IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TMTマシナリー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-糸巻取装置 図1
  • 特開-糸巻取装置 図2
  • 特開-糸巻取装置 図3
  • 特開-糸巻取装置 図4
  • 特開-糸巻取装置 図5
  • 特開-糸巻取装置 図6
  • 特開-糸巻取装置 図7
  • 特開-糸巻取装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130727
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】糸巻取装置
(51)【国際特許分類】
   D02J 1/22 20060101AFI20230913BHJP
   B65H 54/42 20060101ALI20230913BHJP
   B65H 54/52 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
D02J1/22 F
B65H54/42
B65H54/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035178
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】笹川 修文
(72)【発明者】
【氏名】近田 秀和
【テーマコード(参考)】
4L036
【Fターム(参考)】
4L036AA01
4L036MA33
4L036PA05
4L036PA18
4L036PA49
4L036UA21
(57)【要約】
【課題】クレードルに力を付与するエアシリンダへの気体の供給圧力を容易に変更することができるようにする。
【解決手段】巻取管を支持可能なクレードルと、接触ローラと、巻取管及び接触ローラの少なくともいずれかを回転駆動させるモータと、巻取管が接触ローラに近づく方向の力及び巻取管が接触ローラから遠ざかる方向の力の少なくとも一方の力をクレードルに付与可能なエアシリンダと、互いに異なる圧力の空気を供給する第1配管44及び第2配管45と、第1配管44及び第2配管45のうちからエアシリンダに空気を供給する配管を切り替えることが可能な弁機構50と、弁機構50を制御する制御装置24と、を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取管に糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置であって、
前記巻取管を支持可能なクレードルと、
接触ローラと、
前記クレードルに支持された前記巻取管及び前記接触ローラの少なくともいずれかを回転させる駆動源と、
前記巻取管の軸方向と直交する所定方向に関して前記巻取管が前記接触ローラに近づく方向の力及び前記巻取管が前記接触ローラから遠ざかる方向の力の少なくとも一方の力を前記クレードルに付与可能なエアシリンダと、
互いに異なる圧力の気体を供給する複数の配管と、
前記複数の配管の中から前記エアシリンダに気体を供給する配管を切り替えることが可能な弁機構と、
前記弁機構を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする糸巻取装置。
【請求項2】
前記エアシリンダは、前記所定方向に関して前記巻取管が前記接触ローラに近づく方向の力及び前記巻取管が前記接触ローラから遠ざかる方向の力を前記クレードルに選択的に付与可能であり、前記巻取管が前記接触ローラと接触する位置と前記パッケージが前記接触ローラと離隔する位置との間で前記クレードルを移動させることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の糸巻取装置。
【請求項3】
前記複数の配管は、第1配管及び第2配管を含んでおり、
前記制御部は、前記駆動源により前記巻取管及び前記接触ローラの少なくともいずれかを回転させて前記巻取管に糸を巻き取る際には、前記弁機構を前記第1配管からの気体を前記エアシリンダに供給する状態とし、前記エアシリンダにより前記クレードルを移動させる際には、前記弁機構を前記第2配管からの気体を前記エアシリンダに供給する状態とすることを特徴とする請求項2に記載の糸巻取装置。
【請求項4】
前記エアシリンダは、
中空のシリンダ本体と、
前記シリンダ本体内に挿入されたピストンと、
前記ピストン及び前記クレードルに接続されたロッドと、
前記シリンダ本体内の前記ピストンによって区切られた2つの空間にそれぞれ空気を供給可能な第1供給口及び第2供給口と、を有し、
前記弁機構は、前記第1供給口に前記第1配管からの気体を供給し且つ前記第2供給口を大気開放する第1状態と、前記第1供給口に前記第2配管からの気体を供給し且つ前記第2供給口を大気開放する第2状態と、前記第2供給口に前記第2配管からの気体を供給し且つ前記第1供給口を大気開放する第3状態と、を切り替えることが可能であり、
前記エアシリンダは、前記弁機構が前記第1状態及び前記第2状態のときに、前記クレードルに対して前記巻取管が前記接触ローラに近づく方向の力を付与し、前記弁機構が前記第3状態のときに、前記クレードルに対して前記巻取管が前記接触ローラから遠ざかる方向の力を付与することを特徴とする請求項3に記載の糸巻取装置。
【請求項5】
前記弁機構は、
前記第1配管及び第1接続配管が接続されており、前記第1配管からの気体を前記第1接続配管に供給する状態と前記第1接続配管を大気開放する状態とを切り替える第1切替弁と、
前記第2配管及び第2接続配管が接続されており、前記第2配管からの気体を前記第2接続配管に供給する状態と前記第2接続配管を大気開放する状態とを切り替える第2切替弁と、
前記第1接続配管、前記第2接続配管、及び、前記第1供給口に繋がった第3接続配管が接続されており、前記第1接続配管内の気体と前記第2接続配管内の気体とのうち、圧力の高い気体を第3接続配管に供給する選択弁と、
前記第2配管及び前記第2供給口に繋がった第4接続配管が接続されており、前記第2配管からの気体を前記第4接続配管に供給する状態と前記第4接続配管を大気開放する状態とを切り替える第3切替弁と、を有しており、
前記制御部は、前記第1切替弁、前記第2切替弁及び前記第3切替弁の切り替えを制御することを特徴とする請求項4に記載の糸巻取装置。
【請求項6】
前記弁機構は、
前記第1配管、前記第2配管及び第1接続配管が接続されており、前記第1配管からの気体を前記第1接続配管に供給する状態と、前記第2配管からの気体を前記第1接続配管に供給する状態とを切り替える第1切替弁と、
前記第1接続配管、前記第1供給口に繋がった第2接続配管、及び、前記第2供給口に繋がった第3接続配管が接続されており、前記第1接続配管からの気体を前記第2接続配管に供給し且つ前記第3接続配管を大気開放する状態と、前記第1接続配管からの気体を前記第3接続配管に供給し且つ前記第2接続配管を大気開放する状態と、を切り替える第2切替弁と、を有しており、
前記制御部は、前記第1切替弁及び第2切替弁の切り替えを制御することを特徴とする請求項4に記載の糸巻取装置。
【請求項7】
前記第2配管が供給する気体の圧力は、前記第1配管が供給する気体の圧力よりも高いことを特徴とする請求項3~6のいずれか1項に記載の糸巻取装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の糸巻取装置を備えた繊維機械であって、
複数の錘を備え、
錘毎に前記糸巻取装置を有しており、
前記複数の配管のそれぞれが複数の錘に共通して設けられていることを特徴とする繊維機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取管に糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレードルに回転自在に支持された巻取管を接触ローラに接触させ、巻取管及び接触ローラの少なくともいずれか一方を回転駆動することで、巻取管に糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置が知られている。このような糸巻取装置において、シリンダにより巻取管が接触ローラに近づく方向の力や巻取管が接触ローラから遠ざかる方向の力をクレードルに付与するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、クレードルアーム(クレードル)に支持された芯管(巻取管)をフリクションローラ(接触ローラ)と接触させて芯管に糸を巻き付けてパッケージを形成する巻取装置が開示されている。かかる巻取装置においては、流体シリンダ(シリンダ)により、芯管がフリクションローラに近づく方向の力をクレードルアームに付与する。流体シリンダにより芯管がフリクションローラに近づく方向の力をクレードルアームに付与することで、パッケージの表面に接圧を付与することができる。
