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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130654
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】パネル用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20230913BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
E02F3/36 A
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035070
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000245852
【氏名又は名称】矢作建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】桐山 和也
(72)【発明者】
【氏名】市野 敏明
(72)【発明者】
【氏名】安藤 直人
【テーマコード(参考)】
2D012
2E174
【Fターム(参考)】
2D012DA03
2D012DB01
2E174BA01
2E174CA02
2E174CA06
2E174CA34
2E174DA24
2E174DA34
(57)【要約】
【課題】パネル保持部によるパネルの保持、及び、その保持の解除を行うための作業に手間がかかることを抑制する。
【解決手段】パネル用アタッチメント28のアーム接続部31は、バックホウのアームの先端に取り付けられる。アーム接続部31に対し揺動体32が揺動可能に接続される。揺動体32には、壁材17を保持するパネル保持部33が設けられる。パネル保持部33は、支持板39とフック片40と係止丸鋼41とを備える。支持板39は、壁材17の孔25aの周辺(埋め込みプレート25)に接触する。フック片40は、支持板39から孔25aを通過するように突出し、支持板39との間で埋め込みプレート25を挟む。係止丸鋼41は、支持板39から突出して孔25aを通過する。係止丸鋼41は、支持板39との間で埋め込みプレート25を挟む固定位置と、孔25aの内周面よりも孔25aの中心寄りの位置である開放位置との間で移動可能とされる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム接続部と揺動体とパネル保持部とを備え、
前記アーム接続部は、バックホウのアームの先端に取り付けることが可能であり、
前記揺動体は、前記アーム接続部に対し、前記バックホウの幅方向に揺動することが可能となるよう接続され、
前記パネル保持部は、前記揺動体に設けられ、前記バックホウを用いて移動させるパネルを保持することが可能とされているパネル用アタッチメントにおいて、
前記パネル保持部は、支持板とフック片と固定部材とを備え、
前記支持板は、前記パネルに形成された孔の周辺に対し接触するものであり、
前記フック片は、前記支持板から前記孔を通過するように突出し、且つ、前記支持板との間で前記パネルにおける前記孔の周辺を挟むことが可能であり、
前記固定部材は、前記支持板から前記孔を通過するように突出するものであり、前記支持板との間で前記パネルにおける前記孔の周辺を挟む固定位置と、前記孔の内周面よりも前記孔の中心寄りの位置である開放位置との間で移動することが可能となっているパネル用アタッチメント。
【請求項2】
前記支持板との間で前記パネルにおける前記孔の周辺を挟む前記フック片、及び、前記支持板との間で前記パネルにおける前記孔の周辺を挟む前記固定部材は、前記パネルに対し前記孔の内周面の周方向に相対移動することが可能となっている請求項1に記載のパネル用アタッチメント。
【請求項3】
前記揺動体は、その揺動中心線と交差する方向に延びる回転中心線周りに回転することが可能な回転体を備えており、
前記回転体には、前記パネルの前記孔に接続される前記パネル保持部が設けられ、
前記回転体における前記パネル保持部から離れた位置には、前記パネルにおける前記孔とは別の孔に挿入されることによって前記パネルを支持する支持体が設けられている請求項1に記載のパネル用アタッチメント。
【請求項4】
前記支持体は、前記回転体から突出する円筒状に形成されており、
前記支持体における突出方向の先端部は、前記支持体の中心線に対し傾斜する面でカットされることによって先端ほど細くなる形状に形成されている請求項3に記載のパネル用アタッチメント。
【請求項5】
前記支持体は、ねじ軸及びナットによって前記回転体に対し固定されている請求項3又は4に記載のパネル用アタッチメント。
【請求項6】
前記パネル保持部は、前記固定部材を前記固定位置から移動不能に固定すること、及び、前記固定位置での前記固定部材の固定を解除して前記開放位置への移動を許容することが可能な止め具を備えている請求項1~5のいずれか一項に記載のパネル用アタッチメント。
【請求項7】
前記フック片は、前記パネルにおける孔の中心から離れているロック位置と、そのロック位置よりも前記中心に近い位置であるアンロック位置との間で移動することが可能となっており、
前記パネル保持部は、前記フック片の前記ロック位置での固定及びその固定の解除を行うロック機構を備えている請求項1~6のいずれか一項に記載のパネル用アタッチメント。
【請求項8】
前記揺動体には水平方向に延びる操作棒を挿入することが可能な挿入孔が形成されている請求項1~7のいずれか一項に記載のパネル用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル用アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
