(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130633
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】果菜排出方法、果菜箱詰め方法
(51)【国際特許分類】
B07C 5/38 20060101AFI20230913BHJP
B65B 5/08 20060101ALI20230913BHJP
B65B 35/24 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B07C5/38
B65B5/08
B65B35/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035038
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】391017702
【氏名又は名称】日本協同企画株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和男
【テーマコード(参考)】
3E003
3E054
3F079
【Fターム(参考)】
3E003AA03
3E003AB10
3E003BB02
3E003BC01
3E003BD04
3E003CA02
3E003CA10
3E003DA02
3E003DA07
3E054AA10
3E054CA08
3E054DC03
3E054DC12
3E054DC16
3E054FA02
3E054FA05
3E054FA07
3E054FB20
3E054GA01
3E054GA07
3E054GB05
3E054GC03
3E054HA04
3E054HA07
3E054HA10
3E054JA02
3F079AC21
3F079AC23
3F079CA34
3F079CB29
3F079CC05
3F079CC11
3F079DA11
3F079EA10
3F079EA15
(57)【要約】
【課題】 箱詰め効率の向上に資する果菜排出方法と、当該果菜排出方法を利用する果菜箱詰め方法を提供する。
【解決手段】 本発明の果菜排出方法は、同一等階級の果菜をプールする複数本の構成コンベアのうち、任意の構成コンベアに予め設定された所定数の果菜を連続して排出し、当該構成コンベアへの所定数の果菜の排出が完了したのち、当該構成コンベア以外の他の構成コンベアへの果菜の排出を開始する方法である。本発明の果菜箱詰め方法は、本発明の果菜排出方法でプールコンベア上に排出された果菜を一つずつ取り出し、取り出した果菜を予め設定された箱詰め位置にある箱に収容する方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果菜キャリア上の果菜を等階級別にプールコンベアに排出する果菜排出方法において、
同一等階級の果菜をプールする複数本の構成コンベアのうち、任意の構成コンベアに予め設定された所定数の果菜を連続して排出し、
前記構成コンベアへの所定数の果菜の排出が完了したのち、当該構成コンベア以外の他の構成コンベアへの果菜の排出を開始する、
ことを特徴とする果菜排出方法。
【請求項2】
請求項1記載の果菜排出方法において、
構成コンベアへの所定数の果菜の排出が完了した後、当該構成コンベア以外の構成コンベアに、予め設定された所定数の果菜を連続して排出する、
ことを特徴とする果菜排出方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の果菜排出方法において、
同一等階級の果菜をプールする複数本の構成コンベアに優先順位を設定し、
前記優先順位の高い順に、予め設定された所定数の果菜を連続して排出する、
ことを特徴とする果菜排出方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の果菜排出方法において、
所定数の果菜がプールされた構成コンベアの動作によって、当該構成コンベア上の先頭の果菜を予め設定された取出し位置まで移動させる、
ことを特徴とする果菜排出方法。
【請求項5】
