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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130783
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230913BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20230913BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20230913BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20230913BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230913BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230913BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20230913BHJP
【FI】
F21S2/00 230
G01N21/84 E
G01N21/88 Z
F21V17/00 200
F21V5/04 600
F21V5/04
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035268
(22)【出願日】2022-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】392026888
【氏名又は名称】京都電機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
【テーマコード(参考)】
2G051
3K011
【Fターム(参考)】
2G051AB01
2G051AB02
2G051BB01
2G051CA04
3K011HA02
3K011JA01
(57)【要約】
【課題】LEDから集光レンズまでの距離を選択して組立可能な照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、ロッドレンズ4をケーシング2に固定するための固定手段5を備える。固定手段5は、ケーシング2の側壁22に取り付けられる一対の第1固定部材8を有し、各第1固定部材8には第1螺子孔8aが設けられている。各第1固定部材8は、側壁22に設けられた第1取付孔2aに挿通された取付螺子が第1螺子孔8aに螺合されることにより側壁22に取り付けられる。第1固定部材8が第1姿勢にて側壁22に取り付けられたときは、ロッドレンズ4は第1所定位置に保持され、高さ方向D1に反転した第2姿勢にて側壁22に取り付けられたときは、ロッドレンズ4は第2所定位置に保持され、第2所定位置に保持されたロッドレンズ4からLEDまでの距離は、第1所定位置に保持されたロッドレンズ4からLEDまでの距離よりも大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの所定照射領域に光を照射させるための照明装置であって、
ケーシングと、
前記ケーシングに収容保持されたLED基板と、
前記LED基板と第1方向に間隔を空けて対向配置され、前記第1方向と垂直な第2方向に設置された棒状の集光レンズと、
前記集光レンズを前記ケーシングに固定するための固定手段と、を備え、
前記LED基板はLEDを有し、
前記ケーシングは、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において相互に対向する一対の側壁を有し、一対の側壁の各々には第1取付孔が設けられ、
前記固定手段は、前記一対の側壁の各々に取り付けられる一対の第1固定部材を有し、
前記一対の第1固定部材の各々には第1螺子孔が設けられ、
前記一対の第1固定部材の各々は、前記第1取付孔に挿通された第1取付螺子が前記第1螺子孔に螺合されることにより前記側壁に取り付けられ、
前記一対の第1固定部材の各々は、第1姿勢にて前記側壁に取り付けられたときは、前記集光レンズを第1所定位置に保持し、前記第1姿勢から前記第1方向に反転した第2姿勢にて前記側壁に取り付けられたときは、前記集光レンズを第2所定位置に保持し、
前記第2所定位置に保持された前記集光レンズから前記LEDまでの距離は、前記第1所定位置に保持された前記集光レンズから前記LEDまでの距離よりも大きいことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記一対の第1固定部材の各々の形状は、前記第1方向において非対称であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記固定手段は一対の第2固定部材を更に備え、
前記一対の側壁の各々には第2取付孔が設けられ、
前記一対の第2固定部材の各々には第2螺子孔が設けられ、前記一対の第2固定部材の各々は、前記第2取付孔に挿通された第2取付螺子が前記第2螺子孔に螺合されることにより前記側壁に取り付けられ、
