(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130721
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】警報器及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G08B 21/16 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
G08B21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035166
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】中島 唯宣
(72)【発明者】
【氏名】犬塚 和宏
(72)【発明者】
【氏名】松井 巧
【テーマコード(参考)】
5C086
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA02
5C086AA22
5C086AA26
5C086CA06
5C086CA10
5C086CA12
5C086CB21
5C086DA10
5C086DA11
5C086EA13
5C086FA02
5C086FA06
5C086FA15
5C086GA10
(57)【要約】
【課題】人感センサによる検知状態をより分かり易く提示することができる警報器及びその制御方法を提供する。
【解決手段】ガス警報器1は、監視領域における異常を検知するためのガスセンサ24と、ガスセンサ24からの信号に基づいて監視領域における異常を検知した場合に異常状態を音出力するスピーカ34と、周辺における人の存在を検知するための人感センサ26と、人感センサ26による検知状態を確認するための確認モードを実行する確認処理部38aとを備え、スピーカ34は、確認処理部38aによる確認モードの実行中において、人感センサ26による検知状態に応じた音を出力する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における異常を検知するためのセンサと、
前記センサからの信号に基づいて監視領域における異常を検知した場合に異常状態を音出力する音出力部と、
周辺における人の存在を検知するための人感センサと、
前記人感センサによる検知状態を確認するための確認モードを実行する確認処理部と、を備え、
前記音出力部は、前記確認処理部による確認モードの実行中において、前記人感センサによる検知状態に応じた音を出力する
ことを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記音出力部は、前記人感センサによる検知状態に応じた報知音を出力させる
ことを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記音出力部は、前記人感センサからの信号に基づいて人が検知されたときに第1周波数の第1報知音を出力させ、前記人感センサからの信号に基づいて人が検知されなくなったときに前記第1周波数と異なる第2周波数の第2報知音を出力させる
ことを特徴とする請求項2に記載の警報器。
【請求項4】
前記音出力部は、前記人感センサにより人が検知されていない状態から人が検知される状態に切り替わったタイミングで前記第1周波数の前記第1報知音を第1所定時間だけ出力させ、前記人感センサにより人が検知されている状態から人が検知されない状態に切り替わったタイミングで前記第2周波数の前記第2報知音を第2所定時間だけ出力させる
ことを特徴とする請求項3に記載の警報器。
【請求項5】
前記音出力部は、前記確認処理部による確認モードの開始後、前記人感センサの待機状態が終了して前記人感センサによる検知状態の確認が開始されたときにその旨を音声出力し、前記確認処理部による確認モードの終了時に、前記第1所定時間及び前記第2所定時間よりも長い第3所定時間だけ第3報知音を出力し、又は、前記第1周波数及び前記第2周波数と異なる第3周波数となる第4報知音を出力する
ことを特徴とする請求項4に記載の警報器。
【請求項6】
監視領域における異常を検知するためのセンサと、前記センサからの信号に基づいて監視領域における異常を検知した場合に異常状態を音出力する音出力部と、周辺における人の存在を検知するための人感センサと、を備えた警報器の制御方法であって、
前記人感センサによる検知状態を確認するための確認モードを実行する確認処理工程を備え、
前記確認処理工程では、確認モードの実行中において、前記人感センサによる検知状態に応じた音を出力させる
