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特開2023-130677音響機器、音響機器の制御方法、および音処理システム
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  • 特開-音響機器、音響機器の制御方法、および音処理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130677
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】音響機器、音響機器の制御方法、および音処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
H04R3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035113
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石塚 健治
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220EE34
5D220EE41
(57)【要約】
【課題】どの会場のどの音響機器を利用しても各個人の設定を反映することができる音響機器の制御方法を提供する。
【解決手段】音響機器の制御方法は、情報処理装置と通信して前記音響機器の外部ユーザを識別する識別処理を行い、識別された前記外部ユーザに対応する前記音響機器の設定情報を受信し、受信した前記設定情報に基づいて前記音響機器を制御する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響機器の制御方法であって、
情報処理装置と通信して前記音響機器の外部ユーザを識別する識別処理を行い、
識別された前記外部ユーザに対応する前記音響機器の設定情報を受信し、
受信した前記設定情報に基づいて前記音響機器を制御する、
音響機器の制御方法。
【請求項2】
前記設定情報は、前記音響機器の操作子に割り当てる機能を指定する情報を含む、
請求項1に記載の音響機器の制御方法。
【請求項3】
前記設定情報は、サーバから受信する、
請求項1または請求項2に記載の音響機器の制御方法。
【請求項4】
前記設定情報は、前記情報処理装置を介して前記サーバから受信する、
請求項3に記載の音響機器の制御方法。
【請求項5】
前記外部ユーザは、複数の外部ユーザを含み、
前記設定情報は、前記複数の外部ユーザのそれぞれについて記憶されていて、
前記識別処理は、前記複数の外部ユーザのうち1つの外部ユーザを識別する、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の音響機器の制御方法。
【請求項6】
前記設定情報は、信号処理のパラメータを含み、
音信号を受信して、前記パラメータに基づいて前記音信号に信号処理を施す、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の音響機器の制御方法。
【請求項7】
制御する対象の音響機器とは異なる音響機器の設定情報を受信した場合、該設定情報を前記対象の音響機器に対応する設定情報に変換する、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の音響機器の制御方法。
【請求項8】
プロセッサと、プログラムを記憶した記憶部と、を備えた音響機器であって、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
情報処理装置と通信して前記音響機器の外部ユーザを識別する識別処理を行い、
識別された前記外部ユーザに対応する前記音響機器の設定情報を受信し、
受信した前記設定情報に基づいて前記音響機器を制御する、
音響機器。
【請求項9】
前記設定情報は、前記音響機器の操作子に割り当てる機能を指定する情報を含む、
請求項8に記載の音響機器。
【請求項10】
前記設定情報は、サーバから受信する、
請求項8または請求項9に記載の音響機器。
【請求項11】
前記設定情報は、前記情報処理装置を介して前記サーバから受信する、
請求項10に記載の音響機器。
【請求項12】
前記外部ユーザは、複数の外部ユーザを含み、
前記設定情報は、前記複数の外部ユーザのそれぞれについて記憶されていて、
前記識別処理は、前記複数の外部ユーザのうち1つの外部ユーザを識別する、
請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載の音響機器。
【請求項13】
前記設定情報は、信号処理のパラメータを含み、
