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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130678
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】半導体製造装置用部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230913BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALN20230913BHJP
   H05H 1/46 20060101ALN20230913BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035115
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹林 央史
(72)【発明者】
【氏名】久野 達也
(72)【発明者】
【氏名】井上 靖也
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB05
2G084BB32
2G084CC12
2G084CC33
2G084DD02
2G084DD24
2G084DD37
2G084DD38
2G084FF06
2G084FF15
2G084FF32
2G084FF39
5F004AA01
5F004BA09
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BD03
5F004BD04
5F131AA02
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA03
5F131CA06
5F131EA03
5F131EB12
5F131EB13
5F131EB15
5F131EB16
5F131EB78
5F131EB82
5F131EB84
(57)【要約】
【課題】割れが発生するのを抑制すると共に内部空間を外部から制御できるようにする。
【解決手段】半導体製造装置用部材10は、ベース基材20と、フォーカスリング(FR)載置台30と、ウエハ載置台40と、内部空間50とを備える。ベース基材20は、ウエハ載置台支持部21とFR載置台支持部22とを有する。FR載置台30は、FR載置台支持面22aに環状接合層26を介して接合されている。ウエハ載置台40は、FR載置台30とは別体で、平面視でFR載置面30aの内周部と重複し、ウエハ載置台支持面21a及びFR載置面30aの内周部に円形接合層27を介して接合されている。内部空間50は、ウエハ載置台支持部21の側面、FR載置台30の内周面及び円形接合層27によって囲まれた環状の空間であり、連通路25を介して外部と連通している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形のウエハ載置台支持面を備えたウエハ載置台支持部を有し、前記ウエハ載置台支持部の外周に前記ウエハ載置台支持面よりも低い環状のフォーカスリング載置台支持面を備えたフォーカスリング載置台支持部を有する導電性のベース基材と、
上面に環状のフォーカスリング載置面を有し、前記フォーカスリング載置台支持面に接合された絶縁性のフォーカスリング載置台と、
上面に円形のウエハ載置面を有し、前記フォーカスリング載置台とは別体で、平面視で前記フォーカスリング載置面の内周部と重複し、前記フォーカスリング載置面の内周部及び前記ウエハ載置台支持面に接合された絶縁性のウエハ載置台と、
前記ウエハ載置台の下面、前記ベース基材の前記ウエハ載置台支持部の外周面、前記フォーカスリング載置台の内周面及び前記ベース基材の前記フォーカスリング載置台支持面によって囲まれた環状の内部空間と、
前記ベース基材に設けられ、前記内部空間と前記ベース基材の外部とを連通する連通路と、
を備えた半導体製造装置用部材。
【請求項2】
前記ウエハ載置台は、前記内部空間の上部を閉鎖している、
請求項1に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項3】
前記ウエハ載置台は、前記内部空間から前記ウエハ載置面に至る貫通穴を有する、
請求項1に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項4】
前記フォーカスリング載置台は、前記フォーカスリング載置台支持面に第1接合層を介して接合され、
前記ウエハ載置台は、前記ウエハ載置台支持面に第2接合層を介して接合され、
前記第1及び第2接合層は、いずれも金属接合層である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項5】
前記フォーカスリング載置面と前記ウエハ載置台支持面とは、同じ高さである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項6】
前記ベース基材は、冷媒流路を内蔵し、
前記冷媒流路の天井面から前記ウエハ載置台支持面までの距離は前記冷媒流路の天井面から前記フォーカスリング載置台支持面までの距離よりも短い、
請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項7】
前記ベース基材は、冷媒流路を内蔵し、
前記冷媒流路のうち前記ウエハ載置台支持面に対応するウエハ用流路と前記フォーカスリング載置台支持面に対応するフォーカスリング用流路とは、独立して設けられ、それぞれ別系統の冷媒が供給される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項8】
前記ウエハ載置台は、ウエハ吸着用電極及びバイアス用RF電極をそれぞれ個別に内蔵しているか、前記ウエハ吸着用電極及び前記バイアス用RF電極の兼用電極を内蔵し、
前記フォーカスリング載置台は、フォーカスリング吸着用電極及びフォーカスリング用RFバイアス電極をそれぞれ個別に内蔵しているか、前記フォーカスリング吸着用電極及び前記フォーカスリング用RFバイアス電極の兼用電極を内蔵し、
前記ベース基材は、ソース用RF電極を兼用している、
請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【請求項9】