地盤の法面を法面保護擁壁によって保護したり安定化させたりすることが知られている。こうした法面保護擁壁は、例えばパンウォール(Pan Wall)工法を用いて形成される。パンウォール工法は次のように行われる。パネル状の壁材が法面に沿って配置される。壁材には、その壁材の厚さ方向に延びる孔が形成されている。この孔は法面に形成された孔と繋がる。壁材の孔及び法面の孔には、芯材が挿入されるとともに定着材が注入される。芯材は壁材に対し連結される。壁材と法面との間には裏込め材が注入される。
【0003】
特許文献1には、壁材等のパネルをバックホウによって移動することが記載されている。このバックホウのアームの先端には、パネル用アタッチメントが取り付けられている。パネル用アタッチメントは、アーム接続部と揺動体とパネル保持部とを備えている。アーム接続部は、バックホウのアームの先端に取り付けることが可能となっている。揺動体は、アーム接続部に対し、バックホウの幅方向に揺動することが可能となるよう接続されている。パネル保持部は、揺動体に設けられており、パネルを保持することが可能となっている。
【0004】
上記パネル用アタッチメントをバックホウのアームの先端に取り付けることにより、バックホウを用いてパネルを移動させることができる。パンウォール工法において、バックホウを用いる場合、パネル用アタッチメントのパネル保持部によって壁材を保持した後、バックホウを駆動して上記壁材を法面まで移動させる。更に、上記壁材を法面に沿って配置した後、パネル保持部による上記壁材の保持を解除することにより、パネル保持部から上記壁材を取り外す。
【0005】
上記パネル保持部は、ボルト孔とボルトとにより壁材を保持するものとなっている。すなわち、壁材に通された上記ボルトをパネル保持部のネジ孔にねじ込んで締結することにより、壁材がパネル保持部によって保持されるようになる。一方、パネル保持部から壁材を取り外す際には、上記ボルトが緩められて上記ネジ孔及び上記壁材から抜き出されることにより、パネル保持部材による壁材の保持が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-184294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のパネル用アタッチメントでは、パネル保持部における壁材の保持、及び、その保持の解除に手間がかかる。すなわち、パネル保持部によって壁材を保持するためには、壁材にボルトを通した後、そのボルトをボルト孔にねじ込んで締め付けなければならない。こうした作業に手間がかかる。また、パネル保持部による壁材の保持を解除するためには、上記ボルトを緩めて上記ネジ孔及び上記壁材から抜き出さなければならない。こうした作業にも手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するパネル用アタッチメントは、アーム接続部と揺動体とパネル保持部とを備えている。アーム接続部は、バックホウのアームの先端に取り付けることが可能とされている。揺動体は、アーム接続部に対し、バックホウの幅方向に揺動することが可能となるよう接続されている。パネル保持部は、揺動体に設けられ、バックホウを用いて移動させるパネルを保持することが可能とされている。上記パネル保持部は、支持板とフック片と固定部材とを備えている。支持板は、パネルに形成された孔の周辺に対し接触するものとされている。フック片は、支持板から上記孔を通過するように突出し、且つ、支持板との間でパネルにおける上記孔の周辺を挟むことが可能とされている。固定部材は、支持板から上記孔を通過するように突出するものとなっている。固定部材は、支持板との間でパネルにおける上記孔の周辺を挟む固定位置と、上記孔の内周面よりも上記孔の中心寄りの位置である開放位置との間で移動することが可能となっている。
【0009】
上記構成によれば、バックホウのアームの先端にパネル用アタッチメント(アーム接続部)が接続される。そして、バックホウを駆動することにより、パネル保持部のフック片がパネルの孔に通され、パネル保持部の支持板とフック片との間でパネルにおける上記孔の周辺を挟むようにする。更に、パネル保持部の固定部材を開放位置から固定位置に移動させることにより、固定部材と支持板との間でパネルにおける上記孔の周辺を挟むようにする。その結果、パネル保持部によってパネルが保持される。これにより、そのパネルをバックホウを用いて移動させることが可能になる。また、パネル保持部によるパネルの保持の解除は、固定部材を固定位置から開放位置に移動させることによって行われる。固定部材を開放位置に移動させた後、バックホウを駆動してフック片をパネルの孔から抜き出すことにより、パネルがパネル保持部から取り外される。以上のように、パネル保持部によるパネルの保持及びその保持の解除は、パネルの孔に対するフック片の抜き差し、及び、固定部材の固定位置と開放位置との間での移動によって行われる。このため、パネル保持部によるパネルの保持及びその保持の解除を行うための作業に、手間がかかることを抑制できる。
【0010】
支持板との間でパネルにおける孔の周辺を挟む上記フック片、及び、支持板との間でパネルにおける孔の周辺を挟む上記固定部材は、パネルに対し孔の内周面の周方向に相対移動することが可能なものとすることが考えられる。
【0011】
この構成によれば、パネル保持部によってパネルを保持したとき、フック片及び固定部材に対しパネルが孔の内周面に周方向に相対移動することが可能になる。こうした相対移動により、パネルが孔の中心線周りに回転することができるようになるため、その回転方向についてパネルを位置調整することができる。
【0012】