【0004】
また、特許文献2には、クレードルに支持されたボビン(巻取管)を巻取ドラム(接触ローラ)と接触させてボビンの外周上にパッケージを形成する巻取装置が開示されている。かかる巻取装置においては、エアシリンダ(シリンダ)により、ボビン(パッケージ)が巻取ドラムから遠ざかる方向の力をクレードルに付与する。エアシリンダによりパッケージが巻取ドラムから遠ざかる方向の力をクレードルに付与することで、巻取終了時に巻取パッケージを巻取ドラムからは離すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-225246号公報
【特許文献2】特開2005-330015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2のように、シリンダによりクレードルに力を付与する場合、クレードルに付与する力の大きさは、シリンダに供給する流体の圧力の大きさによって決まる。したがって、クレードルに付与する力の大きさを変更したい場合には、シリンダに供給する流体の圧力を変更する必要がある。通常、エアシリンダの場合は、シリンダに供給する空気の圧力はレギュレータにより調整される。しかしながら、例えば、巻取途中に接圧の大きさを変更するためにクレードルに付与する力の大きさを変更する場合のように、巻取動作に起因するタイミングでエアシリンダに供給する空気の圧力を変更するようにレギュレータを制御することは困難である。
【0007】
本発明の目的は、クレードルに力を付与するエアシリンダへの気体の供給圧力を容易に変更することができる糸巻取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明にかかる糸巻取装置は、巻取管に糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取装置であって、前記巻取管を支持可能なクレードルと、接触ローラと、前記クレードルに支持された前記巻取管及び前記接触ローラの少なくともいずれかを回転させる駆動源と、前記巻取管の軸方向と直交する所定方向に関して前記巻取管が前記接触ローラに近づく方向の力及び前記巻取管が前記接触ローラから遠ざかる方向の力の少なくとも一方の力を前記クレードルに付与可能なエアシリンダと、互いに異なる圧力の気体を供給する複数の配管と、前記複数の配管の中から前記エアシリンダに気体を供給する配管を切り替えることが可能な弁機構と、前記弁機構を制御する制御部と、を備えている。
【0009】
本発明では、制御部により弁機構を制御することで、エアシリンダに気体を供給する配管を、異なる圧力の気体を供給する配管に切り替えることができる。したがって、クレードルに力を付与するエアシリンダへの気体の供給圧力を容易に変更することができる。
【0010】
第2の発明にかかる糸巻取装置では、前記エアシリンダは、前記所定方向に関して前記巻取管が前記接触ローラに近づく方向の力及び前記巻取管が前記接触ローラから遠ざかる方向の力を前記クレードルに選択的に付与可能であり、前記巻取管が前記接触ローラと接触する位置と前記パッケージが前記接触ローラと離隔する位置との間で前記クレードルを移動させることが可能である。
【0011】
本発明では、エアシリンダにより糸巻取時の接圧の付与及び巻取管の交換作業時のクレードルの移動を行うことができる。
【0012】
第3の発明にかかる糸巻取装置では、前記複数の配管は、第1配管及び第2配管を含んでおり、前記制御部は、前記駆動源により前記巻取管及び前記接触ローラの少なくともいずれかを回転させて前記巻取管に糸を巻き取る際には、前記弁機構を前記第1配管からの気体を前記エアシリンダに供給する状態とし、前記エアシリンダにより前記クレードルを移動させる際には、前記弁機構を前記第2配管からの気体を前記エアシリンダに供給する状態とする。
【0013】
本発明では、エアシリンダへの気体の供給圧力を糸巻取時とクレードル移動時とで異ならせることができる。
【0014】
第4の発明にかかる糸巻取装置では、前記エアシリンダは、中空のシリンダ本体と、前記シリンダ本体内に挿入されたピストンと、前記ピストン及び前記クレードルに接続されたロッドと、前記シリンダ本体内の前記ピストンによって区切られた2つの空間にそれぞれ空気を供給可能な第1供給口及び第2供給口と、を有する。前記弁機構は、前記第1供給口に前記第1配管からの気体を供給し且つ前記第2供給口を大気開放する第1状態と、前記第1供給口に前記第2配管からの気体を供給し且つ前記第2供給口を大気開放する第2状態と、前記第2供給口に前記第2配管からの気体を供給し且つ前記第1供給口を大気開放する第3状態と、を切り替えることが可能である。前記エアシリンダは、前記弁機構が前記第1状態及び前記第2状態のときに、前記クレードルに対して前記巻取管が前記接触ローラに近づく方向の力を付与し、前記弁機構が前記第3状態のときに、前記クレードルに対して前記巻取管が前記接触ローラから遠ざかる方向の力を付与する。
【0015】
なお、ロッドは、クレードルに直接的に接続されていてもよい。また、ロッドは、別の部材を介して間接的にクレードルに接続されていてもよい。
【0016】
本発明では、エアシリンダによりクレードルに対して巻取管が接触ローラに近づく方向の力を付与するとき、弁機構を第1状態として第1配管からの気体をエアシリンダに供給する状態と、弁機構を第2状態として第2配管からの気体をエアシリンダに供給する状態とを取り得る。また、エアシリンダによりクレードルに対して巻取管が接触ローラから遠ざかる方向の力を付与するときは、弁機構を第3状態として第2配管からの気体をエアシリンダに供給する。したがって、比較的簡易な機構により、エアシリンダにより巻取時の接圧の付与及び巻取管の交換作業時のクレードルの移動を行い、且つ、エアシリンダへの気体の供給圧力を糸巻取時とクレードル移動時とで異ならせることができる。
【0017】
第5の発明にかかる糸巻取装置では、前記弁機構は、前記第1配管及び第1接続配管が接続されており、前記第1配管からの気体を前記第1接続配管に供給する状態と前記第1接続配管を大気開放する状態とを切り替える第1切替弁と、前記第2配管及び第2接続配管が接続されており、前記第2配管からの気体を前記第2接続配管に供給する状態と前記第2接続配管を大気開放する状態とを切り替える第2切替弁と、前記第1接続配管、前記第2接続配管、及び、前記第1供給口に繋がった第3接続配管が接続されており、前記第1接続配管内の気体と前記第2接続配管内の気体とのうち、圧力の高い気体を第3接続配管に供給する選択弁と、前記第2配管及び前記第2供給口に繋がった第4接続配管が接続されており、前記第2配管からの気体を前記第4接続配管に供給する状態と前記第4接続配管を大気開放する状態とを切り替える第3切替弁と、を有しており、前記制御部は、前記第1切替弁、前記第2切替弁及び前記第3切替弁の切り替えを制御する。
【0018】
本発明では、第1切替弁、第2切替弁及び第3切替弁として簡易な構成の弁を採用することができる。よって、弁機構の低コスト化を図ることができる。
【0019】
第6の発明にかかる糸巻取装置では、前記弁機構は、前記第1配管、前記第2配管及び第1接続配管が接続されており、前記第1配管からの気体を前記第1接続配管に供給する状態と、前記第2配管からの気体を前記第1接続配管に供給する状態とを切り替える第1切替弁と、前記第1接続配管、前記第1供給口に繋がった第2接続配管、及び、前記第2供給口に繋がった第3接続配管が接続されており、前記第1接続配管からの気体を前記第2接続配管に供給し且つ前記第3接続配管を大気開放する状態と、前記第1接続配管からの気体を前記第3接続配管に供給し且つ前記第2接続配管を大気開放する状態と、を切り替える第2切替弁と、を有しており、前記制御部は、前記第1切替弁及び第2切替弁の切り替えを制御する。
【0020】