等階級別にプールされた果菜を取り出して箱に収容する果菜箱詰め方法において、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の果菜排出方法でプールコンベア上に排出された果菜を一つずつ取り出し、
取り出した果菜を予め設定された箱詰め位置にある箱に収容する、
ことを特徴とする果菜箱詰め方法。
【請求項6】
請求項5記載の果菜箱詰め方法において、
箱内に複数の収容列が設けられ、
一列分の果菜の収容が完了した後、次の収容列が箱詰め位置に位置するように箱を移動させる、
ことを特徴とする果菜箱詰め方法。
【請求項7】
請求項6記載の果菜箱詰め方法において、
複数の収容列への果菜の収容が完了した箱を予め設定されたトレイ投入位置に移動させ、
前記トレイ投入位置に移動した箱内に中敷きトレイを供給し、
前記中敷きトレイが供給された箱を箱詰め位置に移動させ、
前記箱詰め位置に移動した箱内の中敷きトレイに果菜を収容する、
ことを特徴とする果菜箱詰め方法。
【請求項8】
請求項7記載の果菜箱詰め方法において、
中敷きトレイに複数の収容列が設けられ、
前記複数の収容列の一列分の果菜の収容が完了した後、次の収容列が箱詰め位置に位置するように箱を移動させる、
ことを特徴とする果菜箱詰め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等階級が判別された果菜をプールコンベアに排出する果菜排出方法と、プールコンベアに排出された果菜を箱詰めする果菜箱詰め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、果菜の等階級を判別して等階級ごとにプールコンベアにプールする果菜自動選別装置(特許文献1)が知られている。特許文献1の果菜自動選別装置では、プールコンベアの近傍にロボットアームが設置され、そのロボットアームでプールコンベア上の果菜を取り出して箱詰めが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1の果菜自動選別装置では、各プールコンベアが複数本の構成コンベアを備え、選別の果菜が空きのある構成コンベアに適宜排出される。ところが、この方法では、ロボットの移動距離が長くなることがあり、その分だけ果菜の箱詰め効率が上がらず、この点に改善の余地があった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、箱詰め効率の向上に資する果菜排出方法と、当該果菜排出方法を利用する果菜箱詰め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[果菜排出方法]
本発明の果菜排出方法は、果菜キャリア上の果菜を等階級別にプールコンベアに排出する方法であって、同一等階級の果菜をプールする複数本の構成コンベアのうち、任意の構成コンベアに予め設定された所定数の果菜を連続して排出し、当該構成コンベアへの所定数の果菜の排出が完了したのち、当該構成コンベア以外の他の構成コンベアへの果菜の排出を開始する方法である。
【0007】
[果菜箱詰め方法]
本発明の果菜箱詰め方法は、等階級別にプールされた果菜を取り出して箱に収容する果菜箱詰めする方法であって、本発明の果菜排出方法でプールコンベア上に排出された果菜を一つずつ取り出し、取り出した果菜を予め設定された箱詰め位置にある箱に収容する方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の果菜排出方法及び当該果菜排出方法を利用する果菜箱詰め方法は、同一等階級の果菜をプールする複数本の構成コンベアのうち、任意の構成コンベアに予め設定された所定数の果菜を連続して排出してから他の構成コンベアへの排出を開始するため、ロボットの移動距離を短くすることができ、前記箱詰め効率の課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】果菜自動選別装置及び果菜箱詰め装置の概略図。
【
図2】プールコンベアと取出しロボットの概略説明図。
【
図4】(a)~(c)はロボットアームの動作説明図。
【
図6】(a)~(d)は二段目に果菜を収容する場合の手順説明図。
【
