く方向又は表面から遠ざかる方向に濃度又は密度の勾配を有する)可能性がある。いくつかの選択された実施形態において、本明細書に記載されるコーティング又は層は、極めて薄く、多孔性の膜又は基板の全厚に対して極めてわずかな追加の厚さを与えるが、これよりも著しく厚い耐酸化性多孔性膜と同等の耐酸化性及び/又は剛性を与え得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるコーティング又は層は、異なる材料で形成された多重スタック層であり得る。いくつかの選択された実施形態において、本発明のコーティング層ではセパレータ酸化を防止する犠牲薬品の必要性が低下するので、本発明のセパレータは従来のセパレータよりも著しく少ないプロセスオイルを含有する。いくつかの選択された実施形態では、セパレータは著しく少ないプロセスオイルを含有するかもしくはプロセスオイルを全く含まないか、又は表面においてプロセスオイルを全く含まない。
【0024】
いくつかの選択された実施形態において、本発明のコーティング、層、材料等は、セパレータの湿潤性を増大させることができる。従来のポリオレフィンセパレータは典型的に、従来のセパレータの表面で発生する結晶化及びポリマー縮合(polymer condensation)のため、比較的疎水性の表面を有する。いくつかの選択された実施形態では、本発明のコーティング材料は多孔性の親水性材料であり、任意選択的にポリマー疎水性セパレータの表面に侵入する。
図7及び
図7Aを参照のこと。コーティング材料の侵入のために表面だけが親水性であるか、又は、物理的気相成長法(PVD)におけるようなエネルギビームもしくはイオンビームプラズマがコーティング成分を表面に埋め込ませて傾斜界面(graded interface)を形成することができるが、これは基板に対するコーティングの接着を改善することができ、及び/又は、多孔性セパレータ膜又は基板の疎水性表面の親水性のような優れた特性を有する延長界面を形成することによって、処理された、コーティングされた、又は変更されたセパレータの(水又は硫酸の)湿潤率を増大させることができる。場合によっては、侵入は多孔性膜に対するコーティングの塗布と同時に発生し、他の実施形態では、侵入は、コーティング材料又は堆積が塗布された後に界面拡散又は他の物理的手段を支援するための圧縮、カレンダ処理(calendering)、熱処理によって達成される。1つの可能なコーティング材料又は成分はセルロース性又はセルロースであり、特に、又は好ましいと思われるのは、基板又はセパレータの正極側(正極板又は正極に面する側)のセルロースコーティング又は材料である。
【0025】
少なくともいくつかの実施形態において、本発明のコーティング材料は電気的に伝導性であり、ポリマー微孔性膜における電流分布を向上させることができる。そのような電流分布向上は、PbO2のような活物質又はPAMと電子の相互作用を改善することができ、これによって硫酸鉛が(形成される)又は還元される速度を向上させるので、電池がより高い充電率を受容する能力が向上する(すなわち電荷受容性が向上する)。絶縁性ポリマーフィルムの表面上に部分的に電気的伝導性の絶縁性フィルム(シリカ又はアルミナ)を有することによって、PbO2からセパレータへのイオン伝導が容易に発生すると予想される。イオン拡散に対する障壁を低減するため界面として1つ以上の層又はコーティングを有すると、表面伝導率、電荷受容性、及びサイクル寿命が向上するはずである。そのような発明のコーティング又は層は、伝導性の正極板の正極活物質(PAM)と絶縁性のポリマーセパレータ膜又は基板との間の界面障壁を低減させ得る。例えば、ポリマーベース膜もしくはフィルムの上、又はポリマーベース膜、基板、もしくはフィルム上のシリカコーティングもしくは層の上に、炭素、金属、導電性材料、又は半導体材料を追加することが想定される(1以上の遷移層)。
【0026】
微孔性電池セパレータ膜のための様々なセラミック粒子含有コーティング、セラミックコーティング、無機コーティング、有機コーティング、無機及び有機コーティング、及び/又はポリマーコーティングは、安全性、電池サイクル寿命、及び/又は性能の向上を与えることができる。そのようなコーティングは、1つ以上のポリマー、無機もしくは有機ポリマーもしくはポリマー材料、ポリマー結合剤、1つ以上のタイプの無機もしくは有機粒子、無機セラミック粒子、及び水性もしくは非水性溶媒を含み得る。そのようなコーティングは、限定ではないがPVD、CVD、ゾルゲル、ディップコーティング、ナイフ、グラビア、カーテン、スプレー等の様々な技術を用いて塗布され得る。
【0027】
前述の必要性、問題、又は課題のいくつか又は全てに対処する、改良された電池セパレータに対する必要性がある。例えば、向上した電荷受容性及び/又は低減した酸層化を有する電池、特に鉛蓄電池に対する必要性がある。向上した湿潤性、向上した表面伝導率、向上した耐酸化性、及び/又は増大した剛性を有する電池セパレータに対する必要性がある。完成したセパレータの不良品発生率が低減したセパレータを含む電池コンポーネントの迅速な生産を可能とする製造プロセスに対する必要性がある。
【0028】
少なくともいくつかの実施形態において、本明細書に記載されるコーティングは、大気中酸素又は電解質(硫酸)と反応してパッシベーション層を形成することができる。このパッシベーション層は酸化耐性があり、例えば酸化を防止し得るアルミニウムのような、反応性金属の表面上の追加保護層を提供できる。一度パッシベーション層が形成されたら、改良されたセパレータのために、より高い酸化安定性レベルが達成され得る。他の実施形態では、コーティング層に熱、UV、又は他のエネルギ入力を与えることによってパッシベーション層を得ることができる。
【0029】
少なくとも選択された実施形態によれば、本出願又は本発明は、新規の又は改良された多孔性の膜又は基板、セパレータ膜、セパレータ、複合物、電気化学デバイス、電池、そのような膜又は基板、セパレータ、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのような膜又は基板、セパレータ、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。少なくともいくつかの実施形態によれば、本出願は、新規の又は改良された微孔性膜、電池セパレータ膜、セパレータ、エネルギ貯蔵デバイス、そのようなセパレータを含む電池、そのよう
な膜、セパレータ、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのような膜、セパレータ、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。少なくともいくつかの選択された実施形態によれば、本発明は、いくつかの鉛蓄電池又はセルにおいて、少なくとも約2.1、2.2、2.5、又は2.7ボルト、又はそれ以上まで安定する、酸化保護性かつ結合剤を使用しない堆積層を有する電池用セパレータを対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来の正極板、及び微孔性PE膜セパレータのような隣接する電池セパレータの概略縦断面図である。
【
図2】正極板、及び、微孔性PEセパレータ膜又は膜セパレータ等の多孔性基板、膜、又はフィルムの少なくとも一方側に少なくとも1つの機能性コーティング、材料、層、又は堆積を有する発明の官能化セパレータの概略縦断面図である。
【
図3】正極板、及び、微孔性PE膜セパレータ等の多孔性基板、膜、又はフィルムの少なくとも一方側に少なくとも2つの機能性コーティング、層、堆積、及び/又は材料を有する別の発明の官能化セパレータの概略縦断面図である。例えば、コーティングAは炭素又はアルミナであり、コーティングBはシリカであり得る。
【
図4】正極板、及び、微孔性PE膜セパレータ等の多孔性基板、膜、又はフィルムのそれぞれの側に少なくとも1つの機能性コーティング、層、堆積、及び/又は材料を有する更に別の発明の官能化セパレータの概略縦断面図である。例えば、コーティングCは炭素、シリカ、又はアルミナであり、コーティングDは炭素又はシリカであり得る。
【
図5A-1】以下の記載と関連付けて読まれるべきである非限定的な例示的実施形態の表である。
【
図5A-2】以下の記載と関連付けて読まれるべきである非限定的な例示的実施形態の表である。
【
図5B】以下の記載と関連付けて読まれるべきである非限定的な例示的実施形態の別の表である。
【
図7】一方側に表面コーティング、層、又は処理を有する、本発明のコーティングされた又は処理されたセパレータの概略表現である。
【
図7A】
図7の拡大部分の概略表現であり、関連付けられた濃度グラフは、一方側に表面コーティング又は処理を有する本発明のコーティングされた又は処理されたセパレータを示す。コーティング又は処理材料はセパレータフィルム又は基板内に貫入し、コーティング、層、又は処理の外側表面へ向かうにつれて材料濃度が高くなっている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
これより特許請求される発明の実施形態について詳細に検討する。いくつかの用語及び表現は、当技術分野において一般に知られているように及び/又は以下で定義するように使用されるものとする。
【0032】
耐酸化性 - 鉛蓄電池における酸化帯は、PbO2とすることができる正極活物質(PAM)が塗布された鉛又は鉛合金のいずれかの格子である正極と、硫酸とすることができる電解質と、の間の界面にある。この酸化帯は数百μmのオーダーであり、セパレータが配置された電解質内に延出している。セパレータは、正極と接触している場合に酸化することは明らかである。少なくとも1つの実施形態では、本発明のセパレータの好適な特徴の1つとして耐酸化性を提供する必要があると考えられる。一般にポリマーは耐酸化性ではない。ポリマーセパレータに耐酸化性を与えるため、様々な方法又は層が本明細書に開示される。
【0033】
セパレータにおける犠牲材料 - ポリエチレンセパレータは、液式鉛蓄電池(flooded lead acid battery)において世界的に用いられている主要
材料である。鉛蓄電池で発生する酸化攻撃からポリエチレンを保護するため、セパレータ母材には重量で8%~20%の残留孔形成剤又はオイルが残される。オイルは犠牲材料として作用し、ポリエチレンよりも前に酸化する。しかしながら、オイルは酸化するとセパレータから解放される可能性が高く、黒いフィルム又は残留物として電解質の上部に現れ得る。
【0034】
中間層としてのガラスマット - ポリマーセパレータと正極との間に、ガラス繊維の薄い層を緩く取り付けるか又は配置することができる。ガラスは、鉛蓄電池における電気化学ポテンシャル又は酸によって酸化しない。このガラスマットは正極に接触し、ポリマーのように酸化しない。
【0035】
本発明は、例えばPEセパレータの耐酸化性を向上させるため、ガラスマットの代わりに用いるため、又はガラスマットに追加して孔形成剤であるオイルを除去するか又は大幅に減らして黒い残留物発生の可能性を最小限に抑えるため、イオン拡散に対する障壁を低減させるため、表面伝導率を上昇させるため、電荷受容性を改善するかもしくは容易にするため、酸層化を低減させるため等の手段として、コーティングを追加することができる。コーティングは、ポリマー、結合剤、粒子、繊維等を含み得る。
【0036】
剛性又は加工性 - 自動車用電池を生産する場合、PEセパレータは典型的に、正極板及び/又は負極板のいずれかを包み込む(envelop)か又はポケットに収容する。この包み込みは自動化機器を用いて連続的に行われる。従来、セパレータは自動車用電池の通例の故障モードでなく、従ってセパレータの厚さは年月と共に薄くなっており、自動車用電池の製造業者はバックウェブ厚さを250μmから150μmの薄さまで移行させている。曲げ剛性は厚さの3乗に関連し、厚さが30%低減すると結果として曲げ剛性が70%低下する可能性があるので、曲げ剛性は著しく低下しており、セパレータを既存の機器で処理するのはむしろ困難となっている。また、これは、不注意による折り畳みや折り目が生じる傾向を増大させるので、自動化機器において不良品が多くなるか、又は運転速度を著しく低下させなければならず、これが生産性を低下させる。従って本発明は、薄型化するため、運転速度を上昇させるため、もしくは曲げ剛性を向上させるための手段、及び/又はセパレータの曲げ剛性を向上させる方法、又はそれらの任意の組み合わせも提供することができる。
【0037】