前記ウエハ載置台及び前記フォーカスリング載置台は、電極を内蔵しておらず、
前記ベース基材は、ウエハ吸着用電極、フォーカスリング吸着用電極、バイアス用RF電極及びソース用RF電極を兼用している、
請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体製造装置用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造装置用部材として、例えば特許文献1に示すものが知られている。この半導体製造装置用部材は、ベース基材に、円形のウエハ載置台と環状のフォーカスリング載置台とが一体化された保持部材を接着したものである。ベース基材は、中央に円形のウエハ載置台支持面を備えたウエハ載置台支持部を有し、その外周に、前記ウエハ載置台支持面よりも低い環状のフォーカスリング載置台支持面を備えたフォーカスリング載置台支持部を有する。ベース基材のうちウエハ載置台支持部の外周面と保持部材のうちその外周面に対向する面との間には、内部空間が存在している。この2つの面を接着材で接着した場合には、2つの面同士の隙間が狭いため接着部分の剥がれ発生しやすい。接着部分に剥がれが発生すると、剥がれた箇所と剥がれていない箇所とで熱伝達の特性が異なりるため、温度分布の均一性が低下する。そのため、この2つの面を接着材で接着せず、内部空間が存在するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6805032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、保持部材にはウエハ載置台とフォーカスリング載置台との連結部位があるため、その連結部位に応力がかかって割れが発生することがあった。また、内部空間は閉空間であるため、内部空間を外部から制御して有効利用することはできなかった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、割れが発生するのを抑制すると共に内部空間を外部から制御できるようにすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体製造装置用部材は、
円形のウエハ載置台支持面を備えたウエハ載置台支持部を有し、前記ウエハ載置台支持部の外周に前記ウエハ載置台支持面よりも低い環状のフォーカスリング載置台支持面を備えたフォーカスリング載置台支持部を有する導電性のベース基材と、
上面に環状のフォーカスリング載置面を有し、前記フォーカスリング載置台支持面に接合された絶縁性のフォーカスリング載置台と、
上面に円形のウエハ載置面を有し、前記フォーカスリング載置台とは別体で、平面視で前記フォーカスリング載置面の内周部と重複し、前記フォーカスリング載置面の内周部及び前記ウエハ載置台支持面に接合された絶縁性のウエハ載置台と、
前記ウエハ載置台の下面、前記ベース基材の前記ウエハ載置台支持部の外周面、前記フォーカスリング載置台の内周面及び前記ベース基材の前記フォーカスリング載置台支持面によって囲まれた環状の内部空間と、
前記ベース基材に設けられ、前記内部空間と前記ベース基材の外部とを連通する連通路と、
を備えたものである。
【0007】
この半導体製造装置用部材では、ウエハ載置台は、フォーカスリング載置台と別体で、平面視でフォーカスリング載置面の内周部と重複し、フォーカスリング載置面の内周部及びウエハ載置台支持面に接合されている。そのため、特許文献1のようにウエハ載置台とフォーカスリング載置台とが一体化された保持部材を用いる場合に比べて、割れの発生を抑制することができる。また、環状の内部空間は、閉空間ではなく、ベース基材に設けられた連通路を介してベース基材の外部と連通している。そのため、連通路を介して内部空間を外部から制御することができる。
【0008】
なお、本明細書では、上下、左右、前後などを用いて本発明を説明することがあるが、上下、左右、前後は、相対的な位置関係に過ぎない。そのため、半導体製造装置用部材の向きを変えた場合には上下が左右になったり左右が上下になったりすることがあるが、そうした場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0009】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ウエハ載置台は、前記内部空間の上部を閉鎖していてもよい。こうすれば、連通路を介して内部空間の圧力等を変えることができる。
【0010】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ウエハ載置台は、前記内部空間から前記ウエハ載置面に至る貫通穴を有していてもよい。こうすれば、連通路に導入されたガス(例えば熱伝導ガス)を、環状の内部空間を介して貫通穴からウエハ載置面に載置されたウエハの下面に供給することができる。そのため、ベース基材の内部にガス通路を設ける必要がなくなる。
【0011】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記フォーカスリング載置台は、前記フォーカスリング載置台支持面に第1接合層を介して接合されていてもよく、前記ウエハ載置台は、前記ウエハ載置台支持面に第2接合層を介して接合されていてもよく、前記第1及び第2接合層は、いずれも金属接合層であってもよい。こうすれば、第1及び第2接合層が樹脂(有機)接合層の場合に比べて、ウエハの熱やフォーカスリングの熱を効率よくベース基材に伝達することができる。また、第1及び第2接合層をベース基材と同電位にすることができる。
【0012】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記フォーカスリング載置面と前記ウエハ載置台支持面とは、同じ高さであってもよい。こうすれば、ウエハ載置台をフォーカスリング載置面の内周部及びウエハ載置台支持面に比較的容易に接合することができる。なお、「同じ」とは、完全に同じ場合のほか、完全に同じでなくても公差の範囲内であれば同じとみなす(以下同じ)。
