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特開2023-130767レール走行式機器、レール走行式掻寄機、及びレール走行式掻取機の蛇行補正・脱輪防止装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130767
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】レール走行式機器、レール走行式掻寄機、及びレール走行式掻取機の蛇行補正・脱輪防止装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B61F 9/00 20060101AFI20230913BHJP
   B01D 21/18 20060101ALI20230913BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20230913BHJP
【FI】
B61F9/00
B01D21/18 D
B01D21/24 Z
B01D21/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035246
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】星川 哲範
(72)【発明者】
【氏名】山田 直美
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸吾
(57)【要約】
【課題】レール走行式機器の蛇行や脱輪を防止でき、レール走行式機器の各構成部品が摩耗等した場合の調整も容易に行える蛇行補正・脱輪防止装置及び走行式掻寄機及び走行式掻取機を提供すること。
【解決手段】レール走行式機器150に取り付けられる装置本体部10と、装置本体部10に取り付けられてレール170の左右両側面を挟む位置に設置される一対のガイドローラ51を有する一対のガイド部材50と、一対のガイドローラ51それぞれとレール170の側面との間の隙間間隔をそれぞれ調整するガイドローラ位置調整手段80とを有する蛇行補正・脱輪防止装置1である。ガイド部材50は、ガイドローラ51と、ガイドローラ51を回転自在に支持する支持部61とを有する。ガイドローラ位置調整手段80は、一対の調整ボルト85,87と、ジョイントブロック89とを有し、ガイド部材50毎に独立して位置調整する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を走行する車輪を有するレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置において、
前記レール走行式機器に取り付けられる装置本体部と、
前記装置本体部に取り付けられ、前記レールの左右両側面を挟む位置に設置される一対のガイドローラをそれぞれ有する一対のガイド部材と、
前記一対のガイドローラそれぞれと前記レールの側面との間の隙間間隔を、それぞれ調整するガイドローラ位置調整手段と、
を有することを特徴とするレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置であって、
前記ガイド部材は、前記ガイドローラと、当該ガイドローラを回転自在に支持する支持部とを有して構成され、
前記ガイドローラ位置調整手段は、前記ガイド部材の支持部をガイド部材毎に独立して位置調整することを特徴とするレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置であって、
前記ガイドローラ位置調整手段は、
前記一対のガイド部材の支持部をそれぞれ左右方向外側から押圧して位置調整する一対の調整ボルトと、
前記一対のガイド部材の支持部間に挟持されて位置調整するように設置されるジョイントブロックと、
を有して構成されていることを特徴とするレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の内の何れか1項に記載のレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置であって、
前記レール走行式機器に対する前記装置本体部の取付位置を上下方向に調整することで、前記レールの側面に対する前記一対のガイドローラの高さ方向の位置を調整する第2のガイドローラ位置調整手段を有することを特徴とするレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置。
【請求項5】
被処理槽周囲の対向する一対の辺に沿うように敷設したレールと、
前記被処理槽を横断するように設置され、前記レール上を走行する走行台車と、
前記走行台車に取り付けられ、前記被処理槽内を昇降可能に移動する掻寄板と、
を具備し、
前記掻寄板を前記被処理槽内の下部に下降させた状態で前記走行台車を走行させることで、前記被処理槽内に沈殿した沈殿物を当該被処理槽から排出させる走行式掻寄機において、
前記走行台車に、請求項1乃至4の内の何れかに記載の蛇行補正・脱輪防止装置を取り付けたことを特徴とする走行式掻寄機。
【請求項6】
被処理槽周囲の対向する一対の辺に沿うように敷設したレールと、
前記被処理槽を横断するように設置され、前記レール上を走行する走行台車と、
前記走行台車に取り付けられ、前記被処理槽内の液体上に浮上する浮上汚泥を掻き取る浮上汚泥掻取機構と、
を具備し、
前記走行台車を走行させることで、前記浮上する浮上汚泥を前記浮上汚泥掻取機構によって掻き取って当該被処理槽から排出させる走行式掻取機において、