表面伝導率 - 電流は、正極又は負極の格子を介して活物質(PAM又はNAM)に伝達される。活物質は、プレート格子の垂直方向、水平方向又は横方向に延出し、又は電極の深さ方向にも延出し、格子から様々な距離に及ぶことが知られている。従って、活物質の変換率は一様でなく、集電体からの距離の関数である。従って、意図するところは、セパレータ又は関連する積層物の表面を導電性として、電子が流れて活物質と反応するための代替的な経路を与えることである。これを達成できる程度に、変換速度と利用度の双方においてエネルギ貯蔵反応における活物質のより効率的な使用が反映される。従って、セパレータに対する変更によって電池の電荷受容性を向上させるための手段及び方法が本明細書において記載される。
【0038】
酸層化 - 鉛蓄電池が著しく放電された場合、エネルギ貯蔵反応に硫酸が関与しているために電解質の重量は低下する。再充電が行われると、電極の表面において、バルク電解質重量よりも重い純粋な硫酸が生成される。硫酸のこの境界層が電極表面に生成されると、これによって生成される境界層では、硫酸の外側部分だけがバルク電解質内に拡散し、残りの境界層は重力を受けて電池の底部に集まる。電池が過充電されると、気泡が核となって電池の上部へ上昇し、一部の硫酸を上部へ運ぶので、電池内で混合効果が生じて少なくとも部分的に酸層化を克服する。電池が充分に過充電されない場合、層化した酸は電池の電気化学的性能に有害となる。硫酸は電池内部にあるが正しい場所になく、又は活物質全体と反応するため適切に広がっていないからである。従って本発明の実施形態は、電極表面に生成された境界酸を低減又は破壊するため、及び/又は酸混合を可能とするため、及び/又は過充電とそれによるガス発生を用いることなく酸層化を防止するための手段及び/又は方法を提供する。
【0039】
セパレータ湿潤性の向上 - 多くの場合、PEセパレータは結晶化の性質とポリマー縮合のためにポリマーリッチ表面を有するので、PEセパレータの表面はかなり疎水性であることがわかっている。このポリマーリッチ層はわずか数μmの厚さである可能性があり、一度これが貫通されると、その下の高度に多孔性のセパレータ母材は充分に親水性となる。この状況のため、セパレータ表面又は母材に親水性界面活性剤を供給してこの状況を克服することが多い。好適な実施形態では、セパレータ母材の表面を濡らすための手段及び/又は代替的な方法が提供される。
【0040】
本発明の上記の実施形態は全て、1つの共通点を有し得る。それは、セパレータもしくは積層物の表面上に、機能性材料の1又は複数の層を形成、コーティング、又は堆積して、セパレータ及びセパレータが配置される電池の性能、電池の生産等、及びそれらの任意の組み合わせを向上させることである。従って、ガラスマットの有無にかかわらず、PAM、NAM、もしくはそれら双方に隣接した鉛蓄電池セパレータに対し、気相成長、化学堆積、溶媒コーティング、水性コーティング、及び様々な組み合わせによって様々な機能性材料を提供できることが、予想外であるが考えられる。いくつかの実施形態では、追加された1又は複数の層は、単独で又は組み合わせで、0.1μm~250μmの範囲内であり得ると好ましく、場合によっては約5μm~約75μmであると好ましい。
【0041】
コーティングは、ガラス繊維のような繊維及びシリカのような粒子の混合物とすることができ、ガラス繊維は酸化に加えて酸層化に耐えられる。これは、ガラス繊維、シリカ、及び結合剤を含有する材料混合物のゾルゲルをコーティングし、ローラ又はスプレーコーティングで媒質又は溶媒を分散させることによって達成できる。その後、分散媒質(例えば水)を乾かせばよい。結合剤は複合材料を結合させると共に、基板と結合する。
【0042】
耐酸化性及び黒い残留物 - 沈降シリカは本質的に構造が多孔性であり、鉛蓄電池で見られる酸化攻撃に対して不活性であるので、セパレータ又はポリマー膜又は基板の表面上に薄いシリカ層を堆積することが提案される。このシリカの堆積は、結果として得られるサブ構造が依然として多孔性であると共に本質的にセパレータ表面に付着するよう行うことが好ましい場合がある。
【0043】
使用時、バックウェブ、リブ、及び/又は基板は、不注意によって正極に接触する可能性がある。充電中、特に過充電中に、電極の表面では発生期の酸素又は酸化種が発生する。それらがセパレータに接触すると、むき出しのポリマーセパレータ表面は酸化する可能性があり、これは特にセパレータ構成要素を結合しているポリマーに当てはまる。充分な時間があれば、これらの酸化種は実際にセパレータに分割や亀裂を生成する可能性があり、最終的には正極と負極との間に電子伝導経路を与え、電池を短絡させる恐れがある。
【0044】
セパレータ表面の耐酸化性シリカ層を用いて、多くの作用を得ることができる。第1に、残留孔形成剤又はオイルの機能がシリカ層に切り換えられるため、それらはポリマーを保護するため必要なくなるので、残留孔形成剤又はオイルを大幅に減らすことができる。セパレータに存在する残留孔形成剤が減るので、黒い残留物が生じる傾向が低下し得る。耐酸化性の向上により、酸化、亀裂、分割、引き裂き、又はそれらの任意の組み合わせによる故障の懸念なしに、基板又はバックウェブの厚さを更に薄くすることができる。
【0045】
剛性、操業性、及び加工性 - 鉛蓄電池の大部分は3次元構造であり、所与の厚さの
基板又はバックウェブと、1又は複数の基板表面から突出した連続的な台形又はリブ等の3次元形状と、を含む。この構成のため、最も低い曲げ耐性はリブに対する垂直方向で見られる。セパレータは典型的にロール状で販売されるので、極めて薄い場合、基板がセパレータの幅方向又はクロスマシン方向(CMD:cross machine direction)でゆがむと、折り畳まれたり、しわになったり、又は斜めになったりする傾向がある。CMDの曲げ耐性又は剛性を向上させる1つの方法は、低い曲げ耐性度の材料又は半剛性のものを堆積することである。一実施形態では炭素又はシリカの層を堆積し、これによって得られた網状組織(network)は曲がる傾向が小さく、実際は概ね剛性である。この剛性は、個々の粒子の充填度(degree of packing)及び基板上に堆積された1又は複数の層の厚さによって増大し得る。
【0046】
1つの好適と考えられる実施形態では、コーティングが負極又は正極のどちらに面するかにかかわらず、セパレータのいずれかの側に(又は両側に)連続的な強化層を堆積する。また、これらの材料の層が連続的な層で堆積されず、剥離パターン又はクロスハッチパターンで堆積された場合であっても、剛性を増大させることができる。
【0047】
セパレータ湿潤性の向上 - 界面活性剤が存在しない場合にセパレータ湿潤性を向上させるため、セパレータの表面上に、高度に多孔性のシリカの薄い層を堆積することが提案される。この堆積されたシリカは、セパレータの湿潤率を向上させるようリッチポリマー層に実際に貫入するため何らかの追加のカレンダ力(calendaring force)を必要とする場合がある。
【0048】
表面伝導率 - 表面伝導率を向上させるため、負極に面したセパレータ表面上、又は正極表面に面したリブ上、又は積層物上、又は正極板に直接接触しているAGMセパレータに、充分に導電性の炭素構造(例えばグラファイト、グラフェン、炭素、CNT等)を堆積することが想定される。鉛蓄電池が放電すると、周りの鉛に対して相当に非導電性である硫酸鉛層が電極表面で形成される。導電層を備えた上記の材料が電極に接触すると、これによって表面電荷は、この時点でセパレータ上に見られる導電経路を介して移動するので、硫酸層をより効率的に還元することができる。ここで、伝導性(conductance)の経路が主としてセパレータのX及びY面内で生成され、Z面全体では生成されないことに留意するのは重要である。もしも電子伝導率がZ面で達成されると、電子伝導性が存在し、これが電池を短絡させるのでセパレータは機能を実行しなくなる。X及びY面上に代替的な伝導性の経路を生成することによって、硫酸鉛が還元される速度を改善し、従って、一般に電荷受容性と称される高い充電率を受容する能力を向上させることが想定される。
【0049】
この導電性の層は、塗布紙、保持マット、AGMセパレータ、又はガントレット(gauntlet)等、リブ又は積層構造(これらは全て正極と密接に接触する)に提供することも可能である。プレート上の正極活物質は、集電体のソースからの距離に応じて異なる率で変換されるので、プレートのいくつかの部分は迅速に充分に充電されてガス発生へと進むのに対し、活物質の他の部分は充電不足(undercharge)のままであり、更に電流を必要とする。従って、電流の一部はガス発生が開始すると無駄になり、正極格子腐食率の上昇を引き起こし得る。正極格子に電流分布の代替的な経路を与えることによって、電流集中は解消し、変換はいっそう効率的となるので、ガス発生が低減すると共に格子腐食率が低下する。電流分布のこれらの代替的な経路は、例えば、正極と直接接触しているセパレータリブ、AGMセパレータ、又は積層構造上にある炭素構造等の導電層によるものである。導電性材料は、電池の形成中に正極ペースト(PAM)と容易に接触し得る。この結果として、導電経路が強化されると共に、セパレータと正極ペースト(正極板)との間の界面障壁が低減又は除去される。
【0050】
酸層化 - 酸層化を防止するため、充電中に正極板及び負極板の双方で形成される硫酸の境界層を破壊することができる。従って、正極板又は負極板の表面にどの材料が接触するにせよ、これが多孔性シリカの薄い層の堆積を有することが想定される。このシリカ層は本質的に多孔性であり、極めて大きい表面積を有するので、酸は迅速に拡散し、酸の大部分との容易な混合が可能となる。このシリカ層はプレート表面と直接接触し得るので、主に重力によって作用される酸の境界の層流を機械的に中断させるように機能する。
【0051】
従って、このシリカ層は、セパレータの表面上、又はリブ、AGM、プレートと直接接触している積層構造上、例えば塗布紙、保持マット、又はガントレット、又はそれらの任意の組み合わせに堆積できることが想定される。
【0052】
材料、処理、又は層は、気相成長、化学堆積、真空補助方法、PVD、CVD、TD、DCD、PACVD、DLC、薄膜コーティング又は堆積技術、ナノフィルム技術、単一原子厚さコーティング技術、ゾルゲル、溶媒コーティング、水性コーティング等、又はそれらの任意の組み合わせによって提供することができる。例を以下に示す。
【0053】
PVD(Physical Vapor Deposition): 物理的気相成長法 - 高エネルギビームを用いて金属又は合金又は複合ターゲットから原子が取り除かれ、対象表面上に堆積される。原子はイオン化蒸気の形態でターゲット表面から脱出する。電子ビーム、熱エネルギ、表面の電気抵抗加熱、パルス状レーザ、プラズマ放電等、様々なエネルギ源が可能である。これらの方法は全て真空補助される。
【0054】
CVD(Chemical Vapor Deposition): 化学的気相成長法 - 何らかの化学的な形態で堆積される材料を含有する反応性前駆体は、基板表面上で反応するか又は分解し、堆積物を形成する。前駆体の分解又は反応の揮発性副生成物が堆積チャンバから吸い出される。前駆体はガス種であり、表面上に正しい化学的性質の堆積物を形成するように化学的に設計されている。前駆体の不必要な部分はチャンバから出る。チャンバ圧力に応じて、CVD法は、大気圧(APCVD)、低圧(LPCVD)、及び超高真空(UHVCVD)と呼ばれる。プラズマ(PACVD)は、前駆体の反応を増大させるためプラズマを用いる。堆積の必要性に適合する他の変形も可能である。
【0055】
DCD(Dynamic Compound Deposition): 動的化合物蒸着法 - 表面上に乾いたフィルムが形成される低温プロセスによって、コーティングが形成される。堆積は、表面のその場の(in-situ)機械的活性化及び化学変換の原理に基づいている。これは、PVD又はCVD又はそれらの組み合わせによって補助することができる。このプロセスを用いて表面上にミクロ構造及びマクロ構造を生成できる。このプロセスによってリブだけを形成すること、又は表面全体にコーティングを形成することを想定できる。
【0056】
熱又は熱反応析出(TD:Thermal or Thermoreactive Deposition)は、酸化物、炭化物等の高温安定材料を生成するための高温堆積プロセスである。
【0057】
DLCはダイヤモンド状炭素とすることができる。ダイヤモンド状炭素は、絶縁性又は誘電性材料である。
【0058】
セパレータに必要な多くの特性セットのうち、いくつかのものはバルク特性であり、他のものは表面特性である。本発明の少なくとも選択された実施形態は、表面における表面関連特性に対処することができ、そうすることでバルクの要件又はコストを低減できる。例えば、耐酸化性は正極板との接触表面において必要とされるので、バルク全体では耐酸