図7】(a)~(c)はロボットアームの稼働範囲の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本発明の実施形態の一例を、図面を参照して説明する。一例として
図1に示す果菜自動選別装置10は、果菜搬送体11と、計測手段12と、等階級判別部13と、プールコンベア14を備えている。
【0011】
前記果菜搬送体11は、果菜Xを載せる複数の果菜キャリア11aと、複数の果菜キャリア11aを搬送する無端走行体(図示しない)を備えている。無端走行体は間隔をあけて平行に配置された縦回転式の二本の無端チェーンなどで構成される。複数の果菜キャリア11aは無端走行体に連結され、無端走行体の走行に伴って無端走行体の走行方向に搬送される。
【0012】
果菜キャリア11aは一本又は二本以上の回転ベルトを備えている。果菜キャリア11a上の果菜Xは、回転ベルトの回転によってプールコンベア14に排出される。果菜キャリア11aは、果菜キャリア11a上の果菜Xを斜め後方に排出できるように、送り出し方向先方が果菜搬送体11の搬送方向に対して斜め後方を向くように設けられている。
【0013】
果菜キャリア11aを、その送り出し方向先方が果菜搬送体11の搬送方向に対して斜め後方を向くように設けることで、プールコンベア14への排出時に果菜Xの転がりを防止することができ、ひいては果菜Xの傷付きを防止することができる。ただし、果菜キャリア11aはこれ以外の向き(真横や斜め前方等)に向けることもできる。
【0014】
前記計測手段12は果菜搬送体11で搬送中の果菜キャリア11a上の果菜Xを計測するものである。計測手段12には、既存のカメラや糖度計などを用いることができる。図示は省略しているが、計測手段12には計測結果に基づいて当該果菜Xの等階級を判別する等階級判別部13が接続されている。
【0015】
前記等階級判別部13は、計測手段12での計測結果に基づいて、当該果菜Xの等階級を判別するものである。等階級判別部13での判別結果は図示しない制御部に等階級データとして送信され、当該制御部の制御信号によって果菜キャリア11a上の果菜Xが所定等階級のプールコンベア14へ排出される。
【0016】
前記プールコンベア14は、果菜キャリア11aから排出された果菜Xを引き受けるものである。プールコンベア14は、果菜キャリア11aから排出される果菜Xを引き受けられるように、果菜搬送体11の側方に配置されている。プールコンベア14はベルトコンベア等で構成される。
【0017】
プールコンベア14は、その上面が果菜キャリア11aの上面と同じ又は略同じ高さとなるようにしてある。また、プールコンベア14は果菜搬送体11に可能な限り近接させて両者間に果菜Xが落ち込まないようにしてある。このようにすることで、果菜Xを傷つけることなく、プールコンベア14にスムーズに排出することができる。
【0018】
プールコンベア14は等階級ごとに設けられている。
図2に示すように、この実施形態では、各等階級のプールコンベア14は複数本のベルトコンベアで構成されている。説明の便宜上、以下ではプールコンベア14を構成する個々のベルトコンベアを構成コンベアという。なお、
図2は、説明の便宜上、
図1を簡略化した概略図である。
【0019】
ここでは、各等階級のプールコンベア14が四本の構成コンベアで構成された場合を一例としているが、構成コンベアの本数は四本より多くても少なくてもよい。また、すべての等階級のプールコンベア14の構成コンベアの本数を同数とする必要はなく、プールされる果菜Xの数に応じて増減させることができる。
【0020】
この実施形態では、各構成コンベアにプールされる果菜Xの数(以下「所定プール数」という)を設定できるようにしてある。所定プール数は、果菜Xの大きさや形状、プール間隔等によって適宜設定することができる。
【0021】
図示は省略しているが、プールコンベア14の近傍にはプールコンベア14上の果菜Xを撮影してプールコンベア14上における果菜Xの位置情報を取得する撮影手段が設けられている。撮影手段には、たとえば、位置情報検出機能付デジタルカメラ等を用いることができる。撮影手段は等階級ごとに一台又は二台以上設けることができる。
【0022】
