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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023130792
(43)【公開日】2023-09-21
(54)【発明の名称】石材墓
(51)【国際特許分類】
   E04H 13/00 20060101AFI20230913BHJP
【FI】
E04H13/00 G
E04H13/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022035288
(22)【出願日】2022-03-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】392014782
【氏名又は名称】合資会社沖縄関ケ原石材
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】緑間 禎
(57)【要約】
【課題】耐用年数が高く、外観を美しく保てる紐掛け部を備えた石材墓を提供する。
【解決手段】石材墓本体上部のいずれかの部分に紐掛け部3を配置する。紐掛け部3は石材墓本体から外側に向けてスライド移動可能であり、不使用時には石材墓本体内に収納可能である。紐掛け部3は上から見たとき両端部の幅が中央部の幅よりも広いことが好ましい。紐掛け部3は石材墓本体の梁2の両端面に配置するのが好ましい。紐掛け部3の外側面下部には手入れ部(空間)5を設けるのが好ましく、紐掛け部3は石材製であるのが好ましい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石材墓本体上部のいずれかの部分に紐掛け部を配置した石材墓であって、
前記紐掛け部は前記石材墓本体から外側に向けてスライド移動可能であり、
不使用時には前記石材墓本体内に収納可能であることを特徴とする石材墓。
【請求項2】
前記紐掛け部は、上から見たとき両端部の幅が中央部の幅よりも広い請求項1に記載の石材墓。
【請求項3】
前記紐掛け部は、石材墓本体の梁の両端面に配置されている請求項1又は2に記載の石材墓。
【請求項4】
前記紐掛け部の外側面下部には手入れ部の空間が設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の石材墓。
【請求項5】
前記紐掛け部は、石材製である請求項1~4のいずれか1項に記載の石材墓。
【請求項6】
前記紐掛け部は、さらに石材墓の敷地前部の左右両側の石材にも配置されている請求項1~5のいずれか1項に記載の石材墓。
【請求項7】
前記石材墓本体は、破風墓又は亀甲墓である請求項1~6のいずれか1項に記載の石材墓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紐掛け部を備えた石材墓に関する。
【背景技術】
【0002】
沖縄地方では、先祖を供養するため、家族、親戚、一族の人などが墓前に集まり、墓前にお供え物を供えた後、参加者でそのお供え物を食する習慣がある。とくに旧暦3月頃(新暦では4月初旬から5月上旬頃)に行われる清明祭は、清明(シーミー)と呼ばれ、現在でも行われている。沖縄地方では、破風墓又は亀甲墓などのようにお墓自体が納骨堂となっており、墓の高さも墓庭の広さも比較的大きく、墓前で食する場合、雨よけ、日よけのためにテントを設営している。テントを張るためには、テントの紐を墓本体やその他の部分に結ぶためのフックが必要であり、従来は必要箇所の石材に穴を掘り、フックの一端を埋め込み、セメントやモルタルを充填して固定していた。
特許文献1には石板の表面に穴をあけ、埋め込みボルトを挿入し固定することが提案されている。特許文献2には、支持ボルトで墓石を固定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-054465号公報
【特許文献2】特開2006-022487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の金属製埋め込みボルト又は金属製埋め込みフックは、年数経過とともに埋め込み部のセメントやモルタルが劣化し、膨張率の違いからゆるみが生じ、錆が生じ、あるいは石材部分のひび割れ、剥離が生じ、外観が悪化する問題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、耐用年数が高く、外観を美しく保てる紐掛け部を備えた石材墓を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、石材墓本体上部のいずれかの部分に紐掛け部を配置した石材墓であって、前記紐掛け部は前記石材墓本体から外側に向けてスライド移動可能であり、不使用時には前記石材墓本体内に収納可能である石材墓である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の石材墓は、石材墓本体上部のいずれかの部分に紐掛け部を配置し、紐掛け部は石材墓本体から外側に向けてスライド移動可能であり、不使用時には石材墓本体内に収納可能であることにより、耐用年数が高く、外観を美しく保てる紐掛け部を備えた石材墓を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本発明の一実施形態に係る石材墓本体の模式的正面図である。