化性コンポーネントを削減することができる。また、表面伝導率、耐酸化性、酸層化低減、湿潤性向上のような特性が表面において必要とされるので、例えばコーティングによって表面で又は表面上でこれらに対処することができる。
【0059】
化学的気相成長法、原子層成長法(ALD:atomic layer deposition)、ゾルゲルコーティング、ローラコーティング等の任意の方法による、シリカ、アルミナ等の極性材料から成る表面コーティングは、酸層化の低減、耐酸化性の向上、湿潤性の増大、表面イオン伝導率の上昇等に関して、必要な性能を提供し得る。これらの方法を用いて、所望の又は必要なレベルまでの精密な厚さを得ることができる。また、これらの方法によって、高レベルの純度も達成できる。
【0060】
炭素、又は他の任意の導電層もしくは半導体層、又は導電層と極性層の組み合わせ(例えばシリカ及び炭素)を有することで、電荷受容性の向上を想定することができる。
【0061】
気相成長プロセスは真空又は低圧補助プロセスである。セパレータ内にオイルを含む場合、真空中でオイルが孔から流れ出る傾向があるので、コーティングに気泡が生じ得る。本発明の層でコーティングされた乾いたフィルムを有することにより、この問題は解消される。また、セパレータは、極性酸化物コーティングを基板に結合するのに役立つシリカも含むので、基板に対する層の接着は大きな問題とならない可能性がある。
【0062】
本発明の少なくともいくつかの実施形態の利点:
1. 表面層によって必要な場所に機能を提供することは、問題を分離し、複数の方法で解決するのに役立つ。
2. 表面特性の向上は、セパレータ性能を向上させるだけでなく、電池の充電及び放電性能、電荷受容性等を向上させることにまで至る。
3.多種多様なコーティング方法及び材料が可能である。少量の結合剤を用いたローラコーティングを用いて、ガラス繊維、セルロース繊維、炭素繊維、導電性炭素繊維等もセパレータの表面上にコーティングできる。これは、マスクを介したスクリーン印刷方法を使用することで、リブとして塗布することができる。
【0063】
非限定的な例:
a. 両側にコーティングされた同一材料
ポリマー基板は、ローラコーティングによって塗布した導電性炭素コーティングで両側をコーティングすることができる。所望のコーティング厚さは約1μm~約20μmであり得る。これによって、表面の表面伝導率を向上させ、電流集中を低減させ、電流分布を改善し、そのようなセパレータを用いて構築された電池の電荷受容性を向上させることができる。多孔性である炭素は、酸の保持を与え、双方の電極上の酸層化を低減させ得る。
【0064】
b.それぞれの側で異なるコーティング
例: 正極側のアルミナ及び負極側のシリカ
酸素の存在下で、物理的気相成長法によってセパレータ上にアルミニウムを堆積できる。プラズマ又は酸素の存在のため、基板表面におけるアルミニウムはアルミナになり、表面上に堆積する。コーティングの厚さは約2μm~約10μmのオーダーであると好ましい。高極性であるアルミナは、電極とセパレータとの間の正極界面でイオン拡散に対する障壁を低減させると仮定される。多孔性であるアルミナは酸層化を低減させる。また、アルミナは、Sb、Cr、Ni、Mn等の鉛蓄電池の性能に有害である金属イオンを固定する(結合する)可能性があり得る。負極側のシリカは、例えばアクリル樹脂等の少量のポリマー結合剤中の沈降シリカを用いてゾルゲル方法によって堆積できる。また、ローラコーティング方法を用いて、好ましくは約1μm~約20μm又はそれ以上のオーダーである薄い均一なコーティングを得ることも可能である。高表面積シリカ及びアルミナは、有害なイオンの移動を防止し、酸層化を低減し、フィルムの剛性及び穿刺耐性を増大させ得る。正極側のアルミナは耐酸化性を与える。従ってポリマーセパレータでは、ポリエチレンセパレータにおける犠牲酸化媒体であるオイルを減らすことができ、これによって、黒い残留物形成の傾向を低下させること、コストを削減すること等が可能となり得る。
【0065】
c.2つ以上の層のコーティング
3つ以上の層: 正極板に面する側から負極板に面する側へ向かって、炭素(スプレーコーティング)/アルミナ(反応性PVD)/シリカ(ゾルゲル)/セパレータ/炭素(スプレーコーティング)
上記と同様の方法を使用できる。好ましくは、最初にセパレータの一方側にシリカがコーティングされ得る。次いで、シリカの上にアルミナが堆積され得る。次いで、両側に炭素が堆積され得る。これにより、アルミナ及びシリカから表面伝導特性と親水特性の双方が可能となる。アルミナ及びシリカは、ポリマーセパレータに対して耐酸化性を提供する。
【0066】
d.勾配コーティング(コーティング表面は炭素が多く、ベースフィルム付近のコーティングはアルミナが多い)
炭素/アルミナ-炭素複合物/セパレータ
セパレータは最初に、酸素中の反応性物理的気相成長法を用いてアルミナを約2μm~約4μmまでコーティングすることができる。ターゲットをAl-C複合物ターゲットに変更する。これはスパッタリングされた場合、アルミナ中に異なる炭素担持量を生じる。これにより、セパレータの近くで少量となる炭素濃度の漸次的な変化が与えられる。炭素の最上層はCVDによって堆積される。これを行うことによって、炭素濃度の漸次的な変化は、表面上の100%炭素から中間領域での約50%炭素まで、更にPEセパレータ表面付近での約0%炭素まで達成される。これを行うことによって、イオン伝導率を拡大し、Cr、Mn等の汚染物質を捕獲するため多孔率上昇を達成し、オイルの必要性を低下させて黒い残留物を低減させ得る。
【0067】
e.可能な2層コーティング
セパレータ上のアルミナ上の炭素
CVD又はローラコーティングによる炭素。利点: 表面伝導、耐酸化性、酸層化の低減、電荷受容性の向上。
反応性PVDによるアルミナ: セパレータ中のイオン拡散増大。Cr、Sb、Mn等の有害なイオンの正極から負極への移動の低減。
【0068】
f.可能な勾配コーティング
得られる伝導率のため、炭素勾配が好ましい。
また、高い耐酸化性を有するので、アルミナコーティングも好ましい。
【0069】
g.可能な正極板側コーティング
好適な正極側コーティングは、ディープサイクル鉛蓄電池において高い耐酸化性を与えるものである。高いCCA(Cold Cranking Amps)及び動的電荷受容性を提供するSLI(Starting(始動), Lighting(照明), Ignition(点火))電池における高い表面伝導を与える導電性炭素。
【0070】
h.可能な負極板側コーティング
セパレータの負極側は酸化しない。しかしながら、上部の多孔性コーティングの存在は酸層化を低減させる。炭素は負極側の界面伝導を向上させ、容量を向上させ得る。
【0071】
i.他の好適と考えられる例
フロー電池において使用できるナフィオン(Nafion)(スルホン化テトラフルオロエチレン系フルオロポリマー-コポリマー)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のコーティングは、バナジウム、クロム、鉄等の拡散を防止することができる。この特性は、アンチモン(正極格子はディープサイクル性能のためPb-Sbで作製される)、乾式充電電池における構成酸(make-up acid)からのクロム、PEセパレータで使用されるシリカからの鉄のような元素が問題となり得る鉛蓄電池にとって、極めて有用である。これらの元素は鉛蓄電池ポテンシャルレジメにおいて電気化学的に活性であり、セパレータの酸化を誘発するか(Cr、Fe)、又は、アンチモンが負極板に堆積された場合の水素過電圧の低下のため水素ガス発生を増大させる(Sb)可能性がある。ナフィオンは、これらのイオン種の拡散を防止できる。厚さが約2μm~約10μmである薄いコーティングは、これらのイオンの拡散に必要な障壁特性を提供できると考えられる。この材料がAGMの上に堆積された場合、AGMタイプのセパレータをアンチモン含有系で使用する新しい可能性が切り開かれる。同様の機能が、スルホン酸含有側鎖を有するポリエチレンオキシド、又は側鎖として他の錯体形成基(complexing group)を有する材料からも予想される。
【0072】
j.セルロースセパレータ又は紙セパレータは乾式充電電池において一般的に使用されている。そのようなセパレータは概して4つの基本コンポーネントから形成される。すなわち、セルロース繊維、フェノールホルムアルデヒド樹脂(ノボラック(Novolac))、湿潤剤、及びセルロース結合剤である。セルロースは、電池の形成中及び機能中に耐酸化性を与える。発明のPEセパレータは、1~20μmのオーダーのセルロースと結合剤の混合物の層でコーティングすることができる。表面層は、Cr又は乾式充電電池で見られるような他の金属含有環境において、PEセパレータに必要な耐酸化性を与える。
【0073】
k.電池ケース、プレート、ガラスマット、観察デバイス(view device)、及び/又はセパレータに対する可能なコーティング
少量の有機結合剤(約1%未満)を含む薄いガラス繊維層を、スプレーコーティング又はローラコーティング等によってPEセパレータの上に堆積することができる。アセンブリ全体を硬化させて、セパレータの上に薄い層のガラス繊維層を形成する。ガラス繊維は、極めて高い耐酸化性を有し、酸の維持及び酸層化の防止のための毛管力を与える。
【0074】
微孔性膜
本発明のセパレータは、好ましくは、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、PVC、ゴム、合成木材パルプ(SWP:synthetic wood pulp)、ガラス繊維、セルロース繊維、又はそれらの組み合わせ等の天然又は人口の材料で作製された多孔性の基板又は膜(約1μm未満の孔を有する微孔性膜、メソ多孔性、又は約1μm超の孔を有するマクロ多孔性膜)を含み、より好ましくは熱可塑性ポリマーで作製された微孔性膜を含む。好適な微孔性膜は、約0.1μm(100nm)以下の孔径及び約60%の多孔率を有し得る。ポリマーは原理上、鉛蓄電池における使用に適した全ての耐酸性熱可塑性材料を含み得る。好適な熱可塑性ポリマーにはポリビニル及びポリオレフィンが含まれる。ポリビニルは、例えばポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)を含む。ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE:ultrahigh molecular weight polyethylene)、及びポリプロピレンを含む。1つの好適な実施形態はUHMWPE及び充填剤を含み得る。一般に、好適なセパレータは、押出機において、充填剤、UHMWPE、及びプロセスオイルを混合することによって作製できる。いくつかの実施形態において好適なセパレータは、押出機において、約30重量%の充填剤、約10重量%のUHMWPE、及び約60%のプロセスオイルを混合することによって作製できる。他の実施形態では、充填剤含有量はより多く、例えば約50重量%、60重量%、70重量%、又は80重量%である。他の選択された実施形態では、プロセスオイルは、60重量%、50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、又は10重量%以下の量だけ存在する。この混合物は、セパレータの技術において一般的な他の添加物又は薬品(湿潤剤、着色料、帯電防止添加剤等)も少量含む場合があり、シート形状に押し出される。
【0075】
微孔性セパレータ層は、好ましくはポリオレフィンで作製される。ポリオレフィンは例えば、ポリプロピレン、エチレン-ブチンコポリマー、ポリエチレン-ポリブタジエンコポリマー、ポリエチレン-ポリイソプレンコポリマー、及び、好ましくはポリエチレン、より好ましくは高分子量ポリエチレン、すなわち分子量が少なくとも600,000のポリエチレン、より好ましくは超高分子量ポリエチレン、すなわち分子量が少なくとも1,000,000の、特に4,000,000、最も好ましくは5,000,000~8,000,000のポリエチレンであり(粘度測定によって測定され、マーゴリーズの方程式(Margolie’s equation)によって算出される)、標準的負荷メルトインデックス(standard load melt index)が概ね0であり(2,160gの標準的負荷を用いてASTM D1238(条件E)で指定された通り測定される)、粘度数が600ml/g以上、好ましくは1,000ml/g以上、より好ましくは2,000ml/g以上、最も好ましくは3,000ml/g以上である(130℃においてデカリン100g中ポリオレフィン0.02g溶液で決定される)。
【0076】
