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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130635
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】長靴洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 23/22 20060101AFI20230913BHJP
   A47L 23/28 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
A47L23/22 K
A47L23/22 Z
A47L23/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035040
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】武部 博文
(72)【発明者】
【氏名】大迎 和也
(57)【要約】
【課題】汚泥を含む洗浄液を効率よく排出することが可能な長靴洗浄装置を提供する。
【解決手段】この長靴洗浄装置100は、洗浄対象である長靴50を導入するための開口部1aが設けられる筐体1と、筐体1の内部に配置され、モータ5により駆動することによって長靴50を洗浄するブラシ2と、洗浄時に筐体1の内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部3と、筐体1の下方に設けられ、長靴50を洗浄した洗浄液を排出する排出口4と、を備え、筐体1の内部の下方には、排出口4に向かって先細るとともに、下方に傾斜するテーパ傾斜面1bを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄対象である長靴を導入するための開口部が設けられる筐体と、
前記筐体の内部に配置され、モータにより駆動することによって前記長靴を洗浄するブラシと、
洗浄時に前記筐体の内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記筐体の下方に設けられ、前記長靴を洗浄した前記洗浄液を排出する排出口と、を備え、
前記筐体の内部の下方には、前記排出口に向かって先細るとともに、下方に傾斜するテーパ傾斜面を有する、長靴洗浄装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記排出口に向かって幅が広くなるとともに、前記テーパ傾斜面を両側から挟むように構成され、かつ前記テーパ傾斜面に向かって下方に傾斜する一対の幅広傾斜面を有する、請求項1に記載の長靴洗浄装置。
【請求項3】
前記モータは、前記排出口とは反対側の前記筐体の底部に配置されるとともに、前記テーパ傾斜面とは反対側の前記筐体の底部に取り付けられるとともに、前記モータを覆うカバー部材をさらに備える、請求項1または2に記載の長靴洗浄装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記テーパ傾斜面に向かって下方に傾斜する傾斜上面部を有するとともに、前記カバー部材の前記傾斜上面部と前記テーパ傾斜面との間に段差部が設けられている、請求項3に記載の長靴洗浄装置。
【請求項5】
前記ブラシは、前記筐体の内部の上方に取り付けられているとともに、前記筐体から外方に突出する端部を有する回転軸を含み、
前記筐体には、前記回転軸を介して前記筐体の外側面に沿って下方に流れた水を受けるとともに、前記水を前記筐体の内部に戻すように構成されている水受け部が設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の長靴洗浄装置。
【請求項6】
前記水受け部は、前記回転軸の前記端部に対応する位置で、かつ前記端部よりも下方に設けられるとともに、前記筐体から外方に突出する切り起こし孔である、請求項5に記載の長靴洗浄装置。
【請求項7】
前記切り起こし孔の前記筐体の外側面からの突出量は、前記回転軸の前記端部の前記筐体の外側面からの突出量以下である、請求項6に記載の長靴洗浄装置。
【請求項8】
前記筐体の外側面に沿った前記水受け部の水平方向の長さは、前記回転軸の直径以上である、請求項5~7のいずれか1項に記載の長靴洗浄装置。
【請求項9】
前記ブラシは、前記筐体の内部の上方に取り付けられているとともに、前記筐体から外方に突出する端部を有する回転軸を含み、
前記回転軸を支持するように前記筐体の外側面に取り付けられ、前記筐体から外方に突出する軸受け部と、
前記軸受け部に取り付けられるとともに、前記回転軸の前記端部を覆うように構成された保護キャップとを備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の長靴洗浄装置。
【請求項10】