前記走行台車に、請求項1乃至4の内の何れかに記載の蛇行補正・脱輪防止装置を取り付けたことを特徴とする走行式掻取機。
【請求項7】
レール上を走行する車輪を有するレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止方法において、
前記レールの左右両側面を挟む位置に一対のガイドローラをそれぞれ設置してレール上の車輪の走行をガイドさせるガイド工程と、
前記ガイド工程において設置した一対のガイドローラと前記レールの左右両側面との間の隙間間隔に変化が生じた際に、前記一対のガイドローラそれぞれと前記レールの側面との間の隙間間隔をそれぞれ調整するガイドローラ位置調整工程と、
を有することを特徴とするレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール上を走行するレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置及び方法、及び当該蛇行補正・脱輪防止装置を用いた走行式掻寄機、及び走行式掻取機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、都市下水や浄水・工場排水などの水処理、汚泥処理機械設備として、例えば、ミーダ型汚泥掻寄機や浮上濃縮汚泥掻取機などがある。
【0003】
ミーダ型汚泥掻寄機は、例えば特許文献1に示すように、沈殿池(1)の対向する一対の辺に沿うようにレール(2)を敷設し、このレール(2)上を走行する走行台車(3)を沈殿池(1)を横断するように設置し、この走行台車(3)に昇降可能な掻寄板(4)を取り付け、沈殿池(1)の底に沈殿した沈殿物(6)を、掻寄板(4)を下した状態の走行台車(3)を走行させることでピット(7)内に集めて水中ポンプ(8)などによって排出する一方、次の掻き寄せに供えて掻寄板(4)を上げた状態で走行台車(3)を元の位置に戻すように構成されている。
【0004】
また浮上濃縮汚泥掻寄機は、例えば特許文献2に示すように、沈殿池(11)の対向する一対の辺に沿うようにレール(17,18)を敷設し、このレール(17,18)上を走行する走行台車(25)を沈殿池(11)を横断するように設置し、この走行台車(25)に揺動可能なスカム掻寄用フライト(33)を取り付け、沈殿池(11)の液面に浮上しているスカムを、走行する走行台車(25)のスカム掻寄用フライト(33)によって掻き寄せ、掻き寄せたスカムを排出する一方、次の掻き寄せに供えてスカム掻寄用フライト(33)を液面(81)より上方に持ち上げた状態で走行台車(25)を元の位置に戻すように構成されている。また、汚泥を掻き寄せる部分を汚泥掻取機構に置き換えた汚泥掻取機も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1-194910号公報
【特許文献2】特開平10-156351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような、レール走行式機器(ミーダ型汚泥掻寄機や浮上濃縮汚泥掻寄〔掻取〕機など)においては、掻き寄せ・掻き取り対象物が、幅方向(走行台車の走行方向に直交する方向)に不均一にあると、当該対象物の抵抗により偏荷重が作用し、走行台車が蛇行する虞や、車輪がレールから脱輪する虞等があった。また経年使用により、レールや車輪、軸、軸受等が消耗した際も上記不具合が多発する虞があった。
【0007】
このため上記特許文献1では、平行四辺形リンク(12)を設置してこれをワイヤ(11)でけん引することで、走行台車(3)の蛇行を自動修正させる構成が提案されている。また上記特許文献2では、ラック用チェーン(66)と軌道案内用スプロケット(57)によって走行の安定化と脱輪防止化を図る構成が提案されている。
【0008】
しかしこれら特許文献1,2に示す蛇行補正・脱輪防止機構は、構造が複雑で、既存のレール走行式機器に後付けなどすることが困難であり、また長期使用による機構摩耗、変形や位置ずれ時の対処が考慮されておらず、長期間にわたって常に最適な走行状態を維持することができない虞があった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、レール走行式機器の蛇行や脱輪を防止できると共に構造が簡単で既存のレール走行式機器へ容易に取り付けることができ、また長期使用によってレール走行式機器が摩耗等した場合でも、常に最適な走行状態を維持することができるレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置及び方法、及び当該蛇行補正・脱輪防止装置を用いた走行式掻寄機、及び走行式掻取機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、レール上を走行する車輪を有するレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止装置において、前記レール走行式機器に取り付けられる装置本体部と、前記装置本体部に取り付けられ、前記レールの左右両側面を挟む位置に設置される一対のガイドローラをそれぞれ有する一対のガイド部材と、前記一対のガイドローラそれぞれと前記レールの側面との間の隙間間隔を、それぞれ調整するガイドローラ位置調整手段と、を有することを特徴としている。
本発明によれば、一対のガイド部材のガイドローラが、レールの左右両側面を挟むように設置されるので、レール走行式機器の蛇行や脱輪を防止することができる。
また構造が簡単で、1つのユニットとして構成できるので、既存のレール走行式機器への後付けも容易に行うことができる。
