(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130609
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
A63F7/02 349Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034993
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】396008576
【氏名又は名称】株式会社スリーストン
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】白石 光男
(72)【発明者】
【氏名】白石 忠信
(72)【発明者】
【氏名】関口 文生
(72)【発明者】
【氏名】大矢 哲栄
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA01
2C088FA05
(57)【要約】
【課題】遊技機の搬送に用いる台車を、枠から外した遊技機でも、枠から外していない遊技機でも、容易に島から台車に乗せ換えられるように改良する。
【解決手段】台車100は、高さが可変の荷台131を備えている。荷台131の上には、厚さ50mm程度の板状の土台部材710を着脱自在に固定できるようになっている。土台部材710の上には、土台部材710の幅方向にスライド可能とされたスライド板740が乗っている。島から台車100へと遊技機を単体で乗せ換えるときには土台部材710を用いず、遊技機を枠ごと乗せ換えるときには土台部材710を用いる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機が枠を介して取付けられている島における前記遊技機がその上に載置されている前記島の下板の上面の高さと略対応する高さに位置する水平な上面を有する板状の荷台と、
前記荷台の下方に設けられたキャスターと、
を有する台車であって、
前記枠を構成する上下左右の板のうち、下側に位置する枠下板の厚さに略対応する厚さを持つ、前記遊技機の重量に耐えることのできる板状の部材である土台部材を備えており、前記土台部材を前記荷台の上面に、着脱自在に固定できるようになっている、
台車。
【請求項2】
前記台車には、前記荷台に載置される場合に予定された前記遊技機体中の前記遊技機の前後の向きに対応した前後が定められているとともに、
前記土台部材は、前記荷台の上面に固定されたときに、前記荷台から前側に食み出すようになっている、
請求項1記載の台車。
【請求項3】
前記荷台は平面視略矩形であり、平面視略矩形の前記荷台の対向する2辺が前記遊技機の前後に位置しており、
前記土台部材は平面視略矩形であり、平面視略矩形の前記土台部材の対向する2辺が前記遊技機の前後に位置している、
請求項2記載の台車。
【請求項4】
前記土台部材の上には、前記土台部材に対してスライド移動可能であり、前記土台部材の厚さに対してその厚さが薄くされた板状のスライド板が設けられている、
請求項1記載の台車。
【請求項5】
前記台車には、前記荷台に載置される場合に予定された前記遊技機体中の前記遊技機の前後の向きに対応した前後が定められているとともに、
前記土台部材の上には、前記土台部材に対して横方向にスライド移動可能であり、前記土台部材の厚さに対してその厚さが薄くされた板状のスライド板が設けられている、
請求項4記載の台車。
【請求項6】
前記台車には、前記荷台に載置される場合に予定された前記遊技機体中の前記遊技機の前後の向きに対応した前後が定められているとともに、
前記土台部材の上面の後端よりには、前記土台部材の上に乗せられた前記遊技機の背面に係止して前記遊技機がそれ以上後方に下がるのを防ぐ係止部が設けられている、
請求項1記載の台車。
【請求項7】
前記台車には、前記荷台に載置される場合に予定された前記遊技機体中の前記遊技機の前後の向きに対応した前後が定められているとともに、
前記スライド板の上面の後端よりには、前記土台部材の上に乗せられた前記遊技機の背面に係止して前記遊技機がそれ以上後方に下がるのを防ぐ係止部が設けられている、
請求項4記載の台車。
【請求項8】
前記荷台は、その上面の前記キャスターからの高さを可変とされている、
請求項1記載の台車。
【請求項9】
前記土台部材は、その上面の前記荷台の上面からの高さを可変とされている、
請求項1記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、パチンコ遊技機(本願ではパチンコ遊技機を、単に「遊技機」という場合がある。)の搬送を行うために主に遊技場で用いられる、主に手押しの台車に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機は、遊技場のホールにおいて、島と通称される構造物にそれを取付けて用いられる。島に取付けられる前、遊技機は例えば遊技機メーカーから遊技場の例えば倉庫にまず搬入される。当然倉庫等に搬入される遊技機は1つではなく複数、それも多くの場合はかなりの数である。倉庫等に搬入された遊技機は、島がある遊技場のホールに倉庫等から搬送される。
同様に、ホールで使用されていた遊技機を島から取外し、ホール外の倉庫に搬送する作業も多く存在する。
また、近年では、遊技者を飽きさせないために、ホール内に多数ある遊技機の設置場所を変更することも頻繁に行われている。このような遊技機の入替えは、新規の遊技機の搬入と同時に行われることもあるがそうでない場合もある。いずれにせよ、遊技機の入替えの場合にも遊技機を搬送する必要が生じる。
このように、遊技機を搬送しなければならない場面は非常に多く、また、遊技機を搬送しなければならない場面は、年々増えている。
遊技機は重いものであれば60kgを超える。また、特に遊技機の入替え作業が行われる場合には、移動の対象となる遊技機の数は数百から、場合によっては千を超える。
そのような事情を考慮すれば、道具を用いずに重量物である遊技機を搬送するのは作業者に酷である。よく知られているように、重量物を搬送する場合には、例えば手押しの台車が用いられる。遊技機の搬送にも台車が利用されており、その重要性は年々増している。
【0003】
ところで、遊技機は、島に取付けられる際に、「枠」と通称される部材に取付けた状態で、島に対して着脱される。
図1に、遊技機300が枠500に取付けられた状態、及び枠500に取付けられた遊技機300が、島400に取付けられた状態を示している。
図1では枠500は網掛けされて示されている。枠500は、正面から見た遊技機300を上下左右から取り囲む、上下左右に位置する4枚の板からなる額縁状の部材である。枠500の内部の空間に遊技機300は、公知或いは周知の方法で取付けられる。枠500に対する遊技機300の取付は後述するようにして、通常ワンタッチで行えるようにされている。
枠500を構成する上下左右の4枚の板のうち、上と左右とに位置する板の厚さは通常、下に位置する板(枠下板501)の厚さよりも有意に薄くなっている。枠500を構成する上下左右の4枚の板のうち、上と左右とに位置する板の厚さはその素材の別にもよるが(金属製か木製か)通常、5mmから21mmであるが、枠下板501の厚さは通常、50mmから75mmである。つまり、枠500に取付けられた状態で、遊技機300は、枠下板501の厚さ分だけ、上方に浮いた状態となる。
また、枠500と枠500に取付けられた遊技機300とは、ドア枠とドアのような関係となり、ドアが、それがヒンジ接続されたドア枠に対して開閉可能なように、遊技機300は、それがヒンジ接続された枠500に対して開閉自在となる。
図18に枠500に対して遊技機300がどのように開閉するかを示している。
図18(A)では、遊技機300は枠500に対して閉じた状態であり、
図18(B)では、遊技機300は枠500に対して開いた状態である。なお、枠500が島400に取付けられているか否かに関わらず、遊技機300は枠500に対して開閉自在である。
枠500の
図18(B)における左側の上下に、遊技機300に対してヒンジ接続を行うための金具であるヒンジ金具502が設けられている。遊技機300の上下に設けられた図示せぬ軸は、上下のヒンジ金具502とワンタッチで接続することが可能となっており、また、上側のヒンジ金具には、遊技機300と枠500とのヒンジ接続をワンタッチで解除可能な仕組みが設けられている。つまり、枠500に対する遊技機300の着脱は、取付も、取付の解除もワンタッチで行えるようになっている。
この段落で説明した枠500の構成、及び遊技機300と枠500との関係は、デファクトスタンダード化されており、殆どの枠500及び遊技機300で採用されている。
【0004】
上述のような枠500を介して島400に遊技機300を取付ける方法としては、以下の2通りが存在している。
まず、古くから用いられている取付方法を、
図1及び
図19(A)を用いて説明する。この取付方法では、島400に含まれる水平な板である下板401の上に、遊技機300が取付けられた枠500が載置される。このとき、枠500の上側の板のすぐ上に、島400に含まれる水平な板である上板402が位置する。枠500に含まれる上側の板の下面から、上板402にまで及ぶようにして釘503(又はビス)を打ち込むことにより、枠500が島400に固定され、結果として枠500を介して遊技機300が島400に固定される。釘503を打込む場合には、遊技機300が邪魔にならないように、遊技機300を枠500に対して開いた状態にしてからその作業を行う。
次に、本願の出願人が普及を図っている取付け方法を、
図1及び
図19(B)、(C)を用いて説明する。この取付け方法でも、下板401の上に、遊技機300が取付けられた枠500が載置される。このとき、枠500の上側の板のすぐ上に、島400に含まれる水平な板である上板402が位置する。上板402の適当な位置、例えば、上板402の上には取付け装置510が配置されている。取付け装置510は、上板402を貫いて上下に移動可能な可動部材511を備えている。可動部材511は、上方に位置する上位置に位置するときには枠500の上側の板に接触しないが(
図19(B))、下方に位置する下位置に位置するときには枠500の上側の板に上面から押接する(
図19(C))。可動部材511を下位置に移動させることにより、枠500は、可動部材511の下面と下板401の上面との間で上下から挟持されることになる。それにより枠500が島400に固定され、結果として枠500を介して遊技機300が島400に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-122833
【特許文献2】特開2018-122058
【特許文献3】特開2018-122059
【特許文献4】特開2015-173924
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
島400に取付けられた遊技機300を、台車に乗せる場合を考える。
出願人が普及を図っている取付け装置を用いた取付方法で遊技機300が島400に取付けられている場合には、取付け装置510における可動部材511を上位置に移動させて、島400に対する枠500の固定を解除すれば、遊技機300は枠500から取外すことなく枠500ごと台車の荷台に載置することができる。