前記プロセッサは、音信号を受信して、前記パラメータに基づいて前記音信号に信号処理を施す、
請求項8乃至請求項12のいずれか1項に記載の音響機器。
【請求項14】
前記プロセッサは、制御する対象の音響機器とは異なる音響機器の設定情報を受信した場合、該設定情報を前記対象の音響機器に対応する設定情報に変換する、
請求項8乃至請求項13のいずれか1項に記載の音響機器。
【請求項15】
音響機器および該音響機器に接続される情報処理装置を備える音処理システムであって、
前記情報処理装置は、アプリケーションプログラムを実行することにより、外部ユーザを識別する識別処理を行い、
識別した前記外部ユーザに対応する前記音響機器の設定情報を送信し、
前記音響機器は、前記設定情報を受信し、
受信した前記設定情報に基づいて該音響機器を制御する、
音処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一実施形態は、音響機器、該音響機器の制御方法、および音処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、GUIをユーザ毎に変更する自動演奏ピアノが開示されている。特許文献1の自動演奏ピアノは、音声認識によりユーザを認識し、認識したユーザ毎に対応するGUIに変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-7014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、自動演奏ピアノにユーザの設定情報を記憶している。したがって、ユーザが例えば別の会場の別の音響機器を利用する時、ユーザの設定を反映することができない。
【0005】
この発明の一実施形態は、どの会場のどの音響機器を利用しても各個人の設定を反映することができる音響機器の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る音響機器の制御方法は、情報処理装置と通信して前記音響機器の外部ユーザを識別する識別処理を行い、識別された前記外部ユーザに対応する前記音響機器の設定情報を受信し、受信した前記設定情報に基づいて前記音響機器を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、どの会場のどの音響機器を利用しても各個人の設定を反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】音処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】オーディオミキサのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】信号処理ブロックの機能的構成を示す図である。
図4】オーディオミキサの正面斜視図である。
図5】LOGIN画面の一例を示す図である。
図6】各ユーザの権限の一例を示す図である。
図7】スマートフォン11の構成を示すブロック図である。
図8】音処理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、音処理システム1の構成を示すブロック図である。図2は、オーディオミキサ10のハードウェア構成を示すブロック図である。図3は、オーディオミキサ10の信号処理ブロックの機能的構成を示す図である。図4は、オーディオミキサ10の正面斜視図である。
【0010】
図1に示す様に、音処理システム1は、オーディオミキサ10と、オーディオミキサ10に接続されるスマートフォン11と、を備えている。オーディオミキサ10およびスマートフォン11、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のケーブル、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線で接続されている。
【0011】
オーディオミキサ10は、本発明の音響機器の一例である。オーディオミキサ10は、マイク等の他の音響機器から音信号を入力する、またはスピーカ等の他の音響機器に対して音信号を出力する。
【0012】
オーディオミキサ10は、マイク等の音響機器から音信号を入力する。オーディオミキサ10は、入力した音信号の混合またはエフェクト等の信号処理を施す。オーディオミキサ10は、信号処理後の音信号をスピーカ等の音響機器に送信する。
【0013】
オーディオミキサ10は、図2に示す様に、表示器101、操作部102、オーディオI/O(Input/Output)103、信号処理部(DSP)104、ネットワークI/F(インタフェース)105、USBI/F106、CPU107、フラッシュメモリ108、およびRAM109を備えている。これら構成は、バス210を介して接続されている。
