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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130615
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20230913BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230913BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230913BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20230913BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20230913BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230913BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20230913BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20230913BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20230913BHJP
【FI】
H02J7/04 H
H02J50/10
H02J7/00 301D
H02J7/00 P
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L50/60
B60L53/12
B60L53/30
B60L58/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035002
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100224546
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 龍
(72)【発明者】
【氏名】新妻 素直
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CB13
5G503FA06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BC21
5H125BC24
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE27
5H125FF14
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】簡易な設備構成で車両の電池を適切に保温する。
【解決手段】給電システム1は、電池73を搭載する車両Vに給電する。給電システム1は、断熱材を含んで構成され、車両Vを収容する収容部10と、収容部10に収容された車両Vの電池73に給電する給電装置20と、給電装置20による電池73への給電を制御する給電制御部8と、収容部10の内部の温度を検出する温度センサ60と、を備える。給電制御部8は、温度センサ60によって検出された温度が電池73の保温に適した温度範囲となるように、電池73への給電を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を搭載する車両に給電する給電システムであって、
断熱材を含んで構成され、前記車両を収容する収容部と、
前記収容部に収容された前記車両の前記電池に給電する給電部と、
前記給電部による前記電池への給電を制御する給電制御部と、
前記収容部の内部の温度を検出する温度センサと、を備え、
前記給電制御部は、前記温度センサによって検出された前記温度が前記電池の保温に適した温度範囲となるように、前記電池への給電を制御する、給電システム。
【請求項2】
前記給電制御部は、前記温度センサによって検出された前記温度が前記温度範囲の上限より高い場合に、前記電池への給電を停止するように前記給電部に指示する、請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記給電制御部は、前記温度センサによって検出された前記温度が前記温度範囲の下限より低い場合に、前記電池への給電を開始するように前記給電部に指示する、請求項1又は2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記給電制御部は、前記温度センサによって検出された前記温度が前記温度範囲の下限より低く、且つ前記電池の充電率が所定の閾値より高い場合に、前記電池からの放電の開始を指示する信号を出力する、請求項1~3のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記温度センサは、前記収容部の内部において前記収容部の床面よりも前記収容部の天井壁に近い位置に設置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項6】
前記給電部は、前記収容部の床面に設置され、前記電池に対して非接触で送電するコイル部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項7】
前記コイル部は、前記床面から前記収容部の内部に露出している、請求項6に記載の給電システム。
【請求項8】
前記給電部は、前記コイル部と電気的に接続され、前記コイル部に対して送電する送電回路部を更に含み、
前記送電回路部は、前記収容部の内部において前記収容部の天井壁よりも前記床面に近い位置に設置されている、請求項6又は7に記載の給電システム。
【請求項9】
前記給電部である第1給電部及び第2給電部を備え、
前記第1給電部及び前記第2給電部は、前記収容部の床面に沿った方向に離間して設置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項10】
前記温度センサは、前記収容部の床面に沿った方向において、前記第1給電部と前記第2給電部との間に位置している、請求項9に記載の給電システム。
【請求項11】
前記収容部の内部へ前記車両を誘導する誘導制御部を更に備え、
前記収容部には、前記車両が通過可能な開口部と、前記開口部を開閉可能な扉部と、前記開口部を前記車両が通過したか否かを検出する通過センサとが設けられ、
前記誘導制御部は、前記開口部から前記収容部の内部へ前記車両が進入するときに、前記扉部を開状態に制御し、前記開口部を前記車両が通過したことを前記通過センサが検出したときに、前記扉部を閉状態に制御する、請求項1~10のいずれか一項に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に給電する給電システムに関する技術として、例えば特許文献1に記載された建物構造が知られている。この建物構造では、充電中の車両に対して、空調装置により冷気又は暖気が供給される。また、このような車両に搭載される電池に着目した技術として、例えば特許文献2,3に記載された技術が知られている。特許文献2には、車両に搭載され、車両の内部の電池を収納する開閉式の電池収納装置が記載されている。特許文献3には、建物の床下スペースに設置され、蓄電池を収納する蓄電池収納庫が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-038365号公報
【特許文献2】特開2004-327223号公報
【特許文献3】特開2010-192409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような給電システムでは、例えば、駐車施設に駐車している電気自動車等の車両に対して給電が行われる。駐車中の車両は、通常、暖房等の電気装置が作動していない状態であるため、車両の温度は、周囲の環境温度の変化に応じて大きく変化し得る。このような温度変化は、車両に搭載される電池の性能に大きな影響を与え得る。従って、電池の性能を維持する観点から、電池を適切に保温することが重要となる。一方で、例えば特許文献1~3に記載された技術では、電池の環境温度の変化を抑えるための設備が別途必要となるので、設備構成が複雑となり得る。特に、特許文献1のように空調設備を用いる場合には、空調設備へのエネルギー供給が別途必要になるため、消費エネルギーが増大するという問題も生じ得る。
【0005】
本開示は、簡易な設備構成で車両の電池を適切に保温できる給電システムを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る給電システムは、電池を搭載する車両に給電する給電システムであって、断熱材を含んで構成され、車両を収容する収容部と、収容部に収容された車両の電池に給電する給電部と、給電部による電池への給電を制御する給電制御部と、収容部の内部の温度を検出する温度センサと、を備え、給電制御部は、温度センサによって検出された温度が電池の保温に適した温度範囲となるように、電池への給電を制御する。
【0007】
上記の給電システムでは、車両を収容する収容部が断熱材を含んで構成されている。これにより、車両への給電時に電池等から発生する熱を、収容部の内部に留めることができる。更に、上記の給電システムでは、収容部の内部の温度が電池の保温に適した温度範囲となるように、電池への給電が制御される。電池への給電の制御によって、電池等の発熱に伴う収容部の内部の熱量の変化を生じさせることができるため、この熱量の変化を利用して、収容部の内部の温度を電池の保温に適した温度範囲となるように調整できる。このように給電時に発生する熱を利用して収容部の内部の温度を調整する構成とすれば、収容部の内部の温度を調整するための設備を別途必要とすることなく、簡易な設備で車両の電池を適切に保温することが可能となる。
【0008】
いくつかの態様において、給電制御部は、温度センサによって検出された温度が温度範囲の上限より高い場合に、電池への給電を停止するように給電部に指示してもよい。この場合、電池への給電時に発生する熱に起因する収容部の内部の温度上昇を抑制できる。これにより、収容部の内部の温度を、電池の保温に適した温度範囲の上限を超えないように調整できる。
【0009】
いくつかの態様において、給電制御部は、温度センサによって検出された温度が温度範囲の下限より低い場合に、電池への給電を開始するように給電部に指示してもよい。この場合、電池への給電時に発生する熱に起因する収容部の内部の温度上昇を促進できる。これにより、収容部の内部の温度を、電池の保温に適した温度範囲の下限を下回らないように調整できる。
【0010】
いくつかの態様において、給電制御部は、温度センサによって検出された温度が温度範囲の下限より低く、且つ電池の充電率が所定の閾値より高い場合に、電池からの放電の開始を指示する信号を出力してもよい。この構成によれば、電池の充電率が高い場合であっても、電池から放電させることによって、放電時に発生する熱を利用した収容部の内部の温度上昇を促進できる。これにより、収容部の内部の温度を、電池の保温に適した温度範囲の下限を下回らないようにより確実に調整できる。
【0011】
いくつかの態様において、温度センサは、収容部の内部において収容部の床面よりも収容部の天井壁に近い位置に設置されていてもよい。この場合、温度センサが収容部の床面に設置される場合と比べて、温度センサが車両の移動の妨げとなる事態を抑制できる。また、給電時に電池から発生する熱により暖められた空気は、対流により上昇して天井壁の付近に溜まりやすいので、天井壁に近い位置に設置された温度センサが検出した温度を、電池の環境温度として適切に利用できる。
【0012】
いくつかの態様において、給電部は、収容部の床面に設置され、電池に対して非接触で送電するコイル部を含んでもよい。この場合、給電時において、電池から発生する熱に加えて、コイル部から発生する熱も、収容部の内部の温度の調整に利用できる。
【0013】
いくつかの態様において、コイル部は、床面から収容部の内部に露出していてもよい。この場合、給電時にコイル部から発生する熱が収容部の内部に留まりやすくなるので、コイル部から発生する熱を利用して、収容部の内部の温度を効率良く調整できる。
【0014】
いくつかの態様において、給電部は、コイル部と電気的に接続され、コイル部に対して送電する送電回路部を更に含み、送電回路部は、収容部の内部において収容部の天井壁よりも床面に近い位置に設置されていてもよい。この場合、給電時において、電池及びコイル部から発生する熱に加えて、送電回路部から発生する熱も、収容部の内部の温度の調整に利用できる。更に、送電回路部が収容部の床面に近い位置に設置されることにより、送電回路部から発生する熱を利用して、収容部の内部の温度を効率良く調整できる。
【0015】
いくつかの態様において、給電システムは、給電部である第1給電部及び第2給電部を備え、第1給電部及び第2給電部は、収容部の床面に沿った方向に離間して設置されていてもよい。この場合、収容部に設置される複数の給電部を用いて、複数台の車両を同時に給電できる。これにより、それぞれの車両の電池への給電時に発生する熱を利用して、収容部の内部の温度を効率良く調整できる。更に、このように複数台の車両が収容部で給電できるようにすることにより、給電が必要な車両が収容部の内部に存在する可能性を高めることができる。その結果、給電時に発生する熱を利用した収容部の内部の温度の調整を継続して行うことが可能となる。