前記筐体は、リベットにより接合されたステンレスの薄板から構成されるとともに、接合箇所には止水材が充填されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の長靴洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長靴洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長靴洗浄装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数のブラシと、洗浄液を供給する供給部と、洗浄液を排出する排出部とを備える長靴洗浄装置が開示されている。上記特許文献1の長靴洗浄装置は、排出部は、汚泥などを溜めるダストトラップと、ダストトラップに向かって傾斜する液排出面とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6430175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている長靴洗浄装置では、ダストトラップに汚泥などが詰まることにより、洗浄液が溜まるため、ダストトラップに溜まった汚泥を除去する必要がある。その結果、汚泥を含む洗浄液を効率よく排出できないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、汚泥を含む洗浄液を効率よく排出することが可能な長靴洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における長靴洗浄装置は、洗浄対象である長靴を導入するための開口部が設けられる筐体と、筐体の内部に配置され、モータにより駆動することによって長靴を洗浄するブラシと、洗浄時に筐体の内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、筐体の下方に設けられ、長靴を洗浄した洗浄液を排出する排出口と、を備え、筐体の内部の下方には、排出口に向かって先細るとともに、下方に傾斜するテーパ傾斜面を有する。
【0008】
この発明の一の局面による長靴洗浄装置では、上記のように、筐体の内部の下方には、排出口に向かって先細るとともに、下方に傾斜するテーパ傾斜面を有する。これによって、ダストトラップを設けなくとも汚泥を含む洗浄液を集めながら、排出口から排出することができる。この結果、ダストトラップに溜まった汚泥を除去する必要がなく、汚泥を含む洗浄液を効率よく排出することができる。
【0009】
上記一の局面による長靴洗浄装置において、好ましくは、筐体は、排出口に向かって幅が広くなるとともに、テーパ傾斜面を両側から挟むように構成され、かつテーパ傾斜面に向かって下方に傾斜する一対の幅広傾斜面を有する。このように構成すれば、筐体の内部の広範囲に洗浄液が供給された場合でも、幅広傾斜面を介して汚泥を含む洗浄液をテーパ傾斜面に効果的に集めることができるため、汚泥を含む洗浄液をより効率よく排出することができる。
【0010】
上記一の局面による長靴洗浄装置において、好ましくは、モータは、排出口とは反対側の筐体の底部に配置されるとともに、テーパ傾斜面とは反対側の筐体の底部に取り付けられるとともに、モータを覆うカバー部材をさらに備える。このように構成すれば、モータを筐体の内部に配置することができるため、筐体の外部にモータを設ける場合と比べて長靴洗浄装置をコンパクトにすることができる。また、カバー部材を設けることにより、筐体の内部に配置されたモータに洗浄液が付着することを抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、カバー部材は、テーパ傾斜面に向かって下方に傾斜する傾斜上面部を有するとともに、カバー部材の傾斜上面部とテーパ傾斜面との間に段差部が設けられている。このように構成すれば、傾斜上面部および段差部によりカバー部材からテーパ傾斜面に汚泥を含む洗浄液を流すことができるため、汚泥を含む洗浄液がカバー部材の上面に溜まることを抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による長靴洗浄装置において、好ましくは、ブラシは、筐体の内部の上方に取り付けられているとともに、筐体から外方に突出する端部を有する回転軸を含み、筐体には、回転軸を介して筐体の外側面に沿って下方に流れた水を受けるとともに、水を筐体の内部に戻すように構成されている水受け部が設けられており、水受け部は、回転軸の端部に対応する位置で、かつ端部よりも下方に設けられている。このように構成すれば、水受け部により筐体の外部に漏れ出た水(洗浄液)を筐体の内部に戻して排出口から排出することができるため、筐体の外部(外側面)に水が漏れ出ることを抑制することができる。また、筐体の外部(外側面)に水が漏れ出ることを抑制することができることにより、使用者が筐体の外部に付着した水を除去する手間を省くことができる。
【0013】
この場合、好ましくは、水受け部は、回転軸の端部に対応する位置で、かつ端部よりも下方に設けられるとともに、筐体から外方に突出する切り起こし孔である。このように構成すれば、水受け部を筐体と一体的に形成することができるため、別部材で設ける必要がなく、部品点数を少なくすることができるとともに組立工数を削減することができる。