古くから用いられている釘503を用いた取付方法で遊技機300が島400に取付けられている場合には、遊技機300は、枠500ごと或いは一旦枠500から外して台車に乗せることができる。遊技機300を枠500ごと台車に載せようとする場合には、遊技機300を枠500に対して開いた状態とし、その状態で釘503を抜き、遊技機300を枠500ごと台車に乗せる。他方、遊技機300を枠500から一旦外して台車に乗せる場合には、ワンタッチの処理で遊技機300を枠500から外して遊技機300を台車に乗せ、遊技機300が存在しない状態で、釘503を抜くことによって枠500を島400から取外す。島400から取外された枠500は、遊技機300とともに台車に乗せられる場合もある。両者の作業を出願人が比較したところ、遊技機300を枠500から一旦外してから台車に乗せ、更に枠500を島から外す方が作業が早いことが判明した。枠500に対して開いた状態とはいえ、遊技機300が枠500に取付けられたままの状態で釘503を抜く作業を行うと、遊技機300が作業の邪魔になるからである。
そのようなことを考慮すると、遊技機300を島400から取外す作業を行う際には、取付け装置510を用いた取付方法で遊技機300が島400に取付けられている場合には、遊技機300を枠500ごと台車の荷台の上に乗せ、釘503を用いた古くからの取付方法で遊技機300が島400に取付けられている場合には、遊技機300を一旦枠500から外して遊技機300単体で台車の荷台の上に乗せるのが良いということになる。
【0007】
しかしながら、出願人が様々な試行錯誤を行ったところ、島400から外した遊技機300を、枠500ごと台車の荷台に乗せることと、枠500から外して荷台に乗せることとの双方を、1つの台車で両立させることは困難であると判明した。
というのは、遊技機300を台車の荷台に移す場合、枠500ごと台車の荷台に移す場合と、枠500から外した遊技機300を遊技機300単体で台車の荷台に移す場合では、設定しておくべき台車の荷台の高さが異なるからである。
上述したように、遊技機300が取付けられる枠500の枠下板501の厚さは、場合によっては50mm以上ある。したがって、荷台の上面の高さを枠下板501の上面の高さに設定した場合には、枠500から外した遊技機300を荷台の上面に移す作業は、枠下板501の上から台車の荷台の上に遊技機300をずらすだけで良いから楽に行えるが、枠500ごと遊技機300を台車の荷台に乗せ換えるためには、遊技機300を枠500ごと枠下板501の厚さ分だけ持ち上げないとならない。他方、荷台の上面の高さを枠下板501の下面(つまり、下板401の上面)の高さに設定した場合には、枠500ごと遊技機300を台車の荷台に移す作業は、下板401から台車の荷台の上に遊技機300をずらすだけで良いから楽に行えるが、枠500から外した単体の遊技機300を台車の荷台に乗せ換えるためには、単体の遊技機300を台車の荷台に、枠500の枠下板501の高さ分だけ落下させるか、落下による衝撃が生じないように作業者が遊技機300をそっと乗せるかしないといけない。
つまり、台車の荷台の高さとしていずれを採用したとしても、遊技機300の島400への取付方法が上述の2つの取付方法のいずれである場合にも対応しようとすると、2つの取付方法の間で原理的に必ず生じる、枠500の枠下板501の高さを埋めるための「仕事」を、作業者に強いることになる。かかる作業を作業者に強いるのは、遊技機300の重さが60kgを超える場合があること、また遊技機300の数が多数であることに鑑みると、非常に酷である。
そして、1つのホールにおいて、遊技機300の島400への上述の2つの取付方法が混在していることは良くあることである。とすれば、上述の2つの取付方法のいずれが採用されている場合にも素早い島400から台車への遊技機の乗せ換えを可能とすることが可能な台車が存在すれば、頻繁に行われる、ホールでの遊技機の入替え作業を効率よく行うことが可能となる。
また、そのようなことが可能な台車であれば、遊技機300の島400への取付方法のすべてが釘503を用いての古くからの方法であるホールででも、遊技機300の島400への取付方法のすべてが取付け装置510を用いたものであるホールででも、同じ台車で遊技機の入替え作業を効率よく行うことが可能となる。これはもちろん、2種類の台車を製造することに比べれば、コスト的に有利であるということを意味する。
しかしながら、そのようなことが可能な台車は今の所存在しない。
【0008】
本願発明は、遊技機の島への取付方法として、上述の2つの取付方法のいずれが採用されている場合にも、素早く作業者にとって楽な島から台車への遊技機の乗せ換えを可能とすることが可能な台車を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本願発明における台車は、以下のようなものである。
本願発明は、遊技機が枠を介して取付けられている島における前記遊技機がその上に載置されている前記島の下板の上面の高さと略対応する高さに位置する水平な上面を有する板状の荷台と、前記荷台の下方に設けられたキャスターと、を有する台車である。
そして、この台車は、前記枠を構成する上下左右の板のうち、下側に位置する枠下板の厚さに略対応する厚さを持つ、前記遊技機の重量に耐えることのできる板状の部材である土台部材を備えており、前記土台部材を前記荷台の上面に、着脱自在に固定できるようになっている。
【0010】
この台車が従来の台車と異なるのは、土台部材を備えているという点である。土台部材は、その厚さが、遊技機を島に取付けるために用いられる枠の枠下板の厚さと略対応する厚さとなっている。そして、土台部材は、遊技機の荷台の上面に着脱自在に固定できるようになっている。
遊技機が、例えば背景技術の欄で説明した取付け装置を用いて島に取付けられている場合には、上述したように、島に取付けられている遊技機を台車に乗せ換える場合には、遊技機を枠ごと台車の荷台に乗せるのが良い。その場合には、土台部材を荷台には固定しない。言い換えれば土台部材を用いない。台車の荷台を島に近づけると、荷台の上面は、島において遊技機が載置されている下板の上面(つまり、枠における枠下板の下面)と略一体した高さとなる。したがって、遊技機を枠ごと、島の下板から、下板の上面との高さの差が、あっても無視できる程度にしか無い台車の荷台の上面に移すのが容易である。
遊技機が、背景技術の欄で説明した取付け装置を用いずに、例えば釘を用いて島に取付けられている場合には、上述したように、島に取付けられている遊技機を台車に乗せ換える場合には、遊技機を一旦枠から外して台車の荷台に乗せるのが良い。その場合には、土台部材を荷台に取付ける。言い換えれば土台部材を用いる。台車の荷台を島に近づけると、土台部材の上面は、島に遊技機を取付けるために用いられている枠における枠下板の上面と略一体した高さとなる。したがって、枠から一旦外した遊技機(しかも、枠から遊技機を取外すための処理は、殆どの場合ワンタッチで済む。)を、島の枠下板から、枠下板の上面との高さの差が、あっても無視できる程度にしか無い台車に取付けられた土台部材の上面に移すのが容易である。
つまり、土台部材を用いるか用いないか、或いは土台部材を荷台に取付けるか取付けないかを適宜に選択することにより、遊技機の島への取付方法として、背景技術の欄で詳しく説明した2つの取付方法のいずれが採用されている場合であっても、素早く作業者にとって楽な島から台車への遊技機の乗せ換えが可能となる。
【0011】
前記台車には、前記荷台に載置される場合に予定された前記遊技機体中の前記遊技機の前後の向きに対応した前後が定められているとともに、前記土台部材は、前記荷台の上面に固定されたときに、前記荷台から前側に食み出すようになっていてもよい。
土台部材が、荷台に固定されたときにおいて、平面視した場合における荷台の前側から食み出すようになっていると、以下の利点がある。
島の下板の直下には前板が存在している。前板は、灰皿が取付けられたり、或いはいわゆるドル箱を置くためのドル箱置き場を作ったりするための水平な板である。荷台の上に固定された土台部材が荷台から前側に食み出ているなら、遊技機を島に近づけたときに、土台部材の前端を、前板の上に位置させることが可能となる。そうすれば、枠から取外された遊技機を土台部材の上に移動させる際に、遊技機を枠の枠下板から土台部材の上にほんの僅かに落下させるだけで、遊技機を枠下板から土台部材の上に移すことができるようになる。
土台部材が荷台の前側から食み出していないのであれば、枠の枠下板から土台部材の上に移動させるためには、前板を超えるために、作業者が遊技機を持ち上げなければならない。この差は、作業効率に大きな影響を与える。
また、土台部材が荷台の前側に食み出していることにより、荷台に乗せた遊技機の向きが、台車の前後に自然に揃うことになる。これは例えば、台車に、遊技機を固定するための仕組み等があるときにおいて、荷台に乗った遊技機の向きを台車に対して所望の向きにするために有利である。
例えば、前記荷台は平面視略矩形であり、平面視略矩形の前記荷台の対向する2辺が前記遊技機の前後に位置していてもよい。この場合、前記土台部材は平面視略矩形であり、平面視略矩形の前記土台部材の対向する2辺が前記遊技機の前後に位置していてもよい。
【0012】
前記土台部材の上には、前記土台部材に対してスライド移動可能であり、前記土台部材の厚さに対してその厚さが薄くされた板状のスライド板が設けられていてもよい。
上述したように、荷台に固定された土台部材の上には、枠から外された遊技機が乗せられる場合がある。土台部材を介して荷台の上に乗せられた遊技機は荷台に対して適切な位置に乗っているとは限らない。その場合、土台部材の上で遊技機を摺動させて荷台に対する位置を調整する必要があるが、遊技機が重量物であるためそのためには大きな力を必要とする。土台部材に対してスライド可能なスライド板が土台部材の上に存在すれば、土台部材とスライド板との間の摩擦係数を、遊技機と土台部材との間の摩擦係数より小さくしておく(例えば、土台部材とスライド部材の素材の選定を適当なものとしておいたり、両者の他者と接する部分の少なくとも一方に、摩擦係数を小さくするようなフッ素樹脂等の素材でコーティングしたりする等の工夫を行う)ことにより、土台部材の上で、遊技機をスライド板ごと容易に移動させることができるようになる。
【0013】
前記台車には、上述したように前記荷台に載置される場合に予定された前記遊技機体中の前記遊技機の前後の向きに対応した前後が定められている場合がある。その場合、前記土台部材の上には、前記土台部材に対して横方向にスライド移動可能であり、前記土台部材の厚さに対してその厚さが薄くされた板状のスライド板が設けられていてもよい。このようにすれば、土台部材の上で遊技機を、横方向にスライド可能である。島に取付けられた枠における枠下板から土台部材の上に乗せ換えられた遊技機は当初、荷台の或いは土台部材の横方向の端に乗っていることが通常であるから、スライド部材を土台部材に対して横方向に移動させることができるようにすれば、遊技機を土台部材の中央よりの適切な位置に移動させるのに役立つ。
上述したように、前記台車には、前記荷台に載置される場合に予定された前記遊技機体中の前記遊技機の前後の向きに対応した前後が定められているとともに、前記土台部材の上面の後端よりには、前記土台部材の上に乗せられた前記遊技機の背面に係止して前記遊技機がそれ以上後方に下がるのを防ぐ係止部が設けられていてもよい。これにより、遊技機を土台部材の上で摺動させ、後方に押し込んだときに、遊技機が後方に進みすぎることを防ぐことができる。言い換えれば、係止部の存在により、遊技機を後方に押し込むだけで、荷台に対する遊技機の前後方向での位置決めが可能となり、遊技機の土台部材からの後方への脱落を防止することができるようになる。