【0016】
いくつかの態様において、温度センサは、収容部の床面に沿った方向において、第1給電部と第2給電部との間に位置していてもよい。この場合、収容部の内部において温度センサを車両の移動の妨げとならない位置に配置しつつ、車両の電池に近い位置まで近づけることができる。その結果、温度センサが検出した温度を、電池の環境温度としてより適切に利用できる。
【0017】
いくつかの態様において、給電システムは、収容部の内部へ車両を誘導する誘導制御部を更に備え、収容部には、車両が通過可能な開口部と、開口部を開閉可能な扉部と、開口部を車両が通過したか否かを検出する通過センサとが設けられ、誘導制御部は、開口部から収容部の内部へ車両が進入するときに、扉部を開状態に制御し、開口部を車両が通過したことを通過センサが検出したときに、扉部を閉状態に制御してもよい。この場合、収容部の開口部が開放状態となる時間を極力短くすることができるので、収容部の内部において暖められた空気が外部に放出されてしまう事態を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本開示のいくつかの態様によれば、簡易な設備構成で車両の電池を適切に保温できる給電システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、一実施形態に係る給電システムが備える駐車施設を上方から見た断面図である。
図2図2は、駐車施設を側方から見た断面図である。
図3図3は、駐車施設を収容部の開口部側から見た側面図である。
図4図4(a)は、収容部において停車する車両を側方から見た断面図である。図4(b)は、収容部において停車する車両を後方から見た断面図である。
図5図5は、給電システムが備える駐車施設及び駐車施設制御装置の構成を示すブロック図である。
図6図6は、駐車施設制御装置が参照する駐車リストを示す図である。
図7図7は、車両の構成を示すブロック図である。
図8図8は、駐車施設制御装置が実行する進入処理を示すフローチャートである。
図9図9は、駐車施設制御装置が実行する給電処理を示すフローチャートである。
図10図10は、駐車施設制御装置が実行する退出処理を示すフローチャートである。
図11図11は、車両制御装置が実行する充電処理を示すフローチャートである。
図12図12は、駐車施設制御装置が実行する給電処理の変形例を示すフローチャートである。
図13図13は、駐車施設の変形例を上方から見た断面図である。
図14図14は、図13の駐車施設を側方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0021】
<給電システムの構成>
図1に示す給電システム1は、電池73(図4(b)参照)を搭載する車両Vに対して給電するためのシステムである。車両Vは、電池73の電力によって走行する電気自動車である。ここでの電気自動車は、動力源として電動モータのみを備える自動車であってもよいし、動力源として電動モータ及び内燃機関を備えるプラグインハイブリッド自動車であってもよい。本実施形態では、車両Vが、自動で走行する自動運転車両である場合を例示する。車両Vは、給電システム1からの指示に基づいて、自動で走行して所定の位置に到達し、当該位置において給電を受けることができる。つまり、車両Vは、無人の状態にて自動で給電を受けることができる。
【0022】
以下の説明において、「下」との語は、車両Vが走行可能に路面Rに置かれた状態において、車両Vから路面Rに向かう方向(鉛直方向の下側)を意味し、「上」との語は、路面Rから車両Vに向かう方向(鉛直方向の上側)を意味する。また、路面Rに沿った一方向を「方向D1」と称し、路面Rに沿い且つ当該一方向と交差する方向を「方向D2」と称する。
【0023】
給電システム1は、駐車施設2と駐車施設制御装置3(図5参照)とを備える。駐車施設2は、車両Vが駐車して給電を受けるための施設である。図1に示すように、駐車施設2は、例えば、収容部10と、複数の給電装置20(給電部)と、複数の照明30と、通過センサ40と、車両センサ50と、温度センサ60とを有する。収容部10は、車両Vを収容可能な収容施設である。収容部10は、少なくとも1台の車両Vを収容可能な大きさを有する。本実施形態では、収容部10は、複数台(一例では4台)の車両Vを収容可能である。収容部10は、例えば、路面R上に設置された建築物である。収容部10は、独立した建築物であってもよいし、複数の部屋を有する建物内の一室によって構成されていてもよい。収容部10は、簡易的に車両Vを覆う構造物であってもよい。
【0024】
図1及び図2に示すように、収容部10は、例えば、方向D1を長手方向とする直方体状の外観を有する。収容部10は、床面11と壁部12を含んで構成される。床面11は、例えば、建築物の内部を構成する床面であり、方向D1及び方向D2に沿って延びている。床面11は、地面に設けられた路面Rによって構成されてもよい。壁部12は、床面11との間で、少なくとも1台の車両Vを収容可能な内部空間を規定する。壁部12は、例えば、天井壁13(図2参照)と、4つの側壁14、15、16、17とを含んで構成される。側壁14、15、16、17は、例えば、床面11から上方に延びる矩形状を呈している。側壁14、15は、方向D1において互いに対向するように配置され、側壁16、17は、方向D2において互いに対向するように配置されている。図2に示すように、天井壁13は、側壁14、15、16、17の上端に形成される開口を閉じるように設けられ、床面11と上下に対向する。
【0025】
図1から図3に示すように、側壁14には、車両Vが収容部10へ進入又は収容部10から退出するための開口部18が形成されている。開口部18は、例えば、側壁14を貫通する矩形状の貫通孔である(図3参照)。開口部18は、1台の車両Vが通過可能な大きさを有しており、収容部10の内部と外部とを連通している。収容部10の床面11と外部の路面Rとは、開口部18を介して滑らかに(すなわち、大きな段差無しに)繋がっている。これにより、車両Vは、路面Rから床面11への移動、床面11から路面Rへの移動を容易に行うことができる。なお、路面Rは、地面に設けられた路面に限らず、車両Vが走行可能であれば、例えば建物の内部の床面であってもよい。
【0026】
図1及び図2に示すように、収容部10には、開口部18を開閉するための扉部19が設けられている。扉部19は、例えば、駐車施設制御装置3からの指示に基づいて開閉可能な電動式の扉部である。扉部19の開閉動作の動力としては、例えば、電動モータ又は圧縮空気が用いられる。扉部19が開状態である場合、開口部18は開放状態となり、開口部18を介して収容部10の内部と外部とが連通する。一方、扉部19が閉状態である場合、開口部18は閉鎖状態となり、床面11と壁部12と扉部19とによって、収容部10の内部が閉塞される。扉部19の構成は、開口部18を開閉可能であれば、特に限定されない。例えば、扉部19は、電動で左右にスライドして開閉動作を行う一対の扉部材によって構成されてもよいし、電動で上下軸を中心に回転して開閉動作を行う1枚の扉部材によって構成されてもよい。扉部19は、電動式の扉部である必要は無く、例えば手動で開閉可能な手動式の扉部であってもよい。
【0027】
収容部10の壁部12は、収容部10の内部と外部との伝熱を抑制する断熱材を含んで構成される。断熱材は、例えば、グラスウール等である。断熱材は、壁部12の一部又は全部に設けられている。本実施形態では、断熱材は、壁部12の内面の全体、及び扉部19の内面の全体に設けられている。これにより、収容部10の内部と外部との間の断熱性が確保されている。扉部19が閉状態である場合、収容部10の内部が閉塞された状態となるため、収容部10の内部と外部との間の断熱性が高められる。この状態において、開閉動作のための扉部19と側壁14との間に生じる隙間、及び壁部12を構成する部材の寸法誤差による隙間、といった微小な隙間が収容部10に生じ得る。しかし、このような微小な隙間以外には、収容部10の内部と外部との間を流れ得る空気の経路が生じない。従って、扉部19が閉状態である場合、収容部10の内部と外部との間を流れ得る空気は極めて少ないため、収容部10は高い断熱性を発揮できる。
【0028】
収容部10の床面11には、複数の駐車区画Pが予め設定されている。各駐車区画Pは、収容部10の内部に進入した車両Vが停車する位置を規定する区画である。各駐車区画Pには、1台の車両Vが停車可能である。各駐車区画Pは、例えば、床面11において方向D1に並んで配置されている。各駐車区画Pは、方向D1に間隔を空けて並ぶ複数の区画境界線L1によって区画されている。各区画境界線L1は、例えば、方向D2に直線状に延在しており、方向D1に等間隔に並んで配置されている。各区画境界線L1は、例えば、床面11と異なる色で描かれた線(例えば白線)としてよい。
【0029】
各駐車区画Pは、互いに方向D1に隣り合う2本の区画境界線L1に挟まれた領域として規定される。車両Vは、搭載するカメラ91(図7参照)によって撮像された画像から、互いに隣り合う2本の区画境界線L1を抽出し、抽出した2本の区画境界線L1に挟まれた領域を駐車区画Pとして把握可能である。従って、区画境界線L1は、駐車区画Pに車両Vを誘導するための目印となる。駐車区画Pは、収容部10の外部に設定された停止区画PXに停車する車両Vのカメラ91の撮像視野内に、駐車区画Pを示す2本の区画境界線L1が入るように設定されている。各駐車区画Pは、床面11と同一の色(すなわち、床面11と均一な外観)を有してもよいし、床面11及び区画境界線L1とは異なる色で塗装されてもよい。
【0030】
図1に示す例では、4つの駐車区画Pが設定される場合を示しているが、駐車区画Pの数は特に限定されない。床面11において、1つの駐車区画Pのみが設定されてもよいし、2つ、3つ又は5つ以上の駐車区画Pが設定されてもよい。なお、図1では、便宜上、各駐車区画Pが破線で示されているが、実際に破線が床面11に描かれている必要は無い。以下では、4つの駐車区画Pをそれぞれ区別して説明する場合には、4つの駐車区画Pを側壁15側から順に、「駐車区画PA」、「駐車区画PB」、「駐車区画PC」、「駐車区画PD」として説明する。4つの駐車区画Pをそれぞれ区別せずに説明する場合には、これらをまとめて「駐車区画P」として説明する。
【0031】
図1に示すように、収容部10の外部の路面Rには、1つの停止区画PXが予め設定されている。停止区画PXは、収容部10への進入を要求する車両Vが一時停止する位置を規定する区画である。停止区画PXには、1台の車両Vが停車可能である。停止区画PXは、路面Rにおいて収容部10の開口部18と方向D1に隣接する位置に設定されている。停止区画PXは、方向D2の両側に設けられる2本の区画境界線L2によって規定される。つまり、停止区画PXは、2本の区画境界線L2に挟まれた領域として規定される。2本の区画境界線L2は、方向D2に間隔を空けて並んで配置され、方向D1に直線状に延在している。2本の区画境界線L2は、例えば、路面Rと異なる色で描かれた線(例えば白線)である。
【0032】
車両Vは、搭載するカメラ91(図7参照)によって撮像された画像から、2本の区画境界線L2を抽出し、抽出した2本の区画境界線L2に挟まれた領域を停止区画PXとして把握可能である。停止区画PXは、路面Rと同一の色(すなわち、路面Rと均一な外観)を有してもよいし、路面R及び区画境界線L2とは異なる色で塗装されてもよい。なお、図1では、便宜上、停止区画PXが破線で示されているが、実際に破線が路面Rに描かれている必要は無い。
【0033】
複数の給電装置20は、複数の駐車区画Pに対応して方向D1に並んで設置されている。本実施形態では、複数の給電装置20は、複数の駐車区画Pのうちのいくつかの駐車区画Pにそれぞれ設置され、他の駐車区画Pには設置されない。従って、本実施形態では、収容部10には、給電装置20が設置された駐車区画Pと、給電装置20が設置されない駐車区画Pとが存在している。図1に示す例では、駐車区画PAに給電装置20Aが設置され、駐車区画PBに給電装置20Bが設置され、駐車区画PCに給電装置20Cが設置され、駐車区画PDには給電装置20が設置されない。以下の説明では、3つの給電装置20A、20B、20Cを区別せずに説明する場合には、これらをまとめて「給電装置20」として説明する。なお、全ての駐車区画Pに1つずつ給電装置20が設置されてもよい。
【0034】
給電装置20は、駐車区画Pに停車している車両Vに対して給電を行う装置である。本実施形態では、給電装置20が、車両Vに対して非接触で給電する場合を例示する。給電装置20の給電方式は、電磁誘導方式であってもよいし、磁気共鳴方式等の他の方式であってもよい。図4(a)に示すように、給電装置20は、例えば、送電コイル部21(コイル部)と、送電回路部22と、ケーブル23とを有する。送電コイル部21、送電回路部22、及びケーブル23は、駐車区画Pへ進入及び退出する車両Vの移動を妨げないように配置されている。
【0035】
送電コイル部21は、例えば、駐車区画Pの床面11上に設置されている。具体的には、送電コイル部21は、床面11から上方に突出するように設置され、収容部10の内部に露出している。送電コイル部21は、駐車区画Pに車両Vが停車したときに、車両Vに搭載された受電コイル部71と上下に対向する位置に設けられる。送電コイル部21は、床面11に埋設されていてもよく、収容部10の内部に露出していなくてもよい。
【0036】