本発明では、第1切替弁及び第2切替弁の2つの弁で弁機構を実現することができる。よって、弁機構を3つ以上の弁で構成する場合に比べて、弁の切り替え制御が簡易となる。
【0021】
第7の発明にかかる糸巻取装置では、前記第2配管が供給する気体の圧力は、前記第1配管が供給する気体の圧力よりも高い。
【0022】
本発明では、第1圧力を巻取管の交換作業のためにクレードルを移動させるのに最低限必要なエアシリンダに供給すべき気体の圧力である移動時圧力よりも小さく設定することで、弁機構を第1配管からの気体をエアシリンダに供給する状態としたとき、エアシリンダに供給する気体の圧力を移動時圧力よりも小さくすることができる。よって、比較的小さな接圧で糸の巻き取りを行うことができる。また、第2圧力を移動時圧力以上に設定することで、弁機構を第2配管からの気体をエアシリンダに供給する状態としたとき、エアシリンダに供給する気体の圧力を移動時圧力以上とすることができる。よって、巻取管の交換作業時にクレードルを移動させることができる。したがって、移動時圧力よりも小さな巻取時圧力で糸の巻き取りを行い、且つ、クレードルの移動も行うことができる。
【0023】
第8の発明にかかる繊維機械は、第1~7のいずれか1つの発明の糸巻取装置を備えた繊維機械であって、複数の錘を備え、錘毎に前記糸巻取装置を有しており、前記複数の配管のそれぞれが複数の錘に共通して設けられている。
【0024】
複数の錘に共通して設けられている配管は、異なる錘のエアシリンダに対して異なる圧力の気体を同時に供給することはできない。本発明では、互いに異なる圧力の気体を供給する複数の配管を備えているので、これらの配管が複数の錘に共通して設けられていても、異なる錘のエアシリンダに対して異なる圧力の気体を同時に供給することができる。したがって、異なる錘間で、異なる圧力の気体をエアシリンダに供給して行う作業を並行して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態にかかる仮撚加工機の側面図である。
図2図1の巻取装置を示す図であり、(a)は空の巻取管を支持したクレードルが玉揚位置にある状態、(b)は空の巻取管を支持したクレードルが巻取位置にある状態を示す。
図3図1の巻取装置を示す図であり、(a)はパッケージを支持したクレードルが玉揚位置にある状態、(b)は玉揚位置のクレードルに巻取管を供給する状態を示す。
図4】エアシリンダの断面図である。
図5】弁機構の概略構成を示す図である。
図6】弁機構の動作を説明する図であり、(a)は糸の巻取時の状態、(b)はクレードルの降下時の状態、(c)はクレードルの上昇時の状態を示す。
図7】第2実施形態にかかる巻取装置における弁機構の概略構成を示す図であり、糸の巻取時の状態を示す。
図8】弁機構の動作を説明する図であり、(a)はクレードルの降下時の状態、(b)はクレードルの上昇時の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1実施形態>
本発明の好適な第1実施形態に係る仮撚加工機1(本発明の「繊維機械」に相当する)について、図1を参照しつつ説明する。なお、図1の紙面垂直方向を機台長手方向とし、紙面左右方向を機台幅方向とする。機台長手方向及び機台幅方向の両方と直交する方向を、重力の作用する上下方向(鉛直方向)とする。
【0027】
(仮撚加工機1の全体構成)
仮撚加工機1は、例えばナイロン(ポリアミド系繊維)やポリエステル等の合成繊維からなる糸Yを仮撚加工可能に構成されている。仮撚加工機1は、糸Yを供給するための給糸部2と、給糸部2から供給された糸Yを仮撚加工する加工部3と、加工部3によって加工された糸Yを巻取管Bwに巻き取る巻取部4とを備える。
【0028】
給糸部2は、複数の給糸パッケージPsを保持するクリールスタンド5を有する。給糸部2は、加工部3に複数の糸Yを供給する。加工部3は、給糸パッケージPsから供給された糸Yを仮撚りする。加工部3は、糸走行方向の上流側から順に、第1フィードローラ11、撚止ガイド12、第1加熱装置13、冷却装置14、仮撚装置15、第2フィードローラ16、交絡装置17、第3フィードローラ18、第2加熱装置19、第4フィードローラ20が配置された構成となっている。巻取部4は、加工部3で仮撚加工された糸Yを巻取装置21で巻取管Bwに巻き取って巻取パッケージPwを形成する。
【0029】
また、仮撚加工機1は、機台幅方向に間隔を置いて配置された主機台8及び巻取台9を有する。主機台8及び巻取台9は、機台長手方向に略同じ長さに延設されており、互いに対向するように配置されている。主機台8の上部と巻取台9の上部とは、支持フレーム10によって連結されている。加工部3を構成する各装置は、主に主機台8や支持フレーム10に取り付けられている。巻取部4を構成する各装置は、巻取台9に取り付けられている。主機台8と巻取台9と支持フレーム10とによって、作業者が各装置に対して糸掛け等の作業を行うための作業空間Aが形成されている。糸道は、糸Yが主に作業空間Aの周りを走行するように形成されている。
【0030】
仮撚加工機1は、互いに対向配置された1組の主機台8及び巻取台9を含むスパンと呼ばれる単位ユニットを有する。1つのスパンには、加工部3を構成する各装置を通るように糸道が形成されている加工ユニット(錘とも呼ばれる)が、機台長手方向に複数並んで配置されている。これによって、1つのスパンでは、機台長手方向に並んだ状態で走行する複数の糸Yに対して、同時に仮撚加工を行うことができる。仮撚加工機1は、主機台8を中心として機台幅方向においてスパンが左右対称に配置される(主機台8は左右のスパンで共通のものとなっている)とともに、機台長手方向にスパンが複数配置された構成となっている。
【0031】
本実施形態では、第1フィードローラ11、第1加熱装置13、冷却装置14、第2フィードローラ16、第3フィードローラ18、第2加熱装置19及び第4フィードローラ20は、複数の錘に共通して設けられている。また、撚止ガイド12、仮撚装置15及び交絡装置17は、錘毎に設けられている。
【0032】
給糸部2から加工部3に供給された糸Yは、第1フィードローラ11と第2フィードローラ16との間で延伸され、仮撚装置15によって撚りが付与される。仮撚装置15によって形成される撚りは、撚止ガイド12までは伝播されるが、撚止ガイド12よりも糸走行方向上流側には伝播しない。
【0033】
こうして延伸されつつ撚りが付与された糸Yは、第1加熱装置13で加熱された後、冷却装置14で冷却されて熱固定される。仮撚装置15を通過した糸Yは、第2フィードローラ16に至るまでに撚りが解かれる。しかし、糸Yの撚りは上述のように熱固定されているため、各フィラメントが波状の仮撚状態を維持する。
【0034】
その後、糸Yは、第2フィードローラ16と第3フィードローラ18との間で弛ませられ、交絡装置17によって交絡が付与される。さらに、糸Yは、第3フィードローラ18と第4フィードローラ20との間で弛ませられ、第2加熱装置19で熱固定される。最後に、第4フィードローラ20から送られた糸Yは、巻取部4で巻き取られる。
【0035】
(巻取部4の構成)
次に、図2及び図3をさらに参照しつつ、巻取部4の構成について説明する。巻取部4は、加工部3の各加工ユニット(錘)で加工された糸Yを巻き取る複数の巻取装置21を有している。図1に示すように、巻取装置21、巻取台9に対して上下に3段に取り付けられている。巻取部4は、図2及び図3に示すように、各巻取装置21に対して設けられた、巻取管供給装置22と、パッケージストッカ23とを備えている。また、巻取部4は、巻取部4の各装置を制御する制御装置24(図5参照)を備えている。
【0036】
図2及び図3に示すように、巻取装置21は、クレードル25、接触ローラ26及びエアシリンダ30を主に備えている。また、後述するように、巻取装置21は、空気を供給する第1配管44及び第2配管45と、エアシリンダ30に空気を供給する配管を第1配管44及び第2配管45の間で切り替える弁機構50と、を有している(図5参照)。
【0037】
クレードル25は、その一端部において、糸Yを巻き取るための略円筒状の巻取管Bwを回転自在に支持する。クレードル25は、一対のボビンホルダ(不図示)を介して巻取管Bwを挟持する。クレードル25に支持されている巻取管Bwは、その軸方向が機台長手方向に沿う(図2及び図3の紙面と垂直となる)姿勢である。接触ローラ26は、モータ26a(本発明の「駆動源」)により回転駆動される駆動ローラである。
【0038】