上記パネル用アタッチメントにおいて、揺動体は、その揺動中心線と交差する方向に延びる回転中心線周りに回転することが可能な回転体を備えるものとすることが考えられる。上記回転体には、パネルの孔に接続される上記パネル保持部が設けられる。上記回転体におけるパネル保持部から離れた位置には、パネルにおける上記孔とは別の孔に挿入されることによってパネルを支持する支持体が設けられている。
【0013】
上記構成によれば、回転体に設けられたパネル保持部と支持体とのうち、パネル保持部がパネルの孔に接続されるとともに、支持体がパネルの上記孔とは別の孔に挿入されてパネルを支持する。このようにパネル保持部によってパネルを保持したとき、同パネルは支持体で支持される。従って、パネルが比較的大きい場合でも、そのパネルを安定して保持することができる。また、このときには回転体が揺動体の揺動中心線と交差する方向に延びる回転中心線周りに回転することが可能であるため、上記回転中心線周りに上記パネルを回転させることができ、その回転方向についてのパネルの位置を調整することができる。
【0014】
上記支持体は、回転体から突出する円筒状に形成されているものとすることが考えられる。上記支持体における突出方向の先端部は、支持体の中心線に対し傾斜する面でカットされることによって先端ほど細くなる形状に形成されている。
【0015】
この構成によれば、支持体における突出方向の先端部が先端ほど細くなっているため、支持体をパネルにおける上記別の孔に挿入するとき、その挿入がしやすくなる。
上記支持体は、ねじ軸及びナットによって前記回転体に対し固定されているものとすることが考えられる。
【0016】
パネル保持部によるパネルの保持を解除した後、支持体をパネルにおける上記別の孔から抜き出すとき、その抜き出しを行いにくい場合がある。上記構成によれば、この場合であっても支持体を回転体に固定しているナットを緩め、その固定を解除して回転体から支持体を切り離すことにより、支持体をパネルにおける上記別の孔から抜き出しやすくなる。
【0017】
上記パネル用アタッチメントにおいて、パネル保持部は、固定部材を上記固定位置から移動不能に固定すること、及び、上記固定位置での固定部材の固定を解除して上記開放位置への移動を許容することが可能な止め具を備えるものとすることが考えられる。
【0018】
この構成によれば、固定部材を止め具によって上記固定位置に固定することができる。このように固定部材を固定位置に固定すれば、パネル保持部によってパネルを保持しているとき、固定部材が意図せずに固定位置から移動することにより、パネル保持部によるパネルの保持が解除されることを抑制できる。
【0019】
上記パネル用アタッチメントにおいて、フック片は、パネルにおける孔の中心から離れているロック位置と、そのロック位置よりも前記中心に近い位置であるアンロック位置との間で移動することが可能なものとすることが考えられる。また、パネル保持部は、フック片の上記ロック位置での固定及びその固定の解除を行うロック機構を備えるものとすることが考えられる。
【0020】
上記構成によれば、パネル保持部によってパネルを保持しているとき、フック片は、ロック機構によってロック位置に固定される。このときのフック片は、パネルにおける上記孔の周辺を支持板との間に挟む。パネル保持部によるパネルの保持を解除する際、フック片を同パネルの上記孔から外しにくい場合には、ロック機構によるフック片のロック位置での固定を解除した後、フック片をロック位置からアンロック位置に移動させる。これにより、フック片がパネルの上記孔の中心線に近づくため、フック片を上記孔から外しやすくなる。
【0021】
上記パネル用アタッチメントにおいて、揺動体には水平方向に延びる操作棒を挿入することが可能な挿入孔が形成されているものとすることが考えられる。
この構成によれば、パネル保持部に保持されたパネルをボックホウを用いて所望の場所に移動させた後、上記挿入孔に挿入された操作棒を作業者が操作することにより、上記パネルの位置を適正な位置となるよう微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】法面保護擁壁を示す断面図である。
図2】上記法面保護擁壁の壁材及びその周辺を示す断面図である。
図3】パンウォール工法における上記壁材の法面への移動の仕方を示す側面図である。
図4】上記壁材を法面に移動させたときのバックホウを示す平面図である。
図5】第1実施形態のパネル用アタッチメントを示す側面図である。
図6】上記パネル用アタッチメントを示す底面図である。
図7】上記パネル用アタッチメントにおける揺動体及びパネル保持部を示す斜視図である。
図8】上記パネル用アタッチメントによって保持された壁材の孔周りを示す背面図である。
図9】第2実施形態のパネル用アタッチメントを示す側面図である。
図10】上記パネル用アタッチメントを示す底面図である。
図11】上記パネル用アタッチメントを示す側面図である。
図12】上記パネル用アタッチメントによって保持された壁材の孔周りを示す背面図である。
図13】上記パネル用アタッチメントのフック片及びロック機構を示す模式図である。
図14】上記パネル用アタッチメントのフック片及びロック機構を示す模式図である。
図15】フック片及びロック機構の他の例を示す模式図である。
図16】フック片及びロック機構の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、パネル用アタッチメントの第1実施形態について、図1図8を参照して説明する。
【0024】
図1に示す法面保護擁壁11は、パンウォール工法によって形成されている。法面保護擁壁11は、壁材17と、定着材15と、芯材16と、裏込め材19と、を備えている。