また、長期使用によってレール走行式機器の各部やガイドローラ等が摩耗等し、レールと一対のガイドローラ間の隙間に変化が生じても、ガイドローラ位置調整手段によって、一対のガイドローラとレールの側面との間の隙間間隔をそれぞれ適宜調整することができるので、レール走行式機器の蛇行や脱輪の虞がなくなり、常に最適な走行状態を維持することができる。即ち、経年使用に伴う部品摩耗や現場状況に合わせ、再調整を行うことで長期的に最適な走行状態を維持することができる。また簡単に調整可能であるため、長期稼働停止や大掛かりな仮設を伴わずメンテナンスができる。
【0011】
また本発明は、上記特徴に加え、前記ガイド部材は、前記ガイドローラと、当該ガイドローラを回転自在に支持する支持部とを有して構成され、前記ガイドローラ位置調整手段は、前記ガイド部材の支持部をガイド部材毎に独立して位置調整することを特徴としている。
本発明によれば、ガイド部材に支持部を設け、この支持部に対して位置調整を行うので、ガイド部材の位置調整を容易に行うことができる。
また一対の支持部をそれぞれ独立して別々に位置調整できるので、レールと一対のガイドローラ間の隙間が各種の変化をしても、即ち例えば一方のガイドローラとレール側面間の隙間が大きくなると同時に他方のガイドローラとレール側面間の隙間が小さくなるように変化したり、両方のガイドローラと左右のレール側面間の隙間が同時に大きくなるように変化したり、両方のガイドローラと左右のレール側面間の隙間が同時に小さくなるように変化したりしても、これらの各種変化に容易に対応でき、常に最適な隙間を維持でき、常に最適な走行状態を維持することができる。
【0012】
また本発明は、上記特徴に加え、前記ガイドローラ位置調整手段は、前記一対のガイド部材の支持部をそれぞれ左右方向外側から押圧して位置調整する一対の調整ボルトと、前記一対のガイド部材の支持部間に挟持されて位置調整するように設置されるジョイントブロックと、を有して構成されていることを特徴としている。
本発明によれば、ガイドローラ位置調整手段を一対の調整ボルトとジョイントブロックを用いて構成することで、一対のガイド部材の支持部を容易且つスムーズに所定の位置にそれぞれ独立して調整・設置することができる。
【0013】
また本発明は、上記特徴に加え、前記レール走行式機器に対する前記装置本体部の取付位置を上下方向に調整することで、前記レールの側面に対する前記一対のガイドローラの高さ方向の位置を調整する第2のガイドローラ位置調整手段を有することを特徴としている。
本発明によれば、例えば長期使用によってレールの側面に対するガイドローラの高さ方向の位置に位置ずれが生じても、当該位置ずれを容易に調整することが可能になる。
【0014】
また本発明は、被処理槽周囲の対向する一対の辺に沿うように敷設したレールと、前記被処理槽を横断するように設置され、前記レール上を走行する走行台車と、前記走行台車に取り付けられ、前記被処理槽内を昇降可能に移動する掻寄板と、を具備し、前記掻寄板を前記被処理槽内の下部に下降させた状態で前記走行台車を走行させることで、前記被処理槽内に沈殿した沈殿物を当該被処理槽から排出させる走行式掻寄機において、前記走行台車に、前記蛇行補正・脱輪防止装置を取り付けたことを特徴としている。
本発明によれば、走行式掻寄機の蛇行や脱輪を防止することができる。ここで蛇行補正・脱輪防止装置は、1本のレールに少なくとも一対設置した車輪のさらに前方と後方の位置に取り付けられていることが、蛇行補正・脱輪防止上好ましい。
また、長期使用によって走行式掻寄機の各部やガイドローラ等が摩耗等し、前記レールと一対のガイドローラ間の隙間に変化が生じても、ガイドローラ位置調整手段によって、一対のガイドローラそれぞれとレールの側面との間の隙間間隔をそれぞれ適宜調整することができるので、常に最適な走行状態を維持することができる。
【0015】
また本発明は、被処理槽周囲の対向する一対の辺に沿うように敷設したレールと、前記被処理槽を横断するように設置され、前記レール上を走行する走行台車と、前記走行台車に取り付けられ、前記被処理槽内の液体上に浮上する浮上汚泥を掻き取る浮上汚泥掻取機構と、を具備し、前記走行台車を走行させることで、前記浮上する浮上汚泥を前記浮上汚泥掻取機構によって掻き取って当該被処理槽から排出させる走行式掻取機において、前記走行台車に、前記蛇行補正・脱輪防止装置を取り付けたことを特徴としている。
本発明によれば、走行式掻取機の蛇行や脱輪を防止することができる。ここで蛇行補正・脱輪防止装置の設置位置は、上記走行式掻寄機と同様、1本のレールに少なくとも一対設置した車輪のさらに前方と後方の位置であることが蛇行補正・脱輪防止上好ましい。
また、長期使用によって走行式掻取機の各部やガイドローラ等が摩耗等し、前記レールと一対のガイドローラ間の隙間に変化が生じても、ガイドローラ位置調整手段によって、一対のガイドローラそれぞれとレールの側面との間の隙間間隔をそれぞれ適宜調整することができるので、常に最適な走行状態を維持することができる。
【0016】
また本発明は、レール上を走行する車輪を有するレール走行式機器の蛇行補正・脱輪防止方法において、前記レールの左右両側面を挟む位置に一対のガイドローラをそれぞれ設置してレール上の車輪の走行をガイドさせるガイド工程と、前記ガイド工程において設置した一対のガイドローラと前記レールの左右両側面との間の隙間間隔に変化が生じた際に、前記一対のガイドローラそれぞれと前記レールの側面との間の隙間間隔をそれぞれ調整するガイドローラ位置調整工程と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、レール走行式機器の蛇行や脱輪を防止できると共に、長期使用によってレール走行式機器やガイドローラ等が摩耗等した場合でも、常に最適な走行状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】蛇行補正・脱輪防止装置1の平面図である。