送電回路部22は、例えば、駐車区画Pの側壁16の内面16a上に設置されている。具体的には、送電回路部22は、内面16aから方向D2に突出するように設置され、収容部10の内部に露出している。送電回路部22は、例えば、内面16a上において天井壁13よりも床面11に近い高さに設置され、駐車区画Pに停車した車両Vと方向D1に対面する。送電回路部22は、床面11に接するように設置されてもよい。送電回路部22は、床面11又は側壁16に埋設されてもよく、収容部10の内部に露出していなくてもよい。
【0037】
ケーブル23は、送電コイル部21と送電回路部22とを接続している。ケーブル23は、例えば、床面11及び内面16a上に敷設されており、収容部10の内部に露出している。ケーブル23は、床面11上を送電コイル部21から側壁16に向かって延在し、内面16aに沿って上方に延在して送電回路部22に至っている。ケーブル23は、例えば、車両Vのタイヤが乗り上げ可能な強度を有する。ケーブル23は、床面11又は側壁16に埋設されてもよく、収容部10の内部に露出していなくてもよい。なお、或る構成が収容部10の内部に露出している状態とは、当該或る構成の少なくとも一部が収容部10の内部空間に接している状態であれば、当該或る構成が必ずしも床面11又は内面16a等から突出している必要は無く、当該或る構成の一部が床面11又は側壁16に埋め込まれた状態であってもよい。収容部10の内部に露出する部分は、或る構成の最外部としてよい。例えば、送電コイル部21が最外部に筐体を有する場合、その筐体部の少なくとも一部が収容部10の内部に露出していればよい。
【0038】
送電回路部22は、外部電源から供給される電力を高周波交流電力に変換し、変換した高周波交流電力を、ケーブル23を介して送電コイル部21へ供給する。外部電源は、例えば50Hz又は60Hzの商用電源等としてよい。外部電源としては、太陽光発電及び風力発電等の電力が用いられてもよいし、太陽光発電及び風力発電等の電力に対して安定化のために蓄電池の電力が組み合わせられた電力が用いられてもよい。送電回路部22は、外部電源からの交流又は直流の電力を入力とし、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路、整流器、及びDC-DCコンバータ等を用いて所定電圧の直流電力に変換し、更にインバータによって高周波交流電力に変換してもよい。送電回路部22が送電コイル部21へ供給する交流電力の周波数は、例えば100kHzであってもよい。なお、外部電源から供給される電力が直流の電力である場合、力率改善回路を省略できる。送電回路部22は、駐車施設制御装置3からの指示に基づいて、車両Vへの給電の開始及び停止を行うことができる。
【0039】
送電コイル部21は、車両Vに対して非接触で送電する。送電コイル部21は、ケーブル23を介して供給された高周波交流電力を磁場に変換する。送電コイル部21が発生した磁場は、車両Vに搭載された受電コイル部71に、電磁誘導によって起電力を発生させる。これにより、受電コイル部71に対して非接触での送電が行われる。送電コイル部21は、例えば、サーキュラー型コイルと、非接触での送電効率を高めるためのキャパシタ及びインダクタとを含む。但し、送電コイル部21の内部構成は、非接触での受電コイル部71への送電が可能であれば、他の構成であってもよい。
【0040】
図1及び図2に示すように、複数の照明30は、複数の駐車区画Pにそれぞれ対応する位置に配置されている。複数の駐車区画Pにそれぞれ対応する位置とは、例えば、複数の駐車区画Pの床面11とそれぞれ上下に対向する位置としてよい。本実施形態では、各照明30は、方向D1に等間隔に並ぶように天井壁13の内面13aに設置され、各駐車区画Pの床面11の中央と(すなわち、各駐車区画Pを挟む2本の区画境界線L1の中間位置)上下に対向するように配置される。
【0041】
本実施形態では、駐車区画PAの中央の上方に照明30Aが設置され、駐車区画PBの中央の上方に照明30Bが設置され、駐車区画PCの中央の上方に照明30Cが設置され、駐車区画PDの中央の上方に照明30Dが設置される。以下の説明では、4つの照明30A、30B、30C、30Dを区別せずに説明する場合には、これらをまとめて「照明30」として説明する。
【0042】
照明30は、例えば、白色発光ダイオードとしてよい。この場合、照明30は、電源とパワーMOSFET等の電子制御素子とによって駆動される。照明30は、駐車施設制御装置3からの指示に基づいて、点灯と消灯とを切り替える。具体的には、駐車施設制御装置3からの指示によって、複数の照明30のうちの1つの照明30が点灯状態に制御され、他の照明30は消灯状態に制御される。点灯する1つの照明30は、対応する駐車区画Pを挟む2本の区画境界線L1を照らす。車両Vは、搭載するカメラ91によって撮像された画像から、点灯する照明30が照らす2本の区画境界線L1を認識し、認識した2本の区画境界線L1に挟まれる駐車区画Pを目標位置として自動で走行することができる。
【0043】
通過センサ40は、収容部10における開口部18の周囲に設置され、開口部18を車両Vが通過したか否かを検出する。図3に示すように、通過センサ40は、例えば、複数(本実施形態では3つ)のセンサユニット41を有する。複数のセンサユニット41は、例えば、開口部18の縁部において、互いに異なる高さとなるように上下に間隔を空けて設置されている。各センサユニット41の高さは、開口部18を通過し得る車両Vの高さに応じて設定される。複数のセンサユニット41の少なくとも1つは、開口部18を通過し得る最も背の低い車両Vよりも低い位置に設置される。
【0044】
各センサユニット41は、レーザビームBを照射する照射部42と、照射部42からのレーザビームBを受光する受光部43とによって構成されている。照射部42及び受光部43は、開口部18を挟んで方向D2に対向するように配置されている。車両Vが開口部18を通過していない場合には、全てのセンサユニット41において、照射部42から照射されるレーザビームBが、対応する受光部43に受光される。一方、車両Vが開口部18を通過している場合には、少なくとも1つのセンサユニット41において、照射部42から照射されるレーザビームBが、開口部18を通過中の車両Vに遮られるため、受光部43に受光されない。そして、車両Vが開口部18を通過した後には、車両Vに遮られていたレーザビームBが再び受光部43に受光される。
【0045】
そこで、通過センサ40は、全てのセンサユニット41においてレーザビームBが受光部43に受光されている間は、車両Vが開口部18を通過していないと判断する。一方、通過センサ40は、少なくとも1つのセンサユニット41において受光部43へのレーザビームBの受光が遮られている間は、車両Vが開口部18を通過している途中と判断する。そして、通過センサ40は、レーザビームBの受光が遮られていた受光部43が再びレーザビームBを受光できたときに、車両Vが開口部18を通過した(すなわち、開口部18における車両Vの通過が終了したこと)と判断する。従って、通過センサ40は、少なくとも1つのセンサユニット41において、受光部43へのレーザビームBの受光が遮られてから、レーザビームBを受光部43が再び受光できたときに、車両Vが開口部18を通過したことを検出する。通過センサ40の検出結果は、駐車施設制御装置3に送信される。
【0046】
通過センサ40の構成は、上述した構成に限られない。例えば、通過センサ40は、1つのセンサユニット41のみを有する構成であってもよい。或いは、通過センサ40は、センサユニット41に代えてカメラを有する構成であってもよい。この場合、通過センサ40は、カメラによって撮像された画像から、車両Vが開口部18を通過したか否かを検出する。
【0047】
図1及び図2に示す車両センサ50は、収容部10の内部に設置され、収容部10の内部の駐車区画Pに車両Vが停車しているか否かを検出する。車両センサ50は、例えば、全ての駐車区画Pを撮影可能なカメラを用いて、それぞれの駐車区画Pにおける車両Vの有無を認識する。車両センサ50は、カメラによって撮像された画像から駐車区画Pに車両Vの存在を認識できた場合に、駐車区画Pでの車両Vの停車を検出する。一方、車両センサ50は、カメラによって撮像された画像から駐車区画Pに車両Vの存在を認識できない場合には、駐車区画Pでの車両Vの停車を検出しない。車両センサ50の検出結果は、駐車施設制御装置3に送信される。
【0048】
車両センサ50の種類は、特に限定されない。例えば、車両センサ50は、それぞれの駐車区画Pの床面11に埋め込まれ、床面11上の予め定められた範囲(例えば、床面11から数十cm上方までの範囲)内における金属を検出するセンサであってもよい。この場合、車両センサ50は、車両Vの下面に設けられた金属部分を検出した場合に、駐車区画Pでの車両Vの停車を検出する。一方、車両センサ50は、車両Vの下面に設けられた金属部分を検出しない場合には、駐車区画Pでの車両Vの停車を検出しない。
【0049】
温度センサ60は、収容部10の内部に設置され、収容部10の内部の温度を検出する。収容部10の内部の温度とは、収容部10の内部に存在する空気の温度である。図2に示すように、温度センサ60は、例えば、床面11よりも天井壁13の内面13aに近い位置に設置される。本実施形態では、温度センサ60は、支持部61を介して天井壁13の内面13aに設置され、天井壁13の内面13aよりも下方にずれた位置に配置される。温度センサ60の高さは、例えば、天井壁13の内面13aよりも低く、且つ収容部10に進入し得る最も背の高い車両Vよりも高い位置としてよい。
【0050】
図1に示すように、温度センサ60は、上方から見て、例えば、互いに隣り合う2つの駐車区画Pの間の区画境界線L1に重なる位置に配置されている。図1に示す例では、温度センサ60は、給電装置20Bが設置される駐車区画PBと、給電装置20Cが設置される駐車区画PCとの間の区画境界線L1の上方に配置されている。このように、互いに隣り合う給電装置20B(第1給電部)と給電装置20C(第2給電部)との間に温度センサ60が配置されることによって、温度センサ60が車両Vの移動の妨げとなる可能性を低減している。後述するように、車両Vへの給電時に電池73等に生じる熱により暖められた空気は、収容部10の内部において対流によって上昇するため、上方に設置された温度センサ60が検出した温度を、電池73の周囲の環境温度として適切に利用できる。温度センサ60の検出結果(すなわち、温度センサ60が検出した収容部10の内部の温度)は、駐車施設制御装置3に送信される。
【0051】
温度センサ60の構成は、上述した構成に限られない。例えば、温度センサ60は、駐車区画PBと駐車区画PCとの間において、駐車区画PB及び駐車区画PCに停車し得る車両Vの高さよりも低い位置(例えば、天井壁13の内面13aよりも床面11に近い位置)に設置されてもよい。この場合、温度センサ60が車両Vの移動の妨げとなる事態を回避しつつ、駐車区画Pに停車する車両Vが搭載する電池73に温度センサ60を近付けることができる。これにより、温度センサ60が検出した温度を、電池73の環境温度としてより適切に利用できる。
【0052】
収容部10の内部において複数の温度センサ60が設置されていてもよい。例えば、駐車区画PA、PBの間の区画境界線L1上に1つの温度センサ60が設置され、駐車区画PC、PDの間の区画境界線L1上に別の温度センサ60が設置されてもよい。この場合、駐車区画PA、PBの間の温度センサ60によって検出された温度を、駐車区画PA、PBに停車する車両Vの電池73の環境温度として利用してよく、駐車区画PC、PDの間の温度センサ60によって検出された温度を、駐車区画PC、PDに停車する車両Vの電池73の環境温度として利用してよい。或いは、複数の温度センサ60が検出した温度の平均値を、いずれかの駐車区画Pに停車する車両Vの電池73の環境温度として利用してもよい。
【0053】
図5に示す駐車施設制御装置3は、駐車施設2に対する各種の制御を行う。駐車施設制御装置3は、収容部10の内部に設けられていてもよいし、収容部10の外部に設けられていてもよい。駐車施設制御装置3は、例えば、通信部4と統括制御部5とを備えるコンピュータとして構成されている。通信部4は、駐車施設2及び車両Vと通信を行う通信機器である。通信部4は、無線通信器を備えており、車両Vと無線通信を行う。また、通信部4は、駐車施設2と有線通信又は無線通信を行う。収容部10が通信のための電波を通しにくい場合(例えば、収容部10の壁部12が金属を含む場合)には、収容部10の内部及び外部の双方に無線通信機器が設けられていてもよい。この場合、車両Vが収容部10の内部及び外部のいずれに位置する場合であっても、車両Vと通信部4との間の無線通信が可能となる。
【0054】
統括制御部5は、車両Vの誘導及び給電等の各種の制御を実行する処理部である。統括制御部5は、例えばマイクロプロセッサ、メモリ、及び動作を規定するプログラムを記憶する記憶装置等を備える電子制御ユニットによって構成されている。統括制御部5では、例えば、記憶装置に記憶されているプログラムをメモリにロードし、メモリにロードされたプログラムをマイクロプロセッサで実行することにより各種の機能が実現される。統括制御部5は、駐車区画Pと停止区画PXとの間において車両Vの移動を誘導し、駐車区画Pにおいて車両Vへの給電を行うように制御する。これらの処理を行うため、統括制御部5は、機能的構成として、例えば、駐車管理部6と、誘導制御部7と、給電制御部8とを有する。
【0055】
