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  • 特開-半導体発光装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130632
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】半導体発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20230913BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20230913BHJP
【FI】
H01L33/58
H01L33/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035037
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増山 一哉
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA22
5F142AA26
5F142BA32
5F142CA02
5F142CA13
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE02
5F142CE13
5F142CE16
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG26
5F142DA12
5F142DA73
5F142DB17
(57)【要約】
【課題】発光色度のばらつきが低減された半導体発光装置を提供する。
【解決手段】半導体発光装置1は、第1光25を放射する半導体発光素子24と、半導体発光素子24を封止する封止部材30とを備える。封止部材30は、封止樹脂31と、蛍光体粒子32と、球状ポリマー粒子33とを含む。蛍光体粒子32は、第1光25を第1光25とは異なる波長を有する第2光35に変換する。球状ポリマー粒子33は、第1光25または第2光35の少なくとも一つを吸収して、半導体発光装置1の光量を減少させる。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、3μm以上である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光を放射する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を封止する封止部材とを備える半導体発光装置であって、
前記封止部材は、封止樹脂と、前記封止樹脂に添加されている蛍光体粒子と、前記封止樹脂に添加されている球状ポリマー粒子とを含み、
前記蛍光体粒子は、前記第1光を前記第1光とは異なる波長を有する第2光に変換し、
前記球状ポリマー粒子は、前記第1光または前記第2光の少なくとも一つを吸収して、前記半導体発光装置の光量を減少させ、
前記球状ポリマー粒子の平均粒子径は、3μm以上である、半導体発光装置。
【請求項2】
前記球状ポリマー粒子の粒子径の変動係数は、10%以下であり、
前記変動係数は、前記球状ポリマー粒子の前記粒子径の標準偏差を、前記球状ポリマー粒子の前記平均粒子径で除して、100を掛けることによって与えられる、請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
第1光を放射する半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を封止する封止部材とを備える半導体発光装置であって、
前記封止部材は、封止樹脂と、前記封止樹脂に添加されている蛍光体粒子と、前記封止樹脂に添加されている球状ポリマー粒子とを含み、
前記蛍光体粒子は、前記第1光を前記第1光とは異なる波長を有する第2光に変換し、
前記球状ポリマー粒子は、前記第1光または前記第2光の少なくとも一つを吸収して、前記半導体発光装置の光量を減少させ、
前記球状ポリマー粒子の粒子径の変動係数は、10%以下であり、
前記変動係数は、前記球状ポリマー粒子の前記粒子径の標準偏差を、前記球状ポリマー粒子の平均粒子径で除して、100を掛けることによって与えられる、半導体発光装置。
【請求項4】
前記球状ポリマー粒子の前記平均粒子径は、25μm以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記半導体発光素子に接続されている導電ワイヤをさらに備え、
前記球状ポリマー粒子の前記平均粒子径は、前記導電ワイヤの直径以下である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記球状ポリマー粒子は、ポリマー母材と、前記ポリマー母材に添加されておりかつ前記第1光または前記第2光の前記少なくとも一つを吸収する光吸収体とを含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記ポリマー母材は、シリコーン系共重合体、アクリル共重合体またはジビニルベンゼン共重合体で形成されており、
