(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130548
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】振動発電ユニット及び、振動発電装置
(51)【国際特許分類】
H02N 2/18 20060101AFI20230913BHJP
H10N 30/30 20230101ALI20230913BHJP
【FI】
H02N2/18
H01L41/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034878
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】592145268
【氏名又は名称】JR東日本コンサルタンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】栗原 一行
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 賢
【テーマコード(参考)】
5H681
【Fターム(参考)】
5H681AA12
5H681BB08
5H681BB20
5H681DD23
5H681EE10
5H681EE20
(57)【要約】
【課題】振動発電ユニット及び振動発電装置において、耐久性を高めるとともに、圧電素子に与える圧力の調整を容易にする。
【解決手段】振動発電ユニット1は、振動子40と、この振動子40の第1方向D1への移動をガイドするガイド50と、第1方向D1における振動子40の一端(下端40a)によって押圧される第1圧電素子11と、第1方向D1における振動子40の他端(上端40b)によって押圧される第2圧電素子21とを備える。第1圧電素子11及び第2圧電素子21のそれぞれは、振動子40によって押圧される中央部分において振動子40側に盛り上がるように湾曲している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動子と、
前記振動子の第1方向への移動をガイドするガイドと、
前記第1方向における前記振動子の一端によって押圧される第1圧電素子と、
前記第1方向における前記振動子の他端によって押圧される第2圧電素子とを備え、
前記第1圧電素子及び前記第2圧電素子のそれぞれは、前記振動子によって押圧される中央部分において前記振動子側に盛り上がるように湾曲している
ことを特徴とする振動発電ユニット。
【請求項2】
中央部分の前記振動子側に前記第1圧電素子が配置された第1基板と、
中央部分の前記振動子側に前記第2圧電素子が配置された第2基板と、
前記第1基板の周縁部分が前記第1方向に直交するように前記周縁部分を固定する第1固定部と、
前記第2基板の周縁部分が前記第1方向に直交するように前記周縁部分を固定する第2固定部と、
前記第1基板の前記周縁部分と前記第1基板の前記中央部分との間において、前記第1基板の前記中央部分を前記振動子側に盛り上がらせるように前記第1基板を支持する第1支持部と、
前記第2基板の前記周縁部分と前記第2基板の前記中央部分との間において、前記第2基板の前記中央部分を前記振動子側に盛り上がらせるように前記第2基板を支持する第2支持部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の振動発電ユニット。
【請求項3】
前記第1基板の前記中央部分の前記第1圧電素子とは反対側に配置された第1緩衝材と、
前記第2基板の前記中央部分の前記第2圧電素子とは反対側に配置された第2緩衝材とを更に備え、
前記第1基板の前記中央部分は、前記第1圧電素子が前記振動子によって押圧された押圧状態で前記第1緩衝材に接触し、
前記第2基板の前記中央部分は、前記第2圧電素子が前記振動子によって押圧された押圧状態で前記第2緩衝材に接触し、
前記第1緩衝材は、前記第1支持部と前記第1基板との接触部分と前記第1方向における位置が同一の部分で前記第1基板の前記中央部分に接触し、
前記第2緩衝材は、前記第2支持部と前記第2基板との接触部分と前記第1方向における位置が同一の部分で前記第2基板の前記中央部分に接触する
ことを特徴とする請求項2記載の振動発電ユニット。
【請求項4】
前記第1方向に交差する第2方向における前記振動子の一端によって押圧される第3圧電素子と、
前記第2方向における前記振動子の他端によって押圧される第4圧電素子とを更に備え、