図2】蛇行補正・脱輪防止装置1の右側面図である。
図3】蛇行補正・脱輪防止装置1の正面図である。
図4】蛇行補正・脱輪防止装置1の背面図である。
図5図1のA-A概略断面図である。
図6図5の断面における分解概略断面図である。
図7】装置本体部10を示す図である。
図8】支持部保持部材81を示す図である。
図9】蛇行補正・脱輪防止装置1の走行台車151への取付状態説明図である。
図10】ガイド部材50,50の位置調整方法説明図である。
図11】走行式掻寄機200の要部概略側面図である。
図12】走行式掻寄機200を別の角度から見た要部概略側面図である。
図13】走行式掻寄機200の要部概略平面図である。
図14】走行式掻取機300の要部概略斜視図である。
図15】走行式掻取機300の要部概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる蛇行補正・脱輪防止装置1の平面図、図2は右側面図、図3は正面図、図4は背面図、図5図1のA-A概略断面図、図6図5の断面における分解概略断面図である。これらの図(特に図5)に示すように、蛇行補正・脱輪防止装置1は、下記する走行式掻寄機200や走行式掻取機300などのレール走行式機器に取り付けられる装置本体部10と、装置本体部10に取り付けられる一対のガイド部材50,50と、一対のガイド部材50,50間の間隔を調整するガイドローラ位置調整手段80とを具備して構成されている。なお以下の説明において、「上」とは図5における紙面上方向をいい、「下」とはその反対方向をいい、「左右」とは図5における紙面左右方向をいい、「内側」とは一対のガイド部材50,50からそれらの間(中間)に向かう方向をいい、「外側」とは一対のガイド部材50,50から左右外方に離れていく方向をいうものとするが、これは、この蛇行補正・脱輪防止装置1を使用する際の方向を限定する趣旨ではない。
【0020】
図7は装置本体部10を示す図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は右側面図、図7(c)は正面図、図7(d)は背面図である。同図に示すように、装置本体部10は、略矩形状の前面板11と、略矩形状の後面板13と、略矩形状であって前記前面板11と後面板13間を平行に所定間隔保った状態で連結する上下2つの上部連結板15及び下部連結板17と、を溶接などによって一体化することで構成されている。
【0021】
前面板11と背面板13は、何れも矩形平面状であり、背面板13の上辺が前面板11の上辺よりも所定寸法高い高さまで突出するように形成されている。また背面板13の左右両側近傍位置には、上下方向に向かって所定間隔毎、複数(この例では4つ)の機器取付部19を形成している。各機器取付部19は、上下方向に長さを長くした長円形状の貫通孔によって構成されている。この機器取付部19は、この蛇行補正・脱輪防止装置1の下記するレール走行式機器150に対する取付位置を上下方向に調整する第2のガイドローラ位置調整手段の一部を構成する。第2のガイドローラ位置調整手段を構成する他の部材は、機器取付部19に挿入される下記するボルト115とナット117(図9参照)である。
【0022】
上部連結板15と下部連結板17は、何れも矩形平板状であり、その左右両側辺中央には、上方向に向かって突出する矩形平板状の調整ボルト取付部21が設けられている。調整ボルト取付部21には、貫通する小孔からなる調整ボルト挿通部23を形成されている。上部連結板15の中央には、ネジ穴からなるジョイントブロック取付用孔25が形成されている。ジョイントブロック取付用孔25の左右両側にはそれぞれ支持部挿入孔27,27が形成されている。支持部挿入孔27は、装置本体部10の左右方向に向けて延びる長円形状の貫通孔で形成され、下記するガイド部材50の支持部61を左右移動可能に挿入する寸法に形成されている。また各支持部挿入孔27,27の幅方向両側には、貫通する小孔からなる支持部固定用孔29、29が形成されている。なお支持部挿入孔27,27と支持部固定用孔29、29は、図示していないが下部連結板17においても同様に設けられている。
【0023】
次にガイド部材50について説明する。ガイド部材50は、例えば図6に示すように、ガイドローラ51と、ガイドローラ51を回転自在に支持する支持部61とを具備して構成されている。
【0024】
支持部61は、略円柱形状であり、その下部にガイドローラ51を回転自在に軸支している。支持部61の上部の外周面には、下記するキープレート91を挿入してこの支持部61の上下方向と回転方向の固定を行うキープレート挿入溝65が形成されている。
【0025】
ガイドローラ位置調整手段80は、前記ガイドローラ51の支持部61を上下の位置で保持する支持部保持部材81,83と、両保持部支持部材81,83をそれらの外側から押圧してガイド部材50を位置調整する上下一対の調整ボルト85,87及びナット86,88と、一対の支持部61,61間に上部連結板15上の支持部保持部材81、81を介して挟持させてガイド部材50を内側から位置調整するジョイントブロック89と、を具備している。
【0026】
さらにガイドローラ位置調整手段80は、前記キープレート挿入溝65に挿入される平板状のキープレート91や、各支持部保持部材81,83を装置本体部10に固定するボルト93,95とナット97,99や、キープレート91を支持部保持部材81に固定するオネジからなるキープレート取付ボルト101や、ジョイントブロック89を装置本体部10に固定するオネジからなるジョイントブロック取付ボルト103なども有している。