前記光吸収体は、黒色顔料で形成されている、請求項6に記載の半導体発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2018/212300号(特許文献1)は、実装基板と、複数のLED素子と、封止樹脂とを備える発光装置を開示している。封止樹脂は、複数のLED素子を封止する。封止樹脂は、蛍光体粒子と、二酸化チタン粒子とを含む。蛍光体粒子は、複数のLED素子から出射される第1の光によって励起されて、第2の光を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/212300号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の発光装置では、同一製造ロット内であっても、複数の発光装置間で発光色度に大きなばらつきがあり、発光装置の製造歩留まりが低い。本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、発光色度のばらつきが低減された半導体発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一の局面の半導体発光装置は、第1光を放射する半導体発光素子と、半導体発光素子を封止する封止部材とを備える。封止部材は、封止樹脂と、封止樹脂に添加されている蛍光体粒子と、封止樹脂に添加されている球状ポリマー粒子とを含む。蛍光体粒子は、第1光を第1光とは異なる波長を有する第2光に変換する。球状ポリマー粒子は、第1光または第2光の少なくとも一つを吸収して、半導体発光装置の光量を減少させる。球状ポリマー粒子の平均粒子径は、3μm以上である。
【0006】
本開示の第二の局面の半導体発光装置は、第1光を放射する半導体発光素子と、半導体発光素子を封止する封止部材とを備える。封止部材は、封止樹脂と、封止樹脂に添加されている蛍光体粒子と、封止樹脂に添加されている球状ポリマー粒子とを含む。蛍光体粒子は、第1光を第1光とは異なる波長を有する第2光に変換する。球状ポリマー粒子は、第1光または第2光の少なくとも一つを吸収して、半導体発光装置の光量を減少させる。球状ポリマー粒子の粒子径の変動係数は、10%以下である。変動係数は、球状ポリマー粒子の粒子径の標準偏差を、球状ポリマー粒子の平均粒子径で除して、100を掛けることによって与えられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の第一の局面及び第二の局面の半導体発光装置の発光色度のばらつきが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態の半導体発光装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面に基づいて本開示の実施の形態の詳細について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。以下に記載する実施の形態の少なくとも一部の構成を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
図1を参照して、実施の形態の半導体発光装置1を説明する。半導体発光装置1は、基板10と、半導体発光素子24と、導電ワイヤ27,28と、封止部材30とを備える。半導体発光装置1は、リフレクタ20をさらに備えてもよい。
【0011】
基板10は、半導体発光素子24を支持する。基板10は、例えば、絶縁基板11と、前面導電層12,13と、背面導電層14,15と、貫通ビア16,17とを含む。
【0012】
絶縁基板11は、主面11aと、主面11aとは反対側の主面11bとを含む。絶縁基板11は、例えば、ガラスクロスと、ガラスクロスに含浸された樹脂とで形成されている。
【0013】
前面導電層12,13は、主面11a上に設けられている。前面導電層12,13は、互いに間隔を空けて配置されている。背面導電層14,15は、主面11b上に設けられている。背面導電層14,15は、互いに間隔を空けて配置されている。前面導電層12,13及び背面導電層14,15は、例えば、銅のような導電材料で形成されている。前面導電層12,13及び背面導電層14,15は、金めっき層または銀めっき層のようなめっき層(図示せず)で覆われてもよい。
【0014】
貫通ビア16は、絶縁基板11を貫通しており、前面導電層12と背面導電層14とに接続されている。貫通ビア17は、絶縁基板11を貫通しており、前面導電層13と背面導電層15とに接続されている。貫通ビア16,17は、例えば、銅のような導電材料で形成されている。基板10は、配線基板(図示せず)に実装される。配線基板は、配線(図示せず)を含む。背面導電層14,15は、はんだなどの導電接合部材(図示せず)を用いて、配線基板の配線に接合される。
【0015】
半導体発光素子24は、基板10に実装されている。具体的には、半導体発光素子24は、はんだなどの導電接合部材23を用いて、前面導電層12に接合されている。半導体発光素子24は、例えば、発光ダイオード(LED)である。半導体発光素子24は、主に、窒化ガリウム(GaN)などの半導体材料で形成されている。半導体発光素子24は、例えば、n型電極(図示せず)とp型電極(図示せず)とを含む。半導体発光素子24は、第1光25を放射する。第1光25は、特に限定されないが、例えば、青色光である。
【0016】