【0013】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ベース基材は、冷媒流路を内蔵していてもよく、前記冷媒流路の天井面から前記ウエハ載置台支持面までの距離は前記冷媒流路の天井面から前記フォーカスリング載置台支持面までの距離よりも短くしてもよい。こうすれば、ウエハの温度を効率よく下げることができる。
【0014】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ベース基材は、冷媒流路を内蔵してもよく、前記冷媒流路のうち前記ウエハ載置台支持面に対応するウエハ用流路と前記フォーカスリング載置台支持面に対応するフォーカスリング用流路とは、独立して設けられ、それぞれ別系統の冷媒が供給されてもよい。こうすれば、ウエハの温度とフォーカスリングの温度とを個別に制御しやすくなる。
【0015】
本発明の半導体製造装置用部材において、前記ウエハ載置台は、ウエハ吸着用電極及びバイアス用RF電極をそれぞれ個別に内蔵していてもよいし、前記ウエハ吸着用電極及び前記バイアス用RF電極の兼用電極を内蔵していてもよい。前記フォーカスリング載置台は、フォーカスリング吸着用電極及びフォーカスリング用RFバイアス電極をそれぞれ個別に内蔵していてもよいし、前記フォーカスリング吸着用電極及び前記フォーカスリング用RFバイアス電極の兼用電極を内蔵していてもよい。前記ベース基材は、ソース用RF電極を兼用していていてもよい。
【0016】
本発明の半導体製造装置用部材は、前記ウエハ載置台及び前記フォーカスリング載置台は、電極を内蔵していなくてもよく、前記ベース基材は、ウエハ吸着用電極、フォーカスリング吸着用電極、バイアス用RF電極及びソース用RF電極を兼用していてもよい。こうすれば、ウエハ載置台及びフォーカスリング載置台を薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】半導体製造装置用部材10の縦断面図。
図2】半導体製造装置用部材10の平面図。
図3】半導体製造装置用部材10の部分断面図付き斜視図。
図4】半導体製造装置用部材10の製造工程図。
図5】半導体製造装置用部材10の別例の部分断面図付き斜視図。
図6】半導体製造装置用部材10の別例の平面図。
図7図6の部分断面図付き斜視図。
図8】絶縁膜12a,12bを備えた半導体製造装置用部材の部分縦断面図。
図9】絶縁膜14a,14bを備えた半導体製造装置用部材の部分縦断面図。
図10】半導体製造装置用部材110の縦断面図。
図11】半導体製造装置用部材210の縦断面図。
図12】半導体製造装置用部材310の縦断面図。
図13】半導体製造装置用部材410の縦断面図。
図14】半導体製造装置用部材510の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図1は半導体製造装置用部材10の縦断面図(半導体製造装置用部材10の中心軸を含む面で切断したときの断面図)、図2は半導体製造装置用部材10の平面図(但しフォーカスリング78は省略)、図3は半導体製造装置用部材10の部分断面図付き斜視図(但しフランジ部23は省略)である。本明細書において数値範囲を示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0019】
半導体製造装置用部材10は、ウエハWにプラズマを利用してCVDやエッチングなどを行うために用いられるものであり、半導体プロセス用のチャンバ94の内部に設けられた絶縁性の設置板96に固定されている。半導体製造装置用部材10は、ベース基材20と、フォーカスリング載置台30と、ウエハ載置台40と、内部空間50と、連通路25とを備えている。以下、フォーカスリングを「FR」と略すことがある。
【0020】
ベース基材20は、導電性の円板部材である。ベース基材20は、ウエハ載置台支持部21と、FR載置台支持部22と、フランジ部23とを有する。ウエハ載置台支持部21は、ベース基材20の中央に設けられ、円形のウエハ載置台支持面21aを備える。FR載置台支持部22は、ウエハ載置台支持部21の外周に設けられ、ウエハ載置台支持面21aよりも低い環状のFR載置台支持面22aを備える。フランジ部23は、FR載置台支持部22の外周に設けられ、FR載置台支持面22aよりも低い環状のフランジ面23aを備える。ベース基材20は、内部に冷媒が循環可能な冷媒流路24を有する。この冷媒流路24は、平面視でベース基材20の全体にわたって一筆書きの要領で設けられている(図2)。ベース基材20のうちウエハ載置台支持面21aと冷媒流路24の天井面との距離d1は、ベース基材20のうちFR載置台支持面22aと冷媒流路24の天井面との距離d2と同じである。この距離d1,d2は、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。また、冷媒流路24の上側の角部(側壁と天井面とが交叉する角部)はR面になっていることが好ましく、R面の曲率半径は、例えば0.5~2mmが好ましい。冷媒流路24を流れる冷媒は、液体が好ましく、電気絶縁性であることが好ましい。電気絶縁性の液体としては、例えばフッ素系不活性液体などが挙げられる。
【0021】
ベース基材20は、金属を含有する導電材料で作製することができる。導電材料としては、例えば、複合材料や金属などが挙げられる。複合材料としては、金属マトリックス複合材料(メタル・マトリックス・コンポジット(MMC)ともいう)などが挙げられ、MMCとしては、Si,SiC及びTiを含む材料やSiC多孔質体にAl及び/又はSiを含浸させた材料などが挙げられる。Si,SiC及びTiを含む材料をSiSiCTiといい、SiC多孔質体にAlを含浸させた材料をAlSiCといい、SiC多孔質体にSiを含浸させた材料をSiSiCという。FR載置台30やウエハ載置台40がアルミナ製の場合、ベース基材20に用いるMMCとしては線熱膨張係数(CTE)がアルミナに近いAlSiCやSiSiCTiなどが好ましい。金属としては、Ti,Mo,Al及びそれらの合金などが挙げられる。
【0022】
ベース基材20は、ソース用RF電極を兼用するものであり、ソース用RF電源62に給電部材64を介して接続されている。給電部材64のうちベース基材20とソース用RF電源62との間にはハイパスフィルタ(HPF)63が配置されている。ソース用RF電源62は、プラズマを生成するためのソース用RFを発生する。
【0023】
