(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130758
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】ルート演算装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
G08G1/09 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035234
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000969
【氏名又は名称】弁理士法人中部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高島 亨
(72)【発明者】
【氏名】岡野 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 博文
(72)【発明者】
【氏名】溝尾 駿
(72)【発明者】
【氏名】丸山 俊
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA02
5H181AA03
5H181AA07
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181DD02
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181LL09
5H181MC16
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】複数の異なる車種が走行する未舗装路が存在する場所でも、統一的に推定された路面状態に基づいて目標ルートを演算することができるルート演算装置を提供する。
【解決手段】本発明は、複数のエリアで区切られた地図データを記憶する地図データ記憶部11と、モビリティの位置情報に基づいて、モビリティの走行履歴をエリア毎に記憶する走行履歴記憶部12と、一のモビリティの走行が他のモビリティの走行に与える影響度を記憶する影響度記憶部13と、目標ルートの演算対象のモビリティである対象モビリティが各エリアを走行する際の走行リスクである対象走行リスク値を、走行履歴及び対象モビリティに対する影響度に基づいて演算する走行リスク演算部14と、地図データ、対象モビリティの位置情報、目的地の情報、及び対象走行リスク値に基づいて、対象モビリティの目標ルートを演算する目標ルート演算部15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアで区切られた地図データを記憶する地図データ記憶部と、
モビリティの位置情報に基づいて、モビリティの走行履歴を前記エリア毎に記憶する走行履歴記憶部と、
複数のモビリティのそれぞれに対して、一のモビリティの走行が他のモビリティの走行に与える影響度を記憶する影響度記憶部と、
目標ルートの演算対象のモビリティである対象モビリティが各前記エリアを走行する際の走行リスクである対象走行リスク値を、前記走行履歴及び前記対象モビリティに対する前記影響度に基づいて演算する走行リスク演算部と、
前記地図データ、前記対象モビリティの位置情報、目的地の情報、及び前記対象走行リスク値に基づいて、前記対象モビリティの前記目標ルートを演算する目標ルート演算部と、
を備える、ルート演算装置。
【請求項2】
前記走行リスク演算部は、前記対象モビリティよりも路面に与える影響が大きいモビリティが走行した前記エリアに対して、前記影響度に基づいて、前記対象走行リスク値を増大させる、
請求項1に記載のルート演算装置。
【請求項3】
前記走行リスク演算部は、前記対象モビリティと同型のモビリティ、前記対象モビリティよりも小型のモビリティ、又は前記対象モビリティよりも走破能力が低いモビリティが走行した前記エリアにおいて、前記対象走行リスク値を低減させ又はリセットする、
請求項1又は2に記載のルート演算装置。
【請求項4】
前記走行リスク演算部は、前記走行履歴におけるモビリティの走行方向に基づいて、各前記エリアにおける前記対象モビリティの走行方向毎の前記対象走行リスク値を演算し、
前記目標ルート演算部は、さらに前記対象モビリティの走行方向に基づいて、前記対象モビリティの前記目標ルートを演算する、
請求項1~3の何れか一項に記載のルート演算装置。
【請求項5】
前記目標ルート演算部は、前記エリアにおける前記対象モビリティの走行方向に対応する前記対象走行リスク値が初期値であった場合、前記エリアにおけるすべての走行方向の前記対象走行リスク値に基づいて、前記エリアの前記対象走行リスク値を演算する、
請求項4に記載のルート演算装置。
【請求項6】
前記目標ルート演算部は、前記対象走行リスク値が所定の走行閾値以上である前記エリアを前記対象モビリティが走行しないように、前記目標ルートを演算する、
請求項1~5の何れか一項に記載のルート演算装置。
【請求項7】
前記目標ルート演算部は、
前記地図データ、前記対象モビリティの位置情報、及び前記目的地の情報に基づいて、仮の前記目標ルートである仮ルートを演算する仮ルート演算処理と、
前記仮ルートを前記対象モビリティが走行した場合に通過する前記エリアの前記対象走行リスク値に基づいて、前記仮ルートに対する経路リスク値を演算する経路リスク演算処理と、
前記経路リスク値に基づいて前記目標ルートを決定する目標ルート決定処理と、
を実行可能に構成されている、
請求項1~6の何れか一項に記載のルート演算装置。
【請求項8】
前記目標ルート演算部は、前記経路リスク演算処理において、前記仮ルートを前記対象モビリティが走行した場合に通過する前記エリアの前記対象走行リスク値の合計に基づいて、前記経路リスク値を演算する、
請求項7に記載のルート演算装置。
【請求項9】
前記目標ルート演算部は、前記目標ルート決定処理において、前記経路リスク値が所定の経路閾値未満である場合、前記仮ルートを前記目標ルートに決定し、前記経路リスク値が前記経路閾値以上である場合、前記仮ルート演算処理を再度実行する、
請求項7又は8に記載のルート演算装置。
【請求項10】
前記目標ルート演算部は、前記経路リスク演算処理において、前記仮ルート上で隣り合う前記エリアの前記対象走行リスク値の差に基づいて、前記経路リスク値を増大させる、
請求項7~9の何れか一項に記載のルート演算装置。
【請求項11】
前記目標ルート演算部は、前記仮ルート上で隣り合う前記エリアである2つの隣接エリアの少なくとも一方の前記隣接エリアの前記対象走行リスク値が所定値より高く、且つ2つの前記隣接エリアの差が所定の差分閾値以上である場合、前記経路リスク値に対して横断リスク値を加算する、
請求項10に記載のルート演算装置。
【請求項12】
前記目標ルート演算部は、2つの前記隣接エリアの少なくとも一方の前記隣接エリアの前記対象走行リスク値が前記所定値より高く、且つ2つの前記隣接エリアの差が前記差分閾値未満である場合、前記経路リスク値に対して前記横断リスク値よりも小さい値の中横断リスク値を加算する、
請求項11に記載のルート演算装置。
【請求項13】
前記目標ルート演算部は、2つの前記隣接エリアの前記対象走行リスク値がいずれも前記所定値未満又は前記所定値以下である場合、前記経路リスク値に対して前記中横断リスク値よりも小さい値の小横断リスク値を加算する、
請求項12に記載のルート演算装置。