駐車管理部6は、駐車区画Pでの車両Vの駐車状況に関する情報を管理する。車両Vは、収容部10に進入しようとする場合、停止区画PXにおいて停車し、進入要求信号を駐車施設制御装置3に送信する。このとき、運転手は車両Vから降車し、車両Vは自動運転可能な状態となる。駐車管理部6は、駐車区画Pでの車両Vの駐車状況を示す駐車リストPL(図6参照)を含んでいる。駐車リストPLは、例えば統括制御部5のメモリに保持されている。
【0056】
図6に示す駐車リストPLには、駐車区画PA、PB、PC、PDにそれぞれ対応する格納欄CA、CB、CC、CDが設けられている。格納欄CA、CB、CC、CDには、対応する駐車区画PA、PB、PC、PDにそれぞれ車両Vが停車しているか否かを示す情報が記憶されている。図1に示すように駐車区画PA、PC、PDにそれぞれ車両Vが停車している場合、図6に示すように、格納欄CA、CC、CDに、駐車区画PA、PC、PDに停車している車両VのIDがそれぞれ書き込まれる。車両VのIDは、例えば、進入要求信号と共に車両Vから送信される。
【0057】
一方、駐車区画PCには車両Vが停車していないので、格納欄CBには、「空き」が記書き込まれる。駐車管理部6は、このような駐車リストPLを参照することにより、それぞれの駐車区画Pに車両Vが停車しているか否かを判定する。駐車管理部6は、例えば、車両Vからの進入要求信号を受信したときなどの所定のタイミングで車両センサ50から検出結果を取得し、当該検出結果に基づいて駐車リストPLを更新してよい。
【0058】
駐車管理部6は、全ての駐車区画Pに車両Vが停車していると判定した場合、すなわち、駐車リストPLに「空き」が記憶された駐車区画Pが無いと判定した場合、駐車区画Pへの車両Vの進入が不可であると判定する。この場合、駐車管理部6は、駐車区画Pへの車両Vの進入が不可であることを示す進入不可信号を車両Vに送信する。進入不可信号は、車両Vの進入が可能な駐車区画Pが無いことを通知する信号であってもよいし、駐車区画Pに向かわないよう車両Vに指示する信号であってもよい。
【0059】
一方、駐車管理部6は、少なくとも1つの駐車区画Pに車両Vが停車していないと判定した場合、すなわち、駐車リストPLに「空き」が記憶された駐車区画Pが有ると判定した場合、駐車区画Pへの車両Vの進入が可能であると判定する。この場合、駐車管理部6は、空いている駐車区画Pを1つ選択する。本実施形態のように1つの駐車区画PCのみが空いている場合には、駐車管理部6は、空いている1つの駐車区画PCを選択する。一方、駐車管理部6は、複数の駐車区画Pが空いている場合には、例えば、以下の方法により、空いている複数の駐車区画Pの中から、いずれか1つの駐車区画Pを選択する。
【0060】
例えば、駐車管理部6は、空いている全ての駐車区画Pに給電装置20が設置されている場合、或いは、空いている全ての駐車区画Pに給電装置20が設置されていない場合、空いている全ての駐車区画Pの中から任意の1つの駐車区画Pを選択する。任意の1つの駐車区画Pとは、例えば、給電装置20が設置される駐車区画PA、PB、PCに番号1、2、3がそれぞれ付されている場合、最も若い番号が付される駐車区画PAとしてよい一方、駐車管理部6は、空いている複数の駐車区画Pの中に、給電装置20が設置された駐車区画Pと、給電装置20が設置されていない駐車区画Pとが混在している場合、給電装置20が設置された全ての駐車区画Pの中から、任意の1つの駐車区画P(例えば、駐車区画Pにそれぞれ番号が付されている場合には、最も若い番号が付された駐車区画P)を選択する。つまり、駐車管理部6は、給電装置20が設置されていない駐車区画Pよりも、給電装置20が設置された駐車区画Pを優先して選択する。
【0061】
駐車管理部6は、空いている複数の駐車区画Pの中に、給電装置20が設置された駐車区画Pと、給電装置20が設置されていない駐車区画Pとが混在している場合、車両Vの電池73の充電率(SOC:State Of Charge)に基づいて、いずれか1つの駐車区画Pを選択してもよい。この場合、駐車管理部6は、車両Vから電池73の充電率を示す電池情報を取得する。そして、駐車管理部6は、電池情報を参照することにより、電池73の充電率が高いか否かを判定する。駐車管理部6は、例えば、電池73の充電率が95%より高いである場合、電池73の充電率が高いと判定してよく、電池73の充電率が95%以下である場合、電池73の充電率が低いと判定してよい。
【0062】
駐車管理部6は、電池73の充電率が高いと判定した場合、空いている駐車区画Pの中から、給電装置20が設置されていない任意の1つの駐車区画Pを選択する。一方、駐車管理部6は、車両Vの電池73が低いと判定した場合、空いている駐車区画Pの中から、給電装置20が設置された任意の1つの駐車区画Pを選択する。つまり、駐車管理部6は、電池73の充電率が低い車両Vに対して、給電装置20が設置された駐車区画Pを優先して選択する。これにより、充電率が高い車両Vよりも充電率が低い車両Vを優先して給電することができ、電池73の残量不足が原因で車両Vが走行できなくなる事態を抑制できる。
【0063】
また、空いている全ての駐車区画Pに給電装置20が設置されている場合において、複数台の車両Vが連続して収容部10に進入しようとする状況が想定される。例えば、給電装置20が設置される駐車区画PA、PB、PCが全て空いており、2台の車両Vが収容部10に進入しようとする場合、駐車管理部6は、駐車区画PA、PB、PCの中から任意の2つを連続して選択する。この場合、駐車管理部6は、それぞれの駐車区画Pの配置を考慮して、2つの駐車区画Pを選択してもよい。つまり、駐車管理部6は、2つの駐車区画Pが収容部10の内部において水平方向に均等に分散された配置となるように、当該2つの駐車区画Pを選択してもよい。
【0064】
例えば、駐車管理部6は、互いに隣り合う2つの駐車区画PA、PB(又は駐車区画PB、PC)ではなく、駐車区画PBを挟んで両側の2つの駐車区画PA、PCを選択してもよい。後述するように、車両Vへの給電が行われる駐車区画Pに設置される給電装置20は、車両Vへの給電の際に熱を発生する熱源となる。このように熱源となる2つの駐車区画PA、PCが水平方向(本実施形態では方向D1)に分散していることで、収容部10の内部を均等に昇温させることができる。このような選択方法は、全ての給電装置20に十分な電力を供給できない場合にも有効である。例えば、2台分の給電装置20にしか十分な電力を供給できない場合には、駐車管理部6は、熱源を水平方向に分散させるために互いに離間した2つの駐車区画PA、PCを選択することによって、収容部10の内部を均等に昇温させることができる。
【0065】
誘導制御部7は、照明30の点灯の制御、扉部19の開閉の制御、及び車両Vに対する進入又は退出の指示を行うことにより、車両Vを誘導する。誘導制御部7は、進入許可信号又は退出許可信号を車両Vに送信することにより、車両Vの進入又は退出の指示を行うことができる。
【0066】
駐車管理部6がいずれかの駐車区画Pを選択した場合、誘導制御部7は、まず、選択対象の駐車区画Pに対応する照明30のみが点灯するように制御する。これにより、選択されなかった他の駐車区画Pに対応する照明30は、消灯状態となる。次に、誘導制御部7は、収容部10の扉部19が開状態となるように制御した後、停止区画PXに停止している車両Vに対して、選択対象の駐車区画Pへの進入を許可する進入許可信号を送信する。進入許可信号は、選択対象の駐車区画Pが空いていることを通知する信号であってもよいし、選択対象の駐車区画Pに向かうように車両Vに指示する信号であってもよい。このとき、誘導制御部7は、車両Vが無人の状態であることを確認するために、車両Vの内部に設置され得る人感センサの検出結果を取得してもよい。この場合、誘導制御部7は、人感センサの検出結果に基づいて車両Vが無人の状態であることを確認してから、車両Vに進入許可信号を送信してもよい。
【0067】
車両Vは、進入許可信号を受信すると、搭載されたカメラ91によって、点灯する照明30が照らす2本の区画境界線L1を認識する。そして、車両Vは、認識した区画境界線L1が示す駐車区画Pまで自動で走行する。このとき、他の照明30は消灯しているため、車両Vは、点灯する照明30によって照らされる2本の区画境界線L1を認識できる。誘導制御部7は、車両Vが停止区画PXから駐車区画Pへの移動中に開口部18を通過したとき、車両Vが開口部18を通過したことを示す検出結果を通過センサ40から受信する。誘導制御部7は、通過センサ40から検出結果を受信すると、収容部10の扉部19を閉状態となるように制御する。車両Vは、扉部19が閉じられた収容部10の内部を自動で走行し、選択対象の駐車区画Pに到着する。
【0068】
車両Vは、選択対象の駐車区画Pに到着すると、その駐車区画Pへの進入が終了したことを示す進入終了信号を駐車施設制御装置3に送信する。誘導制御部7は、車両Vから進入終了信号を受信すると、点灯している照明30が消灯状態となるように制御する。このとき、駐車管理部6は、駐車リストPLの中の選択対象の駐車区画Pに対応する格納欄に、当該駐車区画Pに停車した車両VのIDを書き込む。車両Vは、選択対象の駐車区画Pに到着すると、当該駐車区画Pにおいて給電を受ける。
【0069】
誘導制御部7は、駐車区画Pから車両Vを退出させる際には、いずれかの駐車区画Pに停車している車両Vに退出許可信号を送信する。この場合、誘導制御部7は、駐車施設2からの車両Vの退出を要求する退出要求信号を受信したか否かを判定する。退出要求信号は、例えば、車両Vの利用者によって駐車施設2の外部から駐車施設制御装置3に送信される。誘導制御部7は、退出要求信号を受信すると、退出対象の車両VをIDの参照により特定する。このとき、駐車管理部6は、駐車リストPLの中から、退出対象の車両Vが停車している駐車区画Pに対応する格納欄に「空き」を書き込む。
【0070】
次に、誘導制御部7は、収容部10の扉部19を開状態となるように制御した後、退出対象の車両Vに対して、駐車区画Pからの退出を許可する退出許可信号を送信する。退出許可信号は、例えば、駐車区画Pからの退出を許可することを通知する信号であってもよいし、停止区画PXに向かうように車両Vに指示する信号であってもよい。退出対象の車両Vは、退出許可信号を受信すると、搭載されたカメラ91によって、開口部18の外側の2本の区画境界線L2を認識する。そして、車両Vは、認識した区画境界線L2が示す停止区画PXまで自動で走行する。
【0071】
誘導制御部7は、車両Vが駐車区画Pから停止区画PXへの移動中に開口部18を通過したとき、車両Vが開口部18を通過したことを示す検出結果を通過センサ40から受信する。誘導制御部7は、通過センサ40から検出結果を受信すると、収容部10の扉部19を閉状態となるように制御する。車両Vが停止区画PXに到着すると、退出要求信号を送信した利用者が車両Vに乗車する。以上のように、誘導制御部7は、照明30の点灯の制御、扉部19の開閉の制御、及び車両Vへの進入又は退出の指示を行うことによって、停止区画PXと駐車区画Pとの間の車両Vの移動を誘導することができる。
【0072】
給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに停車している車両Vへの給電を制御する。給電制御部8は、給電装置20の送電回路部22に対して給電開始及び給電停止を指示することによって、車両Vへの給電を制御する。まず、給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに車両Vが停車しているか否かを判定する。給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに車両Vが停車していないと判定した場合、その給電装置20に給電停止を指示する。一方、給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに車両Vが停車していると判定した場合、その駐車区画Pに停車している車両VのIDを取得する。このとき、給電制御部8は、車両Vの電池73の充電率を示す電池情報も車両Vから取得する。
【0073】
次に、給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに停車している車両Vの電池73の充電率が所定の閾値より高いか否かを判定する。所定の閾値とは、電池73が満充電の状態とみなせる充電率の値(例えば95%)としてよい。給電制御部8は、電池73の充電率が所定の閾値より高い(例えば95%より大)と判定した場合、電池73が満充電の状態とみなし、給電装置20による車両Vへの給電を停止するように指示する。一方、給電制御部8は、電池73の充電率が所定の閾値より高くない(例えば95%以下)と判定した場合、温度センサ60の検出結果を取得する。
【0074】
次に、給電制御部8は、温度センサ60が検出した収容部10の内部の温度が、予め定められた所定の温度範囲の上限より高いか否かを判定する。所定の温度範囲とは、電池73の保温に適した温度範囲である。電気自動車等の車両Vに搭載される電池73としては、通常、常温環境下で作動する二次電池が用いられる。このような電池73は、常温環境下において、仕様として要求される性能(例えば、寿命特性及び出力特性)を安定的に発揮する。従って、電池73の保温に適した温度範囲とは、要求される所望の性能を発揮可能な常温の範囲としてよい。常温の範囲とは、例えば、20℃±15℃の範囲(すなわち、5℃以上35℃以下の範囲)としてよい。電池73の保温に適した温度範囲は、電池73の種類等に応じて変更され得る。例えば、電池73としてリチウム二次電池が用いられる場合、電池73の保温に適した温度範囲は、20℃以上30℃以下の範囲としてよい。
【0075】