FR載置台30は、絶縁性の環状部材であり、上面に環状のFR載置面30aを有し、ベース基材20のFR載置台支持面22aに環状接合層(第1接合層)26を介して接合されている。FR載置面30aは、ベース基材20のウエハ載置台支持面21aと同じ高さである。FR載置面30aには、フォーカスリング78が載置される。FR載置台30は、FR載置面30aに近い側から順に、FR吸着用電極31とバイアス用RF電極32とを内蔵している。これらの電極31,32は、例えばW、Mo、WC、MoCなどを含有する材料によって形成されている。FR吸着用電極31は、板状又はメッシュ状の単極型の静電電極である。FR載置台30のうちFR吸着用電極31よりも上側の層は誘電体層として機能する。FR吸着用電極31には、FR吸着用電源56が給電部材58を介して接続されている。給電部材58は、ベース基材20、環状接合層26及びバイアス用RF電極32と電気的に絶縁されている。給電部材58のうちFR吸着用電源56とFR吸着用電極31との間には、ローパスフィルタ(LPF)57が設けられている。
【0024】
ウエハ載置台40は、絶縁性の円板部材であり、上面に円形のウエハ載置面40aを有している。ウエハ載置面40aには、ウエハWが載置される。ウエハ載置台40は、FR載置台30とは別体であり、ベース基材20のウエハ載置台支持面21aよりも大径で、平面視でFR載置面30aの内周部と重複している。ウエハ載置台40は、ウエハ載置台支持面21aの全面及びFR載置面30aの内周部に円形接合層27を介して接合されている。円形接合層27のうちFR載置台30とウエハ載置台40とが重なって接合されている部分(重複部)の幅(円形接合層27の径方向の長さ)は少なくとも3mmであることが好ましい。この幅が少なくとも3mmあれば、円形接合層27の重複部のシール性を十分確保することができる。ウエハ載置台40は、ウエハ載置面40aに近い側から順に、ウエハ吸着用電極41とバイアス用RF電極42とを内蔵している。これらの電極41,42は、例えばW、Mo、WC、MoCなどを含有する材料によって形成されている。ウエハ吸着用電極41は、板状又はメッシュ状の単極型の静電電極である。ウエハ載置台40のうちウエハ吸着用電極41よりも上側の層は誘電体層として機能する。ウエハ吸着用電極41には、ウエハ吸着用電源52が給電部材54を介して接続されている。給電部材54は、ベース基材20、円形接合層27及びバイアス用RF電極42と電気的に絶縁されている。給電部材54のうちウエハ吸着用電源52とウエハ吸着用電極41との間には、LPF53が設けられている。
【0025】
バイアス用RF電極32,42は、給電部材74を介してバイアス用RF電源72に接続されている。給電部材74は、環状接合層26、円形接合層(第2接合層)27及びベース基材20と電気的に絶縁されている。これらのバイアス用RF電極32,42とバイアス用RF電源72との間にはHPF73が配置されている。バイアス用RF電源72は、ウエハWやフォーカスリング78にイオンを引き込むためのバイアス用RFを発生する。バイアス用RFは、ソース用RFに比べると周波数が低く振幅が大きい。ソース用RFの周波数は、例えば数10~数100MHzであり、バイアス用RFの周波数は、例えば数百kHzである。
【0026】
ウエハ載置面40aには、図2に示すように、外縁に沿ってシールバンド40bが形成され、シールバンド40bの内側に複数の小突起40cが形成されている。シールバンド40b及び複数の小突起40cは、ウエハ載置面40aの基準面40dに形成されている。小突起40cは、本実施形態では扁平な円柱突起である。シールバンド40bの頂面及び複数の小突起40cの頂面は、同一平面上に位置している。シールバンド40b及び小突起40cの高さ(つまり基準面40dからこれらの頂面までの距離)は数μm~数10μmである。ウエハWは、シールバンド40bの頂面及び複数の小突起40cの頂面に接触した状態でウエハ載置面40aに載置される。
【0027】
FR載置台30及びウエハ載置台40は、セラミック材料で作製することができる。セラミック材料としては、例えばアルミナや窒化アルミニウムなどが挙げられる。環状接合層26や円形接合層27は、例えば、はんだや金属ロウ材で形成された層であってもよい。これらの接合層26,27は、例えばTCB(Thermal compression bonding)により形成される。TCBとは、接合対象の2つの部材の間に金属接合材を挟み込み、金属接合材の固相線温度以下の温度に加熱した状態で2つの部材を加圧接合する公知の方法をいう。
【0028】
内部空間50は、ウエハ載置台40の下面(円形接合層27を含む)、ベース基材20のウエハ載置台支持部21の外周面、FR載置台30の内周面及びベース基材20のFR載置台支持面22aによって囲まれた環状の空間である。内部空間50の上面は、ウエハ載置台40及び円形接合層27によって塞がれている。内部空間50の幅(FR載置台30の径方向の長さ)は0.1mm以上であることが好ましい。
【0029】
連通路25は、ベース基材20に設けられ、ベース基材20の下面から内部空間50に至る通路である。連通路25は、内部空間50とベース基材20の外部とを連通している。ここでは、1本の連通路25を例示した。連通路25は、設置板96を上下方向に貫通する貫通穴95を介して外部の圧力調整器80に接続されている。圧力調整器80は、内部空間50を真空雰囲気にしたり大気圧に戻したりすることができる。
【0030】
こうした半導体製造装置用部材10は、チャンバ94の内部に設けられた設置板96にクランプ部材70を用いて取り付けられる。クランプ部材70は、断面が略逆L字状の環状部材であり、内周段差面70aを有する。半導体製造装置用部材10と設置板96とは、クランプ部材70によって一体化されている。半導体製造装置用部材10のベース基材20のフランジ面23aにクランプ部材70の内周段差面70aが載置された状態で、クランプ部材70の上面からボルト71が差し込まれて設置板96の上面に設けられたネジ穴97に螺合されている。ボルト71は、クランプ部材70の円周方向に沿って等間隔に設けられた複数箇所(例えば8箇所とか12箇所)に取り付けられる。クランプ部材70やボルト71は、絶縁材料で作製されていてもよいし、導電材料(金属など)で作製されていてもよい。ベース基材20の下面と設置板96の上面との間には、シール部材(図示せず)が配置されていてもよい。シール部材としては、各給電部材54,58,64,74を取り囲むOリング、連通路25と貫通穴95との気密性を維持するOリング、ベース基材20とほぼ同径のOリングなどが挙げられる。こうしたシール部材は、ボルト71をネジ穴97に螺合することにより上下方向に押し潰されてシール性を発揮する。シール部材は、金属製でもよいし樹脂製でもよい。