【請求項14】
前記走行リスク演算部は、前記エリアが整地された情報を取得した場合、整地された前記エリアの前記対象走行リスク値をリセットする、
請求項1~13の何れか一項に記載のルート演算装置。
【請求項15】
前記走行リスク演算部は、所定時間以上モビリティが走行していない前記エリアの前記対象走行リスク値をリセットする、
請求項1~14の何れか一項に記載のルート演算装置。
【請求項16】
前記走行リスク演算部は、モビリティ毎に又はモビリティの型毎に、各前記エリアの前記対象走行リスク値が表された走行リスク地図を作成する、
請求項1~15の何れか一項に記載のルート演算装置。
【請求項17】
前記目標ルートに関する演算結果及び前記対象モビリティの走行結果を入力データとして機械学習し、各モビリティの前記影響度を更新するように構成された、
請求項1~16の何れか一項に記載のルート演算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モビリティの目標ルートを演算するルート演算装置に関する。
【背景技術】
【0002】
路面状態を推定する路面状態推定装置としては、例えば特開2020-13537号公報に記載されている。この路面状態推定装置は、車両の挙動情報に基づいて、車両が路面異常に遭遇した場合に車両がとるであろうと想定される特定挙動に基づいて定まる異常条件が満たされているか否かを判定し、当該判定結果に基づいて路面状態を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モビリティ(特に自動運転のモビリティ)が走行する目標ルートは、車両がスタックしそうな荒れた道路を避けた安全性が高いルートであることが望まれる。そこで、ルートの選択において、路面状態の情報が重要となる。上記路面状態推定装置のように、路面状態は、一般的に、モビリティ(ここでは車両)に設けられた各種センサの検出結果に基づいて推定される。しかしながら、センサは、車両メーカーや車種等により異なり、統一的で統計的な路面状態の推定は困難である。また、例えば鉱山等のように、大型の重機と乗用車(ピックアップトラック等)とが混在して走行する未舗装路が存在する場所において、舗装路で且つ乗用車の走行が前提の路面状態推定装置では、路面状態の精度良い推定は困難である。
【0005】
本発明の目的は、複数の異なる車種が走行する未舗装路が存在する場所でも、統一的に推定された路面状態に基づいて目標ルートを演算することができるルート演算装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のルート演算装置は、複数のエリアで区切られた地図データを記憶する地図データ記憶部と、モビリティの位置情報に基づいて、モビリティの走行履歴を前記エリア毎に記憶する走行履歴記憶部と、複数のモビリティのそれぞれに対して、一のモビリティの走行が他のモビリティの走行に与える影響度を記憶する影響度記憶部と、目標ルートの演算対象のモビリティである対象モビリティが各前記エリアを走行する際の走行リスクである対象走行リスク値を、前記走行履歴及び前記対象モビリティに対する前記影響度に基づいて演算する走行リスク演算部と、前記地図データ、前記対象モビリティの位置情報、目的地の情報、及び前記対象走行リスク値に基づいて、前記対象モビリティの前記目標ルートを演算する目標ルート演算部と、を備える。なお、ルート演算装置は、前記目標ルートに関する演算結果及び前記対象モビリティの走行結果を入力データとして機械学習し、各モビリティの前記影響度を更新するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モビリティの走行履歴及び対象モビリティへの影響度に基づいて、地図データ上のエリア毎に、対象モビリティに対する走行のリスク(対象走行リスク値)が演算される。この対象走行リスク値に基づいて対象モビリティの目標ルートが演算される。対象走行リスク値は、各モビリティのセンサに依存せず、エリア毎の走行履歴及びモビリティ毎の影響度に基づいて演算される。つまり、本発明によれば、各モビリティに統一的に、エリア毎の対象走行リスク値が演算されるため、センサの構成の違いによる影響を受けることなく路面状態が推定される。本発明によれば、複数の異なる車種が走行する未舗装路が存在する場所でも、統一的に推定された路面状態に基づいて目標ルートを演算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態のルート演算装置の構成図である。
【
図2】本実施形態の地図データの一例を表す概念図である。
【
図3】本実施形態の対象走行リスク値を説明するためのタイムチャートである。
【
図4】本実施形態の地図データの一例(第1演算例)を表す概念図である。
【
図5】本実施形態の地図データの一例(第2演算例)を表す概念図である。
【
図6】本実施形態の走行方向(角度)毎の対象走行リスク値を説明するための概念図である。
【
図7】本実施形態の地図データの一例(第3演算例)を表す概念図である。
【
図8】本実施形態の横断リスク値を説明するための概念図である。
【
図9】本実施形態の横断リスク値を説明するための概念図である。
【
図10】本実施形態の横断リスク値を説明するための概念図である。
【
図11】本実施形態の横断リスク値を説明するための概念図である。
【
図12】本実施形態の対象走行リスク値のリセットの一例を説明するための概念図である。
【
図13】本実施形態の対象走行リスク値のリセットの一例を説明するための概念図である。
【
図14】本実施形態の目標ルートの演算の流れの例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の一実施形態であるルート演算装置1を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の形態で実施することができる。
【0010】
本実施形態のルート演算装置1は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリを備えるコンピュータ又は電子制御ユニット(ECU)である。メモリには、各種プログラムや各種データが記憶されている。1つ又は複数のプロセッサは、メモリからプログラムを読み出して実行し、各種演算を実行する。ルート演算装置1は、通信ネットワークを介して、各モビリティと通信可能に構成されている。ルート演算装置1は、例えば中央管制システムに組み込まれ、決定した目標ルートの情報を、目標ルート演算対象のモビリティに送信する。例えば、対象モビリティが自動運転車両である場合、対象モビリティは、受信した目標ルートに基づいて自動運転を実行する。
【0011】
図1に示すように、ルート演算装置1は、機能として、地図データ記憶部11と、走行履歴記憶部12と、影響度記憶部13と、走行リスク演算部14と、目標ルート演算部15と、を備えている。ルート演算装置1は、各機能を、プロセッサ及びメモリ等の働きにより実現させる。
【0012】
地図データ記憶部11は、複数のエリアで区切られた地図データを記憶する。ルート演算装置1は、地図データ上に、予め設定された複数のエリアを認識する。エリアは、例えば所定間隔の格子状の直線で区切られており、グリッド又はセルともいえる。エリアは、地図データ全体に設定されてもよいし、地図データのうち道路(舗装路及び未舗装路を含む)が存在する部分に対してのみ設定されてもよい。エリアの特性(大きさ、形、数等)は、地図データに対して適宜設定可能である。