エアシリンダ30は、巻取管Bwの軸方向と直交する方向(図2及び図3に紙面に平行な方向)に関して巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向の力、及び、巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向の力をクレードル25に選択的に付与可能である。エアシリンダ30は、巻取管Bwが接触ローラ26と接触する位置(図2(b)に示す位置:巻取位置)と巻取パッケージPwが接触ローラ26と離隔する位置(図2(a)、図3(a)、(b)に示す位置:玉揚位置)との間でクレードル25を移動させる。なお、玉揚位置は巻取位置よりも上方に位置する。
【0039】
巻取管供給装置22は、巻取装置21の上方に設けられている。巻取管供給装置22は、空の巻取管Bwを保持しており、且つ、空の巻取管Bwをクレードル25に供給する。巻取管供給装置22は、駆動装置(不図示)により、クレードル25が支持する巻取パッケージPwと干渉しない待機位置(図2(a)、(b)、図3(a)に示す位置)と、クレードル25に巻取管Bwを供給する供給位置(図3(b)に示す位置)との間で移動可能である。
【0040】
パッケージストッカ23は、機台幅方向に関してクレードル25を挟んで接触ローラ26とは反対側に設けられている。パッケージストッカ23は、クレードル25から払い出された満巻の巻取パッケージPwを一時的に貯留する。
【0041】
巻取装置21において糸Yの巻き取りを行う場合には、まず、図2(a)に示すように、玉揚位置に位置するクレードル25に対して、エアシリンダ30により巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向の力を加える。これにより、クレードル25を玉揚位置から巻取位置に降下させる。図2(b)に示すように、クレードル25が巻取位置に移動することで、巻取管Bwが回転している接触ローラ26に接触する。その後、クレードル25に支持された巻取管Bwに対して、糸掛け手段(不図示)によって糸Yを掛ける。
【0042】
エアシリンダ30は、巻取管Bwが接触ローラ26に接触した後も、巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向の力をクレードル25に加える。これにより、巻取管Bwが接触ローラ26と共に連れ回り、巻取管Bwに糸Yが巻き取られる。また、巻取パッケージPwの表面に接圧が付与されるので、巻取パッケージPwの形状が整えられる。なお、巻取管Bwに巻き取られる糸Yは、トラバース装置(不図示)によって綾振りされる。
【0043】
糸Yの巻き取りが行われている間、エアシリンダ30によりクレードル25に加えられる力は一定である。巻き取りが進行して巻取パッケージPwが巻き太るにつれて、クレードル25は巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向に移動する。
【0044】
巻き取りを開始してから所定時間が経過すると、制御装置24は、糸Yが巻取管Bwに所定量巻かれ満巻となったと判断する。巻取パッケージPwが満巻となったときは、エアシリンダ30により巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向の力をクレードル25に加え、図3(a)に示すように、クレードル25を玉揚位置まで上昇させる。その後、クレードル開閉装置(不図示)によってクレードル25が開放され、クレードル25から巻取パッケージPwが外される。クレードル25から外れた巻取パッケージPwは、パッケージストッカ23に払い出され、オペレータに回収されるまで一時的に貯留される。
【0045】
その後、巻取管供給装置22が待機位置から供給位置に移動する。このとき、図3(b)に示すように、巻取管供給装置22が保持する巻取管Bwが、クレードル25の一対のボビンホルダ(不図示)の間に位置する。この状態で、クレードル開閉装置(不図示)によりクレードル25を閉じることで、空の巻取管Bwがクレードル25に支持される。この巻取管Bwに糸掛けを行うことで、次の巻き取りを開始することができる。
【0046】
(エアシリンダ30の仕組み)
次に、図4図6をさらに参照しつつ、エアシリンダ30の仕組みについて説明する。
【0047】
エアシリンダ30は、図2及び図3に示すように、クレードル25の下方に配置されている。エアシリンダ30は、図4に示すように、シリンダ本体31、ピストン32、ロッド33、並びに、第1供給口34a及び第2供給口34bを有している。
【0048】
シリンダ本体31は、一方向に長尺な中空部材である。本実施形態のシリンダ本体31は、円筒状である。シリンダ本体31は、図2及び図3に示すように、その長手方向が機台幅方向とほぼ一致する姿勢となっている。シリンダ本体31の長手方向の一端部(図2及び図3の左側端部)は、軸31aに回転自在に支持されている。軸31aは、固定部材28等を介して巻取台9に対して固定されている。軸31aは、機台長手方向(図2及び図3の紙面に垂直な方向)に沿って延びている。これにより、シリンダ本体31は、機台幅方向及び上下方向の両方に直交する平面(図2及び図3の紙面に平行な面)内において、軸31aを中心に回転可能となっている。以降の説明において、シリンダ本体31の長手方向を単に「長手方向」と称することがある。
【0049】
図4に示すように、ピストン32は、シリンダ本体31内に挿入されている。ピストン32とシリンダ本体31の内壁との間は、Oリング36によりシールされている。ロッド33は、その一端部(図4中左端部)がピストン32に接続されている。ロッド33の他端部(図2及び図3中右端部)は、接続アーム39及び軸29を介してクレードル25に接続されている。ロッド33は、シリンダ本体31の他端部(図4中右端部)に形成された開口32aを介して、シリンダ本体31の外に延びている。ロッド33とシリンダ本体31の開口32aの壁面との間は、Oリング37によりシールされている。
【0050】
シリンダ本体31内は、ピストン32により2つの空間に区切られている。この2つの空間のうち、ピストン32に関してロッド33が配置されている側(図4中右側)の空間を第1空間38aとする。また、ピストン32に関して第1空間38aとは反対側(図4中左側)の空間を第2空間38bとする。
【0051】
第1供給口34aは、第1空間38aに連通している。第1供給口34aには、第3接続配管63が繋がっている。第1供給口34aは、第3接続配管63を介して供給された空気を第1空間38aに供給可能である。第2供給口34bは、第2空間38bに連通している。第2供給口34bには、第4接続配管64が繋がっている。第2供給口34bは、第4接続配管64を介して供給された空気を第2空間に供給可能である。
【0052】
エアシリンダ30では、ピストン32がシリンダ本体31内において長手方向に沿って移動する。シリンダ本体31内の第1空間38aの気圧が第2空間38bの気圧よりも高くなると、ピストン32が長手方向の一方側(図4中左側)に移動する。シリンダ本体31内の第1空間38aの気圧が第2空間38bの気圧よりも低くなると、ピストン32が長手方向の他方側(図4中右側)に移動する。
【0053】
接続アーム39は、図2及び図3に示すように、その一端部が、ロッド33におけるピストン32が接続されている側とは反対側の端部(図2及び図3中右側)に接続されている。より詳細には、接続アーム39は、ロッド33の端部に取り付けられた軸33aに回転可能に取り付けられている。軸33aは、機台長手方向(図2及び図3の紙面に垂直な方向)に沿って延びている。
【0054】
接続アーム39のロッド33に接続されている側とは反対側の端部は、クレードル25に取り付けられている。クレードル25には、軸29が挿通されている。軸29は、巻取台9に対して固定されている。軸29は、機台長手方向(図2及び図3の紙面に垂直な方向)に沿って延びている。クレードル25及び接続アーム39は、軸29を中心として、機台幅方向及び上下方向の両方に直交する平面(図2及び図3の紙面に平行な面)内で回転可能である。
【0055】