【0027】
図8は支持部保持部材81を示す図であり、図8(a)は平面図、図8(b)は側断面図(図8(a)のB-B断面図)である。なお下側の支持部保持部材83は、上側の支持部保持部材81と略同一の構成なので、図面には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。なお下側の支持部保持部材83には、上側の支持部保持部材81において設けた下記するキープレート取付穴109が設けられていない点のみ相違する。
【0028】
図8に示すように、支持部保持部材81は、略矩形板状で、その上面中央に略矩形状に突出する突出部105を設けて構成されている。支持部保持部材81の略中央には、円形に貫通する支持部挿通孔107が形成され、また支持部挿通孔107の近傍位置には一対のメネジ穴からなるキープレート取付穴109,109が形成され、さらに突出部105よりも外側の対向する位置に一対のボルト挿通孔111,111が形成されている。
【0029】
支持部挿通孔107は円形であり、その内径寸法は前記ガイド部材50の支持部61の外径寸法と略同一寸法に形成されている。キープレート取付穴109は前記キープレート取付ボルト101を螺合するメネジ穴である。ボルト挿通孔111は、貫通する長孔であり、前記ボルト93を挿入する内径寸法に形成されている。ボルト挿通孔111の長手方向は、ガイド部材50の移動調整方向に向いている。
【0030】
調整ボルト85,87は、そのオネジの部分が前記装置本体部10の調整ボルト挿通部23に挿入される内径寸法に形成されている。キープレート91には、前記一対のキープレート取付穴109に対向する位置に、一対の貫通する小孔からなるボルト挿通部(図示せず)が形成されている。
【0031】
ジョイントブロック89は矩形板状に形成され、その中央付近には円形に貫通するボルト挿通孔113が形成されている。ボルト挿通孔113は、前記ジョイントブロック取付ボルト103を挿通する内径寸法に形成されている。なおジョイントブロック89は、前記一対の支持部保持部材81,81間の各種間隔寸法に対応できるよう、複数種類用意しておく(または必要に応じてその都度作成しても良い)。即ち用意(または作成)する複数のジョイントブロック89は、左右方向に向かう長さ寸法が異なっている。
【0032】
次に、上記蛇行補正・脱輪防止装置1の組立手順の一例を説明する。まず例えば図6において、一対のガイド部材50,50の支持部61,61を、装置本体部10の下側から下部連結板17の支持部挿入孔27,27に挿入し、次に下側の支持部保持部材83,83の支持部挿通孔107,107に挿入し、次に上部連結板15の支持部挿入孔27,27に挿入し、次に上側の支持部保持部材81,81の支持部挿通孔107,107に挿入する。
【0033】
そして上側の支持部保持部材81,81の上方に突出した支持部61,61のキープレート挿入溝65,65に、キープレート91,91を挿入し、当該キープレート91,91に設けた一対ずつのボルト挿通部にそれぞれキープレート取付ボルト101を挿入し、各キープレート取付ボルト101の先端を対向する各キープレート取付穴109に螺合して締め付け、これによってキープレート91と上側の支持部保持部材81とガイド部材50とを一体化する。
【0034】
次に上下一対ずつの調整ボルト85,87を、装置本体部10の調整ボルト挿通部23,23に挿入し、調整ボルト取付部21,21の内側の面から突出した調整ボルト85,87の先端にナット86,88を螺合する。そして各調整ボルト85,87の先端を支持部保持部材81,83の側面(突出部105の側面)に当接して押し付けることで、支持部保持部材81,83の位置を調整する。位置の調整が完了すると、ナット86,88を回転して調整ボルト取付部21,21の内側面に締め付け、各調整ボルト85,87の位置を固定する。
【0035】
次に、上部連結板15上の一対の支持部保持部材81,81の間の隙間内に、当該隙間寸法に合致する大きさのジョイントブロック89を挿入する。そしてジョイントブロック89のボルト挿通孔113にジョイントブロック取付ボルト103を挿入し、その先端を上部連結板15のジョイントブロック取付用孔25に螺合して締め付け、これによってジョイントブロック89を固定する。
【0036】
以上説明したように、上下一対ずつの調整ボルト85,87と、ジョイントブロック89とによって、一対のガイド部材50,50の装置本体部10に対する位置決めが行われる。
【0037】
さらに各ガイド部材50の装置本体部10への固定を確実にするため、上下一対ずつのボルト93,95を、それぞれ上下の支持部保持部材81,83の各ボルト挿通孔111と、上部連結板15と下部連結板17にそれぞれ設けた支持部固定用孔29に挿入し、上部連結板15と下部連結板17の下面から突出する各ボルト93,95の先端にナット97,99を螺合して締め付け、これによって各支持部保持部材81,83の装置本体部10への固定を補強する。
【0038】
以上のように構成された蛇行補正・脱輪防止装置1は、例えば図9に示すように、レール走行式機器150の走行台車151の走行方向Cの一端面(外側面)153に取り付けられる。レール走行式機器150は、走行台車151に車輪155を取り付け、図示しない駆動装置によって何れかの車輪155を駆動し、これによってレール170上を走行するように構成されている。
【0039】