【0013】
ルート演算装置1は、道路が舗装路及び未舗装路の何れであるかの判断を、例えば、地図データに含まれる道路データ、蓄積されたモビリティの走行による路面状態の推定結果の情報、又はモビリティ走行中にモビリティの挙動に基づいて推定される路面状態の情報等に基づいて判断する。また、ルート演算装置1は、ユーザの設定に応じて、道路を例えば「未舗装路のみ(例えば鉱山でのルート演算)」又は「舗装路のみ(例えば一般道でのルート演算)」と認識するように構成されてもよい。
【0014】
走行履歴記憶部12は、モビリティの位置情報に基づいて、モビリティの走行履歴をエリア毎に記憶する。モビリティの位置情報は、例えば、GPS(Global Positioning System:全方位測位システム)データにより取得可能である。例えば、各モビリティは、GPS受信機を備え、GPSデータに基づいて自身の位置を把握するとともに、自身の位置データをルート演算装置1に無線通信により送信する。ルート演算装置1は、各モビリティのGPSデータに基づいて、どのモビリティがいつどこを走行したのかを把握し、記憶することができる。走行履歴記憶部12は、モビリティ毎に(型毎に)、走行履歴を記憶しているといえる。走行履歴からは、例えば、走行モビリティの型、走行エリア、走行方向、及びそれらの時系列データを読み取ることができる。
【0015】
走行履歴記憶部12は、1つのエリアよりも大きいモビリティ(例えばタイヤの直径が2m以上ある大型ダンプカー等)の走行に対しては、大型モビリティの位置と走行方向に応じて、当該大型モビリティのタイヤが通ったと推測できるエリアに対して走行履歴を更新する。走行履歴記憶部12は、大型モビリティの2つのタイヤの位置(左右の各々の車輪位置)をそれぞれ大型モビリティの位置として、走行履歴を記憶する。
【0016】
ルート演算装置1は、例えば、大型ダンプカーの大きさと車輪数の情報等の情報を有し、その情報とGPSデータと走行方向に基づいてタイヤの位置を演算し、タイヤが通ったエリアの走行履歴を更新する。大型ダンプカーが前輪2輪と後輪2輪を備えている場合、1つのルートに対する大型ダンプカーの走行により、2つのタイヤの軌跡、すなわち2つの走行ルートが形成され、2つの走行ルートで通過したエリアの走行履歴が更新される(
図5の轍参照)。
【0017】
影響度記憶部13は、複数のモビリティのそれぞれに対して、一のモビリティの走行が他のモビリティの走行に与える影響度を記憶する。例えば道路が未舗装路である場合、モビリティの走行により道路に土や泥の轍等が形成されやすい。また、例えば道路が舗装路で且つ積雪している場合も、モビリティの走行により道路に雪の轍等が形成され得る。影響度記憶部13は、一のモビリティの走行による路面状態(轍、凹凸等)の変化が、他のモビリティの走行に及ぼす影響の度合いを、当該他のモビリティの走行への影響度として記憶している。
【0018】
本実施形態の影響度記憶部13は、モビリティの型(種類)毎に、影響度を記憶している。つまり、本実施形態の影響度記憶部13は、複数型(種類)のモビリティのそれぞれに対して、一の型のモビリティの走行が、他の型のモビリティの走行に与える影響度を記憶している。影響度記憶部13は、一の型のモビリティの走行が、同型のモビリティの走行に与える影響度も記憶していてもよい。影響度記憶部13は、モビリティの型として、例えば、ピックアップトラック(小型貨物自動車)、中型トラック、及び大型ダンプカー(大型重機)等を記憶している。影響度記憶部13は、例えば、ピックアップトラックが走行した場合の中型トラックの走行への影響度及び大型ダンプカーの走行への影響度と、中型トラックが走行した場合のピックアップトラックの走行への影響度及び大型ダンプカーの走行への影響度と、大型ダンプカーが走行した場合のピックアップトラックの走行への影響度及び中型トラックの走行への影響度をそれぞれ記憶している。また、影響度記憶部13は、未舗装路での影響度、及び舗装路且つ積雪状態での影響度を記憶している。
【0019】
一例として、第1エリアを中型トラックが走行した走行履歴がある場合、ピックアップトラックが第1エリアを走行する際の影響度は比較的高く設定され、大型ダンプカーが第1エリアを走行する際の影響度は比較的低く(または0に)設定される。走行対象のモビリティが、エリアの走行履歴にあるモビリティよりも小型である場合、走行への影響度は高くなる。一方、走行対象のモビリティが、エリアの走行履歴にあるモビリティと同等以上の体格(タイヤ等)を持つ場合、走行への影響度は低くなる。
【0020】
影響度は、路面が荒れる度合いとモビリティの大小関係とを加味した走行困難度といえる。例えば、大型車が走行した後の未舗装路には大きな轍が形成されている可能性が高く、その未舗装路を次に小型車が走行する際には走行に対する路面(大きな轍)からの影響度が高いと考えられる。また、その未舗装路を走行履歴中の同種の車両又はそれ以上の体格の車両が走行する際には、前回と同等以上の体格の車両の走行であるため、小型車がその未舗装路を走行する場合と比較して、路面(大きな轍)の走行への影響度は低いと考えられる。影響度は、このような考え方に基づいて設定されている。
【0021】
(走行リスクの演算)
走行リスク演算部14は、目標ルートの演算対象のモビリティである対象モビリティが各エリアを走行する際の走行リスクである対象走行リスク値を、走行履歴及び対象モビリティに対する影響度に基づいて演算する。対象走行リスク値は、走行するエリアにおける対象モビリティに対する影響度が高いほど高くなる。例えば、対象走行リスク値は、対象モビリティより大型のモビリティが走行した回数が多いほど、すなわち影響度が高いモビリティが走行した回数が多いほど高くなる。また、例えば、対象モビリティと同等以下の大きさのモビリティが任意のエリアを走行した場合、対象モビリティに対する当該任意のエリアの対象走行リスク値は、低減又はリセットされる。
【0022】
対象走行リスク値の演算の一例として、
図2及び
図3を参照して、対象モビリティがピックアップトラックである場合におけるエリアX1の対象走行リスク値の演算について説明する。
図2に示すように、地図データ上には、格子状に区画された複数のエリアが設定されている。この例では道路がすべて未舗装路である場合を例としており、未舗装路を複数のエリアで分割するように、複数のエリアが地図データの未舗装路上に設定されている。対象走行リスク値は、エリア毎に演算される。
【0023】
図3に示すように、ピックアップトラックに対するエリアX1の対象走行リスク値(以下、この例の説明において単に「対象走行リスク値」という)は、他のモビリティの走行履歴に応じて変化する。時刻t0~t1における対象走行リスク値は、「0」となっている。時刻t0~t1におけるエリアX1の状態は、まだ何も走行されていないか、あるいは同型(同種)の他のピックアップトラックが走行しただけの状態である。
【0024】