ことを特徴とする警報器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人感センサを搭載した警報器が提案されている。このような警報器は、例えば人の存在を検知した場合にLED(Light Emitting Diode)等の表示部によって表示を行い、人の存在を検知しない場合に表示部による表示を行わない構成となっている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-128578号公報
【特許文献2】特開2021-128579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1,2に記載のような警報器は周囲の光環境(周囲が明るい等)によっては表示が非常に分かり難くなってしまう。特に、警報器は通常足元、天井又はその付近といった目から離れた位置に設けられ、非常に見え難いものであった。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、人感センサによる検知状態をより分かり易く提示することができる警報器及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る警報器は、監視領域における異常を検知するためのセンサと、前記センサからの信号に基づいて監視領域における異常を検知した場合に異常状態を音出力する音出力部と、周辺における人の存在を検知するための人感センサと、前記人感センサによる検知状態を確認するための確認モードを実行する確認処理部と、を備え、前記音出力部は、前記確認処理部による確認モードの実行中において、前記人感センサによる検知状態に応じた音を出力する。
【0007】
また、本発明に係る警報器の制御方法は、監視領域における異常を検知するためのセンサと、前記センサからの信号に基づいて監視領域における異常を検知した場合に異常状態を音出力する音出力部と、周辺における人の存在を検知するための人感センサと、を備えた警報器の制御方法であって、前記人感センサによる検知状態を確認するための確認モードを実行する確認処理工程を備え、前記確認処理工程では、確認モードの実行中において、前記人感センサによる検知状態に応じた音を出力させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人感センサによる検知状態をより分かり易く提示することができる警報器及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るガス警報器の使用状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るガス警報器が取り付けられる様子を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るガス警報器を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るガス警報器を示す側面図である。
【
図5】
図1~
図4に示したガス警報器のうちパネルを取り除いたときの様子を示す正面図である。
【
図6】
図1~
図4に示したガス警報器のうち蓋体及びパネルを取り除いたときの様子を示す正面図である。
【
図7】
図1~
図4に示したガス警報器のソフト構成を示すブロック図である。
【
図8】
図1~
図7に示したガス警報器の内部構成を示す一部拡大断面図である。
【
図9】本実施形態に係るガス警報器の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、以下に示す実施形態においては警報器の一例としてガス警報器を説明するが、特にガス警報器に限らず、火災警報器やガス及び火災を検知のうえ警報可能なガス火災一体型警報器であってもよい。さらには、侵入者等を検知する防犯警報器であってもよい。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るガス警報器の使用状態を示す斜視図であり、
図2は、本発明の実施形態に係るガス警報器が取り付けられる様子を示す斜視図である。また、
図3は、本発明の実施形態に係るガス警報器を示す正面図であり、
図4は、本発明の実施形態に係るガス警報器を示す側面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るガス警報器1は、天井に設けられた回転取付部Aに対して取り付けられる天井設置型の警報器である。このガス警報器1は、