前記台車には、前記荷台に載置される場合に予定された前記遊技機体中の前記遊技機の前後の向きに対応した前後が定められている場合がある。この場合、前記スライド板の上面の後端よりには、前記土台部材の上に乗せられた前記遊技機の背面に係止して前記遊技機がそれ以上後方に下がるのを防ぐ係止部が設けられていてもよい。土台部材ではなく、スライド部材が存在する場合には、スライド部材に係止部を設けても良いということである。その効果は、土台部材に係止部を設けた場合に準ずる。
【0014】
前記荷台は、その上面の前記キャスターからの高さを可変とされていてもよい。
島の作りや、床に絨毯が敷かれている等の事情により、ホールによって、床から島の下板の上面までの高さには若干の差がある。荷台の高さを可変とすれば、荷台の上面の高さを島の下板の上面の高さに一致させるに役立つ。とはいえ、荷台の上面の高さの変更は無段階とするのではなく、例えば、数mmから数cmごとの段階的なものとしても良い。
前記土台部材は、その上面の前記荷台の上面からの高さを可変とされていてもよい。枠の枠下板の厚さは、島によって或いはホールによって若干異なることがある。土台部材の上面の高さを可変として、土台部材を荷台に着脱自在として固定することができるようにすることにより、土台部材の上面の高さを枠の枠下板の上面の高さに合わせられるようにすることができる。土台部材の上面の高さの変更は無段階とするのではなく、例えば、数mmから数cmごとの段階的なものとしても良い。
土台部材の上面と荷台の上面の高さの双方を可変とすることによれば、荷台の上面の高さを島の下板の上面の高さに合わせることと、土台部材の上面の高さを枠の枠下板の上面の高さに合わせることとの双方を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願の一実施形態の台車を用いて遊技機を取付けられる島の斜視図。
【
図2】一実施形態による台車を前方から見た状態を示す斜視図。
【
図3】一実施形態による台車を後方から見た状態を示す斜視図。
【
図4】
図2に示した台車における柱と上部材の関係、及び柱に対する上部材の上下動の原理を説明するための柱の上端付近の透視図。
【
図6】(A)はロック機構がOFFとなっているときの突没体の背面図、(B)はロック機構がOFFとなっているときの突没体の正面図、(C)はロック機構がONとなっているときの突没体の背面図、(D)はロック機構がONとなっているときの突没体の正面図。
【
図7】一実施形態による台車に遊技機体を搭載した状態を前方から見た状態を示す斜視図。
【
図8】一実施形態による台車に遊技機体を搭載した状態を後方から見た状態を示す斜視図。
【
図9】一実施形態による台車における棒状体の使用方法を説明するための棒状体付近の拡大斜視図。
【
図10】一実施形態の台車の使用時におけるブリッジ板の先端付近を拡大して示す透視側面図。
【
図11】一実施形態における棒状体の基端付近の断面図。
【
図12】土台部材及びその関連部品の、(A)正面図、(B)平面図、(C)右側面図。
【
図13】左位置に後述するスライド板が位置する場合における土台部材及びその関連部品の、(A)上から見た斜視図、(B)下から見た斜視図。
【
図14】土台部材及びその関連部品が取付けられた、スライド部材が左位置に位置する台車を前方から見た状態を示す斜視図。
【
図15】右位置に後述するスライド板が位置する場合における土台部材及びその関連部品の、(A)上から見た斜視図、(B)下から見た斜視図。
【
図16】土台部材及びその関連部品が取付けられた、スライド部材が右位置に位置する台車を前方から見た状態を示す斜視図。
【
図17】単体の遊技機を、島に取付けられた枠から台車の荷台の上に移動させる方法を示す斜視図。
【
図18】枠に対する遊技機の開閉状態を説明するための斜視図。
【
図19】枠の島に対する取付方法を説明するための正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願発明の台車の好ましい一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
まずは、この実施形態による後述する台車によって搬送される遊技機が取付けられた状態の島の構造について簡単に説明する。
図1中300が遊技機である。この実施形態における遊技機300は、パチンコ遊技機である。遊技機300は、後述する島に取付けられる。
パチンコ遊技機である遊技機300自体はごく一般的なものであり、通常は市販のものである。遊技機300については特に特徴がないのでこれ以上の説明は割愛する。なお、遊技機300の下方には、一般には上皿と下皿からなる出玉を受けるための皿や、玉を打ち出すための操作に用いられるハンドルも存在するが、それらは本願発明とは関係がなく、また、いずれも周知であるため、図示を省略している。
遊技機300は、枠500と呼ばれる矩形の部材の内側に固定されている。枠500は多くの場合は木製であるが、これには限られないがこの実施形態では金属製である。枠500は、4枚の板が正面から見た場合の4つの辺となるように且つ各板の幅方向が奥行き方向になるようにして、額縁状に或いは矩形に組合せたものである。その内部の矩形の空間に遊技機300は嵌め込まれている。枠500を構成する4枚の板の内、下側に位置する枠下板501の厚さは、上、左右に位置する他の板の厚さよりもかなり厚い。上、左右の板の厚さは通常、5mmから21mmであるが、枠下板501の厚さは通常、50mmから75mmである。
枠500に対する遊技機300の固定は、公知或いは周知の方法で、つまり背景技術の欄で既に説明したように、枠500に設けられたヒンジ金具502(
図17、
図18(B)を参照)を利用して行われている。遊技機300は、ヒンジ金具502に設けられた公知或いは周知の工夫によって、枠500に対する着脱をいずれもワンタッチで行うことができるようにされている。また、これも既に述べたように、ヒンジ金具502を介して遊技機300は、枠500に対して閉じた状態(
図18(A))と開いた状態(
図18(B))の間で回動可能となっている。
一体となった遊技機300と枠500を併せたものを、以後、「遊技機体」と呼ぶことがある。遊技機300は一般に、製造業者から遊技場に出荷される段階から枠500に嵌め込まれ枠500に固定されているのが通例であり、この実施形態でもその例に倣うものとする。
【0018】
遊技機300は通常、ホールにおいては、島400と呼ばれる構造体に固定されている。島400は、金属製であることもあるが、多くの場合は木製であり、遊技機300を多数並列に取付けられるような構造となっている。
島400にはその他に、遊技用の玉を作業者に貸し出す玉貸機、遊技機300の状態を作業者やホールの店員に知らせる呼び出しランプ、玉貸機及び遊技機300に玉を供給し、また、遊技機300から外れ玉を回収して玉を循環させるための玉の循環機構、などが必要に応じて適宜取付けられるが、これらについての図示も省略する。
枠500に固定された遊技機300は、島400に枠500ごと取付けられる。遊技機300が枠500に固定された状態で、枠500を島400に固定することで、島400に対する遊技機300の固定がなされる。
島400には、枠500を載置するための水平な下板401と、枠500の上側に位置する下板401と平行な上板402とが存在する。枠500は、下板401の上に載置された状態で島400に固定される。島400に対する枠500の固定は、背景技術の欄で説明した2通りの方法のいずれかによって行われている。つまり、古くから用いられている釘503を用いた取付方法(
図19(A))か、取付け装置510を用いた取付方法(
図19(B)、(C))かのいずれかにより、島400に固定されている。枠500の枠下板501が島400の下板401に固定される場合もあるが、ここではその説明を省略する。
なお、島400の下板401の直下には前板403が存在している。前板403は、下板401の下面とその上面が当接する所定厚さの板であり、下板401から幾らか前方に突き出している。前板403には一般に、灰皿が取付けられたり、或いはいわゆるドル箱を置くためのドル箱置き場が作られたりする。
【0019】
この実施形態の台車は、遊技機300(正確には枠500に固定された状態の遊技機300)を、例えば倉庫等から島400の前まで搬送して来て島400に対して取付けるとき、或いは島400に取付けられていた遊技機300を島400から取外して、島400の他の部分(或いは他の島400)や、倉庫等に搬送する際に用いられる。
【0020】
台車100の構成について説明する。
台車100を斜め前方から見た斜視図を
図2に、斜め後方から見た斜視図を
図3に示す。台車100の前後は、台車100に積まれた状態の遊技機300の前後に倣って決定される。
図2では手前側、
図3では奥側が台車100の前側である。
なお、
図2、3も含めて、特に言及しない限り、図中には本願における土台部材は描かれていない。土台部材が描かれていない台車100は、枠500と一体となった遊技機300(或いは遊技機体)を、後述する荷台に乗せて搬送する用途で用いられる。
【0021】
台車100は、特に言及しないときは基本的に金属でできている。
台車100は、ベース110を備えている。ベース110は、台車100の下支えとなるものであり、台車100を安定して支えられるように構成されている。これには限られないがこの実施形態では、ベース110は、前方が開放された平面視コの字型に組まれた部材とされている。ベース110の下方には、ベース110を、ひいては台車100を床の上でスムーズに走行させるためのキャスター111が設けられている。キャスター111は、公知或いは周知の回転自在な車輪である。キャスター111は、一部ゴム或いは樹脂で構成されている。キャスター111は広く知られているように、台車100の進行方向の変更が可能なように、平面視した場合において360°方向で回転可能として、ベース110に回転軸を介して取付けられている。
【0022】
ベース110の両側の前後方向に伸びる部材の中程から、それぞれ柱120が立設されている。これには限られないが、この実施形態の柱120は断面矩形乃至正方形の角パイプにより構成されている。2本の柱120の間隔は、枠500の左右方向の幅と略同じか、それよりも若干広い程度となっている。
両柱120の高さ方向の上端部分には、その内側面にねじ切りのされた孔を持つ長ナット123が嵌め込まれている。それにより、両柱120の上端には、内側にねじ切りのされた孔(有底の穴でも良い。)が柱120の長さ方向に沿って設けられることになる。長ナット123には、その側面にねじ切りのされたねじ切り部の上にねじ切り部よりも大径とされた頭部124Aを有するボルト124のねじ切り部が螺合されている(長ナット123及びボルト124については、
図4の断面図参照のこと。)。図示を省略するが、ボルト124の頭部124Aの上側の面には、所定の工具と係合させることが可能な凹凸が設けられている。この実施形態における所定の工具は、これには限られないが六角レンチ125であり、凹凸は六角レンチ125と噛み合う断面六角形の穴である。