上記壁材17は、地盤12の法面13に沿って水平方向及び上下方向に複数並べられている。上記芯材16は、法面13から地盤12に向けて延びるように形成された孔14内に挿入されている。芯材16は、壁材17に対し連結されている。上記定着材15は上記孔14内に注入されるものである。定着材15としては、例えばグラウトやモルタルを採用することが考えられる。裏込め材19は、壁材17と法面13との間に注入されるものである。裏込め材19は、例えばグラウト、モルタル、セメントベントナイト、及びコンクリートといったものを採用することが考えられる。
【0025】
<壁材17と芯材16との連結構造>
図2に示すように、壁材17には段付開口部18が形成されている。段付開口部18は、壁材17を厚さ方向(図2の略左右方向)に貫通している。段付開口部18における外側(図2の右側)寄りの部分は、大形部18aとなっている。段付開口部18には円筒状の注入ガイド24が差し込まれる。これにより、注入ガイド24の内部が地盤12の上記孔14に連通される。その注入ガイド24を介して孔14内に定着材15が注入されるとともに、注入ガイド24内にも定着材15が注入される。更に、注入ガイド24の内部を介して孔14内には芯材16が挿入される。
【0026】
段付開口部18における大形部18aの底面には、埋め込みプレート25が予め設置されている。埋め込みプレート25は大形部18aの底面に固定されている。この埋め込みプレート25には孔25aが形成されている。孔25aは、段付開口部18と繋がっており、且つ、注入ガイド24を挿入することが可能となっている。埋め込みプレート25の孔25aは、パネル(壁材17)に形成された孔として機能する。
【0027】
埋め込みプレート25における外側の面(図2の右側の面)には座金20が配置される。座金20における外側の面(図2の右側の面)にはワッシャ21が配置される。これら埋め込みプレート25、座金20、及びワッシャ21を芯材16の端部が貫通しており、同芯材16の端部にはナット22がねじ込まれている。これにより芯材16が壁材17に対し連結される。
【0028】
そして、法面13と壁材17との間には裏込め材19が注入される。その後、上記ナット22を締め付けることにより、壁材17が芯材16及び定着材15によって地盤12に固定される。壁材17における段付開口部18の大形部18aには、キャップ23が嵌め込まれる。このキャップ23の内部であってナット22周りの部分には、モルタルが充填される。
【0029】
<パンウォール工法での法面13への壁材17の移動>
図3に示すように、パンウォール工法で用いられる壁材17は、厚さ方向に積み重ねられて地面に置かれており、その位置からバックホウ26を用いて法面13に移動される。バックホウ26におけるアーム27の先端には、壁材17を保持するためのパネル用アタッチメント28が取り付けられている。パネル用アタッチメント28は、地面に置かれている壁材17に対し接続される。そして、パネル用アタッチメント28に接続された壁材17は、バックホウ26を駆動することにより、図4に示すように法面13まで移動される。その後、壁材17からパネル用アタッチメント28が取り外される。
【0030】
<パネル用アタッチメント28>
図5に示すように、パネル用アタッチメント28は、アーム接続部31と揺動体32とパネル保持部33とを備えている。アーム接続部31は、バックホウ26のアーム27(図3)の先端に取り付けることが可能となっている。アーム接続部31は、図5の上下方向に延びるピン34を備えている。
【0031】
図6に矢印で示すように、揺動体32は、アーム接続部31に対し、バックホウ26の幅方向に揺動することが可能となるよう接続されている。揺動体32は、上記ピン34が貫通するピン受け部35と、そのピン受け部35に繋がる筐体32aと、を備えている。ピン受け部35は、揺動体32におけるアーム接続部31寄りの端部に位置している。揺動体32は、上記ピン34の中心線周りに回転することが可能となっており、その回転によってアーム接続部31に対して上述したように揺動する。従って、上記ピン34の中心線は、アーム接続部31に対する揺動体32の揺動中心線となる。
【0032】
図5に示すように、揺動体32の筐体32aは、ピン受け部35におけるピン34側の端部と反対側の端部に繋がっている。筐体32aは、ピン受け部35に対し、図5に示す状態よりも左向きに前傾した状態で繋がっていてもよい。このように筐体32aを前傾させる際の傾斜角度は、壁材17が配置される法面13の傾斜に合わせることが好ましい。筐体32aには筒体36が設けられている。筒体36の内部には挿入孔37が形成されている。挿入孔37は、水平方向に延びる操作棒38(図6)を挿入することが可能となっている。このように操作棒38を挿入孔37に挿入することにより、その操作棒38を作業者が操作して揺動体32を上述したように揺動させることが可能になる。
【0033】
パネル保持部33は、揺動体32の筐体32aに設けられている。パネル保持部33は、壁材17を保持したり、その保持を解除したりすることが可能となっている。そして、バックホウ26(図3)を用いて壁材17を移動させる際には、バックホウ26におけるアーム27の先端に取り付けられたパネル用アタッチメント28のパネル保持部33によって壁材17を保持する。そして、バックホウ26を駆動して上記壁材17を所望の位置まで移動させた後、パネル保持部33による上記壁材17の保持を解除することにより、パネル保持部33から上記壁材17を取り外すことが可能になる。
【0034】
<パネル保持部33>