図2図2は同、模式的左側面図である。
図3図3Aは同、紐掛け部を閉めた状態の模式的平面図、図3B図3AのI-I線断面図、図3Cは同、紐掛け部をスライドさせて突出させた状態の模式的平面図、図3D図3CのII-II線断面図、図3E図3Aの模式的右側面図である。
図4図4Aは同、紐掛け部を閉めた状態の模式的展開斜視図、図4Bは同、紐掛け部をスライドさせて突出させた状態の模式的斜視図、図4Cは同、紐掛け部を外した状態の模式的斜視図である。
図5図5Aは本発明の別の実施形態に係る紐掛け部を閉めた状態の模式的展開斜視図、図5Bは同、紐掛け部をスライドさせて突出させた状態の模式的斜視図、図5Cは同、紐掛け部を外した状態の模式的斜視図である。
図6図6は本発明の一実施形態に係る石材墓本体から墓庭部までテントを覆った状態の模式的平面図である。
図7図7は同、図6の模式的左側面図である。
図8図8は同、図6の模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、石材墓本体上部のいずれかの部分に紐掛け部を配置したものである。石材墓本体上部は梁、屋根、庇、側壁面上部など、どこでもよいが、例えば梁の両端面に配置するのが好ましい。紐掛け部は、シートの紐を固定するために使用する。なお、本発明において、石材墓本体とは納骨堂の部分をいい、石材墓とは、納骨堂と墓庭部を含めた全体をいう。
【0010】
紐掛け部は石材墓本体から外側に向けてスライド移動可能であり、不使用時には前記石材墓本体内に収納可能である。すなわち、使用時のみ紐掛け部を石材墓本体から外側に向けてスライド移動させて突出させ、不使用時には石材墓本体内に収納する。これにより、耐用年数が高く、外観を美しく保てる。
【0011】
紐掛け部は、上から見たとき両端部の幅が中央部の幅よりも広いことが好ましい。すなわちH字型とする。これにより、スライド移動させて突出及び収納動作を繰り返しても紐掛け部が落下することはなく、テント紐を結ぶのに都合がよい。
【0012】
紐掛け部の外側面下部には手入れ部の空間が設けられているのが好ましい。手入れ部の空間があると、この部分に手指を入れて引っ掛けやすくなり、紐掛け部を外側に向けてスライド移動しやすい。
【0013】
紐掛け部は、石材製であるのが好ましい。これにより、耐用年数が高く、外観も美しく保てる。紐掛け部は御影石などの石材墓本体と同一の石材とするのが好ましい。石材模様を同一にすることができ、外観を美しく保てる。
【0014】
紐掛け部は、さらに石材墓本体の墓庭前部の左右両側の石材にも配置されているのが好ましい。これにより、石材墓本体上部のいずれかの部分に紐掛け部とともに、テントの四隅の紐を4か所で固定でき、テントで墓庭全体を覆うことができ、雨よけ、日よけを効率よく行える。なお、本発明においてテントとは、テント生地、ブルーシート、ターポリンなど、一般的に雨よけ、日よけとして使われているシートであれば、どのようなものでもよい。
【0015】
前記墓本体及び紐掛け部はいずれも天然石製であるのが好ましい。墓石に使う天然石製の石材は、大まかな分類として花崗岩(御影石を含む)、閃緑岩、斑レイ岩、安山岩等が挙げられ、産地や成分などにより300以上の種類がある。これらの天然石は長期間経過しても変化することはなく、ひび割れすることもなく、耐久性に優れている。
【0016】
前記墓本体は破風墓又(家形墓)は亀甲墓が好ましい。これらの墓は側壁及び屋根、庇、袖石を含め、ほぼ全体が石材で構成されている。一部にコンクリートを使用することもできる。
【0017】
以下図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。図1は本発明の一実施形態に係る石材墓本体1の模式的正面図、図2は同、模式的左側面図である。この石材墓本体1は梁2の両端部に紐掛け部3,4が設けられている。梁2は石材墓本体1の上部にあるので、テントを張るのに都合がよい。
【0018】
図3Aは同、紐掛け部3を閉めた状態の模式的平面図、図3B図3AのI-I線断面図、図3Cは同、紐掛け部3をスライドさせて突出させた状態の模式的平面図、図3D図3CのII-II線断面図、図3E図3Aの模式的右側面図である。紐掛け部3は、上から見たとき両端部の幅が中央部の幅よりも広く、ほぼH字型である。紐掛け部3の中央部は両端部の幅よりも細いくびれ部である。この例では、くびれ部は円筒状である。くびれ部の突出部6に紐を掛けて結ぶ。紐掛け部3の先端部は矩形である。また、紐掛け部3を組み込むための梁2に設けた空間部は、紐掛け部3に合わせて中間部がくびれている。これにより、スライド移動させて突出及び収納動作を繰り返しても紐掛け部3が落下することはない。梁2の上に屋根部材又は庇部材が配置され、蓋をしているからである。紐掛け部3の外側先端部は膨らみ部があるので、テント紐を結ぶのに都合がよい。また、紐掛け部3の外側面下部と梁2の間には手入れ部(空間)5が設けられている。手入れ部5の空間があると、この部分に手指を入れて引っ掛けやすくなり、紐掛け部3を外側に向けてスライド移動しやすい。