【0031】
次に、半導体製造装置用部材10の製造例を図4を用いて説明する。図4は半導体製造装置用部材10の製造工程図である。なお、ここでは給電部材54,58,74の取付構造については省略する。まず、ベース基材20とFR載置台30と環状の金属接合材82とを用意する(図4A)。ベース基材20は、例えば以下のようにして作製する。まず、特許第5666748号公報や特許第5666749号公報に準じて、冷媒流路を内蔵するMMC製の円形冷却板を作製する。その円形冷却板に外形加工を施すことにより、ウエハ載置台支持部21とFR載置台支持部22とフランジ部23とを備え、冷媒流路24を内蔵するベース基材20を得る。このベース基材20に連通路25を設ける。FR載置台30は、例えば以下のように作製する。まず、セラミック粉末の円板成形体を3枚作製する。続いて、1枚目の円板成形体の上面に外周に沿ってバイアス用RF電極と同形状の印刷電極を印刷し、2枚目の円板成形体の上面に外周に沿ってFR吸着用電極と同形状の印刷電極を印刷する。そして、1枚目の円板成形体の印刷電極面に2枚目の円板成形体を印刷電極面が上になるように積層し、更にその上に3枚目の円板成形体を積層して積層体とする。この積層体をホットプレス焼成し、得られた焼成体に外形加工を施すことにより、環状のFR載置台30を得る。各印刷電極はそれぞれFR吸着用電極31とバイアス用RF電極32になる。この段階のFR載置台30は、最終的なFR載置台30に比べてFR吸着用電極31からFR載置台30の上面までの距離が長くなっている。金属接合材82は、最終的には環状接合層26になるものである。
【0032】
続いて、ベース基材20のFR載置台支持面22aに環状の金属接合材82を積層し、その上に環状のFR載置台30を積層することにより、積層体を得る。この積層体を加熱しながらFR載置台30の上面を加圧することにより(TCB)、接合体M1を得る(図4B)。TCBは、例えば以下のように行われる。金属接合材82の固相線温度以下(例えば、固相線温度から20℃引いた温度以上固相線温度以下)の温度で積層体を加圧して接合し、その後室温に戻す。これにより、金属接合材82は環状接合層26になる。このときの金属接合材82としては、Al-Mg系接合材やAl-Si-Mg系接合材を使用することができる。例えば、Al-Si-Mg系接合材を用いてTCBを行う場合、真空雰囲気下で加熱した状態で積層体を加圧する。金属接合材82は、厚みが100μm前後のものを用いるのが好ましい。
【0033】
続いて、ウエハ載置台40と円形の金属接合材84を用意すると共に、接合体M1のFR載置台30に研削加工を施してFR載置台30の上面の高さをウエハ載置台支持面21aの高さと一致させる(図4C)。ウエハ載置台40は、印刷電極の形状や外形加工が異なる以外は、FR載置台30と同様にして作製することができる。金属接合材84は、最終的には円形接合層27になるものである。続いて、ウエハ載置台支持面21aの全面及びFR載置面30aの内周部に円形の金属接合材84を積層し、その上に円形のウエハ載置台40を積層することにより、積層体を得る。この積層体を加熱しながらウエハ載置台40の上面を加圧することにより(TCB)、接合体M2を得る(図4D)。これにより、金属接合材84は円形接合層27になる。その後、ウエハ載置台40の上面に鏡面仕上げを施したあと、その面にシールバンド40bや複数の小突起40c(図2)をブラスト加工などで形成し、半導体製造装置用部材10を得る。
【0034】
製造工程の途中で、ベース基材20やウエハ載置台40にリフトピン穴を設けてもよい。リフトピン穴は、ウエハ載置面40aに対してウエハWを上下させるリフトピンを挿通するための穴である。リフトピン穴の壁面は、導体(ベース基材20や接合層26,27)と電気的に絶縁されるように保護するのが好ましい。
【0035】
次に、半導体製造装置用部材10の使用例について図1を用いて説明する。チャンバ94の設置板96には、上述したように半導体製造装置用部材10が設置されている。チャンバ94の天井面には、プロセスガスを多数のガス噴射孔からチャンバ94の内部へ放出するシャワーヘッド98が配置されている。
【0036】
半導体製造装置用部材10のFR載置面30aには、フォーカスリング78が載置され、ウエハ載置面40aには、ウエハWが載置される。フォーカスリング78は、ウエハWと干渉しないように上端部の内周に沿って段差を備えている。この状態で、ウエハ吸着用電極41にウエハ吸着用電源52の直流電圧を印加してウエハWをウエハ載置面40aに吸着させる。それと共に、FR吸着用電極31にFR吸着用電源56の直流電圧を印加してフォーカスリング78をFR載置面30aに吸着させる。また、圧力調整器80を作動して環状の内部空間50を真空雰囲気にする。これにより、内部空間50は熱抵抗層として機能するため、ウエハWの温度とフォーカスリング78の温度とを独立して制御しやすくなる。そして、チャンバ94の内部を所定の真空雰囲気(又は減圧雰囲気)になるように設定し、シャワーヘッド98からプロセスガスを供給しながら、ベース基材20にソース用RF電源62からのソース用RF電圧を印加する。それと共に、バイアス用RF電極32,42にバイアス用RF電源72からのバイアス用RF電圧を印加する。すると、ソース用RF電圧が印加されたベース基材20と同電位の接合層26,27とシャワーヘッド98との間でプラズマが発生する。そして、そのプラズマを利用してウエハWにCVD成膜を施したりエッチングを施したりする。ソース用RF電圧は、プラズマを生成するために印加されるものであり、バイアス用RF電圧は、ウエハWやフォーカスリング78にイオンを引き込むために印加されるものである。
【0037】
なお、ウエハWがプラズマ処理されるのに伴ってフォーカスリング78も消耗するが、フォーカスリング78はウエハWに比べて厚いため、フォーカスリング78の交換は複数枚のウエハWを処理したあとに行われる。
【0038】