電池73の環境温度が上述した温度範囲から外れている場合には、電池73は、仕様として要求される性能を安定的に発揮できなくなる。例えば、自然放電による充電容量の低下、及び寿命の低下といった現象が電池73に生じる。このような電池73の性能の低下は、電池73の環境温度が上述した温度範囲から外れるほど顕著に現れる。このような現象は、リチウム二次電池以外の他の常温で使用される電池(例えば、鉛蓄電池又はニッケル水素蓄電池)においても同様に生じる。
【0076】
給電制御部8は、温度センサ60が検出した温度が、電池73の保温に適した温度範囲の上限(例えば30℃)より高いと判定した場合、車両Vへの給電を停止するように給電装置20に指示する。一方、給電制御部8は、温度センサ60が検出した温度が、電池73の保温に適した温度範囲の上限より高くないと判定した場合、当該温度が電池73の保温に適した温度範囲の下限(例えば20℃)より低いか否かを判定する。給電制御部8は、温度センサ60が検出した温度が、電池73の保温に適した温度範囲の下限より低いと判定した場合、車両Vへの給電を開始するように給電装置20に指示する。一方、給電制御部8は、温度センサ60が検出した温度が、電池73の保温に適した温度範囲の下限より低くないと判定した場合、給電装置20への給電開始指示又は給電停止指示を行わない。この場合、給電装置20が車両Vに給電している状態であれば、給電装置20による車両Vへの給電が継続され、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、給電装置20による車両Vへの給電は行われない。また、給電制御部8は、退出要求信号を受信した場合に、退出対象の車両Vへの給電を停止するように給電装置20に指示する。
【0077】
給電制御部8は、以上の処理をそれぞれの駐車区画Pに対して繰り返し実行する。以上の処理をまとめると、電池73の充電率が所定の閾値(例えば95%)より高い場合、及び、電池73の充電率が所定の閾値より高くなく且つ温度センサ60が検出した温度が所定の温度範囲の上限(例えば30℃)より高い場合に、給電制御部8は給電装置20に給電停止を指示する。一方、電池73の充電率が所定の閾値より高くなく且つ温度センサ60が検出した温度が所定の温度範囲の下限(例えば20℃)より低い場合に、給電制御部8は給電装置20に給電開始を指示する。
【0078】
給電装置20が車両Vに給電している状態では、収容部10の内部において車両Vへの給電時に電池等の発熱により収容部10の内部の熱量が増加するため、これに応じて収容部10の内部の温度が上昇する。一方、給電装置20が車両Vに給電していない状態では、収容部10の内部の熱量の増加が抑制されるため、収容部10の内部の温度上昇が抑制される。この場合、収容部10の内部の温度は、外部の気温の影響を受けて低下し得る。このように、給電制御部8は、給電装置20への給電開始指示又は給電停止指示を制御することによって、収容部10の内部の温度を調整することができる。
【0079】
給電制御部8が上記の処理を繰り返す中で、給電制御部8が給電装置20に給電開始を指示した後、収容部10の内部の温度が上昇して所定の温度範囲の上限より高くなった場合には、給電制御部8は給電装置20に給電停止を指示する。逆に、給電制御部8が給電装置20に給電停止を指示した後、収容部10の内部の温度が低下して所定の温度範囲の下限より低くなった場合には、給電制御部8は給電装置20に給電停止を指示する。このように、給電制御部8は、収容部10の内部の温度の変化に応じて、車両Vへの給電開始と給電停止とを切り替えるように指示する。これにより、給電制御部8は、車両Vへの給電時に電池73等から発生する熱を利用して、収容部10の内部の温度を、電池73の保温に適した温度範囲となるように調整することができる。なお、給電制御部8は、給電を停止する場合には温度範囲の上限(例えば30℃)を基準とするのに対し、給電を開始する場合には温度範囲の下限(例えば20℃)を基準とする。このように、給電を停止する場合と給電を開始する場合とで、基準が同一の値とならないようにすることによって、給電停止と給電開始とが短時間で繰り返される現象(ハンチング)が生じる事態を回避している。
【0080】
電池73の保温に適した温度範囲は、上述した数値範囲の例に限定されない。例えば、電池73の使用環境を考慮して、電池73の保温に適した温度範囲を適宜変更してもよい。例えば、電池73の保温に適した温度範囲は、収容部10の外部の気温に応じて変更されてもよい。例えば、収容部10の外部の気温がゼロ℃以下と低い場合には、電池73の保温に適した温度範囲が、10℃以上20℃以下に設定されてもよい。この場合、収容部10の外部の気温を取得する温度センサが別途設置され、当該温度センサの検出結果に応じて、電池73の保温に適した温度範囲が調整されてもよい。
【0081】
このような場合であっても、車両Vが収容部10の外部に置かれる場合と比べて、電池73の性能の低下を抑制できる。更に、このように電池73の保温に適した温度範囲を低く設定すれば、当該温度範囲まで昇温するために必要な電力(すなわち、収容部の内部の温度を当該温度範囲まで上昇するために給電装置20から電池73に供給される電力)を抑制できる。なお、収容部10の外部の気温を測定する温度センサが設置しなくてもよく、例えば、季節に応じて、電池73の保温に適した温度範囲が変更されてもよい。例えば、冬季(例えば、カレンダーの情報を参照することにより、12月から3月の期間内であると判定されるとき)には、収容部10の外部の気温が低下することが予測できるため、冬季の期間に、電池73の保温に適した温度範囲が、10℃以上20℃以下と低くなるように設定されてもよい。
【0082】
次に、車両Vの構成について説明する。図7に示すように、車両Vは、充電ユニット70と、車両制御装置80と、自動駐車制御装置90とを備える。充電ユニット70は、車両Vが駐車区画Pに停車しているときに、駐車施設2の送電コイル部21から送電される電力を非接触で受電する。充電ユニット70は、例えば、受電コイル部71と、受電回路部72と、電池73とを有する。
【0083】
図4(b)に示すように、受電コイル部71は、例えば、車両Vの下面に設けられている。より詳細には、受電コイル部71は、車両Vが駐車区画Pに停車したときに、送電コイル部21と上下に対向する位置に設けられている。受電コイル部71は、送電コイル部21から電力を非接触で受電する。受電コイル部71は、例えば、サーキュラー型コイルと、非接触での受電効率を高めるためのキャパシタ及びインダクタとを含む。但し、受電コイル部71の内部構成は、非接触での送電コイル部21からの受電が可能であれば、他の構成であってもよい。送電コイル部21は、車両Vの受電コイル部71と対向した状態で、磁場を発生させる。送電コイル部21が発生させた磁場が受電コイル部71に鎖交することにより、受電コイル部71に起電力が発生する。これにより、受電コイル部71は、送電コイル部21から非接触で受電することができる。受電コイル部71で発生した電力は、受電回路部72に入力される。
【0084】
受電回路部72及び電池73は、例えば、車両Vの重心位置を下げて車両Vの走行を安定させるため、車両Vの下面に近い位置に搭載されている。電池73は、例えば、受電コイル部71の上方に対向する位置に配置されている。受電回路部72は、ケーブルを介して電池73及び受電コイル部71と電気的に接続されている。受電回路部72は、例えば、受電コイル部71が受電した交流電力を直流に変換する整流回路と、直流の電圧を電池73の充電に適した電圧に変換するDC-DCコンバータとを含む。受電回路部72からの出力は、電池73に入力され、電池73を充電する。電池73は、例えば、車両Vに搭載された電動モータ等の電力源として利用される。車両Vにおける受電回路部72及び電池73の搭載位置は、特に限定されない。
【0085】
再び図7を参照する。車両制御装置80は、車両Vの電池73の充電等の制御を行う。車両制御装置80は、例えば、通信部81と統括制御部82とを備えるコンピュータとして構成されている。通信部81は、車両Vの各部及び駐車施設制御装置3との通信を行う通信機器である。通信部81は、無線通信器を備えており、駐車施設制御装置3の通信部4と無線通信を行う。通信部81は、充電ユニット70及び自動駐車制御装置90と有線通信を行ってもよいし、無線通信を行ってもよい。
【0086】
統括制御部82は、電池73の充電等の各種の制御を実行する処理部である。統括制御部82は、例えばマイクロプロセッサ、メモリ、動作を規定するプログラムを記憶する記憶装置等を備える電子制御ユニットによって構成されている。統括制御部82では、例えば、記憶装置に記憶されているプログラムをメモリにロードし、メモリにロードされたプログラムをマイクロプロセッサで実行することにより各種の機能が実現される。
【0087】
統括制御部82は、機能的構成として、例えば、充電制御部83と情報処理部84とを有する。情報処理部84は、電池73の充電を行うために車両Vが停止区画PXに到着した場合、進入要求信号を駐車施設制御装置3に送信する。進入要求信号は、駐車区画Pへの車両Vの進入を要求する信号である。情報処理部84は、進入要求信号の送信の際に、車両Vを識別するための車両VのIDを給電要求信号と共に送信する。車両VのIDは、個々の車両Vを特定可能な識別情報であり、一台の車両Vごとに異なっている。車両VのIDとしては、携帯電話の電話番号、インターネット通信におけるIPアドレス、又はこれらに相当する識別情報を用いることができる。駐車施設制御装置3は、車両VのIDを参照することにより、複数台の車両Vの中から、通信対象の車両Vを特定して無線通信を行うことができる。
【0088】
情報処理部84は、駐車施設制御装置3の誘導によって車両Vが駐車区画Pに到着した場合、進入終了信号を駐車施設制御装置3に送信する。進入終了信号は、駐車区画Pへの車両Vの進入が終了したことを示す信号である。情報処理部84は、進入終了信号を送信する際に、車両VのIDも一緒に送信する。これにより、駐車施設制御装置3は、進入終了信号を送信した車両Vを特定することができる。また、情報処理部84は、駐車施設制御装置3の要求に応じて、電池73の充電率を示す電池情報を駐車施設制御装置3に送信する。情報処理部84は、例えば、電池73の充電状態を監視することによって電池情報を生成することができる。
【0089】
充電制御部83は、受電コイル部71によって送電コイル部21から受電し、受電回路部72によって適切な電圧に変換された電力が電池73に供給されるように、充電ユニット70を制御する。充電制御部83は、電池73の充電状態を監視することによって、充電が完了したか否かを判定してもよい。この場合、充電制御部83は、電池73が満充電状態となる等、電池73の充電が完了した場合、電池73の充電が完了したことを示す充電完了信号を駐車施設制御装置3に送信してもよい。
【0090】
自動駐車制御装置90は、車両Vを自動で駐車させるための制御装置である。例えば、自動駐車制御装置90は、車両Vの外部状況を検出するセンサ(カメラ又はLiDAR(LightDetection and Ranging)等)の検出結果に基づいて外部状況を認識し、車両Vの操舵機構及び駆動モータ等を制御することによって車両Vを自動で走行させる。自動運転装置としては、周知の種々の装置を用いることができる。
【0091】
本実施形態において、自動駐車制御装置90は、車両Vの前方を撮像するカメラ91を有する。自動駐車制御装置90は、カメラ91の撮像画像に基づいて前方の状況を認識し、認識結果に基づいて車両Vを自動で走行させることができる。自動駐車制御装置90は、駐車施設制御装置3から送信された進入許可信号又は退出許可信号に基づいて、停止区画PXと駐車区画Pとの間において車両Vを自動で走行させる。具体的には、自動駐車制御装置90は、カメラ91によって撮像された撮像画像に基づいて、駐車区画P又は停止区画PXを認識する。そして、自動駐車制御装置90は、認識した駐車区画P又は停止区画PXを目標位置として車両Vを自動で走行させる。
【0092】
続いて、収容部10の内部において車両Vへの給電時に発生する熱について説明する。給電装置20が車両Vへの給電を行う際、図4(a)に示す送電コイル部21、送電回路部22、及びケーブル23が発熱する。これらは、収容部10の内部の低い位置又は床面11上に設けられている。また、車両Vにおいても、給電装置20から給電を受ける際に、図4(b)に示す受電コイル部71、受電回路部72、及び電池73が発熱する。受電コイル部71は車両Vの下面に設けられており、受電回路部72及び電池73も車両Vの低い位置に設けられていることが多い。そのため、収容部10の床面11付近の冷たい空気は、送電コイル部21、送電回路部22、ケーブル23、受電コイル部71、受電回路部72、及び電池73の発熱によって暖められる。そして、暖められた空気は、収容部10の内部において対流によって上昇する。本実施形態では、車両Vへの給電時には、扉部19が閉状態となっているので、車両Vへの給電時において、収容部10の内部の暖められた空気(熱)が外部へ流れ出ることが抑制されている。
【0093】
なお、車両Vによっては、受電コイル部71、受電回路部72、及び電池73で暖められた空気をファンによって強制的に車外に排出する場合がある。この場合であっても、車外に排出された暖められた空気は、収容部10の内部において対流によって上昇する。更に、車両Vによっては、受電コイル部71、受電回路部72、及び電池73の発熱を水等の冷媒によって吸収させ、冷媒で吸収した熱を車外に面したラジエーターで放熱させる場合がある。この場合であっても、ラジエーターの放熱により収容部10の内部の空気が暖められ、暖められた空気が収容部10の内部において対流によって上昇する。