【0014】
図4に示す様に、オーディオミキサ10は、筐体20を備える。筐体20の正面上部には、表示器101が配置されている。筐体20に正面下部には、操作パネル25が配置されている。操作パネル25は、チャンネルストリップセクション27、ユーザ定義ノブ50、フェーダバンクエリア51、およびユーザ定義キーエリア52が配置されている。
【0015】
チャンネルストリップセクション27には、一例として8つの入力チャンネルセクションと、1つのマスターセクションと、を含む。各チャンネルセクションには、フェーダ41を含む複数の操作子が配置されている。ユーザは、フェーダ41を操作して各入力チャンネルおよびマスター出力のレベルを調整する。
【0016】
ユーザ定義ノブ50は、任意の機能を割り当て可能なノブである。ユーザは、ユーザ定義ノブ50に任意の機能を割り当てられる。また、ユーザは、ユーザ定義ノブ50を操作して、割り当てた機能のパラメータの値を調整することができる。
【0017】
フェーダバンクエリア51は、チャンネルストリップセクション27における8つの入力チャンネルセクションに割り当てるチャンネルを指定するための複数のスイッチが配置されている。例えば、ユーザが「1-8」と表示されるスイッチを押すと、8つの入力チャンネルセクションに、入力チャンネル1-8が割り当てられる。また、フェーダバンクエリア51には、カスタムフェーダバンクのスイッチとして、例えば「CUSTOM」と表示されるスイッチが配置されている。カスタムフェーダバンクは、フェーダ41に任意のチャンネルを割り当てる機能である。ユーザが「CUSTOM」スイッチを押すと、8つの入力チャンネルセクションには、それぞれユーザの指定した任意の入力チャンネルが割り当てられる。
【0018】
ユーザ定義キーエリア52には、複数のユーザ定義キーが設けられている。ユーザは、これら複数のユーザ定義キーに任意の機能を割り当てる。ユーザは、ユーザ定義キーエリア52に配置された複数のユーザ定義キーのいずれかを押すことで、押したユーザ定義キーに割り当てた任意の機能を実行することができる。
【0019】
CPU107は、オーディオミキサ10の動作を制御する。CPU107は、記憶媒体であるフラッシュメモリ108に記憶されたプログラムをRAM109に読み出して実行することにより各種の動作を行なう。なお、プログラムは、自装置のフラッシュメモリ108に記憶している必要はない。例えば、サーバ等の他装置から都度ダウンロードして、RAM109に読み出してもよい。
【0020】
CPU107は、表示器101の表示制御、オーディオI/O103における音信号の入出力、信号処理部104における混合処理の制御、エフェクト処理の制御、および各種制御に関するパラメータの値の変更等を行う。
【0021】
表示器101は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)またはOLED(Organic Light Emitting Diode)からなり、CPU107の制御に従って種々の情報を表示する。操作部102は、ユーザからオーディオミキサ10に対する操作を受け付ける。操作部102は、種々の操作子によって構成される。また、操作部102は、表示器101に積層したタッチパネルによって構成される場合もある。
【0022】
CPU107は、オーディオミキサ10の起動時、または任意のタイミング(例えば操作部102で特定の操作がなされたタイミング)で、図5に示す様なLOGIN画面を表示する。図5は、LOGIN画面の一例を示す図である。
【0023】
CPU107は、LOGIN画面で、アドミニストレータ(管理者)、通常ユーザ、またはゲストユーザの選択画面を表示する。ユーザは、管理者、通常ユーザ、またはゲストユーザのいずれかを選択する。CPU107は、管理者または通常ユーザが選択された場合、ユーザIDおよびパスワード入力によりユーザの識別を行う。ユーザの識別は、指紋、虹彩、または顔等の生体認証により行ってもよい。CPU107は、識別した管理者または通常ユーザをログインさせる。なお、ゲストユーザは、パスワード入力等の認証は不要である。管理者または通常ユーザが選択された場合でも、ユーザの識別ができない場合、ゲストユーザでログインしてもよい。
【0024】
図6は、各ユーザの権限の一例を示す図である。管理者は、オーディオミキサ10に対する全ての操作を実行できるユーザである。通常ユーザおよびゲストユーザは、一部の操作が制限されるユーザである。図6では、ユーザ権限の一例として、プリファレンス設定、UD(User Defined)の設定、およびユーザレベル設定を示す。
【0025】