前記ガイドは、前記第2方向への前記振動子の移動を更にガイドする
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の振動発電ユニット。
【請求項5】
前記第1方向及び前記第2方向に交差する第3方向における前記振動子の一端によって押圧される第5圧電素子と、
前記第3方向における前記振動子の他端によって押圧される第6圧電素子とを更に備え、
前記ガイドは、前記第3方向への前記振動子の移動を更にガイドする
ことを特徴とする請求項4記載の振動発電ユニット。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項記載の振動発電ユニットを複数備え、
前記複数の振動発電ユニットは、前記第1方向が互いに直交する方向となるように向きを変えて配置されている
ことを特徴とする振動発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発電ユニット、及び、この振動発電ユニットを備える振動発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子の圧電効果を利用して振動や圧力に基づき発電を行う手法が知られている。
【0003】
例えば、金属板の両面に形成された圧電素子を有する振動板を備え、この振動板の両側から衝撃物を用いて衝撃を加えることによって発電を行う自転車用の発電装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の発電装置では、振動板に両側から衝撃が加わるため、振動板に設けられた圧電素子が凹状及び凸状の両方の状態に変形する。そのため、圧電素子が劣化しやすい。また、上述の発電装置のように振動板の両側に衝撃物が配置された構成では、圧電素子に与える圧力の調整が困難である。
【0006】
本発明の目的は、耐久性を高めることができるとともに、圧電素子に与える圧力の調整を容易にすることができる振動発電ユニット及び振動発電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、振動発電ユニットは、振動子と、前記振動子の第1方向への移動をガイドするガイドと、前記第1方向における前記振動子の一端によって押圧される第1圧電素子と、前記第1方向における前記振動子の他端によって押圧される第2圧電素子とを備え、前記第1圧電素子及び前記第2圧電素子のそれぞれは、前記振動子によって押圧される中央部分において前記振動子側に盛り上がるように湾曲している。
【0008】
他の1つの態様では、振動発電装置は、前記振動発電ユニットを複数備え、前記複数の振動発電ユニットは、前記第1方向が互いに直交する方向となるように向きを変えて配置されている。
【発明の効果】
【0009】
前記態様によれば、耐久性を高めることができるとともに、圧電素子に与える圧力の調整を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施の形態に係る振動発電ユニットの内部構造を示す断面図である。
【
図2】一実施の形態に係る振動発電ユニットの内部構造を示す斜視図である。
【
図3】一実施の形態における第1圧電素子モジュールを示す断面図である。
【
図4】一実施の形態における第1圧電素子モジュールを示す平面図である。
【
図5】一実施の形態における押圧状態の第1圧電素子モジュールを示す断面図である。
【
図6】一実施の形態に係る振動発電装置を示す概略構成図である。
【
図7】一実施の形態に係る振動発電装置を示す制御構成図である。
【
図8】一実施の形態の第1変形例に係る振動発電ユニットの内部構造を示す断面図である。
【
図9】一実施の形態の第2変形例に係る振動発電ユニットの内部構造を示す断面図である。
【
図10】一実施の形態の第3変形例に係る振動発電ユニットの内部構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る振動発電ユニット及び振動発電装置について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1及び
図2は、振動発電ユニット1の内部構造を示す断面図及び斜視図である。
【0013】
図3及び
図4は、振動発電ユニット1の第1圧電素子モジュール10を示す断面図及び平面図である。
【0014】
なお、
図1~
図4、並びに後述する
図5、
図6及び
図8~
図10に示す上下、前後、及び左右の各方向は、振動子40の移動方向である第1方向D1を上下方向とした場合の一例である。