【0094】
<給電システムが実行する処理>
続いて、駐車施設制御装置3が実行する処理の流れについて説明する。以下では、駐車施設制御装置3が実行する処理を、進入処理、給電処理、及び退出処理の3つの処理に分けて説明する。進入処理は、停止区画PXに停車している車両Vを駐車区画Pへ進入させる処理である。給電処理は、駐車区画Pに到着した車両Vに給電する処理である。退出処理は、駐車区画Pに停車している車両Vを停止区画PXへ退出させる処理である。
【0095】
駐車施設制御装置3は、車両Vから進入要求信号を受信したときに進入処理を実行し、退出要求信号を受信したときに退出処理を実行する。駐車施設制御装置3は、進入処理及び退出処理を同時には実行せず、進入処理及び退出処理を異なるタイミングで実行する。一方、駐車施設制御装置3は、進入処理及び退出処理とは独立して給電処理を実行する。従って、給電処理は、進入処理又は退出処理と同時に(並行して)実行され得る。
【0096】
まず、進入処理について図8のフローチャートを用いて説明する。図8に示すように、駐車管理部6は、車両Vから進入要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS101)。駐車管理部6は、進入要求信号を受信していないと判定した場合(ステップS101:No)、進入要求信号を受信するまでステップS101を繰り返し実行する。一方、駐車管理部6は、進入要求信号を受信したと判定した場合(ステップS101:YES)、空いている駐車区画Pがあるか否かを判定する(ステップS102)。駐車管理部6は、空いている駐車区画Pがないと判定した場合(ステップS102:No)、進入不可信号を車両Vに送信する。この場合、駐車管理部6は、再びステップS101に戻る。
【0097】
一方、駐車管理部6は、空いている駐車区画Pがあると判定した場合(ステップS102:Yes)、空いている駐車区画Pを1つ選択する(ステップS103)。この場合、誘導制御部7は、駐車管理部6が選択した駐車区画Pに対応する照明30のみを点灯させる(ステップS104)。次に、誘導制御部7は、収容部10の扉部19を開く(ステップS105)。次に、誘導制御部7は、停止区画PXに停止している車両Vに対し、選択対象の駐車区画Pへの進入許可信号を送信する(ステップS106)。これにより、車両Vは、照明30に照らされた2本の区画境界線L1を目印として、2本の区画境界線L1が示す選択対象の駐車区画Pまで自動で走行することができる。
【0098】
次に、誘導制御部7は、車両Vが収容部10の開口部18を通過したか否かを判定する(ステップS107)。誘導制御部7は、車両Vが開口部18を通過していないと判定した場合(ステップS107:No)、車両Vが開口部18を通過するまでステップS107を繰り返し実行する。一方、誘導制御部7は、車両Vが開口部18を通過したと判定した場合(ステップS107:Yes)、収容部10の扉部19を閉じる(ステップS108)。次に、誘導制御部7は、車両Vから進入終了信号を受信したか否かを判定する(ステップS109)。誘導制御部7は、進入終了信号を受信していないと判定した場合(ステップS109:NO)、進入終了信号を受信するまでステップS109を繰り返し実行する。
【0099】
一方、誘導制御部7は、進入終了信号を受信したと判定した場合(ステップS109:Yes)、選択対象の駐車区画Pに対応する照明30を消灯させる(ステップS110)。次に、駐車管理部6は、駐車リストPLのうち選択対象の駐車区画Pに対応する格納欄に、当該駐車区画Pに進入した車両VのIDを書き込む(ステップS111)。以上の進入処理によって車両Vが選択対象の駐車区画Pに誘導され、車両Vへの給電の準備が完了する。ステップS111の終了後、所定時間後に再びステップS101から進入処理が開始される。
【0100】
続いて、給電処理について図9のフローチャートを用いて説明する。給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに対して、図9に示す給電処理を繰り返し実行する。
【0101】
まず、給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに車両Vが停車しているか否かを判定する(ステップS201)。給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに車両Vが停車していないと判定した場合(ステップS201:No)、その駐車区画Pの給電装置20に対して車両Vへの給電停止を指示する(ステップS202)。このとき、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。一方、給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに車両Vが停車していると判定した場合(ステップS201:Yes)、その駐車区画Pに停車している車両VのIDを取得する(ステップS203)。更に、給電制御部8は、取得したIDにより特定される車両Vの電池73の充電率を取得する(ステップS204)。
【0102】
次に、給電制御部8は、取得した電池73の充電率が所定の閾値(例えば95%)より高いか否かを判定する(ステップS205)。給電制御部8は、電池73の充電率が所定の閾値より高いと判定した場合(ステップS205:Yes)、給電装置20に給電停止を指示する(ステップS202)。このとき、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。一方、給電制御部8は、電池73の充電率が所定の閾値より高くないと判定した場合(ステップS205:No)、温度センサ60が検出した温度を取得する(ステップS206)。次に、給電制御部8は、取得した温度が、予め定められた所定の温度範囲の上限(例えば30℃)より高いか否かを判定する(ステップS207)。所定の温度範囲は、上述したように、電池73の保温に適した温度範囲であり、例えば20℃以上30℃以下に設定されてよい。
【0103】
給電制御部8は、取得した温度が所定の温度範囲の上限より高いと判定した場合(ステップS207:Yes)、給電装置20に給電停止を指示する(ステップS202)。このとき、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。一方、給電制御部8は、取得した温度が所定の温度範囲の上限より高くないと判定した場合(ステップS207:No)、取得した温度が所定の温度範囲の下限(例えば20℃)より低いか否かを判定する(ステップS208)。
【0104】
給電制御部8は、取得した温度が所定の温度範囲の下限より低いと判定した場合(ステップS208:Yes)、給電装置20に給電開始を指示する(ステップS209)。このとき、給電装置20が車両Vに給電している状態であれば、車両Vへの給電が継続される。一方、給電制御部8は、取得した温度が所定の温度範囲の下限より低くないと判定した場合(ステップS208:No)、給電装置20への給電開始又は給電停止等の指示を行わない。この場合、給電装置20が車両Vに給電している状態であれば、車両Vへの給電が継続され、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。
【0105】
次に、給電制御部8は、退出要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS210)。給電制御部8は、退出要求信号を受信したと判定した場合(ステップS210:Yes)、給電装置20に給電停止を指示する(ステップS211)。このとき、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。一方、給電制御部8は、退出要求信号を受信していないと判定した場合(ステップS210:No)、給電装置20への給電開始又は給電停止等の指示を行わない。この場合、給電装置20が車両Vに給電している状態であれば、車両Vへの給電が継続され、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。ステップS202、ステップS210、又はステップS211の終了後、所定時間後に再びステップS201から給電処理が開始される。
【0106】
続いて、退出処理について図10のフローチャートを用いて説明する。まず、誘導制御部7は、退出要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS301)。誘導制御部7は、退出要求信号を受信していないと判定した場合(ステップS301:No)、退出要求信号を受信するまでステップS301を繰り返し実行する。一方、誘導制御部7は、退出要求信号を受信したと判定した場合(ステップS301:YES)、誘導制御部7は、退出対象の車両VのIDを取得する(ステップS302)。次に、駐車管理部6は、駐車リストPLの中から、退出対象の車両VのIDが記憶された格納欄から当該車両VのIDを消去し、当該格納欄に「空き」を書き込む(ステップS303)。
【0107】
次に、誘導制御部7は、収容部10の扉部19を開く(ステップS304)。次に、誘導制御部7は、退出対象の車両Vに対して退出許可信号を送信する(ステップS305)。これにより、退出対象の車両Vは、開口部18の外側の2本の区画境界線L2を目印として、2本の区画境界線L2が示す停止区画PXまで自動で走行することができる。次に、誘導制御部7は、車両Vが収容部10の開口部18を通過したか否かを判定する(ステップS306)。誘導制御部7は、車両Vが開口部18を通過していないと判定した場合(ステップS306:No)、車両Vが開口部18を通過するまでステップS306を繰り返し実行する。一方、誘導制御部7は、車両Vが開口部18を通過したと判定した場合(ステップS306:Yes)、収容部10の扉部19を閉じる(ステップS307)。そして、誘導制御部7は、一連の退出処理を終了する。
【0108】
続いて、車両制御装置80が実行する充電処理の流れについて図11のフローチャートを用いて説明する。まず、車両Vが停止区画PXに到着すると、情報処理部84は、進入要求信号を駐車施設制御装置3に送信する(ステップS401)。このとき、情報処理部84は、進入要求信号と共に車両VのIDも送信する。次に、情報処理部84は、駐車施設制御装置3から進入許可信号を受信したか否かを判定する(ステップS402)。情報処理部84は、進入許可信号を受信していないと判定した場合(S402:NO)、進入許可信号を受信するまで、ステップS402を繰り返し実行する。一方、情報処理部84が進入許可信号を受信したと判定した場合(ステップS402:YES)、自動駐車制御装置90は、カメラ91によって撮像した画像に基づいて、2本の区画境界線L1が示す駐車区画Pまで車両Vを自動で走行させる(ステップS403)。車両Vが駐車区画Pに到着すると、情報処理部84は、駐車施設制御装置3に進入終了信号を送信する(ステップS404)。
【0109】
次に、充電制御部83は、充電ユニット70を制御して、電池73を充電させる(ステップS405)。具体的には、充電制御部83は、受電コイル部71によって送電コイル部21から受電し、受電回路部72によって適切な電圧に変換された電力が電池73に供給されるように、充電ユニット70を制御する(ステップS405)。次に、情報処理部84は、退出許可信号を受信したか否かを判定する(ステップS406)。情報処理部84は、退出許可信号を受信していないと判定した場合(ステップS406:NO)、退出許可信号を受信するまでステップS406を繰り返し実行する。一方、情報処理部84が退出許可信号を受信したと判定した場合(ステップS406:YES)、自動駐車制御装置90は、カメラ91によって撮像した画像に基づいて、停止区画PXまで車両Vを自動で走行させる(ステップS407)。そして、車両Vは、一連の充電処理を終了する。
【0110】
<作用効果>
以上に説明した、本実施形態に係る給電システム1が奏する作用効果について説明する。本実施形態に係る給電システム1では、車両Vを収容する収容部10が断熱材を含んで構成されている。これにより、車両Vの電池73への給電時に発生する熱(熱で暖められた空気)を、収容部10の内部に留めることができる。更に、給電システム1では、収容部10の内部の温度(空気の温度)が電池73の保温に適した温度範囲となるように、車両Vへの給電が制御される。車両Vへの給電の制御によって、電池73等の発熱に伴う収容部10の内部の熱量(空気の熱容量により保持されている熱量)の変化を生じさせることができるため、この熱量の変化を利用して、収容部10の内部の温度を電池73の保温に適した温度範囲となるように調整できる。このように給電時に発生する熱を利用して収容部10の内部の温度を調整する構成とすれば、収容部10の内部の温度を調整するための設備を別途必要とすることなく、簡易な設備で車両Vの電池73を適切に保温することが可能となる。その結果、電池73を長期間使用することが可能となり、電池73の製造及び廃棄に要する資源及びエネルギーの増大を抑制できる。更に、例えば空調設備といった設備が不要であるため、当該設備の駆動のためのエネルギー供給が不要となり、省エネルギー化を図ることができる。
【0111】