プリファレンス設定の変更は、全てのユーザに許可されている。プリファレンス設定とは、操作環境に関する設定である。全てのユーザは、好みに合わせて操作環境を設定できる。プリファレンス設定は、例えば、表示器101に表示するGUIの色、表示器の101の明るさ、表示器101に表示する言語、表示する項目を昇順とするか降順とするか、特定の操作に対するエラー表示の有無、等を含む。
【0026】
通常ユーザは、ユーザレベル設定のみ制限される。ユーザレベル設定は、ユーザID毎に通常ユーザとするか管理者とするかを指定する操作である。管理者は、他のユーザIDについて、通常ユーザまたは管理者のいずれかに指定できる。
【0027】
ゲストユーザは、ユーザレベル設定およびUD設定の操作が制限される。UDの設定とは、ユーザ定義ノブ50による機能が割り当て、カスタムフェーダバンクによる入力チャンネルの割り当て、およびユーザ定義キーエリア52のスイッチに対する機能の割り当て等を含む。管理者および通常ユーザは、ユーザ定義ノブ50による機能の割り当て、カスタムフェーダバンクによる入力チャンネルの割り当て、およびユーザ定義キーエリア52のスイッチに対する機能の割り当ての操作を行うことができる。
【0028】
また、プリファレンス設定およびUD設定は、ユーザID毎の設定情報としてフラッシュメモリ108に記憶される。つまり、設定情報は、プリファレンス設定またはUD設定の情報(音響機器の操作子に割り当てる機能を指定する情報)を含む。CPU107は、ログインしたユーザIDに対応する設定情報をフラッシュメモリ108から読み出し、オーディオミキサ10を制御する。これにより、ユーザは、過去のプリファレンス設定、あるいはUD設定等を再現することができる。
【0029】
信号処理部104は、音信号の混合処理またはエフェクト処理等の各種信号処理を行なうためのDSP(Digital Signal Processor)から構成される。信号処理部104は、オーディオI/O103またはネットワークI/F105から入力した音信号に、混合処理またはエフェクト処理等の信号処理を施す。信号処理部104は、信号処理後の音信号を、オーディオI/O103またはネットワークI/F105を介して出力する。
【0030】
図3に示すように、信号処理ブロック901は、入力チャンネル951、バス952、および出力チャンネル953から構成される。この例では、入力チャンネル951は、16個(1-16)のチャンネルを有する。バス952は、ステレオバス、MIXバス、およびMATRIXバス等の様々なバスを有する。出力チャンネル953は、各バスから送出された音信号を処理するブロックである。
【0031】
入力チャンネル951の各チャンネルは、入力した音信号に対して、イコライザ(EQ)あるいはコンプレッサ(COMP)等のエフェクト処理を施す。入力チャンネル951の各チャンネルは、信号処理後の音信号を後段のバス952へ送出する。入力チャンネル951が送出する音信号のレベルは、フェーダ41等の操作子により調整される。
【0032】
バス952は、各入力チャンネルから送出された音信号を混合して、出力チャンネル953に出力する。
【0033】
出力チャンネル953は、入力された音信号に対して、イコライザ、またはコンプレッサ等のエフェクト処理を施す。出力チャンネル953が送出する音信号のレベルは、マスターフェーダにより調整される。信号処理を施された後の音信号は、オーディオI/O103またはネットワークI/F105に供給される。
【0034】
フラッシュメモリ108は、信号処理部104の設定(プリセット)を複数記憶するプリセットメモリ領域を有する。プリセットは、シーンまたはライブラリと呼ばれる場合もある。ユーザは、フラッシュメモリ108に記憶されている複数のプリセットのうち所望のプリセットを選択してリコールすることにより、該プリセットに対応する信号処理の設定を再現することができる。この様な複数のプリセットも、ユーザ毎の設定情報としてフラッシュメモリ108に記憶してもよい。
【0035】
そして、本実施形態のオーディオミキサ10は、外部ユーザのログインを受け付けて、該外部ユーザの設定情報を受信し、受信した設定情報に基づいてオーディオミキサ10を制御する。外部ユーザは、上述の管理者、通常ユーザ、およびゲストユーザとは別に、スマートフォン11で管理されるユーザである。外部ユーザの設定情報もスマートフォン11で管理される。
【0036】
図7は、スマートフォン11の構成を示すブロック図である。スマートフォン11は、本発明の情報処理装置の一例である。スマートフォン11は、表示器111、ユーザI/F112、CPU113、フラッシュメモリ114、RAM115、およびUSBI/F116を備えている。これら構成は、バス151を介して接続されている。