【0014】
上記一の局面による長靴洗浄装置において、好ましくは、切り起こし孔の筐体の外側面からの突出量は、回転軸の端部の筐体の外側面からの突出量以下である。このように構成すれば、切り起こし孔を比較的小さくすることができるため、筐体の回転軸の軸方向における両外側面間(両外端部間)の距離が大きくなることを抑制することができる。これにより、切り起こし孔を設けたとしても、大型化を抑制することができる。また、切り起こし孔を比較的小さくすることができるため、切り起こし孔を介して筐体の内部から洗浄液が外部に噴出することを抑制することができる。
【0015】
上記一の局面による長靴洗浄装置において、好ましくは、筐体の外側面に沿った水受け部の水平方向の長さは、回転軸の直径以上である。このように構成すれば、水受け部の水平方向の端部が回転軸の外周よりも外側に位置するため、回転軸の外周に沿って外部に漏れ出た水を確実に水受け部で受け取ることができるとともに、外部に漏れ出た水を筐体の内部に戻すことができる。
【0016】
上記一の局面による長靴洗浄装置において、好ましくは、ブラシは、筐体の内部の上方に取り付けられているとともに、筐体から外方に突出する端部を有する回転軸を含み、回転軸を支持するように筐体の外側面に取り付けられ、筐体から外方に突出する軸受け部と、軸受け部に取り付けられるとともに、回転軸の端部を覆うように構成された保護キャップとを備える。このように構成すれば、回転軸の端部が保護キャップによって覆われているため、回転軸に沿って水が外部に漏れ出ることを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による長靴洗浄装置において、好ましくは、筐体は、リベットにより接合されたステンレスの薄板から構成されるとともに、接合箇所には止水材が充填されている。このように構成すれば、リベット接合により接合強度を高くすることができる。また、ステンレスの薄板から構成することにより、長靴洗浄装置の強度を高めつつ、長靴洗浄装置を軽量化することができ、複数の長靴洗浄装置を積み重ねて保管することもできる。また、止水材が充填されているため、接合箇所から外部に洗浄液が漏れ出ることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、汚泥を含む洗浄液を効率よく排出することが可能な長靴洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態による長靴洗浄装置の正面図である。
図2】第1実施形態による長靴洗浄装置の平面図である。
図3図1のA-A線に沿った断面図である。
図4図1のB-B線に沿った断面図である。
図5図2のC-C線に沿った断面図である。
図6図4のD-D線に沿った端面図である。
図7図4のE-E線に沿った端面図である。
図8】水受け部の突出量を説明するための側面図である。
図9】第2実施形態による長靴洗浄装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
(長靴洗浄装置の構成)
図1図8を参照して第1実施形態の長靴洗浄装置100について説明する。図1に示すように、長靴洗浄装置100は、筐体1と、ブラシ2と、洗浄液供給部3と、排出口4とを備える。なお、第1実施形態では、上下方向をZ方向とし、左右方向をX方向とし、奥行方向をY方向とする。
【0022】
長靴洗浄装置100のY1方向側に長靴50を履いた使用者が立ち、使用者が履いた状態の長靴50が開口部1aを介して長靴洗浄装置100の内部に挿入される。そして、長靴50に付着した汚泥が除去され、洗浄される。なお、明細書中において汚泥は、長靴50に付着された泥汚れなどの総称として用いる。
【0023】
筐体1は、直方体または立方体形状を有している。筐体1は、リベットにより接合されたステンレスの薄板から構成される。また、ステンレスの薄板の接合箇所には止水材が充填されている。止水材は、たとえば、シリコンコーキングまたは接着剤である。筐体1には、長靴洗浄装置100を持ち運ぶためのハンドル11と、車輪12とが取り付けられている。ハンドル11は、回動可能に構成されている。ハンドル11は、所定角度回動させた状態で固定可能である。また、ハンドル11がY方向に延びるように、ハンドル11を回動させることにより、長靴洗浄装置100を積み重ねることができる。
【0024】
図2に示すように、筐体1の上面から正面側にかけて、長靴50を導入するための開口部1aが設けられている。また、筐体1の内部にブラシ2と、洗浄液供給部3とが設けられる。なお、図2ではブラシ2の長靴50に接触する部分を省略し、回転軸21だけを表している。
【0025】
図3に示すように筐体1の内部には、長靴50を上方に載置可能な載置部13が設けられている。載置部13は、上下方向(Z方向)において、長靴50の側方を洗浄する1対のブラシ2と、長靴50の底面を洗うブラシ2との間に配置されている。また、載置部13は、洗浄液供給部3よりも下方(Z2側)に配置されている。載置部13には、複数の格子が設けられており、格子の隙間から汚泥を含む洗浄液が下方に落下する。