【0015】
図1及び
図2に示す振動発電ユニット1は、第1圧電素子モジュール10と、第2圧電素子モジュール20と、筐体30と、振動子40と、ガイド50と、2つの第1固定部60と、2つの第2固定部70と、2つの第1支持部81と、2つの第2支持部82と、第1緩衝材91と、第2緩衝材92とを備える。
【0016】
図4に示すように、第1圧電素子モジュール10は、第1圧電素子11と、第1基板12と、衝突板13とを有する。
【0017】
第1圧電素子11は、第1基板12の上面中央部分に配置されており、上下方向である第1方向D1における振動子40の下端40a(一端の一例)によって押圧される。後述するが、第1圧電素子11は、振動子40によって押圧される中央部分において、第1基板12とともに、振動子40側に盛り上がるように湾曲している。第1圧電素子11は、圧電体と、この圧電体を挟み込んで位置する1対の電極層とを有する。第1圧電素子11としては、任意の構成を採用可能であるが、例えば、圧電体がセラミック層の圧電素子である。
【0018】
第1基板12は、例えばガラスエポキシ基板であり、前後方向よりも左右方向に長い矩形板状を呈する。第1基板12は、後述する2つの第1支持部81の支持によって、左右方向の中央部分が振動子40側に盛り上がるように湾曲している。
【0019】
衝突板13は、第1圧電素子11のうち後述する振動子40によって押圧される中央部分上に設けられ、振動子40に直接接触する。
【0020】
図1に示す第2圧電素子モジュール20は、第1圧電素子モジュール10に上下方向に対向するように配置され、第2圧電素子21と、第2基板22と、衝突板23とを有する。第2圧電素子モジュール20については、第1圧電素子モジュール10と上下対称の同一モジュールとすることができるため詳細な説明は省略するが、第2圧電素子21は、第2基板22の下面中央部分に配置されており、第1方向D1における振動子40の上端40b(他端の一例)によって押圧される。また、第2圧電素子21は、振動子40によって押圧される中央部分において、第2基板22とともに、振動子40側に盛り上がるように湾曲している。
【0021】
図1及び
図2に示すように、筐体30は、第1部分31と、第2部分32と、第3部分33とを有する。これらの第1部分31、第2部分32、及び第3部分33は、前後方向の幅が互いに同一であり、第1部分31の上に第3部分33が位置し、第3部分33の上に第2部分32が位置するように、図示しないネジによって固定されている。なお、第1部分31、第2部分32、及び第3部分33は、一体に設けられていてもよい。また、筐体30の形状は任意の形状を採用可能である。
【0022】
第1部分31は、第1圧電素子モジュール10の下部に配置され、厚さ方向が上下方向に一致する矩形板状を呈する。第1部分31の左端及び右端には、上方に突出する凸部31a,31bが設けられている。右側の凸部31bには、第1基板12に接続された図示しない配線を通すための配線孔31cが左右方向に延びるように設けられている。この配線は、図示しない制御回路(例えば、後述する
図6及び
図7に示す制御ユニット110)に接続されている。
【0023】
第2部分32は、第1部分31と上下対称の形状にすることができる。第2部分32は、第2圧電素子モジュール20の上部に配置され、厚さ方向が上下方向に一致する矩形板状を呈する。第2部分32の左端及び右端には、下方に突出する凸部32a,32bが設けられている。右側の凸部32bには、第2基板22に接続された図示しない配線を通すための配線孔32cが左右方向に延びるように設けられている。
【0024】
第3部分33は、直方体形状を呈し、正面視においてH字形状をなすように、下部に凹部33aが設けられ、上部に凹部33bが設けられている。また、第3部分33の中央には、上下方向に延びる貫通孔33cが設けられている。この貫通孔33cは、上部が大径部33c-1であり、下部が小径部33c-2である。
【0025】
振動子40は、第1方向D1(上下方向)に延びる円柱形状を呈する。振動子40は、例えば鉄などの金属材料からなる。振動子40の例えば外周面には、筐体30の第3部分33や後述するガイド50などに干渉しない領域に重りが取り付けられるとよい。これにより、第1圧電素子11や第2圧電素子へ与える圧力を調整可能となる。
【0026】