前記第1固定部材と前記第2固定部材とは、形状及び寸法が同一であり、
前記集光レンズは、前記第1方向において前記一対の第1固定部材と前記一対の第2固定部材によって挟持されて保持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記集光レンズが前記第1所定位置に保持された状態において前記ワークの所定照射領域に照射される光の照度分布は、前記集光レンズが前記第2所定位置に保持された状態において前記ワークの所定照射領域に照射される光の照度分布と比較して、より均一であり、
前記集光レンズが前記第2所定位置に保持された状態において前記ワークの所定照射領域に照射される光の輝度分布は、前記集光レンズが前記第1所定位置に保持された状態において前記ワークの所定照射領域に照射される光の輝度分布と比較して、より均一であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の照明装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物に光を照射するための照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワーク(被検査物としての製品)にライン状の光を照射して、ワークにおける傷や汚れ等の有無を検査する検査方法が行われている。このような検査で用いられる照明装置としては、長尺状のLED基板に搭載された複数個のLEDから発せられた光を、丸棒状の集光レンズによりワーク表面の所定照射領域にライン状に集光させるように構成されたものが提案されており、所定照射領域においてより均一で高い照度が得られるように部品配置されているのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開第2011-48237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の検査方法には、図9(a)に示すように、ワークの照射面側から撮像装置(カメラ)で撮像して検査する方法と、図9(b)に示すようにワークの照射面とは反対側から撮像して検査する方法があり、ワークが透光性のシートの場合等は後者の方法が採用され、ワークを透過した透過光が撮像装置に取り込まれる。一方、非透光性のワークの場合には前者の方法が採用されるが、ワークがミラーの様に光を反射する性質を有する場合はワークからの正反射光が撮像装置に取り込まれ、それ以外の場合にはワークからの拡散反射光が撮像装置に取り込まれる。
【0005】
そして、ワークからの拡散反射光を照射面側から撮像して検査する場合には、ワークの所定照射領域に照射される光の照度が均一であるのが好ましく、ワークからの正反射光を照射面側から撮像する場合や、ワークを透過した透過光を反対側から撮像して検査する場合は、ワークの所定照射領域に照射される光の輝度が均一であるのが好ましい。
【0006】
この点、上述の様に所定照射領域においてより均一で高い照度が得られるように部品配置された照明装置は、ワークからの拡散反射光を撮像する場合には好適に用いられるものの、ワークからの正反射光や透過光を撮像する場合には輝度のバラツキが大きく、十分な検査精度が得られないという問題があった。そのためワークからの正反射光や透過光を撮像する場合には、より均一で高い輝度が得られるように部品配置された照明装置を用いる必要があった。
【0007】
ここで、ワークに照射される光の照度や輝度はLEDからレンズまでの距離により変化する。よって、検査方法に応じて、照度の均一性を重視して組み立てられた照明装置と、輝度の均一性を重視して組み立てられた照明装置を使い分ける必要がある。
【0008】
そこで本発明は、LEDから集光レンズまでの距離を選択して組立可能な照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る照明装置は、ワークの所定照射領域に光を照射させるための照明装置であって、ケーシングと、前記ケーシングに収容保持されたLED基板と、前記LED基板と第1方向に間隔を空けて対向配置され、前記第1方向と垂直な第2方向に設置された棒状の集光レンズと、前記集光レンズを前記ケーシングに固定するための固定手段と、を備え、前記LED基板はLEDを有し、前記ケーシングは、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向において相互に対向する一対の側壁を有し、一対の側壁の各々には第1取付孔が設けられ、前記固定手段は、前記一対の側壁の各々に取り付けられる一対の第1固定部材を有し、前記一対の第1固定部材の各々には第1螺子孔が設けられ、前記一対の第1固定部材の各々は、前記第1取付孔に挿通された第1取付螺子が前記第1螺子孔に螺合されることにより前記側壁に取り付けられ、前記一対の第1固定部材の各々は、第1姿勢にて前記側壁に取り付けられたときは、前記集光レンズを第1所定位置に保持し、前記第1姿勢から前記第1方向に反転した第2姿勢にて前記側壁に取り付けられたときは、前記集光レンズを第2所定位置に保持し、前記第2所定位置に保持された前記集光レンズから前記LEDまでの距離は、前記第1所定位置に保持された前記集光レンズから前記LEDまでの距離よりも大きい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る照明装置によれば、第1固定部材を第1姿勢でケーシングに取り付けたときと、第2姿勢でケーシングに取り付けたときにおいて、LEDから集光レンズまでの距離が異なる。