ピストン32がシリンダ本体31内で長手方向に沿って移動するのに伴ってロッド33が長手方向に移動したとき、接続アーム39と共にクレードル25が回転する。すなわち図2及び図3において、ロッド33が左側から右側に移動したとき、接続アーム39が軸29を中心に反時計回りに回転する。これに伴ってクレードル25も反時計回りに回転する。このとき、クレードル25に支持された巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる。また、図2及び図3において、ロッド33が右側から左側に移動したとき、接続アーム39が軸29を中心に時計回りに回転する。これに伴ってクレードル25も時計回りに回転する。このとき、クレードル25に支持された巻取管Bwが接触ローラ26に近づく。
【0056】
図5に示すように、エアシリンダ30の第1供給口34a及び第2供給口34bには、第1配管44又は第2配管45からの空気が、弁機構50を介して供給されるようになっている。
【0057】
第1配管44へは、エアコンプレッサ40から供給管41に送出された圧縮空気が、第1レギュレータ42を介して供給される。第2配管45へは、エアコンプレッサ40から供給管41に送出された圧縮空気が、第2レギュレータ43を介して供給される。第1レギュレータ42及び第2レギュレータ43は、エアコンプレッサ40から供給された圧縮空気の圧力を減圧し、任意の圧力に調整する。第1レギュレータ42は、圧縮空気の圧力を第1圧力とする。第2レギュレータ43は、圧縮空気の圧力を第1圧力とは異なる第2圧力とする。本実施形態においては、第2圧力は第1圧力よりも大きい。すなわち、第1配管44は、第1レギュレータ42によって第1圧力に調整された空気を供給する。第2配管45は、第2レギュレータ43によって第2圧力に調整された空気を供給する。
【0058】
第1圧力は、クレードル25を巻取位置と玉揚位置との間で移動させるために最低限必要なエアシリンダ30に供給すべき空気の圧力である移動時圧力よりも小さく設定される。第2圧力は、移動時圧力以上に設定される。なお、第1圧力及び第2圧力は、大気圧よりも大きい。例えば、移動時圧力は0.3MPaである。この場合、第1圧力は0.3MPaよりも小さく設定され、第2圧力は0.3MPa以上に設定される。
【0059】
弁機構50は、第1切替弁51、第2切替弁52、選択弁53及び第3切替弁54を主に有している。第1切替弁51、第2切替弁52及び第3切替弁54は、いずれも電磁弁であり、制御装置24により制御される。制御装置24は、本発明の「制御部」に相当する。
【0060】
第1切替弁51は、3ポート2位置弁である。第1切替弁51には、第1分岐管44a及び第1接続配管61が接続されている。第1分岐管44aは、第1配管44から分岐した配管である。第1分岐管44aは、本発明の「第1配管」に相当する。第1接続配管61は、第1切替弁51と選択弁53とを接続する配管である。第1切替弁51は、ONであるときは、第1接続配管61を大気開放する状態となっている(図6(b)、(c)の状態)。第1切替弁51は、OFFとなると、第1分岐管44aからの空気を第1接続配管61に供給する状態となる(図5図6(a)の状態)。
【0061】
第2切替弁52は、3ポート2位置弁である。第2切替弁52には、第2分岐管45a及び第2接続配管62が接続されている。第2分岐管45aは、第2配管45から分岐した配管である。第2分岐管45aは、本発明の「第2配管」に相当する。第2接続配管62は、第2切替弁52と選択弁53とを接続する配管である。第2切替弁52は、OFFであるときは、第2接続配管62を大気開放する状態となっている(図5図6(a)、(c)の状態)。第2切替弁52は、ONとなると、第2分岐管45aからの空気を第2接続配管62に供給する状態となる(図6(b)の状態)。
【0062】
選択弁53は、シャトルバルブである。選択弁53には、第1接続配管61、第2接続配管62及び第3接続配管63が接続されている。第3接続配管63は、エアシリンダ30の第1供給口34aと選択弁53とを接続する配管である。選択弁53は、第1接続配管61内の空気と第2接続配管62内の空気のうち、圧力の大きい空気を第3接続配管63に供給する。
【0063】
第3切替弁54は、3ポート2位置弁である。第3切替弁54には、第2分岐管45a及び第4接続配管64が接続されている。第2分岐管45aは、第2配管45から分岐した配管である。第2分岐管45aは、本発明の「第2配管」に相当する。第4接続配管64は、エアシリンダ30の第2供給口34bと第3切替弁54とを接続する配管である。第3切替弁54は、OFFであるときは、第4接続配管64を大気開放する状態となっている(図5図6(a)、(b)の状態)。第3切替弁54は、ONとなると、第2分岐管45aからの空気を第4接続配管64に供給する状態となる(図6(c)の状態)。
【0064】
図5において、1つの錘に対して設けられた巻取装置21においてクレードル25を移動させるエアシリンダ30に対応する弁機構50aを破線で囲んで示す。1つの弁機構50aに対して、第1配管44から1つの第1分岐管44aが分岐しており、第2配管45から2つの第2分岐管45aが分岐している。第1配管44及び第2配管45は、複数の錘に共通して設けられている。すなわち、第1配管44及び第2配管45からは、別の錘に対して設けられた巻取装置21の弁機構50bに空気を供給するための第1分岐管44a及び第2分岐管45aが分岐している。
【0065】
続いて、弁機構50の動作について説明する。まず、クレードル25に支持された巻取管Bwに糸Yを巻き取る場合について説明する。このとき、図6(a)に示すように、第1切替弁51、第2切替弁52及び第3切替弁54をいずれもOFFとする。これにより、弁機構50は、第1供給口34aに第1配管44からの第1圧力の空気を供給し、且つ、第2供給口34bを大気開放する第1状態となる。すなわち、糸Yを巻き取るときにエアシリンダ30に供給される空気の圧力(巻取時圧力)は、第1圧力である。以下、具体的に説明する。
【0066】
すなわち、第1切替弁51に接続された第1接続配管61には、第1分岐管44aを介して第1配管44から第1圧力の空気が供給される。一方、第2切替弁52に接続された第2接続配管62は、大気開放される。すなわち、第1接続配管61内の空気の圧力が第2接続配管62内の空気の圧力よりも大きくなる。したがって、選択弁53は、第1接続配管61内の空気を第3接続配管63に供給する。そして、第3接続配管63が繋がった第1供給口34aを介して、エアシリンダ30の第1空間38aに第1配管44からの第1圧力の空気が供給される。
【0067】
また、第3切替弁54に接続された第4接続配管64は、大気開放される。したがって、第4接続配管64が繋がった第2供給口34bが大気開放され、エアシリンダ30の第2空間38bは大気圧となる。これにより、ピストン32及びロッド33に対して、シリンダ本体31内で長手方向の一方側(図4中左側)に向かう力が加わる。これに伴って、接続アーム39及びクレードル25に対して、クレードル25に支持された巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向(図2及び図3における時計回り方向)に回転する力が加わる。よって、巻取管Bwが接触ローラ26と共に連れ回り、巻取管Bwに糸Yが巻き取られる。また、巻取パッケージPwの表面に接圧が付与される。
【0068】
次に、空の巻取管Bwを支持するクレードル25を、玉揚位置から巻取位置に降下させる(図2(a)に示す状態から図2(b)に示す状態とする)場合について説明する。このとき、図6(b)に示すように、第1切替弁51及び第2切替弁52をONとし、及び第3切替弁54をOFFとする。これにより、弁機構50は、第1供給口34aに第2配管45から第2圧力の空気を供給し、且つ、第2供給口34bを大気開放する第2状態となる。以下、具体的に説明する。
【0069】
すなわち、第1切替弁51に接続された第1接続配管61は、大気開放される。一方、第2切替弁52に接続された第2接続配管62には、第2分岐管45aを介して第2配管45から第2圧力の空気が供給される。すなわち、第2接続配管62内の空気の圧力が第1接続配管61内の空気の圧力よりも大きくなる。したがって、選択弁53は、第2接続配管62内の空気を第3接続配管63に供給する。そして、第3接続配管63が繋がった第1供給口34aを介して、エアシリンダ30の第1空間38aに第2配管45からの第2圧力の空気が供給される。
【0070】