【0026】
図4に示すように、筐体1の内部の下方(Z2側)には、テーパ傾斜面1bと、一対の幅広傾斜面1cとが設けられている。テーパ傾斜面1bは、排出口4に向かって先細る形状をしている。テーパ傾斜面1bは、平面視で、X1方向側が細くなる三角形または台形である。一対の幅広傾斜面1cは、排出口4に向かって幅(Y方向の長さ)が広くなる逆テーパ状である。また、一対の幅広傾斜面1cは、テーパ傾斜面1bをY方向の両側から挟むように構成され、かつテーパ傾斜面1bに向かって下方に傾斜する。幅広傾斜面1cは、たとえば、テーパ傾斜面1bとは逆向きの三角形である。テーパ傾斜面1bと幅広傾斜面1cは平坦面である。筐体1の中心を通るY方向に延びる中心線Yを基準にして、テーパ傾斜面1bはX2側からX1側にかけて形成されている。
【0027】
図5に示すように、テーパ傾斜面1bは、排出口4に向かって傾斜している。傾斜角度は特に限定されないが、たとえば、10度以下である。そのため、図6および図7に示すように、排出口4に向かうにつれてテーパ傾斜面1bの位置が下方に移動するとともに、断面におけるY方向の長さが小さくなる。また、排出口4に向かうにつれて幅広傾斜面1cの断面におけるY方向の長さが大きくなる。また、Y方向に沿って切断した断面図では、筐体1の中心を通るX方向に延びる中心線Xを挟んで、一対の幅広傾斜面1cは、同じ高さである。また、Y方向に沿って切断した断面図では、テーパ傾斜面1bは中心線Xよりも下方に位置する。なお、図6および図7では中心線Xを丸で表している。
【0028】
図4に示すように、筐体1の内部の下方には、モータ5が配置される。モータ5は、排出口4とは反対側(X2側)の筐体1の底部に配置されている。モータ5は、中心線YよりもX2側に位置しているとともに、中心線XよりもY2側に配置されている。モータ5は、カバー部材6により覆われている。
【0029】
図5に示すように、カバー部材6は、テーパ傾斜面1bに向かって下方(Z2側)に傾斜する傾斜上面部6aを有する。また、カバー部材6の傾斜上面部6aとテーパ傾斜面1bとの間に段差部6bが設けられている。カバー部材6は、耐水性のある材料で構成されており、たとえば、ステンレスで構成される。
【0030】
ブラシ2は、筐体1の内部の上方に取り付けられているとともに、筐体1から外方に突出する端部2a(図2参照)を有する回転軸21を有している。ブラシ2は、回転軸21を介して筐体1に取り外し可能に取り付けられる。回転軸21は、軸受け部2bにより支持されるとともに、筐体1に固定される。軸受け部2bは、筐体1から外方に突出する。
【0031】
図3に示すように、ブラシ2は、駆動機構51を介してモータ5と接続されている。ブラシ2は、モータ5により回転する。また、ブラシ2は、長靴50の側方を洗浄する1対のブラシ2と、長靴50の底面を洗うブラシ2とを含み、これらのブラシ2が回転することにより長靴50が洗浄される。
【0032】
洗浄液供給部3は、筐体1の内部に洗浄液を供給する。洗浄液供給部3は、外部に設けられた給水装置、たとえば上水給水栓(図示せず)と配管31を介して接続されている。洗浄液供給部3は、ブラシ2の回転軸21と同じ方向に延びる管であり、洗浄液を供給するための孔が複数設けられている。洗浄液は、孔から下方に向かって放物線を描くように流れ落ちる。洗浄液供給部3は、ブラシ2をY方向の両端から挟むように配置されている。洗浄液供給部3は、ブラシ2よりも上方(Z1側)に位置する。洗浄液は、水でもよく、洗剤であってもよい。洗浄液は、筐体1内に供給された後、長靴50に付着した汚泥(汚れ)を含む洗浄液となり、載置部13の格子の隙間から下方に流れる。そして、汚泥を含む洗浄液は、一対の幅広傾斜面1cと、傾斜上面部6aとによりテーパ傾斜面1bに集められ、排出口4から排出される。
【0033】
図4に示すように、排出口4は、筐体1の側面の下部に設けられている。排出口4は、洗浄液を外部に排出するために設けられる貫通孔である。排出口4には、排水用の管P(図1参照)が取り付けられる。筐体1内に供給された洗浄液は、カバー部材6の傾斜上面部6aと、幅広傾斜面1cとによって、テーパ傾斜面1bに流れる。
【0034】
図1に示すように、筐体1には、回転軸21を介して筐体1の外側面に流れた水を受けるとともに、水を筐体1の内部に戻すように構成されている水受け部1dが設けられている。水受け部1dは、ブラシ2の回転軸21に対応するように複数設けられている。水受け部1dは、筐体1の外面を切り起こして形成され、筐体1から外方に突出する切り起こし孔である。回転軸21に沿って外部に流れた水は、回転軸21から軸受け部2bに沿って、または直接水受け部1dに流れる。そして、水受け部1dを介して筐体1の内部に戻される。水受け部1dは、回転軸21の端部2aに対応する位置で、かつ端部2aよりも下方(Z2側)に設けられる。
【0035】
図8に示すように、水受け部1dの筐体1の外側面からの突出量w1は、回転軸21の端部2aの筐体1の外側面からの突出量w2以下である。また、図1に示すように、水受け部1dの水平方向の長さw3は、回転軸21の直径r以上である。すなわち、X方向において、水受け部1dが設けられる範囲は、回転軸21が設けられる範囲の全体とオーバラップしている。水受け部1dが設けられる範囲は、回転軸21のX方向の両端を含んでいる。