少なくとも1つの実施形態によれば、セパレータは、プロセスオイル及び充填剤と混合された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で構成される。少なくとも1つの他の実施形態によれば、セパレータは、プロセスオイル、添加物、及びタルクと混合された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で構成される。微孔性ポリマー層は好ましくは、8~100体積%のポリオレフィン、0~40体積%の可塑剤、及び0~92体積%の不活性充填剤材料の均一混合物を含む。好適な充填剤はタルクである。好適な可塑剤は石油である。可塑剤は、ポリマー-充填剤-可塑剤の組成から除去するのが最も容易な成分であるため、電池セパレータに多孔性を与えるのに有用である。
【0077】
いくつかの実施形態において、残留プロセスオイルは、溶媒洗浄、オーブン等の従来の方法による押し出し後に除去され得る。いくつかの選択された実施形態では、押し出されたポリマー中に存在する最終的なプロセスオイル量は、20重量%、18重量%、16重量%、14重量%、12重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、又は0.5重量%以下である。
【0078】
場合によっては、好適な充填剤は乾いた微粉シリカである。しかしながら充填剤は、シリカ、ヒュームドシリカ、マイカ、モンモリロナイト、カオリナイト、アスベスト、タルク、珪藻土、バーミキュライト、天然及び人工のゼオライト、セメント、ケイ酸カルシウム、粘土、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムナトリウム、アルミニウムポリシリケート(aluminum polysilicate)、アルミナシリカゲル、ガラス微粒子、カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、導電性炭素繊維、他の導電性繊維、セルロース繊維、木炭、グラファイト、酸化チタン、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化鉛、タングステン、酸化アンチモン、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、二硫化モリブデン、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等、及びそれらの様々な組み合わせから成る群から選択され得る。例えば、薄いヒュームドシリカ層を、有機溶媒を用いて塗布することができ、これによって酸層化を排除すると共に耐酸化性を与え得る。薄いヒュームドシリカ層は炭素又は他の材料を含み得る。例えば、ヒュームドシリカ及びセルロース繊維及び結合剤を共にPE膜の上にフィルムとして導入すると、ヒュームドシリカを適所に保持することができる。また、薄いヒュームドシリカ層を一方側に塗布すると共に炭素層を他方側に塗布してもよく、又は、薄い炭素層を薄いヒュームドシリカ層の上に塗布してもよい。
【0079】
本明細書における様々な実施形態で用いられる多孔性膜に、1以上の添加物又は薬品を与えることができる。ポリオレフィンに存在し得る1つのそのような添加物は界面活性剤である。適切な界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルフェノール-アルキレンオキシド付加生成物、石けん、アルキル-ナフタレン-スルホン酸塩、スルホサクシネート塩のジアルキルエステル、第4級アミン、酸化エチレン及び酸化プロピレンのブロックコポリマー、モノ及びジアルキルリン酸エステル塩のような界面活性剤を含む。添加物は、ポリオール脂肪酸エステル、ポリエトキシレートエステル、ポリエトキシレート脂肪アルコール、アルキルポリグリコシド及びそのブレンド等のアルキル多糖、アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、有機ケイ素系の界面活性剤、エチレンビニルアセテートターポリマー、エトキシレートアルキルアリールリン酸エステル、及び蔗糖脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤とすることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、添加物、薬品、又は界面活性剤は、式(I)の化合物によって表すことができる。
R(OR1)n(COOMx+
1/x)m (I)
・Rは、炭素原子数が10~4200、好ましくは13~4200である非芳香族炭化水素ラジカルであり、酸素原子によって分断され得る。
・R1は、H、-(CH2)kCOOMx+
1/x、又は-(CH2)k-SO3Mx+
1/xであり、好ましくはHである。ここで、kは1又はである。
・Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H+、又はNH4+である。ここで、変数Mの全てが同時にH+の意味を持つわけではない。
・nは、0又は1である。
・mは、0又は10~1400までの整数である。
・xは、1又は2である。
式(I)に従った化合物における酸素原子対炭素原子の比は、1:1.5~1:30の範囲内であり、m及びnが同時に0になることはできない。しかしながら、好ましくは、変数n及びmのうち一方だけが0とは異なる。
【0081】
非芳香族炭化水素ラジカルとは、芳香族基を含まないか、又はそれら自身が1を表すラジカルを意味する。炭化水素ラジカルは酸素原子によって分断され得る、すなわち1以上のエーテル基を含有し得る。
【0082】
Rは好ましくは、酸素原子によって分断され得る直鎖又は分岐脂肪族炭化水素ラジカルである。飽和非架橋炭化水素ラジカルは特に、極めて好ましい。
【0083】
本明細書に記載される様々な多孔性膜向けの添加物を生成するために式(I)の化合物を使用すると、そのようなセパレータに酸化破壊に対する効果的な保護を与えることができる。いくつかの実施形態では、式(I)に従った化合物を含有する添加物を含む多孔性膜が好ましい。
・Rは、炭素原子数が10~180、好ましくは12~75、特に好ましくは14~40の炭化水素ラジカルであり、1~60、好ましくは1~20、極めて好ましくは1~8の酸素原子によって分断され得る。特に好ましくは、これは、式R2-[(OC2H4)p(OC3H6)q]-の炭化水素ラジカルである。
・R2は、炭素原子が10~30、好ましくは12~25、特に好ましくは14~20のアルキルラジカルである。
・Pは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数である。
・qは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数である。
・pとqの和が0~10、特に0~4である化合物が特に好ましい。
・nは1である。
・mは0である。
【0084】
式R2-[(OC2H4)p(OC3H6)q]-は、角括弧内の基の順序がここに示す順序とは異なる化合物も含むものと理解するべきである。例えば、本発明によれば、(OC2H4)基及び(OC3H6)基を入れ替えて括弧内のラジカルが形成された化合物が適している。
【0085】
R2が、炭素原子数が10~20、好ましくは14~18の直鎖又は分岐アルキルラジカルである添加物は、特に有利であることが証明されている。OC2H4は、好ましくはOCH2CH2を表し、OC3H6は、OCH(CH3)CH2及び/又はOCH2CH(CH3)を表す。
【0086】
好適な添加物として、特に、アルコール(p=q=0、m=0)第1級アルコールが特に好ましく、脂肪アルコールエトキシレート(p=1~4、q=0)、脂肪アルコールプロポキシレート(p=0、q=1~4)、及び、第1級アルコールの脂肪アルコールアルコキシレート(p=1~2、q=1~4)エトキシレートが好ましいと言うことができる。脂肪アルコールアルコキシレートは、例えば、対応するアルコールと酸化エチレン又は酸化プロピレンとの反応によって入手可能である。
【0087】
水及び硫酸に溶けないか又は部分的にしか溶けないm=0のタイプの添加物は、特に有利であることが証明されている。
【0088】
また、式(I)に従った化合物を含有する添加物も好適である。ここで、
・Rは、炭素原子が20~4200、好ましくは50~750、特に好ましくは80~225のアルカンラジカルである。
・Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H+、又はNH4+であり、特に、Li+、Na+、及びK+、又はH+のアルカリ金属イオンである。ここで、変数Mの全てが同時にH+の意味を持つわけではない。
・nは0である。
・mは、10~1400の整数である。
・xは、1又は2である。
【0089】
適切な添加物として、ここでは特に、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びアクリル酸-メタクリル酸コポリマーであって、酸基が少なくとも部分的に、すなわち好ましくは40%、特に好ましくは80%中和されたものが挙げられる。この割合は酸基の数を指す。極めて好ましいのは、全体的に塩の形態で存在するポリ(メタ)アクリル酸である。ポリ(メタ)アクリル酸とは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びアクリル酸-メタクリル酸コポリマーを意味する。ポリ(メタ)アクリル酸は好適であり、特に平均モル質量Mwが1,000~100,000g/モル、特に好ましくは1,000~15,000g/モル、極めて好ましくは1,000~4,000g/モルのポリアクリル酸が好適である。ポリ(メタ)アクリル酸ポリマー及びコポリマーの分子量は、水酸化ナトリウム溶液で中和されたポリマーの1%水溶液の粘度を測定することにより確かめられる(フィケンチャーの定数)。
【0090】
また、(メタ)アクリル酸のコポリマー、特に、(メタ)アクリル酸の他に、エチレン、マレイン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、及び/又はアクリル酸エチルヘキシルをコモノマーとして含有するコポリマーも適している。少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも80重量%の(メタ)アクリル酸モノマーを含有するコポリマーが好ましい。この割合は酸性型のモノマー又はポリマーに基づいている。
【0091】
ポリアクリル酸ポリマー及びコポリマーを中和するには、アルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化カリウム、特に水酸化ナトリウムが特に適している。
【0092】
多孔性膜は、様々な方法で1又は複数の添加物を与えることができる。添加物は例えば、完成時に(すなわち押し出し後に)ポリオレフィンに与えるか、又は多孔性膜を生成するため用いられるコーティング混合物に追加することができる(例えば重合中に)。1つの好ましいと考えられる実施形態によれば、添加物又は添加物の溶液を多孔性膜の表面又はコーティングの表面に塗布することができる。この変形(variant)は、非熱安定性添加物又は以降の押し出しのため使用される溶媒に溶ける添加物の塗布に特に適しているが、これらに限定されない。コーティングは、コーティング後に押し出しを実行する必要はない。例えば、押し出し抽出プロセスによってPEセパレータを形成した後、材料及び添加物のこのコーティング混合物をPE膜上のフィルムとしてコーティングすることができ、その後押し出しは行わない。添加物コーティングの方が伝導性又は耐酸化性の1又は複数の剛性強化コーティングよりも先行する場合、極性材料である添加物はPE基板と上部コーティングとの接着を増大させ得る。
【0093】
本発明に従った添加物の溶媒として特に適しているのは、メタノール及びエタノール等の低分子量アルコール、並びにこれらのアルコールと水の混合物である。塗布は、多孔性膜の負極に面した側、正極に面した側、又は両側に行うことができる。多孔性膜の一方側にのみコーティング層が存在する実施形態では、添加物は、コーティング層、コーティング層が塗布されていない側、又はセパレータの両側に塗布することができる。
【0094】
