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  • 特開-洗浄装置 図1
  • 特開-洗浄装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130611
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230913BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
B08B5/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034995
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】別府 永志
(72)【発明者】
【氏名】田島 渉吾
【テーマコード(参考)】
3B116
5F157
【Fターム(参考)】
3B116AA03
3B116AB01
3B116BB22
3B116BB82
3B116BB88
5F157AA74
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157BC35
5F157CF22
5F157CF30
5F157DA41
5F157DB02
5F157DB03
(57)【要約】
【課題】ドライアイススノー洗浄によるオイル除去において、ウエハ裏面へのオイルの回り込みを抑制する。
【解決手段】洗浄装置は、載置台101と、載置台101に載置されたウエハ151の表面にドライアイススノーを吹き付けるノズル102と、ウエハ151の周囲を囲う環状の環状部材103と、環状部材103の内周面に設けられた吹き出し口104とを備える。吹き出し口104は、ウエハ151の周縁部に向けてエアを吹き出す。吹き出し口104は、ウエハ151の周縁部の表面側に向けてエアを吹き出す。また、吹き出し口104は、ウエハ151の中心部に向けてエアを吹き出す。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象となるウエハの裏面側に空間を備える状態で前記ウエハを載置する載置台と、
前記載置台に載置された前記ウエハの表面にドライアイススノーを吹き付けるノズルと、
前記ウエハの周囲を囲う環状の環状部材と、
前記環状部材の内周面に設けられ、前記ウエハの周縁部に向けてエアを吹き出す吹き出し口と
を備える洗浄装置。
【請求項2】
請求項1記載の洗浄装置において、
前記吹き出し口は、前記ウエハの中心部に向けて前記エアを吹き出すことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項2記載の洗浄装置において、
前記吹き出し口は、前記ウエハの外周に沿って設けられており、前記吹き出し口と前記ウエハの外周との距離は全周において略同一となっていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の洗浄装置において、
前記吹き出し口は、複数設けられていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項4記載の洗浄装置において、
前記吹き出し口は、偶数個設けられ、
一対の前記吹き出し口は、前記ウエハの中心に点対称な位置に配置されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の洗浄装置において、
前記環状部材に設けられて、前記載置台の上で前記ウエハを押さえるウエハ押さえ機構を備えることを特徴とする洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハなどを洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体チップ内に、ピエゾ抵抗素子が形成された半導体膜から2つのダイアフラムを平面方向に並んで配置し、それぞれのダイアフラムの直上に形成された2つの部屋(ダイアフラム室)を連通路によって互いに空間的に接続した構造のセンサチップを用いたダイアフラム並列配置型の差圧計が知られている。
【0003】
この種の差圧計では、一方のダイアフラムに加えられた圧力を他方のダイアフラムに伝達させるために、2つの部屋および連通路を、オイルなどによる圧力伝達物質で満たしている。また、2つの部屋および連通路に満たしたオイルは、これらの空間に封入するため、オイルの導入孔を、封止部材で封止している。このオイルの封入は、一般に、ウエハに形成されている複数のセンサチップの各々のダイアフラム室内を真空状態とした後、ウエハをオイルに浸し、ダイアフラム室に連通する導入孔よりダイアフラム室内にオイルを導入してダイアフラム室内をオイルで満たした後、導入孔を封止している。
【0004】
このため、ウエハ表面がオイルで汚染されるという問題がある。このオイル残渣によって他の設備を汚染し、また、特性検査でのプローブ接触やダイシングテープの貼り付けなどでトラブルの原因ともなる。このため、従来、ウエハ表面に残ったオイルを、洗浄・除去してから後工程へ投入している。この洗浄には、ドライアイススノー洗浄が用いられている(特許文献1参照)。ドライアイススノー洗浄は、液化炭酸ガスから作るドライアイス微粒子を、窒素やドライエアなどの推進ガスに混合し、高速で洗浄対象部に衝突させ、洗浄対象の表面のパーティクルや有機物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3493492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術では、ドライアイス微粒子を推進ガスに混合してウエハ表面に吹き付ける際に、除去しようとしているオイルが流されてウエハ裏面に回り込み、ウエハ裏面にオイル残渣が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、ドライアイススノー洗浄によるオイル除去において、ウエハ裏面へのオイルの回り込みを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る洗浄装置は、対象となるウエハの裏面側に空間を備える状態でウエハを載置する載置台と、載置台に載置されたウエハの表面にドライアイススノーを吹き付けるノズルと、ウエハの周囲を囲う環状の環状部材と、環状部材の内周面に設けられ、ウエハの周縁部に向けてエアを吹き出す吹き出し口とを備える。