導電ワイヤ27,28は、半導体発光素子24に接続されている。具体的には、導電ワイヤ27は、半導体発光素子24(例えば、n型電極)と前面導電層12とに接続されている。導電ワイヤ27は、半導体発光素子24(例えば、p型電極)と前面導電層13とに接続されている。導電ワイヤ27,28は、例えば、銅、金またはアルミニウムのような導電材料で形成されている。導電ワイヤ27,28は、各々、直径Dを有する。直径Dは、例えば、10μm以上40μm以下である。
【0017】
リフレクタ20は、基板10上に配置されている。絶縁基板11の主面11aの平面視において、リフレクタ20は、半導体発光素子24を取り囲んでいる。リフレクタ20は、半導体発光素子24から放射される第1光25と、後述する蛍光体粒子32から放射される第2光35とを、半導体発光装置1の外部に向けて反射する。リフレクタ20は、例えば、側壁21と、反射層22とを含む。基板10に近づくにつれて側壁21の内表面が半導体発光素子24に近づくように、側壁21の内表面は傾斜してもよい。側壁21は、例えば、エポキシ樹脂のような樹脂で形成されている。反射層22は、側壁21の内表面上に設けられている。反射層22は、第1光25と第2光35とを反射する。反射層22は、例えば、金層、銀層、亜鉛層、または、金とコバルトとの合金層である。
【0018】
封止部材30は、半導体発光素子24を封止する。封止部材30は、封止樹脂31と、蛍光体粒子32と、球状ポリマー粒子33とを含む。
【0019】
封止樹脂31は、半導体発光素子24から放射される第1光25及び蛍光体粒子32から放射される第2光35に対して透明な樹脂である。封止樹脂31は、例えば、エポキシ樹脂で形成されている。
【0020】
蛍光体粒子32は、封止樹脂31に添加されており、封止樹脂31中に分散されている。蛍光体粒子32は、半導体発光素子24から放射される第1光25を、第1光25とは異なる波長を有する第2光35に変換する。蛍光体粒子32は、第2光35を蛍光として発する。第2光35は、例えば、第1光25よりも長い波長を有する。例えば、第1光25が青色光である場合、蛍光体粒子32は(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce3+または(Ba,Sr,Ca)SiO:Eu2+などのような黄色蛍光体粒子であり、第2光35は黄色光である。そのため、半導体発光装置1から白色光が放射される。
【0021】
蛍光色が互いに異なる複数の蛍光体粒子32が、封止樹脂31に添加されており、封止樹脂31中に分散されてもよい。発光色が互いに異なる複数の蛍光体粒子32は、例えば、(Ba,Sr)SiO:Eu2+などのような緑色蛍光体粒子、及び、CaAlSiN:Eu2+などのような赤色蛍光体粒子である。
【0022】
球状ポリマー粒子33は、封止樹脂31に添加されており、封止樹脂31中に分散されている。球状ポリマー粒子33は、第1光25または第2光35の少なくとも一つを吸収する。球状ポリマー粒子33は、第1光25の一部を吸収してもよいし、第2光35の一部を吸収してもよいし、図1に示されるように第1光25の一部と第2光35の一部とを吸収してもよい。図1では、第1光25の矢印が細いほど第1光25の光量が小さく、第2光35の矢印が細いほど第2光35の光量が小さい。第1光25に対する球状ポリマー粒子33の光吸収率は、第2光35に対する球状ポリマー粒子33の光吸収率と同じであってもよいし、第2光35に対する球状ポリマー粒子33の光吸収率と異なってもよい。
【0023】
球状ポリマー粒子33は、半導体発光装置1の光量を減少させる。例えば、球状ポリマー粒子33無しの半導体発光装置1の光量が、半導体発光装置1の仕様の光量よりも大きい場合、封止樹脂31に球状ポリマー粒子33を添加することにより、半導体発光装置1の光量を半導体発光装置1の仕様の光量に減少させる。球状ポリマー粒子33は、封止樹脂31中に、例えば、0.01%重量以上10.00%重量以下含まれている。そのため、半導体発光装置1の光量が10%以下程度減少する。
【0024】
球状ポリマー粒子33は、例えば、ポリマー母材と、光吸収体とを含む。ポリマー母材は、例えば、シリコーン系共重合体、アクリル共重合体またはジビニルベンゼン共重合体で形成されている。光吸収体は、ポリマー母材に添加されており、第1光25または第2光35の少なくとも一つを吸収する。光吸収体は、例えば、カーボンブラックのような黒色顔料で形成されている。
【0025】
球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、例えば、3μm以上である。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、4μm以上であってもよく、6μm以上であってもよく、8μm以上であってもよい。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、25μm以下である。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、20μm以下であってもよく、15μm以下であってもよく、12μm以下以上であってもよい。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、導電ワイヤ27,28の各々の直径D以下である。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、球状ポリマー粒子33の粒子径の平均値である。本明細書において、平均粒子径は、日本産業規格JIS Z 8825 (2013)に定められる方法によって算出される。具体的には、平均粒子径は、レーザ回折・散乱法によって測定される粒子径の分布から算出される。