【0036】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
第1実施形態では、上記のように、洗浄対象である長靴50を導入するための開口部1aが設けられる筐体1と、筐体1の内部に配置され、モータ5により駆動することによって長靴50を洗浄するブラシ2と、洗浄時に筐体1の内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部3と、筐体1の下方に設けられ、長靴50を洗浄した洗浄液を排出する排出口4と、を備え、筐体1の内部の下方には、排出口4に向かって先細るとともに、下方に傾斜するテーパ傾斜面1bを有する。これによって、ダストトラップを設けなくとも汚泥を含む洗浄液を集めながら、排出口4から排出することができる。この結果、ダストトラップに溜まった汚泥を除去する必要がなく、汚泥を含む洗浄液を効率よく排出することができる。
【0038】
第1実施形態では、上記のように、筐体1は、排出口4に向かって幅が広くなるとともに、テーパ傾斜面1bを両側から挟むように構成され、かつテーパ傾斜面1bに向かって下方に傾斜する一対の幅広傾斜面1cを有する。これにより、筐体1の内部の広範囲に洗浄液が供給された場合でも、幅広傾斜面1cを介して汚泥を含む洗浄液をテーパ傾斜面1bに効果的に集めることができるため、汚泥を含む洗浄液をより効率よく排出することができる。
【0039】
第1実施形態では、上記のように、モータ5は、排出口4とは反対側の筐体1の底部に配置されるとともに、テーパ傾斜面1bとは反対側の筐体1の底部に取り付けられるとともに、モータ5を覆うカバー部材6をさらに備える。これにより、モータ5を筐体1の内部に配置することができるため、長靴洗浄装置100の外部にモータ5を設ける場合と比べて長靴洗浄装置100をコンパクトにすることができる。また、カバー部材6を設けることにより、筐体1の内部に配置されたモータ5に洗浄液が付着することを抑制することができる。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、カバー部材6は、テーパ傾斜面1bに向かって下方に傾斜する傾斜上面部6aを有するとともに、カバー部材6の傾斜上面部6aとテーパ傾斜面1bとの間に段差部6bが設けられている。これにより、傾斜上面部6aおよび段差部6bによりカバー部材6からテーパ傾斜面1bに汚泥を含む洗浄液を流すことができるため、汚泥を含む洗浄液がカバー部材6の上面に溜まることを抑制することができる。
【0041】
第1実施形態では、上記のように、ブラシ2は、筐体1の内部の上方に取り付けられているとともに、筐体1から外方に突出する端部2aを有する回転軸21を含み、筐体1には、回転軸21を介して筐体1の外側面に沿って下方に流れた水を受けるとともに、水を筐体1の内部に戻すように構成されている水受け部1dが設けられている。これにより、水受け部1dにより筐体1の外部に漏れ出た水(洗浄液)を筐体1の内部に戻して排出口4から排出することができるため、筐体1の外部(外側面)に水が漏れ出ることを抑制することができる。また、筐体1の外部(外側面)に水が漏れ出ることを抑制することができることにより、使用者が筐体1の外部に付着した水を除去する手間を省くことができる。
【0042】
第1実施形態では、上記のように、水受け部1dは、回転軸21の端部に対応する位置で、かつ端部よりも下方に設けられるとともに、筐体1から外方に突出する切り起こし孔である。これにより、水受け部1dを筐体1と一体的に形成することができるため、別部材で設ける必要がなく、部品点数を少なくすることができるとともに組立工数を削減することができる。
【0043】
第1実施形態では、上記のように、切り起こし孔の筐体1の外側面からの突出量は、回転軸21の端部2aの筐体1の外側面からの突出量以下である。これにより、切り起こし孔を比較的小さくすることができるため、筐体1の回転軸21の軸方向における両外側面間(両外端部間)の距離が大きくなることを抑制することができる。これにより、切り起こし孔を設けたとしても、大型化を抑制することができる。また、切り起こし孔を比較的小さくすることができるため、切り起こし孔を介して筐体1の内部から洗浄液が外部に噴出することを抑制することができる。
【0044】
第1実施形態では、上記のように、筐体1の外側面に沿った水受け部1dの水平方向の長さは、回転軸21の直径以上である。これにより、水受け部1dの水平方向の端部が回転軸21の外周よりも外側に位置するため、回転軸21の外周に沿って外部に漏れ出た水を確実に水受け部1dで受け取ることができるとともに、外部に漏れ出た水を筐体1の内部に戻すことができる。
【0045】