LEDから集光レンズまでの距離が異なると、ワークの所定照射領域に照射される光の照度及び輝度が異なることから、第1固定部材の取り付け姿勢を選択することにより、ワークの所定照射領域に照射させるべき光の照度や輝度を選択することができ、より照度が均一で拡散反射光の撮像による検査に適した照明を可能とする形態と、より輝度が均一で正反射光や透過光の撮像による検査に適した照明を可能とする形態の何れかを選択して照明装置を組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る照明装置を示す外観斜視図
図2図1のIIーII線断面図。
図3図2に示す照明装置の組立手順を説明する分解斜視図。
図4図2とはロッドレンズが異なる位置となるように組み立てられた本実施形態に係る照明装置の断面図。
図5図4に示す照明装置の組立手順を説明する分解斜視図。
図6】照明装置の点灯状態を示す写真。
図7】照明装置の照度分布を示すグラフ。
図8】照明装置の輝度分布を示すグラフ
図9】ワークの検査方向を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る照明装置について説明する。本実施形態に係る照明装置は被検査物(ワーク)の検査システムにおいて用いられるものであって、ワークの所定照射領域にライン状の光を照射するものである。照明装置により照明された被検査物は検査システムが備える撮像装置で撮像され、傷や汚れ等の有無が自動判定されるようになっている。
【0013】
図1及び図2を参照して、本実施形態に係る照明装置1は、ケーシング2と、ケーシング2に収容保持されたLED基板3及びロッドレンズ4と、ロッドレンズ4をケーシング2に固定するための固定手段5と、ケーシング2に固定された放熱フィンFと、ケーシング2の開口部を覆うカバー部材6,7を備える。カバー部材6は、透光板61で覆われた窓部を有し、透光板61としては拡散板や保護カバーが用いられる。
【0014】
ケーシング2は長手方向D2(第2方向)に延びる長尺状の部材であって、縦断面略コの字形状を有し、長手方向D2に延びる底壁21と一対の側壁22を有する。一対の側壁22は、底壁21の両縁から高さ方向D1(第1方向)に延出し、短手方向D3(第3方向)において相互に対向している。LED基板3はケーシング2内の底面に固定され、長手方向D2に延びる長尺状のプリント配線基板31と、プリント配線基板31に実装された複数個のLED32(図2に1個のみ示す)と、を備え、これら複数個のLED32は長手方向D2に沿ってライン状に配列されている。
【0015】
ロッドレンズ4は長手方向D2に沿って延びる円筒状の集光レンズである。固定手段5は、ケーシング2の側壁22の内面に着脱可能に取り付けられ、ロッドレンズ4をケーシング2内の所定位置に保持する。より具体的に、図2,3に示す様に、固定手段5は、一対の第1固定部材8と、一対の第2固定部材9と、各第2固定部材9に取り付けられた押さえ部材95と、を有し、ロッドレンズ4はこれら4本の第1,第2固定部材8,9により高さ方向D1及び短手方向D3から挟持されるようにして保持される。
【0016】
第1固定部材8は長手方向D2に延びる長尺状の部材であって、ケーシング2の側壁22に取り付けられる取付面81を有する。また、第1固定部材8の高さ方向D1における厚み寸法は取付面81から離隔するに従い漸減し、第1固定部材8は、取付面81に対して傾斜して延びる第1面82と第2面83と、を更に有する。これら第1,第2面82,83は、取付面81から離隔するに従い相互に近づく方向に延びている。なお、第1面82と第2面83との角部は面取りされている。
【0017】
また、取付面81には少なくとも一対の第1螺子孔8aが設けられ、ケーシング2の側壁22の第1取付孔2aに挿通された取付螺子(図示せず)を第1螺子孔8aに螺合させることで、第1固定部材8がケーシング2の側壁22に固定されるようになっている。
【0018】
第2固定部材9は、第1固定部材8と同一形状・同一寸法を有する。即ち、第2固定部材9は、長手方向D2に延びる長尺状の部材であって、ケーシング2の側壁22に取り付けられる取付面91を有する。また、第2固定部材9の高さ方向D1における厚み寸法は取付面91から離隔するに従い漸減し、第2固定部材9は、取付面91に対して傾斜して延びる第1面92と第2面93と、を更に有する。これら第1,第2面92,93は、取付面91から離隔するに従い相互に近づく方向に延び、第1面92と第2面93との角部は面取りされている。
【0019】