時刻t1において、中型トラックがエリアX1を通過したことで、対象走行リスク値が影響度に応じて増加している。この例の設定において、中型トラックが走行したことに対するピックアップトラックの走行への影響度は「1(第1所定値)」である。したがって、時刻t1~t2における対象走行リスク値は、「1」となっている。同様に時刻t2、t3、t4のように、エリアX1を中型トラックが通過する毎に対象走行リスク値に影響度が加算され、対象走行リスク値は、時刻t2~t3で「2」、時刻t3~t4で「3」、時刻t4~t5で「4」となる。時刻t4でのエリアX1における中型トラックの累積走行回数は4回であり、走行1回の影響度が「1」であるため、時刻t4での対象走行リスク値が累積値の「4」となっている。このように、対象走行リスク値は、走行履歴と影響度に基づいて演算される。
【0025】
時刻t5において、エリアX1をピックアップトラックが通過したことで、対象走行リスク値が「0」になっている。この例において、対象モビリティと同型以下の大きさのモビリティが通過したエリアでは、対象走行リスク値がリセット(又は低減)される。この例の設定では、対象モビリティと同型以下のモビリティがスタック等なく走行できたことにより、走行リスクは小さい(ない)とみなされ、対象走行リスク値はリセットされる。時刻t6では、エリアX1を中型トラックが通過したことで、対象走行リスク値が「1」となっている。
【0026】
時刻t7では、エリアX1を大型ダンプカーが通過したことで、対象走行リスク値が「3」となっている。本実施形態の設定において、大型ダンプカーが走行したことに対するピックアップトラックの走行への影響度は「2(第2所定値)」である(第2所定値>第1所定値)。したがって、対象走行リスク値は、1に2が加算されて3となる。時刻t8では、エリアX1を大型ダンプカーが通過したことで、対象走行リスク値が「5」となっている。なお、各値(例えば第1所定値や第2所定値等)、対象走行リスク値の低減・リセットに関するルール、及び対象走行リスク値を低減させる際の低減量等は、適宜変更可能である。
【0027】
このように、走行リスク演算部14は、対象モビリティよりも大型、すなわち路面に与える影響が大きいモビリティが走行したエリアに対して、影響度に基づいて、対象走行リスク値を増大させる。また、走行リスク演算部14は、対象モビリティと同型のモビリティ、対象モビリティよりも小型のモビリティ、又は対象モビリティよりも走破能力が低いモビリティが走行したエリアにおいて、対象走行リスク値を低減させ又はリセットする。
【0028】
走行リスク演算部14は、モビリティの型毎に、各エリアの対象走行リスク値を演算した走行リスク地図を作成し、記憶していてもよい。この場合、走行リスク演算部14は、例えば、ピックアップトラックが対象モビリティである場合の各エリアの対象走行リスク値を表す第1走行リスク地図と、中型トラックが対象モビリティである場合の各エリアの対象走行リスク値を表す第2走行リスク地図と、を演算し記憶してもよい。走行リスク演算部14は、大型ダンプカーが対象モビリティである場合の各エリアの対象走行リスク値を表す第3走行リスク地図も演算・記憶可能である。走行リスク演算部14は、各モビリティの走行履歴及び影響度に基づいて、各走行リスク地図を更新する。
【0029】
(目標ルートの演算)
目標ルート演算部15は、地図データ、対象モビリティの位置情報、目的地の情報、及び対象走行リスク値に基づいて、対象モビリティの目標ルートを演算する。つまり、目標ルート演算部15は、目標ルートの演算の際に、対象モビリティに対する各エリアの走行リスク(対象走行リスク値)を考慮する。例えば、目標ルート演算部15は、対象走行リスク値が所定の走行閾値以上であるエリアは走行しない(回避する)ように、目標ルートを演算してもよい。
【0030】
目標ルートは、対象モビリティが目的地に到達するための目標となるルートであって、走行する道路及び道路内の走行位置の情報(目標軌道)を含んでいる。例えば、道幅が広い道路を走行する場合、1つの道路に複数のルートが存在し得る。例えば鉱山では道幅が20m以上の未舗装路が存在する。
【0031】
目標ルートは、所定条件に応じて演算される。所定条件は、例えば、最短距離となるルート、クロソイド曲線を組み込んだルート、又は最短走行時間となるルート等である。また、例えば、上記のように、所定条件は、「対象走行リスク値が所定の走行閾値以上であるエリアを走行しないルート」を含んでもよい。
【0032】
一例として、目標ルート演算部15は、仮ルート演算処理、経路リスク演算処理、及び目標ルート決定処理を実行可能に構成されている。仮ルート演算処理は、地図データ、対象モビリティの位置情報、及び目的地の情報に基づいて、仮の目標ルートである仮ルートを演算する処理である。経路リスク演算処理は、仮ルートを対象モビリティが走行した場合に通過するエリアの対象走行リスク値に基づいて、仮ルートに対する経路リスク値を演算する処理である。目標ルート決定処理は、経路リスク値に基づいて目標ルートを決定する処理である。目標ルート演算部15は、目標ルート決定処理において、経路リスク値が所定の経路閾値未満である場合、仮ルートを目標ルートに決定し、経路リスク値が経路閾値以上である場合、仮ルート演算処理を再度実行する。なお、目標ルートは、複数決定されてもよく、この場合、ユーザに目標ルートを選択させてもよい。
【0033】
(経路リスク値の第1演算例)
経路リスク演算処理では、仮ルートを対象モビリティが走行した場合に通過するエリアの対象走行リスク値の合計に基づいて、経路リスク値が演算される。例えば
図4に示すように、図面上、対象モビリティが仮ルートR1で走行するエリアは、エリアX1、X2、X3、X4、X5、X6、X7(以下「X1~X7」と略称する)である。仮ルートR1において、始点(現在地)がX1で終点(目的地)がX7であるとする。エリアX1~X7の対象走行リスク値の合計、すなわち仮ルートR1の経路リスク値は、例えば「20」であったとする。
【0034】
目標ルート決定における所定条件に「経路リスク値が所定の経路閾値未満である仮ルートを目標ルートとして選択する」が含まれている場合、換言すると「経路リスク値が所定の経路閾値以上である仮ルートは目標ルートとして選択しない」が含まれている場合、目標ルート決定処理において、仮ルートの経路リスク値と経路閾値とが比較される。例えば、経路閾値が「20」である場合、仮ルートR1の経路リスク値が「20」であるため、仮ルートR1は目標ルートとして選択されない。この場合、目標ルート演算部15は、仮ルート演算処理において、再度、別の仮ルートを演算する。仮ルート演算処理では、1回目の演算同様、所定条件(例えば最短距離のルート等)に基づいて、仮ルートが演算される。
【0035】
図4に示すように、再演算された仮ルートR2では、対象モビリティが走行するエリアの一部が仮ルートR1とは異なっている。つまり、対象モビリティは、仮ルートR2において、エリアX1に替えて、エリアX11及びエリアX12を走行する。エリアX11の対象走行リスク値とエリアX12の対象走行リスク値との合計がエリアX1の対象走行リスク値よりも低い場合、仮ルートR2の経路リスク値は経路閾値未満の値となる。この場合、目標ルート演算部15は、目標ルート決定処理において、仮ルートR2を目標ルートに決定する。
【0036】
(経路リスク値の第2演算例)
経路リスク値の演算において、第1演算例の演算(対象走行リスク値の合計の演算)に加えて、下記の演算を実行してもよい。すなわち、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、仮ルート上で隣り合うエリアの対象走行リスク値の差に基づいて、経路リスク値を増大させる。
【0037】
例えば、