この実施形態では、撮影手段をプールコンベア14の上方側に設置し、プールコンベア14上にプールされている複数の果菜Xを撮影して位置情報を取得できるようにしてある。撮影手段は、プールコンベア14上の果菜Xを撮影できる位置であれば、これ以外の場所に設けることもできる。撮影手段は二つ以上設けることもできる。
【0023】
プールコンベア14には、前記撮影手段に代えて又は撮影手段と共に、プールコンベア14上の予め設定された取出し位置P1に果菜Xがあることを検知するセンサ(図示しない)を設けることができる。この場合、センサは構成コンベアごとに設けることもできる。
【0024】
なお、各構成コンベアのベルトは、果菜キャリア11aから果菜Xが送り出される度に、換言すれば、果菜キャリア11aのベルトが送り出し方向に回転するたびに一ピッチ分回転するようにしてある。ここでいう一ピッチとは、果菜Xが他の果菜Xと接触することなく載る間隔を意味する。
【0025】
このほか、各構成コンベアのベルトは、所定プール数の果菜Xが載った際に、先頭の果菜Xが取出し位置P1に到達していない場合に、当該先頭の果菜Xが取出し位置P1に位置するところまで回転させられるようにしてある。このようにすることで、構成コンベアの長さに対して、所定プール数が少ないような場合でも、箱詰めロボット20での果菜Xの取出しが可能となる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、各プールコンベア14の先方には、プールコンベア14上の果菜Xを箱Bに詰める箱詰めロボット20が設けられている。この実施形態の箱詰めロボット20は、ベース台21と三本のロボットアーム22を備えている。この実施形態では、箱詰めロボット20の三本のロボットアーム22で、二つの等階級の箱詰めが行われるようにしてある。
【0027】
各ロボットアーム22は、ベース台21に水平移動可能に設けられた水平アーム22aと、水平アーム22aに垂直方向に移動可能に設けられた垂直アーム22bを備えている。垂直アーム22bの先端にはエンドエフェクタとして果菜Xを取り出す取出し具22cが設けられている。
【0028】
この実施形態では、取出し具22cとして果菜Xを吸着する吸着具を用いている。取出し具22cは吸着具以外のものでもよく、たとえば、果菜Xを把持する爪等を備えたものを用いることもできる。
【0029】
この実施形態の各ロボットアーム22は、前記撮影手段や前記センサから送信される信号、具体的には、構成コンベアに所定プール数の果菜Xがプールされ、且つ、当該構成コンベア上の先頭の果菜Xが取出し位置P1にあることを示す信号に基づいて動作するようにしてある。
【0030】
図1及び
図3に示すように、プールコンベア14の搬送方向先方側には、空の箱Bを搬送する空箱搬送体30が設けられている。空箱搬送体30はローラコンベアやベルトコンベア等の各種コンベアで構成される。
【0031】
空箱搬送体30の側方には、プールコンベア14の下側に到達する長さの箱詰めレーン31が設けられている。箱詰めレーン31は各プールコンベア14に対して一本ずつ設けられている。箱詰めレーン31はベルトコンベアやローラコンベア等の各種コンベアで構成される。
【0032】
空箱搬送体30の側方のうち、箱詰めレーン31の配設方向と反対側の側方には、空箱搬送体30上の箱Bを箱詰めレーン31に送り出すプッシャ32が設けられている。プッシャ32は各箱詰めレーン31に対して一つずつ設けられている。
【0033】
箱詰めレーン31の先方には、箱詰めが完了した果菜収容済みの箱Bを外部(たとえば、出荷ヤード等)に排出する排出コンベア33が設けられている。排出コンベア33は、ベルトコンベアやローラコンベア等の各種コンベアで構成される。
【0034】
この実施形態の排出コンベア33は、果菜搬送体11と平行に配設されている。果菜収容済みの箱Bは、各箱詰めレーン31から共通の排出コンベア33へ送り出され、外部に搬送される。
【0035】
図3に示すように、この実施形態では、空箱搬送体30、箱詰めレーン31及び排出コンベア33の上面側の高さが同じ又は略同じ高さとなるようにしてある。また、空箱搬送体30と箱詰めレーン31の間、各箱詰めレーン31と排出コンベア33の間の隙間は、箱Bが落ちない程度の広さとしてある。
【0036】