【0026】
球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数(CV値)は、10%以下である。球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数(CV値)は、8%以下であってもよく、6%以下であってもよい。本明細書において、粒子径の変動係数(CV値)は、以下の式(1)によって与えられる。
【0027】
CV値(%)=(粒子径の標準偏差/平均粒子径)×100 (1)
球状ポリマー粒子33は、例えば、金型を用いて作製される。そのため、球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数(CV値)は、後述する酸化チタン粒子の粒子径の変動係数(CV値)よりも小さい。本明細書において、粒子径の標準偏差は、日本産業規格JIS Z 8825 (2013)に定められる方法によって算出される。具体的には、粒子径の標準偏差は、レーザ回折・散乱法によって測定される粒子径の分布から算出される。
【0028】
本実施の形態の半導体発光装置1の製造方法を説明する。
【0029】
基板10上にリフレクタ20を形成する。例えば、トランスファーモールドによって、基板10上に側壁21を形成する。側壁21の内表面上に、めっき層を施して反射層22を形成する。それから、半導体発光素子24を基板10に実装する。具体的には、はんだなどの導電接合部材23を用いて、半導体発光素子24を、前面導電層12に接合する。それから、ワイヤボンディング工程を行う。具体的には、導電ワイヤ27を半導体発光素子24(例えば、n型電極)と前面導電層12とにボンディングする。導電ワイヤ28を半導体発光素子24(例えば、p型電極)と前面導電層13とにボンディングする。
【0030】
最後に、半導体発光素子24を封止部材30で封止する。具体的には、蛍光体粒子32及び球状ポリマー粒子33が分散された封止樹脂31を、基板10及びリフレクタ20により画された空間内にディスペンサを用いてポッティングして、加熱硬化する。こうして、図1に示される半導体発光装置1が得られる。
【0031】
比較例と対比しながら、本実施の形態の半導体発光装置1の作用を説明する。
【0032】
比較例では、球状ポリマー粒子33に代えて、酸化チタン粒子が封止樹脂31に添加されている。酸化チタン粒子は、半導体発光素子24から放射される第1光25または蛍光体粒子32から放射される第2光35の少なくとも一つを吸収して、半導体発光装置1の光量を減少させる。例えば、第1光25が青色光であり、かつ、第2光35が黄色光である場合、第1光25に対する酸化チタン粒子の光吸収率は、第2光35に対する酸化チタン粒子の光吸収率よりも大きい。
【0033】
本実施の形態の複数の半導体発光装置1を同一の製造条件で製造するとともに、比較例の複数の半導体発光装置を同一の製造条件で製造した。そして、同一製造ロット内の本実施の形態の複数の半導体発光装置1間の発光色度のばらつきと同一製造ロット内の比較例の複数の半導体発光装置間の発光色度のばらつきとを比べた。すると、本実施の形態の複数の半導体発光装置1間の発光色度のばらつきは、比較例の複数の半導体発光装置間の発光色度のばらつきよりも減少していた。以下の二つの理由により、本実施の形態の複数の半導体発光装置1間で発光色度のばらつきが減少すると考えられる。
【0034】
第一の理由は、本実施の形態の球状ポリマー粒子33の平均粒子径と比較例の酸化チタン粒子の平均粒子径との違いである。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は3μm以上であるのに対し、酸化チタン粒子の平均粒子径は数十nm以上数百nmである。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、酸化チタン粒子の平均粒子径より大きい。粒子径が増加するにつれて、粒子は凝集しにくくなる。そのため、本実施の形態の複数の半導体発光装置1間で、球状ポリマー粒子33の凝集の仕方のばらつきが減少する。こうして、本実施の形態の複数の半導体発光装置1間で発光色度のばらつきが減少する。
【0035】
第二の理由は、本実施の形態の球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数(CV値)と比較例の酸化チタン粒子の粒子径の変動係数(CV値)との違いである。比較例に用いられている酸化チタン粒子の粒子径の変動係数(CV値)は20%であるのに対し、本実施の形態に用いられている球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数(CV値)は10%以下である。本実施の形態に用いられている球状ポリマー粒子33の粒子径のばらつきは、比較例に用いられている酸化チタン粒子の粒子径のばらつきよりも小さい。粒子径のばらつきが小さくなるほど、複数の半導体発光装置1間で粒子の凝集の仕方のばらつきも減少する。そのため、本実施の形態の複数の半導体発光装置1間で発光色度のばらつきが減少する。
【0036】
本実施の形態の半導体発光装置1の効果を説明する。