図4の仮ルートR1において、エリアX1の対象走行リスク値とエリアX2の対象走行リスク値との差が、所定の差分閾値以上である場合、経路リスク値の演算において、対象走行リスク値の合計に対して、所定の横断リスク値を加算する。隣り合うエリアの対象走行リスク値の差が大きい状況は、一方のエリアに轍があり且つ他方のエリアに轍がない状況である可能性が比較的高いと考えられる。この状況は、仮ルート上で隣り合うエリアにおいて、一方のエリアに轍があり且つ他方のエリアに轍がない状況、すなわち轍を跨ぐ(横断する)状況と推定することができる。
【0038】
モビリティが轍を跨ぐ状況は、モビリティが轍に沿って走行する状況よりも、モビリティがスタック等(例えば、スタック、横転、又は転落等)するリスクが高いと考えられる。この考え方に基づき、隣り合うエリアの対象走行リスク値の差に応じて、経路リスク値に「横断リスク値」が加算される。横断リスク値は、対象モビリティが轍に沿って走行する場合よりも、轍を跨ぐように走行する場合のほうが高い値に設定されている。ここでは一例として、対象走行リスク値の差が差分閾値以上である場合、轍を跨ぐ走行とみなして、所定の横断リスク値分だけ経路リスク値が増大する。第2演算例において、対象走行リスク値の差が差分閾値未満である場合、経路リスク値は増大されないものとする。
【0039】
図5に示すように、仮ルートにおいて、大型ダンプカー走行したエリアX2、X4では、対象走行リスク値が相対的に高くなっている。仮ルートにおける走行エリアは、図面上、エリアX1、X2、X3、X4、X5となる。エリアX1、X2の対象走行リスク値の差、エリアX2、X3の対象走行リスク値の差、エリアX3、X4の対象走行リスク値の差、及び、エリアX4、X5の対象走行リスク値の差が、それぞれ差分閾値以上である場合、図面上の仮ルートの経路リスク値は、エリアX1~X5の対象走行リスク値の合計に、4回分の横断リスク値が加算された値となる。目標ルート演算部15は、この仮ルートの経路リスク値が経路閾値以上である場合、仮ルートを再演算する。一方、この仮ルートの経路リスク値が経路閾値未満である場合、目標ルート演算部15は、この仮ルートを目標ルートに決定する。
【0040】
横断リスク値は、段階的に設定されてもよい。例えば、隣り合う対象走行リスク値の差(以下「隣差分」ともいう)が差分閾値以上である場合の横断リスク値を第1横断リスク値と称し、当該隣差分が差分閾値未満であり且つ各対象走行リスク値が所定値以上である場合の横断リスク値を第2横断リスク値と称すると、第1横断リスク値と第2横断リスク値とが異なる値に設定されてもよい。モビリティが轍を跨ぐリスクと、モビリティが轍に沿って走行するリスクとを比較すると、前者のほうが後者よりも高いと考えられる。この考え方によれば、第1横断リスク値が第2横断リスク値よりも高い値に設定される(第1横断リスク値>第2横断リスク値)。
【0041】
例えば、
図5のエリアX1、X6を通る仮ルートでは、対象走行リスク値が比較的高いエリアを通るが隣差分は小さく、仮ルートが轍に沿ったルートと推定でき、加算値として第2横断リスク値(中程度の値)が適用される。一方、例えば、エリアX1、X2を通る仮ルートでは、隣差分が大きく、仮ルートが轍を跨ぐルートと推測でき、加算値として第1横断リスク値(高い値)が適用される。横断リスク値の例についてはさらに後述する。
【0042】
(経路リスク値の第3演算例)
各エリアの対象走行リスク値は、対象モビリティの走行方向に応じて異なる値を取り得るように演算されてもよい。例えば
図6に示すように、所定の基準方向と対象モビリティの走行方向との為す角度毎に(所定角度間隔で)、対象走行リスク値が演算されてもよい。つまり、1つのエリアに対して、対象モビリティの走行方向に応じた対象走行リスク値が演算される。なお、
図6において、基準方向に対する走行方向の角度(以下「走行角度」ともいう)は、0~360度(deg)で表されているが、例えば0~180度(deg)で表されてもよい。この場合、一線分上を一端から他端に向かう場合の対象走行リスク値と、他端から一端に向かう場合の対象走行リスク値とは同じ値となる。例えば、南北方向における南から北に向かう方向と、北から南に向かう方向とは、同じ対象走行リスク値となる。また、
図6の例では、走行角度20度毎に対象走行リスク値が設定されているが、設定間隔は任意に設定できる。
【0043】
図7に示すように、基準方向を南北方向における北から南に向かう方向とし、大型ダンプカーが南北方向の北から南に走行したとすると、走行履歴における大型ダンプカーの走行角度は0度である。走行履歴記憶部12は、走行履歴として、走行したモビリティの情報(例えば型情報)に加えて、当該モビリティの走行方向(走行角度)も記憶する。走行方向は、例えば、エリア内の走行履歴(走行軌跡)の始点から終点に向かう方向として定義されてもよい。
【0044】
図7の仮ルートR3によれば、エリアX20において、大型ダンプカーの走行方向と対象モビリティの走行方向とが為す角度は、およそ90度(又は270度)となる。一方、仮ルートR4によれば、エリアX20において、大型ダンプカーの走行方向と対象モビリティの走行方向とが為す角度は、およそ0度(平行)となる。
【0045】
走行方向に応じた対象走行リスク値の考え方の一例について説明する。あるエリアにおいて、大型ダンプカーが1回走行し、当該大型ダンプカーの走行角度が0度であった場合、対象走行リスク値は、対象モビリティの走行角度が90度と270度である場合に最大値となり、0度と180度である場合に最小値となる(例えば
図6参照)。これは、轍が南北方向に形成されていると仮定した場合に、モビリティの東西方向(90度又は270度)の走行、すなわち轍を跨ぐ方向の走行は相対的にリスクが高く、モビリティの南北方向(0度又は180度)の走行、すなわち轍に沿った方向の走行は相対的にリスクが低いとの考え方に基づいている。したがって、
図7の例では、仮ルートR3におけるエリアX20の対象走行リスク値は最大値となり、仮ルートR4におけるエリアX20の対象走行リスク値は最小値となる。
【0046】
この場合の演算例として、走行リスク演算部14は、走行角度が90度と270度である場合の対象走行リスク値を、影響度に第1係数(例えば第1係数>1)を乗算した値に基づいて演算する。また、走行リスク演算部14は、走行角度が0度と180度である場合の対象走行リスク値を、影響度に第1係数よりも小さい第2係数(例えば第2係数<1)を乗算した値に基づいて演算する。また、走行リスク演算部14は、走行角度が0度と90度の間、及び180度と270度の間である場合の対象走行リスク値を、走行角度の増大に応じて徐々に増大するように演算する。走行リスク演算部14は、走行角度が90度と180度の間、及び270度と360度の間である場合の対象走行リスク値を、走行角度の増大に応じて徐々に減少するように演算する。このように演算された走行角度毎の対象走行リスク値の分布は、例えば
図6に示すようになる。走行リスク演算部14は、対象走行リスク値を、走行角度と対象走行リスク値との所定の関係式(例えば関数)に基づいて演算してもよい。
【0047】
なお、対象走行リスク値が最大値又は最小値となる走行角度等は、上記に限らず、適宜設定可能であり、例えばモビリティのスタック、転落、又は横転等のリスクに対する考え方に応じて変更可能である。例えば、轍に対するモビリティの進入角度が45度である場合にモビリティが横転等しやすいのであれば、進入角度45度に対応する走行角度が対象走行リスク値の最大値となるように、演算ルールが設定されればよい。例えば進入角度が0度でる場合のリスク値を上げたい場合も、同様の考え方で演算ルールを設定できる。