添加物は、少なくとも0.5g/m2、1.0g/m2、1.5g/m2、2.0g/m2、2.5g/m2、3.0g/m2、3.5g/m2、4.0g/m2、4.5g/m2、5.0g/m2、5.5g/m2、6.0g/m2、6.5g/m2、7.0g/m2、7.5g/m2、8.0g/m2、8.5g/m2、9.0g/m2、9.5g/m2、又は10.0g/m2の密度で存在し得る。添加物は、0.5~10g/m2、1.0~10g/m2、1.5~10g/m2、2.0~10g/m2、2.5~10g/m2、3.0~10g/m2、3.5~10g/m2、4.0~10g/m2、4.5~10g/m2、5.0~10g/m2、5.5~10g/m2、6.0~10g/m2、6.5~10g/m2、7.0~10g/m2、7.5~10g/m2、5.0~10.5g/m2、5.0~11.0g/m2、5.0~12.0g/m2、又は5.0~15.0g/m2の密度でセパレータ上に存在し得る。
【0095】
塗布は、添加物又は添加物の溶液に多孔性膜又はセパレータを浸し、その後、任意選択的に、例えば乾燥によって溶媒を除去することすることにより実行できる。このように、添加物の塗布は、例えばポリオレフィン生成中に適用されることが多い抽出と組み合わせることができる。
【0096】
多孔性膜の厚さは、好ましくは0.1mm超であり、5.0mm以下である。多孔性膜の厚さは、0.15~2.5mm、0.25~2.25mm、0.5~2.0mm、又は0.75~1.5mmの範囲内とすることができる。多孔性膜は厚さ約0.8mm又は1.1mmとすることができる。
【0097】
いくつかの選択された実施形態では、多孔性膜のバックウェブ厚さは、500μm、400μm、300μm、250μm、200μm、175μm、150μm、125μm、100μm以下である。様々な実施形態において、多孔性膜はリブを含む。好適なリブは0.008mm~1mm高さであり、0.001mm~10mm離間させることができる。例えばリブは、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mm離間させることができる。いくつかの実施形態では、リブは、セパレータ層の一方側又は多孔性膜の両側に存在するパターンであり、相互に0~90度とすることができる。いくつかの選択された実施形態では、リブは多孔性膜の両側にあり、相互から0度、45度、又は90度の角度である。セパレータ層の両側のリブを含む様々なパターンは、セパレータの第2の側又は裏側に負極側交差リブを含み得る。
【0098】
本発明の少なくとも別の目的によれば、リブを備えた多孔性膜が提供される。多孔性膜は、多孔性膜の縦方向リブの反対側の面に横方向交差リブを有し得る。本発明のいくつかの実施形態では、リブ付き多孔性膜は、少なくとも0.005mm、0.01mm、0.025mm、0.05mm、0.075mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、又は1.0mmの横方向リブ高さを有し得る。リブ付き多孔性膜は、0.005~1.0mm、0.01~0.5mm、0.025~0.5mm、0.05~0.5mm、0.075~0.5mm、0.1~0.5mm、0.2~0.4mm、0.3~0.5mm、又は0.4~0.5mmの横方向リブ高さを有し得る。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態では、リブ付き多孔性膜は、少なくとも0.005mm、0.01mm、0.025mm、0.05mm、0.075mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、又は1.5mmの縦方向リブ高さを有し得る。リブ付き多孔性膜は、0.005~1.5mm、0.01~1.0mm、0.025~1.0mm、0.05~1.0mm、0.075~1.0mm、0.1~1.0mm、0.2~1.0mm、0.3~1.0mm、0.4~1.0mm、0.5~1.0mm、0.4~0.8mm、又は0.4~0.6mmの横方向リブ高さを有し得る。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態では、リブ付き多孔性膜は、少なくとも0.005mm、0.01mm、0.025mm、0.05mm、0.075mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、又は1.0mmのシート(基板)厚さを有し得る。リブ付き多孔性膜は、0.005~1.0mm、0.01~1.0mm、0.025~1.0mm、0.05~1.0mm、0.075~1.0mm、0.1~1.0mm、0.2~1.0mm、0.3~1.0mm、0.4~1.0mm、0.4~0.9mm、0.4~0.8mm、0.5~0.8mm、又は0.6~0.8mmのシート(基板)厚さを有し得る。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態では、リブ付き多孔性膜は、少なくとも0.05mm、0.1mm、0.25mm、0.5mm、0.75mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.5mm、5.0mm、又は6.0mmの全厚(正極側リブ+バックウェブ+負極側リブ)を有し得る。リブ付き多孔性膜は、0.05~5.0mm、0.1~5.0mm、0.2~5.0mm、0.5~5.0mm、1.0~5.0mm、又は1.0~4.0mmの横方向リブ高さを有し得る。
【0102】
場合によっては、リブが一方側又は両側に存在することは必須ではない。例えば、セパレータ、基板、又は膜は、平坦なシートであるか、又は一方側にのみリブを有し得る。
【0103】
本発明の少なくとも選択された実施形態に関して、リブ付き多孔性膜は以下を有し得る
。
1) 横方向リブ高さ - 好ましくは約0.02~0.45mmであり、最も好ましくは約0.075~0.3mmである。
2) シート(基板)厚さ - 好ましくは約0.065~0.75mmである。
3) 全厚(正極側リブ+バックウェブ+負極側リブ) - セパレータの全厚は約0.10~6.0mmであり、好ましくは約0.20~4.0mmである。
【0104】
リブは鋸歯状とすることができる。鋸歯形状は、0.05mm~1mmの平均先端長(tip length)を有し得る。例えば平均先端長は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0105】
鋸歯形状は、0.05mm~1mmの平均ベース長(base length)を有し得る。例えば平均ベース長は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0106】
鋸歯形状は、0.05mm~1mmの平均高さを有し得る。例えば平均高さは、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。鋸歯形状の高さがリブ高さと同一である実施形態では、鋸歯状リブを突起とも呼ぶことができる。
【0107】
鋸歯形状は、0.1mm~50mmの平均中心間ピッチを有し得る。例えば平均中心間ピッチは、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.25mm、又は1.5mm以上、及び/又は1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、又は0.2mm以下とすることができる。
【0108】
鋸歯形状は、0.1:1~500:1の平均高さ対ベース幅比を有し得る。例えば平均高さ対ベース幅比は、0.1:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、又は450:1以上、及び/又は500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、又は25:1以下とすることができる。
【0109】
鋸歯形状は、1000:1~0.1:1の平均ベース幅対先端幅比を有し得る。例えば平均ベース幅対先端幅比は、0.1:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1以上、及び/又は1000:1、950:1、900:1、850:1、800:1、750:1、700:1、650:1、600:1、550:1、500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1
、又は1:1以下とすることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、多孔性膜に穿孔することができる。穿孔は、概ね同じ大きさの孔の行又はラインとすることができる。これらの行又はラインは0.001mm~10mm離間させることができる。例えばこれらの行は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mm離間させることができる。
【0111】
穿孔は、0.05mm~1mmの平均孔長を有し得る。例えば平均先端幅は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0112】
穿孔は、0.01mm~1mmの平均孔幅を有し得る。例えば平均孔幅は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0113】
穿孔は、0.1mm~50mmの平均中心間ピッチを有し得る。例えば平均中心間ピッチは、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.25mm、又は1.5mm以上、及び/又は1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、又は0.2mm以下とすることができる。
【0114】
穿孔は、例えば方形及び矩形のような四角形の形状とすることができる。穿孔は、0.1:1~1000:1の平均孔長対孔幅比を有し得る。例えば平均長対幅比は、0.1:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1以上、及び/又は1000:1、950:1、900:1、850:1、800:1、750:1、700:1、650:1、600:1、550:1、500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、又は1:1以下とすることができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、孔は三角形とすることができる。一般に、三角形の孔は正三角形であり、長さ0.01mm~1mmの辺を有する。例えば平均三角形の辺の長さは、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、孔は概ね円形とすることができる。円形の孔は、約0.05~1.0mmの直径を有し得る。例えば平均孔径は、0.05mm、0.1mm、0.2
mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、多孔性膜にくぼみを形成することができる。くぼみ(dimple)は、多孔性膜に穿孔が配置されるのと同様であり得るが、くぼみは、多孔性膜の表面において完全な空隙でなくへこみ(indentation)である。くぼみの厚さは、多孔性膜の厚さの1~99%とすることができる。例えばくぼみの平均厚さは、多孔性膜の厚さの95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%未満とすることができる。くぼみは多孔性膜の行に沿って配置することができる。行又はラインは0.001mm~10mm離間させることができる。例えば行は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mm離間させることができる。
【0118】
くぼみは、0.05mm~1mmの平均くぼみ長を有し得る。例えば平均くぼみ長は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0119】
くぼみは、約0.01mm~1mmの平均くぼみ幅を有し得る。例えば平均くぼみ幅は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0120】
くぼみは、約0.1mm~50mmの平均中心間ピッチを有し得る。例えば平均中心間ピッチは、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.25mm、又は1.5mm以上、及び/又は1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、又は0.2mm以下とすることができる。
【0121】