両柱120は、両柱120の直立性を維持するための補強板126によってその下端付近同士を接続されている。
【0023】
荷台131は、ベース板131Aと、2枚のブリッジ板131Cとを備えて構成されている。
荷台131は、その上に遊技機300を載せるものである。荷台131の上面の床面からの高さは、パチンコ遊技機用の島における下板401の床からの高さが概ね60cm程度であることを考慮し、荷台131が上部材133とともに上下方向に移動した場合に、床から60cmの高さを中心として少なくとも5cm以上、好ましくは10cm程度、より好ましくは15cm程度の範囲を上下に移動できるようになっている。この上下動の幅を大きく取ると、台車100を、パチンコ遊技機のみならず、パチスロ遊技機にも対応可能なものとするのに有用となる。
荷台131に載せられた遊技機300は枠500ごと、後述のようにして島400の下板401の上に移動させられるようになっており、また島400の下板401に載せられた遊技機300は、後述のようにして荷台131の上に載せられるようになっている。荷台131はその上に載せられる遊技機300の荷重に耐えられるように構成されている。上述のベース板131Aが、遊技機300の荷重を支持する役割を担う。
ベース板131Aは、これには限られないが平面視略矩形の板材である。その2本の長辺が、台車100の前後にそれぞれ位置している。その幅は、遊技機300の幅(より正確には、遊技機300が固定された枠500の幅)よりも若干広くされており、その前後方向の長さは遊技機300の前後方向の長さ(より正確には、遊技機300が固定された枠500の前後方向の長さ)よりも大きくされており、また、その厚さはこれには限られないが、島400に取付けられた下板401の厚さよりも薄くすることができる。
【0024】
ブリッジ板131Cは、ベース板131Aの後端に接続されている。ブリッジ板131Cは、ベース板131Aに載せられた、枠500に嵌められた遊技機300を枠500ごと、荷台131から島400の前板403を越えて島400の下板401に移動させ、或いは島400の下板401から島400の前板403を越えて荷台131に移動させるためのものである。
両ブリッジ板131Cは、平面視矩形の細長い板であり基本的に同一の構成とされている。ブリッジ板131Cは、後述するようにして前板403の下板401から突き出している部分を跨ぐことができるような長さ、言い換えれば前板403の下板401から突き出している部分の長さよりも長い長さとされている。ブリッジ板131Cの厚さは、一般的な下板401の厚さよりも薄く構成されている。ブリッジ板131Cの幅はブリッジ板131Cの上を枠500ごと遊技機300を滑らせた場合にブリッジ板131Cが遊技機300等の荷重に耐えられる程度の剛性をブリッジ板131Cが持つことができる程度とされている。ブリッジ板131Cの数はこの実施形態では2枚とされており、ベース板131Aの幅方向の両端付近にそれぞれ取付けられている。それにより2枚のブリッジ板131Cで枠500の幅方向の両端付近をそれぞれ下から支持できるようにしている。2枚のブリッジ板131Cの幅を狭くするとともに、それらをこのように離して設けているのは、ブリッジ板131Cで島400の前板403を跨いだときに、前板403の上にある灰皿等の障害物とブリッジ板131Cとが干渉することを防止するためである。もっとも、ブリッジ板131Cの数は、遊技機300の嵌った枠500を安定してその上を滑らせることができるのであれば2枚である必要はなく、3枚以上でも良い。或いは、障害物を避ける必要がないか、障害物を避けるための他の工夫があるのであれば、ブリッジ板131Cを例えばベース板131Aの幅に程近い幅広の1枚とすることも可能である。
この実施形態における両ブリッジ板131Cは、その前端部分で、詳細な図示は省略するが、ベース板131Aの幅方向の両端付近の後端と、公知或いは周知の方法でヒンジ接続されている。これにより両ブリッジ板131Cは、その上面をベース板131Aの上面と一連の面(ブリッジ板131Cがベース板131Aに対して多少後方に下る(前板403に向けて下る)傾斜を持つところまで回転できるようにすることは可能ではあるが、これには限られないがこの実施形態では、ブリッジ板131Cは、その上面をベース板131Aの上面と一連の面とする角度までしか下方向には回転できなくなっている。)とすることのできる位置(使用位置)と、ベース板131Aの上面と一連の面とすることのできる上述の面がベース板131Aの上面と垂直となるようにその後端が跳ね上げられた位置(搬送位置)との2つの位置の間でその基端を軸として回転可能となっており、且つその2つの位置に位置決めできるようになっている。例えば、
図2、
図3、
図7におけるブリッジ板131Cは、使用位置にあり、
図8におけるブリッジ板131Cは、搬送位置にある。これには限られないがこの実施形態における使用位置にあるブリッジ板131Cの搬送位置への移動は作業者が手動で行う。その逆の移動も同様である。2つのブリッジ板131Cは、この実施形態では、これには限られないが、それぞれ個別に使用位置と搬送位置とを取ることができる。
また、両ブリッジ板131Cの先端付近の例えば、幅方向の中央には、
図10に示したように、使用位置にあるブリッジ板131Cを平面視した場合に対応した位置に位置する、これには限られないが同じ大きさの円形の孔131C2、及び131C3が穿たれている。また、ブリッジ板131Cの内部における使用位置にあるブリッジ板131Cを平面視した場合において孔131C2、及び131C3に対応した位置の例えば孔131C3の周囲と当接する部位には、内側面にねじ切りのされたナット131C4が固定されている。かかるナット131C4には、ブリッジ板131Cにおける下側の孔131C3の下方にその頭部が露出しているボルト131C5のその外側面にねじ切りのされたねじ部が螺合されている。かかるボルト131C5は、ブリッジ板131Cにおける上側の孔131C2から挿入した所定の治具、例えば六角レンチ131C6とその上端を係合可能な凹凸をその上端に有している。これにより、ボルト131C5は、六角レンチ131C6を回転させることにより、上下方向に移動させられるようになっている。
【0025】
以上で説明した荷台131は、そのベース板131Aの幅方向の両端部を、2本の柱120の前面に沿って上下に伸びる2枚の接続板132の下端にそれぞれ固定することによって、間接的に柱120に接続されている。2枚の接続板132はともに、上下方向に伸びる薄い板である。これには限られないがこの実施形態における2つの接続板132の幅は、柱120の幅と略同じとされている。接続板132とベース板131Aとのかかる固定には、平面視略L字型の接続金具131Dが用いられている。接続金具131Dとベース板131Aとの固定、接続金具131Dと接続板132との固定はいずれも、公知、周知の方法、例えばビス止め、溶接等によって適当になすことができる。
【0026】
両柱120の上端には、上部材133が取付けられている。上部材133の下側には、上述した接続板132が取付けられている。
2つの上部材133は、柱120の上端に取付けられ、後述するような仕組みで柱120に対して上下動させ且つ適宜の高さに位置決めすることが可能となっている。それにより、上部材133に取付けられた2枚の接続板132も2本の柱120に沿って上下動させ且つ適宜の高さに位置決めすることが可能となっている。結果として、接続板132に接続された荷台131乃至ベース板131Aも上下動可能であり、且つ適宜の高さ位置に固定することが可能となっている。
2つの上部材133はともに、略直方体であり、且つその手前側に、柱120の上端を挿入するための下方に向けて開放された図示せぬ穴を有している。穴の水平な断面は、柱120の断面形状に対応したものとなっている。上部材133の上面には、これには限られないが円形とされた孔133Aが穿たれている。
上部材133の上述の穴に柱120の上端を挿入することにより、上部材133は柱120の上端に取付けられるようになっている。両柱120の断面と両上部材133の穴の断面とが互いに対応しているので、2つの上部材133はそれぞれ柱120に案内されて、上下方向にのみ移動可能となる。かかる移動、及び上部材133の高さ位置の位置決めがどのように行われるかを、
図4を用いて説明する。
上述したように、両柱120の高さ方向の上端部分には、長ナット123が嵌め込まれており、且つ長ナット123には、ボルト124が螺合されている。ボルト124の頭部124Aは、上部材133の上側の面に開けられた上述の孔133Aの真下に位置するようになっている。また、ボルト124の頭部124Aの径は、上部材133の孔133Aの径よりも大径である。したがって、
図4(A)に示したように、上部材133の上側を塞ぐ孔133Aを有する板は、ボルト124の頭部124Aによって下から支持された状態となる。これにより、上部材133は、ボルト124の頭部124Aによって下から支持されることになる。
他方、上述の上部材133に設けられた孔133Aからは、上述した所定の工具である六角レンチ125の先端を挿入することが可能なっている。挿入された六角レンチ125の先端は、ボルト124の頭部124Aに設けられた上述の凹凸(断面六角形の穴)の中に挿入可能であり、それにより六角レンチ125はボルト124の頭部124Aと係止し合うことになる(
図4(B))。その状態で六角レンチ125を左右いずれかの方向に回転させるとボルト124は、上下いずれかの方向に移動する。それにより、ボルト124の頭部124Aによって下から支持されている上部材133も上下いずれかの方向に移動する。以上によって、上部材133の上下方向の位置である高さ位置が変更され、また任意の高さ位置で位置決めされることになる。
図4(C)に、
図4(A)に示した場合よりも上部材133の高さ位置を下方に下げた場合を示すが、
図4(A)に示した場合よりも上部材133の高さ位置を上げることももちろん可能である。なお、この実施形態では、上部材133の高さ位置の調整は、両上部材133のそれぞれについて個別に行う必要があるが、両上部材133の高さ位置の差があまりに大きくなると上部材133に歪みが生じる等の弊害が生じる可能性があるため、上部材133の高さ位置の調整を行う場合には両上部材133の高さ位置の差が過大にならないように留意すべきであろう。
なお、上部材133の柱120に対する上下動、及びその高さ位置の位置決めは、上述のようなボルト124を用いて行う必要はない。また、上部材133の移動には、モーターや油圧ポンプ等の動力発生装置で発生させた動力を用いることも可能である。また、上述の例では、上部材133の移動によって荷台131と上部材133とが同一の方向に同一の距離だけ連動して移動するようになっていたが、荷台131の上下方向の移動を上部材133の移動と連動させずに行わせるようにすることも可能である。
六角レンチを挿入される上述の孔133Aは、上部材133が上下方向に移動することを考慮すると、床から概ね145cm~155cmの範囲の高さに位置するようにするのが良い。そうすると作業員が六角レンチを回す作業を無理なく行うことができる。
【0027】
2本の柱120の上端にそれぞれ設けられた上部材133の前面には、図示を省略するが、係止金具が取付けられている。係止金具は、ベルト171の両端に取付けられたベルト金具172との着脱自在な接続をなすための金具である。