また、第3切替弁54に接続された第4接続配管64は、大気開放される。したがって、第4接続配管64が繋がった第2供給口34bが大気開放され、エアシリンダ30の第2空間38bは大気圧となる。これにより、ピストン32が、ロッド33と共にシリンダ本体31内で長手方向の一方側(図4中左側)に移動する。これに伴って、接続アーム39及びクレードル25に対して、クレードル25に支持された巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向(図2における時計回り方向)に回転する力が加わる。そして、クレードル25が、玉揚位置から巻取位置に移動する。
【0071】
さらに、巻取パッケージPwが満巻となったときに、クレードル25を玉揚位置に上昇させる(図3(a)に示す状態とする)場合について説明する。このとき、図6(c)に示すように、第1切替弁51及び第3切替弁54をONとし、第2切替弁52をOFFとする。このとき、弁機構50は、第2供給口34bに第2配管45からの第2圧力の空気を供給し、且つ、第1供給口34aを大気開放する第3状態となる。以下、具体的に説明する。
【0072】
すなわち、第1切替弁51に接続された第1接続配管61、及び、第2切替弁52に接続された第2接続配管62は、大気開放される。このとき、選択弁53は、第3接続配管63を大気開放状態とする。したがって、第3接続配管63が繋がった第1供給口34aが大気開放され、エアシリンダ30の第1空間38aが大気圧となる。
【0073】
また、第3切替弁54に接続された第4接続配管64には、第2分岐管45aを介して第2配管45から第2圧力の空気が供給される。したがって、第4接続配管64が繋がった第2供給口34bを介して、エアシリンダ30の第2空間38bに第2配管45からの第2圧力の空気が供給される。これにより、ピストン32が、ロッド33と共にシリンダ本体31内で長手方向の他方側(図4中右側)に移動する。これに伴って、接続アーム39及びクレードル25に対して、クレードル25に支持された巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向(図3における反時計回り方向)に回転する力が加わる。そして、クレードル25が、玉揚位置に移動する。
【0074】
(第1実施形態の特徴)
以上のように、本実施形態の巻取装置21は、巻取管Bwを回転自在に支持可能なクレードル25と、モータ26aにより回転駆動される接触ローラ26と、巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向の力、及び、巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向の力をクレードル25に選択的に付与可能なエアシリンダ30と、互いに異なる圧力の空気を供給する第1配管44及び第2配管45と、第1配管44及び第2配管45のうちからエアシリンダ30に空気を供給する配管を切り替える弁機構50と、弁機構50を制御する制御装置24と、を有している。
【0075】
上述の構成によると、制御装置24により弁機構50を制御することで、エアシリンダ30に空気を供給する配管を、異なる圧力の気体を供給する配管に切り替えることができる。したがって、クレードル25に力を付与するエアシリンダ30への空気の供給圧力を容易に変更することができる。
【0076】
また、本実施形態の巻取装置21では、エアシリンダ30は、巻取管Bwが接触ローラ26と接触する巻取位置と巻取パッケージPwが接触ローラ26と離隔する玉揚位置との間でクレードル25を移動させることが可能である。したがって、エアシリンダ30により糸巻取時の接圧の付与及び巻取管Bwの交換作業時のクレードル25の移動を行うことができる。よって、エアシリンダ30以外にクレードル25に力を付与する機構を設ける必要がない。
【0077】
さらに、本実施形態の巻取装置21では、制御装置24は、モータ26aにより接触ローラ26を回転させて、巻取管Bwに糸Yを巻き取る際には、弁機構50を第1配管44からの空気をエアシリンダ30に供給する状態とし、エアシリンダ30によりクレードル25を移動させる際には、弁機構50を第2配管45からの空気をエアシリンダ30に供給する状態とする。したがって、エアシリンダ30への空気の供給圧力を糸巻取時とクレードル移動時とで異ならせることができる。
【0078】
また、本実施形態の巻取装置21では、エアシリンダ30は、シリンダ本体31、ピストン32、ロッド33、並びに、シリンダ本体31本体内のピストン32によって区切られた第1空間38a及び第2空間38bにそれぞれ空気を供給可能な第1供給口34a及び第2供給口34bを有している。弁機構50は、第1供給口34aに第1配管44からの空気を供給し且つ第2供給口34bを大気開放する第1状態と、第1供給口34aに第2配管45からの空気を供給し且つ第2供給口34bを大気開放する第2状態と、第2供給口34bに第2配管45からの空気を供給し且つ第1供給口34aを大気開放する第3状態と、を切り替えることが可能である。エアシリンダ30は、弁機構50が第1状態及び第2状態のときに、クレードル25に対して巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向の力を付与し、弁機構50が第3状態のときに、クレードル25に対して巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向の力を付与する。
【0079】
上述の構成によると、エアシリンダ30によりクレードル25に対して巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向の力を付与するとき、弁機構50を第1状態として第1圧力の空気をエアシリンダ30に供給する状態と、弁機構50を第2状態として第2圧力の空気をエアシリンダ30に供給する状態とを取り得る。また、エアシリンダ30によりクレードル25に対して巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向の力を付与するときは、弁機構50を第3状態として第2圧力の空気をエアシリンダ30に供給する。したがって、比較的簡易な機構により、エアシリンダ30により巻取時の接圧の付与及び巻取管Bwの交換作業のためのクレードル25の移動を行い、且つ、エアシリンダ30への空気の供給圧力を糸巻取時とクレードル移動時とで異ならせることができる。
【0080】
また、本実施形態の巻取装置21では、弁機構50は、第1切替弁51、第2切替弁52、選択弁53、第3切替弁54及び制御装置24を有している。第1切替弁51は、第1配管44から分岐した第1分岐管44a及び第1接続配管61が接続されている。第1切替弁51は、第1配管44からの空気を第1接続配管61に供給する状態と、第1接続配管61を大気開放する状態とを切り替える。第2切替弁52は、第2配管45から分岐した第2分岐管45a及び第2接続配管62が接続されている。第2切替弁52は、第2配管45からの空気を第2接続配管62に供給する状態と、第2接続配管62を大気開放する状態とを切り替える。選択弁53は、第1接続配管61、第2接続配管62、及び、エアシリンダ30の第1供給口34aに繋がった第3接続配管63が接続されている。選択弁53は、第1接続配管61内の空気と第2接続配管62内の空気とのうち、圧力の高い空気を第3接続配管63に供給する。第3切替弁54は、第2配管45から分岐した第2分岐管45a及びエアシリンダ30の第2供給口34bに繋がった第4接続配管64が接続されている。第3切替弁54は、第2配管45からの空気を第4接続配管64に供給する状態と、第4接続配管64を大気開放する状態とを切り替える。そして、制御装置24は、第1切替弁51、第2切替弁52及び第3切替弁54の切り替えを制御する。したがって、第1切替弁51、第2切替弁52及び第3切替弁54として簡易な構成の弁を採用することができる。よって、弁機構50の低コスト化を図ることができる。
【0081】
本実施形態の巻取装置21では、第2配管45が供給する空気の圧力である第2圧力は、第1配管44が供給する空気の圧力である第1圧力よりも高い。したがって、第1圧力を巻取管Bwの交換作業のためにクレードル25を移動させるのに最低限必要なエアシリンダ30に供給すべき空気の圧力である移動時圧力よりも小さく設定することで、弁機構50を第1配管44からの気体をエアシリンダ30に供給する状態としたとき、エアシリンダ30に供給する空気の圧力を移動時圧力よりも小さくすることができる。よって、比較的小さな接圧で糸Yの巻き取りを行うことができる。また、第2圧力を移動時圧力以上に設定することで、弁機構50を第2配管45からの空気をエアシリンダ30に供給する状態としたとき、エアシリンダ30に供給する空気の圧力を移動時圧力以上とすることができる。よって、巻取管Bwの交換作業時にクレードル25を移動させることができる。したがって、移動時圧力よりも小さな巻取時圧力で糸Yの巻き取りを行い、且つ、クレードル25の移動も行うことができる。