くぼみは、例えば方形及び矩形のような四角形の形状とすることができる。くぼみは、0.1:1~100:1の平均くぼみ長対くぼみ幅比を有し得る。例えば平均長さ対ベース幅比は、0.1:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1以上、及び/又は1000:1、950:1、900:1、850:1、800:1、750:1、700:1、650:1、600:1、550:1、500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、又は1:1以下とすることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、くぼみは概ね円形とすることができる。円形のくぼみは、約0.05mm~1.0mmの直径を有し得る。例えば平均くぼみ直径は、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、又は0.9mm以上、及び/又は1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、又は0.1mm以下とすることができる。
【0123】
いくつかの実施形態では、多孔性膜は、鋸歯形状、孔、スリット、及び/又はくぼみの組み合わせを特徴として有することができる。例えば多孔性膜は、セパレータに沿って上部から下部まで延在する一連の鋸歯状リブと、セパレータに沿って水平方向に延在する第2の一連の鋸歯状リブと、を有し得る。他の実施形態では、多孔性膜は、交互に配列された鋸歯状リブ、くぼみ、及び/又は穿孔を有し得る。また、ポケット、スリーブ、又はラップ(wrap)セパレータは、酸の移動を可能とする開口又はスリットを有し得る。
【0124】
少なくとも1つの実施形態によれば、多孔性膜は、プロセスオイルと添加物及び沈降シリカを混合した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で構成されている。少なくとも他の実施形態によれば、多孔性膜は、プロセスオイル及び沈降シリカを混合した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で構成されている。上記のように、プロセスオイルは任意選択的に除去できる。次いで、上述の技法の1つ以上によって添加物を多孔性膜に塗布することができる。少なくとも1つの特定の実施形態によれば、負極側交差リブは丸みのある小型リブであり、好ましくは2~6ミルの半径と10~50ミルのリブ間隔を有する。
【0125】
少なくとも選択された実施形態によれば、多孔性膜は、バックウェブと、その上に任意選択的に1つ以上の正極側リブ及び/又は負極側リブと、を有する多孔性膜を含む。例えば多孔性膜は、バックウェブと、このバックウェブの正極側に少なくとも2つの正極側リブとを有し、任意選択的にバックウェブの負極側に複数のより小さい負極側交差リブ又は横方向リブも有する多孔性膜を含み得る。正極側リブは、直線状又は波状であるか、均質の部分を有するか、角錐台形状を有するか、鋸歯状、銃眼付きの胸壁形状(battlemented)、不連続のもの、連続的なもの、こぶ、突起、又はそれらの組み合わせであり得る。負極側リブは正極側リブよりも小さくすることができ、直線状又は波状であるか、均質の部分を有するか、角錐台形状を有するか、鋸歯状、銃眼付きの胸壁形状、不連続のもの、連続的なもの、こぶ、突起、小型リブ、横方向のもの、縦方向のもの、又はそれらの組み合わせであり得る。また、正極及び負極面のリブは同じ大きさ(両側で同じ大きさ)とすることができ、相互に平行であるか、ある角度に配置されるか、又は垂直であり得る。例えば、両側に小さい又は小型リブを有し、そのようなリブは相互に平行であるか、ある角度に配置されるか、又は垂直であり得る。膜は、ポリオレフィン、ゴム、ポリ塩化ビニル、フェノール、セルロース、又はそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。膜は、好ましくはポリオレフィン(PO)材料、より好ましくはポリエチレン(PE)であり、蓄電池の電池セパレータ向けの多孔性又は微孔性膜を形成する。
【0126】
少なくとも1つの実施形態において、多孔性膜は、縦方向の正極側リブ及び横方向の負極側リブが設けられた微孔性熱可塑性材料で作製されている。縦方向リブの少なくとも大部分の高さは横方向リブの高さよりも大きく、縦方向リブ及び横方向リブはプラスチックから一体的に形成された均質のリブであり、横方向リブがセパレータの概ね裏幅全体に延出していることを特徴とする。多孔性膜バックウェブ又はシート厚さは約0.10~0.50mmであり、縦方向リブの高さは0.3~2.0mmであり、横方向リブの高さは0.1~0.7mmであり、100mm幅の縦方向剛性は約5mJであり、横方向剛性は約2.5mJであり、多孔性膜の全厚は3.5mm未満であり、好ましくは2.5mm未満であり得る。
【0127】
コーティング材料
本明細書に記載される例示的なコーティング材料は、上述の多孔性膜において、例えば、耐酸化性の向上、湿潤性の向上、黒い残留物の低減、表面伝導率の向上、剛性の増大、及び/又は金属汚染誘導酸化に対する耐性の向上を与えることができる。コーティング材料は、電池、特に鉛蓄電池において、電荷受容性の増大及び/又は酸層化の低減を可能とする。いくつかの実施形態において、コーティング材料は、親水性、多孔性、伝導性、耐酸化性、又は多孔性膜に自己接着性である。いくつかの選択された実施形態において、コーティング材料は、親水性かつ多孔性、又は親水性、多孔性、かつ耐酸化性、又は親水性、多孔性、かつ伝導性、又は親水性、多孔性、耐酸化性、及び伝導性、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0128】
例示的なコーティング材料は、限定ではないが、シリカ、ヒュームドシリカ、酸化シリコン、アルミナ、酸化アルミニウム、金属、金属酸化物、セルロース、炭素、及び導電性炭素材料を含む。いくつかの実施形態では、コーティング材料は単一タイプの材料であり、他の実施形態では、コーティング材料は上記の材料の2つ以上を含み、例えばシリカ及び酸化シリコン、アルミナ及び酸化アルミニウム、シリカ及び炭素等を含む。
【0129】
コーティング層に存在し得る例示的な金属酸化物は、酸化アルミニウム(Al2O3)、ベーマイトγ-AlO(OH)、酸化シリコン、及び遷移金属等の酸化物、又はそれらの混合物を含む。
【0130】
例示的な導電性炭素は、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維等を含む。
【0131】
いくつかの選択された実施形態において、コーティング層は、ポリマー、結合剤、又はキャリア材料と組み合わせた前述の材料のうち1つを含み得る。例示的なキャリア材料は、ガラスマット、セラミックス、及びポリマーを含む。例示的なポリマーは、ポリオレフィン、PVDF、PVDF:HFP、PEO、PTFE、SBR、PVA、アクリル等を含む。いくつかの実施形態では、キャリア混合物は前述の材料と均一にブレンドされ、他の実施形態では、材料は粒子凝集として存在する。
【0132】
コーティング層は、正極に面する多孔性膜の面、負極に面する多孔性膜の面、又は多孔性膜の両面に存在し得る。いくつかの実施形態では、正極に面する多孔性膜の面を1つの材料でコーティングし、負極に面する多孔性膜の面を異なる材料でコーティングすることができる。他の実施形態では、両面を同じ材料でコーティング又は上塗りすることができる。
【0133】
1又は複数のコーティング層は、多孔性膜の両側に、0.1μm~250μmの範囲の厚さで、好ましくは1~250μm、1~150μm、2.5~150μm、2.5~125μm、2.5~100μm、2.5~75μm、5~75μm、5~100μm、10~100μm、5~50μm、5~25μm、25~100μm、25~50μm、又は25~75μmの厚さで存在し得る。他の実施形態では、コーティングは極めて薄い厚さで塗布することができ、例えば5μm、4μm、3μm、2μm、1μm、0.5μm、又は0.25μm未満であり得る。他の実施形態では、コーティングはより厚く塗布することができ、例えば5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、75μm、100μm、又は150μm超であり得る。
【0134】
コーティングされた多孔性膜
本明細書に記載されるコーティングされた多孔性膜は、好ましくは、剛性、耐酸化性、湿潤性、及び/又は表面伝導率、汚染誘導酸化に対する耐性の増大、黒い残留物の低減等によって特徴付けられる。
【0135】
多孔性セパレータをコーティングする方法
いくつかの実施形態において、コーティング層は多孔性膜の全体を覆い、他の実施形態において、コーティングは多孔性膜の一部、例えばリブ上、バックウェブ上、正極側の面上、負極側の面上を覆い、及び/又はストライプ、リボン、他のパターン等で覆う。基板又は膜は、平坦なPE膜、リブ付きPE膜、AGM、又は他の基板とすることができる。コーティング層がリブ又はストライプ又は他のパターンとして塗布される場合、好適な基板又は膜は概ね平坦であり得る。コーティング層は、ディップ、ナイフ、カーテン、グラビア、溶媒コーティング、水性コーティング、物理的気相成長法、原子層成長法、又は化学的気相成長法によって、多孔性膜に(又はリブだけに)塗布できる。物理的気相成長法(PVD)は、蒸発した形態の所望のフィルム材料を様々な基板表面上で凝縮させることによって薄膜を堆積するために使用される多種多様な気相成長法及び/又は真空蒸着法を含み得る。PVDは、単なる例示であるが半導体デバイス、バルーン及び食品包装袋用のアルミめっきPEFフィルム、並びに金属加工用のコーティングされた切削工具を含む、様々な品物の製造において用いられる。真空メタライジング(vacuum metallizing)は物理的気相成長法の一形態であり、蒸着によって金属を非金属基板と組み合わせるプロセスである。真空メタライゼーションで使用される最も一般的な金属は、コスト、熱力学、及び反射特性等の様々な理由から、アルミニウムである。
【0136】
いくつかの実施形態では、多孔性膜上に極めて薄いコーティングが提供される。そのような実施形態は、電池内で占める体積が小さいため望ましいものであり、電池がより大きい体積及び重量エネルギ密度を有することを可能とする。
【0137】
本明細書に記載されるコーティング層の形成では、気相成長技術を用いて、1μm未満という極薄の厚さでコーティング層の極めて薄い層を堆積することができる。物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)、及び原子層成長法(ALD)は、一般的に知られている気相成長技術の3つのタイプである。物理的気相成長法の非限定的な例はスパッタ及び蒸着である。物理的気相成長法は、金属元素、反応性金属元素、不活性金属元素、又は金属酸化物を蒸発させることと、多孔性膜のような基板上に層を形成することと、を含み得る。金属及び/又は金属酸化物のような極めて耐酸化性の高い材料の個々の原子又は分子の単一層で構成された気相成長層を、多孔性膜上に堆積することができる。更に、不活性金属元素、反応性金属元素、又は金属酸化物化合物のような極めて耐酸化性の高い材料の個々の原子又は分子の複数の層で構成された気相成長層を、多孔性膜上に堆積することができる。更に、金属及び/又は金属酸化物の様々な順序で適用される可能な組み合わせの1つ以上の層は、1μm未満の厚さ、より好ましくは約0.5μm未満の厚さ、より好ましくは約1,000Å未満、最も好ましくは約500Å未満の厚さで、微孔性膜上に形成することができる。
【0138】
堆積物を層状に堆積するフィルム成長法である原子層成長法(ALD)も、コーティング層を制御されたやり方で塗布するために使用できる。一般に、真空チャンバにおいてフィルム前駆体の蒸気が基板上に吸収される。次いで蒸気はチャンバから吸い出されるが、通常は本質的に単層である吸収された前駆体の薄い層が基板上に残っている。次いで、熱的条件のもとでチャンバ内に反応物質を導入し、吸収された前駆体との反応を促進して所望の材料の層を形成する。反応生成物はチャンバから吸い出される。以降の材料層は、再び基板を前駆体の蒸気に暴露して堆積プロセスを繰り返すことによって形成できる。ALDは、極めて高密度の層を生成すると共に欠陥を最少量に抑えながら、ナノメートル範囲の極めて薄い層を生成することができる。
【0139】