更に、本実施形態では、車両Vが収容部10に進入してから、給電装置20から給電を受けて収容部10から退出するまでの過程を、全て無人で自動的に行うことができる。その結果、人が出入りするための開口部を収容部10に別途設ける必要がなくなるので、収容部10において暖められた空気が当該開口部を通じて外部に放出されてしまう事態を抑制でき、収容部10の断熱性をより高めることができる。その結果、車両Vへの給電時に発生した熱を効率的に利用して、より少ないエネルギーで電池73を保温することが可能となる。なお、車両Vが動力源として電動モータを備える電気自動車である場合には、内燃機関を搭載する車両とは異なり、周囲の酸素を取り込む必要がなく、排気ガスを放出することがないので、収容部10の内部と外部との換気を必ずしも行う必要は無い。そのため、扉部19が閉じられた状態において、収容部10は高い断熱性を発揮することができる。
【0112】
本実施形態では、給電制御部8は、温度センサ60によって検出された温度が温度範囲の上限より高い場合に、車両Vへの給電を停止するように給電装置20に指示する。これにより、車両Vへの給電時に発生する熱に起因する収容部10の内部の温度上昇を抑制できる。これにより、収容部10の内部の温度を、電池73の保温に適した温度範囲の上限を超えないように調整できる。更に、車両Vへの給電が停止されることによって、給電装置20から電池73に供給されるエネルギーを抑えることができる。
【0113】
本実施形態では、給電制御部8は、温度センサ60によって検出された温度が温度範囲の下限より低い場合に、車両Vへの給電を開始するように給電装置20に指示する。これにより、車両Vへの給電時に発生する熱に起因する収容部10の内部の温度上昇を促進できる。その結果、収容部10の内部の温度を、電池73の保温に適した温度範囲の下限を下回らないように調整できる。
【0114】
本実施形態では、温度センサ60は、収容部10の内部において収容部10の床面11よりも収容部10の天井壁13に近い位置に設置されている。この場合、温度センサ60が収容部10の床面11に設置される場合と比べて、温度センサ60が車両Vの移動の妨げとなる事態を抑制できる。また、給電時に電池73から発生する熱により暖められた空気は、対流により上昇して天井壁13の付近に溜まりやすいので、天井壁13に近い位置に設置された温度センサ60が検出した温度を、電池73の環境温度として適切に利用できる。
【0115】
本実施形態では、給電装置20は、収容部10の床面11に設置され、電池73に対して非接触で送電する送電コイル部21を含んでいる。これにより、給電時において、電池73から発生する熱に加えて、送電コイル部21から発生する熱も、収容部10の内部の温度の調整に利用できる。
【0116】
本実施形態では、送電コイル部21は、床面11から収容部10の内部に露出していてもよい。この場合、給電時に送電コイル部21から発生する熱が収容部10の内部に留まりやすくなるので、送電コイル部21から発生する熱を利用して、収容部10の内部の温度を効率良く調整できる。
【0117】
本実施形態では、送電回路部22は、収容部10の内部において収容部10の天井壁13よりも床面11に近い位置に設置されている。この場合、給電時において、電池73及び送電コイル部21から発生する熱に加えて、送電回路部22から発生する熱も、収容部10の内部の温度の調整に利用できる。更に、送電回路部22が収容部10の床面11に近い位置に設置されることにより、送電回路部22から発生する熱を利用して、収容部10の内部の温度を効率良く調整できる。
【0118】
本実施形態では、給電装置20A、20B、及び20Cが、収容部10の床面11に沿った方向に離間して設置されている。この場合、給電装置20A、20B、及び20Cを用いて、複数台の車両Vを同時に給電できる。これにより、それぞれの車両Vの電池73への給電時に発生する熱を利用して、収容部10の内部の温度を効率良く調整できる。更に、このように複数台の車両Vが収容部10で給電できるようにすることにより、給電が必要な車両Vが収容部10の内部に存在する可能性を高めることができる。その結果、給電時に発生する熱を利用した収容部10の内部の温度の調整を継続して行うことが可能となる。
【0119】
本実施形態では、温度センサ60は、方向D1において給電装置20Bと給電装置20Cとの間に位置している。これにより、収容部10の内部において温度センサ60を車両Vの移動の妨げとならない位置に配置しつつ、車両Vの電池73に近い位置まで近づけることができる。その結果、温度センサ60が検出した温度を、電池73の環境温度としてより適切に利用できる。
【0120】
本実施形態では、誘導制御部7は、開口部18から収容部10の内部へ車両Vが進入するときに、扉部19を開状態に制御し、開口部18を車両Vが通過したことを通過センサ40が検出したときに、扉部19を閉状態に制御する。これにより、車両Vが収容部10の駐車区画Pに到着する前に扉部19を閉じることができる。その結果、収容部10の開口部18が開放状態となる時間を極力短くすることができ、収容部10の内部で暖められた空気が外部に放出されてしまう事態を抑制できる。
【0121】
本開示の給電システムは、上述した実施形態に限定されない。本開示の給電システムは、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない範囲において具体的な態様を適宜変更してよい。
【0122】
<変形例1>
例えば、給電制御部8が実行する給電処理は、上述した図9に示す給電処理に限定されない。給電制御部8は、例えば、図12に示す給電処理を実行してもよい。車両Vの電池73の充電率が所定の閾値(例えば95%)より高い場合には、収容部10の内部の温度が所定の温度範囲の下限(例えば20℃)より低い状況であっても、電池73への給電時に発生する熱を利用した収容部10の内部の温度上昇を行うことができない。そこで、図12に示す例では、給電制御部8は、車両Vの電池73の充電率が所定の閾値より高く、且つ収容部10の内部の温度が所定の温度範囲の下限より低い場合に、電池73を放電させるように制御する。
【0123】
電池73からの放電時においても、電池73等の発熱に伴う収容部10の内部の熱量の増加によって収容部10の内部の温度上昇を促進できる。従って、給電制御部8は、電池73の放電開始又は放電停止を指示することによって、収容部10の内部の温度を調整できる。なお、図12に示す例では、給電制御部8は、給電装置20が設置された駐車区画Pに停車する全ての車両Vの電池73の充電率が所定の閾値より高い場合に、少なくとも1台の車両Vの電池73を放電させるように制御する。給電制御部8が図12に示す給電処理を実行する場合、少なくとも1つの給電装置20と、当該給電装置20が設置される駐車区画Pに進入する車両Vの充電ユニット70とが、給電装置20と充電ユニット70との間において双方向に給電可能となるように構成される。つまり、給電装置20及び充電ユニット70は、給電装置20から充電ユニット70への給電と、充電ユニット70から給電装置20への放電が可能となるように構成される。
【0124】
図12に示す給電処理では、まず、給電制御部8は、給電装置20が設置されたいずれかの駐車区画Pに車両Vが停車しているか否かを判定する(ステップS501)。給電制御部8は、給電装置20が設置されたいずれかの駐車区画Pに車両Vが停車してはいない(すなわち、給電装置20が設置された駐車区画Pはすべて空である)と判定した場合(ステップS501:No)、全ての給電装置20に対して車両Vへの給電停止を指示する(ステップS502)。このとき、全ての給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。一方、給電制御部8は、給電装置20が設置されたいずれかの駐車区画Pに車両Vが停車していると判定した場合(ステップS501:Yes)、その駐車区画Pに停車している車両VのID及び電池73の充電率を取得する(ステップS503)。また、給電制御部8は、温度センサ60から検出結果(すなわち、収容部10の内部の温度)を取得する(ステップS504)。
【0125】
次に、給電制御部8は、取得した温度が、予め定められた所定の温度範囲の上限(例えば30℃)より高いか否かを判定する(ステップS505)。所定の温度範囲は、上述したように、電池73の保温に適した温度範囲であり、例えば20℃以上30℃以下に設定される。給電制御部8は、取得した温度が所定の温度範囲の上限より高いと判定した場合(ステップS505:Yes)、全ての給電装置20に給電停止を指示する(ステップS502)。このとき、全ての給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。一方、給電制御部8は、取得した温度が所定の温度範囲の上限より高くないと判定した場合(ステップS505:No)、取得した温度が所定の温度範囲の下限(例えば20℃)より低いか否かを判定する(ステップS506)。
【0126】
給電制御部8は、取得した温度が所定の温度範囲の下限より低くないと判定した場合(ステップS506:No)、電池73の充電率が所定の閾値(例えば95%)より高い車両Vへの給電を停止するように給電装置20に指示する(ステップS507)。具体的には、給電制御部8は、それぞれの駐車区画Pに停車している車両Vの電池73の充電率が高いか否かを判定する。そして、給電制御部8は、電池73の充電率が所定の閾値より高いと判定した車両Vへの給電を停止するように給電装置20に指示する。一方、給電制御部8は、電池73の充電率が所定の閾値より高くないと判定した車両Vへの給電開始又は給電停止等の指示を行わない。この場合、給電装置20が車両Vに給電している状態であれば、車両Vへの給電が継続され、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。
【0127】
給電制御部8は、取得した温度が所定の温度範囲の下限より低いと判定した場合(ステップS506:Yes)、駐車区画Pに停車している全ての車両Vの電池73の充電率が所定の閾値(例えば95%)より高いか否かを判定する(ステップS508)。給電制御部8は、全ての車両Vの電池73の充電率が所定の閾値より高くはない(すなわち、電池73の充電率が所定の閾値より高くない車両Vが存在する)と判定した場合(ステップS508:No)、電池73の充電率が所定の閾値より高くないと判定した車両Vへの給電を開始するように給電装置20に指示する(ステップS509)。このとき、給電装置20が車両Vに給電している状態であれば、車両Vへの給電が継続される。
【0128】
給電制御部8は、全ての車両Vの電池73の充電率が所定の閾値より高いと判定した場合(ステップS508:Yes)、少なくとも1台の車両Vの電池73からの放電を開始させる(ステップS510)。具体的には、給電制御部8は、電池73からの放電の開始を指示する信号を給電装置20及び車両Vに出力する。次に、給電制御部8は、放電停止条件を満たしたか否かを判定する(ステップS511)。放電停止条件は、例えば、温度センサ60から取得した温度が所定の温度範囲の下限(例えば20℃)より低くない場合、或いは、放電中の車両Vの電池73の充電率が一定値(例えば80%)以下になった場合としてよい。放電停止条件は、上述した例に限られず、適宜変更してよい。
【0129】
給電制御部8は、放電停止条件を満たしていないと判定した場合(ステップS511:No)、放電停止条件を満たすまでステップS511を繰り返し実行する。一方、給電制御部8は、放電停止条件を満たしたと判定した場合(ステップS511:Yes)、車両Vの電池73からの放電を停止させる(ステップS512)。具体的には、給電制御部8は、電池73からの放電の停止を指示する信号を給電装置20及び車両Vに出力する。ステップS502、ステップS507、ステップS509、又はステップS512の終了後、所定時間後に再びステップS501から図12に示す給電処理が開始される。このように、給電制御部8は、図12に示す処理を、給電装置20が設置される全ての駐車区画Pに対して繰り返し実行する。なお、給電制御部8は、図12に示す処理を繰り返す中で退出要求信号を受信した場合に、退出対象の車両Vが停車している駐車区画Pの給電装置20に給電停止を指示する。このとき、給電装置20が車両Vに給電していない状態であれば、車両Vへの給電は行われない。もし、退出対象の車両Vが放電中であれば、給電制御部8は、退出対象の車両Vが停車している駐車区画Pの給電装置20に放電停止を指示する。
【0130】
以上の処理をまとめると、温度センサ60が検出した温度が所定の温度範囲の上限(例えば30℃)より高い場合に、給電制御部8は全ての給電装置20に給電停止を指示する。また、温度センサ60が検出した温度が所定の温度範囲の上限より高くなく、且つ当該温度が所定の温度範囲の下限(例えば20℃)より低くない場合には、給電制御部8は、電池73の充電率が所定の閾値(例えば95%)より高い給電装置20に給電停止を指示する。一方、温度センサ60が検出した温度が所定の温度範囲の下限より低く、且つ全ての車両Vの電池73の充電率が所定の閾値より高くはない場合には、給電制御部8は、電池73の充電率が所定の閾値より高くない給電装置20に給電開始を指示する。
【0131】