各箱詰めレーン31の上方には、箱Bの中に中敷きトレイTを自動供給するトレイ供給機34が設けられている。トレイ供給機34には、複数枚の中敷きトレイTが積層して収容されている。トレイ供給機34は、箱Bの中に一枚ずつ中敷きトレイTを自動供給する。
図3に示す例では、トレイ供給機34の隣には補充用の中敷きトレイTを入れておくストッカー35を設けてある。
【0037】
各トレイ供給機34に収容されている中敷きトレイTは、各プールコンベア14にプールされる果菜Xの等階級に対応するものである。空箱搬送体30で搬送する段階で、空箱内にトレイ供給機34を入れておくこともできなくはないが、この方式だと、川上の等階級の果菜Xが少ない場合に、当該等階級用の中敷きトレイTが入った箱Bを箱詰めレーン31に排出できず、川上に必要な箱Bを供給できなくなるおそれがある。
【0038】
これに対し、本実施形態のように、箱詰めレーン31に排出された後に中敷きトレイTを入れる方式にすることで、前述のような問題が発生するのを防止することができる。なお、空箱搬送体30から供給される箱Bには等階級の印字はされておらず、箱詰めレーン31に排出された後に図示しない印字装置で印字が行われるようにしてある。
【0039】
本実施形態の構成は一例であり、本願における果菜自動選別装置や果菜箱詰め装置並びにこれらを構成する各要素の構成は、所期の目的を達成できる範囲で、追加や省略、入れ替えといった変更を加えることができる。
【0040】
次に、果菜キャリア11aからプールコンベア14に果菜Xを排出する際の動作及びプールコンベア14上の果菜Xを取り出して箱詰めする際の動作、並びに、複数の箱詰めロボット20間の連携について説明する。
【0041】
[果菜キャリアからプールコンベアに果菜を排出する際の動作]
はじめに、果菜キャリア11aからプールコンベア14に果菜Xを排出する際の動作について説明する。ここでは、各プールコンベア14が四本の構成コンベアで構成されている場合を一例とする。
【0042】
この実施形態では、四本の構成コンベアの中から選択される任意の構成コンベアに所定プール数の果菜Xが連続して排出される。所定プール数の果菜Xが排出されるまでの間、選択された構成コンベア(たとえば、
図2の構成コンベア14a)のベルトは、果菜キャリア11aから果菜Xが送られる度に一ピッチ分回転し、果菜キャリア11aからの送り出される果菜Xを引き受ける。
【0043】
構成コンベア14aに所定プール数の果菜Xの排出が完了すると、当該構成コンベア14aは引き受け動作を停止し、次の任意の構成コンベア(たとえば、
図2の構成コンベア14b)への排出が開始される。
【0044】
構成コンベア14bへの排出が開始されると、当該構成コンベア14bに所定プール数の果菜Xが排出されるまでの間、他の構成コンベアには果菜Xは排出されず、構成コンベア14bに連続して排出が行われる。
【0045】
構成コンベアには優先順位を設定しておき、その順番に従って果菜Xが排出されるようにすることもできる。この場合も、構成コンベアへの排出が開始されると、当該構成コンベアに所定プール数の果菜Xが排出されるまでの間、他の構成コンベアには果菜Xは排出されず、当該構成コンベアに連続して排出が行われる。
【0046】
なお、この実施形態では、等階級判別部13からの信号によって構成コンベアが動作するようにしてある。たとえば、果菜Xの等階級がAMの場合、当該果菜Xを載せた果菜キャリア11a及び構成コンベアにその信号が送信され、その信号に従って、当該果菜キャリア11aと等階級AMの果菜をプールする構成コンベアが動作する。
【0047】
このとき、果菜キャリア11aのベルトの回転ピークと構成コンベアのベルトの回転ピークが一致するように、両者のベルトが回転するようにしてある。このようにすることで、果菜Xが果菜キャリア11aから排出されると共に構成コンベアに引き込まれ、果菜Xが傷つくことなくスムーズに排出されるメリットがある。
【0048】
[プールコンベア上の果菜を取り出して箱詰めする際の動作]
次に、図面を参照して、プールコンベア14上の果菜を取り出して箱詰めする際の動作について説明する。構成コンベアに所定プール数の果菜Xがプールされると、当該構成コンベア上の果菜Xが箱詰めロボット20で取り出されて箱詰めが行われる。