取付面91には少なくとも一対の第2螺子孔9aが設けられ、ケーシング2の側壁22の第2取付孔2bに挿通された取付螺子(図示せず)を第2螺子孔9aに螺合させることで、第2固定部材9がケーシング2の側壁22に固定されるようになっている。
【0020】
押さえ部材95は、ゴム製等の弾性部材であって、第2固定部材9の第1面92又は第2面93に、長手方向D2に間隔を空けて、複数個、接着等により固定されている。
【0021】
このように構成された照明装置1において、各LED32から発せられた光はロッドレンズ4により集光されてワークの所定照射領域にライン状に照射される。
【0022】
ここで、ロッドレンズ4は固定手段5によってLED32(LED基板3)から高さ方向D1に所定距離だけ離隔した位置に保持されるが、LED32からロッドレンズ4までの距離K(以下、単に「距離K」という)によりワークに照射される光の照度や輝度が変化する。そして、図9(a)に示すようにワークの照射面側から拡散反射光を撮像して検査する場合には、ワークの所定照射領域に照射される光の照度が均一であるのが好ましく、ワークの照射面側から正反射光を撮像して検査する場合や、図9(b)に示す様にこれとは反対側からワークを透過した透過光を撮像して検査する場合には、ワークの所定照射領域に照射される光の輝度が均一であるのが好ましい。
【0023】
そこで、本実施形態に係る照明装置1では、より照度が均一で拡散反射光による検査に適した照明を可能とする距離Kと、より輝度が均一で正反射光又は透過光による検査に適した照明を可能とする距離Kの何れかを選択して組み立てることができ、また第1,第2固定部材8,9のケーシング2への取付向きを変えるだけで所望の距離Kを達成できるように構成した。
【0024】
より具体的に、第1及び第2固定部材8,9を、図2,3に示す向き(以下、「第1姿勢」という)でケーシング2へ取り付けた場合と比較して、これらを高さ方向D1に反転させて図4,5に示す向き(以下、「第2姿勢」という)でケーシング2へ取り付けた場合は、LED32からロッドレンズ4までの距離Kが大きくなる。
【0025】
これは、螺子孔8aを含む第1固定部材8の全体形状及び螺子孔9aを含む第2固定部材9の全体形状を、高さ方向D1において非対称とすることによって、第1,第2固定部材8,9の姿勢(高さ方向D1における向き)を変えることで、第1,第2固定部材8,9が異なる高さ位置においてロッドレンズ4を保持できるように構成されているためである。
【0026】
なお、本実施形態においては、高さ方向D1において、第1,第2固定部材8,9の外形を実質対称とし、螺子孔8a,9aの形成位置を中心から一方側(本実施形態では第1面82,92側)に偏位させることによって、第1,第2固定部材8,9の全体形状を高さ方向D1において非対称としている。
【0027】
次に、照明装置1の組立手順について説明する。以下、説明を容易にするため、第1,第2固定部材8,9が図2,3に示す第1姿勢となるように組み立てられた照明装置1を特に「照明装置1A」と称し、図4,5に示す第2姿勢となるように組み立てられた照明装置1を「照明装置1B」と称することとする。
【0028】
初めに、照明装置1Aの組立手順について説明する。まず、放熱フィンFを所要の通りにケーシング2に取り付け、LED基板3をケーシング2に収容させて底壁に固定させる。第1固定部材8を第1姿勢とし、側壁22の第1取付孔2aに挿通させた取付螺子(図示せず)を第1固定部材8の第1螺子孔8aに螺合させ、第1固定部材8を側壁22に取り付ける。
【0029】
次に、ロッドレンズ4を一対の第1固定部材8に載置する。これにより、ロッドレンズ4は第1固定部材8の第1面82と当接した状態で図2に示す第1所定位置に保持される。第2固定部材9の第2面93に押さえ部材95を所要の通りに取り付け、第2固定部材9を第1姿勢とし、側壁22の第2取付孔2bに挿通させた取付螺子(図示せず)を、第2固定部材9の第2螺子孔9aに螺合させる。
【0030】
これにより、第2固定部材9は側壁22に取り付けられ、第2固定部材9の押さえ部材95がロッドレンズ4に当接する。その結果、ロッドレンズ4は押さえ部材95を介して第1,第2固定部材8,9により高さ方向D1及び短手方向D3において挟持され、第1所定位置に保持される。その後、ケーシング2に透光板61及びカバー部材6,7を所要の通りに装着する。
【0031】
一方、照明装置1Bの組立手順は、押さえ部材95を第1固定部材9の第1面92に取り付ける点と、第1,第2固定部材8,9を第2姿勢で側壁22に取り付ける点を除き、上述した照明装置1Aの組立手順と同一である。
【0032】
即ち、放熱フィンF及びLED基板3を上述の様にしてケーシング2に取り付ける。第1固定部材8を第2姿勢とし、側壁22の第1取付孔2aに挿通させた取付螺子(図示せず)を第1固定部材8の第1螺子孔8aに螺合させ、第1固定部材8を側壁22に取り付ける。
【0033】