第1実施形態では、上記のように、筐体1は、リベットにより接合されたステンレスの薄板から構成されるとともに、接合箇所には止水材が充填されている。これにより、リベット接合により接合強度を高くすることができる。また、ステンレスの薄板から構成することにより、長靴洗浄装置100の強度を高めつつ、長靴洗浄装置100を軽量化することができ、複数の長靴洗浄装置100を積み重ねて保管することもできる。また、止水材が充填されているため、接合箇所から外部に洗浄液が漏れ出ることを抑制することができる。
【0046】
[第2実施形態]
次に、図9を参照して、本発明の第2実施形態の長靴洗浄装置200について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、回転軸21の端部2aに保護キャップ22を備える。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
【0047】
図9に示すように、第2実施形態の長靴洗浄装置200では、回転軸21を支持する軸受け部2bに保護キャップ22が取り付けられている。保護キャップ22は、回転軸21の端部2aを覆う。保護キャップ22の形状は特に限定されない。
【0048】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0049】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0050】
第2実施形態では、上記のように、洗浄対象である長靴50を導入するための開口部1aが設けられる筐体1と、筐体1の内部に配置され、モータ5により駆動することによって長靴50を洗浄するブラシ2と、洗浄時に筐体1の内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部3と、筐体1の下方に設けられ、長靴50を洗浄した洗浄液を排出する排出口4と、を備え、筐体1の内部の下方には、排出口4に向かって先細るとともに、下方に傾斜するテーパ傾斜面1bを有する。これによって、ダストトラップを設けなくとも汚泥を含む洗浄液を集めながら、排出口4から排出することができる。この結果、ダストトラップに溜まった汚泥を除去する必要がなく、汚泥を含む洗浄液を効率よく排出することができる。
【0051】
また、第2実施形態では、上記のように、ブラシ2は、筐体1の内部の上方に取り付けられているとともに、筐体1から外方に突出する端部2aを有する回転軸21を含み、回転軸21を支持するように筐体1の外側面に取り付けられ、筐体1から外方に突出する軸受け部2bと、軸受け部2bに取り付けられるとともに、回転軸21の端部2aを覆うように構成された保護キャップ22とを備える。これにより、回転軸21の端部2aが保護キャップ22によって覆われているため、回転軸21に沿って水が外部に流れることを抑制することができる。
【0052】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0053】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0054】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、開口部が正面側に位置している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、開口部が背面側または側面側に位置していてもよい。
【0055】
また、上記第1および第2実施形態では、一対の幅広傾斜面を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、幅広傾斜面を設けなくてもよく、また、1対(2つ)ではなく一方側に1つ設けてもよい。
【0056】
また、上記第1および第2実施形態では、モータが筐体の内部に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、モータが筐体の外部に設けられていてもよい。
【0057】
また、上記第1および第2実施形態では、カバー部材の傾斜上面部とテーパ傾斜面との間に段差部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、段差部を設けずに、傾斜上面部とテーパ傾斜面とを直接接合してもよい。
【0058】
また、上記第1実施形態では、水受け部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水受け部を設けなくてもよい。
【0059】
また、上記第2実施形態では、回転軸に保護キャップを取り付ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、回転軸に保護キャップを取り付けなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 筐体
1a 開口部
1b テーパ傾斜面
1c 幅広傾斜面
1d 水受け部
2 ブラシ
2a 端部
2b 軸受け部
3 洗浄液供給部
4 排出口
5 モータ
6 カバー部材
6a 傾斜上面部
6b 段差部
21 回転軸
22 保護キャップ
50 長靴
100、200 長靴洗浄装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9