更に、温度センサ60が検出した温度が所定の温度範囲の下限より低く、且つ全ての車両Vの電池73の充電率が所定の閾値より高い場合には、給電制御部8は、少なくとも1台の車両Vの電池73から放電を開始するように給電装置20に指示する。そして、給電制御部8は、上述したような放電停止条件を満たした場合に、電池73からの放電を停止するように給電装置20に指示する。従って、図12に示す給電処理では、全ての車両Vの電池73の充電率が高い場合であっても、給電制御部8は、電池73からの放電処理を実行することによって、放電時に車両Vの電池73等から発生する熱を利用して収容部10の内部の温度上昇を促進できる。これにより、収容部10の内部の温度が、電池73の保温に適した温度範囲の下限を下回らないようにより確実に調整できる。なお、電池73から放電された電力は、外部の建物の電気機器に用いられてもよいし、売電に用いられてもよい。
【0132】
<変形例2>
駐車施設2の構成は、上述した図1及び図2に示す例に限定されない。例えば、図13及び図14に示す駐車施設2Aが用いられてもよい。図13及び図14に示す例では、駐車施設2Aは、2重扉構造を有する。この場合、駐車施設2Aは、収容部10の開口部18の外側に、収容部10に向かう車両Vを一時的に収容する一時収容部100を有する。一時収容部100は、例えば、1台の車両Vを収容可能である。一時収容部100は、例えば、開口部18を介して床面11に隣接する床面111と、収容部10の側壁14と方向D1に間隔を空けて対向する側壁101と、側壁14と側壁101とを方向D1に接続する2つの側壁102、103と、床面111と上下に対向する天井壁104とによって構成される。
【0133】
一時収容部100の内部は、開口部18を介して収容部10の内部と連通しており、一時収容部100の床面111と収容部10の床面11とは開口部18を介して滑らかに繋がっている。一時収容部100の側壁101には、車両Vが収容部10の内部へ進入又は退出するための開口部105が形成されている。図13に示すように、開口部105は、例えば、収容部10の開口部18と対応する位置に形成されている。開口部105は、車両Vが通過可能な大きさを有しており、一時収容部100の内部と外部とを連通している。一時収容部100の床面111と外部の路面Rとは、開口部105を介して滑らかに繋がっている。
【0134】
開口部105には、開口部105を開閉するための扉部106が設けられている。扉部106は、例えば、駐車施設制御装置3からの指示に基づいて開閉可能な電動式の扉部であり、扉部19と同一の構成を有する。扉部19と扉部106とは、2重扉として構成される。扉部19は、収容部10と一時収容部100との接続部分に設けられる内側の扉部であり、扉部106は、収容部10及び一時収容部100の外部に面する外側の扉部である。これら扉部19及び扉部106が閉状態である場合、開口部18及び開口部105は閉鎖状態となり、収容部10の内部及び一時収容部100の内部が、それぞれ閉塞される。
【0135】
一時収容部100の床面111には、1つの一時待機区画PYが予め設定されている。一時待機区画PYは、外部の停止区画PXから収容部10の内部に進入する車両Vが一時待機する位置を規定する区画である。一時待機区画PYには、1台の車両Vが停車可能である。一時待機区画PYは、方向D2の両側に設けられる2本の区画境界線L3によって規定される。つまり、一時待機区画PYは、2本の区画境界線L3に挟まれた領域として規定される。2本の区画境界線L3は、例えば、床面111と異なる色で描かれた線(例えば白線)である。
【0136】
車両Vは、カメラ91によって撮像された画像から、2本の区画境界線L3を抽出し、抽出した2本の区画境界線L3に挟まれた領域を一時待機区画PYとして把握可能である。一時待機区画PYは、駐車区画P又は停止区画PXに停車する車両Vのカメラ91の撮像視野内に、一時待機区画PYを示す2本の区画境界線L3が入るように設定されている。一時待機区画PYは、床面111と同一の色(すなわち、床面111と均一な外観)を有してもよいし、床面111及び区画境界線L3とは異なる色で塗装されてもよい。なお、図13では、便宜上、一時待機区画PYが破線で示されているが、実際に破線が床面111に描かれている必要は無い。
【0137】
図13及び図14に示す駐車施設2Aが用いられる場合においては、駐車施設制御装置3の誘導制御部7は、停止区画PXに停車している車両Vを駐車区画Pに誘導する際、まず、外側の扉部106が開状態となるように制御する。次に、誘導制御部7は、停止区画PXに停車している車両Vに対して、一時待機区画PYへの進入を許可する進入許可信号を送信する。停止区画PXに停車している車両Vは、進入許可信号を受信すると、搭載されたカメラ91によって2本の区画境界線L3が示す一時待機区画PYまで自動で走行する。車両Vが一時待機区画PYに到着すると、誘導制御部7は、外側の扉部106が閉状態となるように制御する。次に、誘導制御部7は、内側の扉部19が開状態となるように制御する。
【0138】
次に、誘導制御部7は、一時待機区画PYに停車している車両Vに対して、駐車区画Pへの進入を許可する進入許可信号を送信する。一時待機区画PYに停車している車両Vは、進入許可信号を受信すると、搭載されたカメラ91によって2本の区画境界線L1が示す駐車区画Pまで自動で走行する。車両Vが駐車区画Pに到着すると、誘導制御部7は、内側の扉部19が閉状態となるように制御する。このように、誘導制御部7は、車両Vを停止区画PXから駐車区画Pへ誘導するまでの間に、扉部19及び扉部106の少なくとも一方が閉じた状態となるように制御する。誘導制御部7は、車両Vを駐車区画Pから停止区画PXからへ誘導するまでの間も同様に、扉部19及び扉部106の少なくとも一方が閉じた状態となるように制御する。これにより、収容部10の内部と一時収容部100の内部と外部とが全て連通してしまうことを抑制でき、開口部18及び開口部105を通じて収容部10の内部の熱(暖められた空気)が外部に放出される事態をより確実に抑制できる。
【0139】
なお、図13及び図14に示す駐車施設2Aにおいて、車両Vは、一時待機区画PY又は駐車区画Pに到着したときに駐車施設制御装置3に到着信号を送信してもよく、誘導制御部7は、当該到着信号を受信したときに、扉部19又は扉部106を開閉するように制御してもよい。或いは、開口部18及び開口部105の一方又は双方に通過センサ40が設置されてもよく、誘導制御部7は、通過センサ40からの検出結果に応じて、扉部19又は扉部106を開閉するように制御してもよい。
【0140】
<その他の変形例>
本開示は、上述した例に限られず、他に様々な変形が可能である。例えば、収容部10の開口部18にエアーカーテンが設けられてもよい。この場合、収容部10の開口部18において上下方向又は方向D2に空気が流れるように制御される。一時収容部100の開口部105にも同様に、エアーカーテンが設けられてもよい。このような構成では、扉部19及び扉部106が開状態となっている間に収容部10の内部の暖められた空気が外部に流出してしまう事態を抑制できる。
【0141】
収容部10は、1つの開口部18と1つの扉部19とを備えている必要は無く、2つ以上の開口部と2つ以上の扉部とを備えていてもよい。例えば、開口部18が形成される側壁14とは反対側の側壁15に別の開口部が形成されてもよく、当該別の開口部に別の扉部が設置されてもよい。この場合、側壁14の開口部18を、車両Vが収容部10に進入するための収容部10の入口として利用してもよく、側壁15の開口部を、車両Vが収容部10から退出するための収容部10の出口として利用してもよい。
【0142】
収容部10は、人が出入りするための通行口を備えてもよい。この場合、通行口からの空気の流出による収容部10の断熱性の低下を許容できる場合には、運転手による手動運転によって車両Vが収容部10に進入し、収容部10の駐車区画Pに車両Vが停車した後に、運転手が通行口から退出できるように構成されてもよい。このように手動運転によって車両Vが移動する場合、収容部10に設けられる扉部19等の開閉動作は、運転手の指示(例えば、リモコン操作)によって行われてもよい。そして、車両Vが駐車区画Pに到着したときに、到着した駐車区画Pと車両VのIDとを運転手が無線通信により駐車施設制御装置3に通知してもよい。車両Vへの給電を行う際には、給電装置20が電力をケーブルで車両Vへ供給する有線方式の給電装置であってもよく、運転手がケーブルを用いて給電装置20と車両Vとを手動で有線接続してもよい。
【0143】
給電装置20と車両Vとをケーブルで有線接続する場合、給電装置20と車両Vとがケーブルによって自動接続されてもよい。この場合、例えば、車両Vは、受電コイル部71に代えて、車両Vの底面に設置されるソケットを備える。そして、給電装置20は、送電コイル部21に代えて、上下に昇降可能なプラグを備える。この構成では、車両Vが駐車区画Pに到着したときに、給電装置20のプラグを上昇させることにより、車両Vのソケットに当該プラグが差し込まれる。これにより、給電装置20のプラグが車両Vのソケットに自動接続され、給電装置20から車両Vへ有線で給電される。
【0144】
給電装置20から車両Vへ非接触で給電する場合において、車両Vの受電コイル部71は、必ずしも車両Vの下面に設けられている必要は無く、例えば、車両Vの側面に設けられてもよい。この場合、給電装置20の送電コイル部21は、駐車区画Pの床面11よりも上方に設置され、車両Vが駐車区画Pに停車したときに、車両Vの側面に設けられた受電コイル部71が送電コイル部21に水平方向に対向するように構成されてもよい。
【0145】
収容部10は、車両Vに搭載されるカメラ91が検出可能な波長帯の光(例えば、可視光又は近赤外光)を透過可能かつ断熱性の高い材料(例えば、複層ガラス又は透明な遮熱シート)を含んで構成されてもよい。この場合、扉部19が閉状態であっても、収容部10の外部に位置する車両Vから2本の区画境界線L1を認識可能となる。一時収容部100についても同様に、上記の材料を含んで構成されてもよい。この場合、扉部106が閉状態であっても、一時収容部100の外部に位置する車両Vから2本の区画境界線L3を認識可能となる。
【0146】
収容部10は、例えば、電気シールドの機能を有する材料(例えばフェライト)を含んで構成されてもよい。この場合、車両Vの給電中に発生する電磁波が、収容部10の外部に伝搬することを低減できる。一時収容部100についても同様に、上記の材料を含んで構成されてもよい。
【0147】
収容部10の内部において天井壁13に近い位置にファンが設けられてもよい。この場合、ファンを作動させることによって、車両Vへの給電が行われている駐車区画Pにおいて加温された空気を、車両Vへの給電が行われていない駐車区画Pへと強制的に流動させることができる。これにより、収容部10の内部の温度を均一にすることができる。
【0148】
上述した実施形態において、車両Vは、点灯する照明30に照らされた2本の区画境界線L1に挟まれた領域を駐車区画Pと認識して自動で走行している。しかし、予め定められた位置まで自動で走行して停車可能であれば、車両Vの自動運転の方法及び停車すべきエリアを指定する方法は特に限定されない。例えば、各区画境界線L1に照明が設けられてもよい。この場合、駐車区画Pに車両Vを誘導する際に、2本の区画境界線L1のみが点灯し、他の区画境界線L1は消灯するように制御されてもよい。
【0149】
上述した実施形態において、車両Vへの給電を行う際、誘導制御部7は、電池73の充電率が所定の閾値より高くなく且つ温度センサ60が検出した温度が所定の温度範囲の上限よりも高い場合に、扉部19を開状態に制御してもよい。この場合、収容部10の開口部18が開放状態となることによって、収容部10の内部の温度を下げることができるので、車両Vへの給電を再開させて電池73の充電率を高めることができる。
【0150】
上述した実施形態において、給電制御部8は、温度センサ60が検出した温度に応じて、車両Vへの給電停止又は給電開始を切り替えるように制御する場合を例示した。しかし、給電制御部8は、温度センサ60が検出した温度に応じて、給電装置20から車両Vへの電力の供給量を増減させるように制御してもよい。例えば、給電制御部8は、温度センサ60が検出した温度と、電池73の保温に適した温度範囲との温度差が大きい場合に、給電装置20から車両Vへの電力の供給量が増加するように制御してもよく、当該温度差が小さい場合に、給電装置20から車両Vへの電力の供給量が減少するように制御してもよい。例えば、電気料金が電力需要によって変動するような場合、上述したように温度差に応じて給電装置20から車両Vへの電力の供給量を調整することによって、電気料金の増大を抑制できる可能性がある。
【0151】
上述した実施形態において、駐車施設2から車両Vが退出する時刻が予め分かっている場合には、給電制御部8は、早期に退出する車両Vに対して先に給電するように(或いは大電力で給電するように)制御してもよく、後から退出する車両Vに対しては給電開始を遅らせる(或いは小電力で給電するように)制御してもよい。これにより、早期に出ていく車両Vが充電不足のまま退出してしまう可能性を低減できる。
【0152】
[付記]
本開示の給電システムは、電気自動車の普及に貢献できるため、国際連合が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献するものである。
【符号の説明】
【0153】
1 給電システム
7 誘導制御部
8 給電制御部
10 収容部
11 床面
13 天井壁
18 開口部
19 扉部
20 給電装置(給電部)
20B 給電装置(第1給電部)
20C 給電装置(第2給電部)
21 送電コイル部(コイル部)
22 送電回路部
40 通過センサ
60 温度センサ
73 電池
V 車両
図1
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