以上説明した半導体製造装置用部材10では、ウエハ載置台40は、FR載置台30と別体で、FR載置面30aの内周部及びウエハ載置台支持面21aに接合されている。そのため、特許文献1のようにウエハ載置台とフォーカスリング載置台とが一体化された保持部材を用いる場合に比べて、割れの発生を抑制することができる。すなわち、一体化された保持部材ではウエハ載置台とFR載置台との連結部位において割れが発生しやすいが、上述した実施形態ではそうした連結部位がないため割れの発生を抑制することができる。また、環状の内部空間は、閉空間ではなく、ベース基材に設けられた連通路を介してベース基材の外部と連通している。そのため、連通路を介して内部空間を外部から制御することができる。
【0039】
また、ウエハ載置台40は円形接合層27と共に内部空間50の上部を閉鎖している。そのため、連通路25を介して内部空間50の圧力を真空にしたり大気圧にしたりすることができる。
【0040】
更に、環状接合層26及び円形接合層27は、いずれも金属接合層であるため、これらの接合層26,27が樹脂(有機)接合層の場合に比べて、ウエハWの熱やフォーカスリング78の熱を効率よくベース基材20に逃がすことができる。また、これらの接合層26,27をベース基材20と同電位にすることができる。
【0041】
更にまた、FR載置面30aとウエハ載置台支持面21aとは、同じ高さである。そのため、ウエハ載置台40をFR載置面30aの内周部及びウエハ載置台支持面21aに比較的容易に接合することができる。
【0042】
そして、ウエハ載置台40は、ウエハ吸着用電極41及びバイアス用RF電極42をそれぞれ個別に内蔵し、FR載置台30は、FR吸着用電極31及びバイアス用RF電極32をそれぞれ個別に内蔵している。各バイアス用RF電極32,42を各載置台30,40の表面に近い位置に配置することで、ウエハWへのイオンの引き込み効率が上がる。ソース用RF電極のサイズは、プラズマの密度バラツキ低減の観点よりウエハ載置台40上のウエハ面径より大きな領域である必要があるため、ウエハ載置台40及びFR載置台30を冷却するベース基材20がソース用RF電極として兼用される。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0044】
上述した実施形態では、連通路25を介して内部空間50の圧力を真空にしたり大気圧にしたりする例を示したが、特にこれに限定されない。例えば、連通路25を介して内部空間50に封入するガスの種類を変えてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、ウエハ載置台40は円形接合層27と共に内部空間50の上部を閉鎖する構成としたが、特にこれに限定されない。例えば、図5に示すように、ウエハ載置台40(円形接合層27を含む)は、内部空間50からウエハ載置面40aに至る複数の貫通穴45を有していてもよい。図5では、上述した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。こうすれば、内部空間50をガス通路として利用することができる。すなわち、外部から連通路25に導入されたガス(例えばHeなどの熱伝導ガス)を、環状の内部空間50を介して複数の貫通穴45からウエハ載置面40aに載置されたウエハWの下面(シールバンド40bと小突起40cと基準面40dとウエハWとによって囲まれた空間)に供給することができる。一般的に、ウエハWの下面にガスを供給する場合、ベース基材20の内部にベース基材20と同心円となる環状通路を形成し、ベース基材20の下面からその環状通路に繋がる連通路を設け、環状通路からベース基材20、円形接合層27及びウエハ載置台40を貫通する複数のガス穴を設ける。図5の構造であれば、ベース基材20の内部に環状通路を形成したりその環状通路からベース基材20の上面に至る穴を形成したりする必要がなくなる。
【0046】
上述した実施形態では、冷媒流路24の天井面からウエハ載置台支持面21aまでの距離d1は、冷媒流路24の天井面からFR載置台支持面22aまでの距離d2と同じとしたが、特にこれに限定されない。例えば、距離d1を距離d2よりも短くしてもよい。こうすれば、ウエハWの温度を効率よく下げることができる。
【0047】
上述した実施形態では、冷媒流路24は、平面視でベース基材20のウエハ載置台支持面21a及びFR載置台支持面22aの全体にわたって一筆書きの要領で渦巻状に形成されている例を示したが、特にこれに限定されない。例えば、図6及び図7に示すように、ウエハ用冷媒流路24aとFR用冷媒流路24bとをそれぞれ独立して設け、それぞれ別系統の冷媒を供給するようにしてもよい。図6及び図7では、上述した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。ウエハ用冷媒流路24aは、平面視でウエハ載置台支持面21aの全体にわたって一筆書きの要領で形成され、FR用冷媒流路24aは、平面視でFR載置台支持面22aの全体にわたって一筆書きの要領で形成されている。こうすれば、ウエハWの温度とフォーカスリング78の温度とを個別に制御しやすくなる。
【0048】
上述した実施形態において、図8に示すように、ウエハ載置台40の外周面、円形接合層27の外周面、FR載置台30の外周面、環状接合層26の外周面及びベース基材20のうち外部に露出している面は、絶縁膜12a,12bで被覆されていることが好ましい。図8では、上述した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。こうすれば、接合層26,27の外周面やベース基材20のうち外部に露出している面が腐食するのを防止することができる。絶縁膜12aのうちウエハ載置台40の外周面を覆う部分は省略してもよく、絶縁膜12bのうちFR載置台30の外周面を覆う部分は省略してもよい。あるいは、図9に示すように、円形接合層27の外周面とその周辺領域(ウエハ載置台40の外周面の一部及びFR載置台30のFR載置面30aの一部)や環状接合層26の外周面とその周辺領域(FR載置台30の外周面の一部)に、絶縁膜形成用の溝を設け、その溝を埋めるように絶縁膜14a,14bを形成してもよい。図9では、上述した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。絶縁膜14a,14bを形成した後、絶縁膜14aの表面がウエハ載置台40の外周面やFR載置台30のFR載置面30aと面一になるように形状加工を施すと共に、絶縁膜14bの表面がFR載置台30の外周面と面一になるように形状加工を施す。このようにしても、接合層26,27の外周面やベース基材のうち外部に露出している面が腐食するのを防止することができる。絶縁膜12a,12b,14a,14bとしては、例えばアルミナやイットリアなどの溶射膜が挙げられる。