図2に示すように、既存の照明装置と同様に、回転取付部Aに回転させながら取り付けられる構造となっている。
【0013】
ガス警報器1は、
図4に示すように、天井側となる背面に接点Cを有している。接点Cは、背面側に突出する金属部材である。また、
図2に示すように、回転取付部Aについても電気接点Bを有している。電気接点Bは回転取付部Aに設けられた第1の溝G1の溝奥部に位置している。ガス警報器1は、回転取付部Aに対して取り付けられると、ガス警報器1側の接点Cが回転取付部Aの電気接点Bに接触する。これにより、ガス警報器1は、電源がオンされることとなる。
【0014】
さらに、ガス警報器1は、
図4に示すように、接点Cのほか、背面側に信号端子(有電圧接点)Dを備えている。この信号端子Dは、回転取付部Aへの取付状態において
図2に示す第2の溝G2に嵌り込む構成となっており、いわゆる有電圧信号を送信するものとして機能する。有電圧信号は、例えば、ガス警報器1が回転取付部Aから取り外されたときや断線時等に0V信号となり、ガス警報器1が通常の監視状態において6V信号となり、ガス警報器1が警報状態において12V信号となる。有電圧信号は、例えばマンションの管理室等の警報監視盤等に送信される。
【0015】
このようなガス警報器1は、少なくともスピーカ34やガスセンサ24(後述の
図6参照)等を収納する筐体2を備えている。筐体2は、外観視して薄型の略円柱形状とされており、
図3及び
図4に示すように、筐体本体2aと、蓋体2bと、パネル2cとを有している。筐体本体2aは、筐体2の背面側を構成する部材であって、正面側が開放された有底筒状の部材である。蓋体2bは、筐体本体2aを開放側となる正面側(回転取付部Aへの取付状態において下側)から覆うものである。パネル2cは、蓋体2bの正面側に形成された凹部D1(後述の
図5参照)に対して嵌り込む板材である。パネル2cは、筐体2の形状に合わせて略円形とされている。
【0016】
また、ガス警報器1は、
図4に示すように、筐体2の側面に押下操作部10を備えている。本実施形態に係るガス警報器1は、外部サーバOS(後述の
図7参照)と通信する機能を備えている。押下操作部10は、外部サーバOSと通信接続されるよう通信設定を行うための操作部である。さらに、本実施形態に係るガス警報器1は、人感センサ26(後述の
図6参照)の検知状態を確認する動作を行うことができる。押下操作部10は、人感センサ26を確認するための動作を行わせるための操作部でもある。
【0017】
さらに、ガス警報器1は、
図3に示すように、正面側に、停止操作部12を備えている。停止操作部12は、ガス警報器1が警報動作(音出力及び発光)を行っているときに、警報動作を停止させるための操作部である。この停止操作部12は、パネル2cの一部(右側下部)によって形成されており、凹部D2(後述の
図5参照)が蓋体2bに設けられることで背面方向に弾性変形可能とされている。停止操作部12の背面側には、警報停止スイッチ32(後述の
図6参照)が設けられている。
【0018】
このように、本実施形態に係るガス警報器1は、押下操作部10と停止操作部12とを別個に設けている。ここで、押下操作部10と停止操作部12とを1つの操作部で形成すると、通信設定や人感センサ26の確認の操作と警報停止の操作とを異ならせる必要があり、各操作が複雑化する傾向にあるが、別個に設けることで操作の複雑化を抑制することができる。
【0019】
また、ガス警報器1は、第1レンズ14と、第2レンズ16とを備えている。第1レンズ14は、ガス警報器1の正面側上部に設けられた正面視して円形となる光透過部材である。この第1レンズ14の背面側には人感センサ26(後述の
図6参照)が設けられている。第2レンズ16は、ガス警報器1の正面側上部に設けられた正面視して円弧状となる光透過部材である。この第2レンズ16の背面側には、発光部36(後述の
図6参照)が設けられている。
【0020】
また、ガス警報器1は、正面側にスピーカ孔18とガス孔20とが形成されている。スピーカ孔18は、正面視して停止操作部12の略右側に形成された円弧状の孔部である。スピーカ孔18の背面側にはスピーカ34(後述の
図6参照)が設けられている。ガス孔20は、正面視してガス警報器1の左側下部に形成された円弧状の孔部である。ガス孔20の背面側にはガスセンサ24(後述の
図6参照)が設けられている。これらスピーカ孔18とガス孔20とによって、スピーカ34からの音や検知対象ガスが好適に通過し易くされている。
【0021】
図5は、
図1~
図4に示したガス警報器1のうちパネル2cを取り除いたときの様子を示す正面図であり、
図6は、
図1~