【0048】
また、対象走行リスク値の演算方法として、他のモビリティの走行に対して、対象モビリティの横転等のリスクが高い走行角度にのみ、影響度に基づく値を加算する演算方向であってもよい。例えば、走行角度0度で大型ダンプカーが走行したエリアにおいて、大型未満のモビリティの対象走行リスク値は、高リスクと推定される所定の走行角度範囲のみが増大されてもよい。この場合、モビリティの走行により一部の走行角度に対してのみ対象走行リスク値が増大される。
【0049】
対象走行リスク値は、走行角度(走行方向)毎に累積され、例えば1つのエリアに対して同様の走行角度(走行方向)で大型ダンプカーが2回走行した場合、当該エリアの各走行角度の対象走行リスク値は1回走行の場合の2倍となる。また、2回目の走行方向が1回目の走行方向と90度異なる場合、1回目の最小値に2回目の最大値が加算される等により、2回走行後の対象走行リスク値は、各走行角度で同様の値となり得る。なお、設定により、2回目の走行が1回目の走行を上書きしたとして、走行リスク演算部14は、2回目の走行による轍のみが残っていると判断してもよい。この場合、例えば、1回目の対象走行リスク値を走行方向によらず影響度に応じた一定値とし、2回目の走行履歴のみ走行方向を考慮した値として対象走行リスク値に加算してもよい。
【0050】
また、モビリティがエリアを走行するごとに当該エリアのすべての走行角度の対象走行リスク値が一定値(影響度に基づく値)だけ増大され、対象モビリティと同型以下のモビリティがエリアを走行するごとに、当該エリアの対応する走行方向(走行角度)の対象走行リスク値を一定値だけ低減又はリセットさせるように、走行リスク演算部14が構成されてもよい。
【0051】
目標ルート演算部15は、仮ルートの延伸方向を対象モビリティの走行方向として、上記演算例同様、仮ルートが通過する全エリアの対象走行リスク値(走行方向に応じた値)の合計を演算する。また、目標ルート演算部15は、第2演算例同様、当該合計の値に横断リスク値を加算してもよい。目標ルート演算部15は、上記演算例同様、演算した経路リスク値に基づいて、目標ルートを決定する。
【0052】
このように、第3演算例では、走行リスク演算部14は、走行履歴におけるモビリティの走行方向に基づいて、各エリアにおける対象モビリティの走行方向毎の対象走行リスク値を演算する。そして、目標ルート演算部15は、さらに対象モビリティの走行方向に基づいて、対象モビリティの目標ルートを演算する。
【0053】
(横断リスク値の具体例)
以下、仮ルート上で隣り合う2つのエリアに対する横断リスク値の演算例について説明する。目標ルート演算部15には、経路リスク演算処理において、路面の荒れ具合の目安として、対象走行リスク値と比較可能な所定値が設定されている。対象走行リスク値が所定値より高い場合には路面が荒れていると判断でき、対象走行リスク値が所定値以下である場合には路面の走行への影響はほぼないと判断できる。この所定値は任意の値に設定できるが、本例では所定値が、各エリアにおける対象走行リスク値の初期値(走行履歴が0の場合の対象走行リスク値)に設定されている。
【0054】
走行リスク演算部14は、対象モビリティよりも大型のモビリティが走行した場合、対象走行リスク値を増大させ、対象モビリティと同型又は対象モビリティよりも小型のモビリティが走行した場合、対象走行リスク値を低減させる。したがって、対象走行リスク値は、初期値(所定値)未満となり得る。以下、仮ルート上で隣り合う2つのエリアに対して、轍を横断するリスクを考慮した演算例について説明する。
【0055】
(第3横断リスク値)
図8に示すように、仮ルート上で隣り合う2つのエリアX91、X92に対して、対象モビリティの走行角度が90度であった場合、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、各エリアX91、X92の90度の対象走行リスク値を参照する。
【0056】
図8の例では、エリアX91、92ともに、90度の対象走行リスク値が所定値未満となっている。このように、隣り合う2つのエリアX91、X92の対象走行リスク値が所定値未満(所定値以下と設定されてもよい)である場合、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、両対象走行リスク値の差(隣差分)にかかわらず、経路リスク値に第3横断リスク値を加算する。第3横断リスク値は、第2横断リスク値よりも低い値に設定されている(第1横断リスク値>第2横断リスク値>第3横断リスク値≧0)。
【0057】
対象走行リスク値が所定値未満である隣り合う2つのエリアを対象モビリティが走行する場合、「同型以下のモビリティが同じ走行角度で横転等なく走行済みである」と推定できるため、経路リスク値は小さくなる。エリアX91を始点としてエリアX92を終点とした仮ルートの経路リスク値(X1、X2、90deg)は、例えば、エリアX91の対象走行リスク値とエリアX92の対象走行リスク値との合計に、第3横断リスク値を加算した値となる。なお、第3横断リスク値は、例えば0であってもよい。
【0058】
また、目標ルート演算部15は、走行履歴を参照し、直近にエリアX91及び/又はエリアX92を対象モビリティよりも大型のモビリティが走行していた場合、たとえ両エリアX91、X92で対象走行リスク値が所定値未満(所定値以下と設定されてもよい)であっても、第3横断リスク値とは異なる横断リスク値を経路リスク値に加算してもよい。
【0059】
(第2横断リスク値)
図9に示すように、仮ルート上で隣り合う2つのエリアX93、X94に対して、対象モビリティの走行角度が90度であった場合、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、各エリアX93、X94の90度の対象走行リスク値を参照する。
【0060】
図9の例では、エリアX93の90度の対象走行リスク値が所定値未満であり、エリアX94の90度の対象走行リスク値が所定値より高くなっている。また、両対象走行リスク値の差(隣差分)は、差分閾値未満である。この場合、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、経路リスク値に第2横断リスク値を加算する(第1横断リスク値>第2横断リスク値>第3横断リスク値≧0)。本実施形態の設定では、エリアX93、X94ともに90度の対象走行リスク値が所定値より高くても、隣差分が差分閾値未満である場合、経路リスク値への加算値は第2横断リスク値となる。つまり、本実施形態では、隣り合うエリアの少なくとも一方の対象走行リスク値が所定値より高く、且つ隣差分が差分閾値未満である場合、経路リスク値に第2横断リスク値が加算される。
【0061】
図9のような状況は、少なくとも一方のエリアで対象モビリティよりも大型のモビリティが走行した状況ではあるが、隣差分が小さいため「仮ルートが大きな轍を跨ぐルートである可能性が低い状況」と推測できる。このため、第1横断リスク値より高い中程度のリスク値として、第2横断リスク値が経路リスク値に加算される。エリアX93を始点としてエリアX94を終点とした仮ルートの経路リスク値(X93、X94、90deg)は、例えば、エリアX93の対象走行リスク値とエリアX94の対象走行リスク値との合計に、第2横断リスク値を加算した値となる。なお、両エリアともに90度の対象走行リスク値が所定値より高く且つ隣差分が0又は0に近い場合、走行角度90度が轍に沿った方向であると推測できるため、第2横断リスク値よりも小さい横断リスク値が経路リスク値に加算されてもよい。