ガイド50は、例えばリニアブッシュであり、振動発電ユニット1の上下方向の振動に伴う振動子40の上下方向(第1方向D1)への移動をガイドする。ガイド50は、大部分が大径部33c-1に配置され、大径部33c-1から一部が上方に突出する。なお、ガイド50は、下端のフランジ部分において、大径部33c-1と小径部33c-2との段差部分に載置され、固定されている。
【0027】
2つの第1固定部60は、第1基板12の左端及び右端に配置され、第1基板12の周縁部分(左端及び右端)が左右方向に延びるように(第1方向D1に直交するように)、第1基板12を筐体30の第1部分31に対して上方から固定する。2つの第1固定部60のそれぞれは、2つの固定ネジ61(
図2参照)と、第1基板12に接触するブロック62とを有する。固定ネジ61は、ブロック62及び第1基板12を貫通し、第1部分31の図示しない雌ネジ穴に螺合している。なお、第1基板12には、
図3に示す振動子40側に盛り上がった非押圧状態と、
図5に示す振動子40によって押圧された平面状の押圧状態とで、固定ネジ61の貫通部分の位置が左右方向に変化するのを許容するために、固定ネジ61の貫通部分が左右方向に長い長孔が設けられているとよい。
【0028】
図1の左側の第1固定部60は、第1圧電素子モジュール10の左端の位置を先端において規制する押さえネジ63を有する。この押さえネジ63は、第1部分31の左側の凸部31aに左側から挿入されている。
【0029】
2つの第2固定部70は、第2基板22の左端及び右端に配置され、第2基板22の周縁部分(左端及び右端)が左右方向に延びるように(第1方向D1に直交するように)、第2基板22を筐体30の第2部分32に対して下方から固定する。2つの第2固定部70のそれぞれは、2つの第1固定部60と上下対称に設けることができ、第1固定部60と同様に、固定ネジ71と、第2基板22に接触するブロック72とを有する。
【0030】
図1の左側の第2固定部70は、第2圧電素子モジュール20の左端の位置を先端において規制する押さえネジ73を有する。この押さえネジ73は、第2部分32の左側の凸部32aに左側から挿入されている。
【0031】
2つの第1支持部81は、例えば金属製或いは樹脂製の円柱部材であり、軸方向(長手方向)が前後方向となるように、筐体30の第1部分31上において、第1圧電素子11と左側の第1固定部60(第1圧電素子11の左側の周縁部分)との間、及び、第1圧電素子11と右側の第1固定部60(第1圧電素子11の右側の周縁部分)との間に配置されている。第1支持部81は、第1部分31上の溝に接着剤により固定されて配置されているとよい。なお、第1支持部81の左右方向の位置(例えば、第1固定部60のブロック62から第1支持部81までの距離と、第1支持部81から第1圧電素子11及び第1基板12の中央部分までの距離との比率)を調整することによって、第1基板12及び第1圧電素子11の湾曲度合い、ひいては、第1圧電素子11に与える圧力を調整することができる。
【0032】
2つの第2支持部82は、例えば金属製或いは樹脂製の円柱部材であり、軸方向(長手方向)が前後方向となるように、筐体30の第2部分32の底面において、第2圧電素子21と左側の第2固定部70(第2圧電素子21の左側の周縁部分)との間、及び、第2圧電素子21と右側の第2固定部70(第2圧電素子21の右側の周縁部分)との間に配置されている。第2支持部82は、第2部分32の底面の溝に接着剤により固定されて配置されているとよい。なお、第2支持部82の左右方向の位置(例えば、第2固定部70のブロック72から第2支持部82までの距離と、第2支持部82から第2圧電素子21及び第2基板22の中央部分までの距離との比率)を調整することによって、第2基板22及び第2圧電素子21の湾曲度合い、ひいては、第2圧電素子21に与える圧力を調整することができる。
【0033】
第1緩衝材91は、第1基板12の中央部分の第1圧電素子11とは反対側(下側)において、筐体30の第1部分31上に配置されている。第1緩衝材91は、例えばゴム板である。
図5に示すように、第1緩衝材91は、第1圧電素子11が振動子40によって押圧された押圧状態で、第1基板12の中央部分に接触する。一方、
図3に示すように、第1圧電素子11が振動子40によって押圧されていない非押圧状態で、第1緩衝材91は、第1基板12の中央部分との間に隙間を隔てて位置する。第1緩衝材91は、第1支持部81と第1基板12との接触部分と第1方向D1における位置が同一(
図3に点線で仮想線を図示)の部分で第1基板12の中央部分に接触する。
【0034】