化学的気相成長(DVD)技術も、コーティング層を制御されたやり方で塗布するために使用できる。化学的気相成長法は、均質の薄膜を表面に塗布するため広く用いられている別の材料処理技術である。これは、非常に幅広い範囲の材料を堆積するため使用されている。最も単純な具体例において、CVDは、CVD層が塗布される1つ以上の加熱された物体を含むチャンバ内に、1又は複数の前駆体ガスを流すことを含む。高温表面上で又は高温表面付近で化学反応が起こり、この結果として表面上に薄いフィルムが堆積する。これに伴って、未反応の前駆体ガスと共にチャンバから排出される化学的副生成物が生成される。これは、ホットウォール反応器及びコールドウォール反応器において、トール以下の全圧から大気圧を超える圧力で、キャリアガスを用いて及び用いずに、典型的に200~1600℃の範囲内の温度で実行できる。また、プラズマ、イオン、光子、レーザ、ホットフィラメント、又は燃焼反応を使用して堆積速度を上昇させる及び/又は堆積温度を低下させることを伴う、多種多様な強化されたCVDプロセスもある。
【0140】
PVD、CVD、又はALDを用いた1又は複数の堆積層の塗布は、コーティング材料の堆積で追加される厚さを制御するための信頼性の高い方法を与え得る。いくつかの選択された実施形態では、1又は複数の堆積層の厚さは極めて薄く、約5μm未満の範囲内、より好ましくは約1μm、より好ましくは約1,000Å未満、最も好ましくは約500Å未満の厚さであり得る。1μm未満の厚さの極薄堆積を塗布するそのような信頼性の高い方法は、例えばディップ、グラビア、ナイフ、カーテン等のコーティング方法のような他のコーティング方法を用いては達成されない場合がある。PVD、CVD、又はALD成長法のうち1つ以上を用いた極薄堆積の塗布は、均一な耐酸化層を塗布するための信頼性の高い方法を与え得る。PVD、CVD、又はALDにおいて達成される塗布制御レベルは、ポリマー微孔性膜の厚さ増大がほんのわずかであるような充分な精度を有し得る。
【0141】
そのような層又はコーティングは、コーティングスラリ又は混合物又は層として、微孔性電池セパレータ膜の一方側又は両側に塗布することができる。その目的はとりわけ、高温安定性を促進し、酸層化を低減し、湿潤性を向上させ、剛性を向上させ、熱収縮を低減させ、電池のセパレータと正極の界面での酸化を制御し、電池における微孔性電池セパレータ膜の安全性能を向上させることである。そのようなコーティングは、限定ではないが、ディップコーティング、ナイフ、グラビア、カーテン等の既知の技術を用いて塗布することも可能であり、約2μm~6μm、5μm~75μm等、又はそれ以上の厚さで、微孔性電池セパレータ膜の一方側又は両側に塗布することができる。
【0142】
いくつかの実施形態によれば、例えば高温におけるセパレータ膜の熱安定性のようなセパレータの様々な特性を更に向上させるため、金属及び/又は金属酸化物堆積層の上に又はこれに加えて、ポリマー及び/又はセラミックス粒子含有ポリマーコーティングを塗布することができる。
【0143】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載される電池セパレータ膜は、不活性金属元素のような極めて耐酸化性の高い材料を含む堆積層が塗布されるポリマー微孔性膜を対象とする。堆積層の厚さは約20Å~約1μmの範囲内である。不活性金属元素の非限定的な例は、金及び白金であり得る。微孔性ポリマー膜又はフィルム上に金又は白金のような化学的に安定した金属を堆積すると、堆積層を支持する微孔性ポリマー膜の側がカソードと接触状態で配置される場合、耐酸化層を生成することができる。電池が高電圧電池である場合、酸化はより攻撃的である可能性があり、カソードに対して微孔性ポリマー膜の酸化による劣化を抑えるため保護耐酸化層が望ましい。本明細書の様々な実施形態に従った金属堆積層は導電層であり、電池セル内の電流分布を放散させ得る。少なくともいくつかの実施形態において、限定ではないが、ポリプロピレン、ポリプロピレンブレンド、ポリプロピレンコポリマー、又はその混合物、及びポリエチレン、ポリエチレンブレンド、
ポリエチレンコポリマー、又はその混合物等、ポリオレフィン等のポリマーの1又は複数の非導電層に、本明細書に記載された本発明の金属導電性堆積層を塗布することができる。非導電層の非限定的な例は、乾式プロセス又は湿式プロセスによって製造された単層、2層、3層、又は多層(共に押し出されるか又は積層される)の多孔性膜であって、追加のガラスマット又は他の織った層もしくは不織の層を有するものを含み得る。これらは当業者には一般的に既知である。
【0144】
少なくともいくつかの実施形態によれば、反応性金属元素の例は、導電性金属であるアルミニウム(Al)を含み得る。反応性金属元素の一例として、空気中の酸素に暴露された場合、アルミニウムは酸化アルミニウム(Al2O3)の極薄保護層を形成する。Al2O3の層は、空気中での更なる酸化に対して安定であり得る。
【0145】
様々な非限定的な例によって、以下のうち1つ又は任意の組み合わせを含み得る異なる特性セット又は改良点を提供できる。
1. 伝導率向上の1つの例示的な実施形態は、本明細書に記載されるか又は当技術分野において既知である多種多様な方法によってセパレータの一方側又は両側に堆積され得る炭素を提供することができる。
2. 別の例示的な実施形態は、本明細書に記載されるか又は当技術分野において既知である様々な方法によってセパレータの正極側にアルミナ、シリカ等を堆積することにより、耐酸化性を提供することができる。
3. 更に別の例示的な実施形態は、セパレータの一方側又は両側で使用するオイル量を減らすことによって、黒い残留物の低減を得ることができる。
4. 更に別の例示的な実施形態は、本明細書に記載されるか又は当技術分野において既知である様々な方法によってセパレータの一方側又は両側にアルミナ、シリカ等を堆積することにより、セパレータに剛性を提供することができる。
5. 別の例示的な実施形態は、本明細書に記載される様々な方法及び材料の組み合わせによってセパレータの正極側に堆積されたシリカ、繊維、ガラス繊維、セルロース繊維等を組み込むことにより、酸層化に対処することができる。
6. 別の例示的な実施形態は、Cr、Mn等の金属汚染物質で誘導される酸化に対する耐性を与えるセルロースコーティングを組み込むことを含み得る。
7. 更に、別の例示的な実施形態は多種多様な幾何学的形状を組み込むことができ、例えばリブのみをコーティングで置き換えること、ガラス繊維をコーティングとして覆うこと、ガラス繊維、セルロース繊維、又は繊維及びシリカの混合物等が可能である。
8.
図2~
図4のいずれか1つに提示される更に別の例示的な実施形態。
9.
図5A及び
図5Bのいずれか1つに提示される更に別の例示的な実施形態。
10.
図7及び
図7Aに提示される更に別の例示的な実施形態。
11. ローラコーティングによる正極側の結合剤と混合されたヒュームドシリカ、PVDによる負極側の炭素。
12. 正極側のフェノール-ホルムアルデヒド結合剤を含むセルロースフィルム、負極側の炭素。
【0146】
セパレータの剛性の範囲は、例えば業界標準の試験によって又はBSTE:2530で指定された通り、曲げ耐性によって測定され得る。酸化安定性は、1)ペルオキソニ硫酸(過酸化水素)を含有する熱硫酸に生じる重量減少によって、又は2)Perox-80試験によって、又は3)業界標準の試験もしくはBSTE-2100、2100-3、及びBSTE-2520に指定されている通り、測定され得る。湿潤性の範囲は、分単位で(通常は3分及び10分)測定され、例えば業界標準の試験によって又はBSTE:2540及び2543で指定された通り、セパレータを水平方向に浸すことによって測定することができ、時間に対して湿潤性を測定する。表面伝導率の範囲は、電気化学的インピーダンス分光法によって測定され得る。
【0147】
少なくとも選択された実施形態によれば、本出願又は本発明は、新規の又は改良された多孔性の膜又は基板、セパレータ膜、セパレータ、複合物、電気化学デバイス、電池、そのような膜又は基板、セパレータ、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのような膜又は基板、セパレータ、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。少なくともいくつかの実施形態によれば、本出願は、新規の又は改良された微孔性膜、電池セパレータ膜、セパレータ、エネルギ貯蔵デバイス、そのようなセパレータを含む電池、そのような膜、セパレータ、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのような膜、セパレータ、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。少なくともいくつかの選択された実施形態によれば、本発明は、1又は複数の酸化保護堆積層を有する電池用セパレータを対象とする。堆積層は、好ましくは、ポリマー微孔性膜に塗布された導電性又は絶縁性の層の薄い堆積又は極薄堆積である。方法は、後処理の際に放出される結合剤、又は加熱/硬化/アニーリング等の後処理中に除去される水のような溶媒を使用し得る。また、方法は、放出されることなく(そのまま残る)、ウェットコーティング内で繊維又は粒子を保持する結合剤も使用し得る。別の方法は、結合剤を使用せず溶媒も使用しない堆積方法を含む。堆積層を用いることにより、電池のエネルギ密度を上昇させることができる。更に、堆積方法は好ましくは、約0.5μm未満の均一な層を堆積し得る。少なくとも特定の実施形態によれば、本明細書に記載される電池セパレータ膜は、優れた耐酸化性を有し得ると共に高電圧電池システムにおいて安定し得る多層又は複合微孔性膜電池セパレータを対象とする。少なくとも他の選択された実施形態によれば、本発明は、電解質中で及び電池動作条件において安定する導電性堆積層を有する電池用セパレータを対象とする。
【0148】
本発明は、その精神及び本質的な属性から逸脱することなく他の形態で具現化することができ、従って、本発明の範囲を示すものとして前述の明細書でなく添付の特許請求の範囲を参照するべきである。更に、本明細書に例示として開示される本発明は、本明細書に具体的に開示されていないいずれかの元素が存在しない場合に実施可能である。
【0149】
様々な鉛蓄電池において使用するための改良された電池セパレータが本明細書に開示される。本明細書に開示される改良されたセパレータは、著しく延長した電池寿命、向上した電荷受容性、向上した耐酸化性、向上した表面伝導率、向上した剛性、向上した湿潤性、並びに著しく低減した電池故障率及び酸層化を有する鉛蓄電池を提供する。
【0150】
少なくとも選択された実施形態、態様、又は目的によれば、本出願又は本発明は、新規の又は改良された多孔性の膜又は基板、セパレータ膜、セパレータ、複合物、電気化学デバイス、電池、そのような膜又は基板、セパレータ、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのような膜又は基板、セパレータ、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。少なくともいくつかの実施形態によれば、本出願は、コーティング層を有する新規の又は改良された多孔性膜、コーティング層を有する電池セパレータ膜、セパレータ、エネルギ貯蔵デバイス、そのようなセパレータを含む鉛蓄電池を含む電池、そのような膜、セパレータ、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのような膜、セパレータ、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。開示されるセパレータ及び電池は、電荷受容性の向上、表面伝導率の向上、耐酸化性の向上、酸層化の低減、黒い残留物の低減、湿潤性の向上、及び/又は剛性の向上を与えることができる。
【0151】
少なくとも選択された実施形態によれば、本出願又は本発明は、新規の又は改良された多孔性の膜又は基板、セパレータ膜、セパレータ、複合物、電気化学デバイス、電池、そのような膜又は基板、セパレータ、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのような膜又は基板、セパレータ、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。少なくともいくつかの実施形態によれば、本出願は、コーティング層を有する新規の又は改良された多孔性膜、コーティング層を有する電池セパレータ膜、セパレータ、エネルギ貯蔵デバイ
ス、そのようなセパレータを含む鉛蓄電池を含む電池、そのような膜、セパレータ、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのような膜、セパレータ、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。開示されるセパレータ及び電池は、向上した電荷受容性、向上した表面伝導率、向上した耐酸化性、低減した酸層化、向上した金属汚染誘導酸化耐性、低減した黒い残留物、向上した湿潤性、及び/又は向上した剛性を有することができる。