走行台車151への蛇行補正・脱輪防止装置1の取り付けは、第2のガイドローラ位置調整手段を構成するボルト115とナット117によって行う。即ち、前記装置本体部10の背面板13を走行台車151の外側面153に当接し、このとき背面板13に形成した8つの機器取付部19と、各機器取付部19に対向する外側面153に設けた図示しないボルト挿通孔に、ボルト115を挿通し、背面板13側から突出するボルト115の先端にナット117を螺合して締め付け、これによって蛇行補正・脱輪防止装置1の取り付けを行う。蛇行補正・脱輪防止装置1の取り付け時の上下方向の位置調整は、背面板13に設けた機器取付部19を構成する上下方向に延びる長孔によって行う。
【0040】
なお、前記蛇行補正・脱輪防止装置1の組立工程、及び蛇行補正・脱輪防止装置1の走行台車151への取付工程は、図3図4に点線で示すように、レール170の車輪載置部171の左右両側面とガイドローラ51,51の外周面との間に所定寸法の隙間S,Sが形成され、且つ、レール170の車輪載置部171に対するガイドローラ51の高さ位置が所望の高さ位置になるように、調整しながら行う。
【0041】
従って、上記隙間S,Sの調整や、ガイドローラ51の高さの調整がスムーズに行えるよう、上記組立工程と取付工程の順序には種々の変更が可能である。例えば走行台車151に装置本体部10を仮固定で取り付けておき、次に装置本体部10にガイド部材50などを組み付けて蛇行補正・脱輪防止装置1を組み立て、その際、ガイドローラ51と車輪載置部171間の隙間S,Sを調整し、その後、ガイドローラ51の高さを調整しながら蛇行補正・脱輪防止装置1を走行台車151に本固定するようにしても良い。
【0042】
以上説明したように、上記蛇行補正・脱輪防止装置1によれば、一対のガイド部材50,50のガイドローラ51,51が、レール170(車輪載置部171)の左右両側面を挟むように設置されるので、レール走行式機器150の車輪155の蛇行や脱輪を効果的に防止することができる。
【0043】
一方、長期使用によってレール走行式機器150の各部(レール170を含む)やガイドローラ51等が摩耗等し、前記レール170(車輪載置部171)と一対のガイドローラ51,51間の隙間S,Sや、レール170(車輪載置部171)に対するガイドローラ51,51の高さ位置に変化が生じたような場合は、前記ガイドローラ位置調整手段80や第2のガイドローラ位置調整手段を用いて位置調整を行う。
【0044】
具体的に、前記隙間S,Sを調整するには、例えばまずガイドローラ位置調整手段80を構成する各ナット97,99を緩め、また、ナット86,88を緩めて調整ボルト85,87を左右に移動自在とする。これによって各支持部保持部材81,83を左右方向に移動可能とした上で、図10に示すように、ジョイントブロック取付ボルト103とジョイントブロック89を取り外し、そしてこの状態で、調整ボルト85,87の先端を支持部保持部材81,83に押し当てたり引き離したりすることでガイド部材50の位置を調整し、調整した位置で前記ナット86,88を締め付けることで調整ボルト85,87の位置を固定する。次にこのとき生じる一対の支持部保持部材81,81間の隙間の寸法に合うジョイントブロック89を選択(または作成)し、当該隙間に挿入し、ジョイントブロック取付ボルト103によって固定する。そして前記緩めたナット97,99を締め付けることで、各支持部保持部材81,83の装置本体部10への固定を確実にする。
【0045】
このようにこの実施形態においては、ガイド部材50を、ガイドローラ51と、ガイドローラ51を回転自在に支持する支持部61とを有して構成し、一方ガイドローラ位置調整手段80を、支持部61毎に独立して位置調整する構成としたので、レール170と一対のガイドローラ51,51間の隙間S,Sが各種変化しても、これらの各種変化に容易に対応できて常に最適な隙間S,Sを維持することができる。
【0046】
特にガイドローラ位置調整手段80は、一対のガイド部材50,50の支持部61,61をそれぞれ左右方向外側から押圧して位置調整する一対の調整ボルト85,87と、一対の支持部61,61間に挟持されて位置調整するように設置されるジョイントブロック89とを有して構成されているので、一対の支持部61,61を容易且つスムーズに所定の位置にそれぞれ独立して調整・設置することができる。
【0047】
一方、レール170に対するガイドローラ51,51の高さ位置を調整するには、第2のガイドローラ位置調整手段を構成する各ナット117(図9参照)を緩めることで、走行台車151に対して蛇行補正・脱輪防止装置1を上下動可能とし、この状態でレール170に対するガイドローラ51,51の高さ位置を調整する。調整後、前記各ナット117を締め付けることで蛇行補正・脱輪防止装置1を固定する。
【0048】
このように、レール走行式機器150に対する装置本体部10の取付位置を上下方向に調整することで、一対のガイドローラ51,51とレール170の側面との高さ方向の位置を調整する第2のガイドローラ位置調整手段を有するので、例えば長期使用によってガイドローラ51,51とレール170の側面との間に上下方向の位置ずれが生じても、当該位置ずれを容易に調整することが可能になる。
【0049】
以上説明したように、例えばこのレール走行式機器150の走行に長年にわたって偏荷重がかかったりすることで、レール170と一対のガイドローラ51,51間の隙間S,Sや高さに変化が生じても、ガイドローラ位置調整手段80と第2のガイドローラ位置調整手段によって適宜調整することができる。従って、長期間にわたって、レール170上を走行するレール走行式機器150に蛇行や脱輪が生じる虞がなくなり、レール走行式機器150の安定・安全運転を行うことができる。即ち、経年使用に伴う部品摩耗や現場状況に合わせ、再調整を行うことで長期的に最適な走行状態を維持することができる。また簡単に調整可能であるため、長期稼働停止や大掛かりな仮設を伴わずメンテナンスができる。またこの蛇行補正・脱輪防止装置1は、元々これを設置していなかったレール走行式機器150に、容易に後付けすることもできる。