第2緩衝材92は、第2基板22の中央部分の第2圧電素子21とは反対側(上側)において、筐体30の第2部分32の底面に配置されている。図示はしないが、第2緩衝材92は、第2圧電素子21が振動子40によって押圧された押圧状態で、第2基板22の中央部分に接触する。一方、
図1に示すように、第2圧電素子21が振動子40によって押圧されていない非押圧状態で、第2緩衝材92は、第2基板22の中央部分との間に隙間を隔てて位置する。第2緩衝材92は、第2支持部82と第2基板22との接触部分と第1方向D1における位置が同一の部分で第2基板22の中央部分に接触する。
【0035】
図6及び
図7は、本実施の形態に係る振動発電装置100を示す概略構成図及び制御構成図である。
【0036】
図6に示すように、振動発電装置100は、複数の振動発電ユニットの一例である3つの振動発電ユニット1,2,3と、制御ユニット110とを備える。これらの振動発電ユニット1,2,3は、互いに同一のものを、上述の振動子40の移動方向である第1方向D1が互いに直交する方向となるように向きを変えて配置されている。なお、振動発電装置100は、2つ以下の振動発電ユニット又は4つ以上の振動発電ユニットを備えていてもよい。また、振動発電ユニット2,3の各構成は、上述の振動発電ユニット1と同一のものではなく、一部変更されたものであってもよい。
【0037】
例えば、振動発電ユニット2は、上述の振動子40の移動方向である第1方向D1が左右方向(第2方向D2)となるように配置されている。また、振動発電ユニット3は、第1方向D1が前後方向(第3方向D3)となるように配置されている。
【0038】
図7に示すように、制御ユニット110は、電圧検知部111と、蓄電部112と、無線通信部113とを備える。その他、制御ユニット110は、例えば、振動発電装置100の各部の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)やメモリを備えるとよい。このメモリは、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。
【0039】
電圧検知部111は、例えば、振動発電ユニット1,2,3のそれぞれの第1基板12及び第2基板22に設けられた整流素子によって交流電流から変換された直流電流に基づいて、振動子40による第1圧電素子11及び第2圧電素子21の押圧によって生じた電圧値を検知する検知器である。電圧検知部111は、振動発電ユニット1,2,3のそれぞれにおける電圧値を検知するとよい。この検知された電圧値は、振動発電ユニット1,2,3のそれぞれの振動量に対応する値をとる。電圧検知部111によって検知された電圧値は、継続的に無線通信部113によって所定の外部機器に送信されるとよい。或いは、電圧検知部111が検知する電圧値が規定値を超えたことや異常振動に対応する所定の電圧変化が生じていることのみが、無線通信部113によって所定の外部機器に送信されてもよい。なお、電圧検知部111は、振動発電ユニット1,2,3のそれぞれの第1基板12上及び第2基板22上に配置されていてもよい。
【0040】
蓄電部112は、例えばバッテリであり、振動子40による第1圧電素子11及び第2圧電素子21の押圧によって発電した電力を蓄電する。この電力は、後述する無線通信部113の無線通信に用いられるが、その他にも、例えば、加速度センサ、振動発電装置100が配置される移動体等の表示ランプなどに用いられてもよい。なお、特に加速度センサが配置される場合には、加速度センサを用いて振動発電ユニット1,2,3の振動量を検出することができるため、電圧検知部111を省略してもよい。
【0041】
無線通信部113は、外部機器との間で各種情報の授受を行う。無線通信部113は、線通信時に、蓄電部112に蓄電された電力を用いるとよい。なお、蓄電部112が省略された場合であっても、無線通信部113は、制御ユニット110の回路上のコンデンサなどから得られた電力を用いて無線通信を行うとよい。
【0042】
以上説明した本実施の形態では、振動発電ユニット1は、振動子40と、この振動子40の第1方向D1への移動をガイドするガイド50と、第1方向D1における振動子40の下端40a(一端の一例)によって押圧される第1圧電素子11と、第1方向D1における振動子40の上端40b(他端の一例)によって押圧される第2圧電素子21とを備える。第1圧電素子11及び第2圧電素子21のそれぞれは、振動子40によって押圧される中央部分において振動子40側に盛り上がるように湾曲している。