【0062】
(第1横断リスク値)
図10に示すように、仮ルート上で隣り合う2つのエリアX95、X96に対して、対象モビリティの走行角度が90度であった場合、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、各エリアX95、X96の90度の対象走行リスク値を参照する。
【0063】
図10の例では、エリアX95の90度の対象走行リスク値が所定値未満であり、エリアX96の90度の対象走行リスク値が所定値より高くなっている。また、両対象走行リスク値の差(隣差分)は、差分閾値以上である。この場合、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、経路リスク値に第1横断リスク値を加算する。本実施形態では、隣り合うエリアの少なくとも一方の対象走行リスク値が所定値より高く、且つ隣差分が差分閾値以上である場合、経路リスク値に第1横断リスク値が加算される(第1横断リスク値>第2横断リスク値>第3横断リスク値≧0)。
【0064】
図10のような状況では、少なくとも一方のエリアで対象モビリティよりも大型のモビリティが走行した状況ではあって、隣差分が大きいため「仮ルートが大きな轍を跨ぐルートである可能性が高い状況」と推測できる。このため、第2横断リスク値より高いリスク値として、第1横断リスク値が経路リスク値に加算される。エリアX95を始点としてエリアX96を終点とした仮ルートの経路リスク値(X95、X96、90deg)は、例えば、エリアX95の対象走行リスク値とエリアX96の対象走行リスク値との合計に、第1横断リスク値を加算した値となる。
【0065】
このように、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、仮ルート上で隣り合うエリア(以下、隣接エリアともいう)の対象走行リスク値の差に基づいて、経路リスク値を増大させる。また、目標ルート演算部15は、仮ルート上で2つの隣接エリアの少なくとも一方の隣接エリアの対象走行リスク値が所定値より高く、且つ2つの隣接エリアの差が所定の差分閾値以上である場合、経路リスク値に対して横断リスク値(第1横断リスク値)を加算する。また、目標ルート演算部15は、2つの隣接エリアの少なくとも一方の隣接エリアの対象走行リスク値が所定値より高く、且つ2つの隣接エリアの差が差分閾値未満である場合、経路リスク値に対して横断リスク値(第1横断リスク値)よりも小さい値の中横断リスク値(第2横断リスク値)を加算する。また、目標ルート演算部15は、2つの隣接エリアの対象走行リスク値がいずれも所定値未満又は所定値以下である場合、経路リスク値に対して中横断リスク値(第2横断リスク値)よりも小さい値の小横断リスク値(第3横断リスク値)を加算する。
【0066】
(その他の横断リスク値の演算例)
図11に示すように、仮ルート上で隣り合う2つのエリアX97、X98に対して、対象モビリティの走行角度が90度であった場合、目標ルート演算部15は、経路リスク演算処理において、各エリアX97、X98の90度の対象走行リスク値を参照する。
【0067】
この例では、初期値と所定値とが異なる値に設定されている(初期値<所定値)。また、対象走行リスク値の演算ルールとして、モビリティの走行により一部の走行角度(ここでは走行角度0~20度とする)に対してのみ対象走行リスク値が増大されるように設定されている。つまり、例えば大型ダンプカーが走行角度0度でエリアX97を通過した場合、ピックアップトラック又は中型トラックに対するエリアX97の0度周辺(例えば0~20度)の対象走行リスク値のみが増大される。また、対象モビリティと同型以下のモビリティが走行した場合も、相対的に小さい値が対応する走行角度の対象走行リスク値に加算される。つまり、この例において、対象走行リスク値が初期値である走行角度は、その走行角度でモビリティが1度も走行していないことを意味する。
【0068】
図11の例では、エリアX97、X98ともに、90度の対象走行リスク値が初期値となっている。したがって、この例では、エリアX97、X98の走行角度90度において、モビリティは1度も走行していないということになる。このような場合、目標ルート演算部15は、他の走行角度の対象走行リスク値を参照してエリアX97、X98の路面の荒れ度合いを推測する。一例として、目標ルート演算部15は、エリアX97の全走行角度を対象とした対象走行リスク値の平均値(又は例えば最大値)を、エリアX97の対象走行リスク値として演算する。同様に、目標ルート演算部15は、エリアX98の全走行角度を対象とした対象走行リスク値の平均値(又は例えば最大値)を、エリアX98の対象走行リスク値として演算する。
【0069】
図11の例では、エリアX97における対象走行リスク値の平均値は、所定値以下(「所定値未満」でもよい)となっている。一方、エリアX98における対象走行リスク値の平均値は、所定値よりも高くなっている。また、隣差分、すなわち両対象走行リスク値の平均値の差は、差分閾値未満であった。これは、隣り合うエリアの少なくとも一方の対象走行リスク値が所定値より高く、且つ隣差分が差分閾値未満である場合に相当し、経路リスク値に第2横断リスク値(リスク値:中)が加算される。
【0070】
なお、隣差分が差分閾値以上であった場合、経路リスク値に第1横断リスク値(リスク高)が加算される。また、いずれの平均値も所定値以下であった場合、経路リスク値に第3リスク値(リスク低)が加算される。いずれの平均値も初期値であった場合、経路リスク値に横断リスク値が加算されないように設定されてもよい。
【0071】
(対象走行リスク値のリセット)
走行リスク演算部14は、道路が整地された情報を取得した場合、
図12に示すように、整地されたエリアにおけるすべてのモビリティの対象走行リスク値をリセット(初期化)し、初期値に戻す。また、
図13に示すように、所定時間以上モビリティの走行がない走行角度(この例では90度)がある場合、走行リスク演算部14は、各モビリティ(各走行リスク地図)における当該走行角度の対象走行リスク値をリセットしてもよい。所定時間は、例えば、相当長い期間が設定される。このように、走行リスク演算部14は、エリアが整地された情報を取得した場合、整地されたエリアの対象走行リスク値をリセットする。また、走行リスク演算部は、所定時間以上モビリティが走行していないエリアの対象走行リスク値をリセットしてもよい。
【0072】
(演算全体の流れの一例)
ルート演算装置1が行う目標ルートの演算全体の流れの一例について、
図14を参照して説明する。まず、ルート演算装置1は、モビリティの走行情報(走行履歴)、例えば走行したモビリティの種類、走行したエリア、走行方向、及び走行回数を収集する(S1)。また、ルート演算装置1は、整地された情報の取得等、リセット理由の存在の有無を確認する(S2)。
【0073】