【0050】
図11図13は、レール走行式機器として走行式掻寄機200を用い、この走行式掻寄機200に上記蛇行補正・脱輪防止装置1を取り付けた具体例を示す図であり、図11は要部概略側面図(図13のD方向から見た図)、図12は別の角度での要部概略側面図(図13のE方向から見た図)、図13は要部概略平面図である。
【0051】
これらの図に示す走行式掻寄機200はミーダ型汚泥掻寄機であり、浄水場や工業用水道などでの被処理水を導入する矩形の沈殿池(被処理槽)250の対向する一対の辺(側壁251,251上)に沿うように敷設したレール210,210と、前記沈殿池250を横断するように設置されて前記レール210,210上を走行する走行台車220と、前記走行台車220に取り付けられて前記沈殿池250内に挿入される掻寄板230とを具備して構成されている。
【0052】
沈殿池250は、側壁251によって矩形状に囲まれることで形成されている。走行台車220は、その4角近傍位置に設置した車輪221を有し、この車輪221を一対のレール210,210上に2つずつ載置して走行可能としている。走行台車220上には図示しない電動機などからなる走行駆動装置が設置されており、前記車輪221を駆動する。また走行台車220上には図示しない電動機などからなる巻上下駆動装置が設置されており、掻寄板230を昇降駆動する。
【0053】
掻寄板(スクレーパブレード)230は、この例では一列に2組設置され、複数本のスクレーパアーム231によって揺動自在に走行台車220に吊下げられている。スクレーパアーム231は走行台車220に取り付けたヒンジピン233に揺動自在に吊下げられている。スクレーパアーム231の下部には、ワイヤなどからなる牽引手段235が張設されており、前記図示しない巻上下駆動装置によって巻き上げ下げされる。
【0054】
走行台車220の4角近傍位置には、上記蛇行補正・脱輪防止装置1が取り付けられている。蛇行補正・脱輪防止装置1は、走行台車220の走行方向に向かって設置した一対ずつの車輪221のさらに前方と後方の位置に取り付けられている。蛇行補正・脱輪防止装置1の取り付けは、上述のように、ボルト115とナット117(図9参照)によって行う。
【0055】
以上のように構成された走行式掻寄機200の掻寄板230を沈殿池250の底に降下させた状態で、走行台車220を走行させることで、沈殿池250の底に沈殿した沈殿物を沈殿池250の一方の端に掻き寄せて集める。集めた沈殿物は図示しない排出機構によって排出される。
【0056】
上記走行式掻寄機200の走行中、蛇行補正・脱輪防止装置1のガイドローラ51,51は、レール210,210の左右両側面に当接などすることで走行台車220の走行をガイドする。これによって走行式掻寄機200に沈殿物(掻寄対象物)の偏荷重が印加などされても、走行式掻寄機200の蛇行や脱輪を確実に防止することができる。特にこの走行式掻寄機200においては、蛇行補正・脱輪防止装置1を、走行方向の前方と後方に設けた車輪221のさらに前方と後方の位置に取り付けたので、走行式掻寄機200の走行ガイドをより安定して確実に行わせることができる。
【0057】
また、長期使用によって走行式掻寄機200の各部(例えばレール210や車輪221や軸、軸受など)やガイドローラ51等が摩耗等し、レール210とガイドローラ51,51間の隙間に変化が生じても、上述のように、ガイドローラ位置調整手段80や第2のガイドローラ位置調整手段によって、一対のガイドローラ51,51それぞれとレール210の側面との間の隙間間隔や高さ位置をそれぞれ適宜調整することができるので、レール210上を走行する走行式掻寄機200の最適な走行状態を常に維持することができる。
【0058】
図14図15は、レール走行式機器として走行式掻取機300を用い、この走行式掻取機300に上記蛇行補正・脱輪防止装置1を取り付けた具体例を示す図であり、図14は要部概略斜視図、図15は要部概略側面図である。
【0059】
これらの図に示す走行式掻取機300は、下水などの被処理水を導入する矩形の浮上濃縮槽(被処理槽)350の対向する一対の辺(側壁351,351上)に沿うように敷設したレール310,310と、前記浮上濃縮槽350を横断するように設置されて前記レール310,310上を走行する走行台車320と、前記走行台車320の中央付近に取り付けられ、前記浮上濃縮槽350内の液体上に浮上する浮上汚泥(フロス)を掻き取る浮上汚泥掻取機構330と、を具備して構成されている。
【0060】
浮上濃縮槽350は、側壁351によって矩形状に囲まれることで形成されている。浮上濃縮槽350の一方のレール310に沿う位置には、走行台車320の走行方向に向かって延びる収集汚泥排出溝355が設けられている。走行台車320は、その4角近傍位置に設置した車輪321を有し、この車輪321を一対のレール310,310上に2つずつ載置して走行可能としている。
【0061】
浮上汚泥掻取機構330は、下側を浮上濃縮槽350の液面下に水没させ、回転することで液面上に浮上している浮上汚泥を掻き上げるバケット機構361と、バケット機構361の中心部分に設置されてバケット機構361が掻き上げた浮上汚泥を収集汚泥排出溝355に導くスクリューコンベヤ機構363と、電動機などからなり前記車輪321を駆動する走行駆動装置365と、電動機などからなり前記スクリューコンベヤ機構363を駆動するスクリューコンベヤ駆動装置367と、電動機などからなり前記バケット機構361を駆動するバケット駆動装置369と、を設置して構成されている。