【0082】
さらに、本実施形態の仮撚加工機1は、複数の錘を備えており、錘毎に巻取装置21を有している。そして、巻取装置21においてクレードル25を移動させるエアシリンダ30に空気を供給する第1配管44及び第2配管45が、複数の錘に共通して設けられている。複数の錘に共通して設けられている配管は、異なる錘のエアシリンダ30に異なる圧力の空気を同時に供給することはできない。本実施形態では、第1圧力の空気を供給する第1配管44及び第2圧力の空気を供給する第2配管45の2つの配管を備えているので、これらの配管が複数の錘に共通して設けられていても、異なる錘のエアシリンダ30に異なる第1圧力及び第2圧力の空気を同時に供給することができる。したがって、第1圧力を移動時圧力よりも小さく設定し且つ第2圧力を移動時圧力以上に設定することで、異なる錘間で、移動時圧力よりも小さな圧力の空気をエアシリンダ30に供給しての糸の巻き取りと、巻取管Bwの交換作業のためのクレードル25の移動とを並行して行うことができる。
【0083】
<第2実施形態>
次に、図7及び図8を参照しつつ、本発明の第2実施形態にかかる巻取装置21について説明する。本実施形態の巻取装置21は、弁機構150の構成が第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と共通する構成については、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0084】
第2実施形態の弁機構150は、第1切替弁151及び第2切替弁152を主に備えている。第1切替弁151及び第2切替弁152は、いずれも電磁弁であり、制御装置24により制御される。
【0085】
第1切替弁151は、3ポート2位置弁である。第1切替弁151には、第1配管44から分岐した第1分岐管44aと、第2配管45から分岐した第2分岐管45aと、第1接続配管161と、が接続されている。第1分岐管44aは、本発明の「第1配管」に相当する。第2分岐管45aは、本発明の「第2配管」に相当する。第1接続配管161は、第1切替弁151と第2切替弁152とを接続する配管である。第1切替弁151は、OFFであるときは、第1配管44からの空気を第1分岐管44aを介して第1接続配管161に供給する状態となっている(図7に示す状態)。第1切替弁151は、ONとなると、第2配管45からの空気を第2分岐管45aを介して第1接続配管161に供給する状態となる(図8(a)、(b)に示す状態)。
【0086】
第2切替弁152は、5ポート2位置弁である。第2切替弁152には、第1接続配管161と、エアシリンダ30の第1供給口34aに繋がった第2接続配管162と、エアシリンダ30の第2供給口34bに繋がった第3接続配管163と、が接続されている。第2切替弁152は、OFFであるときは、第1接続配管161からの空気を第2接続配管162に供給し、且つ、第3接続配管163を大気開放する状態となっている(図7図8(a)に示す状態)。第2切替弁152は、ONとなると、第1接続配管161からの空気を第3接続配管163に供給し、且つ、第2接続配管162を大気開放する状態となる(図8(b)に示す状態)。
【0087】
続いて、弁機構150の動作について説明する。まず、クレードル25に支持された巻取管Bwに糸Yを巻き取る場合について説明する。このとき、図7に示すように、第1切替弁151及び第2切替弁152をOFFとする。これにより、弁機構150は、第1供給口34aに第1配管44からの第1圧力の空気を供給し、且つ、第2供給口34bを大気開放する第1状態となる。以下、具体的に説明する。
【0088】
すなわち、第1切替弁151に接続された第1接続配管161には、第1分岐管44aを介して第1配管44から第1圧力の空気が供給される。さらに、第2切替弁152により、第1接続配管161内の空気が第2接続配管162に供給され、且つ、第3接続配管163が大気開放される。そして、第2接続配管162に繋がった第1供給口34aを介して、エアシリンダ30の第1空間38aに第1配管44からの第1圧力の空気が供給される。また、第3接続配管163が繋がった第2供給口34bが大気開放され、エアシリンダ30の第2空間38bは大気圧となる。
【0089】
これにより、ピストン32及びロッド33に対して、シリンダ本体31内で長手方向の一方側(図4中左側)に向かう力が加わる。これに伴って、接続アーム39及びクレードル25に対して、クレードル25に支持された巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向(図2における時計回り方向)に回転する力が加わる。よって、巻取管Bwが接触ローラ26と共に連れ回り、巻取管Bwに糸Yが巻き取られる。また、巻取パッケージPwの表面に接圧が付与される。
【0090】
次に、空の巻取管Bwを支持するクレードル25を、玉揚位置から巻取位置に移動させる(図2(a)に示す状態から図2(b)に示す状態とする)場合について説明する。このとき、図8(a)に示すように、第1切替弁151をONとし、第2切替弁152をOFFとする。これにより、弁機構50は、第1供給口34aに第2配管45から第2圧力の空気を供給し、且つ、第2供給口34bを大気開放する第2状態となる。以下、具体的に説明する。
【0091】
すなわち、第1切替弁151に接続された第1接続配管161には、第2分岐管45aを介して第2配管45から第2圧力の空気が供給される。さらに、第2切替弁152により、第1接続配管161内の空気が第2接続配管162に供給され、且つ、第3接続配管163が大気開放される。そして、第2接続配管162に繋がった第1供給口34aを介して、エアシリンダ30の第1空間38aに第2配管45からの第2圧力の空気が供給される。また、第3接続配管163が繋がった第2供給口34bが大気開放され、エアシリンダ30の第2空間38bは大気圧となる。
【0092】
これにより、ピストン32が、ロッド33と共にシリンダ本体31内で長手方向の一方側(図4中左側)に移動する。これに伴って、接続アーム39及びクレードル25に対して、クレードル25に支持された巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向(図2における時計回り方向)に回転する力が加わる。そして、クレードル25が、玉揚位置から巻取位置に移動する。
【0093】
さらに、巻取パッケージPwが満巻となったときに、クレードル25を玉揚位置に移動させる(図3(a)に示す状態とする)場合について説明する。このとき、図8(b)に示すように、第1切替弁151及び第2切替弁152をONとする。このとき、弁機構150は、第2供給口34bに第2配管45からの第2圧力の空気を供給し、且つ、第1供給口34aを大気開放する第3状態となる。以下、具体的に説明する。
【0094】
すなわち、第1切替弁151に接続された第1接続配管161には、第2分岐管45aを介して第2配管45から第2圧力の空気が供給される。さらに、第2切替弁152により、第1接続配管161内の空気が第3接続配管163に供給され、且つ、第2接続配管162が大気開放される。そして、第3接続配管163に繋がった第2供給口34bを介して、エアシリンダ30の第2空間38bに第2配管45からの第2圧力の空気が供給される。また、第2接続配管162が繋がった第1供給口34aが大気開放され、エアシリンダ30の第1空間38aは大気圧となる。
【0095】
これにより、ピストン32が、ロッド33と共にシリンダ本体31内で長手方向の他方側(図4中右側)に移動する。これに伴って、接続アーム39及びクレードル25に対して、クレードル25に支持された巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向(図3における反時計回り方向)に回転する力が加わる。そして、クレードル25が、玉揚位置に移動する。
【0096】
(第2実施形態の特徴)
以上のように、本実施形態の巻取装置21では、第1実施形態と同様に、クレードル25に力を付与するエアシリンダ30への空気の供給圧力を容易に変更することができる。