パネル保持部33は、支持板39とフック片40と係止丸鋼41とを備えている。支持板39は、揺動体32の筐体32aにおけるピン受け部35側の端部とは反対側の端部に位置している。パネル保持部33によって壁材17を保持する際、支持板39は壁材17における孔25aの周辺、すなわち埋め込みプレート25に対し接触する。フック片40は、支持板39に固定されており、その支持板39から突出している。パネル保持部33によって壁材17を保持する際、フック片40は、孔25aを通過するとともに、支持板39との間で埋め込みプレート25を挟む。
【0035】
係止丸鋼41は、棒状に形成されている。係止丸鋼41は、ストレート部42とハンドル部43と係止部44とを備えている。ストレート部42は、支持板39に対するフック片40の突出方向と同じ方向に延びており、筐体32a及び支持板39を貫通している。ストレート部42は、筐体32aに対し、ストレート部42の長手方向にスライドすることが可能となっており、且つストレート部42の中心線周りに回転することが可能となっている。
【0036】
ハンドル部43は、ストレート部42の両端部のうちの支持板39から遠い方の端部を、ストレート部42に対し略90°屈曲させることによって形成されている。ストレート部42の両端部のうちの支持板39に近い方の端部は、支持板39から壁材17の孔25aを通過するように突出している。係止部44は、上記端部をストレート部42に対し略90°屈曲させることによって形成されている。
【0037】
図7に示すように、支持板39には、係止丸鋼41のストレート部42が貫通するスリット45が形成されている。このスリット45には、係止丸鋼41の係止部44を収容することが可能となっている。係止丸鋼41は、係止部44を固定位置と開放位置との間で移動させるように、上述したスライド及び回転を行う。このときの係止部44は、固定位置と開放位置の間で移動する固定部材としての役割を担う。固定位置とは、係止部44が図7に示すように移動したときの位置である。開放位置とは、係止部44がスリット45に収容されたときの位置である。
【0038】
<係止丸鋼41(係止部44)の固定位置と開放位置との間での移動>
図5及び図6における二点鎖線の係止丸鋼41は、開放位置にあるときの係止丸鋼41を示している。開放位置にある係止丸鋼41を固定位置に移動させる際には、係止丸鋼41を図5及び図6の左方にスライドさせることにより、係止丸鋼41の係止部44をスリット45(図7)から抜き出す。その後、係止丸鋼41をストレート部42の中心線周りに回転させることにより、係止丸鋼41を固定位置に移動させる。図5及び図6における実線の係止丸鋼41は、固定位置にあるときの係止丸鋼41を示している。
【0039】
壁材17をパネル用アタッチメント28によって保持する際には、係止丸鋼41を開放位置(図5及び図6の二点鎖線)に位置させる。この状態で、図5に示すように、フック片40を壁材17の孔25aに通す。更に、フック片40と支持板39との間に壁材17における孔25aの周辺、すなわち埋め込みプレート25を挟むようにする。このとき、係止丸鋼41の係止部44は、スリット45内に収容されているため、上記孔25aの内周面よりも孔25aの中心寄りに位置する。
【0040】
その後、係止丸鋼41を上述したようにスライド及び回転させることにより、係止丸鋼41が開放位置から固定位置(図5及び図6の実線)に移動する。係止丸鋼41が固定位置に移動すると、係止部44が支持板39との間で壁材17における孔25aの周辺、すなわち埋め込みプレート25を挟むようになる。これにより、壁材17がパネル用アタッチメント28によって保持される。
【0041】
図8は、パネル用アタッチメント28によって保持された壁材17を、図5の左側から見た状態を示している。このときのフック片40と係止丸鋼41の係止部44とは、壁材17に対し、孔25aの内周面の周方向に相対移動することが可能となっている。このため、このときの壁材17は、孔25aの中心線周りに回転することが可能となる。
【0042】
一方、パネル用アタッチメント28による壁材17の保持を解除する際には、上述した手順と逆の手順を踏むことにより、係止丸鋼41が固定位置から開放位置に移動される。このように係止丸鋼41を開放位置に移動させることにより、パネル用アタッチメント28による壁材17の保持が解除される。
【0043】
<係止丸鋼41の周辺の構造>
図5及び図6に示すように、パネル保持部33は、ばね46と止め具47とを備えている。ばね46は、筐体32aに対し係止丸鋼41を支持板39から離れる方向に付勢している。このため、係止丸鋼41を開放位置から上述したようにスライドさせるときには、そのスライドがばね46の付勢力に抗して行われる。止め具47は、パネル用アタッチメント28で壁材17を保持したときの係止丸鋼41を固定位置から移動不能に固定すること、及び、固定位置での係止丸鋼41の固定を解除して開放位置への移動を許容することが可能となっている。
【0044】
図6に示すように、止め具47は、平板48と蝶番49とを備えている。平板48は、係止丸鋼41におけるストレート部42の外周面に突出形成されており、ストレート部42の長手方向に延びている。平板48は、ストレート部42に固定されている。このため、平板48は、係止丸鋼41が固定位置にあるときに実線で示すように位置し、係止丸鋼41が開放位置にあるときには二点鎖線で示すように位置する。
【0045】
一方、蝶番49は、図6に実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間で移動することが可能となっている。パネル用アタッチメント28で壁材17を保持したとき、すなわち係止丸鋼41が固定位置にあるとき、蝶番49を二点鎖線で示す位置に移動させると、蝶番49が平板48を厚さ方向に挟むようになる。これにより、係止丸鋼41が固定位置から移動不能となるように固定される。詳しくは、係止丸鋼41がストレート部42の中心線周りに回転しないよう固定される。