【0152】
少なくともいくつかの選択された実施形態によれば、本発明は、少なくとも一方側に少なくとも1つの材料、処理、機能、又は層を追加するために官能化、コーティング、処理等が行われた微孔性ポリマー膜である電池用セパレータを対象とする。いくつかの選択された特定の実施形態において、材料、処理、機能、又は層は、結合剤を含む場合も含まない場合もあり、シリカ、酸化シリカ、アルミナ、酸化アルミニウム、金属、金属酸化物、導電性炭素材料、酸安定化セルロース等の1つ以上の材料を含み、及び/又は、1つ以上の導電性又は誘電性又は絶縁性の層を含み得る。
【0153】
少なくともいくつかの実施形態によれば、改良されたセパレータを取得する方法が提供され、ポリマー微孔性膜、ポリエチレン(PE)微孔性膜、織った材料又は不織の材料、不織ガラスマット、不織吸収性ガラスマット(AGM)、不織のPET又は織ったPET、セルロース不織マット等の少なくとも1つの表面又は側に、処理、材料、又は層が適用される。材料、処理、又は層は、気相成長、化学堆積、真空補助方法、PVD、CVD、TD、DCD、PACVD、DLC、薄膜コーティング、又は堆積技術、ナノフィルム技術、単一原子厚さコーティング技術、ゾルゲル、溶媒コーティング、水性コーティング等によって適用することができる。いくつかの実施形態では、材料、処理、コーティング、層、又は機能は、溶媒を使用しない方法、結合剤を使用しない方法、又は溶媒及び結合剤を使用しない方法によって、適用又は追加される。他の選択された実施形態では、層は、処理後に除去され得る結合剤及び/又は溶媒の存在下で与えられる。
【0154】
少なくとも選択された実施形態によれば、多孔性又はイオン伝導性のコーティング又は層を有する多孔性膜は、鉛蓄電池において電池セパレータとして提供され、電池のサイクル寿命、クランキング能力、及び高い電荷受容性を向上させ得る。
【0155】
少なくとも特定の実施形態によれば、本明細書に記載される電池セパレータは、優れた耐酸化性を有し得ると共に鉛蓄電池システムにおいて安定する多層又は複合微孔性膜電池セパレータを対象とする。少なくとも他の選択された実施形態によれば、本発明は、酸化耐性の増大、クロムイオン等の金属イオン汚染の存在下での酸化耐性の向上、酸層化の低減、表面伝導率の向上、電荷受容性の向上、剛性、操業性、及び加工性の増大、及び/又は表面湿潤性の増大を与える層を有する電池セパレータを対象とする。
【0156】
少なくとも選択された実施形態によれば、本出願又は本発明は、新規の、改良された、もしくは最適化された多孔性のフィルム、膜、もしくは基板、官能化された、コーティングされた、もしくは処理された多孔性のフィルム、膜、もしくは基板、新規の、改良された、最適化された、官能化された、コーティングされた、もしくは処理されたセパレータ膜、セパレータ、多層セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、もしくは複合物、そのようなフィルム、膜、基板、セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、もしくは複合物を含む電気化学デバイス、電池、もしくはセル、そのようなフィルム、膜、基板、セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、もしくは複合物を備えたプレートもしくは電極の新規の、改良された、もしくは最適化された組み合わせ又はシステム、そのようなフィルム、膜、基板、セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、複合物、システム、組み合わせ、セル、デバイス、及び/又は電池を作製する方法、及び/又は、そのようなフィルム、膜、基板、セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、複合物、システム、組み合わせ、セル、デバイス、及び/又は電池を使用する方法を対象とする。少なくともいくつかの実施形態によれば、本出願は、新規の、改良された、もしくは最適化された、官能化された、コーティングされた、もしくは処理された微孔性の膜、電池セパレータ膜、鉛蓄電池セパレータ膜、セパレータ、及び/又は鉛蓄電池セパレータであって、少なくとも1つの官能化された、コーティングされた、もしくは処理された表面を少なくとも1つの側に有し、少なくとも1つのコーティング、フィルム、層、もしくは材料を少なくとも1つの側、リブ、もしくは表面に有するもの、そのような膜、電池セパレータ膜、鉛蓄電池セパレータ膜、セパレータ、及び/又は鉛蓄電池セパレータを含むエネルギ貯蔵デバイス、セル、システム、組み合わせ、及び/又は電池、そのような膜、電池セパレータ膜、鉛蓄電池セパレータ膜、セパレータ、及び/又は鉛蓄電池セパレータを作製する方法、及び/又は、そのような膜、電池セパレータ膜、鉛蓄電池セパレータ膜、セパレータ、鉛蓄電池セパレータ、複合物、組み合わせ、システム、デバイス、セル、及び/又は電池等を使用する方法を対象とする。
【0157】
構造、デバイス、及び方法についての前記の記載は、例示だけを目的として提示されている。実施例を用いて、最良の形態を含む例示的な実施形態を開示し、更に、任意のデバイス又はシステムを作製及び使用すること並びに任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、当業者が本発明を実施することを可能とする。これらの実施例は、網羅的であることも、本発明を開示される正確なステップ及び/又は形態に限定することも意図しておらず、上記の教示に照らして多くの変更及び変形が可能である。本明細書に記載される特徴は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に記載される方法のステップは、物理的に可能である任意のシーケンスで実行され得る。本発明の特許性のある範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言(literal language)と異ならない構造的要素を有する場合、又は、特許請求の範囲の文言とほんのわずかな相違のある均等な(equivalent)構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。
【0158】
添付の特許請求の範囲の組成及び方法は、特許請求の範囲の少数の態様の例示として意図される、本明細書に記載される具体的な組成及び方法によって範囲が限定されない。機能的に均等である任意の組成及び方法は、特許請求の範囲内であることが意図される。本明細書に図示及び記載されるものに加えて、組成及び方法の様々な変更が、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。更に、本明細書に開示されるいくつかの代表的な組成及び方法のみが具体的に記載されているが、組成及び方法ステップの他の組み合わせも、具体的に言及されていない場合であっても、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。従って、ステップ、元素、コンポーネント、又は構成要素の組み合わせが本明細書において又はそれ未満で明示的に言及され得るが、ステップ、元素、コンポーネント、及び構成要素の他の組み合わせは、明示的に述べられていない場合であっても含まれる。
【0159】
明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに他の意味を表す場合を除いて、複数の言及を含む。本明細書において、範囲は、「約(about)」1の特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、その1つの特定の値から及び/又はその別の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」を用いて近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することは理解されよう。更に、各範囲の終点は、他の終点に関連付けて及び他の終点とは無関係に双方において重要であることは理解されよう。
【0160】
「任意選択的な(optional)」又は「任意選択的に(optionally)」は、この後に記載されるイベント又は状況が発生する可能性も発生しない可能性もあること、並びに、その記載は前記のイベント又は状況が発生する場合及び発生しない場合を含むことを意味する。
【0161】
本明細書の記載及び特許請求の範囲の全体を通して、「~を備える(comprise)」という言葉、並びにこの言葉の変形、例えば「~を備えた(comprising)」及び「~を備える(comprises)」は、「~を含むが限定ではない」を意味し、例えば他の添加物、コンポーネント、整数、又はステップを除外することは意図していない。「本質的に~から成る(consisting essentially of)」及び「~から成る(consisting of)」という用語は、「~を備えた(comprising)」及び「~を含む(including)」の代わりに使用して、本発明のより具体的な実施形態を提供することができ、開示される。「例示的な(exemplary)」は、「~の一例(an example of)」を意味し、好適な又は理想的な実施形態の指示を伝えることは意図していない。「等の(such as)」は、限定的な意味で用いられるのではなく、説明的又は例示的な目的で用いられる。
【0162】
注記した場合を除いて、明細書及び特許請求の範囲で用いられる幾何学的形状、寸法等を表す全ての数は、少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定する試みとして理解されるのではなく、有効桁数及び通常の丸め手法に照らして解釈されるものとする。
【0163】
特に別の規定がない限り、本明細書において用いられる全ての技術的及び科学的な用語は、開示される本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及される発表及びそれらに挙げられている材料は、特に参照により本願に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を含む充填された多孔性ポリオレフィン膜と、
前記充填された多孔性ポリオレフィン膜の前記第1の面に隣接される不識吸収性ガラスマット(AGM)の1つ以上と
を備える鉛蓄電池セパレータであって、
前記充填された多孔性ポリオレフィン膜及び前記不識吸収性ガラスマット(AGM)の少なくとも1つは少なくとも片側面の第1層を有しており。
前記第1層は、導電性又は半導電性の材料を含む、鉛蓄電池セパレータ。
【請求項2】
前記材料は導電性炭素を含む、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項3】
前記導電性炭素は、グラファイト、グラフェン、酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、炭素繊維、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項4】
前記導電性炭素は炭素繊維を含む、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項5】
前記充填された多孔性ポリオレフィン膜は、リブ、クロスリブ、穿孔、又はくぼみを含む、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項6】
前記第1層は前記不識吸収性ガラスマット(AGM)の1つ以上の少なくとも片側に配置される、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項7】
前記充填された多孔性ポリオレフィン膜は微多孔性膜である、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項8】
請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータを備える鉛蓄電池。
【請求項9】
前記第1層は正電極または負電極に対向する、請求項8に記載の鉛蓄電池。
【請求項10】
前記第1層は正電極に対向する、請求項8に記載の鉛蓄電池。
【請求項11】
前記第1層は負電極に対向する、請求項8に記載の鉛蓄電池。