【0043】
このように、第1圧電素子11及び第2圧電素子21が、振動子40側に盛り上がるように湾曲している中央部分において振動子40によって片側からのみ押圧されるため、例えば上下両側から押圧される態様と比較して、第1圧電素子11及び第2圧電素子21の反転動作に伴う劣化を抑制することができる。また、第1圧電素子11及び第2圧電素子21の盛り上がりの度合いを変更することで、第1圧電素子11及び第2圧電素子21に与える圧力の調整を容易にすることができる。よって、本実施の形態によれば、耐久性を高めることができるとともに、第1圧電素子11及び第2圧電素子21に与える圧力の調整を容易にすることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、振動発電ユニット1は、中央部分の振動子40側(上側)に第1圧電素子11が配置された第1基板12と、中央部分の振動子40側(下側)に第2圧電素子21が配置された第2基板22と、第1基板12の周縁部分が第1方向D1に直交するように第1基板12の周縁部分を固定する例えば2つの第1固定部60と、第2基板22の周縁部分が第1方向D1に直交するように第2基板22の周縁部分を固定する例えば2つの第2固定部70と、第1基板12の周縁部分と第1基板12の中央部分との間において、第1基板12の中央部分を振動子40側に盛り上がらせるように第1基板12を支持する例えば2つの第1支持部81と、第2基板22の周縁部分と第2基板22の中央部分との間において、第2基板22の中央部分を振動子40側に盛り上がらせるように第2基板22を支持する例えば2つの第2支持部82とを更に備える。
【0045】
これにより、例えば、第1支持部81及び第2支持部82の位置や第1固定部60及び第2固定部70の第1基板12又は第2基板22の固定領域範囲などを変更するという容易な作業で、第1圧電素子11及び第2圧電素子21の盛り上がりの度合いを変更することができる。したがって、第1圧電素子11及び第2圧電素子21に与える圧力の調整をより一層容易にすることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、振動発電ユニット1は、第1基板12の中央部分の第1圧電素子11とは反対側に配置された第1緩衝材91と、第1基板12の中央部分の第2圧電素子21とは反対側に配置された第2緩衝材92とを更に備える。第1基板12の中央部分は、第1圧電素子11が振動子によって押圧された押圧状態で第1緩衝材91に接触し、第2基板22の中央部分は、第2圧電素子21が振動子40によって押圧された押圧状態で第2緩衝材92に接触する。第1緩衝材91は、第1支持部81と第1基板12との接触部分と第1方向D1における位置が同一の部分で第1基板12の中央部分に接触し、第2緩衝材92は、第2支持部82と第2基板22との接触部分と第1方向D1における位置が同一の部分で第2基板22の中央部分に接触する。
【0047】
これにより、第1基板12(第1圧電素子11)及び第2基板22(第2圧電素子21)が振動子40によって押圧されて最も押し込まれた状態では、第1基板12及び第2基板22が平面状をなし、第1基板12及び第2基板22を第1緩衝材91又は第2緩衝材92に面接触させて衝撃を緩和することができる。また、第1圧電素子11及び第2圧電素子21が振動子40側に盛り上がった状態から逆側に盛り上がるようには反転しないため、第1圧電素子11及び第2圧電素子21の劣化を更に抑制することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、振動発電装置100は、複数の振動発電ユニット1,2,3を備え、これらの振動発電ユニット1,2,3は、第1方向D1が互いに直交する方向となるように向きを変えて配置されている。
【0049】
これにより、特に、複数方向に振動が生じる移動体などに振動発電装置100が配置される場合に、複数方向の振動に基づいて発電を行うことができる。また、電圧検知部111などを用いて第1圧電素子11及び第2圧電素子21が出力する電圧値を検知する場合には、検知される電圧値に基づいて複数方向の振動量を判別することができる。
【0050】
次に、本実施の形態の第1~第3変形例に係る振動発電ユニット201,301,401について、
図8~
図10を参照しながら説明する。
【0051】