【0046】
蝶番49は、係止丸鋼41を固定位置から開放位置に移動させる際、二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に移動される。これにより、蝶番49による挟み込みから平板48が開放されるため、係止丸鋼41の固定位置からの移動が許容される。詳しくは、係止丸鋼41におけるストレート部42の中心線周りについての回転が許容される。この状態で、係止丸鋼41を固定位置からスリット45(図7)に対応する位置まで回転させると、ばね46の付勢力によって係止丸鋼41が開放位置まで移動される。このとき、係止丸鋼41の係止部44はスリット45に収容される。
【0047】
次に、パネル用アタッチメント28の作用について説明する。
バックホウ26を用いて壁材17を移動させる際、バックホウ26におけるアーム27の先端にはパネル用アタッチメント28(アーム接続部31)が接続される。そして、バックホウ26を駆動することにより、パネル用アタッチメント28におけるパネル保持部33のフック片40が壁材17の孔25aに通される。更に、パネル保持部33の支持板39とフック片40との間で、壁材17における上記孔25aの周辺、すなわち埋め込みプレート25を挟むようにする。このとき、係止丸鋼41は開放位置に移動されているため、係止丸鋼41の係止部44はスリット45内に収容されている。従って、係止部44が埋め込みプレート25に当たることはない。
【0048】
その後、係止丸鋼41をスライド及び回転によって開放位置から固定位置に移動させる。これにより、係止部44が支持板39との間で壁材17における孔25aの周辺、すなわち埋め込みプレート25を挟むようになる。その結果、壁材17がパネル用アタッチメント28によって保持される。このときには、止め具47が図6に二点鎖線で示す位置に移動されることにより、係止丸鋼41が固定位置から移動しないようにされる。パネル用アタッチメント28によって保持された壁材17は、バックホウ26を用いて地盤12の法面13に移動される。
【0049】
法面13に移動された壁材17は、フック片40及び係止部44に対し、孔25aの内周面の周方向に相対回転することによって、言い換えれば孔25aの中心線周りに回転することによって位置調整される。また、揺動体32をアーム接続部31におけるピン34の中心線周りに回転(揺動)させることによって、壁材17の位置を調整することも可能である。こうした揺動体32の回転は、筐体32aにおける筒体36の挿入孔37に挿入ざれた操作棒38を作業者が操作することによって行われる。
【0050】
上述した壁材17の位置調整を行った後、次のようにパネル保持部33による壁材17の保持が解除される。すなわち、止め具47が図6に実線で示す位置に移動されることにより、係止丸鋼41の固定位置からの移動が許容される。その後、係止部44がスリット45に対応して位置するよう係止丸鋼41が回転される。そして、係止部44がスリット45に対応して位置すると、ばね46の付勢力によって係止丸鋼41が開放位置までスライドする。このとき、係止部44はスリット45内に収容される。その結果、パネル保持部33による壁材17の保持が解除される。
【0051】
このようにパネル保持部33による壁材17の保持が解除された後、バックホウ26を駆動してフック片40を壁材17の孔25aから抜き出すことにより、壁材17がパネル保持部33から取り外される。
【0052】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1-1)パネル用アタッチメント28のパネル保持部33による壁材17の保持及びその保持の解除は、壁材17の孔25aに対するフック片40の抜き差し、及び、係止丸鋼41(係止部44)の固定位置と開放位置との間での移動によって行われる。このため、パネル保持部33による壁材17の保持及びその保持の解除を行うための作業に、手間がかかることを抑制できる。
【0053】
(1-2)壁材17がパネル用アタッチメント28によって保持されたとき、揺動体32がアーム接続部31に対しピン34の中心線周りに揺動することが可能となっている。このため、図4に示すように、バックホウ26を用いて壁材17を法面13に移動させる際、バックホウ26を法面13に対し斜めに配置することができる。バックホウ26を法面13に対し正対するよう配置した場合、法面13の前のバックホウ26を配置するためのスペースを大きくとらなければならない。一方、上述したようにバックホウ26を法面13に対し斜めに配置すれば、法面13の前のバックホウ26を配置するためのスペースを小さく抑えることができる。
【0054】
(1-3)パネル用アタッチメント28に保持された壁材17は、バックホウ26を用いて法面13に移動されたとき、上記揺動体32の揺動によって位置を調整することができる。
【0055】
(1-4)パネル用アタッチメント28の揺動体32には、水平方向に延びる操作棒38を挿入することが可能な挿入孔37が形成されている。このため、パネル用アタッチメント28のパネル保持部33に保持された壁材17を法面13に移動するときや、その移動を行った後に、上記挿入孔37に挿入された操作棒38を作業者が操作することができる。これにより、上記壁材17の位置を適正な位置となるよう微調整することができる。また、こうした壁材17の位置の微調整を作業者が操作棒38を用いて壁材17に対し離れた位置から行うことができる。
【0056】
(1-5)壁材17がパネル用アタッチメント28によって保持されたとき、フック片40と係止丸鋼41の係止部44とは、壁材17に対し、孔25aの内周面の周方向に相対移動することが可能となっている。こうした相対移動により、壁材17が孔25aの中心線周りに回転することができるようになるため、その回転方向についての壁材17の位置を調整することができる。