【0049】
上述した実施形態では、冷媒流路24を内蔵するベース基材20を使用したが、図10に示す半導体製造装置用部材110のように、冷媒流路が内蔵されていないベース基材120を使用してもよい。図10では、上述した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。なお、ベース基材120はウエハ載置台支持部121及びFR載置台支持部122を有する。ベース基材120はクランプ用のフランジ部を有していないが、フランジ部を有していてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、ウエハ載置台40は、ウエハ吸着用電極41及びバイアス用RF電極42をそれぞれ個別に内蔵し、FR載置台30は、FR吸着用電極31及びバイアス用RF電極32をそれぞれ個別に内蔵したが、特にこれに限定されない。例えば、図11に示す半導体製造装置用部材210のように、ウエハ載置台240は兼用電極241を内蔵し、FR載置台230は兼用電極231を内蔵していてもよい。図11では、上述した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。ウエハ載置台240の兼用電極241には、ウエハ吸着用電源52の直流電圧が印加されると共に、バイアス用RF電源72のRF電圧も印加される。また、FR載置台230の兼用電極231には、FR吸着用電源56の直流電圧が印加されると共に、バイアス用RF電源72のRF電圧も印加される。こうすれば、ウエハ載置面240aとバイアス用RF電圧が印加される兼用電極241との間の距離を上述した実施形態よりも短くすることができるため、この間のリアクタンスが小さくなり、ウエハWへのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。また、FR載置面230aとバイアス用RF電圧が印加される兼用電極231との間の距離を上述した実施形態よりも短くすることができるため、この間のリアクタンスが小さくなり、フォーカスリング78へのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。なお、図11において、ベース基材20の代わりに、冷媒流路が内蔵されていない図10のベース基材120を採用してもよい。
【0051】
あるいは、図12に示す半導体製造装置用部材310のように、ウエハ載置台340及びFR載置台330は電極を内蔵していなくてもよい。図12では、上述した実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付した。ベース基材20には、ウエハ吸着用電源とFR吸着用電源を兼ねる共通の吸着用電源352の直流電圧が給電部材354を介して印加される。ベース基材20と吸着用電源352との間にはLPF353が設けられている。ベース基材20には、ソース用RF電源62のRF電圧とバイアス用RF電源72のRF電圧も印加される。ウエハ載置台340の厚みは、図1のウエハ載置台40や図11のウエハ載置台240に比べて薄くすることができる。また、FR載置台330の厚みは、ウエハ載置台支持面21aとFR載置台支持面22aとの距離に応じて薄くすることができる。ウエハ載置台340の厚みやFR載置台330の厚みは1mm以下が好ましい。こうすれば、ウエハWをウエハ載置面340aに静電吸着し、フォーカスリング78をFR載置面330aに静電吸着することができる。また、バイアス用のRF電圧をベース基材20に印加した場合、ウエハWとベース基材20と同電位になる円形接合層27との間のリアクタンスやフォーカスリング78とベース基材20と同電位になる環状接合層26との間のリアクタンスが小さいため、バイアス用のRF電圧によるウエハWへのイオンの引き込みやフォーカスリング78へのイオンの引き込みを効率よく行うことができる。更に、ウエハ載置台340やFR載置台330に電極を内蔵する必要がないため、構造が簡素になるし、内蔵された電極へ電源を供給するための貫通孔を設ける必要がなく、温度の特異点の生成を抑制することもできる。フォーカスリング78の厚みは、FR載置面330aとウエハ載置面340aとの距離に応じて決まる。そのため、フォーカスリング78の寿命を長くしたい場合には、その距離を長くすればよい。なお、図12において、ベース基材20の代わりに、冷媒流路が内蔵されていない図10のベース基材120を採用してもよい。
【0052】
上述した実施形態のベース基材20の代わりに、図13に示すベース基材420を用いてもよい。図13では、上述した実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付した。図13の半導体製造装置用部材410では、ベース基材420は、ウエハ載置台支持部421の外周にウエハ載置台支持面421aよりも低いFR載置台支持面422aを備えた環状のFR載置台支持部422を有し、FR載置台支持部422の外周にFR載置台支持面422aよりも低いフランジ面423aを備えたフランジ部423を有する。ベース基材420は、冷媒流路溝424を有する。冷媒流路溝424は、ベース基材420の下面に開口するように設けられている。ベース基材420は、シール部材416a,416bを介してチャンバ側の設置板96に固定されている。シール部材416aは、ベース基材420よりもやや径が小さく冷媒流路溝424の全体を取り囲む環状部材であり、シール部材416bは、内部空間50に連通する連通路425を取り囲む環状部材である。ベース基材420のフランジ部423は、クランプ部材470に挿通されたボルト471が設置板96のネジ穴に螺合されることにより、クランプ部材470を介して設置板96に押しつけられる。これにより、シール部材416a,416bは押し潰されてシール性を発揮する。冷媒流路溝424の開口はシール部材416a,416bと設置板96とによって閉鎖されて冷媒流路となる。ベース基材420は、ベース基材20と比べて、使用する材料が少なくて済むため、コストを低く抑えることができる。