ベルト171は柔軟な素材、例えば柔軟で且つ丈夫な布でできた帯状体であり、この実施形態ではその全長において等幅である。
ベルト171の長さは、両端のベルト金具172が、2つの係止金具にそれぞれ着脱自在に接続されたときに、ベース板131Aに乗せられた遊技機体(遊技機300と枠500とを併せたもの)の前面(遊技機300の前面)に当接し、且つ遊技機体の前方への転倒を防止できる程度にベルト171にテンションが入った状態となるようなものとされている。ベルト171には長さ調節を行うためのバックルその他の公知或いは周知の手段が設けられていても良く、また、遊技機体の転倒防止の効果に影響を与えない程度の伸縮性が与えられていても良い。いずれにせよ、それらの工夫により、例えば装飾の種類や有無に基づいて生じる遊技機300の形状、大きさの別に関わらず、ベルト171による遊技機体の前方向への転倒防止の効果を得られることになる。
また、ベルト171は、ベルト金具172と係止金具との組合せにより、柱120の少なくとも一方にその少なくとも一端を着脱自在に固定できるようになっている必要はない。ベルト172のうち、柱120への着脱が予定されている一端側での柱120への着脱を、ベルクロ(商標)その他の面ファスナ(図示を省略)を用いて行うようにすることも可能である。例えば、柱120に取付けられた面ファスナ(図示を省略)と、ベルト171の一端側のある程度の長さ範囲に取付けられた面ファスナとを着脱自在に固定することとすれば、ベルト171の一端側の面ファスナの長さ方向のどの部分を柱120に設けられた面ファスナに対して着脱させるかによって、2つの柱120を結んでいるベルト171の長さ(ベルト171のうち、遊技機体の前方への転倒防止に寄与している範囲の長さ)を調節できるようになり、事実上ベルト171の長さの調節が可能となる。
【0028】
また、この実施形態では、双方の柱120の前面側に、突没体181が取付けられている。2つの突没体181は、2本の柱120に例えば鏡像の関係で設けられる。なお、突没体181は、柱120の一方のみに設けられていても構わない。
突没体181は、突没体181が設けられた柱120から他方の柱120に向けて突出する第1位置と、他方の柱120から遠ざかる第2位置との間で移動可能な部材である。突没体181が第1位置にあるとき、突没体181の前面が、ベース板131Aに乗せられた遊技機体(遊技機300と枠500とを併せたもの)の後面(枠500の後面)に当接することにより、遊技機体の後方への転倒を防止する。他方、突没体181が第2位置に位置するときには、突没体181は、枠500の後面には当接しないし、枠500に当接しない。
突没体181の構成と機能を、
図5の斜視図と、
図6の正面図、及び背面図を用いて説明する。突没体181は、上述したように第1位置と第2位置との間で移動可能であるが、第2位置にある突没体181を第1位置方向へ移動できないようにするためのロック機構が突没体181には備えられている。
図6(A)に示すのはロック機構がOFFとなっているときの突没体181の背面図(柱120の外側から見た図)、同(B)に示すのはロック機構がOFFとなっているときの突没体181の正面図(柱120の内側から見た図)、
図6(C)に示すのはロック機構がONとなっているときの突没体181の背面図、同(D)に示すのはロック機構がONとなっているときの突没体181の正面図である。
【0029】
突没体181は、平面視で台形である、縦方向に伸びる四角柱形状の金属製の部材である。突没体181は、中空である。
図5では、突没体181が第1位置にある。
図5で隠れている奥側の面が、遊技機体に含まれる枠500の後面と当接する面である、本願発明でいう係止面である。なお、係止面182は、
図6に現れている。突没体181の先端側(
図5の左側)は、平面視した場合に、台車100の前後方向を結ぶ線とは斜め方向となる直線で切り取られたような形状となっている。その斜めの線を辺として含む鉛直な面が、当接面183である。当接面183が存在することにより、例えば島400に取付けられていた遊技機体を荷台131の後側から荷台131に積込む場合において、遊技機体を荷台上で前方に摺動させれば、遊技機体に含まれる枠500と接触した当接面183に押されて突没体181が自然に第1位置から第2位置に向けて移動していくことになる。つまり、突没体181は、ドアにおける公知或いは周知のラッチと同様の動きを行うことになる。
突没体181は、突没体181を収納した状態で柱120に取付ける機能を有するケース体184に収納されている。ケース体184は、突没体181の上下方向の幅に相当する幅の内部空間を有しており、突没体181は、その内部空間内をケース体184に案内されて水平方向に移動できるようになっている。ケース体184は、上下に張り出したリブ187を備えている。リブ187は、ケース体184を柱120に固定するために用いられる。リブ187には孔が穿たれているが、例えば、この孔を貫通させてネジを柱120に螺合させることにより、ケース体184は柱120に固定される。
ケース体184の中には、弾性体、これには限られないがこの実施形態ではバネ、より詳細にはコイルばねである第1弾性体186が収められている。第1弾性体186は、ケース体184に収納された突没体181に常に、
図5において左向きの、換言すれば突没体181を第2位置から第1位置に向かわせる向きの力をかけるものである。
【0030】
突没体181の柱120側の面には、これには限られないが矩形の孔181Aが穿たれている。この孔181Aの持つ意味については後述する。
ケース体184の、突没体181の孔181Aが穿たれている面と対向する面と当接する面には、これには限られないが円形の孔(図示を省略)が設けられている。この孔は、後述するスイッチ部材を回転可能に軸支するためのものである。スイッチ部材185は、ケース体184に設けられた上述の円形の孔に回転可能に軸支されたスイッチ軸185Aと、スイッチ軸185Aのケース体184の
図5における裏側の端部に設けられた、これには限られないが矩形の板状の摘み185Bと、スイッチ軸185Aの逆側の端部に設けられた、これには限られないがこれも矩形の板状の係止片185Cとを備えて構成されている。
摘み185Bはスイッチ部材185を回転させるために作業者が操作するものであり、摘む等して作業者がスイッチ部材185を回転させるための適当な操作を行えるようなものであれば良い。
係止片185Cは突没体181の動作を制限する、つまりロックするためのものである。スイッチ軸185Aの長さ方向の延長線上から見た場合、係止片185Cは、摘み185Bと重なり合う位置に来るようにしてスイッチ軸185Aに取付けられている。摘み185Bは、
図6(B)で示す縦向きの位置と、
図6(D)で示す横向きの位置の間で回転可能とされている。摘み185Bを縦向きの位置に位置させると、係止片185Cは
図6(A)で示す縦向きの状態となり、摘み185Bを横向きの位置に位置させると、係止片185Cは
図6(C)で示す横向きの状態となる。
係止片185Cが縦向きの状態のとき、係止片185Cは、突没体181が第1位置にあろうが第2位置にあろうがそれらの間にあろうが、突没体181に設けられた矩形の孔181Aの縁には当接しない状態となる(
図6(A))。したがって、摘み185B及び係止片185Cが縦向きの状態のとき、突没体181は、第1弾性体186からの力を受けて常に第1位置に位置しようとするが、第1弾性体186からの力に抗する外力を受けると第1位置から第2位置に移動することができ、更にその外力がなくなれば第1弾性体186からの付勢力によって第2位置から第1位置へと自然に戻る。
係止片185Cが横向きの状態のとき、係止片185Cの先端は、突没体181に設けられた矩形の孔181Aの
図6(C)における右側の縁に当接することになる。それにより、突没体181は、ケース体184からの突出が許されなくなり、第2位置からの移動を制限された、つまり第2位置にロックされた状態となる。
摘み185Bを横向きから縦向きに回転させることにより、係止片185Cを横向きから縦向きに回転させると、突没体181のロックは解除され、第1位置と第2位置との間での移動を許容される状態となる。
【0031】
図3における左側の柱120の上端に位置する上部材133の後側の面には、棒状体191が取付けられている。棒状体191は、これには限られないがこの実施形態では細い角パイプでできており、その長さは、2本の柱120の間の距離に略等しくされている。
棒状体191は、これには限られないがこの実施形態では、柱120にその先端を螺合させることにより柱120に固定されたボルトにより構成された軸192によってその基端付近を軸支されている。棒状体191は、軸192を中心にして回動できるようになっており、少なくとも
図2、
図3に示した真下に垂れ下がった位置から、
図7、8に示したその先端が棒状体191の基端が支持されていない側の柱120の上端付近に位置する略水平な位置の間で回動することができるようになっている。
棒状体191の基端付近には、上述した軸192によって軸支を受けるための孔である長孔193が穿たれている(
図3、
図9参照)。この長孔193は棒状体191の長さ方向にわたって幾らかの長さを持つ。棒状体191は、長孔193の中に挿入された軸192を中心に回転できるだけでなく、長孔193を軸192によって案内されながら、棒状体191の長さ方向に長孔193の長さ分だけスライド移動することができるようになっている。
棒状体191の先端には、棒状体191の長さ方向を深さとする凹部、より詳細にはこれには限られないがこの実施形態では棒状体191の幅方向にわたる溝194が設けられている(
図3参照)。
棒状体191の内部の構成を説明するための断面図を
図11に示す。棒状体191を軸支する軸192には、棒状体191及び軸192とともに回転する板である回転板191Xが固定されている。また、棒状体191の内部の軸192によって軸支されている部分よりも先端側には、棒状体191の内部を長さ方向で先端側と基端側とに分割する板である仕切板191Yが設けられている。そして、回転板191Xと仕切板191Yとの間には、圧縮されたばねである第2弾性体191Zが設けられている。これにより、棒状体191には常に、第2弾性体191Zから、先端側にスライド移動しようとする力がかかることになる。
【0032】
2本の柱120のうち棒状体191が取付けられていない方の柱120の上部材133の後側の面には、棒状体191を係止するための係止部197が設けられている。係止部197は、凹部、より詳細には溝194の内部に嵌り合う凸部であり、これには限られないがこの実施形態では、例えば円柱形状の棒である。棒である係止部197を棒状体191の先端の溝194の中に挿入することにより、棒状体191の先端は、棒状体191が取付けられたのとは逆側の柱120の上端付近に係止されることになる。
【0033】
以上で説明した台車100の荷台131(乃至ベース板131A)の上面には、土台部材が着脱可能に取付可能となっている。
土台部材、及びその関連部品について、
図12から16を用いて説明する。
【0034】
図12に土台部材710及びその関連部品の三面図を示す。
図12(A)は正面図、同(B)は平面図、同(C)は右側面図である。
また、後述する左位置に後述するスライド板が位置する場合におけるスライド部材及びその関連部品の上から見た斜視図を