【0062】
バケット機構361は、複数の長尺なバケット371を、リング状に配置してこれらをバケット駆動装置369によって回転させ、これによって液面の浮上汚泥をくみ上げて中央のスクリューコンベア機構363にその上部から投入するものである。なおバケット機構361の周囲は図15に示すように略筒状のカバー373によって覆われているが、図14ではその記載を省略している。また図14において、バケット371の1つを点線で示しているのは、スクリューコンベヤ機構363を明確に示すためである。
【0063】
スクリューコンベヤ機構363は、バケット371によってくみ上げられて投入された浮上汚泥をスクリュー375を回転することで収集汚泥排出溝355側に移動させ、収集汚泥排出溝355に投入するものである。スクリュー375の下部には、図15に示すように、半円筒状(樋状)の汚泥移送路377が設置されている。
【0064】
走行台車320の4角近傍位置には、上記蛇行補正・脱輪防止装置1が取り付けられている。蛇行補正・脱輪防止装置1は、走行台車320の走行方向に向かって設置した一対ずつの車輪321のさらに前方と後方の位置に取り付けられている。蛇行補正・脱輪防止装置1の取り付けは、上述のように、ボルト115とナット117(図9参照)によって行う。
【0065】
以上のように構成された走行式掻取機300において、バケット371とスクリュー375を回転しながら走行台車320をレール310,310上で走行させることで、浮上濃縮槽350の液面上に浮上している浮上汚泥をバケット371で掻き上げてスクリュー375の上部に投入し、スクリューコンベヤ機構363によって収集汚泥排出溝355に排出する。
【0066】
上記走行式掻取機300の走行中、蛇行補正・脱輪防止装置1のガイドローラ51,51は、レール310,310の左右両側面に当接などすることで走行台車320の走行をガイドする。これによって走行式掻取機300に浮上汚泥(掻取対象物)の偏荷重が印加などされても、走行式掻取機300の蛇行や脱輪を確実に防止することができる。特にこの走行式掻取機300においては、蛇行補正・脱輪防止装置1を、走行方向の前方と後方に設けた車輪321のさらに前方と後方の位置に取り付けたので、走行式掻取機300の走行ガイドをより安定して確実に行わせることができる。
【0067】
また、長期使用によって走行式掻取機300の各部(例えばレール310や車輪321や軸、軸受など)やガイドローラ51等が摩耗等し、レール310とガイドローラ51,51間の隙間や高さ位置に変化が生じても、上述のように、ガイドローラ位置調整手段80や第2のガイドローラ位置調整手段によって、一対のガイドローラ51,51それぞれとレール310の側面との間の隙間間隔や高さ位置をそれぞれ適宜調整することができるので、レール310上を走行する走行式掻取機300の最適な走行状態を常に維持することができる。
【0068】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態では、ジョイントブロック89を上部連結板15側のみに設置したが、その代わりに下部連結板17側に設置しても良く、さらには両者に設置しても良い。また上記走行式掻取機300の浮上汚泥掻取機構330を浮上汚泥掻寄機構に変更して走行式掻寄機とすることもできる。また本発明に係る蛇行補正・脱輪防止装置1は、上記走行式掻寄機200や走行式掻取機300以外の水処理設備に使用する各種レール走行式機器、さらに水処理施設以外の各種レール走行式機器(例えばクレーン走行式機器など)にも同様に適用することができる。
【0069】
また上記実施形態では、レール走行式機器を構成する走行台車の4角に蛇行補正・脱輪防止装置1を設置した例を示したが、蛇行補正・脱輪防止装置1は4角以外の各種位置に設置しても良い。また設置する箇所も1か所以上であればよい。また装置本体部の構造、ガイド部材の構造、ガイドローラ位置調整手段の構造、第2のガイドローラ位置調整手段の構造などに種々の変形が可能であることはいうまでもない。また上記実施形態ではレール走行式機器が走行するレールを直線状としたが、曲線状としても良い。
【0070】
また、上記記載及び各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、上記記載及び各図の記載内容は、その一部であっても、それぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は上記記載及び各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
1 蛇行補正・脱輪防止装置
10 装置本体部
19 機器取付部(第2のガイドローラ位置調整手段)
50 ガイド部材
51 ガイドローラ
61 支持部
80 ガイドローラ位置調整手段
85,87 調整ボルト(ガイドローラ位置調整手段)
89 ジョイントブロック(ガイドローラ位置調整手段)
115 ボルト(第2のガイドローラ位置調整手段)
117 ナット(第2のガイドローラ位置調整手段)
150 レール走行式機器
155 車輪
170 レール
200 走行式掻寄機(レール走行式機器)
210 レール
220 走行台車
230 掻寄板
250 沈殿池(被処理槽)
300 走行式掻取機(レール走行式機器)
310 レール
320 走行台車
330 浮上汚泥掻取機構
350 浮上濃縮槽(被処理槽)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15