図4に示したガス警報器1のうち蓋体2b及びパネル2cを取り除いたときの様子を示す正面図である。
図7は、
図1~
図4に示したガス警報器1のソフト構成を示すブロック図である。なお、
図7において便宜上、ガス警報器1以外の構成についても図示している。
【0022】
図6に示すように、ガス警報器1は、筐体本体2a内に、回転取付部Aへの取付状態において水平方向に延びる制御基板22を備えている。また、
図5~
図7に示すように、ガス警報器1は、ガスセンサ(センサ)24と、人感センサ26と、通信モジュール28と、確認スイッチ30と、警報停止スイッチ32と、スピーカ(音出力部)34と、発光部36と、メインマイコン38と、音声IC(Integrated Circuit)40と、外部出力部42とを備えている。
【0023】
図6に示す制御基板22は、ガス警報器1の主要構成となる各部を搭載するものである。ガスセンサ24は、監視領域における異常を検知するためのものである。本実施形態においてガスセンサ24は、都市ガスや一酸化炭素等の検知対象ガスに反応する半導体式ガスセンサであって、検知対象ガスの濃度に応じた信号をメインマイコン38(
図7参照)に出力するものである。このガスセンサ24は、制御基板22に形成された切欠き部22aに対応して設けられている。ガスセンサ24のガス導入部24aは、ガス孔20(
図3参照)に対応して形成されたガス貯留室GRに面するように設置されている。
【0024】
人感センサ26は、周辺における人の存在を検知するためのものであって、例えば生体からの赤外線に応じた信号をメインマイコン38(
図7参照)に出力するものである。なお、人感センサ26は、赤外線を利用するものに限らず、例えば超音波により移動物体を検出して移動物体を生体であると判断するためのもの等であってもよい。
【0025】
図6及び
図7に示す通信モジュール28は、通信回線を通じて、ガス事業者等が所有する外部サーバOSと通信接続されるものである。この通信モジュール28は、例えば無線通信規格であるWi-Fi(登録商標)により宅内のルータRと無線接続されることで外部サーバOSと通信接続され、外部サーバOSと情報の送受信が可能となる。
【0026】
図6及び
図7に示す確認スイッチ30は、メインマイコン38による通信設定を実行するための設定モードを開始させる操作スイッチであって、押下操作部10が押下されたときにオンするものである。通信モジュール28は、設定モードにおいて宅内のルータRと無線接続されて外部サーバOSと通信接続される。また、確認スイッチ30は、人感センサ26による検知状態を確認するための確認モードを実行させるための操作スイッチでもある。メインマイコン38は、確認モードが実行されると、人感センサ26を待機状態にさせた後に、人感センサ26による検知状態の確認を開始させる。
【0027】
詳細に説明すると、ガス警報器1は、所定の操作が行われると、まず確認モードを開始させ、確認モードの終了後に設定モードを開始させる。ここで、所定の操作とは、例えばガス警報器1が通常の監視状態であって押下操作部10(確認スイッチ30)が第1規定時間(例えば3秒)長押しされることである。また、所定の操作は、押下操作部10(確認スイッチ30)が押下された状態で電源がオンし押下状態が第1規定時間継続することであってもよい。特に、本実施形態に係るガス警報器1は、押下操作部10が筐体2の側面に設けられていることから、押下操作部10が筐体2の正面側に設けられている場合と比較して、
図2に示すように押下操作部10を押下しながらガス警報器1を回転取付部Aへ取り付け易く構成されている。
【0028】
図6及び
図7に示す警報停止スイッチ32は、停止操作部12(
図3参照)の背面に位置するものであって、停止操作部12が背面側に向かって押し込まれる操作がされたときに、蓋体2bの凹部D2(
図5参照)に設けられる第1レバー部材L1(
図5参照)を介してオンされるものである。警報停止スイッチ32は、オンされると、その旨の信号をメインマイコン38に送信する。メインマイコン38は、警報動作を行っているときに警報停止スイッチ32がオンされた旨の信号を入力すると、警報動作を停止させる。
【0029】
スピーカ34は、ガスセンサ24からの信号に基づいてメインマイコン38が監視領域における異常状態(検知対象ガスの高濃度異常)を検知した場合に、異常状態を音出力するものである。この際、スピーカ34は、警報音及び警報音声(警報メッセージ)を出力することとなる。これらの警報音声等は音声IC40に記憶されている。
【0030】