図13(A)に、下から見た斜視図を
図13(B)にそれぞれ示す。スライド板が左位置に位置する場合における土台部材710及びその関連部品が取付けられた台車100の前方から見た斜視図を
図14に示す。後述する右位置にスライド板が位置する場合におけるスライド部材及びその関連部品の上から見た斜視図を
図15(A)に、下から見た斜視図を
図15(B)にそれぞれ示す。スライド板が右位置に位置する場合における土台部材710及びその関連部品が取付けられた台車100の前方から見た斜視図を
図16に示す。
【0035】
土台部材710の関連部品には、土台部材710の両側面に接続される2つのアングル材720と、土台部材710の上面に乗せられるスライド板740とが含まれる。
土台部材710は、平面視矩形の板状体である。板状体といっても、これには限られないがこの実施形態における土台部材710は、下面が開放されており、中空となっている。土台部材710の厚さは、概ね、枠500の枠下板501の厚さに対応させられており、一般的な枠下板501の厚さよりは小さくされている。土台部材710はその上に遊技機300が乗っても耐えうる剛性を備えている。
土台部材710の矩形の上面における土台部材710の前後方向における中程には、左右方向に伸びる矩形の孔である長孔711が、土台部材710の上面を構成する板を貫通するようにして設けられている。この長孔711は、土台部材710の上を後述するようにして摺動するスライド板740を案内するためのものである。
土台部材710の両側面には、縦方向に3つ並んだ円形の孔である孔712が、2組穿たれている。上下方向に並ぶ孔712の上下の間隔は、例えば芯から芯で1cm程度とされている。これら孔712は土台部材710とアングル材720とを固定するために用いられる。
【0036】
アングル材720は、正面視でL字形状とされ、台車100の前後方向に所定の長さを持つL字材である。アングル材720は、台車100に取付けられたときに水平となる水平部721と、垂直となる垂直部722とを備えている。
両アングル材720の水平部721には、前後方向に4つずつ一直線上に並ぶ円形の孔である孔723が2組設けられている。前後方向に4つずつ並ぶ一組の孔723における各孔723の前後方向の距離は等しい。これら孔723はアングル材720を台車100の荷台131乃至ベース板131Aに着脱自在に取付けるために用いられる。
荷台131乃至ベース板131Aの上面には、図示を省略のネジ穴が4つ、ベース板131Aの前端の縁と平行な辺を持つ仮想の矩形の頂点に位置するようにして穿たれている。ネジ穴の内側はネジ切りされている。4つのネジ穴は、ベース板131Aの前端から同じ距離だけ奥まった位置に2つ、そこから更に同じ距離だけ奥まった位置に2つ設けられている。ベース板131Aから同じ距離だけ奥まった位置に位置する2つのネジ穴間の距離は、略土台部材710の左右方向の幅に対応している。
荷台131にアングル材720を取付ける場合、ベース板131Aの前後方向に並んだ2つのネジ穴に、アングル材720の水平部721に設けられた4つずつで2組設けられた孔723のうちの2つを貫いたネジ791が螺合させられる(
図14)。そのとき、ネジ791を貫通させる孔723として、4つずつ2組設けられた孔723のうちのどれ(一番前の孔723か、2番目の孔723か、3番目の孔723か、一番後の孔723か)を選択するかによって、アングル材720のベース板131Aに対する前後の位置を決定することができる。
図14では、4つで一組の孔723のそれぞれの組において、最も後側に位置する孔723をネジ791を通す孔723として選択しているので、その結果としてアングル材720は、ベース板131Aに対して相対的に前側に位置することになっている。このようにして、2つのアングル材720は、その長さ方向がベース板131Aの左右の辺に平行になるようにして、土台部材710の幅に略相当した距離を開けて、且つその前後方向のベース板131Aに対する位置を適宜に位置決めして、ベース板131Aの上にネジ791を用いて着脱自在に固定できるようになっている。
両アングル材の垂直部722には、土台部材710に設けられた孔712と例えば同径の円形の孔である図示を省略の孔が2つ、同じ高さで設けられている。これら孔は、縦方向に2列に並ぶ3つずつの孔712の前後方向の距離に対応した距離だけ離れて穿たれている。これら孔は、土台部材710とアングル材720とを固定するために用いられる。
2つのアングル材720に土台部材710を取付ける場合、まず、2本のアングル材720の垂直部722の外側面に、土台部材710の両側面の内側面が当接するようにして、土台部材710を配置する。その状態で、各アングル材720に設けられたアングル材720の長手方向に2つ並ぶ図示を省略の孔に、土台部材710の両側面に、縦方向に3つ並んで2組設けられた孔712のうち、同じ高さにあるものをそれぞれ対応させ、対応させた土台部材710に設けられた孔712とアングル材720に設けられた孔とにボルト792をまとめて貫通させて、更にナット793を螺合させる。それにより、土台部材710は、その両側面で、アングル材720の垂直部722に固定される。アングル材720に設けられた図示せぬ孔に、土台部材710に設けられた縦方向に3つ並ぶ孔712のどれを対応させるかによって、アングル材720に対する土台部材710の相対的な高さを選択することができる(
図14)。例えば、
図14では、3つで一組の孔712のそれぞれの組において、高さ方向における中央に位置する孔712をボルト792を通す孔712として選択しているので、その結果として土台部材710は、アングル材720に対して相対的に中間の高さに位置することになっている。このようにして、土台部材710は、2つのアングル材720に対して、土台部材710の長辺がベース板131Aの前端の辺に平行になるようにして、且つアングル材720に対する高さを適宜に位置決めして、アングル材720にボルト792とナット793とを用いて着脱自在に固定できるようになっている。
以上のように、アングル材720は、ベース板131Aに対して、前後方向の位置を可変として取付けられるようになっている。また、土台部材710は、アングル材720に対して、上下方向の位置を可変として取付けられるようになっている。その組合せにより、土台部材710は、荷台131乃至ベース板131Aに対して、前後方向の位置と上下方向の位置とを可変として(前後方向は4通りから、上下方向は3通りから、それぞれ任意のものを選択して)、着脱自在に取付けられるようになっている。
これには限られないが、荷台131乃至ベース板131Aに取付けられた土台部材710の前端の辺は、ベース板131Aの前端の辺と平行である。また、ベース板131Aに対して最も後側に位置するようにして土台部材710がベース板131Aに取付けられたとしても、土台部材710の前端の辺は、ベース板131Aの前端の辺よりも前側に位置することになる。つまり、平面視した場合、ベース板131Aに取付けられた土台部材710の前側は、ベース板131Aから前側に食み出すようになっている。
【0037】
スライド板740は、平面視矩形の金属製の板である。スライド板740は、土台部材710の上に乗せられる。
スライド板740は、土台部材710に対して摺動可能である。これには限られないが、この実施形態ではスライド板740は、土台部材710に対して左右方向に摺動可能である。
スライド板740の上面は概ね平面である。ただし、スライド板740の土台部材710に乗せられたときの後端には、スライド板740から立ち上がった後係止部741が設けられている。また、スライド板740の土台部材710に乗せられたときの台車100を正面から見た場合の右端には、スライド板740から立ち上がった右係止部742が設けられている。なお、スライド板740が省略される場合においては、土台部材710の上面の後端或いはその付近と、土台部材710の上面の右端或いはその付近に、後係止部741と右係止部742とを設けるこができる。
また、スライド板740の前後方向の中程には、スライド板740の横方向に3つ並んだ円形の孔743が、スライド板740の前後方向に4組設けられている。この孔743は、スライド板740に後述する案内バー744を固定するために用いられる。
スライド板740の下面には細長い板状体である案内バー744が取付けられる。案内バー744にはその長さ方向に並ぶ3つのネジ孔(図示せず)が穿たれている。案内バー744に設けられた3つのネジ孔はその内周面にネジ切りがなされており、且つそれらの間隔は、スライド板740の横方向に3つ並んだ孔743の間隔に対応している。案内バー744は、スライド板740の横方向に3つ並んだ孔743と、案内バー744に設けられた3つのネジ孔とを対応させ、スライド板740の横方向に3つ並んだ孔743を貫通させたネジ794の先端を案内バー744に設けられたネジ孔に螺合させることにより、スライド板740の下面に取付けられる。スライド板740において横方向に3つ並んだ孔743は上述したように、スライド板740の前後方向に4組設けられている。3つ並んだ孔743からなる4組の孔743の組のうちのどの組を利用してスライド板740に案内バー744を取付けるかによって、スライド板740の前後方向のどの位置に案内バー744が固定されるかを選択することができる。
スライド板740は上述したように土台部材710の上に配置される。そのとき、スライド板740の下面に取付けられた案内バー744を、土台部材710の上面に穿たれた長孔711内に挿入する。案内バー744の幅は長孔711の幅に対応しており、且つ案内バー744の長さは長孔711の長さよりもかなり短い。長孔711に挿入された案内バー744は、長孔711によって案内され長孔711の長さ方向に移動可能となる。それにより、スライド板740は、土台部材710の幅方向に移動可能となり、また、土台部材710の前後方向には移動できなくなる。
また、スライド板740に対する案内バー744の取付け位置は、上述したようにスライド板740の前後方向において4段階に調節可能である。したがって、案内バー744を土台部材710の長孔711に挿入した場合におけるスライド板740の土台部材710に対する相対的な前後位置も4段階で調節可能である。例えば、
図12(A)では、スライド板740の前後方向における4組の孔743のうち、最も前側の孔743を、スライド板740に案内バー744を固定するために利用している。この場合、土台部材710に対するスライド板740の相対的な位置は、最も後側になる。これには限られないが、スライド板740は、土台部材710に対して最も前に位置させたときでも、平面視した場合に、その前端の辺が土台部材710から前側に食み出さないようになっている。
上述したようにスライド板740は、土台部材710に対して、左右方向に移動可能である。遊技機300を乗せた状態でスライド板740を土台部材710に対して摺動させるときのスライド板740と土台部材710の間における両者間の摩擦係数は、土台部材710に直接載置した遊技機300を土台部材710に対して摺動させるときの両者間の摩擦係数よりも小さくされている。スライド板740と土台部材710との間の摩擦係数を小さくするには、公知或いは周知の技術を用いれば良い。例えば、両者の当接し合う面の少なくとも一方に、摩擦係数を下げることを良く知られているフッ素樹脂によるコーティングを行うことで、それを達成できる。