次に、ロッドレンズ4を一対の第1固定部材8に載置する。これにより、ロッドレンズ4は第1固定部材8の第2面83と当接した状態で図4に示す第2所定位置に保持される。第2固定部材9の第1面92に押さえ部材95を所要の通りに取り付け、第2固定部材9を第2姿勢とし、側壁22の第2取付孔2bに挿通させた取付螺子(図示せず)を、第2固定部材9の第2螺子孔9aに螺合させる。その結果、ロッドレンズ4は押さえ部材95を介して第1,第2固定部材8,9により高さ方向D1及び短手方向D3において挟持され、第2所定位置に保持される。その後、ケーシング2に透光板61及びカバー部材6,7を所要の通りに装着する。
【0034】
このようにして組み立てられた照明装置1Bにおいては、ロッドレンズ4は上述の第1所定位置よりもLED32から離れた第2所定位置にて保持される。即ち、照明装置1Aと照明装置1Bとでは、高さ方向D1におけるロッドレンズ4の保持位置が異なるものの、高さ方向D1における第1固定部材8から第2固定部材9までの距離は同一とされており、これにより第1,第2固定部材8,9を第1姿勢と第2姿勢の何れの姿勢で取り付けてもロッドレンズ4を安定的に保持できるようになっている。
【0035】
ここで、上述したように、螺子孔8a,9aの形成位置を中心から一方側に偏位させることによって、第1,第2固定部材8,9の全体形状を高さ方向D1において非対称としているが、ここでいう「中心」とは、照明装置1Aにおける第1固定部材8のロッドレンズ4との当接箇所と、照明装置1Bにおける第1固定装置8のロッドレンズ4との当接箇所の高さ方向D1中心をいう。
【0036】
実施例として、照明装置1BにおけるLED32からロッドレンズ4までの距離Kが、照明装置1Aにおけるものよりも所定量(ここでは3mm)だけ大きくなるように設定し、照明装置1Aと照明装置1Bの点灯状態を撮像した写真を図6(a),図6(b)にそれぞれ示す。また、照明装置1A,1Bからワークの所定照射領域に照射された光の照度分布及び輝度分布を図7及び図8にそれぞれ示す。
【0037】
照度分布については、図7に示すように、照明装置1Bと比較して照明装置1Aの方がより均一であり、輝度分布については、図8に示す様に、照明装置1Aと比較して照明装置1Bの方がより均一である。よって、ワークからの拡散反射光を撮像して検査を行う場合には照明装置1Aを用い、ワークからの正反射光やワークを透過した透過光を撮像して検査を行う場合には照明装置1Bを用いるのが好ましいことが分る。
【0038】
このように、本実施形態においては、同一の構成部品を使いながら、より均一な照度分布が達成できる照明装置1(1A)を組み立てることも、より均一な輝度分布が達成できる照明装置1(1B)を組み立てることもでき、部品の共通化による製造コストを削減できる。また、第1固定部材8と第2固定部材9の向き変えるだけで良いので、組立作業を簡素化できる。
【0039】
更に、第1固定部材8と第2固定部材9とは、同一寸法・同一形状を有することから、これによっても部品の共通化による製造コストを削減できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態に係る照明装置について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、第2固定部材9に押さえ部材95を装着したが、押さえ部材95を用いない構成であってもよい。また、第1固定部材8に押さえ部材を装着し、当該押さえ部材を介して第1固定部材8がロッドレンズ4を支持する構成とすることもできる。
【0042】
また、上記実施例においては、照明装置1AにおけるLED32からロッドレンズ4までの距離Kと、照明装置1BにおけるLED32からロッドレンズ4までの距離Kとの差を3mmとしたが、距離Kの差はロッドレンズ4の直径や照明装置1からワークまでの距離等に応じて適宜設定すれば良い。換言すると、照明装置1Aにおいてはワークの所定照射領域に最適な照度分布の光を照射可能であり、照明装置1Bにおいてはワークの所定照射領域に最適な輝度分布の光を照射可能となるように、第1,2固定部材8,9の形状を設定すればよい。
【0043】
更に、上記実施形態においては、高さ方向D1において、第1,第2固定部材8,9の外形を実質対称とし、螺子孔8a,9aの形成位置を中心から一方側に偏位させることによって、第1,第2固定部材8,9の全体形状を高さ方向D1において非対称としたが、本発明は当該構成に限定されず、高さ方向D1における第1,第2固定部材8,9の外形を非対称としたものであっても構わない。
【0044】
長手方向D2における第1,第2固定部材8,9の長さ寸法は、ロッドレンズ4と同一である必要はなく、ロッドレンズ4よりも短い複数本の第1,第2固定部材8,9を長手方向D2に沿って縦列配置させて用いても良い。また、照明装置1は放熱フィンFを備えなくても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 照明装置
2 ケーシング
2a 第1取付孔
2b 第2取付孔
3 LED基板
4 ロッドレンズ(集光レンズ)
5 固定手段
8 第1固定部材
8a 第1螺子孔
9 第2固定部材
9a 第2螺子孔
32 LED
D1 高さ方向(第1方向)
D2 長手方向(第2方向)
D3 短手方向(第3方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9