図6に示す発光部36は、ガス警報器1の各種状態を報知するために発光するものであり、8個のLEDによって構成されている。これらの発光部36は、通信状態を示す青発光部36aと、音声メッセージ等の出力中(お知らせ中)であることを示す橙発光部36bと、一酸化炭素濃度の異常を示す黄発光部36cと、電源オン状態を示す緑発光部36dと、都市ガスのガス漏れ状態を示す赤発光部36eとによって構成されている。これら発光部36からの光は導光板(図示せず)及び第2レンズ16(
図5参照)を介して外部に出力される。
【0031】
図7に示すメインマイコン38は、ガス警報器1の全体を制御するものであり、本実施形態においては確認処理部38aを備えている。確認処理部38aは、人感センサ26による検知状態を確認するための確認モードを実行するものである。外部出力部42は、例えば信号端子D(
図4参照)を介して有電圧信号を出力するための出力部である。
【0032】
図8は、
図1~
図7に示したガス警報器1の内部構成を示す一部拡大断面図である。
図8に示すように、ガス警報器1は、蓋体2bの背面側に接続される第2レバー部材L2を備えている。第2レバー部材L2は、制御基板22に向かって延びる片持ち状の部材であって、先端は押下操作部10と確認スイッチ30との間に介在するようにされている。特に第2レバー部材L2は、外力が加わっていない状態で確認スイッチ30を押すことがないように位置している。このような第2レバー部材L2は、押下操作部10が操作された際のクリック感を表現すると共に、押下操作部10が押下されたままで保持されてしまうこと(すなわち押しっぱなし状態)を防止する役割を果たす。
【0033】
次に、本実施形態に係るガス警報器1の動作の概要を説明する。
図9は、本実施形態に係るガス警報器1の動作を示すタイミングチャートである。
【0034】
まず、時刻t1において押下操作部10(確認スイッチ30)が押下され、時刻t2において電源がオンされたとする。そして、時刻t2より第1規定時間経過して長押しが確定した時刻t3において、確認処理部38aは確認モードを開始する。この際、メインマイコン38は、確認モードの開始を示す報知音(例えば「ピ」)を出力させる。また、メインマイコン38は、青発光部36aと緑発光部36dとの点滅を開始させる。
【0035】
その後、時刻t4より人感センサ26は待機状態に突入する。そして、時刻t4から第2規定時間(例えば30秒)が経過した時刻t5において待機状態が終了し、人感センサ26による検知状態の確認が開始される。この際、メインマイコン38は、人感センサ26による検知状態の確認が開始された旨をスピーカ34から音声出力させる。具体的にスピーカ34は、「人感センサの確認を開始します。」という音声を出力する。さらに、メインマイコン38は、青発光部36aを消灯させる。
【0036】
その後、時刻t6においてユーザ等が人感センサ26の検知範囲内に進入したとする。この際、メインマイコン38は、人感センサ26からの信号に基づいて人を検知することとなり、検知されたことに応じた第1報知音(例えば「ピ」)を第1所定時間だけ出力させる。第1報知音は人によって聞き取り可能な第1周波数の音である。人が検知されている状態は時刻t7まで継続するが、第1報知音は時刻t7まで継続して出力されるわけではなく、人が検知される状態に切り替わってから第1所定時間が経過するまでの時間帯のみで出力される。なお、メインマイコン38は、人が検知され続けている間(時刻t6~時刻t7の間)、青発光部36aを発光させ続ける。
【0037】
次に、時刻t7においてユーザ等が人感センサ26の検知範囲内から離脱したとする。この際、メインマイコン38は、人感センサ26からの信号に基づいて人が検知されなくなったと認識し、人が検知されなくなったことに応じた第2報知音(例えば「ポ」)を第2所定時間だけ出力させる。第2報知音は人によって聞き取り可能であって、第1周波数とは異なる第2周波数の音である。また、第2所定時間は、第1所定時間と同じ時間であってもよいし異なる時間であってもよい。人が検知されない状態は時刻t8まで継続するが、第2報知音は時刻t8まで継続して出力されるわけではなく、人が検知されない状態に切り替わってから第2所定時間が経過するまでの時間帯のみで出力される。なお、メインマイコン38は、人が検知されていない間(時刻t7~時刻t8の間)、青発光部36aを消灯させておく。
【0038】
その後、時刻t8においてユーザ等が人感センサ26の検知範囲内に進入したとする。このとき、時刻t6と同じ処理が実行される。
【0039】
次いで、時刻t9においてユーザ等が人感センサ26の検知範囲内から離脱したとする。このとき、時刻t7と同じ処理が実行される。