【0009】
上記洗浄装置の一構成例において、吹き出し口は、ウエハの中心部に向けてエアを吹き出す。
【0010】
上記洗浄装置の一構成例において、吹き出し口は、ウエハの外周に沿って設けられており、吹き出し口とウエハの外周との距離は全周において略同一となっている。
【0011】
上記洗浄装置の一構成例において、吹き出し口は、複数設けられている。
【0012】
上記洗浄装置の一構成例において、吹き出し口は、偶数個設けられ、一対の吹き出し口は、ウエハの中心に点対称な位置に配置されている。
【0013】
上記洗浄装置の一構成例において、環状部材に設けられて、載置台の上でウエハを押さえるウエハ押さえ機構を備える。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、ウエハの周囲を囲う環状の環状部材を設け、環状部材の内周面にウエハの周縁部に向けてエアを吹き出す吹き出し口を設けたので、ドライアイススノー洗浄によるオイル除去において、ウエハ裏面へのオイルの回り込みが抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の一部構成を示す断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の構成を示す斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る洗浄装置の一部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る洗浄装置について図1図2図3を参照して説明する。
【0017】
この洗浄装置は、載置台101と、載置台101に載置されたウエハ151の表面にドライアイススノーを吹き付けるノズル102と、ウエハ151の周囲を囲う環状の環状部材103と、環状部材103の内周面に設けられた吹き出し口104とを備える。また、図2に示すように、環状部材103に設けられて、載置台101の上でウエハ151を押さえるウエハ押さえ機構108を備えることができる。
【0018】
載置固定台101は、対象となるウエハ151の裏面側に空間121を備える状態でウエハ151を載置固定する。ウエハ151は、例えば、載置固定台101が真空吸着によりウエハ151の裏面を吸着して固定してもよいし、図2に示すように、環状部材103に設けられて、載置固定台101の上でウエハ151を押さえるウエハ押さえ機構108で固定してもよい。吹き出し口104は、ウエハ151の周縁部の表面側に向けてエアを吹き出す。また、吹き出し口104は、ウエハ151の中心部に向けてエアを吹き出す構造となっている。
【0019】
例えば、環状部材103の側面には、エア供給口105が設けられている。エア供給口105から供給されるエアは、環状部材103の内部を貫通する第1流路106および第2流路107を経て、吹き出し口104から吹き出される。例えば、環状部材103は、本体103aと、本体103aの上面を覆おう蓋部103bとから構成することができる。第2流路107は、本体103aの上面と蓋部103bとの間に設けられた隙間から構成することができる。この隙間による第2流路107の環状部材103の内周面側の出口を、吹き出し口104とすることができる。
【0020】
また、吹き出し口104はウエハ151外周に沿って設けられており、吹き出し口104とウエハ151外周との距離は全周にわたって略同一の距離となっている。また、吹き出し口104は、複数設けることができる。吹き出し口104は、例えば、偶数個設け、一対の吹き出し口104は、ウエハ151の中心に点対称な位置に配置することができる。また、第2流路107を、環状部材103の全周に連続して設け、吹き出し口104を環状部材103の内周面側において、全周に連続して設けることができる。
とすることができる。
【0021】
次に、上述した洗浄装置による洗浄動作について説明する。まず、載置台101にウエハ151を載置して載置する。次いで、環状部材103を、載置台101の載置されているウエハ151の周囲に配置する。環状部材103には、ウエハ押さえ機構108が設けられており、ウエハ押さえ機構108の先端部に設けられているプランジャでウエハ151を上から抑えつける。次に、環状部材103の吹き出し口104より、ウエハ151の周縁部に向けてエアを吹き付ける。吹き出し口104より吹き出されるエアは、ウエハ151の周縁部の表面に向かって、斜め上方から吹き付けられる(図3)。上述したエアの吹き出し(吹き付け)方向は、ウエハ151の表面の面に直交する成分と、ウエハ151の表面の面に平行な成分とを合成した方向となる。
【0022】
この状態で、ノズル102より推進ガスに混合したドライアイス微粒子(ドライアイススノー)を吐出し、ウエハ151の表面に吹き付ける。ウエハ151の表面で、ノズル102のx軸方向の直線走査を、直交するy軸方向に逐次走査していくことで、ウエハ151の表面全域にドライアイススノーを吹き付けて洗浄を実施する。
【0023】
上述したドライアイススノーの吹き付けによって、ウエハ151の表面に付着しているオイルが洗浄・除去されるが、これらの一部がウエハ151の外周方向へ移動していく。しかしながら、吹き出し口104より吹き出されるエアの吹き付けによって、上述したオイルの移動は抑制され、ウエハ151の端面からウエハ151の裏面へのオイルの回り込みが抑制される。このように、ウエハ151の裏面へのオイルの回り込みが抑制されている状態で、ドライアイススノーの吹き付けを実施することによって、ウエハ151の表面のオイルがやがて除去される。
【0024】
以上に説明したように本発明によれば、ウエハの周囲を囲う環状の環状部材を設け、環状部材の内周面にウエハの周縁部に向けてエアを吹き出す吹き出し口を設けたので、ドライアイススノー洗浄によるオイル除去において、ウエハ裏面へのオイルの回り込みが抑制できるようになる。
【0025】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0026】
101…載置台、102…ノズル、103…環状部材、103a…本体、103b…蓋部、104…吹き出し口、105…エア供給口、106…第1流路、107…第2流路、108…ウエハ押さえ機構、121…空間、151…ウエハ。
図1
図2
図3