【0049】
図3に示すように、この実施形態では、箱詰めに先立ち、空箱搬送体30から箱詰めレーン31に箱Bが供給される。供給された箱Bはトレイ供給機34の下側に移動し、当該箱Bの中に中敷きトレイTが供給される。中敷きトレイTが供給された箱Bは、箱詰めレーン31上の箱詰め位置P2に移動する。
【0050】
箱詰め位置P2に箱Bが配置されると、箱詰めロボット20での箱詰めが開始される。この実施形態では、任意の構成コンベアから果菜Xを取り出すのではなく、所定プール数の果菜Xがプールされた構成コンベアから果菜Xを取り出すようにしてある。
【0051】
たとえば、構成コンベアに所定プール数の六つの果菜Xがプールされている場合、構成コンベア上の取出し位置P1にある果菜Xが箱詰めロボット20で取り出され、箱詰め位置P2にある箱B内に収容される。
【0052】
具体的には、
図4(a)に示すように垂直アーム22bが下降し、垂直アーム22bの下端に装備された取出し具22cによって、取出し位置P1にある果菜Xが取り出される。
【0053】
果菜Xが取り出されると、
図4(b)に示すように水平アーム22aが後退し、水平アーム22aに保持された垂直アーム22bが箱詰め位置P2に移動する。垂直アーム22bが箱詰め位置P2に移動すると、
図4(c)のように垂直アーム22bが下降して箱B内に進入し、箱B内の中敷きトレイTに果菜Xが収容される。
【0054】
なお、この実施形態では、取出し位置P1にある果菜Xが取り出されると、構成コンベアのベルトが一ピッチ分回転し、後続する二つ目の果菜Xが取出し位置P1に移動する。果菜Xが取出し位置P1に移動すると、箱詰めロボット20によって取出し位置P1にある果菜Xが取り出され、箱詰め位置P2にある箱B内に収容される。この手順は構成コンベアの所定プール数の果菜Xが取り出されるまで繰り返される。
【0055】
構成コンベア上の果菜Xがなくなると、他の構成コンベアのうち、所定プール数の果菜Xがプールされた構成コンベア上から果菜Xが取り出される。構成コンベア上の果菜Xがすべて取り出された場合、構成コンベア上の果菜Xの箱詰めが行われている間に所定プール数の果菜Xがプールされた構成コンベアから果菜Xが取り出される。
【0056】
構成コンベア上の果菜Xをすべて取り出した段階で、所定プール数の果菜Xがプールされた構成コンベアがない場合、一旦果菜Xの箱詰め動作が停止する。なお、構成コンベアから所定プール数の果菜Xがすべて取り出されると、構成コンベアでの果菜キャリア11aからの果菜Xの受け入れが再開される。
【0057】
ここで、箱詰め時の箱詰めレーン31の動作について説明する。ここでは、中敷きトレイTに三列×四列の凹部が設けられている場合を一例とする。
【0058】
図5(a)~(e)に示すように、この実施形態では、一列目のすべての凹部に果菜Xが収容されると、箱詰め位置P2にある箱Bが一ピッチ分前進し、二列目の凹部が収容位置に移動する。
【0059】
二列目の凹部が収容位置に移動すると、二列目の凹部への果菜Xの収容が行われる。二列目のすべての凹部に果菜Xが収容されると、箱詰め位置P2にある箱Bが一ピッチ分前進し、三列目の凹部が収容位置に移動する。
【0060】
三列目の凹部が収容位置に移動すると、三列目の凹部への果菜Xの収容が行われる。三列目のすべての凹部に果菜Xが収容された場合、果菜Xを一段だけ収容するときは、そのまま前進して排出コンベア33に送り出される。一方、果菜Xを二段に重ねて収容するときは、一段目の果菜Xの上に中敷きトレイTを投入し、その上に果菜Xが収容される。
【0061】
具体的には、
図5(d)に示すように当該箱Bがトレイ供給機34の下側のトレイ投入位置P3まで後退し、二段目用の中敷きトレイTが投入される。二段目用の中敷きトレイTが投入された箱Bは、
図5(e)に示すように箱詰め位置P2まで移動し、以降、
図6(a)~(c)に示すように、一段目と同じ要領で二段目の箱詰めが行われる。所定段数の果菜Xの収容が終わった箱Bは、
図6(d)に示すように排出コンベア33に送り出される。
【0062】