【0057】
(1-6)パネル用アタッチメント28のパネル保持部33によって壁材17が保持されているとき、パネル保持部33の係止丸鋼41(係止部44)は固定位置に移動されている。そして、係止丸鋼41が固定位置にあるときには、止め具47の平板48及び蝶番49によって係止丸鋼41を固定位置から移動しないように固定することができる。これにより、パネル用アタッチメント28のパネル保持部33を用いて壁材17を保持しているとき、係止丸鋼41が意図せずに固定位置から移動することにより、パネル保持部33による壁材17の保持が解除されることを抑制できる。
【0058】
[第2実施形態]
次に、パネル用アタッチメントの第2実施形態について、図9図14を参照して説明する。
【0059】
地山を安定化させるための必要抑止力が大きい場合や壁材17が比較的大きい場合、孔25a(埋め込みプレート25)が壁材17の二箇所に設けられる。この実施形態のパネル用アタッチメントは、こうした壁材17を保持するためのものであり、そのための構造を有する点が第1実施形態と異なっている。以下では、上記パネル用アタッチメントにおける第1実施形態と異なる部分について詳しく述べ、第1実施形態と同一の部分については第1実施形態と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0060】
図9図11は、この実施形態におけるパネル用アタッチメント28を示している。図9は、上記パネル用アタッチメント28を側面から見た状態を示している。図10は、上記パネル用アタッチメント28を下方から見た状態を示している。図11は、上記パネル用アタッチメント28を上記側面と反対側の側面から見た状態を示している。
【0061】
図10に示すように、上記パネル用アタッチメント28における揺動体32のピン受け部35は、回転軸51を備えている。回転軸51は、アーム接続部31のピン34から離れる方向(図10の左方向)に向かって突出している。回転軸51の中心線は、ピン34の中心線と交差している。揺動体32は、回転体52を備えている。回転体52は、上記回転軸51と直交する方向に延びる棒状に形成されている。回転軸51は、回転体52の長手方向の中央部を貫通している。回転体52は、回転軸51の中心線周りに回転することが可能となっている。この回転軸51の中心線は、回転体52の回転中心となる。回転体52には筒体36が設けられている。
【0062】
揺動体32の筐体32aは、回転体52における長手方向の一方の端部に設けられている。回転体52に設けられた筐体32aは、図9に示す状態となるが、この状態よりも図9の左向きに前傾した状態となっていてもよい。筐体32aにはパネル保持部33が設けられている。パネル保持部33は、支持板39、フック片40、係止丸鋼41、ばね46、及び止め具47を備えている。図10に示すように、回転体52における長手方向の端部であって、上記筐体32aが設けられている端部と反対側の端部には、支持体53が設けられている。支持体53は、パネル保持部33からは離れて位置するものであり、図12に示す壁材17の二つの孔25aのうちパネル保持部33のフック片40が通される孔25aとは別の孔25aに挿入される。支持体53は、上記別の孔25aに挿入されることにより、上記壁材17を支持するものである。
【0063】
<支持体53及びその周辺の構造>
支持体53は、回転体52から図10の左方に向けて突出する円筒状に形成されている。支持体53は、ねじ軸54及びナット55によって回転体52に対し固定されている。詳しくは、支持体53における回転体52側の端部には、その回転体52を貫通する上記ねじ軸54が固定されている。このねじ軸54に螺着される上記ナット55を締め付けることにより、支持体53が回転体52に固定されている。また、締め付けられた上記ナット55を緩めることにより、回転体52に対する支持体53の固定を解除して同支持体53を回転体52から切り離すことが可能になる。
【0064】
支持体53における長手方向の略中央部の外周面には鍔部56が突出形成されている。このため、支持体53を壁材17の孔25aに挿入するとき、鍔部56が壁材17の埋め込みプレート25に当接する。これにより、支持体53が孔25aの奥に入りすぎないようにされる。支持体53における突出方向の先端部は、図11に示すように支持体53の中心線に対し傾斜する面57でカットされることにより、先端ほど細くなる形状に形成されている。
【0065】
<フック片40及びその周辺の構造>
図9に示すように、フック片40は、係止丸鋼41のストレート部42と同じ方向に延びている。これにより、フック片40は、筐体32aの内部を通過している。フック片40は、その長手方向の中央部を貫通する支持軸58を介して筐体32aに支持されている。フック片40は、支持軸58の中心線周りに回転することが可能となっている。フック片40は、支持軸58の中心線周りに回転することにより、ロック位置とアンロック位置との間で移動することが可能となっている。
【0066】
図13及び図14はそれぞれ、ロック位置にあるときのフック片40、及び、アンロック位置にあるときのフック片40を示している。上記ロック位置は、フック片40が壁材17の孔25aに通されているとき、その孔25aの中心から離れている位置である。フック片40がロック位置にあるときには、フック片40が壁材17の埋め込みプレート25を支持板39との間に挟むようになる。一方、上記アンロック位置は、上記ロック位置よりも孔25aの中心に近い位置である。フック片40がアンロック位置にあるときには、孔25aからのフック片40の抜き出しが行いやすくなる。
【0067】