【0037】
本実施形態では、スマートフォン11は、USBI/F116を介してオーディオミキサ10に接続する。ただし、スマートフォン11は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線でオーディオミキサ10に接続してもよい。
【0038】
表示器111は、例えばLCDまたはOLED等からなり、CPU113の制御に従って種々の情報を表示する。ユーザI/F112は、表示器111に重畳されたタッチパネルからなり、ユーザの操作を受け付ける。ユーザI/F112は、表示器111とともに、GUIを構成する。
【0039】
CPU113は、記憶媒体であるフラッシュメモリ114に記憶されているプログラムをRAM115に読み出して、所定の機能を実現する。例えば、CPU113は、外部ユーザアカウントでオーディオミキサ10にログインするためのアプリケーションプログラムをフラッシュメモリ114から読み出して実行する。
【0040】
図8は、音処理システム1の動作を示すフローチャートである。まず、オーディオミキサ10およびスマートフォン11のアプリケーションプログラムは、互いに接続を確認する(S11)。接続が完了すると(S11:Yes)、スマートフォン11のアプリケーションプログラムは、ユーザIDおよびパスワード入力により外部ユーザの識別を行う(S12)。あるいは、外部ユーザの識別は、スマートフォン11の各種センサを用いた指紋、虹彩、または顔等の生体認証により行ってもよい。
【0041】
上述の様に、外部ユーザとは、オーディオミキサ10で管理されている管理者や通常ユーザのユーザIDとは異なるユーザIDに対応するユーザである。外部ユーザは、オーディオミキサ10とは別の音響機器(オーディオミキサ)で過去に設定したプリファレンス設定、ユーザ定義ノブの設定、ユーザ定義キーの設定、およびカスタムフェーダバンクの設定をスマートフォン11のフラッシュメモリ114に記憶しておく。あるいは、外部ユーザの設定情報は、サーバ(不図示)の記憶部に記憶してもよい。
【0042】
オーディオミキサ10のCPU107は、スマートフォン11で識別した外部ユーザをログインさせる(S13)。オーディオミキサ10のCPU107は、ログインした外部ユーザに対応する設定情報を、スマートフォン11から受信する(S14)。外部ユーザの設定情報がサーバ(不図示)に記憶されている場合、スマートフォン11は、まずサーバから設定情報を受信し、サーバから受信した設定情報をオーディオミキサ10に送信する。あるいは、オーディオミキサ10は、サーバのアクセス先(URL等)を示す情報をスマートフォン11から受信し、サーバから直接、設定情報を受信してもよい。
【0043】
そして、オーディオミキサ10のCPU107は、受信した設定情報をRAM109に反映してオーディオミキサ10を制御する(S15)。設定情報は、プリファレンス設定およびUD設定(音響機器の操作子に割り当てる機能を指定する情報)を含む。つまり、設定情報は、プリファレンス設定、ユーザ定義ノブの設定、ユーザ定義キーの設定、およびカスタムフェーダバンクの設定等を含む。
【0044】
これにより、ユーザは、オーディオミキサ10と異なる他の音響機器で過去に設定したプリファレンス設定、ユーザ定義ノブの設定、ユーザ定義キーの設定、およびカスタムフェーダバンクの設定を、オーディオミキサ10に反映させることができる。したがって、ユーザは、オーディオミキサ10を初めて利用する場合でも、過去に他の音響機器で設定したプリファレンス設定、ユーザ定義ノブの設定、ユーザ定義キーの設定、およびカスタムフェーダバンクの設定を、オーディオミキサ10に反映させることができる。すなわち、ユーザは、スマートフォン11を持ち運ぶことで、どの会場のどの音響機器を利用しても各個人の設定を反映することができる。
【0045】
(変形例1)
オーディオミキサ10の管理者は、承認済の特定の外部ユーザのみ、ログインできるように設定してもよい。この場合、オーディオミキサ10は、管理者から予め外部ユーザのIDの入力を受け付けて、受け付けた外部ユーザのIDをフラッシュメモリ108に記憶する。オーディオミキサ10は、スマートフォン11で認証された外部ユーザのIDを受信し、管理者が予め登録したIDと一致する場合に限り、該外部ユーザをログインさせる。オーディオミキサ10は、スマートフォン11で認証された外部ユーザのIDを受信し、管理者が予め登録したIDと異なるIDであった場合には、外部ユーザをゲストユーザとしてログインさせる。
【0046】
ゲストユーザは、図6に示した様に、UD設定およびユーザレベル設定等が制限される。したがって、オーディオミキサ10は、管理者の承認していない外部ユーザによる利用を防止できる。
【0047】