【0097】
また、本実施形態の巻取装置21では、弁機構150は、第1切替弁151、第2切替弁152及び制御装置24を有している。第1切替弁151は、第1配管44から分岐した第1分岐管44aと、第2配管45から分岐した第2分岐管45aと、第1接続配管161と、が接続されている。第1切替弁151は、第1配管44からの空気を第1接続配管161に供給する状態と、第2配管45からの空気を第1接続配管161に供給する状態とを切り替える。第2切替弁152は、第1接続配管161と、第1供給口34aに繋がった第2接続配管162と、第2供給口34bに繋がった第3接続配管163と、が接続されている。第2切替弁152は、第1接続配管161からの空気を第2接続配管162に供給し、且つ、第3接続配管163を大気開放する状態と、第1接続配管161からの空気を第3接続配管163に供給し、且つ、第2接続配管162を大気開放する状態と、を切り替える。そして、制御装置24は、第1切替弁151及び第2切替弁152の切り替えを制御する。したがって、第1切替弁151及び第2切替弁152の2つの弁で弁機構150を実現することができる。よって、弁機構を3つ以上の弁で構成する場合に比べて、弁の切り替え制御が簡易となる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0099】
上述の実施形態においては、制御装置24は、巻取管Bwに糸Yを巻き取る際と、エアシリンダ30によりクレードル25を移動させる際とで、エアシリンダ30に空気を供給する配管を切り替える場合について説明したが、これには限定されない。すなわち例えば、制御装置24は、巻取管Bwへの糸Yの巻取作業の途中で、エアシリンダ30に空気を供給する配管を切り替えるようにしてもよい。これにより、巻取パッケージPwの表面の加わる接圧を巻取途中に変更することができる。また、制御装置24は、クレードル25の移動途中でエアシリンダ30に空気を供給する配管を切り替えるようにしてもよい。これにより、例えば、クレードル25の移動速度を移動開始は比較的速く、その後遅くし、クレードル25の移動により機械に加わる衝撃を和らげることができる。さらに、制御装置24は、クレードル25を巻取位置に降下させる際と、クレードル25を玉揚位置まで上昇させる際と、でエアシリンダ30に空気を供給する配管を切り替えるようにしてもよい。これにより、例えば、満巻となった巻取パッケージPwを支持するクレードル25を玉揚位置まで上昇させるときは、空の巻取管Bwを支持するクレードル25を巻取位置に降下させるときに比べて大きな力がクレードル25に付与されるようにすることができる。
【0100】
さらに、上述の実施形態においては、エアシリンダ30により巻取時の接圧の付与及び巻取管Bwの交換作業時のクレードル25の移動を行う場合について説明したが、これには限定されない。エアシリンダ30は、巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向の力、及び、巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向の力の少なくとも一方をクレードル25付与可能であればよい。すなわち、エアシリンダ30は、巻取時の接圧の付与のためにだけに使用してもよい。この場合、エアシリンダ30以外に、クレードル25を移動させるためにクレードル25に力を付与する機構を備える。エアシリンダ30は、クレードル25を玉揚位置から巻取位置に降下させるためだけに使用してもよい。この場合、エアシリンダ30以外に、接圧を付与するためやクレードル25を玉揚位置まで上昇させるためにクレードル25に力を付与する機構を備える。エアシリンダ30は、クレードル25を玉揚位置まで上昇させるためだけに使用してもよい。この場合、エアシリンダ30以外に、接圧を付与するためやクレードル25を巻取位置に降下させるためにクレードル25に力を付与する機構を備える。
【0101】
上述の実施形態においては、弁機構50は、第1配管44及び第2配管45のうちからエアシリンダ30に空気を供給する配管を切り替えることが可能である場合について説明したが、これには限定されない。弁機構50は、互いに異なる圧力の空気を供給する2以上の配管の中からエアシリンダ30に空気を供給する配管を切り替えることが可能であればよい。
【0102】
上述の実施形態においては、接触ローラ26が駆動ローラである場合について説明したが、これには限定されない。巻取管Bwを駆動するモータを備え、接触ローラ26は回転する巻取管Bwと接触して連れ回る構成であってもよい。また、接触ローラ26及び巻取管Bwの両方を駆動するようにしてもよい。
【0103】
上述の実施形態においては、ロッド33が、接続アーム39を介してクレードル25に接続されている場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、ロッド33の移動に伴って、クレードル25が移動する構成であればよい。ロッド33は、クレードル25に直接接続されていてもよい。
【0104】
上述の実施形態においては、クレードル25は、軸29を中心に回転して巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向、及び、巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向に移動する場合について説明したが、これには限定されない。クレードル25は、巻取管Bwの軸方向と直交する方向に関して直線的に移動し、巻取管Bwが接触ローラ26に近づく方向、及び、巻取管Bwが接触ローラ26から遠ざかる方向に移動してもよい。
【0105】
上述の第1実施形態においては、第1切替弁51、第2切替弁52、選択弁53、第3切替弁54及び制御装置24を有する弁機構50について説明した。また、第2実施形態では、第1切替弁151、第2切替弁152及び制御装置24を有する弁機構150について説明した。しかしながら、弁機構50(150)の構成は、これらに限定されるものではない。弁機構50(150)は、第1供給口34aに第1配管44からの空気を供給し、且つ、第2供給口34bを大気開放する第1状態と、第1供給口34aに第2配管45からの空気を供給し、且つ、第2供給口34bを大気開放する第2状態と、第2供給口34bに第2配管45からの空気を供給し、且つ、第1供給口34aを大気開放する第3状態と、を切り替えることが可能な構成であればよい。
【0106】
上述の実施形態においては、第2配管45が供給する空気の圧力である第2圧力が、第1配管44が供給する空気の圧力である第1圧力よりも高い場合について説明したが、これには限定されない。すなわち、第1圧力と第2圧力は異なっていればよく、第2圧力は第1圧力よりも低くてもよい。クレードル25を移動させる際にエアシリンダ30に供給する空気の圧力である第2圧力を、巻取時にエアシリンダ30に供給する空気の圧力である第1圧力よりも低くすることで、クレードル25を移動させる際に巻取管Bwや機械に加わる衝撃を抑えることができる。
【0107】
上述の実施形態では、第1配管44及び第2配管45が複数の錘に共通して設けられている場合について説明したが、これには限定されない。第1配管44及び第2配管45は、錘毎に設けられていてもよい。
【0108】
上述の実施形態では、本発明にかかる糸巻取装置を仮撚加工機1に適用する場合について説明したが、これには限定されない。本発明の糸巻取装置は、リワインダ等、他の繊維機械に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 仮撚加工機
21 巻取装置(糸巻取装置)
24 制御装置(制御部)
25 クレードル
26 接触ローラ
26a モータ
30 エアシリンダ
31 シリンダ本体
32 ピストン
33 ロッド
34a 第1供給口
34b 第2供給口
44 第1配管
45 第2配管
50、150 弁機構
51 第1切替弁
52 第2切替弁
53 選択弁
54 第3切替弁
61 第1接続配管
62 第2接続配管
63 第3接続配管
64 第4接続配管
151 第1切替弁
152 第2切替弁
161 第1接続配管
162 第2接続配管
163 第3接続配管
B 巻取管


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8