この実施形態では、スライド板740は、
図13、
図14に示す、正面から見た土台部材710に対して最も左に位置する位置(左位置)と、
図15、
図16に示す、正面から見た土台部材710に対して最も右に位置する位置(右位置)との間で摺動可能となっている。これには限られないが、左位置に位置するスライド板740は、その左端の辺が、平面視した場合にベース板131Aの左端の辺に対応する位置に位置するようになっており、また、右位置に位置するスライド板740は、その右端の辺が、平面視した場合にベース板131Aの右端の辺に対応する位置に位置するようになっている。つまり、スライド板740は、左右方向に移動させた場合に、平面視した場合におけるベース板131Aから食み出さないようになっている。
【0038】
以上で説明した実施形態による台車100の使用方法、及びその動作について説明する。
まず、倉庫等から島400のあるホールに対して台車100で遊技機300を運び、台車100から島400に遊技機300を移動させた後、遊技機300を島400に固定する場合について説明を行う。この場合には、土台部材710及びその付属品は用いない。
【0039】
台車100に遊技機300が固定された枠500である遊技機体を載せる作業を行う場合には、ブリッジ板131Cを使用位置に倒す。なお、この作業を行うときには、突没体181はロックされていない状態とされる。つまり、摘み185Bと係止片185Cとはともに縦向きの状態にある(
図6(A)、(B))。外力が加えられていない状態では、突没体181は、第1弾性体186からかかる付勢力によって、第1位置に位置する。
その状態で、ブリッジ板131Cの上に遊技機300が固定された枠500、つまり、遊技機体を載せる。そのとき、遊技機300の前面(釘が打たれた盤面が存在する側)が、台車100の前方を向くようにする。遊技機300をブリッジ板131Cに載せたら、遊技機300を前方に摺動させる。
【0040】
遊技機体が前方に移動しベース板131Aに載る。やがて遊技機体中の枠500が第1位置にある突没体181の当接面183に当接する。そのまま遊技機体を台車100の前方に移動させ続けると、当接面183がベース板131Aの幅方向の外側に向けて押されることにより、突没体181がベース板131Aの幅方向の外側に向けて移動する。つまり、突没体181は第1位置から第2位置に向けて移動する。
そのまま遊技機体を前方に移動させて行くと、遊技機体中の枠500が突没体181を乗り越えて、突没体181よりも前方に移動する。枠500が突没体181よりも前方に移動すると、突没体181の当接面183は枠500と当接していない状態となり、枠500からの力を受けなくなる。そうすると、突没体181は、第1弾性体186からの力を受けて第2位置から第1位置に戻る。突没体181が第1位置に位置すると、突没体181の係止面182が枠500の後面に当接した状態となる。突没体181の係止面182が枠500の後面に当接するその位置が、遊技機体の荷台131に載せられることが予定された位置であり、その予定された位置に至るまで遊技機体を前方に摺動させる。これにより、遊技機体は、それに含まれる枠500の後面が突没体181の係止面182に係止された状態になり、後方への転倒が防止された状態となる。
【0041】
なお、枠500の形状や大きさが一般的なものとは異なるといった事情によって、突没体181の係止面182を枠500の後面にうまく当接させられない場合も生じうる。その場合には棒状体191によって、遊技機体の後方への転倒を防止する状態とする。そのためには、棒状体191を回転させて、棒状体191の先端の溝194を、棒状体191が取付けられていない側の柱120の上部に設けられた係止部197に係止させる(
図7、
図8参照)。その作業は以下のようにして行う。
まず、棒状体191の先端が、棒状体191が取付けられていない側の柱120の上端に近接するように、軸192を中心に棒状体191を回転させて略水平にする。次に、
図9の矢印1で示したようにして、棒状体191を、その軸192によって軸支されている基端側に向けてスライドさせる。棒状体191には第2弾性体191Zからその先端側に向けて力がかかっているが、その力に抗して力を加えることで棒状体191は基端側に向けて多少後退する。そうすると、棒状体191の先端の溝194が、棒状体191が取付けられていない側の柱120の上部に設けられた係止部197と正対する。そして、
図9の矢印2で示したように棒状体191をその先端側に進めることにより溝194に係止部197を挿入する。
この状態で、棒状体191には第2弾性体191Zから、棒状体191をその先端方向に進める向きの力がかかっている。したがって、係止部197が溝194から外れるおそれは小さい。棒状体191の前面は遊技機体の背面、通常は遊技機体に含まれる遊技機300の後面に当接する。遊技機体と棒状体191の間には幾らかの隙間があっても良い。
これにて、遊技機体は、突没体181又は棒状体191の後面からの係止を受けて、後方への転倒が防止された状態となる。
【0042】
続けて、遊技機体の前面にベルト171を回す。具体的には、ベルト171の両端に設けられたベルト金具172を2本の柱120の上端付近に設けられた2つの図示せぬ係止金具に着脱自在に固定する。そうするとベルト171は、ベース板131Aに乗せられた遊技機体の前面、より詳細には遊技機300の前面に当接する。このときベルト171には、遊技機体の前方への転倒を防止できる程度にテンションが入った状態とする。そのために必要であれば、またベルト171にその長さを調節するための工夫があるのであれば、ベルト171の長さを調整してもよい。なお、遊技機体の前面にベルト171を回す処理と、棒状体191を遊技機体の後面に位置させる処理との先後は問わない。
これにて、遊技機体は、突没体181又は棒状体191により後方への転倒が防止された状態となり、ベルト171により前方への転倒が防止された状態となり、そして遊技機体の左右に位置する柱120によって左右方向への転倒が防止された状態となる。つまり、遊技機体は荷台131の上に安定して載置され、前後左右のいずれの方向にも倒れにくい状態となる。
そして、2枚のブリッジ板131Cをそれぞれ搬送位置に跳ね上げる(
図8)。
【0043】
その状態で作業者は、倉庫等から島400のあるホールまで遊技機300を搭載した台車100を移動させる。その過程では上述したように荷台131に載った遊技機体は安定している。また、ブリッジ板131Cは跳ね上げられて略垂直な状態となっているので、ブリッジ板131Cが狭いホール内で椅子等に干渉することを避けられる。台車100の移動は、作業者が台車100又はそれに搭載された枠500に固定された遊技機300の所定の場所を手で持って、歩きながら台車100を押し引きすることにより行う。搬送中に台車100の前側が台車100の進行方向の前側となる必要はない。
【0044】
次いで作業者は、島400のうち遊技機300を取付けるべき部分に台車100を対面させる。そして、必要に応じて上部材133を上下に移動させ、荷台131と島400の下板401との高さを合わせる。もっとも、一つの遊技場内における各島400における下板401の高さは多くの場合共通であるので、上部材133の高さ調整はこの時点で行う必要はなく、いつ行ってもよい。具体的には、荷台131のベース板131Aの上面の後端から連なるブリッジ板131Cの後端と、島400の下板401の先端との高さが合うように、或いはベース板131Aの上面の高さが下板401の上面の高さと合うように上部材133を上下させる。
上部材133を上下させるには、
図4(B)に示したようにして、六角レンチ125の先端を、各柱120における上部材133の上端に設けられた孔133Aから挿入してボルト124の頭部124Aに係合させ、その状態で六角レンチ125を左右いずれかの方向に回転させることにより行う。それにより、ボルト124が上下いずれかの方向に移動し、それに伴ってボルト124の頭部124Aにより下から係止された上部材133が上下に移動する。それにより、上部材133に取付けられている荷台131を上部材133とともに上下させる。
上部材133の高さの調整による荷台131の高さの調整が終わったら、次の処理を行う。
突没体181により遊技機体の後方への転倒が防止されている場合には、突没体181の摘み185Bを操作して、突没体181をロックする。既に述べたように、摘み185Bを横向きにすることにより係止片185Cを横向きとすると、係止片185Cの先端が突没体181に設けられた矩形の孔181Aの
図6(C)における右側の縁に当接するので、突没体181は第2位置に固定されることになる(
図6(C)、(D))。
また、棒状体191により遊技機体の後方への転倒が防止されている場合には、棒状体191の先端の溝194から係止部197を抜き、棒状体191を軸192を中心に回転させて、軸192の真下に垂れ下がった状態とする。溝194から係止部197を抜くには、棒状体191をその基端に向けて幾らかスライドさせれば良い。
続けて、ベルト171の少なくとも一端を、柱120から外す。これにて、遊技機体は、荷台131の上で前後方向に移動できる状態となる。
また、2枚のブリッジ板131Cを使用位置に倒し、ブリッジ板131Cの上面の後端と、島400の下板401の上面の先端とを突き合わせる。
なお、突没体181をロック状態にすること、棒状体191を下向きに戻すこと、ベルト171の少なくとも一端を柱120から外すこと、ブリッジ板131Cを使用位置に倒すことは、ブリッジ板131Cと下板401を突き合わせる前であれば、どの順で行っても良い。
【0045】
いずれにせよ以上により、ブリッジ板131Cによって、下板401の先端の下側から島400の前方に突出する前板403が跨がれた状態となる。このとき、灰皿等の障害物が前板403の上に存在するのであれば、それを2枚のブリッジ板131Cの間に位置させることで、障害物とブリッジ板131Cの干渉を防ぐ。
なお、上述したようにブリッジ板131Cの厚さは一般的な下板401の厚さより小さい。ブリッジ板131Cの厚さが下板401の厚さよりも過度に小さい場合や、荷台131の高さの位置決めの正確性が幾分正確性を欠いた場合等には、例えば
図10(A)に示したように、ブリッジ板131Cの上面の後端と、下板401の上面の先端とを突き合わせて一致させられないようなことも生じうる。その場合には、ブリッジ板131Cにおける上側の孔131C2から六角レンチ131C6を挿入してその先端を、ボルト131C5の上端に係合させるとともにその状態で六角レンチ131C6を回転させることによりナット131C4を前後させ、ブリッジ板131Cの下側に突き出しているボルト131C5の長さを調整する。これを適切な長さとすることで、例えば
図10(B)に示したようにしてボルト131C5の下端を前板403の上面に当接させることにより、ブリッジ板131Cの上面の後端と、下板401の上面の先端とを、安定した状態で一致させることが可能となる。つまり、ブリッジ板131Cの先端のボルト131C5、ナット131C4等は、ブリッジ板131Cの下面から突出する長さを変化させることで、ブリッジ板131Cの先端の高さを調整するためのものである。かかる効果が得られるのであれば、ボルト131C5とナット131C4等に代えて他の構成、例えばラチェット機構等の構成をこれに採用することももちろん可能である。また、