【0037】
本実施の形態の半導体発光装置1は、第1光25を放射する半導体発光素子24と、半導体発光素子24を封止する封止部材30とを備える。封止部材30は、封止樹脂31と、封止樹脂31に添加されている蛍光体粒子32と、封止樹脂31に添加されている球状ポリマー粒子33とを含む。蛍光体粒子32は、第1光25を第1光25とは異なる波長を有する第2光35に変換する。球状ポリマー粒子33は、第1光25または第2光35の少なくとも一つを吸収して、半導体発光装置1の光量を減少させる。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、3μm以上である。
【0038】
球状ポリマー粒子33の平均粒子径が3μm以上であるため、球状ポリマー粒子33は凝集しにくくなる。球状ポリマー粒子33の凝集の仕方のばらつきが減少する。そのため、本実施の形態の半導体発光装置1の発光色度のばらつきが減少する。半導体発光装置1の製造歩留まりが向上する。
【0039】
本実施の形態の半導体発光装置1では、球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数は、10%以下である。変動係数は、球状ポリマー粒子33の粒子径の標準偏差を、球状ポリマー粒子33の平均粒子径で除して、100を掛けることによって与えられる。
【0040】
球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数が10%以下であるため、球状ポリマー粒子33の凝集の仕方のばらつきが減少する。そのため、本実施の形態の半導体発光装置1の発光色度のばらつきが減少する。半導体発光装置1の製造歩留まりが向上する。
【0041】
本実施の形態の半導体発光装置1は、第1光25を放射する半導体発光素子24と、半導体発光素子24を封止する封止部材30とを備える。封止部材30は、封止樹脂31と、封止樹脂31に添加されている蛍光体粒子32と、封止樹脂31に添加されている球状ポリマー粒子33とを含む。蛍光体粒子32は、第1光25を第1光25とは異なる波長を有する第2光35に変換する。球状ポリマー粒子33は、第1光25または第2光35の少なくとも一つを吸収して、半導体発光装置1の光量を減少させる。球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数は、10%以下である。変動係数は、球状ポリマー粒子33の粒子径の標準偏差を、球状ポリマー粒子33の平均粒子径で除して、100を掛けることによって与えられる。
【0042】
球状ポリマー粒子33の粒子径の変動係数が10%以下であるため、球状ポリマー粒子33の凝集の仕方のばらつきが減少する。そのため、本実施の形態の半導体発光装置1の発光色度のばらつきが減少する。半導体発光装置1の製造歩留まりが向上する。
【0043】
本実施の形態の半導体発光装置1では、球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、25μm以下である。
【0044】
そのため、球状ポリマー粒子33は、封止樹脂31中に沈降し難くなって、より均一に封止樹脂31中に分散され得る。そのため、本実施の形態の半導体発光装置1の発光色度のばらつきが減少する。半導体発光装置1の製造歩留まりが向上する。
【0045】
本実施の形態の半導体発光装置1は、半導体発光素子24に接続されている導電ワイヤ27,28をさらに備える。球状ポリマー粒子33の平均粒子径は、導電ワイヤ27,28の直径D以下である。
【0046】
そのため、球状ポリマー粒子33は、封止樹脂31中に沈降し難くなって、より均一に封止樹脂31中に分散され得る。そのため、本実施の形態の半導体発光装置1の発光色度のばらつきが減少する。また、球状ポリマー粒子33が導電ワイヤ27,28に衝突しても、球状ポリマー粒子33によって導電ワイヤ27,28が折り曲げられるまたは断線することが防止される。半導体発光装置1の製造歩留まりが向上する。
【0047】
本実施の形態の半導体発光装置1では、球状ポリマー粒子33は、ポリマー母材と、ポリマー母材に添加されておりかつ第1光25または第2光35の少なくとも一つを吸収する光吸収体とを含む。
【0048】
そのため、球状ポリマー粒子33の凝集の仕方のばらつきが減少する。本実施の形態の半導体発光装置1の発光色度のばらつきが減少する。半導体発光装置1の製造歩留まりが向上する。
【0049】
本実施の形態の半導体発光装置1では、ポリマー母材は、シリコーン系共重合体、アクリル共重合体またはジビニルベンゼン共重合体で形成されている。光吸収体は、黒色顔料で形成されている。
【0050】
そのため、球状ポリマー粒子33の凝集の仕方のばらつきが減少する。本実施の形態の半導体発光装置1の発光色度のばらつきが減少する。半導体発光装置1の製造歩留まりが向上する。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 半導体発光装置、10 基板、11 絶縁基板、11a,11b 主面、12,13 前面導電層、14,15 背面導電層、16,17 貫通ビア、20 リフレクタ、21 側壁、22 反射層、23 導電接合部材、24 半導体発光素子、25 第1光、27,28 導電ワイヤ、30 封止部材、31 封止樹脂、32 蛍光体粒子、33 球状ポリマー粒子、35 第2光。
図1