ルート演算装置1は、走行情報及びリセット理由の有無に基づいて、モビリティの型別(種類別)に作成された各エリアの対象走行リスク値を表す走行リスク地図を更新する(S3)。例えば、整地された情報がなく、大型ダンプカーがあるエリアを1回走行した場合、ピックアップトラックに対応する第1走行リスク地図の該当エリアの対象走行リスク値と、中型トラックに対応する第2走行リスク地図の該当エリアの対象走行リスク値とが更新される。
【0074】
ルート演算装置1は、仮ルート演算処理において、モビリティの現在地情報と目的地情報に基づいて、地図データに対して仮ルートを生成する(S4)。続いて、ルート演算装置1は、経路リスク演算処理において、対象モビリティに対応する走行リスク地図を参照し(S5)、仮ルートにおける経路リスク値を演算する(S6)。ルート演算装置1は、例えば、仮ルートの経路リスク値の演算において、隣り合う2つのエリア毎に経路リスク値を演算し、最後にそれらの合計を演算する。例えば
図5に示すような仮ルートである場合、仮ルートは、エリアX1を始点としエリアX2を終点とした小仮ルート、エリアX2を始点としエリアX3を終点とした小仮ルート、エリアX3を始点としエリアX4を終点とした小仮ルート、及びエリアX4を始点としエリアX5を終点とした小仮ルートに分割される。そして、各小仮ルートの経路リスク値(対象走行リスクの合計+横断リスク値)が演算され、すべての小仮ルートの経路リスク値が合計され、仮ルート全体の経路リスク値が算出される。
【0075】
続いて、ルート演算装置1は、仮ルートの経路リスク値が所定の経路閾値未満であるか否かを判定する(S7)。経路リスク値が経路閾値未満である場合(S7:Yes)、ルート演算装置1は、当該仮ルートを目標ルートに決定する(S8)。一方、経路リスク値が経路閾値以上である場合(S7:No)、ルート演算装置1は、再度、仮ルート演算処理を実行し、別の仮ルートを生成する(S4)。一連の演算処理は、目標ルートが決定されることで終了する。なお、小仮ルートの経路リスク値に対する経路閾値(小経路閾値)が設定されている場合、ルート演算装置1は、小仮ルートの経路リスク値が小経路閾値以上である場合に、仮ルートを再演算するように構成されてもよい。つまり、経路リスク値の演算対象となる仮ルートの長さ(大きさ)と、それに対応する経路閾値とは、適宜設定可能である。
【0076】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、モビリティの走行履歴及び対象モビリティへの影響度に基づいて、地図データ上のエリア毎に、対象モビリティに対する走行のリスク(対象走行リスク値)が演算される。この対象走行リスク値に基づいて対象モビリティの目標ルートが演算される。対象走行リスク値は、各モビリティのセンサに依存せず、エリア毎の走行履歴及びモビリティ毎の影響度に基づいて演算される。つまり、本実施形態によれば、統一的にエリア毎の対象走行リスク値が演算されるため、センサの構成の違いによる影響を受けることなく路面状態が推定される。本発明によれば、複数の異なる車種が走行する未舗装路が存在する場所でも、各モビリティに統一的に、推定された路面状態に基づいて目標ルートを演算することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、対象モビリティの走行方向に応じた対象走行リスク値が演算されるため、より路面状態に即したリスク演算が可能となる。また、本実施形態によれば、仮ルートの経路リスク値に基づいて目標ルートが決定されるため、走行するエリア全体のリスクを考慮して低リスクのルートを目標ルートに選択することができる。また、本実施形態によれば、2つの隣接エリアに対する横断リスク値を考慮して経路リスク値が演算されるため、目標ルートの演算結果において、轍を跨ぐことによる横転等のリスクを回避する精度は向上する。また、本実施形態によれば、整地等を考慮して対象走行リスク値及び経路リスク値が演算されるため、リスクの演算精度は向上する。
【0078】
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、目標ルート演算部15は、複数の仮ルートを演算し、複数の仮ルートのうち経路リスク値が経路閾値未満の仮ルートを目標ルートに選択してもよい。この際、複数の目標ルートが選択された場合、ユーザに1つの目標ルートを選択させてもよい。また、目標ルート演算部15は、複数の仮ルートを演算し、複数の仮ルートのうち経路リスク値が経路閾値未満で且つ最小となる仮ルートを目標ルートに決定してもよい。
【0079】
また、経路リスク値は、仮ルートで走行する複数のエリアにおいて、対象走行リスク値の合計に基づく値でなくてもよく、例えば対象走行リスク値の平均値に基づく値であってもよい。また、経路リスク値は、仮ルートに対応する、対象走行リスク値の合計ではなく、横断リスク値(隣差分に基づく値)の合計であってもよい。横断リスク値の合計だけでも、仮ルートの経路リスク値の大小が区別できる。経路リスク値は、設定に応じて、例えば、「経路リスク値=対象走行リスク値の合計」、「経路リスク値=対象走行リスク値の合計+横断リスク値の合計」、「経路リスク値=横断リスク値の合計」、又は「経路リスク値=対象走行リスク値の平均値」、「経路リスク値=対象走行リスク値の平均値+横断リスク値の平均値」等のように演算可能である。
【0080】
また、影響度記憶部13は、走行角度毎の影響度を記憶していてもよい。また、モビリティの位置情報は、モビリティに設けられた例えばライダー(LiDAR)及びカメラ等で構成される周辺監視装置の検出結果に基づいて推定された位置情報であってもよい。モビリティの位置情報は、GSNN情報であってもよい。また、本実施形態では道路が未舗装路である場合を例に説明しているが、本発明は、道路が舗装路(例えば舗装路且つ雪)であっても適用できる。仮ルートの道路が舗装路である場合、目標ルート演算部15は、例えば、演算された経路リスク値に1未満の補正係数を乗算してもよい。また、同じモビリティの走行に対して、未舗装路の影響度は、舗装路の影響度よりも大きい値に設定されてもよい。
【0081】
また、例えば影響度や横断リスク値等は、AI技術を用いて、機械学習により適宜更新されてもよい。例えば、モビリティが演算された目標ルートを走行し、スタックや横転等が発生した場合、その走行結果を踏まえて走行履歴に基づく経路リスク値の上がり具合が足らないとして、ルート演算装置1は、各モビリティの影響度や横断リスク値等を学習してもよい。ルート演算装置1は、目標ルートに関する演算結果(例えば対象走行リスク値及び/又は経路リスク値)及び対象モビリティの走行結果(例えばスタック等の有無)を入力データとして機械学習し、例えば各モビリティの影響度及び/又は横断リスク値を更新するように構成されてもよい。つまり、ルート演算装置1は、例えば、目標ルートの経路リスク値、スタック等の有無、走行エリアの対象走行リスク値、及び走行履歴等を入力データとし、各モビリティの影響度及び/又は横断リスク値をどのような値にすれば、スタック等が発生しない目標ルートを演算できるかを学習する。ルート演算装置1は、例えば、目標ルートの経路リスク値、スタック等の有無、走行エリアの対象走行リスク値、及び走行履歴等を入力データとし、各リスク値の設定の見直し、又はスタック等の発生リスクに対する法則性を見出すように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…ルート演算装置、11…地図データ記憶部、12…走行履歴記憶部、13…影響度記憶部、14…走行リスク演算部、15…目標ルート演算部。