【0019】
図4Aは同、紐掛け部3を閉めた状態の模式的展開斜視図、図4Bは同、紐掛け部3をスライドさせて突出させた状態の模式的斜視図、図4Cは同、紐掛け部3を外した状態の模式的斜視図である。紐掛け部3を組み込むための梁2に設けた空間部7は、紐掛け部3に合わせて中間部がくびれている。
【0020】
図5Aは本発明の別の実施形態に係る紐掛け部3を閉めた状態の模式的展開斜視図、図5Bは同、紐掛け部3をスライドさせて突出させた状態の模式的斜視図、図5Cは同、紐掛け部3を外した状態の模式的斜視図である。図4と異なる点は、紐掛け部3の全体を覆う位置に保護石材ブロック8を配置した点である。この保護石材ブロック8を梁2に接着固定すると、紐掛け部3の落下を防止できる。
【0021】
図6は本発明の一実施形態に係る石材墓本体から墓庭部までテントを覆った状態の模式的平面図、図7は同、図6の模式的左側面図、図8は同、図6の模式的正面図である。これらの図は、紐掛け部9,10をさらに墓庭前部の左右両側の石材にも配置した例である。これにより、テント12の四隅の紐11a-11dはそれぞれ紐掛け部3,4,9,10に結ぶことができ、テントで墓庭全体を覆い、雨よけ、日よけを効率よく行える。
【実施例0022】
以下、実施例によりさらに詳しく説明する。但し、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1~8に示すように、御影石を使用して石材墓(破風墓)本体1を作製した。この石材墓本体1の全体の大きさは、間口(横)2000mm、奥行き1900mm、屋根の頂点までの高さ2210mm、背面側壁の厚さは80mmとした。また墓庭部の広さは間口(横)2500mm、奥行き3000mmであり、墓庭部の下に石材を敷き詰めた。墓庭前部の左右両側の石材は、横100mm、奥行き3000mm、高さ600mmとした。
紐掛け部3は、石材墓(破風墓)本体1と同じ御影石を使用して図3-4のように作成した。紐掛け部3全体の大きさは、タテ(高さ)60mm、ヨコ(幅)60mm、奥行き 150mm、両端部の厚み30mm、中央円筒部の直径40mm、中央円筒部の長さ90mmとした。
図6-8に示すように、テント12の四隅の紐11a-11dはそれぞれ紐掛け部3,4,9,10に結び、テントで墓庭全体を覆った。これにより、雨よけ、日よけを効率よく行え、供養者は長時間墓前で過ごすことができた。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の石材墓は、破風墓、亀甲墓に限らず、納骨堂などの大型石材墓にも適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 石材墓本体
2 梁
3,4,9,10 紐掛け部
5 手入れ部(空間)
6 くびれ部の突出部
7 空間部
8 保護石材ブロック
11a-11d テントの紐
12 テント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石材墓本体上部のいずれかの部分に紐掛け部を配置した石材墓であって、
前記紐掛け部は前記石材墓本体から外側に向けてスライド移動可能であり、
不使用時には前記石材墓本体内に収納可能であり、
前記紐掛け部は、前記石材墓本体から外側に向けてスライド移動された状態で、前記石材墓本体の前に設営されるテントの紐が掛けられるものであることを特徴とする石材墓。
【請求項2】
前記紐掛け部は、上から見たとき両端部の幅が中央部の幅よりも広い請求項1に記載の石材墓。
【請求項3】
前記紐掛け部は、石材墓本体の梁の両端面に配置されている請求項1又は2に記載の石材墓。
【請求項4】
前記紐掛け部の外側面下部には手入れ部の空間が設けられている請求項1~3のいずれか1項に記載の石材墓。
【請求項5】
前記紐掛け部は、石材製である請求項1~4のいずれか1項に記載の石材墓。
【請求項6】
前記紐掛け部を第1の紐掛け部としたとき、さらに石材墓の敷地前部の左右両側の石材にも第2の紐掛け部が配置されている請求項1~5のいずれか1項に記載の石材墓。
【請求項7】
前記石材墓本体は、破風墓又は亀甲墓である請求項1~6のいずれか1項に記載の石材墓。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、石材墓本体上部のいずれかの部分に紐掛け部を配置した石材墓であって、前記紐掛け部は前記石材墓本体から外側に向けてスライド移動可能であり、不使用時には前記石材墓本体内に収納可能であり、前記紐掛け部は、前記石材墓本体から外側に向けてスライド移動された状態で、前記石材墓本体の前に設営されるテントの紐が掛けられるものである石材墓である。