上述の説明では、単一の振動子40が第1圧電素子11及び第2圧電素子21の計2つの圧電素子を押圧する例を用いて説明を行ったが、第1~第3変形例では、単一の振動子240,330,430が6つ(又は4つ)の圧電素子を押圧する例について説明する。
【0052】
まず、
図8に示す第1変形例に係る振動発電ユニット201の各圧電素子211~216は、振動子240に対して、下部に第1圧電素子211、上部に第2圧電素子212、左部に第3圧電素子213、右部に第4圧電素子214、前部に第5圧電素子215(
図8に表れないため、想像線である2点鎖線で図示)、後部に第6圧電素子216(
図8に表れないため、想像線である2点鎖線で図示)が配置されている。なお、振動発電ユニット201の圧電素子の数は、第1圧電素子211及び第2圧電素子212と、第3圧電素子213及び第4圧電素子214と、第5圧電素子215及び第6圧電素子216とのうちいずれかを省略した4つであってもよい。
【0053】
各圧電素子211~216を保持する構成は、
図3に示す第1圧電素子モジュール10や筐体30の第1部分31や第1固定部60と同一のものを、向きを変えて配置したものとすることができる。そのため、説明を省略する。
【0054】
ガイド220は、中空の立方体形状を呈し、振動子240を収容することによって、第1方向D1(上下方向)、第2方向D2(左右方向)、及び第3方向D3(前後方向)への振動子240の移動をガイドする。また、ガイド220は、前部側の上下左右の角において4つのガイド支持部材によって支持され、後部側の上下左右の角において4つのガイド支持部材231~234(後部側の4つのみ図示)によって移動不能に支持されている。
【0055】
振動子240は、ガイド220の内部では立方体形状を呈し、上下左右前後の各方向にガイド220の外部に延出する例えば円柱形状の延出部241~246(延出部245,246は
図8に表れないため、想像線である2点鎖線で図示)を有する。これらの延出部241~246は、振動子240の移動(振動)に伴って第1~第6圧電素子211~216を押圧する。
【0056】
以上説明した第1変形例では、振動発電ユニット201は、第1方向D1における振動子240の一端(延出部241,242の先端)によって押圧される第1圧電素子211及び第2圧電素子212に加えて、第1方向D1に交差する第2方向D2における振動子240の一端(延出部243の先端)によって押圧される第3圧電素子213と、第2方向D2における振動子240の他端(延出部244の先端)によって押圧される第4圧電素子214とを備える。ガイド220は、振動子240の第1方向D1への移動に加えて、振動子240の第2方向D2への移動もガイドする。
【0057】
これにより、単一の振動子240が第1方向D1のみならず第2方向D2へも移動するため、上述の実施の形態の振動発電ユニット1を用いる効果、すなわち、耐久性を高めることができるとともに、圧電素子に与える圧力の調整を容易にすることができるという効果に加えて、さらに、簡素な構成で複数方向の振動に基づく発電を行うことができるという効果を得ることができる。
【0058】
また、振動発電ユニット201は、第1方向D及び第2方向D2に交差する第3方向D3における振動子240の一端(延出部245の先端)によって押圧される第5圧電素子215と、第3方向D3における振動子240の他端(延出部246の先端)によって押圧される第6圧電素子216とを更に備える。ガイド220は、第3方向D3への振動子240の移動もガイドする。
【0059】
これにより、単一の振動子240が第1方向D1及び第2方向D2のみならず第3方向D3へも移動するため、簡素な構成で3以上の方向の振動に基づく発電を行うことができるという効果を得ることができる。
【0060】
図9に示す第2変形例に係る振動発電ユニット301の各圧電素子311~316は、
図8に示す振動発電ユニット201と同様に、振動子330に対して、下部に第1圧電素子311、上部に第2圧電素子312、左部に第3圧電素子313、右部に第4圧電素子314、前部に第5圧電素子315(
図9に表れないため、想像線である2点鎖線で図示)、後部に第6圧電素子316(
図9に表れないため、想像線である2点鎖線で図示)が配置されている。
【0061】
各圧電素子311~316を保持する構成は、
図3に示す第1圧電素子モジュール10や筐体30の第1部分31や第1固定部60と同一のものを、向きを変えて配置したものとすることができる。そのため、説明を省略する。
【0062】