図10に示した構成のように、ブリッジ板131Cの上面からの操作でブリッジ板131Cの先端の高さを調整することを可能とすることにより、作業者はブリッジ板131Cの先端の高さ調整を行いやすくなる。
【0046】
この状態で作業者は、遊技機体を、荷台131からブリッジ板131Cの上を滑らせ、更に下板401の上に移動させ、最終的に下板401の所定の位置にまで押し込む。その後、作業者は、遊技機300を島400に対して固定する。かかる固定の方法は、公知、或いは周知の技術によればよい。
【0047】
次に、島400から遊技機300を取外し、島400のあるホールから倉庫等へ台車100で遊技機300を運び、台車100から遊技機300を降ろして倉庫等に保管する場合について説明を行う。もっとも、かかる作業は基本的に、島400に遊技機300を取付ける場合の上述の作業と逆の作業を行えば良い、ということになる。一応説明を行う。
【0048】
まず、作業者は遊技機300の島400に対する固定を解除する。かかる固定の解除は、公知、或いは周知の技術によればよい。ここで、遊技機300は、枠500と一体とされたままの状態である。例えば、背景技術の欄で説明した取付け装置が用いられている場合であれば、遊技機300が取付けられているままの状態で、枠500の島400に対する固定を解除することができる。
次いで、作業者は、島400から外すべき遊技機300の前方に位置するようにして、台車100を島400に対面させる。
次いで、作業者は、台車100における荷台131の上下方向の位置の調整を必要に応じて行う。かかる荷台131の高さの調整を行う方法は上述の場合と同じである。また、荷台131の高さ調整は、上述の場合と同様に、ブリッジ板131Cの後端と、島400の下板401の先端との高さが合うようにする。
そして、2枚のブリッジ板131Cを倒して使用位置に位置させ、それらの後端を下板401の先端にそれぞれ合わせる。
その状態で、作業者は、下板401に載った遊技機体を、下板401からブリッジ板131Cの上を滑らせ、荷台131の上にまで移動させる。なお、この作業を行ういずれかの時点で、突没体181のロックを解除した状態としておく。
そして、上述したように、遊技機体が、突没体181又は棒状体191によって後方に転倒せず、ベルト171によって前方に転倒せず、柱120によって左右に転倒しない状態とする。
そして、作業者は、ブリッジ板131Cを跳ね上げて搬送位置に移動させる。
【0049】
そして、作業者は、島400のあるホールから倉庫等まで遊技機300を搭載した台車100を移動させる。かかる遊技機300の搬送の過程は、上述の場合と同じように行えば良い。
次いで、作業者が台車100から遊技機体を降ろす。この作業については説明を省略する。遊技機300を倉庫で下ろす作業は基本的に、島400から台車100へ遊技機300を移動させる際の手順と同様で良い。
遊技機300を搬出するのではなく、島400の他の場所、或いは他の島400へ再度取付ける場合には、遊技機300を、適宜の島400の適宜の位置へ運ぶべく、台車100を移動させる。遊技機300を島400に取付ける場合において、遊技機体を台車100から島400に移す方法は、既に述べたとおりである。
【0050】
次に、台車100に土台部材710を取付けて遊技機300を搬送する場合について説明する。
土台部材710が用いられるのは、例えば、島400に取付けられていた遊技機300を、枠500から外して、枠500が取外された単体の遊技機300を、島400から台車100に乗せ換える場合と、台車100に乗せられた単体の遊技機300を台車100から島400に乗せ換える場合が主である。
【0051】
上述したようにして、土台部材710を荷台131のベース板131Aに対して固定する。土台部材710をベース板131Aに固定する場合には、既に述べたように2つのアングル材720を用いる。土台部材710をベース板131Aに対して固定する場合には、土台部材710の、ベース板131Aに対する前後方向の位置と、ベース板131Aに対する高さ方向の位置とを、上述したような方法でそれぞれ適宜調整する。また、土台部材710の長孔711に、スライド板740に適宜取付けた案内バー744を挿入することにより、土台部材710の上面に、土台部材710の左右方向に摺動可能な状態でスライド板740を乗せる。このとき、土台部材710に対するスライド板740の前後方向の位置も、上述したような方法で適宜調整する。
土台部材710の前後方向の位置は、台車100を島400に近接させたときに、土台部材710の少なくとも一部が、上述した島400の前板403の上であって、枠500に対して開いた状態とした遊技機300の下方に位置するような場所に位置させられるように調整する。また、土台部材710の高さは、土台部材710の、より正確には土台部材710の上に乗せられたスライド板740の上面の高さが、島400に取付けられている枠500の枠下板501の上面の高さに略対応する(枠下板501の上面の高さより若干(1、2cm程度)低くても良い。)ようにする。
スライド板740の土台部材710に対する前後方向の位置は、スライド板740の後係止部741の手前側の面が、突没体181の係止面182と略一致するようにする。そうすると、スライド板740に乗せ後方に押し込むことによって遊技機300の背面をスライド板740の後係止部741に対して係止させたときに、枠500があるときと同様に、遊技機300を突没体181で係止できるようになる場合が多いからである。それにより、単体の遊技機300についても、突没181による転倒防止の効果を得られることになる。
【0052】
以上のようにして、土台部材710とその関連部品を台車100に取付けたら、単体の遊技機300を、島400から台車100に乗せ換えるか、台車100から島400へ乗せ換える。
【0053】
まず、遊技機300を島400から台車100に乗せ換える、或いは移動させる場合について説明する。
遊技機300を島400から台車100に乗せ換える場合、
図17に示したように、遊技機300を枠500に対して開いた状態とする。そして、台車100を島400に近づける。そのとき、島400の前板403の上側であって、枠500に対して開いた状態とされた遊技機300の下の位置に、台車100に取付けられた土台部材710の先端の少なくとも一部、そして土台部材710の上に乗ったスライド板740の一部が位置するようにする。このときスライド板740の上面と、枠500の枠下板501の上面の高さは略一致しており、スライド板740の上面と、遊技機300の下面との高さの差は、1、2cm程度となっている。なお、遊技機300の下に土台部材710を差し込むとき、土台部材710の上に乗ったスライド板740は、左位置に位置させる。
この状態で、枠500に設けられたヒンジ金具502のうち上側のものを操作して、枠500と遊技機300の固定を解除する。遊技機300と下側のヒンジ金具502の固定も解除すると(一般に、かかる固定は単なる係止であって、上側のヒンジ金具502で両者の接続の解除を行うと、下側のヒンジ金具502から遊技機300を取外すための操作は不要である。)、遊技機300は枠500から外れ、スライド板740の上に僅かに落ちてスライド板740の上に乗る。
その状態でスライド板740ごと遊技機300をスライド板740の右方向に移動させ、また遊技機300をスライド板740の後方に押し込む。スライド板740は、土台部材710の上で右方向に摺動して、右位置に至る。
スライド板740には上述したように後係止部741と右係止部742とが存在しているため、後方に過度に移動しようとした遊技機300は後係止部741で係止され、右方向に過度に移動しようとした遊技機300は右係止部742によって係止される。つまり、遊技機300は、荷台131の上から後方、或いは右側方に食み出ることはなく、荷台131の上で適宜の位置に位置決めされる。
この状態では、枠500を介さない単体の遊技機300が荷台131の上に乗っている。しかしながら、土台部材710の厚さ(正確にいうと、土台部材710とスライド板740の合計の厚さ)が、枠500の枠下板501の厚さと略等しいから、荷台131に位置する遊技機300の高さは、枠500がある場合と殆ど変わらない。したがって、枠500が存在しないため、突没体181を用いることができない場合もあるものの、多くの場合には突没体181を利用可能であり、それによる転倒防止の効果を得られる。また、棒状体191と、ベルト171は、土台部材710を用いない上述の場合と同様に問題なく利用可能であり、それらによる遊技機300の転倒防止の効果も同様に得られる。
これにて、遊技機300単体を、島400から台車100に乗せ換える作業が終了する。
その後、背景技術の欄で説明したようにして、島400から枠500を取外す。大方そうであろうが、釘503を用いて枠500が島400に固定されていたのであれば、釘503を抜くことによって島400から枠500を取外す。取外した枠500は、例えば、台車100の荷台131の空いている部分にでも乗せて(枠500は重量物ではないので、重さを支えられる程度にその一部を荷台131に乗せる程度でも十分である)、遊技機300とともに台車100で移動させれば良い。
【0054】
遊技機300を乗せた台車100は、例えば、遊技機300の入替え作業のため、島400の他の部分、或いは他の島400の前に移動させられる。
その状態で、遊技機300は台車100から島400へ乗せ換えられる。
かかる作業は、先程説明した、遊技機300の島400から台車100への乗せ換えの逆の作業として行えば良い。
遊技機300は、荷台131の上に位置している。荷台131の上におけるその位置は、島400から台車100への乗せ換え作業を行った後の、上述した位置である。
まず、島400の遊技機300を取付けるべき位置に、島400から取外された遊技機300が、島400へ取付けられていた状態で対となっていた上述の枠500を、再度取付ける。枠500の島400への取付方法は、例えば釘503を使って行うことができる。
次いで、台車100の荷台131に取付けられた土台部材710の上で、遊技機300を、右位置にあったスライド板740とともに左側に摺動させる。このとき、遊技機300をスライド板740の上で前方に多少摺動させる。
そして、台車100を島400に近づけ、荷台131の上の土台部材710、或いはスライド板740を、島400における前板403の上に位置させる。
その状態で、遊技機300を僅かに持ち上げ、遊技機300の下側を枠500に設けられたヒンジ金具502の下側のものと接続し、更には遊技機300の上側を枠500に設けられたヒンジ金具502の上側のものと接続する。
これにて、遊技機300が、島400に移動させられ、島400に取付けられた枠500に取付けられる。遊技機300を枠500に対して閉じた状態とすると、遊技機300の島400に対する取付けが終了する。
【符号の説明】
【0055】
110 ベース
111 キャスター
120 柱
123 長ナット
124 ボルト
124A 頭部
125 六角レンチ
131 荷台
131A ベース板
131C ブリッジ板
132 接続板
133 上部材
191Z 第2弾性体
400 島
401 下板
403 前板
500 枠
501 枠下板
710 土台部材
711 長孔
720 アングル材
740 スライド板
741 後係止部
742 右係止部
744 案内バー