(変形例2)
オーディオミキサ10は、スマートフォン11と接続した場合に、該スマートフォン11で認証された外部ユーザのIDでログインし、外部ユーザをログアウトした場合には、管理者、通常ユーザ、またはゲストユーザとしてログインする。
【0048】
つまり、ユーザは、管理者、通常ユーザ、またはゲストユーザとしてオーディオミキサ10にログインして、オーディオミキサ10で管理されている設定情報を利用することもできるし、スマートフォン11のアプリケーションプログラムを使用した場合には外部ユーザとしてオーディオミキサ10にログインしてスマートフォン11で管理されている設定情報を利用することもできる。
【0049】
(変形例3)
上述した様に、信号処理部104の設定(プリセット)も、ユーザ毎の設定情報としてフラッシュメモリ108に記憶してもよい。スマートフォン11またはサーバは、設定情報として、外部ユーザの複数のプリセットに係る情報を記憶してもよい。
【0050】
CPU107は、外部ユーザをログインさせた時、スマートフォン11またはサーバに記憶されている外部ユーザの複数のプリセットを自装置に読み出す。ユーザは、読み出された複数のプリセット(スマートフォン11またはサーバに記憶されている複数のプリセット)のうち、任意のプリセットをリコールすることができる。
【0051】
これにより、ユーザは、スマートフォン11を用いて外部ユーザでログインするだけで、スマートフォン11で管理されているプリセットを、オーディオミキサ10の本体のプリセットとして選択することができる。
【0052】
(変形例4)
オーディオミキサ10は、スマートフォン11のアプリケーションプログラムとの通信が途絶えた場合、外部ユーザを自動的にログアウトしてもよい。外部ユーザをログアウトした場合、オーディオミキサ10は、ゲストユーザとしてログインした状態に変化させる。
【0053】
これにより、オーディオミキサ10は、外部ユーザの設定情報を他のユーザに使用させないようにできる。
【0054】
(変形例5)
スマートフォン11等の情報処理装置が管理する外部ユーザは1つである必要はない。情報処理装置は、複数の外部ユーザのそれぞれのIDと、各IDに対応する設定情報を記憶してもよい。この場合、情報処理装置は、上記識別処理(S12)において、複数の外部ユーザのうち1つの外部ユーザを識別する。
【0055】
これにより、変形例6の音処理システムは、1つの情報処理装置を複数のユーザで共用する場合でも、それぞれのユーザに応じた設定情報をオーディオミキサ10に反映させることができる。
【0056】
(変形例6)
オーディオミキサ10のCPU107は、制御対象である自装置の機種(第1機種)と異なる機種(第2機種)の設定情報を受信した場合、第2機種の設定情報を自装置の第1機種に合わせた設定情報にコンバートする。
【0057】
例えば、第2機種のユーザ定義キーの数が8個(ユーザ定義キー1~8)であるのに対して第1機種のユーザ定義キーの数が4個(ユーザ定義キー1~4)である場合、CPU107は、ユーザ定義キー5~8の設定を無視する。
【0058】
また、設定情報は、上述した様に信号処理に係るプリセットを含む。仮に、第1機種のあるプリセットが2つのステレオ(ステレオAおよびステレオB)出力チャンネルのパラメータを含み、第2機種に1つのステレオ出力チャンネルしか無い場合、CPU107は、ステレオA出力チャンネルまたはステレオB出力チャンネルのいずれか一方をステレオチャンネルに対応させ、他方をモノラルチャンネルに対応させる。
【0059】
これにより、オーディオミキサ10は、異なる機種で設定されたUD設定や信号処理の設定も自装置に反映させることができる。
【0060】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
1 :音処理システム
10 :オーディオミキサ
11 :スマートフォン
20 :筐体
25 :操作パネル
27 :チャンネルストリップセクション
41 :フェーダ
50 :ユーザ定義ノブ
51 :フェーダバンクエリア
52 :ユーザ定義キーエリア
101 :表示器
102 :操作部
103 :オーディオI/O
104 :信号処理部
105 :ネットワークI/F
106 :USBI/F
107 :CPU
108 :フラッシュメモリ
109 :RAM
111 :表示器
112 :ユーザI/F
113 :CPU
114 :フラッシュメモリ
115 :RAM
116 :USBI/F
151 :バス
210 :バス
901 :信号処理ブロック
951 :入力チャンネル
952 :バス
953 :出力チャンネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8