振動子330は、振動空間の前部側の上下左右の角に配置された4つのガイドと、振動空間の後部側の上下左右の角に配置された4つのガイド321~324(後部側の4つのみ図示)によって、第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3への移動をガイドされている。これらのガイド321~324は、振動空間の角を挟んで位置する3つのガイド面を有する。
【0063】
振動子330は、立方体形状を呈し、上下左右前後の各方向に半球状に突出する突出部331~336(突出部335,336は
図9に表れないため、想像線である2点鎖線で図示)を有する。振動子330は、振動空間を自由に移動し、突出部331~336において第1~第6圧電素子311~316を押圧する。
【0064】
本第2変形例によっても、上述の第1変形例と同様に、簡素な構成で複数方向の振動に基づく発電を行うことができるという効果を得ることができる。
【0065】
図10に示す第3変形例に係る振動発電ユニット401の各圧電素子411~416は、
図8及び
図9に示す振動発電ユニット201,301と同様に、振動子430に対して、下部に第1圧電素子411、上部に第2圧電素子412、左部に第3圧電素子413、右部に第4圧電素子414、前部に第5圧電素子415(
図10に表れないため、想像線である2点鎖線で図示)、後部に第6圧電素子416(
図10に表れないため、想像線である2点鎖線で図示)が配置されている。
【0066】
各圧電素子411~416を保持する構成は、
図3に示す第1圧電素子モジュール10や筐体30の第1部分31や第1固定部60と同一のものを、向きを変えて配置したものとすることができる。そのため、説明を省略する。
【0067】
振動子430は、振動空間の前部側の上下左右の角に配置された4つのガイドと、振動空間の後部側の上下左右の角に配置された4つのガイド421~424(後部側の4つのみ図示)によって、第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3への移動をガイドされている。これらのガイド421~424は、振動空間の角を挟んで位置する3つのガイド面を有する。
【0068】
振動子430は、球状を呈し、上下左右前後の各端部において第1~第6圧電素子411~416を押圧する。
【0069】
本第3変形例によっても、上述の第1及び第2変形例と同様に、簡素な構成で複数方向の振動に基づく発電を行うことができるという効果を得ることができる。
【0070】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、上述の実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0071】
1~3 振動発電ユニット
10 第1圧電素子モジュール
11 第1圧電素子
12 第1基板
13 衝突板
20 第2圧電素子モジュール
21 第2圧電素子
22 第2基板
23 衝突板
30 筐体
31 第1部分
31a,31b 凸部
31c 配線孔
32 第2部分
32a,32b 凸部
32c 配線孔
33 第3部分
33a,33b 凹部
33c 貫通孔
33c-1 大径部
33c-2 小径部
40 振動子
40a 下端
40b 上端
50 ガイド
60 第1固定部
61 固定ネジ
62 ブロック
63 押さえネジ
70 第2固定部
71 固定ネジ
72 ブロック
73 押さえネジ
81 第1支持部
82 第2支持部
91 第1緩衝材
92 第2緩衝材
100 振動発電装置
110 制御ユニット
111 電圧検知部
112 蓄電部
113 無線通信部
201 振動発電ユニット
211 第1圧電素子
212 第2圧電素子
213 第3圧電素子
214 第4圧電素子
215 第5圧電素子
216 第6圧電素子
220 ガイド
231~234 ガイド支持部材
240 振動子
241~246 延出部
301 振動発電ユニット
311 第1圧電素子
312 第2圧電素子
313 第3圧電素子
314 第4圧電素子
315 第5圧電素子
316 第6圧電素子
321~324 ガイド
330 振動子
331~336 突出部
401 振動発電ユニット
411 第1圧電素子
412 第2圧電素子
413 第3圧電素子
414 第4圧電素子
415 第5圧電素子
416 第6圧電素子
421~424 ガイド
430 振動子
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向