【0040】
そして、人感センサ26による検知状態の確認が開始された時刻t5から第3規定時間(例えば3分30秒)経過した時刻t10において確認モードが終了する。このとき、メインマイコン38は、緑発光部36dを点滅状態から消灯状態に変化させる。さらに、メインマイコン38は、確認モードの終了を示す報知音をスピーカ34から出力させる。
図9に示す例において、スピーカ34は、第1所定時間及び第2所定時間よりも長い第3所定時間だけ継続する第3報知音(例えば「ピー」)を出力させる。なお、スピーカ34は、確認モード終了時に、第1周波数及び第2周波数と異なった第3周波数となる第4報知音を出力してもよい。
【0041】
そして、第3報知音又は第4報知音の出力が終了した時刻t11においてガス警報器1は、通信設定を行う設定モードへ移行する。
【0042】
このようにして、本実施形態に係るガス警報器1及びその制御方法によれば、スピーカ34は、確認モードの実行中において人感センサ26による検知状態に応じた音を出力するため、ユーザ等の聴覚を通じて検知状態を伝達することとなり、周囲の光環境やガス警報器1の設置位置にかかわらず人感センサ26による検知状態をより分かり易く提示することができる。
【0043】
また、人感センサ26による検知状態に応じた報知音を出力させる。このため、例えば人が検知される状態と検知されなくなる状態との切り替わりが頻繁に発生する場合、出力開始から終了まで数秒を要する音声メッセージでは対応できなくなる可能性があるが、報知音を出力する場合には、切り替わりが頻繁に発生しても的確に検知状態を分かり易く提示することができる。
【0044】
また、人が検知されたときに第1報知音を出力させ、人が検知されなくなったときに周波数の異なる第2報知音を出力させる。このため、人が検知されていないときについても報知音によって知覚させることができ、より一層検知状態を分かり易く提示することができる。
【0045】
また、人が検知されていない状態から人が検知される状態に切り替わったタイミングで第1周波数の第1報知音を第1所定時間だけ出力させ、人が検知されている状態から人が検知されない状態に切り替わったタイミングで第2周波数の第2報知音を第2所定時間だけ出力させる。このため、例えば人が検知される状態の間、常時第1報知音が出力されるわけでなく、切り替わったタイミングから第1所定時間だけ第1報知音が出力される。第2報知音も同様である。これにより、検知状態の分かり易い提示を維持しつつ、常時音が出力されてユーザ等に不快感を与えてしまう可能性を軽減することができる。
【0046】
また、確認モードの開始後、人感センサ26の待機状態が終了して人感センサ26による検知状態の確認が開始されたときにその旨を音声出力し、確認モードの終了時に、第1所定時間及び前記第2所定時間よりも長い第3所定時間だけ第3報知音を出力し、又は、第1周波数及び第2周波数と異なる第3周波数となる第4報知音を出力する。このため、人感センサ26による検知・非検知を分かり易くするだけでなく、検知状態の確認の開始時や終了時についても分かり易く提示することができ、人感センサ26に確認に関して全体的に分かり易い提示を行うことができる。
【0047】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。
【0048】
例えば、本実施形態に係るガス警報器1は、検知対象となる還元性ガスがメタンガスである都市ガス向けの警報器として説明したが、これに限らず、検知対象となるガスがプロパンガスやブタンガス等であるLPガス向けの警報器であってもよい。また、ガス警報器1は、火災警報機能をさらに有するガス火災警報器として構成されてもよい。また、本実施形態に係るガス警報器1は、天井設置型に限らず、天井付近や足元の壁部等、他の箇所に設置される定置式の警報器であってもよい。
【0049】
さらに、本実施形態に係るガス警報器1は、確認モードの実行中において人感センサ26の検知状態に応じた報知音を出力させるが、これに限らず、人感センサ26の検知状態に応じた音声を出力させようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 :ガス警報器(警報器)
2 :筐体
2a :筐体本体
2b :蓋体
2c :パネル
10 :押下操作部
12 :停止操作部
22 :制御基板
24 :ガスセンサ(センサ)
26 :人感センサ
28 :通信モジュール
34 :スピーカ(音出力部)
38 :メインマイコン
38a :確認処理部
A :回転取付部
B :電気接点
C :接点
D :信号端子
L2 :第2レバー部材