この実施形態では一段又は二段に果菜Xを収容する場合を一例としているが、果菜Xは前述の要領で三段以上に収容することもできる。なお、箱詰めレーン31は、図示しないセンサや箱詰めロボット20からの信号等によって前記動作をするように設計することができる。
【0063】
[複数の箱詰めロボット間の連携]
最後に複数の箱詰めロボット20間の連携について説明する。前述のとおり、この実施形態では、三本のロボットアーム22を備えた箱詰めロボット20で、二つの等階級の箱詰めが行われる。
【0064】
図7(a)~(c)において、構成コンベア14a~14dは等階級AMの果菜Xをプールするもの、構成コンベア14e~14hは等階級BMの果菜Xをプールするものである。
【0065】
三つのロボットアーム22のうち、
図7(a)のロボットアーム22は構成コンベア14a~14d上の果菜Xの箱詰めを行う専属のロボットアーム22(以下「第一専属アーム22A」という)、
図7(b)のロボットアーム22は構成コンベア14e~14h上の果菜Xの箱詰めを行う専属のロボットアーム22(以下「第二専属アーム22B」という)である。
【0066】
三本のロボットアーム22のうち、
図7(c)のロボットアーム22は、等階級AMの果菜Xがプールされる構成コンベア14c及び14d上の果菜X、並びに、等階級BMの果菜Xがプールされる構成コンベア14e及び14f上の果菜Xの箱詰めを行うサポート用のロボットアーム22(以下「共用アーム22C」という)である。
【0067】
共用アーム22Cは、隣接するプールコンベア14間を移動して両プールコンベア14上の果菜Xを選択的に取り出すロボットアーム22である。
【0068】
図示する例では、共用アーム22Cの移動範囲を構成コンベア14c及び14d並びに構成コンベア14e及び14fとしているが、共用アーム22Cの移動範囲はこれより広くすることも狭くすることもできる。ただし、いずれの場合も、移動範囲は第一専属アーム22Aや第二専属アーム22Bと干渉しない範囲として、その制御も相互に干渉しあわないように行う必要がある。
【0069】
本実施形態では、箱詰めロボット20が三本のロボットアーム22を備えた場合を一例としているが、ロボットアーム22が二本であり、その二本のロボットアーム22で二つの等階級の箱詰めを行う場合、一方を第一専属アーム22A、他方を第二専属アーム22Bとするほか、双方を共用アーム22Cとすることもできる。
【0070】
二本のロボットアーム22の双方を共用とする場合、基本的には、第一専属アーム22Aで構成コンベア14a~14d上の果菜Xの箱詰めを、第二専属アーム22Bで構成コンベア14e~14hの果菜Xの箱詰めを行い、一方の構成コンベアに果菜Xが集中した場合に他方のロボットアーム22がサポートするように設定することができる。
【0071】
三本のロボットアーム22のうちの一本を共用とする場合と同様、二本のロボットアーム22の双方を共用とする場合も、移動範囲は双方が干渉しない範囲とし、その制御も相互に干渉しあわないように行う必要がある。
【0072】
前記実施形態の構成は一例であり、本発明の果菜排出方法及び果菜箱詰め方法の構成は本実施形態の構成に限定されない。本発明の果菜排出方法及び果菜箱詰め方法の構成は、所期の目的を達成できる範囲で、適宜構成の追加や削除、入れ替え等の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の果菜排出方法及び果菜箱詰め方法は、各種果菜、特に、トマトや梨、柿、桃、リンゴ、マンゴー、デコポンといった丸物果菜の箱詰めに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10 果菜自動選別装置
11 果菜搬送体
11a 果菜キャリア
12 計測手段
13 等階級判別部
14 プールコンベア
14a~14h 構成コンベア
20 箱詰めロボット
21 ベース台
22 ロボットアーム
22a 水平アーム
22b 垂直アーム
22c 取出し具
22A 第一専属アーム
22B 第二専属アーム
22C 共用アーム
30 空箱搬送体
31 箱詰めレーン
32 プッシャ
33 排出コンベア
34 トレイ供給機
35 ストッカー
B 箱
P1 取出し位置
P2 箱詰め位置
P3 トレイ投入位置
T 中敷きトレイ
X 果菜