【0053】
あるいは、上述した実施形態のベース基材20の代わりに、図14に示すベース基材520を用いてもよい。図14では、上述した実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付した。図14の半導体製造装置用部材510では、ベース基材520は、ベース基材上部520Uとベース基材下部520Lとがシール部材516a,516bを介してクランプされたものである。ベース基材上部520Uは、ウエハ載置台支持部521の外周にウエハ載置台支持面521aよりも低いFR載置台支持面522aを備えた環状のFR載置台支持部522を有し、FR載置台支持部522の外周にFR載置台支持面522aよりも低いフランジ面523aを備えたフランジ部523を有する。ベース基材上部520Uは、冷媒流路を有していない。ベース基材下部520Lは、冷媒流路溝524を有する。冷媒流路溝524は、ベース基材下部520Lの上面に開口するように設けられている。シール部材516aは、ベース基材下部520Lよりもやや径が小さく冷媒流路溝524の全体を取り囲む環状部材であり、シール部材516bは、内部空間50に連通する連通路525を取り囲む環状部材である。ベース基材上部520Uのフランジ部523は、クランプ部材570に挿通されたボルト571が設置板96のネジ穴に螺合されることにより、クランプ部材570を介して設置板96に押しつけられる。これにより、シール部材516a,516bは押し潰されてシール性を発揮する。冷媒流路溝524の開口はシール部材516a,516bとベース基材上部520Uとによって閉鎖されて冷媒流路となる。この場合、ベース基材上部520UをMMCで作製し、ベース基材下部520LをMMCよりも加工が容易な易加工性材料で作製することができる。加工性の指標としては、例えば、JIS B 0170(2020)に示された被削性指数を用いることができる。易加工性材料としては、被削性指数が40以上の材料が好ましく、100以上の材料がより好ましく、140以上の材料がさらに好ましい。易加工性材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS材)、樹脂(耐熱樹脂)などが挙げられる。
【0054】
上述した実施形態では、環状接合層26及び円形接合層27を金属接合層としたが、特にこれに限定されない。例えば、金属接合層の代わりに、樹脂接合層を用いてもよい。
【0055】
上述した実施形態のウエハ載置台40及びFR載置台30には、必要に応じてヒータ電極(抵抗発熱体)を内蔵してもよい。
【0056】
上述した実施形態では、セラミック製のウエハ載置台40やFR載置台30を作製する場合、セラミック粉末の成形体をホットプレス焼成することにより作製したが、そのときの成形体は、テープ成形体を複数枚積層して作製してもよいし、モールドキャスト法によって作製してもよいし、セラミック粉末を押し固めることによって作製してもよい。
【0057】
上述した実施形態では、ベース基材20は、平面視でベース基材20の全体にわたって一筆書きの要領で形成されている冷媒流路24を備えたものとしたが、特にこれに限定されない。例えば、ベース基材20は、ベース基材20の下面に設けた複数の有底筒状の穴を有していてもよく、各穴に冷媒を供給するようにしてもよい。
【0058】
上述した実施形態において、円形接合層27のうち内部空間50に対向する環状部分をなくしてもよい。つまり、内部空間50にウエハ載置台40の下面が露出するようにしていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 半導体製造装置用部材、12a,12b,14a,14b 絶縁膜、20 ベース基材、21 ウエハ載置台支持部、21a ウエハ載置台支持面、22 FR載置台支持部、22a FR載置台支持面、23 フランジ部、23a フランジ面、24 冷媒流路、24a ウエハ用冷媒流路、24b FR用冷媒流路、25 連通路、26 環状接合層、27 円形接合層、30 FR載置台、30a FR載置面、31 FR吸着用電極、32 バイアス用RF電極、40 ウエハ載置台、40a ウエハ載置面、40b シールバンド、40c 小突起、40d 基準面、41 ウエハ吸着用電極、42 バイアス用RF電極、45 貫通穴、50 内部空間、52 ウエハ吸着用電源、53,57 LPF、54 給電部材、56 FR吸着用電源、58 給電部材、62 ソース用RF電源、63 HPF、64 給電部材、70 クランプ部材、70a 内周段差面、71 ボルト、72 バイアス用RF電源、73 HPF、74 給電部材、78 フォーカスリング、80 圧力調整器、82,84 金属接合材、94 チャンバ、96 設置板、97 ネジ穴、98 シャワーヘッド、110 半導体製造装置用部材、120 ベース基材、121 ウエハ載置台支持部、122 FR載置台支持部、210 半導体製造装置用部材、230 FR載置台、230a FR載置面、231 兼用電極、240 ウエハ載置台、240a ウエハ載置面、241 兼用電極、310 半導体製造装置用部材、330 FR載置台、330a FR載置面、340 ウエハ載置台、340a ウエハ載置面、352 吸着用電源、354 給電部材、410 半導体製造装置用部材、416a,415b シール部材、420 ベース基材、421 ウエハ載置台支持部、421a ウエハ載置台支持面、422 FR載置台支持部、422a FR載置台支持面、423 フランジ部、423a フランジ面、424 冷媒流路溝、425 連通路、470 クランプ部材、471 ボルト、510 半導体製造装置用部材、516a,516b シール部材、520 ベース基材、520L ベース基材下部、520U ベース基材上部、521 ウエハ載置台支持部、521a ウエハ載置台支持面、522 FR載置台支持部、522a FR載置台支持面、523 フランジ部、523a フランジ面、524 冷媒流路溝、525 連通路、570 クランプ部材、571 ボルト、M1,M2 接合体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14