図13に示すように、パネル保持部33には、フック片40のロック位置での固定及びその固定の解除を行うロック機構59が設けられている。ロック機構59は、保持軸60及び楔ブロック61を備えている。保持軸60は、フック片40における長手方向の両端部のうち、支持板39から突出している第1端部と反対側の端部である第2端部の近傍に位置している。保持軸60は、支持軸58と同じ方向に延びており、図9に示すように筐体32aによって支持されている。
【0068】
図13に示すように、保持軸60とフック片40の第2端部との間に上記楔ブロック61を挟むことにより、フック片40がロック位置に固定される。こうしたロック位置でのフック片40の固定は、パネル保持部33によって壁材17を保持するときに行われる。上記楔ブロック61を保持軸60とフック片40の第2端部との間から外すと、フック片40のロック位置での固定が解除される。このときには、図14に示すようにフック片40をアンロック位置に移動させることが可能になる。
【0069】
以上詳述した本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(2-1)パネル用アタッチメント28の回転体52に設けられたパネル保持部33と支持体53とのうち、パネル保持部33が壁材17の孔25aに接続されるとともに、支持体53が壁材17の上記孔25aとは別の孔25aに挿入されて壁材17を支持する。このようにパネル保持部33によって壁材17を保持したとき、同壁材17は支持体53で支持される。従って、孔25a(埋め込みプレート25)が壁材17の二箇所に設けられている場合に、その壁材17を安定してパネル用アタッチメント28によって保持することができる。また、このときには回転体52が回転軸51の中心線周りに回転することが可能であるため、上記中心線周りに上記壁材17を回転させることができ、その回転方向について壁材17を位置調整することができる。
【0070】
(2-2)パネル用アタッチメント28によって壁材17を保持する際、揺動体32を適宜揺動させつつ、回転体52を回転軸51の中心線周りに適宜回転させることができる。これにより、パネル用アタッチメント28で壁材17を保持する際、壁材17の二つの孔25aに対し、フック片40及び支持体53の位置を合わせることを簡単に行うことができる。
【0071】
(2-3)支持体53における突出方向の先端部は、支持体53の中心線に対し傾斜する面57でカットされることにより、先端ほど細くなる形状に形成されている。このため、支持体53を壁材17の孔25aに挿入するとき、その挿入がしやすくなる。
【0072】
(2-4)パネル用アタッチメント28のパネル保持部33による壁材17の保持を解除した後、支持体53を壁材17の孔25aから抜き出すとき、その抜き出しを行いにくい場合がある。この場合であっても、支持体53を回転体52に固定しているナット55を緩め、その固定を解除して回転体52から支持体53を切り離すことにより、支持体53を壁材17の孔25aから抜き出しやすくなる。
【0073】
(2-5)パネル保持部33によって壁材17を保持しているとき、フック片40は、ロック機構59によってロック位置に固定される。このときのフック片40は、壁材17の埋め込みプレート25を支持板39との間に挟む。パネル保持部33による壁材17の保持が解除する際、フック片40を同壁材17の上記孔25aから外しにくい場合には、ロック機構59によるフック片40のロック位置での固定を解除した後、フック片40をロック位置からアンロック位置に移動させる。これにより、フック片40が上記孔25aの中心線に近づくため、フック片40を壁材17の上記孔25aから外しやすくなる。
【0074】
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
図15及び図16に示すように、ロック機構59は、保持軸60と、保持軸60に固定されたカム62と、保持軸60を回転させるレバー63とを備えるものであってもよい。この場合、図15に示すように、カム62のカム山がフック片40の第2端部に当たるように、レバー63を操作して保持軸60を回転させることにより、フック片40がロック位置に固定される。また、上記カム山が図15の位置から保持軸60の回転方向にずれるように、レバー63を操作して保持軸60を回転させることにより、フック片40のロック位置での固定が解除される。このとき、フック片40は、図16に示すアンロック位置に移動することが可能になる。
【0076】
・第1実施形態及び第2実施形態において、筒体36については必ずしも設ける必要はない。
・第1実施形態のフック片40を、第2実施形態のフック片40のようにロック位置とアンロック位置との間で移動可能にするとともに、第2実施形態のようにロック機構59を設けるようにしてもよい。
【0077】
・第1実施形態及び2実施形態において、止め具47については必ずしも設ける必要はない。
・第2実施形態において、支持体53は、回転体52に対し取り外せないように固定されていたり、回転体52に対して一体に形成されていたりしてもよい。
【0078】
・第2実施形態において、支持体53の先端部は、必ずしも面57でカットされている必要はない。
【符号の説明】
【0079】
17…壁材
25…埋め込みプレート
25a…孔
28…パネル用アタッチメント
31…アーム接続部
32…揺動体
32a…筐体
33…パネル保持部
37…挿入孔
38…操作棒
39…支持板
40…フック片
41…係止丸鋼
42…ストレート部
43…ハンドル部
44…係止部
47…止め具
52…回転体
53…支持体
54…ねじ軸
55…ナット
59…ロック機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16